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発明の名称 高温流体用ファンの回転軸構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10018(P2007−10018A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190830(P2005−190830)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
発明者 中島 靖志 / 櫛引 圭子 / 井深 重夫
要約 課題
高温流体用ファンの回転軸構造において、回転軸の熱伝導を大きく抑制し得ると共に、装置構造の小型化を実現する。

解決手段
回転軸Aが、ファンF1を構成する高温側軸部1と、滑り軸受Bに対応する部分の少なくとも一部を形成し且つ多孔質体を有する中間軸部2と、駆動装置M側に連結する低温側軸部3を備え、低温側軸部に、多孔質体に流体を供給する貫通孔4を形成し、回転軸Aと滑り軸受Bとの間に、排出用間隙5を設け、流体を貫通孔4、多孔質体及び排出用間隙5を通してガス流路102内に供給することにより、中間軸部2の多孔質体で熱交換を行って高温側軸部1と低温側軸部3とを熱的に分離し、且つ多孔質体から噴出する流体によって滑り軸受Bの潤滑性を得る。
特許請求の範囲
【請求項1】
高温環境となる流体の流路内でファンを構成し且つ滑り軸受により保持されるとともに流路外の駆動装置により回転駆動される回転軸の構造であって、
回転軸が、ファンを構成する高温側軸部と、滑り軸受に対応する部分の少なくとも一部を形成し且つ耐熱性材料から成る多孔質体を有する中間軸部と、駆動装置側に連結する低温側軸部を同軸状に備えており、
低温側軸部に、流体を供給する流体供給手段と中間軸部の多孔質体とを連通させる貫通孔を形成すると共に、回転軸と滑り軸受との間に、流路側に開放された排出用間隙を設け、
流体供給手段から供給した流体を低温側軸部の貫通孔、中間軸部の多孔質体及び排出用間隙を通して流路内に供給することを特徴とする高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項2】
流体が、炭化水素系の液化燃料であることを特徴とする請求項1に記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項3】
流体が、酸化ガスであることを特徴とする請求項1に記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項4】
回転軸の高温側軸部及び低温側軸部の少なくとも一方の一部が、滑り軸受に対応していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項5】
流体供給手段が、回転軸の低温側軸部が貫通する流体供給室を備えており、低温側軸部の貫通孔が、流体供給室から中間軸部の多孔質体に連通していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項6】
流体供給手段が、流体供給源から流体供給室に至る第1供給路と、流体供給源から流体の流路に直接至る第2供給路を備え、流路内の温度に応じて第1及び第2の供給路への流体供給量を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項7】
回転軸の低温側軸部を保持する転がり軸受を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項8】
流体供給手段の流体供給室内において、回転軸の低温側軸部に、同回転軸の回転に伴って流体を貫通孔内に導入する流体供給ポンプを備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の
【請求項9】
回転軸の中間軸部が、外周面の一部を形成する緻密質体を回転対称位置に備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項10】
駆動装置が、回転軸を出力軸とする電気モータであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造。
【請求項11】
