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発明の名称 固定型等速自在継手
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24106(P2007−24106A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−204421(P2005−204421)
出願日 平成17年7月13日(2005.7.13)
代理人 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾
発明者 星野 学 / 中川 亮
要約 課題
強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことなく、ケージを外輪に容易に組み込む。

解決手段
内球面21に複数のトラック溝22を形成した外輪25と、外球面に複数のトラック溝を形成した内輪と、外輪25と内輪間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外輪25と内輪間に介在してボールを保持するケージ30とを備え、外輪25のトラック溝22の開口側溝底をテーパ状にすると共に内輪のトラック溝の奥側溝底をテーパ状とし、ケージ30の外球面中心と内球面中心および外輪25と内輪のトラック溝22の曲率中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージ30のポケット33の開口端側に位置する外球面32を部分的にカットし、かつ、その平坦状のカット面40におけるケージ30の外径φdを外輪25のインロー径φDよりも小さく設定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に前記外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するポケットを有するケージとを備え、
前記外側継手部材のトラック溝の開口側溝底を、前記開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、前記内側継手部材のトラック溝の奥側溝底を、その奥端に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、
前記ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、かつ、外側継手部材のトラック溝の曲率中心と内側継手部材のトラック溝の曲率中心は継手中心に対してケージオフセット量だけオフセットされ、
前記ケージの少なくとも対向する二つのポケットの前記開口端側に位置する外球面を部分的にカットし、かつ、そのカット部分におけるケージの外径を外側継手部材のインロー径よりも小さく設定したことを特徴とする固定型等速自在継手。
【請求項2】
前記ケージの外球面の開口側端部を軸方向に向けて延在させ、ケージの内球面の開口側端部を外球面の開口側端部に向けて拡径するテーパ状とした請求項1に記載の固定型等速自在継手。
【請求項3】
前記ケージの内球面の開口側端部のテーパ角度を、外側継手部材と内側継手部材がなす最大作動角の半分以上とした請求項2に記載の固定型等速自在継手。
【請求項4】
前記ケージの円周方向に沿って形成され、かつ、前記ボールを収容するポケットのケージ内球面側あるいはケージ外球面側の少なくともいずれか一方のエッジ部を球面R形状とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定型等速自在継手。
【請求項5】
前記ケージの円周方向に沿って形成され、かつ、前記ボールを収容するポケットの薄肉側隅部の曲率半径を、その厚肉側隅部の曲率半径より大きく、かつ、ボールの半径より小さく設定した請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定型等速自在継手。
【請求項6】
前記外側継手部材および内側継手部材の両トラック溝のテーパ角度の上限値を12°とした請求項1〜5のいずれか一項に記載の固定型等速自在継手。
【請求項7】
前記ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の固定型等速自在継手。
【請求項8】
前記外側継手部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させた請求項1〜7のいずれか一項に記載の固定型等速自在継手。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は固定型等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で作動角度変位のみを許容する固定型の等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定型等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
【0003】
一般的に、固定型等速自在継手は、図18に示すように内球面1に複数のトラック溝2を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端3に向けて形成した外側継手部材としての外輪5と、外球面6に外輪5のトラック溝2と対をなす複数のトラック溝7を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材としての内輪8と、外輪5のトラック溝2と内輪8のトラック溝7との間に介在してトルクを伝達する複数のボール9と、外輪5の内球面1と内輪8の外球面6との間に介在してボール9を保持するケージ10とを備えている。
