米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> 日産自動車株式会社

発明の名称 内燃機関の燃焼室構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2797(P2007−2797A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186176(P2005−186176)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
発明者 富永 健介 / 前田 一之
要約 課題
残留する未燃混合気を効率よく燃焼させて、ノッキングの発生を抑制する内燃機関の燃焼室構造を提供する。

解決手段
ピストン12と、燃焼室11を臨んで設けられる点火プラグ16と、ピストン12の冠面12aに形成され、点火プラグ16が点火した火炎をピストン12の外周と吸気ポート22とが近接する領域に誘導する火炎誘導溝13とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ピストンと、
燃焼室を臨んで設けられる点火プラグと、
前記ピストンの冠面に形成され、前記点火プラグが点火した火炎をピストンの外周と吸気ポートとが近接する領域に誘導する火炎誘導溝と、
を備える内燃機関の燃焼室構造。
【請求項2】
前記点火プラグは、吸気ポート側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼室構造。
【請求項3】
前記火炎誘導溝は、前記燃焼室の外周に沿って形成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の燃焼室構造。
【請求項4】
前記火炎誘導溝は、底面が曲面に形成され、前記点火プラグによって点火された火炎が火炎誘導溝の底面に略同時に到達するように形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼室構造。
【請求項5】
前記火炎誘導溝は、前記点火プラグからの距離が離れるほど溝幅が拡大する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼室構造。
【請求項6】
前記火炎誘導溝は、前記点火プラグからの距離が離れるほど溝の深さが増加する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼室構造。
【請求項7】
前記火炎誘導溝は、前記吸気ポートと近接する位置に火炎がとどまる火炎滞留部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の内燃機関の燃焼室構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ノッキングは、エンジンの燃焼室内に残留した未燃混合気が急激に燃焼するために発生する異常燃焼である。ノッキングの発生を抑制するために、複数の点火プラグを配置する方法や燃焼室内にガス流動を発生させることが提案されている。これらの方法は残留した未燃混合気を低減させてノッキングの発生を抑制する効果を有する。
【0003】
点火プラグの複数配置は、第1点火プラグを燃焼室の中央近傍に配置し、第2点火プラグを排気弁又は吸気弁の近傍に配置する2点点火方式などが提案されている。ガス流動には、スキッシュ生成部を冠面に形成したピストンとシリンダとの相対運動によって発生するスキッシュなどが挙げられる。
【0004】
しかし、点火プラグを燃焼室の外周側に設ける構造では、スキッシュ生成部が火炎の成長を妨げてしまうことがあった。そこで、火炎成長を阻害させないために点火プラグの近傍にはスキッシュ生成部を形成しない構造が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−266739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スキッシュ生成部を形成しないと燃焼室内のガス流動が減少するため、火炎の燃焼速度が緩慢になる。そのため、吸入された混合気を十分に燃焼させられずに未燃混合気が燃焼室内に滞留してしまい、ノッキングの発生を十分に抑制できなかった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、スキッシュによるガス流動を発生させなくとも残留する未燃混合気を効率よく燃焼させて、ノッキングの発生を抑制する内燃機関の燃焼室構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0008】
