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発明の名称 車輪用軸受装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24208(P2007−24208A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208440(P2005−208440)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
発明者 亀高 晃司
要約 課題

加締加工に伴う内輪の変形を抑え、内輪の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
一端部に車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、
前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、
前記内輪と小径段部の嵌合部に径方向の逃がし部が設けられ、この逃がし部が前記内輪の内側転走面の内端部に対応する位置から端面に向って漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記内輪の内径が端面に向って漸次大径になるように形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記小径段部の端部外周面が前記内輪の端面に向って漸次小径になるように形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記逃がし部が所定の傾斜角からなるテーパ状に形成されている請求項1乃至3いずれかに記載の車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記逃がし部の最大量が20〜60μmの範囲に設定されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、ハブ輪の揺動加締によって内輪が固定されるセルフリテイン構造において、この加締加工に伴う内輪の変形を抑え、内輪の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の車輪用軸受装置には、駆動輪用のものと従動輪用のものとがある。特に、自動車の懸架装置に対して車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置は、低コスト化は言うまでもなく、燃費向上のための軽量・コンパクト化が進んでいる。その従来構造の代表的な一例として、図5に示すような従動輪用の車輪用軸受装置が知られている。
【0003】
この車輪用軸受装置は第3世代と称され、ハブ輪51と内輪52と外輪53、および複列の転動体54、54とを備えている。ハブ輪51は、その一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ55を一体に有し、外周に内側転走面51aと、この内側転走面51aから軸方向に延びる小径段部51bが形成されている。また、車輪取付フランジ55の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト56が植設されている。
【0004】
ハブ輪51の小径段部51bには、外周に内側転走面52aが形成された内輪52が圧入されている。そして、ハブ輪51の小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部51cにより、ハブ輪51に対して内輪52が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0005】
外輪53は、外周に車体取付フランジ53bを一体に有し、内周に複列の外側転走面53a、53aが形成されている。これら複列の外側転走面53a、53aと、これらに対向する内側転走面51a、52aの間には複列の転動体54、54が転動自在に収容されている。
【0006】
ハブ輪51は、炭素の含有量が0.40〜0.80重量%である炭素鋼製の素材に鍛造を施すことにより一体に形成され、車輪取付フランジ55の基部から内側転走面51a、および小径段部51bに亙って高周波焼入れ等によって表面が硬化処理されている。なお、加締部51cは、鍛造後の素材表面硬さの生のままとしている。一方、内輪52は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼のような高炭素鋼製とし、芯部まで焼入れ硬化されている。
【0007】
ここで、内輪52の内端部内周面に、内端開口に向う程内径が大きくなる円錐凹面状の傾斜面57が形成されている。この傾斜面57がハブ輪51の中心軸に対し傾斜し、その傾斜角θは20〜60°程度に設定されている。また、小径段部51bの内端面には円形の凹部58が形成されることにより、小径段部51bの内端部に円筒部59が形成される。
【0008】
これにより、従来構造の場合に比べて加締部51cの変形量が少なくて済む。すなわち、従来構造の場合には、加締部51cを形成するため、小径段部51bの端部に形成された円筒部を径方向外方に向け、90°折り曲げるのに対して、ここでは、円筒部59を前記傾斜角θ(=20〜60°)だけ変形させれば良いだけなので、加締部51cに割れ等の損傷が発生するのを抑えることができると共に、内輪52の径方向外方に加わる力を低減できて、内輪52の損傷防止を図れる。
