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オートテンショナ - NTN株式会社
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発明の名称 オートテンショナ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16938(P2007−16938A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200081(P2005−200081)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
発明者 後藤 司郎 / 早川 久 / 田中 唯久 / 峰野 克典 / 井上 正晴
要約 課題
オートテンショナの絞りの抵抗の管理の容易化とともに、絞りの目詰まりを防止する。

解決手段
ロッド11の端部のピストン12をシリンダ10内に固定したスリーブ9に摺動可能に挿入し、圧力室14とリザーバ室15を連通する第1通路18にリザーバ室15側から圧力室14側への流れのみを許容する第1チェック弁19を設け、圧力室14とリザーバ室15を連通する第2通路20に圧力室14側からリザーバ室15側への流れのみを許容する第2チェック弁21を設け、第2通路20に絞りを設け、ロッド11とシリンダ10を付勢するリターンスプリング17を設けたオートテンショナ4において、圧力室14側を大径とする段部24を第2通路20に形成し、端面に渦巻き状の溝25を形成した円柱部材26を第2通路20に圧入してその端面を段部24に当接させ、渦巻き状の溝25の内面と段部24の間の渦巻き状の通路27で前記絞りを構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
ロッド11の端部に形成したピストン12をシリンダ10内に固定したスリーブ9に摺動可能に挿入し、そのピストン12の移動により容積が変化する前記スリーブ9内の圧力室14に作動油を充填し、前記シリンダ10と前記スリーブ9の間に形成されるリザーバ室15に作動油を溜め、前記圧力室14と前記リザーバ室15を連通する第1通路18を設け、その第1通路18に前記リザーバ室15側から前記圧力室14側への流れのみを許容する第1チェック弁19を設け、前記圧力室14と前記リザーバ室15を連通する第2通路20を設け、その第2通路20に前記圧力室14側から前記リザーバ室15側への流れのみを許容する第2チェック弁21を設け、前記第2通路20に絞りを設け、前記圧力室14の容積が拡大する方向に前記ロッド11と前記シリンダ10を付勢するリターンスプリング17を設けたオートテンショナにおいて、前記圧力室14側を大径とする段部24を前記第2通路20に形成し、端面に渦巻き状の溝25を形成した円柱部材26を前記第2通路20に圧入してその端面を前記段部24に当接させ、前記渦巻き状の溝25の内面と前記段部24の間に形成される渦巻き状の通路27で前記絞りを構成したことを特徴とするオートテンショナ。
【請求項2】
前記円柱部材26の側面に一端面から他端面に至る溝28を複数形成した請求項1に記載のオートテンショナ。
【請求項3】
通電によって前記第2チェック弁21の閉鎖状態を保持する電磁コイル22を設けた請求項1または2に記載のオートテンショナ。
【請求項4】
前記円柱部材26の端面に前記渦巻き状の溝25を複数形成した請求項1から3のいずれかに記載のオートテンショナ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の補機の駆動ベルトの張力保持に用いるオートテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の補機、たとえばカーエアコンやウォータポンプなどは、その回転軸がエンジンのクランクシャフトにベルトで連結されており、そのベルトを介してエンジンで駆動される。このベルトの張力を適正範囲に保つために、一般に、ベルトに接触する回転可能なテンションプーリと、そのテンションプーリを支持する揺動可能なプーリアームと、テンションプーリがベルトを押圧する方向にプーリアームを付勢するオートテンショナとからなるオートテンショナユニットが使用される。
【0003】
このようなオートテンショナユニットに用いるオートテンショナとして、ロッドの下部に形成したピストンを、シリンダ内に固定したスリーブに摺動可能に挿入し、そのロッドとシリンダを、スリーブ内の圧力室の容積を拡大させる方向にリターンスプリングで付勢したものが知られている(特許文献1)。このオートテンショナは、リターンスプリングの付勢力がベルトの張力とつりあう位置までロッドが移動することにより、ベルトの張力変動を吸収し、ベルトの張力を適正範囲に保つ。
【0004】
