米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> 日産自動車株式会社

発明の名称 内燃機関の排気温度制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2772(P2007−2772A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184461(P2005−184461)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
発明者 小倉 良介 / 大嶽 佳幸
要約 課題
燃料噴射弁から吸気ポートに燃料を噴射するエンジンにおいて、始動直後の触媒の早期活性化のため、排気通路に2次空気を供給して後燃えを促進する場合に、燃焼室でのリッチ失火等を防止しつつ、排気温度を十分に上昇させる。

解決手段
燃焼室での安定燃焼に最低限必要な燃料噴射量Tieと、排気通路にて2次空気によって燃焼させる燃料噴射量Tiiとをそれぞれ算出する。そして、前記燃料噴射量Tieを排気行程にて噴射し、前記燃料噴射量Tiiを吸気行程にて噴射する。この場合、吸気弁開時期IVOをまたいで1回噴射するか、分割噴射する。
特許請求の範囲
【請求項1】
吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射装置と、排気通路に2次空気を供給する2次空気供給装置とを備える内燃機関において、
排気温度を上昇させるときに、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料噴射量と、排気通路にて前記2次空気供給装置からの2次空気によって燃焼させる燃料噴射量とをそれぞれ算出し、前記安定燃焼に必要な燃料噴射量を排気行程にて噴射し、前記2次空気によって燃焼させる燃料噴射量を吸気行程にて噴射することを特徴とする内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項2】
1回の燃料噴射で、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量との合計燃料噴射量を、吸気弁開時期をまたいで噴射することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項3】
燃料噴射を分割し、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量とを別々の時期に噴射することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項4】
吸気行程燃料噴射量を燃料噴射装置の最小燃料噴射量と比較し、比較結果に応じて、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量との合計燃料噴射量を吸気弁開時期をまたいで噴射する1回噴射と、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量とを別々の時期に噴射する分割噴射とを切換えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項5】
吸気行程燃料噴射量は、燃焼室内の混合気の空燃比がリッチ失火限界となる燃料噴射量から排気行程燃料噴射量を減じた余裕分、および吸気行程噴射燃料の気化率に基づいて算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項6】
吸気行程燃料噴射量は、2次空気供給位置より下流側の排気の空燃比が理論空燃比となる燃料噴射量から排気行程燃料噴射量を減じて算出することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項7】
吸気行程燃料噴射量は、
燃焼室内の混合気の空燃比がリッチ失火限界となる燃料噴射量から排気行程燃料噴射量を減じた余裕分、および吸気行程噴射燃料の気化率に基づいて算出した第1の吸気行程燃料噴射量と、
