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発明の名称 エンジンの排気浄化方法及びエンジンの排気浄化装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16615(P2007−16615A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−196199(P2005−196199)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
発明者 佃 茂昭
要約 課題
第1触媒下流側の排気の雰囲気中にHCが存在しないこととなっても、第2触媒にNOx還元に必要なHCを供給してテールパイプ出口でのNOx浄化率の悪化を防止するようにした装置を提供する。

解決手段
蒸発燃料処理装置(22)を有し、排気通路(4)の上流側より三元触媒である第1触媒(7)と、三元触媒またはNOxとラップ触媒である第2触媒(8)とを直列配置し、第1触媒(7)の上流側に第1空燃比センサ(16)を、第1触媒(7)と第2触媒(8)との間に第2空燃比センサ(17)を備えると共に、第1空燃比センサ(16)の出力に基づいて空燃比のフィードバック制御を行う処理手順と、この空燃比フィードバック制御中に第2空燃比センサ(17)の出力がリーン状態にある場合に、蒸発燃料処理装置(22)に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として第2触媒(8)に供給する処理手順(S9、S11)とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
蒸発燃料処理装置を有し、
排気通路の上流側より三元触媒である第1触媒と、三元触媒またはNOxとラップ触媒である第2触媒とを直列配置し、
前記第1触媒の上流側に第1空燃比センサを、前記第1触媒と第2触媒との間に第2空燃比センサを備え、
前記第1空燃比センサの出力に基づいて空燃比のフィードバック制御を行う空燃比フィードバック制御処理手順と、
この空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサの出力がリーン状態にある場合に、前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給する還元剤供給処理手順と
を含むことを特徴とするエンジンの排気浄化方法。
【請求項2】
前記第2触媒の下流側に第3空燃比センサを備え、
前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給している状態でこの第3空燃比センサの出力がリッチ状態になったとき、この蒸発燃料の第2触媒への供給を中止する還元剤供給中止処理手順を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化方法。
【請求項3】
蒸発燃料処理装置を有し、
排気通路の上流側より三元触媒である第1触媒と、三元触媒またはNOxとラップ触媒である第2触媒とを直列配置し、
前記第1触媒の上流側に第1空燃比センサを、前記第1触媒と第2触媒との間に第2空燃比センサを備えると共に、
前記第1空燃比センサの出力に基づいて空燃比のフィードバック制御を行う空燃比フィードバック制御手段と、
この空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサの出力がリーン状態にある場合に、前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給する還元剤供給手段と
を備えることを特徴とするエンジンの排気浄化装置。
【請求項4】
前記第2触媒の下流側に第3空燃比センサを備え、
前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給している状態でこの第3空燃比センサの出力がリッチ状態になったとき、この蒸発燃料の第2触媒への供給を中止する
ことを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気浄化装置。
【請求項5】
前記蒸発燃料処理装置が、
燃料タンクで蒸発した燃料を導いて蓄えるキャニスタと、
このキャニスタとスロットル弁下流の吸気通路とを連通するパージ通路と、
このパージ通路に介装される常閉の第1パージバルブと、
低負荷状態でこの第1パージバルブを開く開弁手段と
を備える場合に、
