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内燃機関の可変動弁装置及びその制御方法 - 日産自動車株式会社
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発明の名称 内燃機関の可変動弁装置及びその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9793(P2007−9793A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191035(P2005−191035)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
発明者 新藤 茂輝 / 有賀 健司
要約 課題

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
作動体を駆動するアクチュエータと、上記作動体の初期位置からの作動量に応じて、吸気弁又は排気弁の開閉特性に関連する制御量を変更する可変動弁機構と、を有し、
上記作動量の増加に対して制御量が減少する減少領域と、上記作動量の増加に対して制御量が増加する増加領域と、が設けられ、
かつ、上記減少領域と増加領域とが切り替わる回数を機関始動時から積算し、この積算値に基づいて、上記減少領域であるか増加領域であるかを判定する領域判定手段を有することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
【請求項2】
上記減少領域が、作動体の可変範囲の中で、初期位置から制御量が最小となる最小変曲位置までの区間に相当することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項3】
上記制御量に対応する実制御量を検出する実制御量検出手段を有し、この実制御量に基づいてアクチュエータの動作を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項4】
上記領域判定手段が、上記実制御量に基づいて、上記作動体が減少領域と増加領域とが切り替わる変曲位置を通過したかを判定する手段を有することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項5】
上記領域判定手段が、上記作動体が減少領域と増加領域とが切り替わる変曲位置にあるかを検出する手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項6】
上記減少領域と増加領域とが切り替わる変曲位置に、上記作動量に対する制御量の変化が緩慢である不感帯を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項7】
上記可変動弁機構が吸気弁又は排気弁の開閉時期を変更するバルブタイミング変更機構であって、
このバルブタイミング変更機構は、
内燃機関のクランクシャフトに連動して回転する駆動回転体と、
吸気弁又は排気弁を駆動するためのカムシャフトと連動して回転する従動回転体と、
周方向位置に応じて径方向長さが異なる渦巻きガイドが形成され、上記アクチュエータによって回転方向に駆動される中間回転体と、
一端が駆動回転体又は従動回転体の一方に揺動可能に支持されたリンクと、
このリンクの他端に設けられ、上記駆動回転体又は従動回転体の他方に形成された径方向に延びる径方向ガイドと上記渦巻きガイドの双方に変位可能に係合する可動案内部と、を有し、
上記作動量が、上記渦巻きガイドの一端からの可動案内部の変位に対応することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項8】
上記渦巻きガイドには、周方向一端から他端へ向かうに従って、径方向長さが増加する区間と、径方向長さが減少する区間と、が設けられることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の可変動弁装置。
【請求項9】
作動体を駆動するアクチュエータと、上記作動体の初期位置からの作動量に応じて、吸気弁又は排気弁の開閉特性に関連する制御量を変更する可変動弁機構と、を有し、
上記作動量の増加に対して制御量が減少する減少領域と、上記作動量の増加に対して制御量が増加する増加領域と、が設けられ、
かつ、減少領域と増加領域とが切り替わる回数を機関始動時から積算するステップと、