2次空気供給位置より下流側の排気の空燃比が理論空燃比となる燃料噴射量から排気行程燃料噴射量を減じて算出した第2の吸気行程燃料噴射量とのうち、
小さい方とすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気温度制御装置。
【請求項8】
前記排気通路に排気浄化触媒を備え、前記触媒の昇温要求があった時に、排気温度を上昇させることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関の排気温度制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動直後の排気浄化触媒の早期活性化などに用いる内燃機関の排気温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、排気通路に2次空気を供給する2次空気供給装置(エアポンプ)とを備え、燃料噴射弁により、主燃焼用の燃料の噴射とは別に、膨張行程から排気行程の間に燃料の追加噴射を行い、追加噴射された燃料を排気通路にて2次空気供給手段からの2次空気によって燃焼させることにより、排気温度を上昇させて、始動直後の排気浄化触媒の早期活性化を図るものが開示されている。
【特許文献1】特開2002−327619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、膨張行程から排気行程の間に燃焼室内に追加噴射を行うという直噴エンジンに固有の技術であり、吸気通路に燃料を供給するエンジンには適用できない。
吸気通路に燃料を供給するエンジンの場合、燃料供給量の増量により、筒内A/Fをリッチにして運転することで、排気通路に未燃分を多量に排出させ、これを2次空気供給装置からの2次空気によって燃焼させることで、排気温度を上昇させることが可能であり、A/Fがリッチなほど、排温上昇効果が高いことが解っている。
【0004】
しかし、過リッチによるリッチ失火や燃焼安定度悪化がネックであり、リッチ限界があることから、エミッションからの最適A/Fを使用できないのが実状である。
本発明は、このような実状に鑑み、吸気通路に燃料を供給するエンジンにおいて、リッチ失火を防止しつつ、排気通路にて2次空気を最大限に活用して排気温度を十分に上昇させることができる内燃機関の排気温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明では、排気温度を上昇させるときに、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料噴射量と、排気通路にて2次空気供給装置からの2次空気によって燃焼させる燃料噴射量とをそれぞれ算出し、前記安定燃焼に必要な燃料噴射量を排気行程にて噴射し、前記2次空気によって燃焼させる燃料噴射量を吸気行程にて噴射する構成とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、排気行程(吸気弁開弁前)にて噴射された燃料は吸気弁表面温度により気化されてから燃焼室内に吸入され、燃焼に寄与するのに対し、吸気行程(吸気弁開弁後)にて噴射された燃料は気化されることなく液滴のまま燃焼室内に吸入され、ほとんど燃焼されることなく排出される。従って、燃料噴射量を増やしても気化促進される燃料量を従来通りとすることで、筒内の燃焼A/Fが過剰にリッチとならず、燃焼安定度の悪化を防止できる一方、排気通路での後燃え量が増加し、大幅な排温上昇が可能となり、触媒の早期活性→エミッション低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すエンジン(内燃機関)のシステム図である。
エンジン1の吸気通路2には、上流側から、エアクリーナ3、電制スロットル弁4、吸気マニホールド(コレクタ)5が設けられている。電制スロットル弁4は吸入空気量を制御するもので、エンジンコントロールユニット(以下ECUという)30からの信号により作動するステップモータ等により開度制御される。但し、アクセルペダルにワイヤ等で連結された機械式のスロットル弁を用いてもよい。