前記還元剤供給手段は、
前記パージ通路から分岐し、前記第1触媒と前記第2触媒の間の排気通路に連通するバイパス通路と、
このバイパス通路に介装される第2パージバルブと、
同じくこのバイパス通路に介装される圧送ポンプと、
空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサ出力がリーン状態にある場合に、前記第2パージバルブを開くと共に前記圧送ポンプを作動させる手段と
を備えることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの排気浄化装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンの排気浄化方法及びエンジンの排気浄化装置、特に蒸発燃料処理装置を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおいて、排気の温度が低いときにPM(パティキュレート)を付着させる上流側触媒と、下流側触媒(NOxトラップ触媒)とを排気通路に有し、2つの触媒の間の排気通路に連通する中空通路と、この中空通路にHCを供給するHC供給装置と、HC供給装置からのHC供給量を調整するための駆動ポンプとを備え、排気温度が第1の温度域にある場合に、バンドヒータにより上流側触媒を加熱し、上流側触媒に付着しているPMを脱離させ、この脱離PMを下流側触媒にてNOx還元剤として利用し、排気温度が第1の温度域より高い第2の温度域になると、駆動ポンプを働かせてHC供給装置からのHCを中空通路に導き、このHCを還元剤として用いて下流側触媒にトラップされているNOxを還元浄化するものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−47054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ガソリンエンジンに用いられる三元触媒は、排気の空燃比が理論空燃比の近傍で有害三成分であるHC、CO、NOxを同時に効率よく浄化できるのであるが、三元触媒が活性化するまでは三元触媒が働かないため、排気通路のうち、排気マニフォルドの集合部に比較的小容量の三元触媒を第1触媒として、また下流側の位置である車両の床下に比較的大容量の三元触媒を第2触媒として配置し、エンジンの冷間始動時にはまず小容量の第1触媒を早期に活性化させ、その後に第2触媒を活性化することで、排気性能を高めるようにしている。
【0004】
この場合に、近年の排気規制の強化に伴い、第1触媒の排気性能を高めた結果、冷間始動時を除き、HCが第1触媒でほとんど無害のガス(CO2)と水(H2O)に転換されるまでになっており、このため、第1触媒下流側の雰囲気にHCが存在しないこととなる。そして、第1触媒下流側の雰囲気にHCが存在しないと、第2触媒の雰囲気中にもHCが存在しないこととなり、テールパイプ出口でのNOx浄化率が低下することが新たに判明した。これは、第1触媒下流側の排気の雰囲気中にHCが存在しないことは、第1触媒により還元浄化されないNOxが第1触媒下流側へ排出されることを意味し、第1触媒より排出されてくるこのNOxが、第1触媒の下流側に位置する第2触媒へと流れるのであるが、HCの存在しない雰囲気では第2触媒においてもこの流れてきたNOxを還元浄化できず、そのまま第2触媒下流側へと排出され、最終的にテールパイプより大気へと排出されてしまうためである。
【0005】
そこで、上記の特許文献1の技術を適用して、第2触媒に還元剤としてのHCを供給することで、テールパイプ出口でのNOx浄化率の低下を防止することが考えられる。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術はディーゼルエンジンの排気通路に設けたNOx触媒のNOxを脱離還元する技術であり、排気温度に基づいてNOx触媒にHCを供給するか否かを判定しているので、特許文献1の技術をそのまま適用できない。すなわち、排気温度に基づいては、第1触媒下流側の排気の雰囲気がリーン状態であるか否かを判定することはできない。
【0007】