この積算値に基づいて、上記減少領域であるか増加領域であるかを判定するステップと、を有することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置の制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動体の初期位置からの作動量に応じて内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉特性に対応する制御量を変化させる可変動弁機構を備えた内燃機関の可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に記載されているように、内燃機関の運転状態に応じて吸気弁や排気弁の開閉時期(バルブタイミング),作動角及びバルブリフト量等の開閉特性に関連する制御量を変更する様々な可変動弁機構が提案され、一部で実用化されている。このような可変動弁機構は、一般的に、アクチュエータにより駆動される作動体の初期位置からの作動量に応じて上記制御量が変化するように構成されている。多くの機構では、その構造上、上記特許文献1のように作動量の変化(増加又は減少)に対して制御量が単調に増加又は減少するようになっている。
【特許文献1】特開平11−182214号公報
【特許文献2】特開2003−314216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機関始動時における適切な吸・排気弁の開閉特性の制御量は、必ずしも制御量が取り得る範囲の両端の限界値になるとは限らず、限界値を除く中間的な値とした方が良い場合がある。例えば、アイドル時にはポンプロス低減等のために吸気弁の開閉時期(制御量)を限界値である最遅角値に設定する一方、機関始動時には始動安定性を確保するために吸気弁の開閉時期を最遅角値よりも進角した中間値に設定する場合等である。このような場合、上述したように作動量の変化に対して制御量が単調に変化する機構では、機関始動時における作動体の作動位置が、この作動体が取り得る範囲の両端の限界位置、つまり、部材の案内溝の端面やストッパ等に突き当たることによって機械的に係止される限界位置ではなく、この限界位置を除く中間的な位置となる。このため、例えば特許文献1に開示されているように、機関始動に適した中間位置に作動体を安定して機械的に保持するための中間ロック機構を別途設ける必要があり、この中間ロック機構及びこれを駆動・制御する手段が必要となるために、部品点数の増加,大型化,コストの増加等の課題が残る。また、機関停止状態での作動位置が機関始動に適した中間位置にない場合には、機関始動時にアクチュエータによって作動体を初期位置から始動用の中間位置まで駆動する必要が生じ、始動応答性の低下や始動安定性の低下を招いていまう。
【0004】
特許文献2には、周方向位置によって径方向長さが異なる渦巻きガイド(溝)を利用して、吸・排気弁の開閉時期を変更する可変動弁機構が提案されている。この機構では、後述するように渦巻きガイドの形状を適切に設定することによって、機関始動用の制御量が中間的な値であっても、これに対応する機関始動用の作動位置を、その可変範囲の一方の限界位置、すなわち機械的に係止される位置であって、典型的には機関停止状態での初期位置と一致させることが可能である。これにより、機関始動用の制御量が中間的な値であっても、作動体の初期位置を、上記制御量の中間的な値に対応する中間位置とすることができ、中間ロック機構等を敢えて必要とすることのない簡素な構造でありながら、始動応答性及び始動安定性を含む機関始動性能を著しく向上することができる。
【0005】
しかしながら、このように作動体の初期位置での制御量を中間的な値とすると、必然的に、作動体の初期位置からの作動量の増加に応じて、制御量が減少する減少領域と、制御量が増加する増加領域の双方が存在し、これらの減少領域と増加領域とが重複する制御量の範囲では、同じ制御量に対応する作動体の作動位置、すなわち初期位置からの作動量が2つ存在することとなる。このため、センサ等により検出される制御量の検出値である実制御量に応じて作動体を駆動制御する構成では、実制御量に対応する作動量が2つあるので、作動体を良好に駆動制御することができない。例えば実制御量に基づいて制御量を目標値へ向けてフィードバック制御を行う場合、仮に実制御量に対応する2つの作動量のうちで実際とは異なる作動量の方を誤認している状況で制御を継続すると、作動体が予期せぬ方向に変位して、目標値へ良好に収束させることができないおそれがある。