【0008】
吸気マニホールド5の出口側のブランチ部には、各気筒の吸気ポート6に(吸気弁8傘部を指向して)燃料を噴射する燃料噴射弁7が取付けられている。燃料噴射弁7は、ECU30からエンジン回転に同期して出力される噴射パルス信号により、そのパルス幅によって定められる時間、ソレノイドに通電されて開弁し、所定圧力に調圧された燃料を噴射する。
【0009】
電制スロットル弁4の制御を受けた空気と、燃料噴射弁7から噴射された燃料は、吸気弁8が開いたときに、エンジン1の燃焼室9に吸入される。
燃焼室9内に吸入された空気と燃料は、混合気を形成し、ECU30により制御される点火時期にて、点火プラグ10により点火されて燃焼する。燃焼後の排気は、排気弁11を介して、排気通路12(排気ポート13)へ排出される。排気通路12は、シリンダヘッド内に気筒毎に形成される排気ポート13、これらの出口側に接続される排気マニホールド14などから構成されており、排気マニホールド14の集合部直下に三元触媒等の排気浄化触媒15が設けられている。
【0010】
ここで、排気通路12の排気浄化触媒15上流、特に排気の高温部であるシリンダヘッド内の各気筒の排気ポート13に(排気弁11傘部を指向して)2次空気を供給すべく、2次空気供給装置として、電動式エアポンプ16が設けられ、その吐出側は、開閉弁(遮断弁)17を介し、更に分配用のギャラリー18を介して、気筒毎の排気ポート13に開口する2次空気供給通路19に接続されている。なお、ここでは2次空気を排気ポート13に供給しているが、排気通路12の触媒15上流であればよく、また、気筒毎、気筒グループ毎、全気筒共通のいずれでもよい。
【0011】
エアポンプ16の吸入側は、配管20により、吸気通路2のエアクリーナ3下流(電制スロットル弁4上流に配置されるエアフローメータ33より上流)に設けた2次空気取出口21に接続されている。
ECU30には、アクセル開度センサ31により検出されるアクセル開度APO、クランク角センサ32により検出されるエンジン回転速度N、エアフローメータ33により検出される吸入空気量Q、吸気温センサ34により検出される吸気温Ta、水温センサ35により検出されるエンジン冷却水温Tw、空燃比センサ36により検出される排気空燃比などが入力されている。この他、図示しないが、イグニッションスイッチ及びスタートスイッチを有するエンジンキースイッチからも信号が入力されている。
【0012】
ECU30は、これらの入力信号より検出されるエンジン運転条件に基づいて、電制スロットル弁4の開度、燃料噴射弁7の燃料噴射時期及び燃料噴射量、点火プラグ10の点火時期などを制御する。また、エアポンプ16、開閉弁17の作動を制御する。なお、開閉弁17はエアポンプ16のON時に開、OFF時に閉とするもので、エアポンプ16自体がOFF時の遮断機能を有しているときは省略できる。
【0013】
次に、ECU30により実行される燃料・2次空気制御ルーチンについて、図2のフローチャートにより説明する。本ルーチンはエンジン回転中、所定時間ごとに実行される。
S11では、吸入空気量Q、エンジン回転速度N、アクセル開度APO、水温Twを読み込む。
S12では、現在クランキング中(スタートスイッチON)であるか否かを判断する。
【0014】
S12で現在クランキング中であると判断された場合は、S13へ進み、2次空気供給装置を停止状態とする。具体的には、エアポンプを駆動するモータヘの電力供給を遮断し、2次空気供給通路に配設された開閉弁を閉状態に制御する。
次のS14では、始動時用の燃料噴射量Tiと燃料噴射時期ITを算出する。具体的には、基本燃料噴射量Tpに始動時用の増量補正係数を乗じて燃料噴射量Tiを算出するとともに、燃料噴射時期ITを排気行程中(吸気弁開弁前)の所定時期に設定する。
【0015】
なお、基本燃料噴射量Tpは吸入空気量Qに対する理論空燃比相当の燃料噴射量であり、次式により所定時間毎に算出されている。
Tp=K×Q/N (ただし、Kは係数)
また、本実施形態における燃料噴射量は全て燃料噴射弁の開弁時間として算出される。