【0004】
前述した高角化のニーズに対する固定型等速自在継手は、大きな作動角を取り得る構造とするため、図18に示すようにケージ10の内球面11の曲率中心Oと、外球面12の曲率中心Oとは、継手中心面Pに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(ケージオフセット)。また、外輪5のトラック溝2の曲率中心Oおよび内輪8のトラック溝7の曲率中心Oは、外輪5の内球面1の曲率中心Oおよび内輪8の外球面6の曲率中心Oに対して等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(トラックオフセット)。内輪8の外球面6の曲率中心Oと、外輪5の内球面1の曲率中心Oは、それぞれケージ10の内外球面11,12の曲率中心と一致している。(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
前述したトラックオフセットを設けることにより、一対のトラック溝2,7により、外輪5の奥側から開口端側に向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラックが形成されている。また、ケージオフセットを設けることにより、ケージ10は、外輪5の奥側で薄肉に、その開口端側で厚肉となる断面形状としている。この固定型等速自在継手では、高角域での使用を実現するため、前述したケージオフセットを大きく設定し、ケージ10の厚肉部を外輪5の開口端側に配置するようにしている。
【特許文献1】特開2001−153149号公報
【特許文献2】特開2001−304282号公報
【特許文献3】特開2001−349332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した各特許文献1〜3に開示された固定型等速自在継手では、高角域での作動を実現させるためにケージオフセットを大きく設定する一方で、トラックオフセットを小さくしている。
【0007】
図19は、継手が最大作動角θをとった状態、つまり、外輪5の回転軸Xと内輪8の回転軸Yが最大作動角θをとった状態を示す。トラックオフセットを設けると、外輪5のトラック溝2の奥側に位置する部位が浅くなることから、例えば継手が最大作動角をとった時にボール9が最も奥側に位置する位相(位相角φ=180°)でそのボール9が外輪5のトラック溝2から乗り上げる可能性がある。
【0008】
そこで、このトラックオフセットを小さく設定することにより、外輪5のトラック溝2の奥側に位置する部位が浅くならないようにし、トラック溝2の最奥部に位置するボール9の乗り上げを抑制するようにしている。
【0009】
しかしながら、前述したようにトラックオフセットを小さく設定すると、図19に示すように外輪5がケージ10を抱え込む抱き角(球面角)γが小さくなる。ここで、抱き角(球面角)γとは、継手中心面Pに対して外輪5の内球面1の開口側端部がなす角度を意味する。このような等速自在継手において、外輪5にケージ10を容易に組み込むためには、図20(a)(b)に示すように外輪5のインロー径φDをケージ10の最外径φd以上に設定すればよいが、その場合、外輪5における抱き角(球面角)γがさらに小さくなってしまう。その結果、等速自在継手の強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことになる。
【0010】
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことなく、ケージを外輪に容易に組み込むことができるようにした固定型等速自在継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内球面に複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に外側継手部材のトラック溝と対をなす複数のトラック溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材の両トラック溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備え、外側継手部材のトラック溝の開口側溝底を開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、内側継手部材のトラック溝の奥側溝底をその奥端に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、かつ、外側継手部材のトラック溝の曲率中心と内側継手部材のトラック溝の曲率中心は継手中心に対してケージオフセット量だけオフセットされた固定型等速自在継手において、ケージの少なくとも対向する二つのポケットの前記開口端側に位置する外球面を部分的にカットし、かつ、そのカット部分におけるケージの外径を外側継手部材のインロー径よりも小さく設定したことを特徴とする。
【0012】
本発明では、ケージの少なくとも対向する二つのポケットの開口端側に位置する外球面を部分的にカットする。この場合、等速自在継手が最大作動角をとった状態、つまり、外側継手部材の回転軸と内側継手部材の回転軸とが最大角度をとった状態で、ボールとの接触点を確保できる程度までポケットの開口端側に位置する外球面を部分的にカットする。