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作動体を駆動するアクチュエータと、上記作動体の初期位置からの作動量に応じて、吸気弁又は排気弁の開閉特性に関連する制御量を変更する可変動弁機構と、を有する。また、上記作動量の増加に対して制御量が減少する減少領域と、上記作動量の増加に対して制御量が増加する増加領域と、が設けられる。従って、増加領域及び減少領域の双方が設けられ、つまり作動量に対する制御量の変化が単調増加や単調減少ではないので、上述したように、機関始動用の制御量が中間的な値であっても、これに対応する作動体の初期位置を、機械的な係止位置である可変範囲の限界位置つまり初期位置に設定することができる。
【0007】
そして、上記減少領域と増加領域とが切り替わる回数、つまり上記減少領域と増加領域とが切り替わる変曲位置を作動体が通過した回数を機関始動時から積算し、この積算値に基づいて、上記減少領域であるか増加領域であるかを判定する領域判定手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、減少領域と増加領域とが切り替わる回数の積算値に基づいて、増加領域か減少領域かを容易に判別することができる。この領域判定結果を利用して、制御量の検出値(実制御量)に基づいてアクチュエータの動作を制御し、制御量を機関運転状態に応じて良好に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る可変動弁装置が適用される内燃機関61の一例を簡略的に示すシステム図である。内燃機関61のシリンダブロック62には複数のシリンダ63が形成されており、各シリンダ63内を昇降するピストン64の上方には燃焼室65が画成されている。シリンダブロック62上に固定されるシリンダヘッド66には、吸気通路67を開閉する吸気弁68と、排気通路69を開閉する排気弁70と、燃焼室65内の混合気を火花点火する点火プラグ71と、が配設されている。吸気通路67には、上流側より順に、エアクリーナ72,吸入空気量を検出するエアフロメータ73,吸気量を調整する電子制御式のスロットル74,及び吸気ポート75へ燃料を噴射する燃料噴射弁76が配設されている。スロットル74の開度はスロットル開度センサ77により検出される。排気通路69には、上流側より順に、排気の空燃比を検出するための酸素センサ78と、排気を浄化する三元触媒等の触媒79,80と、排気音を消音するマフラ81と、が設けられている。排気の一部はEGR通路82を経由して吸気通路67に還流され、その還流量はEGR制御バルブ83により調整される。EGRガスの温度はEGR温度センサ84により検出される。燃料タンク85内には、燃料配管86へ燃料を圧送する燃料ポンプ87と、燃圧を所定圧に維持するプレッシャレギュレータ88とが配設されている。また、燃料タンク85内の蒸発燃料を処理するキャニスタ89が設けられている。更に、吸・排気弁の開閉特性を変化させる可変動弁機構として、吸気弁68の開閉時期に対応する変換角θを変更するバルブタイミング変更機構60が設けられている。変換角θはクランクシャフト92に対するカムシャフト1の位相に相当し、この変換角θが変化することによって、吸気弁の開閉時期(バルブタイミング)が変化つまり遅角・進角する。この変換角θに対応する実変換角tθは、カムシャフトポジションセンサ91及びクランクシャフトポジションセンサ93の検出信号に基づいて演算される。
【0010】
機関運転状態を検出するセンサ類として、機関水温を検出する水温センサ90,吸気カムシャフト1の回転位置を検出するカムシャフトポジションセンサ91,クランクシャフト92の回転位置を検出するクランクシャフトポジションセンサ93,ノッキングの発生を検出するノックセンサ94,アクセルペダル95の操作(開度)を検出するアクセルポジションセンサ96,及びバッテリ97の電流値を検出する電流センサ98等が設けられている。機関制御部(エンジン・コントロール・モジュール:ECM)100は、各種制御処理を記憶及び実行する機能を有し、上記の各種センサ等により検出される機関運転状態に基づいて、上記のスロットル74,燃料噴射弁76,点火プラグ71及びEGR制御バルブ83等の他、後述するバルブタイミング変更機構60のアクチュエータ(操作力付与手段8)へ制御信号を出力して、スロットル開度,燃料噴射量,燃料噴射時期,点火時期,EGR量及び上記の変換角θ等を制御する。
【0011】
