米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> NTN株式会社

発明の名称 エンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24117(P2007−24117A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204630(P2005−204630)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100091409
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英彦
発明者 市川 健一 / 大岡 眞也
要約 課題
ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させたエンジンのピストンピン支持構造およびクランク軸支持構造を提供する。

解決手段
エンジンのピストンピン支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドとピストンを連結するピストンピンと、コンロッドの小端部に設けられ、ピストンピンを支持するころ軸受とを有する。また、エンジンのクランク軸支持構造は、コンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、クランク軸を支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受に含まれる保持器の柱部22は、内径面28側に断面形状がV字状に押し曲げられている。PCD26においては、側壁面25の中央部には、外径面27側のせん断面23が位置し、側壁面25の端部には、内径面28側の破断面24が位置している。
特許請求の範囲
【請求項1】
直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの小端部をピストンと連結するピストンピンと、
前記ピストンピンを支持するころ軸受とを有するエンジンのピストンピン支持構造において、
前記ころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、
前記保持器は、一対の環状部と、前記ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結する柱部とを含み、
前記柱部の側壁面は、前記ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、
前記ころは、前記せん断面によって案内される、エンジンのピストンピン支持構造。
【請求項2】
前記柱部は、その中央部が径方向内側に凹んだ形状を有しており、前記せん断面は、径方向外側に位置し、前記破断面は、径方向内側に位置している、請求項1に記載のエンジンのピストンピン支持構造。
【請求項3】
直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、
前記クランク軸を支持するころ軸受とを有するエンジンのクランク軸支持構造において、
前記ころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、
前記保持器は、一対の環状部と、前記ころを収容するポケットを形成するように前記一対の環状部を連結する柱部とを含み、
前記柱部の側壁面は、前記ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、
前記ころは、前記せん断面によって案内される、エンジンのクランク軸支持構造。
【請求項4】
前記柱部は、その中央部が径方向内側に凹んだ形状を有しており、前記せん断面は、径方向外側に位置し、前記破断面は、径方向内側に位置している、請求項3に記載のエンジンのクランク軸支持構造。
【請求項5】
請求項1もしくは2に記載のピストンピン支持構造または請求項3もしくは4に記載のクランク軸支持構造を有する、2サイクルエンジン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、2サイクルエンジン等のエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の汎用エンジンには、排気量の小さい2サイクルエンジンが使用されている。このような、2サイクルエンジンに関する技術が、特開平7−332371号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
図7は、コンロッドの小端部および大端部に針状ころ軸受を使用した2サイクルエンジンの縦断面図である。図7を参照して、2サイクルエンジンは、回転運動を出力するクランク軸103と、混合気の燃焼により直線往復運動を行うピストン105と、クランク軸103とピストン105とを連結し、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッド104とを有する。クランク軸103は、回転中心軸111を中心に回転し、バランスウェイト112によって回転のバランスをとっている。
【0004】