S12で現在クランキング中でないと判断された場合は、S15へ進み、アクセル開度APOがほぼ0(アイドル状態)であるか否かを判断する。なお、アクセル開度センサの他にアイドルスイッチを備えている場合は、アイドルスイッチがONであるか否かを判断するようにしてもよい。
【0016】
S15でアクセル開度APOがほぼ0であると判断された場合は、S16へ進み、水温Twが触媒暖機判定水温Twthより低いか否かを判断する。ここでは水温Twを用いて触媒の暖機を判定しているが、触媒温度センサを備えている場合は触媒温度を使う。
S16で水温Twが触媒暖機判定水温Twthより低いと判断された場合は、S17へ進み、2次空気供給装置を作動状態とする。具体的には、エアポンプを駆動するモータヘ所定の電力を供給し、2次空気供給通路に配設された開閉弁を開状態に制御する。
【0017】
次のS18では、タイマTの値が2次空気安定時間Tthより小さいか否かを判断する。タイマTは、2次空気供給装置を作動状態としてからの経過時間を計測するタイマであり、この経過時間が2次空気安定時間Tth以上となるまでは所望の2次空気流量が得られない。
S18でタイマTの値が2次空気安定時間Tthより小さいと判断された場合は、S19へ進み、通常時用の燃料噴射量Tiと燃料噴射時期ITを算出する。具体的には、基本燃料噴射量Tpに各種補正係数COEFと空燃比フィードバック補正係数αを乗じて燃料噴射量Ti(=Tp×COEF×α)を算出するとともに、燃料噴射時期ITを排気行程中の所定時期に設定する。各種補正係数COEFは始動後増量補正係数や水温増量補正係数等をまとめたものであり、基本燃料噴射量Tpに各種補正係数COEFを乗じることで安定燃焼に最低限必要な燃料噴射量が算出される。なお、空燃比センサ活性前および2次空気供給装置作動中は空燃比フィードバック補正係数αを1にクランプするので、本ステップ実行時のαは常に1となる。燃料噴射時期ITは、燃料噴射(Ti)終了から吸気弁開時期IVOまでの時間が十分な時間(噴射した燃料が吸気弁の熱によって十分に気化する時間)となるように決定される(図4(A)参照)。
【0018】
S18でタイマTの値が2次空気安定時間Tth以上であると判断された場合は、S20へ進み、2次空気導入時用の燃料噴射量Tiと燃料噴射時期ITを算出する。本ステップの処理については後に図3に基づいて詳細に説明する。なお、2次空気が安定して供給されている状態において、2次空気導入時用の制御(リッチ化)を行うのは、HC排出の悪化を防止するためである。
【0019】
S15でアクセル開度APOが0より大きいと判断された場合、又はS16で水温Twが触媒暖機判定水温Twth以上であると判断された場合は、S21へ進み、通常時用の燃料噴射量Tiと燃料噴射時期ITを算出する(S19と同様)。
次のS22では、カウンタCの値が所定値Cthより小さいか否かを判断する。カウンタCは、燃料制御が2次空気導入時用から通常時用へ切換わったときにリセットされ、エンジンが1回転する毎にカウントアップされるカウンタである。
【0020】
S22でカウンタCの値が所定値Cthより小さいと判断された場合は、S23へ進み、2次空気供給装置を作動状態とする。燃料制御を切換えた直後は前制御の影響が残っている(2次空気導入時用の燃料噴射が既に実行された気筒の排気行程が終了していない等)可能性があるので、燃料制御を切換えてからしばらくの間は2次空気の供給を縦続するためである。
【0021】
S22でカウンタCの値が所定値Cth以上であると判断された場合は、S24へ進み、2次空気供給装置を停止状態とする。
次に、図2のルーチンのS20の処理(2次空気導入時用の燃料噴射量Ti、燃料噴射時期ITの算出)について、その詳細を、図3のフローチャート(第1実施形態)により説明する。
【0022】
S31では、基本燃料噴射量Tpに2次空気導入時用の各種補正係数COEF2を乗じて排気行程中(吸気弁開弁前)の燃料噴射量Tie(=Tp×COEF2)を算出する。排気行程燃料噴射量Tieは、吸気弁開時期IVOをまたいで実行される燃料噴射の前半(吸気弁開時期IVO前)の燃料噴射量であり、安定燃焼に最低限必要な燃料噴射量として算出される。なお、通常時の排気行程噴射と比較すると噴射燃料の気化時間が短いので、これを考慮した噴射量を算出する。具体的には、水温等の条件が同じであるとき、2次空気導入時用の各種補正係数COEF2を通常時用の各種補正係数COEFより若干増量側の値とする。
