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アンギュラコンタクト玉軸受およびロボットアームの関節装置 - NTN株式会社
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発明の名称 アンギュラコンタクト玉軸受およびロボットアームの関節装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24120(P2007−24120A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204678(P2005−204678)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
発明者 服部 純一
要約 課題
外輪1と内輪3のいずれか一方の軌道面2に玉6が2点で接触し、他方の軌道面4に前記玉6が少なくとも1点で接触し、前記一方の軌道面2上の接触点a、bが軸受中心線Cを境界としてアキシャル方向の一方側に片寄って位置し、前記他方の軌道面4上の接触点c、dが前記アキシャル方向の一方側と反対側に片寄って位置するアンギュラコンタクト玉軸受において、玉6の耐摩耗性を維持しつつ、軸受重量の軽量化を図る。

解決手段
前記玉6が、耐摩耗性を向上させる被覆を施されている構成を採用した。この構成によれば、玉6が複雑なスピンを行う場合でも、被膜による耐摩耗性の向上に応じて玉径や玉数を小さくすることが可能になり、玉セットの軽量化により軸受重量の軽量化を図ることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
外輪と内輪のいずれか一方の軌道面に玉が2点で接触し、他方の軌道面に前記玉が少なくとも1点で接触するアンギュラコンタクト玉軸受において、前記一方の軌道面上の接触点が軸受中心線を境界としてアキシャル方向の一方側に片寄って位置し、前記他方の軌道面上の接触点が前記アキシャル方向の一方側と反対側に片寄って位置し、前記玉が、耐摩耗性を向上させる被覆を施されていることを特徴とするアンギュラコンタクト玉軸受。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンギュラコンタクト玉軸受に関し、特に、低速回転下でモーメント荷重が負荷される回転軸を支持するのに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
100rpmを超えない低速回転の出力軸を有する駆動装置、例えば、建設用機械のスプロケット駆動装置やロボットアームの関節装置などは、駆動源、減速機などから構成される。減速機の出力軸は、駆動側との間に介在する主軸受により回転可能に支持される。主軸受には、荷重点が軸受外にあり、モーメント荷重が負荷されるため、アンギュラコンタクトの転がり軸受が利用されている。
【0003】
上記のような装置では、機械、アームの姿勢制御や被駆動部の位置決め精度の改善などのため、モーメント荷重に対する主軸受の剛性向上が求められている。
【0004】
従来からあるアンギュラコンタクト玉軸受は、モーメント荷重のアキシャル分荷重(軸受に対しアキシャル方向の一方向に作用する)を、外輪、内輪の各軌道面と玉が1点接触する状態で受ける構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−21855号公報
【0006】
上記特許文献1のようなアンギュラコンタクト玉軸受の剛性向上手段としては、外輪、内輪、転動体サイズの大型化や転動体数の増大化がある。
【0007】
しかしながら、建設用機械の駆動装置やロボットアームの関節装置などのように、小型化が求められる装置に軸受を組み込む場合、軸受の設置空間には限りがある。
【0008】
それ故、主軸受には、アンギュラコンタクト玉軸受よりも剛性が高い円錐ころ軸受が利用されることもあったが、円錐ころ軸受は、アンギュラコンタクト玉軸受よりも軌道面や転動体の研削工程が複雑であり、比較的コスト高なものである。
【0009】
そこで、出願人は、本願出願時で未公開の先行特許出願(特願2004−005538号)において、外輪と内輪のいずれか一方の軌道面に玉が2点で接触し、他方の軌道面に前記玉が少なくとも1点で接触し、前記一方の軌道面上の接触点が軸受中心線を境界としてアキシャル方向の一方側に片寄って位置し、前記他方の軌道面上の接触点が前記アキシャル方向の一方側と反対側に片寄って位置するように構成したことを要旨とするアンギュラコンタクト玉軸受を提案している。
【0010】