そこで本発明は、第1触媒下流側の排気の雰囲気中にHCが存在しないこととなっても、第2触媒にNOx還元に必要なHCを供給してテールパイプ出口でのNOx浄化率の悪化を防止するようにした装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、蒸発燃料処理装置を有し、排気通路の上流側より三元触媒である第1触媒と、三元触媒またはNOxとラップ触媒である第2触媒とを直列配置し、前記第1触媒の上流側に第1空燃比センサを、前記第1触媒と第2触媒との間に第2空燃比センサを備えると共に、前記第1空燃比センサの出力に基づいて空燃比のフィードバック制御を行い、この空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサの出力がリーン状態にある場合に、前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給するように構成している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空燃比フィードバック制御中に第2空燃比センサの出力がリーン状態にある場合に、蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として第2触媒に供給するので、第1触媒により還元浄化されずに排出されてくるNOxを第2触媒において還元浄化できることとなり、テールパイプ出口でのNOx排出量の低減に寄与できる。
【0010】
また、特許文献1の技術はディーゼルエンジンの排気通路に設けたNOx触媒のNOxを脱離還元する技術であり、排気温度に基づいてNOx触媒にHCを供給するか否かを判定しているので、特許文献1の技術をそのまま適用できない。すなわち、排気温度に基づいては、第1触媒下流側の排気の雰囲気がリーン状態であるか否かを判定できないのであるが、本発明では、第2空燃比センサの出力をモニタしているので、第1触媒下流側の排気の雰囲気がリーン状態にあるか否かを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1はエンジンの排気浄化方法の実施に直接使用するエンジンの排気浄化装置の概略構成を示している。
【0013】
図1において、1はエンジン本体、2は吸気通路、3は燃焼室、4は排気通路、5はDCモータ等からなるスロットルアクチュエータ5aによりスロットル弁5bが駆動されるスロットル装置、6はエンジンコントローラ11からの噴射信号を受けて燃料を吸気ポートへ噴射供給する燃料噴射弁である。
【0014】
エンジンコントローラ11にはクランクシャフトポジションセンサ12からのクランクシャフトポジジョンの信号、カムシャフトポジションセンサ13からのカムシャフトポジションの信号、エアフローセンサ14からの吸入空気流量の信号、アクセルペダルポジションセンサ15からのアクセル開度の信号などが入力し、吸入空気流量とエンジン回転速度とから基本噴射パルス幅TPを演算し、所定のタイミングになったとき、燃料噴射弁6を開かせる。基本噴射パルス幅TPは1回転速度当たりに必要となる燃料噴射量を与えるもので、この基本噴射パルス幅TPによりほぼ理論空燃比の混合気が得られる。
【0015】
上記のエンジン回転速度はクランクシャフトポジションセンサ12からのクランクシャフトポジジョンの信号と、カムシャフトポジションセンサ13からのカムシャフトポジションの信号とに基づいて算出されている。
【0016】
エンジンコントローラ11では、アクセル開度とエンジン回転速度から目標吸入空気量を算出し、この目標吸入空気量が得られるようにスロットルアクチュエータ5aを介してスロットル弁5bの開度を制御する。
【0017】
燃料タンク21内で蒸発する燃料を大気へと逃さないようにするため蒸発燃料処理装置を備える。蒸発燃料処理装置は、内部に活性炭22aを収納しているキャニスタ22、燃料タンク21とキャニスタ22とを連通する通路23、キャニスタ22とスロットル弁5b下流の吸気通路2とを連通する通路(パージ通路)24、パージ通路24に介装される常閉のパージバルブ25などからなる。燃料タンク21内で燃料が蒸発すると燃料タンク21の圧力が高くなる。このとき、チェックバルブ26が開かれ、燃料タンク21内で蒸発した燃料が、通路23を介して、空気と共にキャニスタ22へと導かれキャニスタ22内の活性炭22aに吸着されると共に、空気はキャニスタ22の新気導入口22bより大気へと逃される。一方、後述するように低負荷運転状態でエンジンコントローラ11からの信号によりパージコントロールバルブ25が開かれる。低負荷運転状態ではスロットル弁5b下流の吸気管圧力が大気圧より小さくなり、この大気圧との圧力差により活性炭22aに吸着されている蒸発燃料が活性炭22aより脱離し、新気導入口22bからの新気と共にパージガスとしてスロットル弁5b下流の吸気通路4に導かれる。吸気通路4に導入されたパージガスは燃料噴射弁6からの噴射燃料と共に燃焼室3へと吸入され燃焼される。