固体酸化物型燃料電池の発電要素を積層して収容した電池本体と、電池本体内の各発電要素の燃料極に燃料ガスを供給する一方のガス流路と、電池本体内の各発電要素の酸素極に酸化ガスを供給する他方のガス流路を備え、一方及び他方のガス流路の少なくとも一方に、請求項1〜10のいずれかに記載の高温流体用ファンの回転軸構造を備えたことを特徴とする発電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温環境となる流体の流路内で回転駆動されるファンの回転軸構造に関し、例えば、電気自動車等に搭載する固体酸化物型燃料電池に対して、燃料ガスや酸化ガスの供給用ファンとして用いられる高温流体用ファンの回転軸構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンやターボチャージャーなどのように高温環境となる流体の流路内で回転駆動されるファンでは、当然のことながら、羽根(ブレード)だけでなく回転軸の軸受部分も高温に晒されるため、円滑な回転動作を維持するうえで重要である軸受部分には、様々な熱対策が講じられている。
【0003】
従来において、上記したような高温流体用ファンの回転軸構造としては、軸受部分に大量の潤滑油を高圧で供給することで、軸受の潤滑とともに冷却を行うものがあったが、この場合、潤滑油供給用の大型の補機が必要であって、装置全体が複雑で且つ大型化する結果となっていた。
【0004】
そこで、上記欠点を解消するものとして、回転軸や軸受を耐熱性の高いセラミックス材で構成したり、特許文献1に記載されているように、回転軸と滑り軸受との間に水を供給し、その水を膜沸騰させて潤滑及び冷却を行う方法があった。
【特許文献1】特公平2−20853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、環境保護等に非常に有益な電気自動車が注目されており、このような電気自動車等の移動体に搭載することを目的とした固体酸化物型燃料電池においては、高温流体用ファンを用いたガス循環システムを導入し、このガス循環システムによってシステム温度の均一化とガスの有効利用率の向上を実現して、装置構造の小型化を図ることが要望されている。
【0006】
また、上記のようなガス循環システムに用いる高温流体用ファンは、高温環境となる流体の流路内に配置され、軸受により保持されるとともに流路外のモータによって回転駆動されることになるが、この場合、熱伝導体となるファンの回転軸をモータ系の磁性が消滅しないキュリー温度未満程度まで冷却することが必要となる。
【0007】
そこで、このような高温流体用ファンの回転軸構造には、先述した従来技術の適用が考えられるのであるが、回転軸(モータ回転軸)や軸受にセラミックス材を用いた場合には、回転軸や軸受に耐熱性や断熱性を確保し、高温側の遮熱は可能になるものの、回転軸の冷却作用について見れば、多くの場合は回転子での発熱が回転軸に伝導し、その回転軸からの放熱作用が主体であり、よって、断熱性の高いセラミックス材を用いた回転軸では放熱作用が期待できないために、回転軸やモータの冷却手段が別途必要になり、また、回転軸の表面に水を供給して沸騰潤滑する場合には、回転軸の熱伝導が大きくて短い軸長で充分に冷却することが難しいことから、いずれの場合も装置構造の小型化には適していないものであった。
【0008】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、高温環境となる流体の流路内でファンを構成し且つ滑り軸受により保持されるとともに流路外の駆動装置により回転駆動される回転軸の構造において、回転軸の熱伝導を大きく抑制し得ると共に、装置構造の小型化を実現することができる高温流体用ファンの回転軸構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高温流体用ファンの回転軸構造は、高温環境となる流体の流路内でファンを構成し且つ滑り軸受により保持されるとともに流路外の駆動装置により回転駆動される回転軸の構造であって、回転軸が、ファンを構成する高温側軸部と、滑り軸受に対応する部分の少なくとも一部を形成し且つ耐熱性材料から成る多孔質体を有する中間軸部と、駆動装置側に連結する低温側軸部を同軸状に備えたものとなっている。
【0010】
このとき、中間軸部における多孔質体は、例えばステンレス鋼などの耐熱性材料から成ると共に、液体や気体である流体の流通性を有するものであって、より具体的には、少なくとも低温側軸部との接合面から中間軸部の外周面に至る間に連続した状態で設けてあり、当然のことながら中間軸部の全体を形成するものであっても良い。
【0011】
そして、当該回転軸構造は、低温側軸部に、流体を供給する流体供給手段と中間軸部の多孔質体とを連通させる貫通孔を形成すると共に、回転軸と滑り軸受との間に、流路側に開放された排出用間隙を設け、流体供給手段から供給した流体を低温側軸部の貫通孔、中間軸部の多孔質体及び排出用間隙を通して流路内に供給することを特徴としている。
【0012】
