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発明の名称 動圧軸受装置およびモータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24089(P2007−24089A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−203518(P2005−203518)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾
発明者 清水 一人 / 伊藤 冬木
要約 課題
高い軸受剛性を有する動圧軸受装置を低コストで提供する

解決手段
焼結金属からなる軸受スリーブ8を軸部材2に固定し、軸部材2とともに軸受スリーブ8も回転するようにした。これにより、軸受スリーブ8の内部に含浸していた潤滑油が遠心力により外径側(ラジアル軸受隙間側)へと排出される。これにより、動圧作用が高まり、軸受剛性が向上する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内周面を有する外側部材と、外側部材の内径側に配置され、少なくとも外周面が焼結金属で形成された内側部材と、外側部材の内周面と内側部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、内側部材の回転時に、ラジアル軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部とを備えた動圧軸受装置。
【請求項2】
内側部材が、焼結金属製の軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に固定した軸部材とからなる請求項1記載の動圧軸受装置。
【請求項3】
軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に、軸受スリーブの両端面に開口する循環路を形成した請求項2記載の動圧軸受装置。
【請求項4】
第1のスラスト軸受隙間を形成する第1のスラスト部材と、第1のスラスト軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させる第1のスラスト動圧発生部とをさらに備えた請求項1記載の動圧軸受装置。
【請求項5】
第1のスラスト部材と軸方向に離間し、第2のスラスト軸受隙間を形成する第2のスラスト部材と、第2のスラスト軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させる第2のスラスト動圧発生部とをさらに備えた請求項4記載の動圧軸受装置。
【請求項6】
第1および第2のスラスト部材のうち、少なくとも何れか一方でシール空間を形成した請求項5記載の動圧軸受装置。
【請求項7】
第1および第2のスラスト部材のうち、何れか一方で外側部材の開口部を密閉した請求項5記載の動圧軸受装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、動圧軸受装置およびモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
動圧軸受装置は、軸受隙間に充填された潤滑流体(例えば潤滑油)に動圧作用を発生させ、この圧力で軸部材を支持する軸受装置である。この動圧軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を備えるものであり、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等におけるディスクドライブ用のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいは軸流ファンなどの小型モータ用の軸受装置として好適である。
【0003】
この種の動圧軸受装置としては、軸部材が軸受スリーブにラジアル軸受隙間を介して挿入され、ラジアル軸受隙間に充填されている潤滑油等の動圧作用によって、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部が設けられるものが周知である。この場合軸受スリーブには、内周に動圧溝の加工がしやすい焼結金属が使われることが多い。(特許文献1)
【特許文献1】特開2004−308921
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばHDD等においては、高容量化の要請に応えるべく磁気ディスクの搭載枚数が増加する傾向にあり、これに伴って動圧軸受装置においてもより高い軸受剛性(特にラジアル方向の軸受剛性)が求められる傾向にある。しかしながら、上記特許文献に記載された動圧軸受装置では、ラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブが焼結金属で形成されているため、動圧溝の作用によって高められた潤滑流体の圧力が焼結金属の表面開孔を通じて軸受スリーブ内部に逃げる、いわゆる動圧抜けを生じ易く、軸受剛性の確保が難しい。これを回避するために軸受スリーブ表面をサイジングして表面開孔率をコントロールしたり、軸受スリーブ表面を樹脂等で封孔することも行われているが、何れの処理もコストアップの要因となる。
【0005】