【0018】
排気通路4は、エンジン出口に接続されて全気筒の排気を集合させる排気マニフォルド4a、排気マニフォルド4aに接続され車両の床下を経て車体後部へと排気を運ぶパイプ状の排気管4b、排気管4bの末端に接続されるマフラー4cなどからなり、このうち排気マニフォルド4a近傍位置と車両床下位置とにそれぞれ三元触媒(Pd、Pt、Rhからなる触媒)7、8を備える。これら2つの三元触媒7、8を区別するため排気マニフォルド4a近傍位置に設けられる三元触媒7をマニフォルド触媒、車両床下位置に設けられる三元触媒8を床下触媒という。
【0019】
マニフォルド触媒7(第1触媒)はエンジン排気出口に近いことからエンジン始動後早期に活性化し、活性状態では排気中に過剰な酸素が存在するとき排気中の酸素を保持し、排気中に過剰な還元剤(HC、CO)が存在するとき保持していた酸素でこの排気中の還元剤を酸化する機能(酸素ストレージ機能)を有する。これに対して、床下触媒8(第2触媒)のほうは、流入する排気の空燃比が理論空燃比の近傍にあるとき排気中のHC、COの酸化とNOxの還元とを同時に効率よく行う機能を有する。すなわち、三元触媒は排気中の空燃比が理論空燃比を中心として所定の狭い範囲(ウィンドウ)で振れるとき、3つの有害排気成分(HC、CO、NOx)を同時に効率よく浄化できるので、エンジンコントローラ11では、マニフォルド触媒7の上流側に設けたフロントO2センサ16(第1空燃比センサ)の出力に基づいて、空燃比のフィードバック制御を行う。
【0020】
空燃比のフィードバック制御方法として、空燃比フィードバック補正係数αを導入しているもので説明すると、空燃比フィードバック補正係数αは1.0を中心とする値で、この空燃比フィードバック補正係数αは上記の基本噴射パルス幅TPに乗算される。このため、空燃比フィードバック補正係数αが1.0より大きいと燃料が増量されて排気の空燃比がリッチ側に向かい、この逆に、空燃比フィードバック補正係数αが1.0より小さいと燃料が減量されて排気の空燃比がリーン側に向かう。フロントO2センサ出力FrO2とスライスレベルSLFとの比較により、フロントO2センサ16の出力FrO2がスライスレベルSLFより大きいときには排気の空燃比がリッチ状態にあると、フロントO2センサ16の出力FrO2がスライスレベルSLFより小さいときには排気の空燃比がリーン状態にあると判断されることから、フロントO2センサ出力FrO2のリッチからリーンへの反転時にはステップ分PLだけ応答良く空燃比フィードバック補正係数αを大きくして排気の空燃比をリッチ側へと戻し、この逆にフロントO2センサ出力FrO2のリーンからリッチへの反転時にはステップ分PRだけ応答よく空燃比フィードバック補正係数αを小さくして排気の空燃比をリーン側へと戻す。また、フロントO2センサ出力FrO2がリーン状態を継続するあいだは積分分ILずつ空燃比フィードバック補正係数αを徐々に大きくして排気の空燃比をゆっくりとリッチ側に戻し、この逆にフロントO2センサ出力FrO2がリッチ状態を継続するあいだは積分分IRずつ空燃比フィードバック補正係数αを徐々に小さくして排気の空燃比をゆっくりとリーン側に戻す。
【0021】
ここで、「リッチ」とは理論空燃比よりもリッチこと、「リーン」とは理論空燃比よりもリーンのことである。
【0022】
こうした空燃比のフィードバック制御により、フロントO2センサ出力FrO2は図2最上段に示したように理論空燃比を中心にして一定の周期で振れるのに対して、マニフォルド触媒7の下流側に設けているリアO2センサ17(第2空燃比センサ)の出力RrO2は図2第2段目に示したようにフロントO2センサ出力FrO2の周期よりも長い周期でゆっくりと振れる。このように、リアO2センサ17の出力RrO2のほうがフロントO2センサ出力FrO2の周期よりも長い周期で振れるのは、マニフォルド触媒7の有する酸素ストレージ機能のためである。
【0023】
なお、フロントO2センサ出力FrO2、リアO2センサ出力RrO2の波形は、実際には正弦波に近いのであるが、図2最上段、第2段目には正弦波に近似させた波形で示している。
【0024】
ところが、マニフォルド触媒7が劣化すると、このマニフォルド触媒7の有する酸素ストレージ機能が働かなくなり、リアO2センサ出力RrO2がフロントO2センサ出力FrO2と同じように短い周期で振れるようになる。つまり、リアO2センサ出力RrO2の周期が、フロントO2センサ出力FrO2の周期へと近づいていくので、フロントO2センサ出力FrO2とリアO2センサ出力RrO2との周期比(あるいはその逆数である振動数比)をみれば、マニフォルド触媒7が劣化しているか否かの診断を行うことができる。そこで、エンジンコントローラ11では、フロントO2センサ16の出力FrO2とリアO2センサ17の出力RrO2とに基づいて、マニフォルド触媒7に劣化が生じているか否かの診断を行っている。