図2は、上記バルブタイミング変更機構60を示す断面図であり、この機構60の基本的な構成は特開2003−314216号公報等に詳しく記載されているように公知である。図1及び図2を参照して、このバルブタイミング変更機構60は、カムシャフト1と一体的に回転する従動軸部材(従動回転体)3と、クランクシャフト92の回転に連動して回転する駆動リング(駆動回転体)5と、これら駆動リング5と従動軸部材3との相対的な回転位相に対応する上記の変換角(組付角)θを変更・操作する組付角操作機構6と、を有している。
【0012】
従動軸部材3は、内燃機関61のシリンダヘッド66に回転自在に支持された吸気弁側のカムシャフト1の前端部(図2中左側端部)にカムボルト2によって一体に結合されている。また従動軸部材3には、カムシャフト1の前端部に突き合わされる基端部に径方向外側に張り出すフランジ壁14が一体に形成されている。フランジ壁14の外周部と駆動リング5の後端部との間にはシールリング34が介装されている。なお、従動軸部材3にはオイル供給孔13が開口形成されており、この供給孔13を通して駆動リング5と従動軸部材3との摺動面に潤滑油が供給される。
【0013】
駆動リング5は、従動軸部材3の外周に回動可能に組み付けられる内側円筒部10aと、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト92に動力伝達可能に連繋されるタイミングスプロケット4(動力伝達部)が設けられた略円筒状の外側円筒部5aと、内側円筒部10aの外周と外側円筒部5aの内周とに一体的に接続する略円盤状・ドーナツ状の支持部10と、を有している。支持部10には、径方向に延びる2本の径方向スリット11が形成され、この径方向スリット11が後述する可動案内部12を案内する径方向ガイドとして機能する。尚、径方向スリットは必ずしも支持部の径方向に正確に沿って形成されている必要はなく、支持部の径方向に略沿うように形成されていてもよい。
【0014】
組付角操作機構6は、駆動リング5及び従動軸部材3と同軸上に配置され、アクチュエータとしての操作力付与手段8から付与される操作力によって回転駆動される中間回転体7と、駆動リング5と従動軸部材3とを連係する2本のリンク15と、を備え、リンク15を介して駆動リング5から従動軸部材3へ回転動力が伝達される。中間回転体7には、周方向位置に沿って径方向長さが円滑に変化する渦巻き溝24が形成されている。各リンク15の一端は、ピン16によって従動軸部材3のフランジ壁14に揺動可能に支持・連結されている。つまり各リンク15はピン16を中心として揺動可能である。
【0015】
各リンク15の他端には、径方向スリット11を通して渦巻き溝24に係合する可動案内部12が設けられている。詳しくは、リンク15の他端には軸方向前方側に突出するボス部17が一体に形成されている。各ボス部17は円筒状に形成され、支持部10の各対応する径方向スリット11に摺動自在に嵌入されている。各ボス部17は、支持部10の径方向スリット11に係合された状態において、リンク15を介して従動軸部材3の回転中心から離間した位置に連結されているため、各ボス部17が外力を受けて径方向スリット11に沿って変位すると、駆動リング5と従動軸部材3はリンク15の作用でもって各ボス部17の変位(作動量)に応じた方向及び角度だけ相対的に回動する。各リンク15の先端側(他端側)のボス部17からリンク本体部にかけては前方側(カムシャフト1と逆側)に開口する円形状の保持穴18が設けられ、この保持穴18に球19を保持するためのリテーナ20の基部と、そのリテーナ20を前方側に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング21が収容されている。
【0016】
従動軸部材3の支持部10の支持位置よりも前方側には中間回転体7が軸受23を介して回転可能に支持されている。2条の渦巻き溝24(渦巻き状ガイド)は、支持部10の前面に所定隙間をもって対峙する中間回転体7の後部面に、断面半円状に形成されている。各渦巻き溝24は、周方向位置に応じて径方向長さが円滑に変化するように設定されている。そして、この中間回転体7の各渦巻き溝24には各ボス部17に保持された球19が転動自在に係合されている。ここで、各リンク15は先端側のボス部17が支持部10の径方向スリット11に案内係合された状態において各球19が渦巻き溝24に係合しているため、中間回転体7が駆動リング5に対して相対回動することによって球19が渦巻き溝24に案内されて転動すると、各ボス部17が中間回転体7の相対回動に応じた方向及び量だけ径方向スリット11に沿って変位する。このように、支持部10の径方向スリット11,渦巻き溝24を有する中間回転体7,可動案内部12を備えるリンク15等によって、駆動リング5に対する従動軸部材3の回転位相を変化させる組付角操作機構6が構成されている。