【0013】
ここで、ボールとの接触点を確保できる程度とは、等速自在継手が最大作動角をとった状態で、ボールが最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)においても、ケージのポケットからボールが飛び出すことを防止できる程度を意味する。また、ケージの少なくとも対向する二つのポケットについて部分的なカットを行えばよいが、対向する全てのポケットについて部分的なカットを行ってもよい。少なくとも対向する二つのポケットとしたのは、ケージを外側継手部材に組み込む場合、外側継手部材の軸線に対してケージの軸線を直交させた状態で外側継手部材内にケージを挿入し、その挿入後、ケージを90°回転させてその軸線を外側継手部材の軸線に一致させるため、ケージの挿入に際して、対向する二つのポケットについて部分的なカットがなされ、そのカット部分におけるケージの外径を外側継手部材のインロー径よりも小さく設定されていれば、ケージを外側継手部材内に挿入することが可能となるためである。
【0014】
本発明では、ケージの少なくとも対向する二つのポケットの開口端側に位置する外球面を部分的にカットし、かつ、そのカット部分におけるケージの外径を外側継手部材のインロー径よりも小さく設定したことにより、ケージの強度を確保しつつ、従来よりもケージの最外径を小さくすることができ、ひいては外側継手部材のインロー径を小さくすることができるので、外側継手部材における抱き角(球面角)が小さくならないことから、等速自在継手の強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことなく、ケージの外側継手部材への組み込みが容易となる。
【0015】
前述した構成におけるケージは、その外球面の開口側端部を軸方向に向けて延在させ、ケージの内球面の開口側端部を外球面の開口側端部に向けて拡径するテーパ状とした構造が望ましい。ここで、ケージの外球面の開口側端部を軸方向に向けて延在させる場合、等速自在継手が最大作動角をとった状態で、内側継手部材に取り付けられたシャフトがケージの開口側端部と干渉しない程度にその外球面の開口側端部を延在させる。
【0016】
シャフトがケージの開口側端部と干渉しない程度までケージの外球面の開口側端部を延在させる場合、ケージの内球面の開口側端部のテーパ角度を、外側継手部材と内側継手部材がなす最大作動角の半分以上とすることが望ましい。このようにテーパ角度を最大作動角の半分以上とすれば、高角域においてもケージの外球面と外側継手部材の内球面との接触面積を確保することができる点で好ましい。なお、このテーパ角度が最大作動角の半分よりも小さければ、シャフトがケージのテーパ状開口側端部と干渉することになる。
【0017】
このように高角域においてもケージの外球面と外側継手部材の内球面との接触面積を確保することができることにより、最大作動角をとった時に、ボールがケージを開口側へ押し、そのケージの外球面の開口側端部と外側継手部材の内球面が強く擦れ合っても発熱による耐久性の低下や伝達トルクの損失を最小限に抑えることができる。また、ケージの剛性を最大限に確保することができるので、ケージ自体の強度も向上する。
【0018】
一方、この等速自在継手に許容レベルを超えるトルクが動的捩りモードで負荷されると、外側継手部材および内側継手部材のトラック溝が変形し、そのトラック溝エッジが盛り上がる。この盛り上がりがケージ球面に干渉し、ケージの動きを拘束する。その際、ケージの円周方向に沿って形成され、かつ、ボールを収容するポケットのエッジ部に割れや欠け等が発生する可能性がある。
【0019】
そこで、本発明では、前述の構成におけるポケットのケージ内球面側あるいはケージ外球面側の少なくともいずれか一方のエッジ部を球面R形状とすることが望ましい。主に内側継手部材のトラック溝エッジでの盛り上がりがケージの内球面に干渉し易いことから、ポケットのケージ内球面側のエッジ部を球面R形状とすることが好ましいが、ポケットのケージ外球面側のエッジ部も球面R形状としてもよく、ポケットのケージ内球面側およびケージ外球面側の両方のエッジ部を球面R形状とすれば最適である。なお、「球面R形状」とは、ケージの内球面あるいは外球面とポケットの端面とを滑らかに繋ぐ球面状の連続曲面を意味する。
【0020】
このようにポケットのケージ内球面側あるいはケージ外球面側のエッジ部を球面R形状とすれば、トラック溝エッジの盛り上がりがケージ球面に干渉しても、ポケットのエッジ部に割れや欠け等が発生しにくくなり、ケージの強度を確保することができる。
【0021】
また、トラック溝エッジの盛り上がりがケージ球面に干渉することにより、ケージの動きが拘束されると、ポケットの薄肉側隅部に応力が集中する。
【0022】
そこで、本発明では、前述した構成におけるポケットの薄肉側隅部の曲率半径を、その厚肉側隅部の曲率半径より大きく、かつ、ボールの半径より小さく設定することが望ましい。
【0023】
このようにポケットの薄肉側隅部の曲率半径を、その厚肉側隅部の曲率半径より大きく、かつ、ボールの半径より小さくすれば、前述したようにトラック溝エッジの盛り上がりがケージ球面に干渉しても、ポケットの薄肉側隅部への応力集中を緩和することができ、薄肉側隅部と厚肉側隅部での応力バランスを最適化することができ、その結果、ケージの強度を確保することができる。
【0024】
なお、ポケットの薄肉側隅部の曲率半径が、その厚肉側隅部の曲率半径以下であれば、ポケットの薄肉側隅部への応力集中を緩和することが困難となり、また、ポケットの薄肉側隅部の曲率半径がボール半径以上であれば、ポケット間の柱部にボールが接触した時に薄肉側隅部がボールに干渉することになる。