【0023】
S32では、リッチ失火限界燃料噴射量Tp2と最大燃料噴射量Timを算出する。
リッチ失火限界燃料噴射量Tp2は、燃焼室内の混合気の空燃比がリッチ失火限界空燃比となる燃料噴射量であり、次式により算出される。
Tp2=K2×Q/N (ただし、K2はKより大きい係数)
最大燃料噴射量Timは、排気浄化用触媒に流入する排気の空燃比が理論空燃比となる燃料噴射量であり、2次空気流量Q2を用いて、次式により算出される。
【0024】
Tim=K×(Q+Q2)/N
なお、2次空気流量Q2は、2次空気供給用のエアポンプの設計流量であり、予め定まっている。本実施形態では、2次空気の供給が安定してから2次空気導入時用の燃料制御を開始するので、上式中の2次空気流量Q2として設計流量を使用することができる。排圧の影響を考慮し、エンジン回転速度Nや吸入空気量Qに応じて2次空気流量Q2の値を補正するようにすればなおよい。
【0025】
S33では、水温Twに基づいて吸気行程噴射燃料気化率Vを算出する。吸気行程噴射燃料気化率Vは、吸気行程中(吸気弁開弁後)に噴射した燃料のうち点火時期までに気化する燃料の割合を示す値であり、水温Twが高いほど、すなわち吸気行程噴射燃料が付着するボア壁温度が高いときほど、値が大きくなる。なお、水温Twに加えて吸気温Taも考慮するとよい。点火時期までに気化しなかった燃料は膨張行程中に燃焼熱を受けて気化し、排気行程において既燃焼ガスとともに排出される。この未燃燃料が2次空気により排気ポート内および排気マニホールド内で燃焼する。
【0026】
S34では、2種類の吸気行程燃料噴射量Tii1、Tii2を算出する。
一方の吸気行程燃料噴射量Tii1は、燃焼室内の混合気(点火時期において形成されている混合気)の空燃比をリッチ失火限界空燃比とする吸気行程燃料噴射量であり、次式により算出される。
Tii1=(Tp2−Tie)/V
ここでは、排気行程中の噴射燃料が全て点火時期までに気化して混合気を形成すると仮定し、これをリッチ失火限界燃料噴射量Tp2から減じて余裕分を算出するとともに、この余裕分を吸気行程噴射燃料気化率Vで除して吸気行程燃料噴射量Tii1を算出する。実際には、排気行程中の噴射燃料が全て点火時期までに気化するわけではないが、リッチ失火を確実に防止するため、上記仮定に基づいて吸気行程燃料噴射量Tii1を算出している。
【0027】
他方の吸気行程燃料噴射量Tii2は、排気浄化用触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比とする吸気行程燃料噴射量であり、次式により算出される.
Tii2=Tim−Tie
すなわち、最大燃料噴射量Timから排気行程燃料噴射量Tieを減じた残りが吸気行程燃料噴射量Tii2である。
【0028】
S35では、2種類の吸気行程燃料噴射量Tii1、Tii2のうちの小さいほうを最終的な吸気行程燃料噴射量Tiiとする。Tii1が選択された場合、点火時期における燃焼室内の混合気の空燃比はリッチ失火限界空燃比となり、排気浄化用触媒に流入する排気の空燃比は理論空燃比よりリーン側となる。Tii2が選択された場合、点火時期における燃焼室内の混合気の空燃比はリッチ失火限界空燃比よりリーン側となり、排気浄化用触媒に流入する排気の空燃比は理論空燃比となる。
【0029】
S36では、排気行程燃料噴射量Tieと吸気行程燃料噴射量Tiiとを加算して燃料噴射量Ti(=Tie+Tii)を算出する。なお、Tii2が選択された場合の燃料噴射量Tiは最大燃料噴射量Timになる。
S37では、排気行程燃料噴射量Tieとエンジン回転速度Nに基づいて燃料噴射時期ITを算出する。具体的には、排気行程燃料噴射量Tieをエンジン回転速度Nでクランク角度に変換した値を吸気弁開時期から減じて燃料噴射時期IT(噴射開始クランク角度)を算出する。図示しない燃料噴射実行ルーチン(エンジン回転に同期して実行)では、クランク角度が燃料噴射時期ITとなったときに燃料噴射量Ti相当の長さを持った噴射パルス信号を該当気筒の燃料噴射弁へ出力する。これにより、図4(C)に示す2次空気導入時用の燃料噴射を行うことができる。