本発明の課題は、高い軸受剛性を有する動圧軸受装置を低コストに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の動圧軸受装置は、内周面を有する外側部材と、外側部材の内径側に配置され、少なくとも外周面が焼結金属で形成された内側部材と、外側部材の内周面と内側部材の外周面との間に形成されたラジアル軸受隙間と、内側部材の回転時に、ラジアル軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部とを備えている。
【0007】
このように外側部材の内径側に配した内側部材を焼結金属で形成することで、内側部材の回転に伴い、内側部材の内部空孔に保持された潤滑流体に遠心力が作用する。これにより内側部材の表面からラジアル軸受隙間への潤滑流体の滲み出しが助長され、かつラジアル軸受隙間から内側部材の内部への潤滑流体の還流が抑制されるので、ラジアル軸受隙間に常に潤沢な潤滑流体を保持することが可能となり、これによってラジアル方向の軸受剛性を高めることができる。
【0008】
本発明において、内側部材は、例えば焼結金属製の軸受スリーブと、軸受スリーブの内周に固定した軸部材とで構成される。この場合、ラジアル軸受隙間は、軸受スリーブの外周面と外側部材の内周面との間に形成される。以上の構成を有する本発明品と、上記特許文献1記載の動圧軸受装置に準じて、軸受スリーブを外側部材に固定し、軸受スリーブと軸部材との間にラジアル軸受隙間を形成した構成(比較品)とを比較すると、本発明品の方が比較品よりも半径方向外側にラジアル軸受隙間を配置することができる。この点も比較品よりモーメント剛性等の軸受剛性を高める上で有利となる。
【0009】
また、上記構成によれば、ラジアル軸受隙間の精度は軸受スリーブの外周面の精度に依存し、軸部材の外周面の精度がラジアル軸受隙間に影響することはない。軸部材は通常金属製であるから、その外周面精度を高めるには研削等の機械加工を行う必要がありコスト高の要因となる。これに対し、上記構成によれば、軸部材の外周面はラジアル軸受隙間の形成に関与しないから、軸部材に求められる加工精度が緩和され、その製作コストが低減される。その一方で、ラジアル軸受隙間の形成に関与する軸受スリーブは、加工性の良好な焼結金属で形成されており、サイジング等の工程でその外周面精度を容易に高めることができるから、外周面の高精度化で生じるコスト高の影響は小さい。従って、動圧軸受装置の低コスト化を図ることができる。
【0010】
この動圧軸受装置では、外側部材の内部の空間に潤滑油等の潤滑流体が満たされる。この場合、何らかの理由、例えば加工誤差の影響で軸受スリーブの一方の端面に面する空間と軸受スリーブの他方の端面に面する空間との間の圧力バランスが崩れるおそれがある。圧力バランスの崩れを放置すると、一方の空間で負圧が発生し、この負圧発生が原因となって潤滑流体中での気泡生成等の不具合を生じるおそれがある。この問題は後述のように、軸受スリーブの一方の端面に面する空間が外気に開放したシール空間につながり、他方の端面に面する空間が密閉されている場合に特に顕著に現れる。
【0011】
この点に鑑み、本発明では、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間に、軸受スリーブの両端面に開口する循環路を形成した。これにより潤滑流体の圧力バランスが崩れた場合でも、潤滑流体が循環路を介して高圧側から低圧側に流動し、早期に圧力バランスが回復されるので、上記の問題を回避することができる。
【0012】
上記構成の動圧軸受装置において、第1のスラスト軸受隙間を形成する第1のスラスト部材と、第1のスラスト軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させる第1のスラスト動圧発生部とを設ければ、一方向のスラスト荷重を非接触支持することが可能となる。
【0013】
これに加えて、第1のスラスト部材と軸方向に離間し、第2のスラスト軸受隙間を形成する第2のスラスト部材と、第2のスラスト軸受隙間に潤滑流体の動圧作用を発生させる第2のスラスト動圧発生部とを設ければ、両方向のスラスト荷重をそれぞれ非接触支持することが可能となる。
【0014】
この場合、第1および第2のスラスト部材のうち、少なくとも一方でシール空間を形成することができる。さらに第1および第2のスラスト部材のうち、何れか一方で外側部材の開口部を密閉することもできる。
【0015】
以上に述べた動圧軸受装置と、ステータコイルと、ロータマグネットとからなるモータは低コストであり、かつ高い回転精度を有するという特徴を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、高い軸受剛性を有する動圧軸受装置を低コストで提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施形態を図1、2に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる動圧軸受装置(流体動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。この情報機器用スピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、動圧軸受装置1と、動圧軸受装置1の軸部材2に取り付けられたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4は、ブラケット6の例えば外周面に設けたステータコイル取り付け部6aに取り付けられ、ロータマグネット5は、ディスクハブ3の内周に取り付けられている。ディスクハブ3は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴ってディスクハブ3、および軸部材2が一体となって回転する。