コンロッド104は、直線状棒体の下方に大端部115を、上方に小端部116を設けたものからなる。クランク軸103は、コンロッド104の大端部115に、ピストン105とコンロッド104を連結するピストンピン114は、コンロッド104の小端部116に、それぞれころ軸受106を介して回転自在に支持されている。
【0005】
ガソリンと潤滑油とを混合した混合気は、吸気孔107からクランク室102へ送り込まれてから、ピストン105の上下動作に応じてシリンダ101の上方の燃焼室109へ導かれ燃焼される。燃焼された排気ガスは排気孔108から排出される。
【0006】
上記したコンロッドの小端部および大端部に備えられ、ピストンピンおよびクランク軸を支持するころ軸受には、軸受投影面積が小さいにもかかわらず、高荷重の負荷を受けることができ、かつ、高剛性であるシェル形針状ころ軸受が使用される。ここで、シェル形針状ころ軸受は、鋼板を絞り加工等して成型されたシェル形外輪と、針状ころと、シェル形外輪の内径面に沿うように配置される保持器とを含む。保持器には、針状ころを保持するためのポケットが設けられ、各ポケットの間に位置する柱部で、各針状ころの間隔を保持する。
【0007】
ここで、上記したシェル形針状ころ軸受に含まれる保持器の製造方法について、簡単に説明する。まず、保持器の材料となる帯鋼を、ころを保持することができる大きさのポケット穴を開口するようポケット抜きする。その後、帯鋼の断面形状がV字状となるようにプレス加工する。プレス加工後、保持器の円周長さとなるように切断し、切断された帯鋼を円筒状に折り曲げ、折り曲げられた帯鋼の端面同士を溶接等により接合し、熱処理工程を行い、保持器を製造する。
【0008】
ここで、帯鋼の断面形状がV字状となるプレス加工を行うと、径方向の断面高さを大きく確保することができるため、次のような効果が生じる。図8は、プレス加工を行った後に、切断された帯鋼を円筒状に折り曲げる前後の径方向の断面図である。保持器が円筒状に折り曲げられる前(図8(a))の柱部126の内径面132側の間隔は、保持器が円筒状に折り曲げられた後(図8(b))に小さくなるため、ポケットに保持された針状ころ123が内径面132側に抜け落ちることを防止することができる。この場合、さらに、柱部126の外径面131側に、ころ抜け防止部を設けることにより、針状ころ123が外径面131側に抜け出るのを防止するようにしてもよい。
【0009】
また、図9は、針状ころ123が保持された保持器124が、外輪122および軸121に組み込まれた状態を示す図であり、断面形状がV字状となるプレス加工を行うことにより、針状ころ123を案内するのに最も挙動が安定する位置であるPCD(Pitch Circle Diameter)125付近で、針状ころ123を案内することもできる。
【0010】
なお、上記した工程により製造された保持器と同様の形状を有する針状ころ軸受の保持器が、特開2005−98368号公報(特許文献2)に記載されている。
【特許文献1】特開平7−332371号公報(段落番号0012〜0013、図1)
【特許文献2】特開2005−98368号公報(段落番号0040、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したポケット抜き工程では、打ち抜き刃を有するポンチ等で、保持器の材料に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。この場合、打ち抜かれたポケットの側壁面、すなわち、各ポケットの間に位置する柱部の側壁面には、せん断面および破断面が発生することになる。せん断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃の刃先によって打ち抜かれて切断される平滑な面である。また、破断面とは、ポンチ等の打ち抜き刃によって打ち抜くときに、刃先によって押し込まれた材料で引きちぎられるように切断される粗い面である。
【0012】
ここで、ポケット抜き工程において、円筒状に折り曲げられたときに、内径面となる側からポケットを打ち抜くと、柱部の側壁面の外径面となる側に破断面が位置することになる。
【0013】
図10は、この場合の保持器124の径方向の断面図であり、図11は、この場合の保持器124の軸方向の断面図である。図11において、点線で示された部分は、保持器124のポケットに保持された針状ころ123を示しており、一点鎖線は、PCD125を示す。図10および図11を参照して、内径面132側となる図中の矢印Xの方向からポケット抜きを行うと、側壁面130の内径面132側にはせん断面128が位置し、側壁面130の外径面131側には破断面129が位置することになる。ここで、保持器124はV字状にプレス加工されているため、針状ころ123を保持したときに、側壁面130の中央部のPCD125付近に、破断面129が位置し、側壁面130の端部のPCD125付近にせん断面128が位置することになる。
【0014】
この場合のPCD125における側壁面130の形状曲線134を、針状ころ123の外形輪郭線133と重ねて、図12に示す。図12を参照して、側壁面130のうち、中央部は破断面129であり、端部はせん断面128である。そうすると、形状曲線134は外形輪郭線133に対して、中央部に凹んだ形状となり、針状ころ123は、側壁面130の端部のせん断面128に接触して案内されることになる。
【0015】
