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発明の名称 エンジン車両の変速制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2877(P2007−2877A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181062(P2005−181062)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
発明者 吉国 哲男
要約 課題
排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立することができるエンジン車両の変速制御装置を提供すること。

解決手段
エンジンと自動変速機とを有し、前記自動変速機の変速比をマップ設定手段に設定されている変速マップを用いて制御する変速制御手段を備えたエンジン車両の変速制御装置において、前記エンジンからの単位距離当たりの排気量を積算する排気量積算手段を設け、前記マップ設定手段には、変速マップとして、少なくとも低燃費変速マップと低排気量変速マップを設定し、前記変速制御手段は、排気量積算値Qが排気量閾値を超えないように、排気量積算値Qをモニターしながら、前記低燃費変速マップと前記低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択する手段(図2)とした。
特許請求の範囲
【請求項1】
エンジンと自動変速機とを有し、前記自動変速機の変速比をマップ設定手段に設定されている変速マップを用いて制御する変速制御手段を備えたエンジン車両の変速制御装置において、
前記エンジンからの単位距離当たりの排気量を積算する排気量積算手段を設け、
前記マップ設定手段には、変速マップとして、少なくとも低燃費変速マップと低排気量変速マップを設定し、
前記変速制御手段は、排気量積算値が排気量閾値を超えないように、排気量積算値をモニターしながら、前記低燃費変速マップと前記低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択することを特徴とするエンジン車両の変速制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジン車両の変速制御装置において、
前記エンジンは、ディーゼルエンジンであり、
前記自動変速機は、無段階の変速比を得る無段変速機であり、
前記変速マップ設定手段は、ディーゼルエンジン特性の低燃費消費エリアに向かう燃費最適変速線に沿う燃費寄り変速線による低燃費変速マップと、ディーゼルエンジン特性の低排気量エリアに向かう排気最適変速線に沿う排気寄り変速線による低排気量変速マップと、を設定したことを特徴とするエンジン車両の変速制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたエンジン車両の変速制御装置において、
前記変速制御手段は、燃費寄り変速線を選択しての走行時、排気量積算値が第1設定値を超えた場合には排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択に移行することを特徴とするエンジン車両の変速制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載されたエンジン車両の変速制御装置において、
前記変速制御手段は、排気寄り変速線を選択しての走行時、第1設定値と排気量積算値との差である排気余裕代が第2設定値を超えた場合には燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択に移行することを特徴とするエンジン車両の変速制御装置。
【請求項5】
請求項2に記載されたエンジン車両の変速制御装置において、
前記変速制御手段は、燃費寄り変速線を選択しての走行時、排気量積算値が第1設定値を超え、かつ、燃料レベルが設定閾値より低い場合、燃料が補給されてからこれまでの排気ガスの総排出量を算出し、燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量が、第3設定値以下の場合には燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択を維持し、第3設定値を超える場合には排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択に移行することを特徴とするエンジン車両の変速制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと自動変速機とを有し、前記自動変速機の変速比をマップ設定手段に設定されている変速マップを用いて制御する変速制御手段を備えたエンジン車両の変速制御装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来のエンジン車両の変速制御装置のうち、ディーゼルエンジンを搭載した車両においては、燃費と排気が両立する変速線を使用し、変速制御を行っていた。