【0030】
次に本実施形態の効果について説明する。
始動時の触媒早期活性化を目的として、排気通路に2次空気を供給するシステムにおいて、排温上昇効果を最大とする場合、筒内の燃焼A/Fは可能な限りリッチとすることが望ましい。
しかし、後燃えに利用する未燃HC増加を目的として燃料噴射量を多くすると、全ての燃料が吸気弁で気化促進され、筒内が過剰にリッチとなる。すなわち、図4(A)に示すように、通常時用燃料制御では、燃料噴射終了から吸気弁開弁(IVO)までに十分な気化時間をとるように、燃料噴射時期を排気行程なかばに設定しており、図4(B)に示すように、通常時用燃料制御のままリッチ化した場合、リッチ化分も吸気弁表面温度で気化が促進されるため、筒内が過剰にリッチとなる。
【0031】
これにより、燃焼が不安定となり、エンジン振動が車両運転性を悪化させる。また、過渡のA/F変動時などにリッチ失火に至る可能性がある。また、全ての供給燃料の気化が促進されると、未燃のまま排出させたい燃料までも燃焼に関わるので、燃焼室から排出する未燃HCが減少し、効率よく排温上昇効果が得られない。
そこで、本発明では、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料噴射量(Tie)と、排気通路にて2次空気によって燃焼させる燃料噴射量(Tii)とをそれぞれ算出し、前記安定燃焼に必要な燃料噴射量(Tie)を排気行程にて噴射し、前記2次空気によって燃焼させる燃料噴射量(Tii)を吸気行程にて噴射する。
【0032】
特に本実施形態では、図4(C)に示すように、1回の燃料噴射で、排気行程燃料噴射量Tieと吸気行程燃料噴射量Tiiとの合計燃料噴射量を、吸気弁開時期IVOをまたいで噴射する。
これによれば、排気行程(吸気弁開弁前)にて噴射された燃料は吸気弁表面温度により気化されてから燃焼室内に吸入され、吸気行程(吸気弁開弁後)にて噴射された燃料は気化されることなく液滴のまま燃焼室内に吸入される。
【0033】
従って、排気行程にて噴射された燃料は燃焼室内での燃焼に寄与するのに対し、吸気行程にて噴射された燃料の多くは燃焼されることなく排出される。
従って、燃料噴射量を増やしても気化促進される燃料量を従来通りとすることで、筒内の燃焼A/Fが過剰にリッチとならず(供給A/Fがリッチでも燃焼A/Fはそれよりリーンとなり)、燃焼安定度の悪化やリッチ失火を防止できる。その一方、排気通路での後燃え量が増加し、大幅な排温上昇が可能となり、触媒の早期活性→エミッション低減が可能となる。
【0034】
また、本実施形態によれば、吸気行程燃料噴射量Tiiは、燃焼室内の混合気の空燃比がリッチ失火限界となる燃料噴射量Tp2から排気行程燃料噴射量Tieを減じた余裕分、および吸気行程噴射燃料の気化率Vに基づいて算出することにより(Tii=Tii1の場合)、リッチ失火限界を考慮して、燃料噴射量の最適化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、吸気行程燃料噴射量Tiiは、2次空気供給位置より下流側(触媒入口)の排気の空燃比が理論空燃比となる燃料噴射量Timから排気行程燃料噴射量Tieを減じて算出することにより(Tii=Tii2の場合)、触媒での浄化効率を考慮して、燃料噴射量の最適化を図ることができる。すなわち、供給2次空気量に対して必要以上に未燃HCが排出されることなくなり、テールパイプHCの悪化を防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、吸気行程燃料噴射量は、燃焼室内の混合気の空燃比がリッチ失火限界となる燃料噴射量Tp2から排気行程燃料噴射量Tieを減じた余裕分、および吸気行程噴射燃料の気化率Vに基づいて算出した第1の吸気行程燃料噴射量Tii1と、2次空気供給位置より下流側(触媒入口)の排気の空燃比が理論空燃比となる燃料噴射量Timから排気行程燃料噴射量Tieを減じて算出した第2の吸気行程燃料噴射量Tii2とのうち、小さい方とすることにより、リッチ失火限界、触媒での浄化効率を考慮して、燃料噴射量の最適化を図ることができる。