しかし、針状ころ123の端部は面取り部であり、また、側壁面130の端部は針状ころ123の外形輪郭線133と沿う形状ではないため、適切に接触することができず、安定して針状ころ123を案内することができない。このような保持器を含むころ軸受を、上記した2サイクルエンジンのピストンピン支持構造等に使用すると、ころのスキューが発生し、焼付きが生じるおそれがある。
【0016】
この発明は、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させたエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係るエンジンのピストンピン支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの小端部をピストンと連結するピストンピンと、ピストンピンを支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、保持器は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを含む。ここで、柱部の側壁面は、ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、ころは、せん断面によって案内される。
【0018】
このように構成することにより、ころを案内する柱部の側壁面のうち、中央部の、平滑で、ころの外形に沿うせん断面でころを案内することができるため、ころを安定して案内することができる。したがって、このようなころ軸受によってピストンピンを支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。
【0019】
好ましくは、柱部は、その中央部が径方向内側に凹んだ形状を有しており、せん断面は、径方向外側に位置し、破断面は、径方向内側に位置している。こうすることにより、PCD付近にせん断面を位置することができ、エンジンのピストンピン支持構造に備えられるころ軸受は、ころの挙動を安定させて案内することができる。
【0020】
この発明の他の局面においては、エンジンのクランク軸支持構造は、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッドの大端部と連結され、回転運動を出力するクランク軸と、クランク軸を支持するころ軸受とを有する。上記したころ軸受は、複数のころと、複数のころを保持する保持器を含み、保持器は、一対の環状部と、ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを含む。ここで、柱部の側壁面は、ポケットを形成するように打ち抜き刃によって打ち抜かれるせん断面と、打ち抜き刃によって押し込まれる材料で引きちぎられる破断面とを有し、ころは、せん断面によって案内される。
【0021】
このように構成することにより、ころを案内する柱部の側壁面のうち、中央部の、平滑で、ころの外形に沿うせん断面でころを案内することができるため、ころを安定して案内することができる。したがって、このようなころ軸受によってクランク軸を支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。
【0022】
好ましくは、柱部は、その中央部が径方向内側に凹んだ形状を有しており、せん断面は、径方向外側に位置し、破断面は、径方向内側に位置している。こうすることにより、PCD付近にせん断面を位置することができ、エンジンのクランク軸支持構造に備えられるころ軸受は、ころの挙動を安定させて案内することができる。
【0023】
この発明のさらに他の局面においては、2サイクルエンジンは、上記したいずれかのピストンピン支持構造または上記したいずれかのクランク軸支持構造を有する。
【0024】
このように構成することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、ころを案内する柱部の側壁面のうち、中央部の、平滑で、ころの外形に沿うせん断面でころを案内することができるため、ころを安定して案内することができる。したがって、このようなころ軸受によってピストンピンを支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。同様に、このようなころ軸受によってクランク軸を支持することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上したエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。
【0026】
また、このようなピストンピン支持構造またはクランク軸支持構造を使用した2サイクルエンジンを使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る2サイクルエンジンの要部を示す断面図である。図1を参照して、2サイクルエンジン10は、混合気の燃焼により直線往復運動を行うピストン(図示せず)と、回転運動を出力するクランク軸18と、ピストンとクランク軸18を連結し、直線往復運動を回転運動に変換するコンロッド15とを有する。ピストンは、ピストンピン17によって、シェル形外輪を有する針状ころ軸受11を介して、コンロッド15の小端部と連結されている。また、クランク軸18は、シェル形外輪を有する針状ころ軸受16を介して、コンロッド15の大端部と連結されている。