上記先行特許出願に係るアンギュラコンタクト玉軸受によれば、一方向に作用するアキシャル荷重は、前記玉が前記一方の軌道面に2点で接触するため、軸受取付方向を荷重方向に適合させることにより、上記2点の接触角に応じて分散された状態で受けられる。その結果、軸受の変形が上記従来例よりも抑制される、すなわち、軸受剛性が高められる。なお、ラジアル荷重は、前記玉が前記他方の軌道面に少なくとも1点で接触するため、上記従来例と同様に受けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
アームを動かす関節装置に減速機の出力軸に先行特許出願に係るアンギュラコンタクト玉軸受を装着する場合、その軸受重量は、アーム関節に生じる慣性力を考慮すると、軽量な程よい。
【0012】
しかしながら、アンギュラコンタクト玉軸受は、玉がこの中心を通り呼び作用線と直交する軸線回りでスピンしながら公転する、という本質的特徴を有する。このスピンは、玉や軌道面が摩耗したり剥離したりする原因となる。
【0013】
特に、上記先行特許出願に係るアンギュラコンタクト玉軸受は、前記玉と前記一方の軌道面の加工精度に限界があり、また前記玉と前記一方の軌道面が2点で接触するため、前記のスピンが複雑になり易い。
【0014】
したがって、上記先行特許出願に係るアンギュラコンタクト玉軸受では、前記玉の摩耗を考慮すると、玉径や玉数を小さくすることにより軸受重量の軽量化を図ることは困難であった。
【0015】
そこで、この発明の課題は、上記先行特許出願に係るアンギュラコンタクト玉軸受において、玉の耐摩耗性を維持しつつ、軸受重量の軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を達成するため、この発明は、前記玉が、耐摩耗性を向上させる被覆を施されている構成を特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、前記玉の耐摩耗性が被膜によって向上するため、これに応じて玉径や玉数を小さくすることが可能になり、玉セットの軽量化により軸受重量の軽量化を図ることができる。
【0018】
したがって、ロボットアームの関節装置を、アームを動かす駆動力が入力される減速機と、この減速機の出力軸に装着されたこの発明に係るアンギュラコンタクト玉軸受とを有する構成とすれば、アーム関節の小型化や軽量化が可能になり、その剛性向上とアーム関節に生じる慣性力の軽減により、位置決め精度や制御応答性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
上述のように、この発明は、外輪と内輪のいずれか一方の軌道面に玉が2点で接触し、他方の軌道面に前記玉が少なくとも1点で接触し、前記一方の軌道面上の接触点が軸受中心線を境界としてアキシャル方向の一方側に片寄って位置し、前記他方の軌道面上の接触点が前記アキシャル方向の一方側と反対側に片寄って位置するアンギュラコンタクト玉軸受において、玉の耐摩耗性を維持しつつ、軸受重量の軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示したように、この軸受はアンギュラコンタクト玉軸受であり、外輪1の軌道面2と内輪3の軌道面4の間に保持器5によって一定間隔をおいて保持された玉6が介在される。
【0021】
外輪1の内径面は、その両端部に大径内面7と小径内面8が形成され、その各内面7、8の間に全体として円弧面となる前記の軌道面2が形成される。軌道面2は、図2(a)から分かるように、アーチ型の2個の円弧面2a、2bにより形成され、その両円弧面2a、2bの衝合点9の両側において玉6との接触点a、bが形成される。図1において軸受中心線Cに対する接触点aの角度(接触角)をθ1で示し、接触点bの角度(接触角)をθ2で示す。
【0022】
内輪3の外径面の形状は、前記外輪1の内径面の形状と玉6の中心点Oを基準に点対称の形状をなす。即ち、内輪3の外径面は、その両端部に小径外面11と大径外面12が形成され、その各外面11、12の間に全体として円弧面となる前記の軌道面4が形成される。軌道面4は、図2(b)から分かるように、アーチ型の2個の円弧面4c、4dにより形成され、その両円弧面4c、4dの衝合点13の両側において玉6との接触点c、dが形成される。図1において、軸受中心線Cに対する接触点cの角度(接触角)をθ3(=θ1)で示し、接触点dの角度(接触角)をθ4(=θ2)で示す。
【0023】
以上の説明から明らかなように、この発明においては、外輪1の軌道面2における2箇所の接触点a、bがともに軸受中心線Cを境界として、アキシャル方向の荷重Pが加えられる側に片寄った位置に設定される。同様に、内輪3においてもその軌道面4における2箇所の接触点c、dがともに軸受中心線Cを境界として、前記と反対のアキシャル方向の荷重Pが加えられる側に片寄った位置に設定される。なお、θ1(=θ3)は最小5°、θ2(=θ4)の最大は80°であり、各接触点間の角度θはこれらの範囲で適宜定められる。
【0024】