ここで、中間軸部の多孔質体は、その表面積(流体との接触面積)が大きく且つ熱抵抗も大きい。したがって、当該回転軸構造は、多孔質体を通して高温環境である流路に流体を供給することで、多孔質体において熱交換を行うと共に、多孔質体が断熱部となって高温側軸部と低温側軸部を熱的に分離することとなり、さらには、多孔質体から排出用間隙に流体を噴出させることで、回転軸と滑り軸受との間の潤滑性を維持する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の高温流体用ファンの回転軸構造は、上記構成を採用したことにより、回転軸と滑り軸受との間の良好な潤滑性を維持したうえで、回転軸において、ファンを構成する高温側軸部から駆動装置側に連結する低温側軸部への熱伝導を大幅に抑制することができ、これにより回転軸の軸長の短縮化や駆動装置に対する熱対策の簡略化等を可能にして、装置構造の小型化を実現することができる。
【実施例】
【0014】
図8は、本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造の適用例として、例えば電気自動車に搭載される発電装置を説明する図である。
【0015】
図示の発電装置は、固体酸化物型燃料電池の発電要素を積層してケースに収容して成る電池本体101と、電池本体101内の各発電要素の燃料極に燃料ガスを供給する一方のガス流路102Aと、電池本体101内の各発電要素の酸素極に酸化ガスを供給する他方のガス流路103Aを備えている。
【0016】
また、一方及び他方のガス流路102A,103Aは、システム温度の均一化とガスの有効利用率の向上を図るために、夫々の排出路102B,103B、夫々の循環路102C,103C及び図外のガス供給源と共にガス循環システムを構成しており、夫々のガスを電池本体101に送るための供給用ファンとして高温流体用ファンF1,F2を備えている。
【0017】
高温流体用ファンF1,F2は、ガス流路102A,103Aの内外にわたって配置される回転軸Aを備えている。この回転軸Aは、高温環境となる流体のガス流路102A,103A内でファンF1,F2を構成すると共に、流路の壁部の付近に設けた滑り軸受によって中間部が回転自在に保持してあり、流路外に配置した駆動装置(電気モータ)Mにより回転駆動される。
【0018】
本発明の高温流体用ファンの回転軸構造は、上記のような回転軸Aを含む構造に適用することができ、以下に幾つかの実施例を説明する。
【0019】
図1に示す高温流体用ファンの回転軸構造は、例えば図8に示す発電装置において、燃料ガスのガス流路102Aに設けた高温流体用ファンF1に適用されるものである。この場合、流体は、炭化水素系の液化燃料であり、より具体的にはガソリンが用いられる。
【0020】
回転軸構造は、高温環境となるガス流路102A内でファンF1を構成し且つ滑り軸受Bにより保持されるとともに流路外の駆動装置Mにより回転駆動される回転軸Aを備えている。駆動装置Mは、電気モータであって、その出力軸が上記回転軸Aである。
【0021】
回転軸Aは、ガス流路102A内で図示しない羽根とともにファンF1を構成する高温側軸部1と、滑り軸受Bに対応する部分の少なくとも一部を形成する中間軸部2と、ガス流路102A外で駆動装置M側に連結する低温側軸部3を同軸状に備えている。
【0022】
高温側軸部1及び低温側軸部3は、この種の回転軸構造に使用される既知の金属製棒材である。一方、中間軸部2は、耐熱性材料から成る多孔質体で全体が形成してあり、この多孔質体は、流体であるガソリンの流通性を有している。
【0023】
また、低温側軸部3は、中間軸部2との接合面から所定の長さにわたって貫通孔4が形成してある。この貫通孔4は、低温側軸部3の軸線上に形成してあると共に、反中間軸部側において、低温側軸部3の半径方向に屈曲して同軸部2の外周面に開口しており、後記する流体供給手段と中間軸部2の多孔質体とを連通させる。
【0024】
ここで、上記の回転軸Aは、耐熱性及び耐腐食性等を考慮すると、その材料にはステンレス鋼が適しており、例えば、以下の要領で製造することができる。
【0025】
一例として、粒径10μm程度のステンレス鋼の粉末を用意し、この粉末を板状に成形して1000℃程度で焼結することにより、空隙率が40〜50%程度の多孔質板を形成する。また、図7(a)に示すように、ステンレス鋼から成る板状の一方のバルク材203に対し、その端面に所定深さの孔204を所定間隔で形成する。そして、図7(b)に示すように、ステンレス鋼から成る板状の他方のバルク材201と、先に形成した多孔質板202と、孔204を形成したバルク材203を同一平面状に連ね、これらを互いに拡散接合して三層板を得る。
【0026】
その後、孔204が中心となるように三層板をワイヤカット等で切断し、次いで、外周が円柱状を成すように切削加工を行い、さらに、図7(c)に示すように孔204の端部に通じる横穴204aを形成することにより、高温側軸部(201)1、多孔質体から成る中間軸部(202)2、及び貫通孔(204,204a)4を有する低温側軸部3を備えた回転軸Aが得られる。