【0017】
操作力付与手段8は、駆動リング5に一体に結合された円筒ハウジング25と、そのハウジング25の内周面に結合された円筒状の永久磁石ブロック26と、中間回転体7にリテーナプレート27を介して一体回転可能に結合された同じく円筒状のヨークブロック28と、非回転部材であるVTCカバー9内にゴム弾性体29を介して固定設置された電磁コイルブロック30と、を備えている。電磁コイルブロック30に設けられる一対の電磁コイル31a,31bは、励磁回路やパルス分配回路等を含む駆動回路(図示せず)に接続される。上記の機関制御部100は、クランク角、カム角、機関回転数、機関負荷等の各種の入力信号に基づいて、変換角θの目標値tθを演算し、この目標値tθに応じた制御信号、例えばデューティー比に応じたON−OFF信号を駆動回路に出力する。
【0018】
永久磁石ブロック26は、軸方向に延出する磁極が、異磁極が円周方向に沿って交互になるように複数着磁された構成とされている。ヨークブロック28は、透磁率の高い金属から成る複数の極歯リング(図示省略)を有し、その各極歯リングの複数の極歯が永久磁石ブロック26の磁極面にエアギャップを介して対峙している。また、電磁コイルブロック30は電磁コイル31a,31bによる磁気入出部がヨークブロック28の各極歯リングの円環状の基部にエアギャップを介して対峙している。
【0019】
この操作力付与手段8は、基本構成はステッピングモータであるが、電磁コイル31a,31bを励磁するON−OFF信号のデューティー比を変化させることにより、ヨークブロック28の各極歯の磁極が電磁コイルブロック30と非接触状態のまま連続変化し、それにより、ヨークブロック28と永久磁石ブロック26の回転の如何に拘らず両者を所望通りに相対回動させることができる。
【0020】
機関制御部100から電磁コイル31a,31bの駆動回路に出力されるON−OFF信号のデューティー比に応じて、電磁コイル31a,31bは磁界を発生し、ヨークブロック28を中間回転体7と共に駆動リング5に対して所定方向(遅れ側または進み側)に相対回動させる。これにより、各球19が渦巻き溝24内を転動しつつそれに対応するボス部17が径方向スリット11に沿って外側に変位し、このとき各リンク15が揺動することによって駆動リング5と従動軸部材3の組付角が変更される。この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相すなわち変換角θが変更される。つまり、操作力付与手段8により中間回転体7を介して駆動される可動案内部12の変位に応じて、吸気弁の開閉時期に対応する変換角θが連続的に変化する。
【0021】
図3は作動量Sと変換角θとの関係を示している。作動量Sは、広義にはアクチュエータ8により駆動される作動体の初期位置からの変位であり、具体的には渦巻き溝24における可動案内部12の球19の初期位置Sminである一端24Aからの変位(角度)に相当する。変換角θは、広義には吸・排気弁の開閉特性に対応する制御量であって、ここでは吸気弁の開閉時期、より具体的にはクランクシャフト92に対するカムシャフト1の回転位相、さらに具体的には駆動リング5に対する従動軸部材3の初期値である最遅角値θminからの変換角度に相当する。従って、変換角θが小さいほど吸気弁の開閉時期が遅角し、大きいほど進角することとなる。変換角θは、可動案内部12の中心Oからの径方向距離ΔRに比例しており、径方向距離が減少するほど変換角θが増加する関係にある。
【0022】
なお、可動案内部12が渦巻き溝24の一端24Aから他端24Bの全長にわたって移動できるように、径方向スリット11が可動案内部12の移動範囲よりも余裕をもって大きく形成されている。従って、渦巻き溝24の全長が作動量Sの可動範囲ΔSallであり、渦巻き溝24の両端24A,24Bが、可動範囲ΔSallの両端の限界位置である初期位置Smin及び最大作動位置Smaxに相当する。これらの限界位置では、球19が渦巻き溝24の両端24A,24Bの端面に突き当てられて、機械的に安定して係止された状態となる。機関停止時のように、電磁コイル31a,31bへ通電されていない状態、つまりON−OFF信号のデューティー比が0(ゼロ)の初期状態では、カムシャフト1に作用する最小作動側への動弁反力等によって可動案内部12が機械的に係止される最小作動位置である初期位置Sminに常に保持される。