本発明は、ピストン(12)と、燃焼室(11)を臨んで設けられる点火プラグ(16)と、前記ピストン(12)の冠面(12a)に形成され、前記点火プラグ(16)が点火した火炎をピストン(12)の外周と吸気ポート(22)とが近接する領域に誘導する火炎誘導溝(13)とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ピストン冠面に設けられた火炎誘導溝が点火された火炎を誘導して残留した未燃混合気を燃焼させる。したがって、燃焼室内に残留する未燃混合気を減少させることによってノッキングの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による燃焼室構造を有するエンジンの全体断面図である。
【0011】
エンジン10は、内部に燃焼室11を有する。エンジン10は、外気を燃焼室11に導く吸気ポート21と、混合気に点火する点火プラグ15と、燃焼後の排気を排出する排気ポート22とを備える。
【0012】
エンジン10は、シリンダ14と、シリンダ14の内部を摺動するピストン12を備える。燃焼室11は、シリンダ14の内部をピストン12の冠面によって区切られて形成される。燃焼室11は、内部で混合気が燃焼する。ピストン12は、連結されているクランクシャフトを通じて混合気の燃焼によって発生したエネルギーを外部に伝達する。ピストン12には、冠面12aに火炎誘導溝13が形成される。火炎誘導溝13の形状及び配置については、詳細を後述する。
【0013】
エンジン10は、燃焼室11と吸気ポート21との間に吸気弁18を備える。吸気弁18及び吸気ポート21は、後述するようにそれぞれ手前側と奥側の2箇所に設けられている。吸気ポート21は、それぞれ吸気マニホールド25と連結する。吸気弁18は、吸気ポート21と燃焼室11との間を開閉して燃焼室11への吸気量を調節する。吸気ポート21は、燃料噴射弁24を備える。燃料噴射弁24は、図示しない燃料タンクと連結して燃焼室11に燃料を供給する。燃料噴射弁24は、燃料を霧状に噴射して吸気マニホールド25から導かれる吸気と混ぜ合わせて混合気を生成する。
【0014】
また、燃焼室11は、第1点火プラグ15と、第2点火プラグ16とを備える。第1点火プラグ15は、燃焼室11の中心頂上部に備えられる。第1点火プラグ15は、先端に中心電極と、接地電極とを備える。第1点火プラグ15は、電極が燃焼室11の中心を臨むように配置される。第1点火プラグ15は、吸気ポート21から吸入された混合気に点火する。
【0015】
第2点火プラグ16は、燃焼室11の周辺部であって、2箇所に設けられた吸気ポート21の間に配置される。第2点火プラグ16は、燃焼室11のルーフ面11aの外周に設けられる。第2点火プラグ16は、第1点火プラグ15と同様に混合気に点火する。第2点火プラグ16は、第1点火プラグ15よりも小型の点火プラグを用いる。第2点火プラグ16は、第1点火プラグ15による燃焼を補助する。
【0016】
エンジン10は、燃焼室11と排気ポート22との間に排気弁19を備える。排気弁19及び排気ポート22も、吸気側と同様にそれぞれ手前側と奥側の2箇所に設けられる。これらの排気ポート22は、それぞれ排気マニホールド26と連結する。排気弁19は、排気ポート22と燃焼室11との間を開閉して排ガスを排出する。排ガスは、排気マニホールド26から触媒によって浄化された後に外部に排出される。
【0017】
図2は、本発明による燃焼室構造の第1実施形態を示す図であり、図2(A)は燃焼室11のルーフ面11aからピストン冠面12aを見た図、図2(B)〜(E)は図2(A)に示す火炎誘導溝13のB−B断面、C−C断面、D−D断面、E−E断面を示す断面図である。
【0018】
燃焼室ルーフ面11aは、中心に第1点火プラグ15を備える。また、燃焼室ルーフ面11aには、図2(A)に点線で示す位置に吸気ポート21(吸気バルブ18)を備えている。排気ポート22は、吸気ポート21と同様に2箇所設けられている。排気ポート22は、図示されていないが、ルーフ面11aの中心を通過する鉛直方向の直線を軸として吸気ポート21と対称に配置される。排気ポート22は、吸気ポート21よりも小さい径を有する。第2点火プラグ16は、2つの吸気ポート21の間でルーフ面11aの外周側に設けられる。
【0019】