この燃費と排気が両立する変速線とは、ディーゼルエンジン特性において、低燃費消費エリアに向かう燃費最適変速線と、低排気量エリアに向かう排気最適変速線と、の間を取る変速線である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−343984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のエンジン車両の変速制御装置にあっては、燃費と排気の両立変速線が排気規制値を特定のパターンにおいて下回るように設計されているため、実際の走行では極端に排気量が多くなることがある。また、1つの変速線では実際の使用に対し、走行状況において燃費寄りの走行をしている場合や、排気寄りの走行をしている場合に、排気の規制値から乖離が生じる場合がある、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立することができるエンジン車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、エンジンと自動変速機とを有し、前記自動変速機の変速比をマップ設定手段に設定されている変速マップを用いて制御する変速制御手段を備えたエンジン車両の変速制御装置において、
前記エンジンからの単位距離当たりの排気量を積算する排気量積算手段を設け、
前記マップ設定手段には、変速マップとして、少なくとも低燃費変速マップと低排気量変速マップを設定し、
前記変速制御手段は、排気量積算値が排気量閾値を超えないように、排気量積算値をモニターしながら、前記低燃費変速マップと前記低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のエンジン車両の変速制御装置にあっては、変速制御手段において、排気量積算値が排気量閾値を超えないように、排気量積算値をモニターしながら、低燃費変速マップと低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択される。例えば、低燃費変速マップを選択しての走行中、排気量積算値が排気量閾値を超えたら低排気量変速マップに移行することで、排気量を減少する方向にシフトできるし、また、低排気量変速マップを選択しての走行中、排気量積算値が排気量閾値に対し余裕を持っていることが確認されたら低燃費変速マップに移行することで、燃費を低減する方向にシフトできる。この結果、排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のエンジン車両の変速制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の変速制御装置が適用されたディーゼルエンジン車両を示す全体システム図である。
実施例1のディーゼルエンジン車両の駆動系は、図1に示すように、ディーゼルエンジン1(エンジン)と、エンジン出力軸2と、ベルト式無段変速機3(自動変速機)と、変速機出力軸4と、を備えている。前記変速機出力軸4からは、図外の出力ギヤ、ディファレンシャルギヤ、ドライブシャフト等を介して駆動輪に回転駆動力が伝達される。
【0009】
前記ベルト式無段変速機3は、ロックアップクラッチ5と、トルクコンバータ6と、タービン回転軸7と、オイルポンプ8と、フォワードクラッチ9と、遊星ギヤ10と、リバースブレーキ11と、変速機入力軸12と、プライマリープーリ13と、ベルト14と、セカンダリープーリ15と、を有する。
【0010】
前記トルクコンバータ6は、発進要素として設けられ、発進時等で、車速が設定車速となるまでは、ロックアップクラッチ5を開放してトルク増大機能を発揮し、車速が設定車速以上の走行域ではロックアップクラッチ5を締結し、コンバータ滑りによる燃費低下を防止している。
【0011】
前記フォワードクラッチ9は、前記タービン回転軸7と前記変速機入力軸11との間に介装され、前進時、フォワードクラッチ9を締結することによりタービン回転軸7と変速機入力軸11とを直結する。
【0012】
前記遊星ギヤ10は、1組の単純遊星歯車による構成で、サンギヤ10aが変速機入力軸12に連結され、ピニオン10bを支持するキャリア10cがリバースブレーキ11を介して変速機ケース16に対し固定可能とされ、リングギヤ10dがタービン回転軸7に直結されている。
【0013】
前記フォワードクラッチ9を締結し、リバースブレーキ11を開放した前進時、前記ディーゼルエンジン1からの回転駆動力は、エンジン出力軸2→ロックアップクラッチ5→タービン回転軸7→フォワードクラッチ5→変速機入力軸12→プライマリープーリ13→ベルト14→セカンダリープーリ15→変速機出力軸4へと伝達される。
【0014】
前記リバースブレーキ11は、締結によりキャリア10cを変速機ケース16に対し固定し、後進時、リバースブレーキ11を締結することで、タービン回転軸7からの正方向の入力回転は、キャリア10cが固定された遊星ギヤ10を介し、逆方向で、且つ、増速された出力回転となり、変速機入力軸12に伝達される。
【0015】