【0023】
図3(A)は、作動量Sの増加に対して変換角θが単調に増加(変化)する比較例を示しており、図3(B)は、作動量Sの増加に対して、変換角θが減少する減少領域Aと、変換角θが増加する増加領域Bと、の双方が存在する本発明の一例に対応している。この図3(B)に示すように、渦巻き溝24には、一端24Aから他端24Bへ向かうに従って、径方向長さΔRが増加する区間と、径方向長さΔRが減少する区間とが設けられ、増加する区間が減少領域Aに対応し、減少する区間が増加領域Bに対応する。このように渦巻き溝24の形状を適切に設定することによって、作動量Sに応じて変換角θが一義的に変化する機構でありながら、減少領域Aと増加領域Bとを合わせもつ特性を実現することができる。
【0024】
単調増加特性である比較例では、初期位置Sminでの変換角θが必然的に最小値θminとなる。これに対して、減少領域Aと増加領域Bの双方を併せ持つ構成では、初期位置Sminでの変換角θを、その限界値θmin,θmaxを除く中間的な値θγ、つまり機関始動に適した中間的な値θγとすることができる。これにより、上述したように機関始動時に作動体を初期位置から始動用の中間位置に駆動する必要がなく、また、作動体を始動に適した中間位置に保持する中間ロック機構等を用いる必要がないので、始動応答性及び始動安定性を向上しつつ、簡素化,小型化,低コスト化等の実用上多大な効果を奏することができる。
【0025】
但し、減少領域Aと増加領域Bの双方が重複する変換角の範囲Δθγでは、一つの変換角θに対応する作動量Sつまり作動位置が2箇所あるので、実変換角rθに基づいてアクチュエータ8を駆動制御する場合に、作動位置を誤認すると作動体が予期せぬ方向に変位するおそれがある。センサ等用いて作動量Sを直接的に検知することができれば、このような問題を生じることはないものの、このようなセンサを設けることはレイアウト的に困難であるとともに、構造の複雑化・大型化やコストの増加を招くために、好ましくない。そこで、作動体の変位(作動量)を直接的に検出するセンサ等を敢えて必要としない簡素な構造で、減少領域Aか増加領域Bのいずれにあるかを判別し得る新規な手法を見い出し、本発明に至った。この領域判定結果に基づいて、実変換角rθに対応する作動量・作動位置を一義的に特定することができるため、実変換角rθに基づいてバルブタイミング変更機構60の動作を良好に制御することが可能となる。
【0026】
図4は、本発明の第1実施例に係る制御の流れを簡略的に示すフローチャートである。このルーチンは上記制御部100の内部記憶装置に記憶されるとともに、機関始動とともに開始され、かつ、所定の周期・期間毎(例えばカム角で120度毎、あるいは10ms毎)に繰り返し実行される。
【0027】
ステップ(図では「S」と記す)11では、減少領域Aと増加領域Bとが切り替わったか、つまり減少領域Aと増加領域Bとが切り替わる最小変曲位置Pminを可動案内部(作動体)12が通過したかを判定する。変曲位置Pminでの変換角は最小値θminであり、この最小値θminに対応する作動位置は一つの変曲位置Pminしか存在しないので、例えば実変換角rθが最小値θminとなるかを検出することにより、変曲位置Pminを通過したかを判定することができる。
【0028】
変曲位置Pminを通過したと判定された場合、ステップ12へ進み、機関始動から変曲位置Pminを通過した回数を表す積算値Nallに1を加算する。この積算値Nallは、例えば機関制御部100のメモリ内に設けられるカウンタ部に格納され、機関運転中は保持されるとともに機関停止時に「0」にリセット・初期化される。
【0029】
ステップ13では、積算値Nallが奇数(1,3,5,・・・)であるかを判定する。機関停止状態では、機関停止直前にカムシャフト1に作用する動弁反力等によって作動位置は必ず初期位置Sminとなり、つまり可動案内部12が渦巻き溝24の一端24Aに突当てられた状態に保持されている。従って、機関始動からの積算値Nallが奇数であれば作動位置が増加領域Bにあり、積算値が0を含めた偶数(0,2,4,・・・)であれば、作動位置が減少領域Aに存在することとなる。従って、ステップ13で奇数と判定されれば増加領域Bと判定し(ステップ14)、偶数と判定されれば減少領域Aと判定し(ステップ15)、この領域判定処理を終了する。
【0030】
以降の吸気弁の開閉時期の制御では、上記の領域判定の結果が反映される。つまり、実制御量rθと領域判定結果とに基づいて、実際の作動量Sを一義的に判別することができるために、実制御量rθに基づくフィードバック制御を安定して行うことができる。