【0025】
さて、リアO2センサ17は、フロントO2センサ16より排気通路4の下流側にあって高温の排気による熱負荷を受けにくい分だけ排気の空燃比の検出精度がよい。つまり、リアO2センサ出力RrO2がリーン状態を示していることは、マニフォルド触媒7下流側の排気の雰囲気中にHCが存在しない状態となっていることを意味する。
【0026】
ここで、リアO2センサ出力RrO2がリーン状態を示すことになる原因としては、次のことが考えられる。
【0027】
〈1〉近年の排気規制の強化によりマニフォルド触媒7の排気性能が高められ、冷間始 動時を除いてこのマニフォルド触媒7によりHCが殆どCO2、H2Oへと転換され る場合
〈2〉フロントO2センサ16にリッチ側へのずれが生じている場合
ここでは上記〈2〉の場合について説明しておくと、フロントO2センサ出力FrO2にリッチ側へのずれがなければ、フロントO2センサ出力FrO2がリッチ側の値を示すために空燃比フィードバック制御により空燃比をリーン側に戻そうとしたとき、平均の空燃比は理論空燃比になるはずである。しかしながら、製作誤差や経時劣化に起因してフロントO2センサ出力FrO2が実際値よりもリッチ側にずれていると、空燃比フィードバック制御により空燃比をリーン側に戻そうとしたとき、フロントO2センサ出力FrO2が実際値よりリッチ側にずれている分だけ排気の平均の空燃比が理論空燃比よりもリーン側にずれ、排気の雰囲気中にHCが存在しなくなる。
【0028】
このように、上記〈1〉、〈2〉の原因によりマニフォルド触媒7がリーン雰囲気の状態に置かれて、マニフォルド触媒7の雰囲気にHCが存在しないことになると、マニフォルド触媒7により還元浄化されなかったNOxがマニフォルド触媒7の下流側に排出されてくる。この場合に、マニフォルド触媒7の下流側にはもう一つの三元触媒である床下触媒8が存在する。従って、リアO2センサ出力RrO2がリーン状態を示しているときに、マニフォルド触媒7の下流側でかつ床下触媒8の上流側の排気通路4に還元剤(HC)を新たに供給してやれば、マニフォルド触媒7により還元浄化されなかったNOxを、この新たに供給した還元剤を用いて床下触媒8により還元浄化できることとなる。
【0029】
そこで本発明では、リアO2センサ出力RrO2がリーン状態を示している場合に、マニフォルド触媒7の下流側でかつ床下触媒8の上流側の排気通路4にパージガス中の蒸発燃料を還元剤として供給することで、上記〈1〉、〈2〉の原因によりリアO2センサ出力RrO2がリーン状態を示し、マニフォルド触媒7下流側に還元浄化されないNOxが排出されることがあっても、テールパイプでのNOx浄化率の低下を防止する。
【0030】
ただし、床下触媒8へのパージガス(HC)の供給を続けることで、床下触媒8下流側の排気の空燃比がリッチ状態になってしまったのでは、床下触媒8へのHCの供給過多となるので、床下触媒8下流側の排気の空燃比がリッチ状態となったときには、床下触媒8へのパージガスの供給を停止する。
【0031】
こうした床下触媒8へのパージガスの供給を行わせるための構成を図1で説明すると、パージバルブ25の上流側のパージ通路24より分岐し、マニフォルド触媒7の下流側でかつ床下触媒8の上流側の排気通路4に連通する通路(バイパス通路)31が設けられ、このバイパス通路31に電動の圧送ポンプ32と常閉のパージバルブ33とが介装される。ここで、圧送ポンプ32はパージガスを床下触媒8へと圧送するためのものである。上記のパージバルブ25と区別するため、以下、パージバルブ25のほうを第1パージバルブ、新たに追加したパージバルブ33のほうを第2パージバルブという。床下触媒8の下流側には、第3のO2センサ18(第3空燃比センサ)が設けられる。
【0032】
また、こうした構成を用いたパージガスの供給・停止の制御内容を図2を参照して説明すると、図2最上段、第2段目は空燃比フィードバック制御中のフロント、リアの各O2センサ出力FrO2、RrO2の変化を示している。図2において、リアO2センサ出力RrO2がリッチよりリーンへと反転するt1のタイミングで第2パージバルブ33を開く(図2第3段目参照)と共に圧送ポンプ32を駆動し、パージガスを床下触媒8へと供給する。パージガスの床下触媒8への供給を続けている場合に、第3のO2センサ18の出力3rdO2がリーンよりリッチへと反転するt2のタイミングで第2パージバルブ33を閉じる(図2第3段目参照)と共に圧送ポンプ32の駆動をやめパージガスの床下触媒8への供給を停止する。これにより、床下触媒8への過度のHCの供給を防止する。