【0025】
本発明では、外側継手部材および内側継手部材の両トラック溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この固定型等速自在継手の内部諸元の中で、トラック溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、前述のトラック溝のテーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
【0026】
本出願人は、従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、静的内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、トラック溝のテーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。
【0027】
前述の構成において、ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0.12以下であることが望ましい。このケージオフセット量fは、ケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮してケージオフセット量fを設定することが望ましい。
【0028】
例えば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、外側継手部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させるようにすれば、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができる利点を有する。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
【0029】
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、ケージの入口側と反対側に位置する奥側の肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
【0030】
以上より、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面での問題との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そのため、ケージオフセット量fと、外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを用いる。
【0031】
そこで、前述の構成におけるケージオフセット量は、そのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のトラック溝の曲率中心または内側継手部材のトラック溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを0より大きく、かつ、0.12以下とすることが望ましい。
【0032】
この比f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題がある。逆に、0以下であるとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセットの大きな目的は、外側継手部材と内側継手部材のトラック溝中心を軸方向にオフセットさせることにより、ボールの位置を安定させて二等分面上にボールを保持させることであり、このオフセットがないと、ボールの位置が定まらないことから、0以下の範囲では、その目的が達成できない。従って、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、比f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下であることが、ケージオフセット量fの最適範囲である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、ケージの少なくとも対向する二つのポケットの開口端側に位置する外球面を部分的にカットし、かつ、そのカット部分におけるケージの外径を外側継手部材のインロー径よりも小さく設定したことにより、ケージの強度を確保しつつ、従来よりもケージの最外径および外側継手部材のインロー径を小さくすることができるので、外側継手部材における抱き角(球面角)が小さくならないことから、等速自在継手の強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことなく、ケージを外側継手部材に容易に組み込むことができ、等速自在継手の品質の向上および組立性の向上が同時に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係る固定型等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。
【0035】