【0031】
カムシャフトポジションセンサ91を利用した実変換角tθの検知は、所定周期・期間(例えばカム角で120度毎)に行われるために、更新までに時間差がある。従って、上記第1実施例のように実変換角tθに基づいて変曲位置Pminを通過したかを判定する場合(ステップ11)、変換角の作動状況によっては、実際には変曲位置Pminを通過しても、この通過を検出できないおそれがある。
【0032】
そこで、図5に示す第2実施例では、変曲位置Pminを通過したこと、つまり可動案内部12が変曲位置Pminにあることのみを直接的に検知する接触型のセンサを設けている。上記の渦巻きガイド式のバルブタイミング変更機構60では、可動案内部12が径方向スリット11と渦巻き溝24の双方に対して変位するために、最小変曲位置Pminに対応する接触型センサの設置位置としては、図5(A)に示すように渦巻き溝24内の第1位置111と、図5(B)に示すように径方向スリット11内の第2位置112と、の二箇所がある。第1位置111は、渦巻き溝24の一端24Aから他端24Bへ向かうに従って、径方向長さΔRが増加する区間(減少領域A)と減少する区間(増加領域B)とが切り替わる位置に相当する。第2位置112は、径方向スリット11内を往復動する可動案内部12の移動軌跡の一方の折り返し点であり、つまり径方向スリット11の一方の端部近傍に位置している。
【0033】
図6を参照して、破線L1は不感帯のない参考例に係る作動量−変換角の特性を示し、実線L2は、本発明の第3実施例に係る不感帯Cを設けた作動量−変換角の特性を示している。この第3実施例では、減少領域Aと増加領域Bとの間に、作動量Sの変化に対して変換角θの変化が緩慢である不感帯Cを設けている。この不感帯Cにおける変換角θの変化幅は、オーバーシュートやアンダーシュートの許容幅(例えばクランク角で6度)以下の範囲に制限されている。また、不感体Cにおける作動量の幅は、バルブタイミング変更機構60の作動能力等に応じて設定される。例えば、実変換角rθの検出周期がカム角で120度毎であり、機関回転数が最も低いアイドル回転が500rpmの場合、このアイドル状態では、検出間隔が0.08秒となり、このときのバルブタイミング変更機構60の作動速度がカム角で100度/秒であるとすれば、不感帯Cの作動量の幅としては、カム角で4度以上に相当する値に設定すれば良い。
【0034】
次に、上記実施例より把握し得る特徴的な構成及びその作用効果について説明する。但し、本発明は参照符号を付した実施例の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。
【0035】
(1)作動体を駆動するアクチュエータ(操作力付与手段)8と、上記作動体の初期位置Sminからの作動量Sに応じて、吸気弁68又は排気弁70の開閉特性に関連する制御量(変換角)θを変更する可変動弁機構(バルブタイミング変更機構)60と、を有する。
【0036】
また、作動量Sの増加に対して制御量θが減少する減少領域Aと、制御量が増加する増加領域Bと、が設けられる。つまり、本発明に係る可変動弁機構60では、作動量Sに応じて変換角θが一義的に変化する機構でありながら、作動量Sに対する制御量θの変化が単調ではなく、減少領域Aと増加領域Bの双方が存在する特性を実現可能である。従って、初期位置Sminでの制御量θを機関始動に適した中間的な値θγとすることでき、中間ロック機構等を敢えて必要としない簡素・安価な構成で、始動応答性や始動安定性等の機関始動性能を著しく向上することができる。
【0037】
そして、減少領域Aと増加領域Bとが切り替わる回数を機関始動時から積算し、この積算値Nallに基づいて、減少領域Aであるか増加領域Bであるかを判定する領域判定手段(ステップ13)を有している。このように、積算値Nallを利用して領域判定を極めて容易に行うことができる。
【0038】
(2)好ましくは、初期位置Sminでの制御量が機関始動に適した中間的な値θγとされる。この場合、初期位置Sminから制御量が最小値θminとなる最小変曲位置Pminまでの区間が減少領域Aとなる。
【0039】
(3)典型的には、上記制御量θに対応する実制御量rθを検出する制御量検出手段(カムシャフトポジションセンサ91,クランクシャフトポジションセンサ93)を有し、この実制御量rθに基づいてアクチュエータ8の動作を機関運転状態に応じて制御可能である。より具体的には、機関制御部100によって、機関負荷や機関回転数等に基づいて制御量θの目標値tθを演算し、この目標値tθと実制御量rθとの偏差に基づくフィードバック制御によりアクチュエータ8の動作が制御される。