【0027】
なお、高温側軸部及び低温側軸部となる円柱状の各部材と、中間軸部となる円柱状の多孔質体を予め用意し、これらの接合面を電子ビームやレーザを用いて直接溶接して回転軸を形成することもできるが、この場合には、とくに貫通孔から多孔質体に至る間を潰さないように加工する。
【0028】
上記の回転軸Aは、ガス流路102Aを形成する壁部100に設けた滑り軸受Bにより回転自在に保持される。この実施例の滑り軸受Bは、ガス流路102A内に突出した状態で設けてあって、その内周面を滑り面とし、回転軸Aとの間に、ガス流路102A側に開放された排出用間隙5を形成している。
【0029】
また、滑り軸受Bは、回転軸Aに対して、中間軸部2に対応するだけでなく、図中にオーバーラップ部分Cを示すように、高温側軸部1及び低温側軸部3の一部にも対応する長さを有している。
【0030】
流体供給手段は、滑り軸受Bの流路外側において回転軸Aの低温側軸部3が貫通する流体供給室6と、流体供給室6から図外の流体供給源に至る供給路17などを備えている。なお、当該回転軸構造は、先述の如く、電気モータである駆動装置Mの出力軸が上記の回転軸Aであるから、流体供給路6の外側に駆動装置Mが設けてある。
【0031】
流体供給手段に対して、低温側軸部3の貫通孔4は、流体供給室6内で開口しており、流体供給室6から中間軸部2の多孔質体に至る間を連通状態にしている。なお、回転軸Aと滑り軸受Bとの間の排出用隙間5は、ガス流路102A側だけでなく、流体供給室6側に開放させることも可能である。
【0032】
さらに、低温側軸部3は、流体供給室6内の対向壁に夫々摺接するずれ止め7A,7Bを備えている。このとき、駆動装置M側となるずれ止め7Bは、駆動装置M側にガソリンが漏出するのを阻止する機能を兼ねるもので、流体供給室6の壁面との間にシール材8が介装してある。
【0033】
上記構成を備えた高温流体用ファンF1の回転軸構造は、図8に示すような発電装置において、ファンF1を回転駆動して電池本体101に燃料ガスを供給するに際し、回転軸Aの冷却と潤滑の機能だけでなく、ガス流路102Aに対する燃料ガスの供給装置としても機能することとなる。
【0034】
すなわち、回転軸構造は、駆動装置Mにより回転軸A及びファンF1を回転駆動すると共に、流体供給源から供給路17を通して流体供給室6にガソリンが加圧供給され、このガソリンを低温側軸部3の貫通孔4、中間軸部2の多孔質体及び排出用間隙5を通してガス流路102A内に供給する。また、ガス流路102A内は、電池本地101の発熱に伴って高温環境となる。
【0035】
このとき、回転軸Aに取付けたファンFの羽根は、電池本体101にガソリンを送るだけでなく、ガス流路102A内の熱を取り込んで回転軸Aに伝える。そして、回転軸Aに伝えられた熱は中間軸部2の多孔質体においてガソリンと出会うこととなる。
【0036】
中間軸部2の多孔質体は、その表面積(流体との接触面積)が非常に大きく且つ熱抵抗も大きい。したがって、当該回転軸構造は、中間軸部2の多孔質体を通して高温環境であるガス流路102Aにガソリンを供給することで、多孔質体において熱交換を行うとともにガソリンを気化させる。
【0037】
気化したガソリンは、原液体積に比較して大きく膨張して、多孔質体の周囲すなわち回転軸Aと滑り軸受Bとの間の排出用間隙5へ流れ、この排出用間隙5で気体膜を形成することによってエアベアリングのエアとして機能し、排出用間隙5からガス流路102Aへ放出される。
【0038】
つまり、当該回転軸構造は、回転軸Aの冷却及び潤滑を行うと共に、ガソリンの気化器を兼ねており、入熱を熱交換器を介して蒸発熱として用いるのではなく、直接蒸発熱として用いるので熱交換時の損失が少ないものとなっている。
【0039】
また、ガソリンは、回転軸Aへの入熱量に対して蒸発分以上の量を供給する。この際、全てのガソリンを蒸発させることができなくても、液であるガソリンは気化したガソリンに運ばれてガス流路102Aに供給され、しかも、回転軸Aの回転で周囲に撒き散らされることによって蒸発し易くなる作用もあるので、全く問題は生じない。
【0040】
むしろ、出力を増加させるためにガソリンを増加させる場合には、ファンFの回転も供給量を増加させるために高速となり、これにより回転軸Aへの入熱量も増加するので、自動的にガソリンの蒸発量を増加させることができる。なお、低温時においては、滑り軸受Bにおいて、液であるガソリンを潤滑剤として機能させることができる。
【0041】
一方、回転軸Aの低温側軸部3では、中間軸部2の多孔質体におけるガソリンの気化により、回転軸Aの温度をガソリンの沸点温度に抑制することができる。
【0042】