図1に示す実施形態の等速自在継手は、内球面21に複数のトラック溝22を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端23に向けて形成したマウス部24を有する外側継手部材である外輪25と、外球面26に外輪25のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝27を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材である内輪28と、外輪25のトラック溝22と内輪28のトラック溝27間に介在してトルクを伝達する複数のボール29と、外輪25の内球面21と内輪28の外球面26との間に介在して各ボール29を保持するケージ30とを備えている。複数のボール29は、ケージ30に形成されたポケット33に収容されて円周方向等間隔に配置されている。
【0036】
前述の外輪25のマウス部24から一体的に延びるステム部(図示せず)に例えば従動軸(図示せず)が連設され、内輪28に駆動軸(図示せず)がセレーション等で結合されることにより、それら従動軸と駆動軸間で作動角度変位を許容しながらトルク伝達が可能な構造となっている。
【0037】
外輪25の各トラック溝22は、その開口側溝底を外輪25の開口端23に向けて直線的に拡径させたテーパ状としている。つまり、トラック溝22は、マウス部24の奥側での円弧底22aと、マウス部24の開口側でのテーパ底22bとを有する。一方、内輪28の各トラック溝27は、その奥側溝底を内輪28の奥端に向けて直線的に拡径させたテーパ状としている。つまり、トラック溝27は、マウス部24の開口側での円弧底27aと、マウス部24の奥側でのテーパ底27bとを有する。
【0038】
ここで、図1は作動角が0°の状態、図2は作動角が最大作動角θの状態を示している。作動角とは、外輪25の回転軸Xと内輪28の回転軸Yとがなす角度を意味する。また、外輪25の回転軸Xと内輪28の回転軸Yが0°以外のある作動角をとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面を継手中心面Pと称する。作動角θをとったとき、すべてのボール29が継手中心面P上にあれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、従って、両回転軸X,Y間で等速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定型等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定されている。
【0039】
図3は、(a)に実施形態のケージ30を示し、このケージ30と比較するため、(b)に従来のケージ10(図18参照)を示す。また、図4は、図3(a)に示す実施形態のケージ30の左側面図であり、図5は図4の断面図である。
【0040】
この実施形態のケージ30は、ポケット33の開口端側に位置する外球面32を部分的にカットし、かつ、その平坦状のカット面40におけるケージ30の外径φdを外輪25のインロー径φD(図2参照)よりも小さく設定している。図2に示すように外輪25の回転軸Xと内輪28の回転軸Yとが最大作動角θをとった状態で、ボール29との接触点を確保できる程度までポケット33の開口端側に位置する外球面32を部分的にカットすればよい。ここで、ボール33との接触点を確保できる程度とは、等速自在継手が最大作動角θをとった状態で、ボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)においても、ケージ30のポケット33からボール29が飛び出すことを防止できる程度を意味する。
【0041】
この実施形態では、図4および図5に示すように円周方向に等間隔に配置されたポケット33の全てについてカット面40を形成しているが、必ずしも全てのポケット33について形成する必要はなく、少なくとも対向する二つのポケット33についてカット面40を形成するだけであってもよい。
【0042】
少なくとも対向する二つのポケット33としたのは、図6に示すようにケージ30を外輪25に組み込む場合、外輪25の軸線に対してケージ30の軸線を直交させた状態で外輪25内にケージ30を挿入し、その挿入後、ケージ30を90°回転させてその軸線を外輪25の軸線に一致させるため、ケージ30の挿入に際して、対向する二つのポケット33について部分的なカットがなされ、その平坦状のカット面40におけるケージ30の外径φdを外輪25のインロー径φDよりも小さく設定されていれば、ケージ30を外輪25内に挿入することが可能となるためである。
【0043】
この実施形態のようにケージ30のポケット33の開口端側に位置する外球面32を部分的にカットし、かつ、その平坦状のカット面40におけるケージ30の外径φdを外輪25のインロー径φDよりも小さく設定すれば、ケージ30の強度を確保しつつ、従来よりもケージ30の外径φd(<従来のケージ10の最外径φd)を小さくすることができ、ひいては外輪25のインロー径φD(<従来の外輪5のインロー径φD)を小さくすることができるので、外輪25における抱き角(球面角)γ(図2参照)が小さくならないことから、等速自在継手の強度、耐久性の低下や伝達トルクの損失を招くことなく、ケージ30の外輪25への組み込みが容易となる。
【0044】
また、このケージ30は、図3(a)(b)に示すように従来品よりも、その外球面32の開口側端部を軸方向に向けて延在させ、内球面31の開口側端部を外球面32の開口側端部に向けて拡径するテーパ面34を形成している。このケージ30の開口側端部では、図2に示すように外輪25と内輪28が最大作動角θをとった状態で、内輪28にセレーション嵌合で取り付けられたシャフト50がケージ30の開口側端部と干渉しない程度にその外球面32の開口側端部を延在させる。
【0045】
