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高速摺動機構及びその製造方法 - 日産自動車株式会社
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発明の名称 高速摺動機構及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10051(P2007−10051A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191942(P2005−191942)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
発明者 山口 拓郎 / 堀 年雄
要約 課題
スティックスリップが生じにくく、摩擦係数を一層低減できる高速摺動機構及びその製造方法を提供すること。

解決手段
Ra0.005〜0.1μmである金属部材表面に、水素を10原子%以下含有するDLCが被覆された高速摺動部材Aと、Ra0.2μm以下且つRsk0〜4μmである高速摺動部材Bとが摺動して成る高速摺動機構である。高速摺動部材AのDLC表面の硬度が70〜90GPaである。
特許請求の範囲
【請求項1】
高速摺動部材A,Bが互いに摺動して成る高速摺動機構であって、
高速摺動部材Aは、表面粗さがRa0.005〜0.1μmである金属部材表面に、水素を10原子%以下の割合で含有するダイヤモンドライクカーボンが被覆されて成り、
高速摺動部材Bは、表面粗さがRa0.2μm以下且つRsk0〜4μmであることを特徴とする高速摺動機構。
【請求項2】
高速摺動部材Aにおいて、ダイヤモンドライクカーボン表面の硬度が70〜90GPaであることを特徴とする請求項1に記載の高速摺動機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高速摺動機構を製造するに当たり、
高速摺動部材Aに、水素含有量が10原子%以下であるダイヤモンドライクカーボンをイオンプレーティング法により被覆し、その後エアロラップ処理を行うことを特徴とする高速摺動機構の製造方法。
【請求項4】
高速摺動部材Bの表面粗さをRa0.3〜0.5とした後、バレル研磨又はラッピング研磨にて表面粗さをRa0.2μm以下に仕上げることを特徴とする高速摺動機構の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速摺動機構及びその製造方法に係り、更に詳細には、内燃機関や駆動系伝達機関などにおける種々の摺動面の摩擦特性を向上させることができ、特に自動車の燃費性能を向上させ得る高速摺動機構及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題への対応から、今後の自動車はモーター駆動車が増大していく見込みである。
モーター駆動車に用いられる減速機用歯車は数万rpmに及ぶモーターの回転をコンパクトなサイズで減速する必要があるため、摺動面の温度上昇に伴なう焼きつきや摩耗などの表面損傷が懸念される。
【0003】
こうした表面損傷の防止策として、近年、ダイヤモンドライクカーボン(以下「DLC」という)膜の被覆が利用されてきている。
DLCは、ダイヤモンドやグラファイトの結合が混在しており、巨視的には非晶質とみなされる構造を有している。
そのため、ダイヤモンドとグラファイトの中間的な性質を有し、硬度や固体潤滑性に優れていることから、歯車やベルト式CVTなどにおいてもフリクションロス低減や摺動発熱低減による焼きつきや摩耗防止に役立つと期待できる。
【0004】
ここで、被DLC膜部品や相手部品の面粗度を向上することは、製膜時の基材とDLC膜の密着性を得る上で重要であり、また使用時にも金属接触による摺動面の損傷やフリクション増大を防ぐことができる。
【0005】
例えば、相手面の粗さを規定し、膜の耐剥離性を向上させることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−294118号公報
【0006】
また、潤滑下においては、摩耗による表面粗さの悪化を抑制できるため、潤滑状態を初期の状態のまま長期間に亘り維持できるとされる。
【0007】
更に、相手部品の研摩作用については、イオンプレーティング法によるDLCの製膜時に不可避に形成される、ドロップレットとよばれる製膜用ターゲット材料の粒状化物が大きく影響することが知られている。
ドロップレットは多すぎたり大きすぎると相手部品の摺動面への攻撃性が高くなったり、DLC膜中に押し込まれてDLC膜の剥離原因となる恐れがあるが、高さや量を規定を適度に規定することで摺動相手表面の粗さが向上し、一層のフリクション低減が可能である。
【0008】
例えば、アーク式イオンプレーティング法により成膜した膜に関して、表面に残存するマクロパーティクル(ドロップレット)の高さと量を規定することや、膜の硬さと膜厚さに応じてドロップレットの高さを規定し、膜の耐剥離性を向上することが提案されている(特許文献2,3参照)。
【特許文献2】特開平7−118832号公報
【特許文献3】特開2002−309912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