【0028】
ピストンピン17の外周面が組み込まれた針状ころ軸受11は、コンロッド15の小端部に設けられた係合孔に取り付けられ、ピストンピン支持構造を形成している。同様に、クランク軸18の外周面が組み込まれた針状ころ軸受16は、コンロッド15の大端部に設けられた係合孔に取り付けられ、クランク軸支持構造を形成している。なお、コンロッド15の小端部および大端部に取り付けられた針状ころ軸受11、16は、サイズは異なるものの、同様の構成を有するため、以下、針状ころ軸受11について説明する。
【0029】
針状ころ軸受11は、外輪12と、外輪12の内径面に沿うように配置される複数の針状ころ13と、針状ころ13を保持する保持器14とを有する。保持器14は、外輪12の両端面側に位置する一対の環状部と、各針状ころを収容するポケットを形成するように一対の環状部を連結する柱部とを有する。
【0030】
ここで、針状ころ軸受11を構成する部材のうち、保持器14の製造方法について説明する。
【0031】
図2は、この発明の一実施形態に係る針状ころ軸受11の保持器14を製造する工程を示すフローチャートである。また、図3は、図2に示された工程のうち、代表的な工程を表す概略図である。図2および図3を参照して、保持器14の製造方法について説明する。
【0032】
まず、保持器14の材料となる鋼板を、帯鋼の状態(図3(a))において、針状ころ13を保持するポケットを形成するためのポケット抜き工程(図3(b))を行う。ポケット抜き工程は、打ち抜き刃を有するポンチで、帯鋼に対し、ポケット形状に刃先を押し当てて打ち抜くことにより行う。ここで、ポンチの打ち抜く方向であるが、後の曲げ工程で円筒状に折り曲げたときに、外径面となる側から打ち抜きを行う。
【0033】
こうすることにより、最終的に製造された保持器について、外径面となる側の柱部の側壁面はせん断面となり、内径面となる側の柱部の側壁面は破断面となる。
【0034】
次に、ポケットが打ち抜かれた帯鋼を、断面形状がV字状となるように成型するプレス工程(図3(c))を行う。ここで、V字状とは、ポケットが打ち抜かれた帯鋼の中央部と環状部とが円筒状に折り曲げられたときに、径方向に段差が設けられるように押し曲げることをいう。これは、後に外径面となる側から内径面となる側に向かって、プレスで押圧することによって行う。したがって、プレス工程によって、柱部の中央部は、環状部よりも径方向の内側に凹んだ形状となる。
【0035】
その後、保持器14の円周長さとなるように、帯鋼を切断する切断工程を行う。次に、切断された帯鋼を、外輪12の内径面に沿うような円筒状に折り曲げる曲げ工程(図3(d))を行い、その後、両端面を溶接等により接合する接合工程(図3(e))を行った後、軟窒化処理や浸炭焼入処理等の熱処理工程を行って、保持器14が製造される。
【0036】
なお、このようにして製造された保持器14のポケットに、複数の針状ころ13を組み込み、針状ころ13が組み込まれた保持器14を外輪12に取り付け、針状ころ軸受11が製造される。
【0037】
図4は、上記した製造工程で製造された保持器14の軸方向の断面図である。図4において、点線で示された部分は、保持器14のポケットに保持された針状ころ13を示しており、一点鎖線は、PCD26を示す。また、この場合のPCD26における側壁面25の形状曲線32を、針状ころ13の外形輪郭線31と重ねて、図5に示す。
【0038】
図4および図5を参照して、柱部22は、上述したプレス工程において、内径面28側に断面形状がV字状となるように押し曲げられている。したがって、柱部22の中央部は、環状部21よりも内径面28側に位置することになる。
【0039】
また、上述したポケット抜き工程において、外径面27側からポンチの打ち抜き刃を押し当てて打ち抜いているため、柱部22の側壁面25においては、外径面27側にはせん断面23が位置し、内径面28側には破断面24が位置している。したがって、PCD26においては、側壁面25の中央部には、外径面27側のせん断面23が位置し、側壁面25の端部には、内径面28側の破断面24が位置することになる。
【0040】
ここで、側壁面25の中央部に位置するせん断面23の形状曲線32は平滑で、針状ころ13の外形輪郭線31に沿う形状となる。そうすると、針状ころ13の中央部と側壁面25の中央部は適切に接触することができ、安定して針状ころ13を案内することができる。
【0041】
なお、針状ころ13を案内するせん断面23の軸方向の長さは、針状ころ13の軸方向の長さの60%以上であることが好ましい。ここで、せん断面23の長さをころ長さの60%以上とするには、上記したプレス工程において、PCD26上のせん断面23の長さを、ころ長さの60%以上になるように押し曲げることにより行ってもよい。具体的には、図4中のAの寸法、すなわち、PCD26における一方の環状部21側の破断面24の寸法を、ポケットの軸方向の長さであるBの寸法の20%以下となるように、V字状に、かつ、径方向に押し曲げることにより行う。図5を参照して、形状曲線32の中央部に位置する平滑で外形輪郭線31に沿う形状は、ころ長さの60%以上である。
【0042】
こうすることにより、ころと適切に接触するせん断面23を多くすることができ、ころの挙動を抑え、より安定して針状ころ13を案内することができる。
【0043】