シャフト50がケージ30の開口側端部と干渉しない程度までケージ30の外球面32の開口側端部を延在させる場合、ケージ30の内球面31の開口側端部に位置するテーパ面34のテーパ角度θ/2を、外輪25と内輪28がなす最大作動角θの半分以上とすることが望ましい。このようにテーパ面34のテーパ角度θ/2を最大作動角θの半分以上とすれば、高角域においてもケージ30の外球面32と外輪25の内球面21との接触面積を確保することができる。なお、このテーパ角度θ/2が最大作動角θの半分よりも小さければ、シャフト50がケージ30の開口側端部と干渉することになる。
【0046】
このように高角域においてもケージ30の外球面32と外輪25の内球面21との接触面積を確保することができることにより、最大作動角θをとった時に、ボール29がケージ30を開口側へ押し、そのケージ30の外球面32の開口側端部と外輪25の内球面21が強く擦れ合っても発熱による耐久性の低下や伝達トルクの損失を最小限に抑えることができる。また、ケージ30の剛性を最大限に確保することができるので、ケージ30自体の強度も向上する。
【0047】
図7は、前述したケージ30において、ポケット33のケージ内球面31とポケット端面39とを繋ぐエッジ部35を球面R形状とした実施形態を示す。この球面R形状は、ケージ30の内球面31とポケット33の端面39とを滑らかに繋ぐ球面状の連続曲面である。ケージ内球面側のエッジ部35はポケット33の開口縁全周に亘って形成されている。なお、図8は、ポケット33のケージ内球面側のエッジ部35を球面R形状とすると共にそのケージ外球面側のエッジ部36も球面R形状とした実施形態を示す。このケージ外球面側のエッジ部36についても、その球面R形状は、ケージ30の外球面32とポケット33の端面39とを滑らかに繋ぐ球面状の連続曲面であり、ポケット33の開口縁全周に亘って形成されている。
【0048】
このようにポケット33のケージ内球面側あるいはケージ外球面側のエッジ部35,36を球面R形状とすれば、等速自在継手に許容レベルを超えるトルクが動的捩りモードで負荷された場合、外輪25および内輪28のトラック溝エッジの盛り上がりがケージ30の内球面31および外球面32に干渉しても、ポケット33のエッジ部35,36に割れや欠け等が発生しにくくなり、ケージ30の強度を確保することができる。
【0049】
ケージ30は、後述するようにケージオフセットを設けることにより、外輪25の開口端側に向けて厚肉で、その奥側に向けて薄肉となった形状を有する。このケージ30において、図9に示すようにポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径を、その厚肉側隅部38の曲率半径より大きく、かつ、ボール29の半径より小さく設定する。なお、ポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径とその厚肉側隅部38の曲率半径とを比較し易くするため、図10にポケット形状を平面的に示す。図11は、ポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径を、厚肉側隅部38の曲率半径と同一にした最小値Rminに設定した場合を示し、また、図12は、ポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径を、ボール29の半径と同一にした最大値Rmaxに設定した場合を示す。
【0050】
このようにポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径を、その厚肉側隅部38の曲率半径より大きく、かつ、ボール29の半径より小さくすることで、前述したようにトラック溝エッジの盛り上がりがケージ30の内球面31および外球面32に干渉することによりケージ30の動きが拘束されても、ポケット33の薄肉側隅部37へ応力が集中することを緩和でき、薄肉側隅部37と厚肉側隅部38での応力バランスを最適化することができ、その結果、ケージ30の強度を確保することができる。
【0051】
FEM解析によれば、ポケット33の薄肉側隅部37の曲率半径を大きくすれば、その部位に発生する応力が減少し、厚肉側隅部38の応力値に近づくことから、最適な応力バランスとなり、トラック溝エッジの盛り上がりがケージ30の内球面31および外球面32に干渉してケージ30を拘束しても、ケージ30が破損するまでの余裕代が増えることから、高角域における継手の強度を確保することができる。
【0052】
図13は、外輪25および内輪28のそれぞれのトラック溝22,27の形状、トラックオフセットおよびケージオフセットを説明するため、図1の拡大断面(ハッチングは省略)を示す。
【0053】
この実施形態の等速自在継手では、大きな作動角を取り得る構造とするため、ケージ30の内球面31の曲率中心Oと、外球面32の曲率中心Oとは、継手中心面Pに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(ケージオフセット)。また、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oと、内輪28のトラック溝27の曲率中心Oとは、外輪25の内球面21の曲率中心Oと内輪28の外球面26の曲率中心Oに対して等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットされている(トラックオフセット)。内輪28の外球面26の曲率中心Oと、外輪25の内球面21の曲率中心Oはそれぞれケージ30の内外球面31,32の曲率中心と一致している。