【0033】
図2には短い期間しか示していないが、このあともリアO2センサ出力RrO2がリーンよりリッチへと反転した後に、再びリアO2センサ出力RrO2がリッチよりリーンへと反転するタイミングで第2パージバルブ33を開くと共に圧送ポンプ32を駆動し、パージガスの床下触媒8への供給を続けている場合に第3のO2センサ出力3rdO2がリーンよりリッチへと反転するタイミングで第2パージバルブ33を閉じると共に圧送ポンプ32の駆動をやめる操作を繰り返す。
【0034】
ただし、ここでは、燃料タンク21より蒸発燃料がキャニスタ22に吸着され続けキャニスタ22に吸着されている蒸発燃料が無くなることがないことを前提としている。
【0035】
エンジンコントローラ11で実行されるこの制御内容を図3のフローチャートに基づいて詳述する。
【0036】
図3は第1、第2の2つのパージバルブ25、33を主に制御するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
【0037】
ステップ1、2、3、4ではフロントO2センサ16、リアO2センサ17、第3のO2センサ18が活性状態にあるか否か、また空燃比のフィードバック制御中であるか否かをみる。始動直後など3つのO2センサ16、17、18が総て活性状態にないときや3つのO2センサ16、17、18が総て活性状態になっていても空燃比のフィードバック制御中でないときにはステップ5に進み第1パージバルブ25、第2パージバルブ33を共に閉状態とすると共に圧送ポンプ32を非駆動状態とする。
【0038】
ここで、O2センサ16〜18が活性状態にあるか否かの判定方法は周知であるのでその説明は省略する。また、始動時、低水温時など一定の条件を満たすときが空燃比フィードバック制御停止条件(クランプ条件)として予め定められており、これらクランプ条件を満たさないときに空燃比フィードバック制御が開始されることも周知である。
【0039】
3つのO2センサ16、17、18が総て活性状態になっておりかつ空燃比のフィードバック制御中であれば、ステップ1、2、3、4よりステップ6に進み低負荷状態であるか否かをみる。低負荷状態であるか否かの判定方法としては、例えば上記の基本噴射パルス幅TPがエンジン負荷相当の値であるので、基本噴射パルス幅TPと、予め定めている所定値とを比較させ、基本噴射パルス幅TPがこの所定値以下であれば低負荷状態であると判定させればよい。
【0040】
スロットル弁5b下流の吸気管圧力が大気圧より低くなっている低負荷状態では、この低くなっている吸気管圧力を用いてキャニスタ22内の活性炭22aに吸着されている蒸発燃料を活性炭22aから脱離させ、この脱離した蒸発燃料の混じった空気(パージガス)を、パージ通路24を介してスロットル弁5b下流の吸気通路2に導入し、このパージガスを燃料噴射弁6からの噴射燃料と共に燃焼室3に導入し燃焼させることが可能になる。このため、低負荷状態ではステップ7に進んで第1パージバルブ25を開く。
【0041】
一方、ステップ6で低負荷状態にない(つまり高負荷状態にある)ときにはステップ8へと進み第1パージバルブ25を閉じる。高負荷状態で第1パージバルブ25を閉じるのは、高負荷状態ではスロットル弁5b下流の吸気管圧力が大気圧に近く、従ってパージガスをスロットル弁5b下流の吸気通路2に吸い込ませることができないためである。
【0042】
続くステップ9、10ではリアO2センサ出力RrO2とスライスレベルSLRを、また第3のO2センサ出力3rdO2とスライスレベルSL3をそれぞれ比較する。スライスレベルSLR、SL3は排気の空燃比がリッチ側にあるかリーン側にあるかの判定を行わせるための値である。リアO2センサ出力RrO2がスライスレベルSLRより大きいときマニフォルド触媒7下流側の排気の空燃比がリッチ側にあることを、また、リアO2センサ出力RrO2がスライスレベルSLRより小さいときマニフォルド触媒7下流側の排気の空燃比がリーン側にあることを表す。同様にして、第3のO2センサ出力3rdO2がスライスレベルSL3より大きいとき床下触媒8下流側の排気の空燃比がリッチ側にあることを、また、第3のO2センサ出力3rdO2がスライスレベルSL3より小さいとき床下触媒8下流側の排気の空燃比がリーン側にあることを表す。