潤滑油中では摺動面間にナノメートルのオーダーの油膜が形成され、油膜は摺動速度が速くなるほど厚くなる。
そのため、摺動面の粗さに対して摺動速度が速くなるほど摺動表面の粗さによる突起の接触が生じにくくなり、接触が少なくなる混合潤滑、又は接触がほとんどない流体潤滑といわれる状態となる。
【0010】
従来は、表面粗さによる突起が油膜厚さに対して十分に大きいことが多かったので、油膜を厚く、また突起を少なくする方策のみが考えられ、上記特許文献のいずれも面粗さの上限を規定するものである。
【0011】
しかし、高速で摺動させて使用する部品において、製膜時の密着性を得る目的でDLCを製膜する面の粗さを向上し、更に相手面の粗さがDLC又はドロップレットにて研摩されると、両摺動面を合成した粗さが油膜厚さ程度まで低下する場合がある。
【0012】
このとき、部品の剛性が低いなどの理由で摺動面間の接触の状態が変動すると、接触面がスティック(固着)とスリップ(滑り)を繰り返す、スティックスリップが生じると、面が荒れてフリクションはかえって悪化し、場合によっては焼き付きに至ることとなる。
【0013】
スティックスリップを防止する方策のひとつに表面粗さを悪くすることが考えられるが、単に表面粗さを粗くするのでは摺動面のフリクションを下げることができず、またDLCによる使用中の摺動面の粗さ変化をも考慮しておく必要がある。
【0014】
しかしながら、こうした摺動後の面性状の変化を考慮してDLCを製膜する基材及びDLCの表面性状を最適化しようとする例はなかった。
【0015】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スティックスリップが生じにくく、摩擦係数を一層低減できる高速摺動機構及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、表面粗さを規定した金属部材表面に、水素を含有するDLCを被覆した高速摺動部材Aと、表面粗さを規定した高速摺動部材Bと、を摺動させることにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、本発明の高速摺動機構は、高速摺動部材A,Bが互いに摺動して成る高速摺動機構であって、
高速摺動部材Aは、表面粗さがRa0.005〜0.1μmである金属部材表面に、水素を10原子%以下の割合で含有するダイヤモンドライクカーボンが被覆されて成り、
高速摺動部材Bは、表面粗さがRa0.2μm以下且つRsk0〜4μmであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の高速摺動機構の好適形態は、高速摺動部材Aにおいて、ダイヤモンドライクカーボン表面のナノインデンター硬度が70〜90GPaであることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明の高速摺動機構の製造方法は、上記高速摺動機構を製造するに当たり、
高速摺動部材Aに、水素含有量が10原子%以下であるダイヤモンドライクカーボンをイオンプレーティング法により被覆し、その後エアロラップ処理を行うことを特徴とする。
【0020】
更にまた、本発明の高速摺動機構の製造方法の好適形態は、高速摺動部材Bの表面粗さをRa0.3〜0.5とした後、バレル研磨又はラッピング研磨にて表面粗さをRa0.2μm以下に仕上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表面粗さを規定した金属部材表面に、水素を含有するDLCを被覆した高速摺動部材Aと、表面粗さを規定した高速摺動部材Bと、を摺動させることにより、スティックスリップが生じにくく、摩擦係数を一層低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の高速摺動機構について詳細に説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「%」は特記しない限り質量百分率を示す。
【0023】
上述の如く、本発明の高速摺動機構は、以下の高速摺動部材A,Bが互いに摺動して成る。
即ち、高速摺動部材Aは、表面粗さがRa0.005〜0.1μmである金属部材表面に、水素を10原子%以下の割合で含有するダイヤモンドライクカーボン(DLC)が被覆されて成る。
また、高速摺動部材Bは、表面粗さがRa0.2μm以下且つRsk0〜4μmである。
【0024】
このような構成により、高速摺動部材Aに被覆するDLCは、製膜時に十分な密着性を確保できる。なお、表面粗さをRa0.005μm未満としても、特に密着性やフリクション性能は大きく向上しないので不経済である。
また、DLC製膜時の水素量を10原子%以下に低減することでフリクション性能に優れ、摺動発熱に対しても劣化しにくい膜が得られる。
【0025】
また、高速摺動部材BのRskが0以上であれば、高さ方向の形状は摺動側に鋭い凸形状を有し、スティックスリップを生じにくくなる。あまり凸形状が鋭いと摺動相手面を荒らすのでRskは4以下がよい。
更に、Raが粗すぎるとフリクションが大きくなり、摺動相手のDLCが剥離しやすくなるのでRa0.2μm以下がよい。
【0026】
また、高速摺動部材Aにおいて、DLC表面の硬度は、70〜90GPaであることが好ましい。薄膜であるDLCの硬度測定には、極低荷重の硬度測定が可能なナノインデンターを用いる。