火炎誘導溝13は、図2(A)に示すように第2点火プラグ16を備える位置の近傍からピストン冠面12aの外周に沿って形成される。火炎誘導溝13は、吸気ポート21と、ピストン冠面12aとが近接する位置に向かって溝状に形成される。火炎誘導溝13は、第2点火プラグ16からの距離が離れるほど溝幅が広くなるように形成される。火炎誘導溝13は、図2(B)〜(E)に示すように第2点火プラグ16からの距離が離れるほど深さを増すように形成される。また、火炎誘導溝13の底面は、図2(B)〜(D)に示すように曲面に形成される。さらに、図2(E)に示すように火炎誘導溝13の先端部も曲面に形成される。
【0020】
第1点火プラグ15は、中心電極と接地電極との間に高電圧を加えられると、電極間の絶縁が破れて電流が流れる放電現象が起こって電気火花を発生させる。この電気火花は、圧縮混合気に着火爆発を起こさせる。このように着火した火炎は、燃焼室内で遮られることなくほぼ球状に伝播することが望ましい。したがって、燃焼室の形状は球状に形成され、その中心で点火されることが理想となる。しかし、燃焼室形状は種々の制約条件が加えられるため、実際には球形に形成することはできない。そのため、火炎伝播はその方向及び火炎前面の面積を制限されたり、途中で火炎の一部が壁面と接触して冷却を受けるなどして阻害されてしまう。
【0021】
そこで、第1点火プラグ15を燃焼室11の中心頂上部に設置すると、外周部に設置するよりも比較的火炎が球状に伝播する期間が長く火炎伝播距離が短くなる。したがって、燃焼の立ち上がりも早く、より速やかに燃焼することができる。また、第2点火プラグ16は、吸気によって比較的低温となりやすく未燃混合気が残留しやすい領域で点火されて燃焼を補助する。
【0022】
火炎の伝播は、低温の領域では伝播速度が遅くなる。そのため、このような領域では火炎が到達する前に火炎前方で未燃混合気が圧縮されて自着火を起こしやすく、ノッキングが発生しやすい領域となる。図2(A)に破線円で示した領域30は、吸気ポート21に近接しているため温度が低く、点火プラグからの距離も離れている。したがって、この領域30は特に未燃混合気が滞留しやすくノッキングを発生させやすい。この領域30をノッキング発生領域と定義する。火炎誘導溝13は、第2点火プラグ16からノッキング発生領域30に向かって形成される。
【0023】
前述のように、点火プラグによって点火された火炎は球状に伝播する。ピストン冠面12a上で火炎誘導溝13が形成されている部位は、他の部位よりも火炎が球状に広がる領域が拡大する。したがって、第2点火プラグ16が点火した火炎は、図2(A)に示すように火炎誘導溝13に沿って矢印の方向に伝播しやすくなる。また、火炎誘導溝13は底面が曲面に形成されているため、火炎が火炎誘導溝13の底面に到達するまでの伝播距離のばらつきを低減して、第2点火プラグ16によって点火された火炎が火炎誘導溝の底面にほぼ同時に到達するように形成され、球状に伝播する期間を長くすることができる。さらに、火炎誘導溝13はノッキング発生領域30に向かって幅が広く、深さが深くなるように形成されており、より火炎が球状に伝播しやすいように空間が確保される。
【0024】
図3は、第1点火プラグ15と第2点火プラグ16の点火時期及び燃焼室11の内部の混合気の燃焼率を示すグラフである。縦軸は燃焼室内に吸入された混合気の燃焼率、横軸は第1点火プラグ15の点火後の経過時間を示す。実線は、第1点火プラグ15と第2点火プラグ16を同時に点火する2点同時点火と、第1点火プラグ15を点火した後に第2点火プラグ16を点火する2点位相差点火を示す。また、破線は第1点火プラグ15のみで点火した場合を示す。
【0025】
2点同時点火は、通常運転時に実行される。2点同時点火は、第1点火プラグ15と第2点火プラグ16を同時に点火することによって燃焼性能を向上させる。2点同時点火は、燃焼により発生する力を最大限ピストンに伝達するために、上死点をやや過ぎたタイミングで最大燃焼圧力が発生するように点火時期が定められている。
【0026】
2点位相差点火は、エンジンの全開運転時に実行される。エンジンの全開運転時には、燃焼室内でピストン12が高速に稼動している。そのため、燃焼室11は内部が高温・高圧となって未燃混合気が自着火を起こしやすくなる。2点位相差点火は、第2点火プラグ16の点火するタイミングを遅らせることによって、残留した未燃混合気の燃焼を急速に完了させる。
【0027】