ガソリンは、混合燃料であるので厳密には規定できないが、主成分はオクタン相当であって、その沸点125℃を中心に沸点範囲は30〜210℃と言われている。中間軸部2の多孔質体に供給されたガソリンは低沸点の成分から順に気化し、高温側軸部1の方向へ流れていくに従って高沸点の成分が気化することとなる。したがって、低温側軸部3の温度は、基本的にオクタンよりも低沸点側の温度に制限することができる。
【0043】
このように、高温流体用ファンの回転軸構造は、回転軸Aにおいて、中間軸部2の多孔質体が断熱部となって高温側軸部1と低温側軸部3を熱的に分離すると共に、多孔質体から排出用間隙5に気化したガソリンを噴出させることで、回転軸Aと滑り軸受Bとの間の潤滑性を維持するものとなっており、高温側軸部1から低温側軸部3への熱伝導を大幅に抑制することができるので、回転軸Aの軸長の短縮化や駆動装置Mに対する熱対策の簡略化等が可能となる。
【0044】
したがって、上記の高温流体用ファンの回転軸構造を発電装置のガス循環システムに適用すれば、システム温度の均一化やガス化交換熱の有効利用率の向上を図りつつ、発電装置の構造の簡略化や小型化を実現することができる。
【0045】
また、当該回転軸構造は、先述したようにガソリンの気化器を兼ねるものであり、一般的な気化器は高い圧力を必要とするスプレー等が主流であるが、これに対して当該回転軸構造では熱蒸発を行うので、ガソリン送給の低圧化も可能であり、省エネルギに貢献し得る。なお、ガソリン送給の圧力を調整することで、回転軸Aと滑り軸受Bとの間の排出用間隙5を用いてガソリンをスプレー化することもでき、低温起動時に利用することが可能である。
【0046】
さらに、当該回転軸構造は、回転軸Aの高温側軸部1及び低温側軸部3の一部が、図中のオーバーラップ部Cで示すように滑り軸受Bに対応しているので、この部分でエアベアリングとしての軸保持力を高めることができる。
【0047】
さらに、当該回転軸構造は、流体供給手段が、回転軸Aの低温側軸部3が貫通する流体供給室6を備えていると共に、低温側軸部3の貫通孔4が、流体供給室6から中間軸部2の多孔質体に連通しているので、比較的簡単な構造で流体(ガソリン)を定量供給することができる。
【0048】
さらに、当該回転軸構造は、駆動装置Mが、回転軸Aを出力軸とする電気モータであることから、回転軸Aにおける多孔質体の熱的分離によって電気モータの冷却手段の簡略化を実現することができ、逆に、電気モータ側からの熱を放熱し得るので、その熱を流体(ガソリン)の気化に利用することができ、エネルギーの無駄がないものとなる。
【0049】
図2は、本発明の高温流体用ファンの回転軸構造の他の実施例を説明する図である。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
図示の回転軸構造は、流体供給手段を構成する流体供給室6のガス流路102A側及び駆動装置M側において、回転軸Aの低温側軸部3を転がり軸受11,12で保持した構成となっている。転がり軸受11,12としては、必要に応じてラジアルベアリングやスラストベアリングが用いられる。
【0051】
つまり、当該回転軸構造は、回転軸Aにおいて、多孔質体を有する中間軸部2によって高温側軸部1と低温側軸部とを熱的に分離することができるので、低温側軸部3には転がり軸受11,12の如き機械的潤滑手段を採用することが可能となり、これにより回転軸Aの安定性をより高めると共に、低温起動時の摩擦を低減することができる。また、耐熱化を図るために高価なセラミックス等の材料を使用せずに、通常の金属ベアリングを用いて、低コストでより高精度に回転軸Aを保持することができる。
【0052】
図3は、本発明の高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する図である。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
図示の回転軸構造は、流体供給手段の流体供給室6内において、回転軸Aの低温側軸部3に、同回転軸Aの回転に伴って流体を貫通孔4内に導入する流体供給ポンプ21を備えたものとなっている。
【0054】
流体供給ポンプ21は、低温側軸部3に対して一体的に設けたフランジ部22を備えると共に、このフランジ部22に、低温側軸部3の軸線上の貫通孔4に連通する4本の横穴4Aが周方向に等間隔で形成してある。各横穴4Aは、図中矢印で示す回転軸Aの回転方向に向けて湾曲しており、フランジ部22の外周面における開口部に、ベーン23が夫々設けてある。
【0055】
当該回転軸構造は、回転軸4とともに流体供給ポンプ21が回転すると、ベーン23と湾曲した横穴4Aとによって流体供給室6内の流体を求心方向に導入し、その流体を貫通孔4に流入させることとなり、流体供給室6内を加圧しなくても流体を回転軸Aからガス流路102A側へ供給することができる。したがって、流体の加圧源を低圧化又は廃止することができ、装置構造のさらなる簡略化に貢献することができる。