前記リバースブレーキ11を締結し、フォワードクラッチ9を開放した後進時、前記ディーゼルエンジン1からの回転駆動力は、エンジン出力軸2→ロックアップクラッチ5→タービン回転軸7→遊星ギヤ10→変速機入力軸12→プライマリープーリ13→ベルト14→セカンダリープーリ15→変速機出力軸4へと伝達される。
【0016】
前記オイルポンプ8は、変速機ケース16に内蔵され、そのポンプ軸は、エンジン出力軸2により駆動される。そして、図外のコントロールバルブユニットにおいて、前記オイルポンプ8からの吐出圧を油圧源とし、変速比制御のためにプライマリープーリ圧とセカンダリープーリ圧を作り出すと共に、前記フォワードクラッチ9と前記リバースブレーキ11の締結・開放圧を作り出す。
【0017】
実施例1のディーゼルエンジン車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントロールユニット20と、変速機コントロールユニット21と、を備えていて、前記エンジンコントロールユニット20には、エンジン回転数センサ22、アクセル開度センサ23、車速センサ24等から情報が入力される。なお、この入力情報は、前記変速機コントロールユニット21とで共有する。
【0018】
そして、前記変速機コントロールユニット21は、前記ベルト式無段変速機3の変速比を、燃費寄り変速線に基づき設定された低燃費変速マップと、排気寄り変速線に基づき設定された低排気量変速マップと、の何れか一方を選択して制御する。この変速制御は、図外のコントロールバルブユニット内のソレノイドバルブに対し、変速機コントロールユニット21からプライマリープーリ圧とセカンダリープーリ圧を作り出す変速制御指令を出力することで行われる。
【0019】
次に、作用を説明する。
[変速制御処理]
図2は実施例1の変速機コントロールユニット21にて実行される変速制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(変速制御手段)。
【0020】
ステップS1では、排気量積算をある一定時間毎に更新するためにカウントダウンタイマーをスタートし、ステップS2へ移行する。
【0021】
ステップS2では、ステップS1でのカウントダウンタイマースタートに続き、単位時間毎に測定された排気量、または、推定された排気量を積み上げ加算(積算)し、ステップS3へ移行する。
【0022】
ステップS3では、ステップS2での排気量積算に続き、カウントダウンタイマーが終了したか否かを判断し、yesの場合はステップS4へ移行し、noの場合はステップS2へ戻る。
【0023】
ステップS4では、ステップS3でのカウントダウン終了判断に続き、単位距離当たりの排気量積算値Qを演算し、ステップS5へ移行する(排気量積算手段)。
【0024】
ステップS5では、ステップS4での単位距離当たりの排気量積算値Qの演算に続き、排気量積算値Qが第1設定値Q1を越えているか否かを判断し、yesの場合はステップS6へ移行し、noの場合はステップS7へ移行する。
ここで、第1設定値Q1は、例えば、法律で定められるPM(Particulate Matter:パーティキュレート・マター)の規制値よりも少し低い値に設定される。なお、PMとは、ディーゼルエンジン1から排出される煤、燃料の燃え残り(SOF)やエンジンオイルの燃え滓(オイルアッシュ)等の総称をいう。
【0025】
ステップS6では、ステップS5でのQ>Q1との判断に続き、排気寄り変速線による低排気量変速マップ(図3及び図4(c)参照)に選択を移行し、ステップS1へ戻る。
【0026】
ステップS7では、ステップS5でのQ≦Q1との判断に続き、第1設定値Q1と排気量積算値Qとの差である排気余裕代が第2設定値Q2を超えているか否かを判断し、yesの場合はステップS8へ移行し、noの場合はステップS1へ戻る。
【0027】
ステップS8では、ステップS7でのQ1−Q>Q2であるとの判断に続き、排気寄り変速線による低排気量変速マップ(図3及び図4(c)参照)から、燃費寄り変速線による低燃費変速マップ(図3及び図4(a)参照)へ選択を移行し、ステップS1へ戻る。
【0028】
[背景技術]
ディーゼルエンジン車では、窒素酸化物Nox対策を行うと、黒煙(パティキュレート)が増加すると言われている。問題になっているパーティキュレートとは、大気を浮遊する特に10ミクロン以下の粒径の粒子で浮遊粒子状物質といい、SPM(Suspended Particulate Matter)と略している。SPMには、トラック・バスから排出されるディーゼル排気粒子のようにエンジンから直接排気される一次粒子と、排出されたガスに含まれるSO2やNO2等のガス状物質が大気中で冷やされ粒子状物質に変化する二次生成粒子がある。
ディーゼルエンジンから排出されるパーティキュレートは、タバコの煙よりも細かく、非常に細かい粒子が含まれている。SPMのうち、直径が2.5ミクロン以下の微小粒子状物質をPM2.5と呼んでいる。PM2.5は肺の奧まで進入しやすく、一度入り込むと排出されるまでに数ヶ月から数年かかる。