【0054】
このようにして、一対のトラック溝22,27により、外輪25の奥側から開口端側に向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラックが形成されている。各ボール29は一対のトラック溝22,27間に転動可能に組み込まれており、外輪25と内輪28が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、楔状のボールトラックの間隔の広い方へ移動させようとする軸方向の力を受ける。
【0055】
外輪25と内輪28が最大作動角θをとったとき、外輪25のマウス部24の開口端23からボール29が飛び出すことを防止するため、ケージ30のポケット33で拘束できるようにケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。すなわち、ケージオフセット量をf、作動角0°におけるボール29の中心軌跡半径値、すなわち、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oまたは内輪28のトラック溝27の曲率中心Oとボール29の中心Oとを結ぶ線分の長さをPCRとした場合、f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下となるように設定する。
【0056】
このように、外輪25および内輪28の両トラック溝22,27をテーパ状とすれば、最大作動角の高角化と共に、外輪25のトラック溝22におけるボール29との接触長さを確保することができるので、外輪25と内輪28との間で安定したトルク伝達を確保することができる。また、作動角をとった時にボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図2および図14参照)のトラック荷重およびポケット荷重を低減することができるので、外輪25と内輪28の高角域での作動において有利である。ここで、トラック荷重とポケット荷重とは、接触するボール29からトラック溝22,27またはポケット33が受ける荷重を意味する。
【0057】
また、ケージ30の外球面32は外輪25の内球面21に接触案内され、ケージ30の内球面31は内輪28の外球面26に接触案内され、トルク伝達時にケージ30と外輪25または内輪28との間で球面力が作用するが、その球面力の最大値を低減することができ、継手内部での発熱を抑制できる。さらに、外輪25については、鍛造型が抜き易いことから冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
【0058】
本出願人は、外輪25および内輪28の両トラック溝22,27をテーパ状とすることにより、前述したトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力の影響および傾向を検証し、有限要素法(FEM)解析を実施することで、トラック溝22,27のテーパ角度α(図1および図13参照)の範囲を絞り込んで最適設定した。
【0059】
まず、トラック溝22,27のテーパ角度αを大きくすることによる内部力(トラック荷重、ポケット荷重および球面力)の傾向は、表1のとおりである。なお、表1において、ボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と内部力が最大値となるボール29の位相、つまり、ボール29が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)について検証した(図2および図14参照)。また、球面力の変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
【0060】
【表1】


【0061】
上表から明らかなようにテーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール29が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)で外輪25の肉厚を大きく、また、ケージオフセット量を大きくしてケージの肉厚を大きくすることにより強度を確保することができるので問題にはならない。
【0062】
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために、有限要素法(FEM)解析を実施した。テーパ角度αが大きくなれば、ボール29が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪25の開口端23でありその肉厚が小さくなるため、トラック溝22に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は、図15に示すとおりである。同図に示す特性から明らかなようにテーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
【0063】
なお、前述の実施形態では、トラックオフセットを設けた場合について例示したが、そのトラックオフセットを設けずにトラックオフセット量Fを0にしてもよい。つまり、トラックオフセットを設けていると、外輪25の奥側に位置する円弧底22aがその奥側に向けて浅くなることから、作動角をとった時にトラック溝22の最奥部に位置するボール29の乗り上げが生じる可能性がある。
【0064】