【特許文献1】特開平10−95203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の車輪用軸受装置は、円筒部59を傾斜角θだけ変形させれば良いので、従来構造の場合に比べて加締部51cの変形量が少なくて済み、加締部51cに割れ等の損傷が発生するのを抑えることができると共に、内輪52の径方向外方に加わる力を低減できるという特徴を備えているが、車輪用軸受装置に大きなモーメント荷重等が負荷された時においても内輪52を強固に固定するだけの強度が加締部51cに要求される。一般的に、加締部51cの強度はこの加締部51c自体の剛性に依存するため、単に加締部51cの塑性変形量を抑えるだけでは、加締部51cの強度を確保することは難しい。
【0010】
ここで、加締部51cの剛性を高くすればおのずと揺動プレス加工における成形荷重が大きくなり、それに伴って内輪52の内径は押し広げられることになり、内輪52の外径60にフープ応力が発生するのは否めない。内輪52の外径60にフープ応力が発生すると、内輪52が損傷する恐れがある。また、フープ応力によって内輪が損傷に至らなくても、この部位に腐食が発生した場合、環境下に存在する拡散性水素が内輪52の組織内に侵入して金属粒界が破壊する、所謂「遅れ破壊」が発生し易くなって好ましくない。したがって、この内輪52の外径60に発生するフープ応力を軽減することと、加締部51cの変形量を少なくして加締部51cに割れ等の損傷が発生するのを抑えること、言うなれば相反する課題を解決できる対策が望まれていた。
【0011】
さらに、従来の車輪用軸受装置では、小径段部51bの端部を径方向外方に塑性変形させて加締部51cを形成する場合、図6に示すように、小径段部51bのうち加締部51cの近傍も径方向に塑性変形するため、この塑性変形に伴って内輪52の内径は押し広げられることになり、内輪52の外径60がテーパ状に弾性変形する(揺動加締前の状態を二点鎖線にて示す)。
【0012】
このように、内輪52の外径60がテーパ状に弾性変形し、外径60に傾斜角αがついて円筒度が崩れた場合、この部位にシールあるいは速度検出用のエンコーダ等を圧入する際、組立性が低下するだけでなく、かじりが発生する恐れがあって好ましくない。
【0013】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、加締加工に伴う内輪の変形を抑え、内輪の耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記内輪と小径段部の嵌合部に径方向の逃がし部が設けられ、この逃がし部が前記内輪の内側転走面の内端部に対応する位置から端面に向って漸次大きくなるように形成されている構成を採用した。
【0015】
このように、ハブ輪の小径段部に内輪が圧入され、小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、ハブ輪に対して内輪を軸方向に固定した、所謂セルフリテイン構造の車輪用軸受装置において、内輪と小径段部の嵌合部に径方向の逃がし部が設けられ、この逃がし部が内輪の内側転走面の内端部に対応する位置から端面に向って漸次大きくなるように形成されているので、加締荷重によって生じる内輪の外径の弾性変形を抑制して外径に発生するフープ応力を軽減すると共に、加締部の変形量を少なくして加締部に割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる。さらに、内輪の外径に圧入されるエンコーダ等の組立性を向上させることができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明のように、前記内輪の内径が端面に向って漸次大径になるように形成されていても良いし、また、請求項3に記載の発明のように、前記小径段部の端部外周面が前記内輪の端面に向って漸次小径になるように形成されていても良い。
【0017】
また、請求項4に記載の発明のように、前記逃がし部が所定の傾斜角からなるテーパ状に形成されていれば、内輪の外径がテーパ状に弾性変形するのを抑制することができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、前記逃がし部の最大量が20〜60μmの範囲に設定されていれば、加締加工に伴って生ずる小径段部の端部の塑性変形を抑え、加締荷重によって生じる内輪の外径の弾性変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、この車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記内輪と小径段部の嵌合部に径方向の逃がし部が設けられ、この逃がし部が前記内輪の内側転走面の内端部に対応する位置から端面に向って漸次大きくなるように形成されているので、加締荷重によって生じる内輪の外径の弾性変形を抑制して外径に発生するフープ応力を軽減すると共に、加締部の変形量を少なくして割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる。さらに、内輪の外径に圧入されるエンコーダ等の組立性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
外周に車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記内輪の内径が、前記内側転走面の内端部に対応する位置から端面に向って漸次大径になる所定の傾斜角からなるテーパ状に形成され、前記小径段部との嵌合部に径方向の逃がし部が設けられている。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
【0022】