【0019】
動圧軸受装置1は、図2に示すように、内周面を有する外側部材7と、外側部材7に対して回転する軸部材2と、軸部材2に固定された軸受スリーブ8と、第1のスラスト軸受隙間を形成する第1のスラスト部材9と、第2のスラスト軸受隙間を形成する第2のスラスト部材11とを備えている。図2に示す動圧軸受装置1では、円筒状の外側部材7の一端開口部を第2のスラスト部材11で密閉し、かつこの第2のスラスト部材11を外側部材7と一体形成した場合を例示している。なお、以下では、説明の便宜上、軸方向に離間した第1および第2のスラスト部材9、11のうち、第1のスラスト部材9側を上側、第2のスラスト部材11側を下側として説明を進める。
【0020】
この動圧軸受装置1では、軸受スリーブ8の外周面8aには、第1のラジアル動圧発生部R1と第2のラジアル動圧発生部R2が軸方向に離隔して設けられる。これらには、例えばヘリングボーン形状に配列した複数の動圧溝G(図2点線で示す)がそれぞれ形成される。
【0021】
軸部材2は、例えばステンレス鋼などの金属材料で形成されている。また、軸受スリーブ8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。焼結金属製の軸受スリーブ外周面8aの動圧溝Gは、エッチング加工やレーザ加工、あるいはインクジェット等による印刷によって形成することができる。この他、良好な加工性を有する焼結金属の特性に鑑み、転造等の塑性加工で動圧溝Gを形成することも可能である。
【0022】
軸部材2の外周には軸受スリーブ8が固定されている。固定の方法として、圧入、圧入接着(接着剤の介在の下で圧入する)、あるいは隙間嵌めによる接着が考えられる。この他、軸受スリーブ8と軸部材2の線膨張係数の差を利用して焼嵌め(接着剤の介在の下で行うのが好ましい)することも考えられる。接着剤の介在下で隙間嵌め、あるいは焼嵌めする場合には、両部材間の同軸度および直角度を確保するため、接着剤が硬化するまで軸部材2と軸受スリーブ8を冶具で保持するのが望ましい。このように軸部材2と軸受スリーブ8とが固定されることによって、内側部材13が形成される。
【0023】
外側部材7は、この実施形態では、第2のスラスト部材11も含めて樹脂の射出成形で一体形成され、その軸方向一端を開口した有底筒状の形態をなす。外側部材7の内周には、その開口側から順に大径内周面7cと小径内周面7aが設けられ、大径内周面7cには第1のスラスト部材9が固定される。
【0024】
外側部材7を形成する樹脂は主に熱可塑性樹脂であり、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。また、上記の樹脂に充填する充填材の種類も特に限定されないが、例えば、充填材として、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で用い、あるいは、二種以上を混合して使用しても良い。
【0025】
この他、金属材料(例えば黄銅等の軟質金属材料)、その他の材料で外側部材7を形成することもできる。また、射出成形の一態様として、低融点金属(アルミニウム合金等)の射出成形やMIM成形を採用することもできる。外側部材7の加工法は上記に例示した方法には限定されず、例えば旋削によって外側部材を形成することもできる。
【0026】
軸受スリーブ8の上側端面8bには、第1のスラスト動圧発生部T1が形成される。同様にして、軸受スリーブ8の下側端面8cには、第2のスラスト動圧発生部T2が形成される。これら領域には、例えばスパイラル状に配列した複数の動圧溝が形成されている(図示省略)。
【0027】
第1のスラスト部材9は、何れも黄銅等の軟質金属材料やその他の金属材料、あるいは、樹脂材料でリング状に形成され、外側部材7の大径内周面7cに例えば接着によって固定される。この際、第1のスラスト部材9の下側端面9bは、大径内周面7cと小径内周面7aとの境界に形成された段部7dに当接させ、軸方向に互いに係合させる。これにより、第1のスラスト部材9の軸方向位置が定まり、後述する二つのスラスト軸受隙間の幅が規定値に設定される。
【0028】
第1のスラスト部材9の内周面9aは、軸部材2の外周面との間に所定の容積をもったシール空間Sを形成する。この実施形態において、第1のスラスト部材9の内周にテーパ状のシール面9aが形成されている。このシール面9aと軸部材2との間に、上方に向けて半径方向寸法が漸次拡大する環状のシール空間Sが形成される。従って、シール空間S内の潤滑流体は、毛細管力による引き込み作用によりシール空間Sが狭くなる方向に向けて引き込まれ、その結果、外側部材7の上端開口部がシールされる。第1のスラスト部材9でシールされた外側部材7の内部空間に、潤滑流体として例えば潤滑油を充満させる。シール空間Sは、外側部材7の内部空間に充満された潤滑油の温度変化に伴う容積変化量を吸収するバッファ機能をも有し、油面は常時シール空間S内にある。
【0029】
なお、第1のスラスト部材9の内周面9aを円筒面とする一方、これに対向する軸部材2の外周面をテーパ面状に形成してもよく、この場合、さらに遠心力シールとしての機能も得られるのでシール効果がより一層高まる。
【0030】