【0056】
また、流体供給室6内を加圧して流体を回転軸Aへ供給する場合では、回転軸Aの回転速度の増加に伴って流体供給が困難になることがある。これに対して、当該回転軸構造では、流体供給ポンプ21の採用により、回転速度に比例して流体供給量を増加させること
ができ、高温となる高回転速度においても、高温側軸部1からの入熱量増加に応じて流体の供給量増加を自動的に行うことができる。
【0057】
図4は、本発明の高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する図である。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
図示の回転軸構造は、回転軸Aの中間軸部2が多孔質体で形成されていると共に、先の各実施例に比べて中間軸部2が長く、滑り軸受Bからガス流路102Aに露出したものとなっている。
【0059】
当該回転軸構造は、先の各実施例と同様の作用及び効果を得ることができほか、多孔質体から成る中間軸部2の軸長を長くしたので、熱交換量をより多く確保して低温側軸部3から駆動装置M側の冷却効果を高めることができ、また、気化し切れなかったガソリン等の流体をガス流路102A内に直接撒き散らして、ガス流路102A内の温度で気化させることができる。
【0060】
ここで、上記各実施例では、図8に示す発電装置において、燃料ガスのガス流路102AのファンF1に当該回転軸構造を適用した場合、すなわち流体が液体(ガソリン)である場合を説明したが、当該回転軸構造は、流体である気体の供給にも用いることが可能であるから、図8に示す発電装置において、酸化ガスのガス流路103AのファンF2に適用することもできる。この場合、流体は例えば空気であり、ガス流路103Aの冷却も行うこととなる。
【0061】
当該回転軸構造は、酸化ガスのガス流路103AのファンF2に適用した場合には、中間軸部2の多孔質体に空気を供給して、その多孔質体の大きな表面積(空気との接触面積)により空気と充分に熱交換を行うことができ、また、空気の予熱を行うこともできる。そして、中間軸部2の多孔質体から排出用間隙5に空気を噴出させることで、エアベアリングと同等の潤滑機能を得ることもできる。
【0062】
図5は、本発明の高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する図である。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図示のガス流路102Aの壁部100は、外壁100Aと内壁100Bとで断熱層を挟んだ三層構造になっている。また、図示の高温流体用ファンF1は、ヘリカル型のものであるが、その形態がとくに限定されることはない。
【0064】
上記のガス流路102Aにおける高温流体用ファンF1の回転軸構造は、流体供給手段が、図外の流体供給源から流体を供給する主供給路31と、主供給路31の途中に設けた液ポンプ32と、主供給路31から流体供給室6に至る第1の供給路17と、主供給路31からガス流路102Aに直接至る第2供給路27と、第1及び第2の供給路17,27の分岐点に設けた分配バルブ33を備えている。
【0065】
また、上記の回転軸構造は、図示は省略したが、ガス流路102A及び回転軸Aの温度を測定する各センサや、各センサからの検出結果に基づいて液ポンプ32や分配バルブ33の動作制御を行う制御装置などを備えており、ガス流路102A内の温度や回転軸Aの温度に応じて第1及び第2の供給路17,27への流体供給量を調整する。
【0066】
つまり、当該回転軸構造は、ガス流路102Aに供給すべき流体(ガソリン)の全量を必ずしも回転軸Aから供給しなくても良く、ガス流路102Aや回転軸Aの温度が比較的低温であれば、回転軸Aを充分に冷却する必要はないので、上記構成により、第2供給路27からガス流路102Aに直接流体を供給することができる。
【0067】
このように、当該回転軸構造は、ガス流路102Aや回転軸Aの温度に応じて、第1供給路17を用いた回転軸Aからの流体供給と、第2供給路27を用いた直接的な流体供給を選択的に行うことができ、また、流体の供給量も適宜調整することができるので、ガス流路102Aに対する流体供給の自由度が飛躍的に向上し、発電装置におけるガス循環システムの機能向上にも貢献し得るものとなる。
【0068】
図6は、回転軸Aにおける中間軸部2の幾つかの実施形態を説明する図である。
【0069】
中間軸部2は、図6(a)(b)に示すように、その全体を多孔質体2Aで形成することができるほか、図6(c)〜(h)に示すように、外周面の一部を形成する緻密質体2Bを回転対称位置に備えたものとすることができる。