この車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代と称され、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)6、6とを備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0023】
ハブ輪2は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト5が植設されている。また、ハブ輪2の外周には内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる軸状の小径段部2bが形成されている。そして、外周に内側転走面3aが形成された内輪3がこの小径段部2bに圧入され、さらに、小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部2cにより、ハブ輪2に対して内輪3が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0024】
外方部材10は、外周に車体(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周には複列の外側転走面10a、10aが形成されている。そして、それぞれの転走面10a、2aと10a、3a間に複列の転動体6、6が収容され、保持器7、7によりこれら複列の転動体6、6が転動自在に保持されている。また、外方部材10の端部にはシール8およびエンドキャップ9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。エンドキャップ9には回転速度センサ(図示せず)が装着され、内輪3の外径3bに嵌合されたエンコーダ11に対峙して車輪の回転速度を検出する。
【0025】
ここでは、ハブ輪2の外周に直接内側転走面2aが形成された第3世代と呼称される車輪用軸受装置を例示したが、本発明に係る車輪用軸受装置はこうした構造に限定されず、例えば、ハブ輪の小径段部に一対の内輪を圧入した、第1世代あるいは第2世代構造であっても良い。なお、転動体6、6をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0026】
ハブ輪2は、S53b等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中炭素鋼で形成され、アウトボード側の内側転走面2aをはじめ、シール8が摺接するシールランド部、および小径段部2bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている(図中クロスハッチングにて示す)。なお、加締部2cは、鍛造後の素材表面硬さ25HRC以下の未焼入れ部としている。一方、内輪3は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。
【0027】
また、外方部材10は、ハブ輪2と同様、S53b等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中炭素鋼で形成され、複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0028】
本出願人は、揺動加締における内輪3の外径3bの弾性変位量(径方向膨張量)を測定する共に、この弾性変位量と加締荷重との関係に着目し調査した結果、その両者の関係が略直線の比例関係にあることが判った。したがって、加締加工によって生じる内輪3の外径3bのフープ応力が、内輪3の耐久性に影響を及ぼさない範囲内に加締荷重を設定すると共に、この加締荷重によって生じる外径3bの弾性変形を抑制するため、加締部2cの塑性変形量に対応して、予め内輪3の内径3cに傾斜角βを設ける手段を採用した。
【0029】
図2は、図1の要部を拡大したものであるが(本図ではエンコーダ11を省略している)、小径段部2bに圧入された内輪3は、小径段部2bの端部が揺動加締されることによって、内輪3の内径3cおよび外径3bはテーパ状に弾性変形する(揺動加締前の状態を二点鎖線にて示す)。ここで、本実施形態では、この弾性変形を抑えるために、内輪3の内径3cに予め傾斜角βが形成され、加締前の円筒部12に対して逃がし部13が設けられている。
【0030】
具体的には、加締加工による外径3bの弾性変位量は、前述したように、内輪3の耐久性に影響を及ぼさない範囲、すなわち、許容フープ応力から、例えば、75μm以下に規制されている。なお、ここでは、許容フープ応力が300MPaに設定されているが、内輪3が外部環境に曝露状態で使用される場合は、250MPa以下に設定する必要がある。
【0031】
ここで、内輪3の内径3cは、内側転走面3aの内端部Aに対応する位置から端面に向って大径になるようなテーパ状に傾斜角βが形成され、この傾斜角βと円筒部12によって嵌合部に逃がし部13が形成されている。この逃がし部13の最大量は20〜60μmの範囲に設定されている。これは、本出願人が実施した加締試験において、加締加工に伴って生ずる円筒部12の塑性変形量に相当する。これにより、加締荷重によって生じる内輪3の外径3bの弾性変形を抑制して外径3bに発生するフープ応力を軽減すると共に、加締部2cの変形量を少なくして加締部2cに割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる。さらに、内輪3の外径3bに圧入されるエンコーダ11(図1参照)の組立性を向上させることができる。
【0032】
なお、ここでは、内輪3の内径3cにテーパ状の傾斜角βを形成して逃がし部13を設けるようにしたが、これに限らず、内輪3の内径3cが内端部Aに対応する位置から端面に向って漸次大径になれば良く、例えば、図示はしないが円弧状に形成しても良い。