吸入された混合気の70〜90%の燃焼が完了した状態は、特にノッキングを発生させやすい状態となる。これは、混合気の燃焼の進行にともなって燃焼室の内部が高温・高圧となり、さらに自着火を起こす未燃混合気が残留しているためである。第2点火プラグ16は、この状態が継続する時間を短縮させるように点火される。第2点火プラグ16は、混合気の燃焼が全体の70%に至る前(時刻T1)に点火され、第1点火プラグ15によって点火された火炎の燃焼を補助する。第2点火プラグ16は、前述のようにノッキング発生領域30に残留する混合気を優先的に燃焼させることから、混合気の燃焼を速やかに完了させることができる。
【0028】
本実施形態によれば、第2点火プラグによって点火された火炎は、ピストン冠面12aに形成された火炎誘導溝13によってノッキング発生領域30に誘導される。したがって、火炎誘導溝13は燃焼室内に残留する未燃混合気の燃焼を速やかに完了させ、ノッキングの発生を抑制することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、未燃混合気を減少させることによって、燃費を向上させるとともに排気性能を改善させることができる。
【0030】
(第2実施形態)
図4は、本発明による燃焼室構造の第2実施形態を示す図である。
【0031】
なお以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0032】
本実施形態では、火炎誘導溝13は第1実施形態と同様に第2点火プラグ16の近傍からノッキング発生領域30に向かって形成される。火炎誘導溝13は、第1実施形態と同様にノッキング発生領域30に近づくほど深さが深くなるように形成される。また、火炎誘導溝13の先端には火炎滞留部17が形成される。火炎滞留部17は、その一部又は全部がノッキング発生領域30と重なるように形成される。火炎滞留部17は、半球状に形成され、火炎誘導溝13の他の部位よりも幅を広く、深さも深く形成される。
【0033】
第2点火プラグ16が点火した火炎は、火炎誘導溝13によってノッキング発生領域30に誘導される。火炎滞留部17は半球状に形成されているため、点火された火炎は火炎滞留部17の内部を図4に示すように矢印の方向に旋回してノッキング発生領域30に滞留する。
【0034】
また、第1点火プラグ15及び第2点火プラグ16の点火時期は、第1実施形態と同様に制御される。
【0035】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第2点火プラグによって点火された火炎は、火炎誘導溝13によってノッキング発生領域30に誘導される。したがって、燃焼室内の未燃混合気を速やかに燃焼させることができる。また、誘導された火炎は、火炎滞留部17によってノッキング発生領域30にとどまって、残留している未燃混合気をより効果的に燃焼させることができる。このように未燃混合気の燃焼を促進することによって、ノッキングの発生を抑制するとともに、燃費を向上させて排気性能を改善することができる。
【0036】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
【0037】
例えば、ピストン冠面の排気ポート側にスキッシュ生成部を形成し、スキッシュによるガス流動を生成させてもよい。これにより、火炎表面の面積を増加させて燃焼速度を速くさせることができ、ノッキング発生の抑制効果を増強することができる。さらにスワールを併用してもよい。
【0038】
また、第1点火プラグを排気ポート側に配置してもよい。2つの点火プラグが対角に位置することによって、燃焼室内全体の火炎伝播期間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による燃焼室構造を有するエンジンの全体断面図である。
【図2】本発明による燃焼室構造の第1実施形態を示す図である。
【図3】点火プラグの点火時期及び混合気の燃焼率を示すグラフである。
【図4】本発明による燃焼室構造の第2実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 エンジン
11 燃焼室
11a ルーフ面
12 ピストン
12a ピストン冠面
13 火炎誘導溝
14 シリンダ
15 第1点火プラグ
16 第2点火プラグ(点火プラグ)
17 火炎滞留部
18 吸気弁
19 排気弁
21 吸気ポート
22 排気ポート
30 ノッキング発生領域




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013