【0043】
リアO2センサ出力RrO2がスライスレベルSLRより小さく(マニフォルド触媒7下流側の排気中の空燃比がリーン状態にある)、かつ第3のO2センサ出力3rdO2がスライスレベルSL3より小さい(床下触媒8下流側の排気中の空燃比がリーン状態にある)ときにはステップ11に進んで第2パージバルブ33を開き圧送ポンプ32を駆動する。
【0044】
この圧送ポンプ32の駆動により、低負荷状態で第1パージバルブ25が開かれており、それまでパージガスがスロットル弁5b下流の吸気通路2へと導入されている場合には、そのパージガスの一部が、バイパス通路31を介して床下触媒8の上流側に導入される。あるいは、高負荷状態で第1パージバルブが閉じられており、それまでスロットル弁5b下流の吸気通路2にパージガスが導入されていない場合には、パージガスの総てがバイパス通路31を介して床下触媒8の上流側に導入される。
【0045】
このようにして、バイパス通路31を介して床下触媒8にパージガスが供給されると、床下触媒8ではこのパージガス中の蒸発燃料を還元剤として用いて、マニフォルド触媒7により還元浄化されずに排出されてくるNOxが還元浄化される。
【0046】
これに対して、リアO2センサ出力RrO2がスライスレベルSLRより小さく(マニフォルド触媒7下流側の排気中の空燃比がリーン状態にある)、かつ第3のO2センサ出力3rdO2がスライスレベルSL3より大きい(床下触媒8下流側の排気中の空燃比がリッチ状態にある)ときには床下触媒8へのHC供給が多過ぎると判断し、ステップ9、10よりステップ12に進み第2パージバルブ33を閉じると共に圧送ポンプ32を非駆動状態とし、床下触媒8へのパージガスの導入を中止する。
【0047】
一方、ステップ9でリアO2センサ出力RrO2がスライスレベルSLRより大きい(マニフォルド触媒7下流側の排気中の空燃比がリッチ状態にある)ときには、マニフォルド触媒7により酸化されなかったHC、COが排出されてくるが、これに対してパージガスを供給しても、床下触媒8においてHC、COを酸化させることはできないので、ステップ12に進み第2パージバルブ33を閉じると共に圧送ポンプ32を非駆動状態とする。
【0048】
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
【0049】
本実施形態(請求項1に記載の発明)によれば、空燃比フィードバック制御中にリアO2センサ17(第2空燃比センサ)の出力がリーン状態にある場合に、第2パージバルブ33を開くと共に圧送ポンプ32を駆動し(図3のステップ9、11)、キャニスタ22(蒸発燃料処理装置)に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として床下触媒8(第2触媒)に供給するので、マニフォルド触媒7により還元浄化されずに排出されてくるNOxを床下触媒8において還元浄化できることとなり、テールパイプ出口でのNOx排出量の低減に寄与できる。
【0050】
特許文献1の技術はディーゼルエンジンの排気通路に設けたNOx触媒のNOxを脱離還元する技術であり、排気温度に基づいてNOx触媒にHCを供給するか否かを判定しているので、特許文献1の技術をそのまま適用できない。すなわち、排気温度に基づいては、マニフォルド触媒7下流側の排気の雰囲気がリーン状態であるか否かを判定できないのであるが、本実施形態(請求項1に記載の発明)では、リアO2センサ17(第2空燃比センサ)の出力をモニタしているので、マニフォルド触媒7下流側の排気の雰囲気がリーン状態にあるか否かを判定することができる。
【0051】
本実施形態(請求項2に記載の発明)によれば、床下触媒8(第2触媒)の下流側に第3のO2センサ18(第3空燃比センサ)を備え、キャニスタ22(蒸発燃料処理装置)に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として床下触媒8(第2触媒)に供給している状態で、この第3のO2センサ18の出力がリッチ状態になったとき、第2パージバルブ33を閉じると共に圧送ポンプ32の駆動を中止し(図3のステップ10、12)、蒸発燃料の床下触媒8への供給を中止するので、床下触媒8への還元剤の供給過多によるテールパイプ出口でのHC排出量の増加を防ぐことができる。
【0052】
特許文献1の技術では、排気温度に基づいては、床下触媒8下流側の排気の雰囲気がリッチ状態になったか否かを判定できないのであるが、本実施形態(請求項2に記載の発明)では、第3のO2センサ18の出力をモニタしているので、床下触媒8下流側の排気の雰囲気がリッチ状態になったか否かを判定することができる。