【0033】
図3は、図2に示した実施形態の変形例である。なお、この実施形態は、逃がし部の構成が異なるのみで、前述した実施形態と同一部品同一部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施形態では、内輪3’の内径3c’は円筒面に形成されている。一方、小径段部2bの端部における加締前の円筒部14の外周に、内輪3’の内側転走面3aの内端部Aに対応する位置から端面に向って小径になるように傾斜角βが形成され、内輪3’の内径3c’に対して逃がし部15が設けられている。これにより、前述した実施形態と同様、加締荷重によって生じる内輪3’の外径3bの弾性変形を抑制して外径3bに発生するフープ応力を軽減すると共に、加締部2c’の変形量を少なくして割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる。
【実施例2】
【0035】
図4は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。なお、本実施形態は、駆動輪側の車輪用軸受装置に適用したもので、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付して重複した説明を避ける。
【0036】
この車輪用軸受装置は駆動輪側の第3世代と称され、内方部材16と外方部材10、および両部材16、10間に転動自在に収容された複列の転動体6、6とを備えている。内方部材16は、ハブ輪17と、このハブ輪17に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0037】
ハブ輪17の外周には内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる円筒状の小径段部2bが形成され、内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)17aが形成されている。そして、小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部2cにより、ハブ輪17に対して内輪3が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0038】
外方部材10の端部にはシール8、18が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。インボード側のシール18は、断面略L字状に形成された環状の第1および第2のシール板19、20からなり、互いに対向して配置されている。第1のシール板19は、外方部材10の端部に内嵌されると共に、第2のシール板(スリンガ)20は、内輪3の外径3bに圧入固定されている。
【0039】
ここで、本実施形態においても、内輪3の内径3cは、内側転走面3aの内端部Aに対応する位置から端面に向って大径になるようなテーパ状に傾斜角βが形成され、この傾斜角βと円筒部12によって嵌合部に逃がし部13が形成されている。これにより、加締荷重によって生じる内輪3の外径3bの弾性変形を抑制して外径3bに発生するフープ応力を軽減すると共に、加締部2cの変形量を少なくして加締部2cに割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる。さらに、内輪3の外径3bに圧入される第2のシール板20の組立性を向上させることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪の小径段部に内輪を圧入し、小径段部の端部を塑性変形させて形成した加締部によって内輪を固定した第1世代乃至第3世代のセルフリテイン構造の車輪用軸受装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2の変形例を示す要部拡大図である。
【図4】本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
1、16・・・・・・内方部材
2、17・・・・・・ハブ輪
2a、3a・・・・・内側転走面
2b・・・・・・・・小径段部
2c、2c’・・・・加締部
3、3’・・・・・・内輪
3b・・・・・・・・外径
3c、3c’・・・・内径
4・・・・・・・・・車輪取付フランジ
5・・・・・・・・・ハブボルト
6・・・・・・・・・転動体
7・・・・・・・・・保持器
8、18・・・・・・シール
9・・・・・・・・・エンドキャップ
10・・・・・・・・外方部材
10a・・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・エンコーダ
12、14・・・・・円筒部
13、15・・・・・逃がし部
17a・・・・・・・セレーション
19・・・・・・・・第1のシール板
20・・・・・・・・第2のシール板
51・・・・・・・・ハブ輪
51a、52a・・・内側転走面
51b・・・・・・・小径段部
51c・・・・・・・加締部
52・・・・・・・・内輪
53・・・・・・・・外輪
53a・・・・・・・外側転走面
53b・・・・・・・車体取付フランジ
54・・・・・・・・転動体
55・・・・・・・・車輪取付フランジ
56・・・・・・・・ハブボルト
57・・・・・・・・傾斜面
58・・・・・・・・凹部
59・・・・・・・・円筒部
60・・・・・・・・外径
A・・・・・・・・・内輪の内側転走面の内端部
α、β、θ・・・・・傾斜角




 

 


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