そこで、外輪25のトラック溝22の曲率中心Oをその内球面21の曲率中心Oに一致させ、かつ、内輪28のトラック溝27の曲率中心Oをその外球面26の曲率中心Oに一致させてトラックオフセット量Fを0とすることにより、外輪25の奥側に位置する円弧底22aが奥側に向けて浅くなることがなく均一な深さとなることから、作動角をとった時にトラック溝22の最奥部に位置するボール29の乗り上げを抑制することができる。
【0065】
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0°から12°までの範囲で変動させた。
【0066】
ケージオフセット量f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1°以上のとき、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。一方、テーパ角度α=12°ならば、ケージオフセット量f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
【0067】
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図16の斜線領域内に設定されていれば、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図16は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
【0068】
これより、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:0<f/PCR≦0.12(但し、作動角は0°とする。)
テーパ角度α:1°≦α≦12°
【0069】
また、この実施の形態では、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ30の肉厚部を外輪25の開口端側に向けた配置とするのが好ましい。
【0070】
前述の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来の固定式等速自在継手(比較例)について、ボール29が最も飛び出そうとする位相(0°位相)におけるトラック荷重およびポケット荷重を算出したところ、結果は図17に示すとおりであった。同図より、比較例に対して実施例が、トラック荷重とポケット荷重のいずれも8割以上減少していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る固定型等速自在継手の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。
【図3】(a)は図1の等速自在継手におけるケージを示す断面図、(b)は従来の等速自在継手におけるケージを示す断面図である。
【図4】図3(a)に示すケージの左側面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】ケージを外輪に組み込む要領を説明するためのもので、外輪を開口側から見た側面図である。
【図7】ポケットのケージ内球面側のエッジ部を球面R形状とした実施形態を示すケージの断面図である。
【図8】ポケットのケージ内球面側のエッジ部およびケージ外球面のエッジ部を球面R形状とした実施形態を示すケージの断面図である。
【図9】ポケットのケージ内球面側のエッジ部およびケージ外球面のエッジ部を球面R形状とし、ポケットの薄肉側隅部の曲率半径を厚肉側隅部よりも大きくした実施形態を示すケージの断面図である。
【図10】ポケットの薄肉側隅部および厚肉側隅部を示す部分拡大平面図である。
【図11】ポケットの薄肉側隅部を最小曲率半径とした場合を示す部分拡大平面図である。
【図12】ポケットの薄肉側隅部を最大曲率半径とした場合を示す部分拡大平面図である。
【図13】図1の等速自在継手において、ケージオフセットおよびトラックオフセット等の内部諸元を説明するための図である。
【図14】ケージに収容されたボールの位相を示す断面図である。
【図15】トラック溝のテーパ角度に対する継手強度の関係を示す特性図である。
【図16】トラック溝のテーパ角度とf/PCRとの関係を示す特性図である。
【図17】基本トルク負荷時の0°位相荷重を示す特性図である。
【図18】固定型等速自在継手の従来例を示す断面図である。
【図19】図18の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。
【図20】(a)は図18の外輪を開口側から見た側面図、(b)は図18のケージを示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
21 外側継手部材(外輪)の内球面
22 外側継手部材(外輪)のトラック溝
23 開口端
25 外側継手部材(外輪)
26 内側継手部材(内輪)の外球面
27 内側継手部材(内輪)のトラック溝
28 内側継手部材(内輪)
29 ボール
30 ケージ
31 ケージの内球面
32 ケージの外球面
33 ポケット
34 テーパ面
35,36 エッジ部
37 薄肉側隅部
38 厚肉側隅部
40 カット部分(カット面)
f ケージオフセット量
F トラックオフセット量
外側継手部材(外輪)のトラック溝の曲率中心
内側継手部材(内輪)のトラック溝の曲率中心
ケージの内球面中心
ケージの外球面中心
α トラック溝のテーパ角度
θ/2 ケージの内球面の開口側端部のテーパ角度
φd ケージの外径
φD 外輪のインロー径




 

 


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