【0053】
実施形態では、空燃比を検出する3つのセンサ16、17、18がO2センサである場合で説明したが、これに限られるものでなく、広域空燃比センサでもかまわない。
【0054】
実施形態では床下触媒が三元触媒である場合で説明したが、これに限られるものでなく、NOxトラップ触媒や、三元触媒にNOxトラップ触媒の機能を有させるようにしたものに対しても本発明を適用できる。ここで、NOxトラップ触媒は、排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOxをトラップし、排気中の空燃比が理論空燃比やリッチ空燃比になったときにNOxトラップ触媒にトラップしているNOxを脱離すると共に、その脱離したNOxを排気中のHC、COを還元剤として用いて還元浄化するものである。
【0055】
実施形態では、エンジンの排気浄化方法を説明したが、エンジンの排気浄化装置としては、蒸発燃料処理装置を有し、排気通路の上流側より三元触媒である第1触媒と、三元触媒またはNOxとラップ触媒である第2触媒とを直列配置し、前記第1触媒の上流側に第1空燃比センサを、前記第1触媒と第2触媒との間に第2空燃比センサを備えると共に、前記第1空燃比センサの出力に基づいて空燃比のフィードバック制御を行う空燃比フィードバック制御手段と、この空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサの出力がリーン状態にある場合に、前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第2触媒に供給する還元剤供給手段とを備えるエンジンの排気浄化装置が考えられる(請求項3に記載の発明)。また、前記第2触媒の下流側に第3空燃比センサを備え、前記蒸発燃料処理装置に蓄えられている蒸発燃料を還元剤として前記第1触媒と前記第2触媒の間の排気通路に導入している状態でこの第3空燃比センサの出力がリッチ状態になったとき、この蒸発燃料の第1触媒と第2触媒の間の排気通路への導入を中止するエンジンの排気浄化装置が考えられる(請求項4に記載の発明)。
【0056】
さらに、前記蒸発燃料処理装置が、燃料タンクで蒸発した燃料を導いて蓄えるキャニスタと、このキャニスタとスロットル弁下流の吸気通路とを連通するパージ通路と、このパージ通路に介装される常閉の第1パージバルブと、低負荷状態でこの第1パージバルブを開く開弁手段とを備える場合に、前記還元剤供給手段が、前記パージ通路から分岐し、前記第1触媒と前記第2触媒の間の排気通路に連通するバイパス通路と、このバイパス通路に介装される第2パージバルブと、同じくこのバイパス通路に介装される圧送ポンプと、空燃比フィードバック制御中に前記第2空燃比センサ出力がリーン状態にある場合に、前記第2パージバルブを開くと共に前記圧送ポンプを作動させる手段とを備えるエンジンの排気浄化装置が考えられる(請求項5に記載の発明)。この請求項5に記載の発明によれば、パージガスを床下触媒8の上流側にも導入できることからパージガスの処理能力が従来装置より向上する。
【0057】
請求項1に記載の空燃比フィードバック制御処理手順の機能はエンジンコントローラ11により、還元剤供給処理手順の機能は図3のステップ9、11により果たされている。
【0058】
請求項3に記載の空燃比フィードバック制御手段の機能はエンジンコントローラ11、燃料噴射弁6により、還元剤供給手段の機能は図3のステップ9、11により果たされている。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態のエンジンの排気浄化装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態の作用を説明するための波形図。
【図3】パージバルブの制御を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0060】
1 エンジン本体
7 マニフォルド触媒(第1触媒)
8 床下触媒(第2触媒)
11 エンジンコントローラ
16 フロントO2センサ(第1空燃比センサ)
17 リアO2センサ(第2空燃比センサ)
18 第3のO2センサ(第3空燃比センサ)
22 キャニスタ(蒸発燃料処理装置)
25 第1パージバルブ
32 圧送ポンプ
33 第2パージバルブ




 

 


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