軸部材2および軸受スリーブ8(内側部材13)の回転時には、軸受スリーブ8の外周面8aのうち、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2は、それぞれ外側部材7の小径内周面7aとラジアル軸受隙間を介して対向する。また、軸受スリーブ8の上側端面8bの第1のスラスト動圧発生部T1が第1のスラスト部材9の下側端面9bと所定幅の第1のスラスト軸受隙間を介して対向し、軸受スリーブ8の下側端面8cの第2のスラスト動圧発生部T2は、外側部材7の底部を構成する第2のスラスト部材11の上側端面11aと所定幅の第2のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして、内側部材13の回転に伴い、上記第1および第2のラジアル動圧発生部がラジアル軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、内側部材13がラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触支持される。同時に、上記第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2が、各スラスト軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、内側部材13が上記スラスト軸受隙間内に形成される潤滑油の油膜によってスラスト両方向で回転自在に非接触支持される。
【0031】
この動圧軸受装置1には、第2のスラスト動圧発生部T2が臨む第2のスラスト軸受隙間と、シール空間Sとを連通させるための循環路10が形成される。この循環路10は、軸受スリーブ8の内周面8dに沿って軸方向に形成され、その両端が軸受スリーブの上端面8b、下端面8cにそれぞれ開口して形成される。循環路10は、1本だけ形成しても良いし、複数本、例えば3本形成しても良い。
【0032】
循環路10の形成方法は任意で、例えば軸受スリーブの焼結前の圧粉成形、あるいは焼結後のフォーミングやサイジングで型成形することによって形成することができる。この他、機械加工等で形成することもできる。
【0033】
本発明においては、軸受スリーブ8の外周面8aと外側部材7の内周面との間の隙間(第1隙間)、軸受スリーブ8の下側端面8cと第2スラスト部材11の上側端面11aとの間の隙間(第2隙間)、軸受スリーブ8の上側端面8bと第1スラスト部材9の下側端面9bとの間の隙間(第3隙間)、および循環溝10がそれぞれ潤滑油で満たされる。この際、潤滑油を、各隙間(循環溝10を含む)を順次通過するよう循環させれば、各隙間での圧力バランスの崩れを防止して負圧発生防止に努めることができる。図2では、かかる循環流の発生手段として、第1ラジアル動圧発生部R1の動圧溝Gにおいて、上側領域の軸方向寸法Xを下側領域の軸方向寸法Yよりも大きくすることにより、上側領域と下側領域でのポンピング力の差を設けた構造を例示している。この場合、第1隙間→第2隙間→循環溝10→第3隙間の順に潤滑油を循環させることが可能となる。潤滑油の循環方向はこれとは逆でもよく、また特に必要がなければ、あえて上下の領域で動圧溝にポンピング力差を与える必要もない。
【0034】
以上の説明では、動圧溝を有する第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2を軸受スリーブ8の外周面に形成する場合を例示したが、この動圧溝Gをラジアル軸受隙間を介して対向する面、すなわち外側部材7の小径内周面7aに形成することもできる。同様に、第1のスラスト動圧発生部T1を第1のスラスト部材9の下側端面9bに、第2のスラスト動圧発生部T2を外側部材7の底部を構成する第2のスラスト部材11の上側端面11aに形成することもできる。また、以上の説明では、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2および第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2として、ヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑流体の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、第1および第2のラジアル動圧発生部R1、R2として、いわゆるステップ軸受や多円弧軸受を採用することもでき、第1および第2のスラスト動圧発生部T1、T2として、動圧溝を放射状に配置したいわゆるステップ軸受や、いわゆる波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。これらの動圧溝や多円弧型軸受の形成方法としては、エッチング加工、レーザ加工、転造加工、インクジェットによる印刷、プレス成形などが考えられる。
【0035】
以上に説明した第1の実施形態の動圧軸受装置1では、軸受スリーブ8を焼結金属で形成することで、内側部材13の回転に伴い、軸受スリーブ8の内部空孔に保持された潤滑流体に遠心力が作用する。これにより軸受スリーブ8の表面からラジアル軸受隙間への潤滑流体の滲み出しが助長され、かつラジアル軸受隙間から軸受スリーブ8の内部への潤滑流体の還流が抑制されるので、ラジアル軸受隙間に常に潤沢な潤滑流体を保持することが可能となり、これによってラジアル方向の軸受剛性を高めることができる。
【0036】