そこで、環境問題を改善するため、ディーゼルエンジン車の排ガス規制は強化される方向にあり、事実上、DPF(Diesel Particulate Filter)の装着が義務づけられる方向にある。例えば、ヨーロッパでは、2005年に導入されるユーロ4でPMの排出量を現状の10分の1に削減することが義務づけられているし、グローバル化が急速に進む中、日本でも2年前倒しして、2005年までにPMを現行規制の3分の1にまで削減することが発表されている。
【0029】
このようなディーゼル車を取り巻く環境の下で、従来のディーゼルエンジン車の変速制御においては、燃費と排気が両立する変速線を使用し、変速制御を行っていた。この燃費と排気が両立する変速線とは、図3に示すように、ディーゼルエンジン特性において、低燃費消費エリアに向かう燃費最適変速線(1)と、低排気量エリアに向かう排気最適変速線(4)と、の間を取る変速線である。しかしながら、下記に列挙する問題点がある。
・問題点1
燃費と排気の両立変速線が排気規制値を特定のパターンにおいて下回るように設計されているため、実際の走行では極端に排気量が多くなることがある。
・問題点2
1つの変速線では実際の使用に対し、走行状況において燃費寄りの走行をしている場合や、排気寄りの走行をしている場合に、排気の規制値から乖離が生じる場合がある。
・問題点3
さらに実走行状態では変速線検討段階では考慮できない過渡要素が多々含まれる。イナーシャトルクなどで目標のトルクからずれが生じ得る場合があり、排気の悪化に繋がる場合があった。
【0030】
[変速制御作用]
上記問題点に対し、実施例1のディーゼルエンジン車の変速制御装置では、排気量積算値が排気量閾値を超えないように、排気量積算値をモニターしながら、低燃費変速マップと低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択することで、排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立するようにした。
【0031】
例えば、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップを選択しての走行時、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、ステップS3において、カウントダウン終了の判定がなされるまで、ステップS2→ステップS3へと進む流れが繰り返され、ステップS2において、排気量が積算される。
ここで、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップは、縦軸がベルト式無段変速機3の回転数(=入力回転数)で、横軸が速度(=車速=出力回転数)であり、両回転数の比(=出力回転数/入力回転数)が変速比であり、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップや図4(d)の最適排気変速線による最適排気量変速マップに比べ、高変速比側に設定されている。
したがって、燃費重視の走行を続けることで、ステップS3にてカウントダウン終了の判定がなされた時点で単位距離当たりの排気量積算値Qが第1設定値Q1を超えると、ステップS3からステップS4→ステップS5→ステップS6へと進み、ステップS6において、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択から、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択へと移行する。
このように、単位距離当たりの排気量積算値Qをモニターし、排気量積算値Qが第1設定値Q1を超えると、低排気量変速マップの選択へと移行することで、その後の走行において、排気量を減少する方向にシフトできる。
【0032】
そして、低排気量変速マップへの選択移行後、単位距離当たりの排気量積算値Qが第1設定値Q1以下になると、ステップS5からステップS7へ進み、ステップS7において、第1設定値Q1と排気量積算値Qとの差である排気余裕代が第2設定値Q2を超えているか否かが判断され、Q1−Q≦Q2である限り、低排気量変速マップの選択が維持される。そして、ステップS7において、排気量積算値Qが十分に低下してQ1−Q>Q2になると、ステップS7からステップS8へと進み、ステップS8において、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択から、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択へと復帰する。
このように、低排気量変速マップを選択しての走行中、排気量積算値Qが第1設定値Q1に対し余裕を持っていることが確認されたら、低燃費変速マップに移行することで、燃費を低減する方向にシフトできる。
【0033】
この結果、排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立することができる。具体的な走行パターンの一例による変速制御作用を図5に示すタイムチャートにより説明する。