【0040】
(4)上記第1実施例では、実制御量rθに基づいて作動体が変曲位置Pminを通過したかを判定している。この場合、アクチュエータ8の駆動制御に用いられる実制御量rθを利用した簡素な構成で、通過回数の積算値Nallを求めることができる。
【0041】
(5)上記第2実施例では、作動体が変曲位置Pminにあるかを直接的に検出する検出手段(接触式センサ111,112)を設けている。このように検出手段により変曲位置Pminの通過を直接的に検出することによって、積算値Nallの精度、ひいては領域判定精度が非常に高いものとなる。上記の検出手段は、変曲位置Pminに対応する一つの位置のみを検出可能であれば良いので、例えば上記第2実施例のように接触式のセンサを用いることができ、例えば変位量を連続的に検出可能なセンサに比して簡素で安価なもので良く、実現性も高い。
【0042】
(6)上記第1実施例のように実制御量rθを利用して作動体が変曲位置Pminを通過したかを判定する場合、実制御量rθの検出周期・検出間隔によっては、良好に判定できないおそれがある。そこで好ましくは上記第3実施例のように、変曲位置Pminに、作動量Sに対する制御量θの変化が緩慢である不感帯Cを設ける。これにより、実制御量rθの検出周期・検出間隔によって判定が不正確となることをほぼ確実に回避でき、領域判定精度が向上する。
【0043】
(7)減少領域Aと増加領域Bとを併せ持つ可変動弁機構の好ましい一例が、上述したように、吸気弁又は排気弁の開閉時期を変更する渦巻き式のバルブタイミング変更機構60である。このバルブタイミング変更機構60は、内燃機関61のクランクシャフト92に連動して回転する駆動回転体(駆動リング)5と、吸気弁又は排気弁を駆動するためのカムシャフト1と連動して回転する従動回転体(従動軸部材)3と、周方向位置に応じて径方向長さが異なる渦巻きガイド24が形成され、アクチュエータ8によって回転方向に駆動される中間回転体7と、一端が駆動回転体5又は従動回転体3の一方に揺動可能に支持されたリンク15と、を有している。このリンク15の他方には、駆動回転体5又は従動回転体3の他方に形成された径方向に延びる径方向ガイド11と上記渦巻きガイド24の双方に変位可能に係合する可動案内部12が設けられる。上記作動量Sは、渦巻きガイド24の一端24Aからの可動案内部12の変位に相当し、上記変換角θは、駆動回転体5に対する従動回転体3の相対的な変換角度に相当する。
【0044】
このような渦巻きガイド式のバルブタイミング変更機構60では、渦巻きガイド24の形状を適切に設定することによって、作動量Sに対する制御量θの変化の特性を、上記減少区間Aと増加区間Bの双方を備えるものとすることができる。
【0045】
(8)具体的には、渦巻きガイド24に対し、周方向一端24Aから他端24Bへ向かうに従って、径方向長さΔRが増加する区間と、径方向長さΔRが減少する区間と、を設ければ良い。一方の区間が減少領域Aに、他方の区間が増加領域Bに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る内燃機関の可変動弁装置の一例を簡略的に示すシステム構成図。
【図2】本発明に係る可変動弁機構の一例としての渦巻きガイド式バルブタイミング変更機構を示す断面図。
【図3】(A)が変換角が単調増加する比較例、(B)が減少領域と増加領域とを合わせ持つ実施例に係り、上段が作動量と変換角の関係を示す特性図、下段が上記バルブタイミング変更機構の要部を示す構成図。
【図4】本発明の第1実施例に係る制御の流れを示すフローチャート。
【図5】(A)が接触型センサを渦巻き溝に、(B)が径方向スリットに配置した本発明の第2実施例を示す説明図。
【図6】本発明の第3実施例に係る不感帯を設けた場合の作動量と変換角との関係を示す特性図。
【符号の説明】
【0047】
1…カムシャフト
3…従動軸部材(従動回転体)
5…駆動リング(駆動回転体)
7…中間回転体
8…操作力付与手段(アクチュエータ)
11…径方向スリット(径方向ガイド)
12…可動案内部(作動体)
24…渦巻き溝(渦巻きガイド)
60…バルブタイミング変更機構(可変動弁機構)
100…機関制御部
111,112…接触型センサ




 

 


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