なお、この軸受によって受けることができるアキシャル荷重Pは、図1の白抜き矢印で示すように、外輪1においては小径内面8側から大径内面7側に向かう方向、内輪3においては大径外面12側から小径外面11に向かう方向に限定され、この反対方向のアキシャル荷重を受けることはできない。
【0025】
このように、一方向に限定されたアキシャル荷重Pを2点で受けることにより、各接触点に加えられる荷重が1点で受ける場合に比べ分散軽減され軸受の変形量が小さくなる。即ち、軸受の剛性が増大する。
【0026】
上記構成において、玉6は、耐摩耗性を向上させる被覆が施されることにより被膜が形成されている。この被覆処理としては、例えば、電気クロムメッキ、無電解ニッケルメッキ、二硫化モリブテン被膜、レイデント処理などが挙げられる。
【0027】
この発明の第2実施形態を説明する。図3及び図4に示した第2実施形態に係るアンギュラコンタクト玉軸受は、基本的には前記の第1実施形態の場合と同様であるが、内輪3の軌道面4は全体として円弧面に形成され玉6の接触点eが1点のみである点において相違する。接触点eの位置は外輪の各接触点a、bの接触角の差の二分の1(θ/2)の線上に定められる。外輪1においては前述の場合と同様に2点で接触するため、この場合は3点接触型のアンギュラコンタクト玉軸受となる。この構造では、内輪3側においては軸受剛性の増大は図れないが、外輪1においては前述の場合と同様に軸受剛性の増大を図ることができる。
【0028】
なお、上記とは逆に外輪1の軌道面2における接触点を1点とし、内輪3の軌道面4における接触点を2点とすることもできる。
【0029】
次に、上記第1実施形態に係るアンギュラコンタクト玉軸受をロボットアームの関節装置に使用した一例を説明する。図5に示したロボットアームの関節装置は、偏心差動型減速機からなる減速機21を有する。減速機21は、その出力軸22がアームと一体化される旋回部材23を動かすようになっている。
【0030】
具体的には、減速機21は、旋回部材23と基座側との間に固定されるケース24と、ケース24内に配され、旋回部材23に一体化されたキャリアからなる出力軸22と、ケース24の内周に設けられたピン歯に噛み合う外歯付ピニオン25とを備える。出力軸22とケース24との間には、主軸受26が装着されている。
【0031】
主軸受26は、上記第1実施形態に係るアンギュラコンタクト玉軸受を背面組合せ軸受としたものである。主軸受26は、出力軸22をケース24に対し回転可能に支持するように出力軸22の外周とケース24の内周間に介在されている。出力軸22の両側フランジ部とケース24の両端部との間にはシール部材27が介装されており、主軸受26は、グリース潤滑の環境下にある。
【0032】
ピニオン25の貫通孔には、複数のクランクピン28が挿通されており、クランクピン28は、軸受29、30を介して出力軸22に対して回転可能に支持されている。また、クランクピン28は、中央部に偏心した2個のクランク部を有し、これらクランク部がニードル軸受31を介した状態でピニオン25に挿入されている。
【0033】
旋回部材23には、駆動モータ32が取り付けられている。モータ32の出力軸の先端に外歯車33が固定され、前記クランクピン28のうちの1つに外歯車34が固定されている。この外歯車33と34は直接噛み合っており、外歯車33の回転駆動力が外歯車34に伝達されることにより、前記のクランクピン28が回転される。
【0034】
また、外歯車34には、軸受を介して旋回部材23に回転可能に支持された歯車35が直接噛み合っている。この歯車35は外歯車34からの回転駆動力を受けて回転し、前記のクランクピン28以外の他のクランクピンに噛み合い、回転トルクを分配するようになっている。
【0035】
上記の構成により、ピニオン25がクランクピン28と同一回転数で偏心回転(公転)するが、クランクピン28に伝達された回転駆動力は、ピニオン25の外歯がケース24のピン歯より少なく、ケース24が基座側に固定されているため、ケース24、ピニオン25によって高比で減速されて出力軸22に取り出され、旋回部材23に伝達される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態の一部断面図
【図2】(a)図1の外輪側の一部拡大断面図、(b)図1の内輪側の一部拡大断面図
【図3】第2実施形態の一部断面図
【図4】(a)図3の外輪側の一部拡大断面図、(b)図3の内輪側の一部拡大断面図
【図5】第1実施形態をロボットアームの関節装置に使用した一例を示す要部断面図
【符号の説明】
【0037】
1 外輪
2 軌道面
3 内輪
4 転走面
5 保持器
6 玉
7 大径内面
8 小径内面
9 衝合点
11 小径外面
12 大径外面
13 衝合点




 

 


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