【0036】
次に本発明の第2実施形態について図5および図6に基づいて説明する。
図5は、図2のルーチンのS20の処理(2次空気導入時用の燃料噴射量Ti、燃料噴射時期ITの算出)について、第2実施形態を示すフローチャートであり、図3の代わりに実行される。
S41では、基本燃料噴射量Tpに各種補正係数COEFを乗じて排気行程燃料噴射量Tie(=Tp×COEF)を算出する。本実施形態では、排気行程噴射時期ITeを通常時の噴射時期と同じように設定する(S46)ので、通常時と同じ各種補正係数COEFを使って排気行程燃料噴射量Tieを算出している。
【0037】
S42では、リッチ失火限界燃料量Tp2と最大燃料噴射量Timを算出する(図3のS32と同様)。
S43では、水温Twに基づいて吸気行程噴射燃料気化率Vを算出する(図3のS33と同様)。本実施形態の吸気行程噴射時期は吸気行程のなかばに設定されるので、同じ水温で比較した場合、第1実施形態の吸気行程噴射燃料気化率Vより本実施形態の吸気行程噴射燃料気化率Vのほうが小さくなる。
【0038】
S44では、2種類の吸気行程燃料噴射量Tii1、Tii2を算出する(図3のS34と同様)。
S45では、2種類の吸気行程燃料噴射量Tii1、Tii2のうちの小さいほうを最終的な吸気行程燃料噴射量Tiiとする(図3のS35と同様)。
S46では、排気行程燃料噴射量Tieとエンジン回転速度Nに基づいて排気行程燃料噴射時期ITeを算出する。前述の通り、排気行程燃料噴射時期ITeは通常時の噴射時期と同じ設定とする(図6参照)。
【0039】
S47では、吸気行程燃料噴射量Tiiとエンジン回転速度Nに基づいて吸気行程燃料噴射時期ITiを算出する。吸気行程燃料噴射時期ITiは、噴射燃料の気化量が最も少なくなる時期に設定される(図6参照)。噴射燃料が吸気弁の位置に到達する時点で吸気弁が最大リフトとなるように噴射時期を設定すると燃料が液滴のままボア壁まで到達しやすくなり、噴射燃料の気化量が少なくなる。また、吸気弁を通過するときの吸気流速(小さいほど気化量が少なくなる)や燃焼室内に流入してから点火時期までの時間(短いほど気化量が少なくなる)も考慮する。
【0040】
図示しない燃料噴射実行ルーチンでは、排気行程燃料噴射時期ITeと吸気行程燃料噴射時期ITiに有効な値が設定されている場合に2回噴射を行う。
本実施形態では、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料噴射量と、排気通路にて2次空気によって燃焼させる燃料噴射量とをそれぞれ算出し、前記安定燃焼に必要な燃料噴射量を排気行程にて噴射し、前記2次空気によって燃焼させる燃料噴射量を吸気行程にて噴射する際に、図6に示すように、燃料噴射を分割し、排気行程燃料噴射量Tieと吸気行程燃料噴射量Tiiとを別々の時期に噴射する。
【0041】
具体的には、排気行程燃料噴射量Tieを排気行程のなかばに噴射し、吸気行程燃料噴射量Tiiを吸気行程のなかばに噴射する。
これによれば、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料は、排気行程の早い時期に噴射して、吸気弁開弁までの気化時間をより十分にとることができ、より燃焼安定性を向上させることができる。
【0042】
その一方、2次空気によって燃焼させる燃料は、吸気行程の遅い時期に噴射することで、点火までの気化時間を短くでき、また噴射時期が吸気弁部の開口面積が大きくなって吸気流速が遅くなる時期となることから、より気化しづらくなり、より後燃え量が増加して、排温上昇効果をより高めることができる。
なお、吸気行程燃料噴射は、できるだけ遅くして、吸気弁閉時期IVC近くで噴射を終了させる方が、気化時間が短くなり、燃焼に寄与しづらくなるのでよい。但し、噴射燃料が吸気弁に付着しない程度とする。
【0043】
また、分割噴射の場合、通常燃焼分とリッチ化分とを明確に分けることできるので、多少の噴射タイミングのばらつきに影響を受けないという利点もある。