図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップを選択し、時刻t0の時点から発進し、車速特性に示すように、タイマー時間を経過する時刻t1までの間に走行・停止・走行・停止・走行・停止を繰り返すものとする。この場合、走行距離は停止時の横這い特性を含みながら立ち上がる特性を示し、単位時間当たりの排気物量は走行時に突出する特性を示し、排気総量は次第に増大する特性を示す。このとき、単位距離当たりの排気積算量Qは、発進開始域で大きな値を示すがその後、急激に減少した後、再び増大する特性を示す。
【0034】
そして、低燃費変速マップを選択していることで、タイマー時間を経過する時刻t1の時点で、単位距離当たりの排気積算量Qが排気閾値としての第1設定値Q1を超えると、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択から、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択へと変更される。
【0035】
この時刻t1での低排気量変速マップへの選択変更後、車速特性に示すように、タイマー時間を経過する時刻t2までの間は走行を継続するものとする。この場合、走行距離は時間の経過にしたがって立ち上がる特性を示し、単位時間当たりの排気物量は低く横這いの特性を示し、排気総量は緩やかな勾配にて次第に増大する特性を示す。このとき、単位距離当たりの排気積算量Qは、時刻t1から時刻t2まで緩やかな勾配にて徐々に増大する特性を示す。
【0036】
そして、低排気量変速マップを選択していることで、タイマー時間を経過する時刻t2の時点で、単位距離当たりの排気積算量Qが排気閾値としての第1設定値Q1から排気量積算値Qを差し引いた余裕代(Q1−Q)が第2設定値Q2以下であると、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択から、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択へと再び戻される。
【0037】
この時刻t2での低燃費変速マップへの選択変更後、車速特性に示すように、減速して車両を停止するものとする。この場合、走行距離は車両停止後は一定となり、単位時間当たりの排気物量は低く抑えられた特性を示し、排気総量は横這い状態の特性を示す。このとき、単位距離当たりの排気積算量Qは、時刻t2以降において緩やかな勾配や横這いによる特性を示す。
【0038】
次に、効果を説明する。
実施例1のエンジン車両の変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0039】
(1) エンジンと自動変速機とを有し、前記自動変速機の変速比をマップ設定手段に設定されている変速マップを用いて制御する変速制御手段を備えたエンジン車両の変速制御装置において、前記エンジンからの単位距離当たりの排気量を積算する排気量積算手段を設け、前記マップ設定手段には、変速マップとして、少なくとも低燃費変速マップと低排気量変速マップを設定し、前記変速制御手段は、排気量積算値Qが排気量閾値を超えないように、排気量積算値Qをモニターしながら、前記低燃費変速マップと前記低排気量変速マップのうち何れか一方の変速マップを選択するため、排気量の減少と燃費の改善とを高レベルで両立することができる。
【0040】
(2) 前記エンジンは、ディーゼルエンジン1であり、前記自動変速機は、無段階の変速比を得るベルト式無段変速機3であり、前記変速マップ設定手段は、ディーゼルエンジン特性の低燃費消費エリアに向かう燃費最適変速線に沿う燃費寄り変速線による低燃費変速マップと、ディーゼルエンジン特性の低排気量エリアに向かう排気最適変速線に沿う排気寄り変速線による低排気量変速マップと、を設定したため、PMの低減が要求されているディーゼルエンジン車であって、かつ、自動変速機として有段変速機よりも変速マップの設定自由度の高い無段変速機を用い、排気量の減少と燃費の改善との両立を図ることにより環境問題に貢献することができる。
【0041】
(3) 前記変速制御手段は、燃費寄り変速線を選択しての走行時、排気量積算値Qが第1設定値Q1を超えた場合には排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択に移行するため、排気量積算値Qのモニターにより、排気量が悪化する前の早期タイミングにて排気量を減少する方向にシフトすることができる。
【0042】
(4) 前記変速制御手段は、排気寄り変速線を選択しての走行時、第1設定値Q1と排気量積算値Qとの差である排気余裕代(Q1−Q)が第2設定値Q2を超えた場合には燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択に移行するため、排気量積算値Qのモニターにより、変速マップの選択ハンチングを生じない最適なタイミングにて燃費を低減する方向にシフトすることができる。
【実施例2】
【0043】
実施例2は、燃料レベルと燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量を考慮して変速マップの選択変更を行うようにした例である。なお、構成については、図1に示す実施例1の構成と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0044】