これにより、潤滑油中でも優れた低フリクションを示し、摩耗による面荒れが生じにくくなる。
【0027】
次に、本発明の高速摺動機構の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、上述の高速摺動機構を製造するに当たり、高速摺動部材Aには、水素含有量が10原子%以下であるダイヤモンドライクカーボンをイオンプレーティング法により被覆し、その後エアロラップ処理を行う。
このときは、イオンプレーティング法特有のドロップレットの大きさを制御することで、潤滑油中でも特に優れた低フリクションを示す。
【0028】
また、高速摺動部材Bの表面粗さをRa0.3〜0.5とした後、バレル研磨又はラッピング研磨にて表面粗さをRa0.2μm以下に仕上げる。
このように、粗い面として凸部を形成した後に研摩仕上げすることで、凸部が残存するのでスティックスリップを防止でき、且つ凸部の表面(頂点)が滑らかにされるので摺動相手のDLC表面を攻撃せず、早期になじみが得られる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0030】
(実施例1〜4、比較例1〜7)
<製膜装置>
神戸製鋼所製のアークイオンプレーティング(以下「AIP」という)/アンバランスドマグネトロンスパッタリング(以下「UBMS」をいう)複合製膜装置を使用した。
【0031】
図1に、上記装置の製膜用チャンバーの概略を示す。
真空チャンバー1は、ディフュージョンポンプによって真空とし、適宜アルゴンやメタンなどのガスを導入できる。
蒸発源2は、複数設けられ、製膜方式をAIP又はUBMSとしたり、ターゲット材料をグラファイトや金属に変更できる。蒸発源2は、電源7が接続されている。
被処理部品ホルダー5には被処理部品がセットされ、回転テーブル3,4の回転によって、それぞれのターゲット前にて製膜される。また、被処理部品ホルダー5には、バイアス電源6により被処理部品にバイアス電圧を与えられる。
【0032】
<処理条件>
DLC製膜部品は、SUJ2製のφ5×5mmのピンとした。調質にて硬度Hv700としたピンを研磨して所定の表面粗さとし、アルカリ洗浄の後、真空度10−4〜10−5Pa、雰囲気ガスAr0.6Paにてイオンクリーニングの後、AIP又はUBMSにて厚さ1μmのDLC膜を製膜した。
【0033】
本発明の実施例ではいずれも炭化水素系のガスは導入しなかったが、比較例5ではメタンガスを導入してその影響を調べた。
また、いずれの製膜品も製膜後にエアロラップを行うことで大きなドロップレットは全て除去した。
【0034】
製膜後のDLC層の表面硬度はDigital Instrument製の超軽荷重薄膜硬度テスタにて求めた。
摺動相手はφ30×2.5mmの円盤とし、JIS SCM415H材から旋削加工後、浸炭焼き入れ・焼き戻し処理を行い、表面硬度を720Hvとした。その後、研削加工及び研摩により所定の表面粗さを得た。
【0035】
<試験>
図2に示すように、3ピンオンディスク式の摩擦試験にてフリクションを測定した。
具体的には、DLCを製膜したφ30×2.5mmのディスク8を回転方向10に回転させ、摺動相手であるφ5×5mmのピン9を押し付けたときのフリクションを測定した。
試験後にDLCの剥離有無を調べるために摺動面を観察した。
試験油は日産純正オートマチック油Matic−Dとし、供給油温80℃中に浸漬して試験を行った。荷重は490N一定とし、回転数は0.1m/sから増速し、1m/sでのフリクションを測定し、DLC膜なしに対する低下率で整理した。
【0036】
実施例1〜4、比較例1〜7における製膜条件及び試験結果を表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】


【0038】
本発明の実施例1〜4では、試験後もスティックスリップによるDLC膜の剥離や焼き付きが生ぜず、DLC膜のない比較例1に比べてフリクションが大幅に低下した。
比較例2では、ピンの基材粗さが悪く、またDLCの硬度も不足していたために、スティックスリップは生じなかったが膜が剥離し、フリクションも低下しなかった。
比較例3では、UBMSで製膜したためにDLCの硬度が不足しており、フリクションが十分にさがらなかった。
比較例4では、ディスクの粗さが悪かったので相手膜が剥離し、フリクションが下がらなかった。
比較例5及び6では、Rskが0以下であったためにスティックスリップが生じて焼き付いた。
比較例7では、ディスクの表面粗さが悪すぎてピンのDLC膜が剥離してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】製膜用チャンバーを示す概略図である。
【図2】3ピンオンディスク式の摩擦試験機を示す概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 真空チャンバー
2 蒸発源
3 回転テーブル(主)
4 回転テーブル(副)
5 被処理部品ホルダー
6 バイアス電源
7 蒸発源電源
8 ディスク
9 ピン
10 ディスク回転方向




 

 


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