次に本発明の第3実施形態について図7に基づいて説明する。
図7は、図2のルーチンのS20の処理(2次空気導入時用の燃料噴射量Ti、燃料噴射時期ITの算出)について、第3実施形態を示すフローチャートである。
【0044】
S51では、第2実施形態(図5)のS41〜S45と同じ処理を実施して、2回噴射用の排気行程燃料噴射量Tieと吸気行程燃料噴射量Tiiを算出する。
S52では、吸気行程燃料噴射量Tiiが燃料噴射弁の最小燃料噴射量Timin より大きいか否かを判断する。最小燃料噴射量Timin は、燃料噴射弁の仕様によって予め定まる値であり、燃料噴射弁はこれ以下の量の燃料を精度よく噴射することができない。
【0045】
S52で吸気行程燃料噴射量Tiiが燃料噴射弁の最小燃料噴射量Timin より大きいと判断された場合は、S53へ進み、第2実施形態(図5)のS46、S47と同じ処理を実施して、排気行程燃料噴射時期ITeと吸気行程燃料噴射時期ITiを算出する。
S52で吸気行程燃料噴射量Tiiが燃料噴射弁の最小燃料噴射量Timin 以下であると判断された場合は、S54へ進み、第1実施形態(図3)のS31〜S37と同じ処理を実施して、1回噴射での燃料噴射量Tiと燃料噴射時期ITを算出する。
【0046】
本実施形態では、燃焼室での安定燃焼に必要な燃料噴射量と、排気通路にて2次空気によって燃焼させる燃料噴射量とをそれぞれ算出し、前記安定燃焼に必要な燃料噴射量を排気行程にて噴射し、前記2次空気によって燃焼させる燃料噴射量を吸気行程にて噴射する際に、吸気行程燃料噴射量を燃料噴射装置(燃料噴射弁)の最小燃料噴射量と比較し、比較結果に応じて、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量との合計燃料噴射量を吸気弁開時期をまたいで噴射する1回噴射と、排気行程燃料噴射量と吸気行程燃料噴射量とを別々の時期に噴射する分割噴射とを切換える。
【0047】
本実施形態によれば、分割噴射により第2実施形態と同様の効果が得られる他、リッチ化燃料の量が少なくなるときには1回噴射に切換えることで、燃料噴射制御不可能となる事態を回避できる。
図8は、始動後(ファーストアイドル)20秒後の排気マニホールド入口温度(℃)とHC排出量(g/km)との関係を示している。これからわかるように、始動直後の排気温度を上昇させることで、エミッションを向上させることができる。
【0048】
図9は排温別(高、中、低)に始動後の時間経過に伴う触媒出口HC濃度(ppm )の推移を示したもので、これも排温上昇を早めることで、エミッションを向上できることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を示すエンジンのシステム図
【図2】燃料・2次空気制御ルーチンのフローチャート
【図3】2次空気導入時用のサブルーチンの第1実施形態のフローチャート
【図4】第1実施形態の2次空気導入時用燃料制御の説明図
【図5】2次空気導入時用のサブルーチンの第2実施形態のフローチャート
【図6】第2実施形態の2次空気導入時用燃料制御の説明図
【図7】2次空気導入時用のサブルーチンの第3実施形態のフローチャート
【図8】排温上昇の効果を示す図
【図9】排温上昇の効果を示す図
【符号の説明】
【0050】
1 エンジン
2 吸気通路
3 エアクリーナ
4 電制スロットル弁
5 吸気マニホールド
6 吸気ポート
7 燃料噴射弁
8 吸気弁
9 燃焼室
10 点火プラグ
11 排気弁
12 排気通路
13 排気ポート
14 排気マニホールド
15 排気浄化触媒
16 エアポンプ
17 開閉弁
18 ギャラリー
19 2次空気供給通路
20 配管
21 2次空気取出口
30 エンジンコントロールユニット(ECU)
31 アクセル開度センサ
32 クランク角センサ
33 エアフローメータ
34 吸気温センサ
35 水温センサ
36 空燃比センサ





 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013