【0070】
緻密質体2Bは、多孔質に対して緻密質である一般的な金属部材を意味し、例えば高温側軸部1や低温側軸部3と同じ材料で形成してある。この緻密質体2Bは、上述の如く中間軸部2の外周面の一部を形成すると共に、低温側軸部3から多孔質体2Aの外周部に至る流体の流通を妨げることがない位置に設けられ、より望ましくは、高温側軸部1と低温側軸部3とを熱的に連結しないものが良い。
【0071】
図6(c)(d)に示す中間軸部2は、多孔質体2Aの外周部に、その軸線方向にわたる4個の緻密質体2Bを周方向に等間隔で組み込んだ構成になっている。
【0072】
図6(e)(f)に示す中間軸部2は、多孔質体2Aの中間部外周に、複数の緻密質体2Bを組み込んだ構成になっている。
【0073】
図6(g)(h)に示す中間軸部2は、多孔質体2Aの外周において、高温側軸部寄りの位置と低温側軸部寄りの位置に、複数の緻密質体2Bを組み込んだ構成になっており、いずれか一方の位置のみに緻密質体2Bを設けた構成とすることも可能である。
【0074】
上記の各中間軸部2は、いずれも外周面の一部を形成する緻密質体2Bを回転対称位置に備えたことにより、先の実施例で高温側軸部1及び低温側軸部3の一部を滑り軸受Bにオーバーラップさせた場合と同様に、滑り軸受Bにおける軸保持力をより高めることができる。
【0075】
つまり、回転軸Aと滑り軸受Bとの間では、流体が存在すると多孔質の部分よりも緻密質の部分の方が大きな反力を示すので、上記の如く中間軸部2に緻密質体2Bを設けることで、滑り軸受Bにおける軸保持力も高まることとなり、とくに、回転軸Aに重負荷がかかる場合などには、回転軸Aの振れ止めの効果をより高めることができる。
【0076】
なお、本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造は、固体酸化物型燃料電池を用いた発電装置におけるガス循環システムに好適であって、流体としては、炭化水素系の液化燃料(ガソリン)や酸化ガス(空気)だけでなく、過湿運転のために供給される水でも良いが、その適用が発電装置のみに限定されるものではなく、高温環境となる流体の流路内でファンを回転駆動する各種回転軸構造に適用可能である。
【0077】
また、本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造は、その構成の細部が上記各実施例に限定されるものではなく、例えば、中間軸部2における多孔質体及び緻密質体の形状を適宜変更することができ、さらに、低温側軸部3に形成する貫通孔4にあっても、1本の場合には軸線上に形成するのが望ましいが、回転軸Aの回転時のバランスを考慮したうえで複数の貫通孔を形成したり、中間軸部2の多孔質体に至る部分で複数に分岐させたりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造の一実施例を説明する断面図である。
【図2】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造の他の実施例を説明する断面図である。
【図3】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する断面図(a)及び流体供給ポンプの平面断面図(b)である。
【図4】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する断面図である。
【図5】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造のさらに他の実施例を説明する断面図である。
【図6】中間軸部の4つの実施形態を説明する図であって、軸線に直交する横断面図(a)(c)(e)(g)及びこれらに対応する縦断面図(b)(d)(f)(h)である。
【図7】回転軸の製造過程を説明する各々断面図(a)(b)(c)である。
【図8】本発明に係わる高温流体用ファンの回転軸構造が適用される発電装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0079】
A 回転軸
B 滑り軸受
F1 F2 ファン
M 駆動装置(電気モータ)
1 高温側軸部
2 低温側軸部
2A 多孔質体
2B 緻密質体
3 低温側軸部
4 貫通孔
5 排出用間隙
6 流体供給室(流体供給手段)
11 12 転がり軸受
17 第1供給路
21 流体供給ポンプ
27 第2供給路
101 電池本体
102A 一方のガス流路(流路)
103A 他方のガス流路(流路)




 

 


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