また動圧軸受装置1は、ラジアル軸受隙間が軸受スリーブ8の外周面8aと外側部材7の内周面7aとの間に設けられている。これにより、ラジアル軸受隙間が軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間に設けられていた従来品に比べ、ラジアル軸受隙間を半径方向外側に配置することができるので、モーメント剛性等の軸受剛性を高めることができる。
【0037】
さらに、動圧軸受装置1のラジアル軸受隙間の精度は、良好な加工性を有する焼結金属で形成された軸受スリーブ8の外周面の精度に依存し、加工の困難な金属でできた軸部材2の外周面の精度がラジアル軸受隙間に影響することはない。従って、軸部材に高い精度が求められていた従来品よりも軸部材2の製造が容易になり、この際、軸部材2のコスト削減効果が軸受スリーブ8のコスト上昇分を上回るので、動圧軸受装置1の低コスト化を図ることができる。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態の動圧軸受装置21は、上記動圧軸受装置1の第2のスラスト動圧発生部T2を含むスラスト支持構造を、動圧軸受からピボット軸受に置き換えたものである。ピボット軸受は、軸部材2の球面状の軸端2aを外側部材7の底部を構成する第2のスラスト部材11の上側端面11a(あるいは第2のスラスト部材11の上側端面11a上に配置した低摩擦性の別部材)に接触させた構造を有し、これにより軸部材2をスラスト方向に接触支持するスラスト軸受部T2’が構成されている。また、第1の実施形態と同様に循環路10を設け、軸受スリーブ8の下端面8cと外側部材7の内底面7bとの間に形成された空間をシール空間Sに連通させている。
【0039】
図4は、本発明の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態の動圧軸受装置31は、外側部材7の上端開口部を第1のスラスト部材9でシールするだけでなく、外側部材7を両側開口とし、下側の開口部も第2のスラスト部材11でシールしたものである。第2のスラスト部材11の内周面11bは、内周がテーパ面状をなしており、これにより第2のシール空間S2は上方に向けて半径方向寸法が漸次縮小したテーパ形状を呈している。第1のスラスト部材9の内周面9aと軸部材2との間に第1のシール空間S1が形成され、第2のスラスト部材11の内周面11bと軸部材2との間に第2のシール空間S2が形成されている。両シール空間S1、S2は循環路10を介して連通状態にある。内側部材13の回転中、第2のスラスト部材11の上側端面11aは、軸受スリーブ8の下側端面8cに形成された第2のスラスト動圧発生部T2と第2のスラスト軸受隙間を介して対向する。
【0040】
この場合、外側部材7の両端開口部にシール空間S1、S2が形成されるため、上端開口部にのみシール空間Sを形成した図2に示す実施形態に比べ、外側部材7の内部に保有される油量が増えるため、軸受装置全体のバッファ機能を高めることができる。従って、個々のシール空間S1、S2の容積をより小さくでき、第1および第2のスラスト部材9、11の軸方向寸法を縮小して動圧軸受装置の軸方向寸法をさらに小型化することができる。
【0041】
図5は、本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態の動圧軸受装置41では、シール空間Sの位置が他の実施形態とは異なる。また、第1のスラスト部材としてディスクハブ3を有し、ディスクハブ3は内側部材13(詳細には軸部材2)に固定されている。外側部材7の外周側面には、上方に向かって漸次拡径するテーパ状の外壁7fが形成され、外壁7fとディスクハブ3の筒状部3aの内周面3a1との間に、外側部材7の下端側から上方に向けて漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。
【0042】
スラスト動圧発生部Tは、外側部材7の上面7eに形成される。シール空間Sは、軸部材2およびディスクハブ3の回転時、スラスト軸受隙間の外径側と連通する。
【0043】
この場合、循環路10は軸受スリーブ8の内周面8dに沿って上下方向に形成され、その両端が軸受スリーブ8の下側端面8cと上側端面8bとにそれぞれ開口している。これにより、軸受スリーブ8の下側端面8cと外側部材7の内底面7bとの間の隙間と、軸受スリーブ8の上側端面8bとディスクハブ3との間の隙間とを連通する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】動圧軸受装置1を組み込んだモータの一例を示す断面図である。
【図2】動圧軸受装置1(本発明の第1の実施形態)の断面図である。
【図3】動圧軸受装置21(本発明の第2の実施形態)の断面図である。
【図4】動圧軸受装置31(本発明の第3の実施形態)の断面図である。
【図5】動圧軸受装置41(本発明の第4の実施形態)の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 動圧軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 モータブラケット
7 外側部材
8 軸受スリーブ
9、11 スラスト部材
10 循環路
S シール空間
G 軸受スリーブ8の外周に設けられた動圧溝
R1、R2 ラジアル動圧発生部
T1、T2 スラスト動圧発生部




 

 


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