次に、作用を説明する。
[変速制御処理]
図6は実施例2の変速機コントロールユニット21にて実行される変速制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(変速制御手段)。なお、ステップS21〜ステップS28は、図2のステップS1〜ステップS8にそれぞれ対応するので、各ステップの説明を省略する。
【0045】
ステップS29では、ステップS25でのQ>Q1との判断に続き、燃料レベルが燃料レベル閾値F1未満か否かを判断し、yesの場合はステップS30へ移行し、noの場合はステップS26へ移行し、排気寄り変速線による低排気量変速マップ(図3及び図4(c)参照)を選択する。
ここで、燃料レベル閾値F1は、燃料が空に近い領域で、すぐに燃料を補給するレベルの値に設定する。
【0046】
ステップS30では、ステップS29での燃料レベル<F1との判断に続き、燃料が補給されてから排ガスの総排出量を演算し、ステップS31へ移行する。
【0047】
ステップS31では、ステップS30での総排気量演算に続き、燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量が第3設定値Q3を超えているか否かを判断し、yesの場合はステップS26へ移行して排気寄り変速線による低排気量変速マップへ選択を変更し、noの場合はステップS28へ移行して燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択を維持する。ここで、第3設定値Q3は、第1設定値Q1と同様の値により与える。
【0048】
次に、作用を説明する。
例えば、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップを選択しての走行時、図6のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23へと進み、ステップS23において、カウントダウン終了の判定がなされるまで、ステップS22→ステップS23へと進む流れが繰り返され、ステップS22において、排気量が積算される。
したがって、燃費重視の走行を続けることで、ステップS23にてカウントダウン終了の判定がなされた時点で単位距離当たりの排気量積算値Qが第1設定値Q1を超え、かつ、燃料レベルが燃料レベル閾値F1以上であると、ステップS23からステップS24→ステップS25→ステップS29→ステップS26へと進み、ステップS26において、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択から、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択へと移行する。
【0049】
また、燃費重視の走行を続けることで、ステップS23にてカウントダウン終了の判定がなされた時点で単位距離当たりの排気量積算値Qが第1設定値Q1を超え、かつ、燃料レベルが燃料レベル閾値F1未満であると、ステップS23からステップS24→ステップS25→ステップS29→ステップS30→ステップS31へと進み、ステップS30において、燃料が補給されてから排ガスの総排出量が演算され、次のステップS31において、燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量が第3設定値Q3を超えているか否かが判断され、yesの場合はステップS26へ移行して排気寄り変速線による低排気量変速マップへ選択が変更され、noの場合はステップS28へ移行して燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択が維持される。
【0050】
すなわち、燃料が補給されるような場合には、直ちに、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択へと移行するのではなく、燃料が補給されてから最初の走行域での排気量がモニターされ、燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量が第3設定値Q3を超えている場合にのみ、図4(a)に示す燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択から、図4(c)に示す排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択へと移行する。
【0051】
このように、低排気量変速マップの選択へと移行する排気量積算値条件が成立しているが、燃料が新たに補給されることで、燃料補給前の排気量モニターによる判断の信頼性がそのまま確保できるとは限らない。例えば、燃料(軽油)の成分が補給前とは異なる燃料を給油した場合、単位距離当たりの排気量が補給前より少なくなることもあるし、逆に、単位距離当たりの排気量が補給前より多くなることもある。
【0052】