ここで、実施例として、図5で示したせん断面がころ長さの60%以上である保持器が含まれる針状ころ軸受、サンプルAとして、図6の形状曲線33で示す、せん断面がころ長さの50%である保持器が含まれる針状ころ軸受、従来品として、従来の保持器が含まれる針状ころ軸受について、各針状ころ軸受をコンロッドに使用して、耐焼付き性を確認する試験を実施した。
【0044】
試験条件は、以下の通りである。また、本試験結果を、表1に示す。
【0045】
混合比 :ガソリン/潤滑オイル=50/1
運転パターン :フルスロットル
運転時間 :2時間又は焼き付くまで
【0046】
【表1】


【0047】
表1は、上記した試験の結果を示す表である。表1を参照して、従来品においては、針状ころ軸受10個中、8個に対して焼付きが発生した。また、サンプルAにおいては、針状ころ軸受10個中、6個に対して焼付きが発生した。実施例においては、針状ころ軸受10個中、焼付きが発生した軸受はなかった。
【0048】
したがって、せん断面の軸方向の長さがころ長さの60%以上である場合は、焼付きが発生しなかったので、せん断面の軸方向の長さは60%あれば十分である。
【0049】
以上より、上記のような構成の針状ころ軸受を2サイクルエンジンのピストンピン支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンのピストンピン支持構造を得ることができる。同様に、上記のような構成の針状ころ軸受を2サイクルエンジンのクランク軸支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンのクランク軸支持構造を得ることができる。また、このような2サイクルエンジンのピストンピン支持構造または2サイクルエンジンのクランク軸支持構造に使用することにより、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上した2サイクルエンジンを得ることができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態においては、ピストンピン支持構造等について、2サイクルエンジンを用いて説明したが、これに限らず、他のエンジン、たとえば、4サイクルエンジンであってもよい。
【0051】
また、上記の実施の形態においては、シェル形針状ころ軸受について説明したが、これに限らず、ソリッド形針状ころ軸受であってもよい。
【0052】
なお、上記の実施の形態においては、針状ころ軸受について説明したが、これに限らず、棒状ころ軸受、円筒ころ軸受等、他のころ軸受であってもよい。
【0053】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
この発明に係るエンジンのピストンピン支持構造、エンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンは、ころを安定して案内することができるころ軸受を備えているため、ころのスキューを抑制し、耐焼付き性を向上させた2サイクルエンジンのピストンピン支持構造、2サイクルエンジンのクランク軸支持構造および2サイクルエンジンに有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の一実施形態に係る2サイクルエンジンの要部を示す断面図である。
【図2】針状ころ軸受11の保持器14の製造工程を示すフローチャートである。
【図3】保持器14の製造工程のうち、代表的な工程を示す概略図であり、帯鋼の状態(a)、ポケット抜き工程(b)、プレス工程(c)、曲げ工程(d)、最終製品(e)を示す。
【図4】針状ころ軸受11の保持器14の軸方向の断面図である。
【図5】せん断面を60%以上とした場合のPCD26における側壁面25の形状曲線32を、針状ころ13の外形輪郭線31と重ねて示す図である。
【図6】せん断面23を50%としたサンプルAのPCD26における側壁面25の形状曲線33を、針状ころ13の外形輪郭線31と重ねて示す図である。
【図7】コンロッドの大端部および小端部に針状ころ軸受を使用した2サイクルエンジンの縦断面図である。
【図8】保持器104の材料である帯鋼を円筒状に折り曲げる前(a)および折り曲げた後(b)の状態を示す径方向の断面図である。
【図9】V字状にプレス加工を行った保持器124のポケットに、針状ころ123を保持した状態を示した図である。
【図10】従来における内径面132側にせん断面128、外径面131側に破断面129が位置された場合の径方向の断面図である。
【図11】従来における内径面132側にせん断面128、外径面131側に破断面129が位置された場合の軸方向の断面図である。
【図12】従来におけるPCD125における側壁面130の形状曲線134を、針状ころ123の外形輪郭線133と重ねて示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 2サイクルエンジン、11,16 針状ころ軸受、12 外輪、13 針状ころ、14 保持器、15 コンロッド、17 ピストンピン、18 クランク軸、21 環状部、22 柱部、23 せん断面、24 破断面、25 側壁面、26 PCD、27 外径面、28 内径面、31 外形輪郭線、32,33 形状曲線。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013