したがって、燃料が補給されるときには、改めて燃料が補給されてからの単位時間当たりの排気量をモニターし、変速マップの選択変更判断をやり直すことで、燃料補給後、排気量が低くなった場合には、低燃費変速マップの選択を維持することで、より燃費性能を高めることができるし、また、燃料補給後も依然として排気量が高い場合には、低排気量変速マップの選択へと移行することで、その後の走行において、排気量を減少する方向にシフトできる。
なお、他の作用については、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
次に、効果を説明する。
実施例2のエンジン車両の変速制御装置にあっては、実施例1の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0054】
(5) 前記変速制御手段は、燃費寄り変速線を選択しての走行時、排気量積算値Qが第1設定値Q1を超え、かつ、燃料レベルが設定閾値F1より低い場合、燃料が補給されてからこれまでの排気ガスの総排出量を算出し(ステップS30)、燃料が補給されてからの単位距離当たりの排気量が、第3設定値Q3以下の場合には燃費寄り変速線による低燃費変速マップの選択を維持し、第3設定値Q3を超える場合には排気寄り変速線による低排気量変速マップの選択に移行するため、燃料補給後、排気量が低くなった場合にはより燃費性能を高めることができるし、また、燃料補給後も依然として排気量が高い場合には排気量を減少する方向にシフトすることができる。
【0055】
以上、本発明のエンジン車両の変速制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0056】
実施例1,2では、変速制御手段として、排気量積算値のみをモニターして低燃費変速マップと低排気量変速マップのうち、一方を選択する例を示したが、排気量積算値に加えて燃料消費量をモニターし、排気量と燃料消費量の両者からマップ選択を行うような例としても良い。
【0057】
実施例1,2では、変速制御手段として、選択を変更する変速マップとして、燃費寄り変速線に基づく低燃費変速マップと排気寄り変速線に基づく低排気量変速マップと、の2つの変速マップを設定した例を示したが、例えば、図4に示すように、最適燃費変速線による最適燃費変速マップと、排気最適変速線による最適排気量変速マップと、を加え、4つの変速マップから選択するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
実施例1,2では、ディーゼルエンジンとベルト式無段変速機と持ち、トルクコンバータを発進要素とする駆動系への適用例を示したが、トルクコンバータを省略し、湿式多板クラッチによるフォワードクラッチとリバースブレーキとを発進要素とする構成の駆動系にも適用できる。また、実施例1,2では、駆動源として排出ガス規制が厳しいディーゼルエンジンを搭載したディーゼルエンジン車の変速制御装置の例を示したが、ガソリンエンジン車やモータと共に内燃機関を搭載したハイブリッド車にも適用できる。さらに、自動変速機として自動変速により無段変速比を得る無段変速機の例を示したが、自動変速により多段階の変速比を得る多段変速機へも適用できる。この場合、少なくとも多段変速用の低燃費変速マップと低排気量変速マップを用意しておく。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施例1の変速制御装置が適用されたディーゼルエンジン車の駆動系を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の変速機コントロールユニットにて実行される変速制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】ディーゼルエンジン特性上で低燃料消費エリアと低排気量エリアと燃費最適変速線・燃費寄り変速線・排気寄り変速線・排気最適変速線を示す図である。
【図4】実施例1の変速機コントロールユニットに予め設定されている低燃費変速マップ・最適燃費変速マップ・低排気量変速マップ・最適排気量変速マップの一例を示す図である。
【図5】具体的な走行パターンの一例により燃費寄り変速線→排気寄り変速線→燃費寄り変速線へと選択が移行する場合の変速制御作用を示すタイムチャートである。
【図6】実施例2の変速機コントロールユニットにて実行される変速制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 ディーゼルエンジン(エンジン)
2 エンジン出力軸
3 ベルト式無段変速機(自動変速機)
4 変速機出力軸
5 ロックアップクラッチ
6 トルクコンバータ
7 タービン回転軸
8 オイルポンプ
9 フォワードクラッチ
10 遊星ギヤ
11 リバースブレーキ
12 変速機入力軸
13 プライマリープーリ
14 ベルト
15 セカンダリープーリ
20 エンジンコントロールユニット
21 変速機コントロールユニット
22 エンジン回転数センサ
23 アクセル開度センサ
24 車速センサ




 

 


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