また、ピストンで区切られたスリーブ内の圧力室に作動油が充填されており、スリーブとシリンダの間に形成されたリザーバ室にも作動油が溜められている。圧力室の下部とリザーバ室の下部は第1通路で連通しており、ロッドが移動して圧力室の容積が拡大すると、リザーバ室内の作動油が第1通路を通って圧力室に流れる。また、ロッドにも圧力室とリザーバ室を連通する第2通路が形成されており、ロッドが移動して圧力室の容積が縮小すると、圧力室内の作動油が第2通路を通ってリザーバ室に流れる。この第2通路にはオリフィスが設けられており、そのオリフィスで圧力室からリザーバ室に流れる作動油の流量を制限し、これによりロッドがゆっくりと移動するようにしてベルトの張力を安定させている。
【0005】
しかし、オリフィスは、一般的に孔径が0.1〜0.2mmと小さいので、加工が難しく、孔径にばらつきが生じやすい。そのため、オリフィスの抵抗を管理するのが困難であった。
【0006】
また、オリフィスの孔径が小さいので、圧力室内の作動油に含まれる異物(たとえば摩耗粉など)がオリフィスの孔に詰まりやすい。この詰まりは、オリフィスの孔径を大きくすることで防止することができるが、その場合、抵抗を確保するためにオリフィスの長さを長くする必要があり、オリフィスの加工が難しくなる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−090724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、オートテンショナの第2通路に設ける絞りの長さを長くしてその絞りの断面寸法を大きくし、これにより絞りの抵抗の管理を容易にするとともに絞りに異物が詰まるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、圧力室側を大径とする段部を第2通路に形成し、端面に渦巻き状の溝を形成した円柱部材を第2通路に圧入してその端面を段部に当接させ、前記溝の内面と前記段部の間に形成される渦巻き状の通路で絞りを構成した。この構成を採用したオートテンショナは、円柱部材の端面に形成した渦巻き状の溝を第2通路の段部に当接させて渦巻き状の通路を形成するので、その通路の長さを断面寸法に比べて大きくするのが容易である。そのため、渦巻き状の通路の断面寸法を大きくしても、その通路の長さを長くして、断面寸法の小さいオリフィスと同等の抵抗の絞りを形成することができる。
【0010】
このオートテンショナは、次の構成を加えるとより好ましいものとなる。
1)前記円柱部材の側面に一端面から他端面に至る溝を形成する。
2)通電によって前記第2チェック弁の閉鎖状態を保持する電磁コイルを設ける。
3)前記円柱部材の端面に前記渦巻き状の溝を複数形成する。
【発明の効果】
【0011】
この発明のオートテンショナは、円柱部材の端面に形成した渦巻き状の溝を第2通路の段部に当接させて渦巻き状の通路を形成するので、その通路の長さを断面寸法に比べて大きくするのが容易である。そのため、渦巻き状の通路の長さを管理することにより、絞りの抵抗を容易に管理することができる。また、絞りの断面寸法を大きくし、絞りに異物が詰まるのを防止することができる。
【0012】
さらに、前記円柱部材の側面に一端面から他端面に至る溝を複数形成したものは、その溝の内面と第2通路の内面の間に形成される通路で、圧力室と渦巻き状の通路とを連通させることができる。
【0013】
また、通電によって第2チェック弁の閉鎖状態を保持する電磁コイルを設けたものは、その電磁コイルに通電することにより圧力室からリザーバ室に作動油が流れるのを阻止して、圧力室の容積が縮小する方向にロッドが移動するのを一時的に阻止することができる。
【0014】
また、前記円柱部材の端面に前記渦巻き状の溝を複数形成したものは、絞りを構成する通路が複数形成されるので、いずれかの通路に異物が詰まっても他の通路を作動油が流れることができる。そのため、ロッドの動作の信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明のオートテンショナの実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、テンションプーリ1がプーリアーム2に回転可能に取り付けられ、そのプーリアーム2が支軸3を中心として揺動可能に支持されている。プーリアーム2にはオートテンショナ4が接続され、このオートテンショナ4は、テンションプーリ1がベルト5を押圧する方向にプーリアーム2を付勢している。
【0016】
ベルト5は、図2に示すようにエンジン6とモータジェネレータ7と補機8を連結し、テンションプーリ1は、エンジン6とモータジェネレータ7の間の位置でベルト5を押圧している。
【0017】
オートテンショナ4は、図3に示すようにスリーブ9がシリンダ10内に挿入して固定され、そのスリーブ9内に、ロッド11の下部に形成されたピストン12が摺動可能に挿入されている。また、スリーブ9内には、ピストン12よりも上方に止め環13が装着されており、この止め環13によってピストン12がスリーブ9から抜け出すのを防止している。ピストン12によってスリーブ9内に形成される圧力室14には、作動油が充填されている。また、スリーブ9とシリンダ10の間に形成されたリザーバ室15にも作動油が溜められている。
【0018】
ロッド11の上部にはばね座16が固定され、ばね座16とシリンダ10の間にはリターンスプリング17が組み込まれている。リターンスプリング17は、圧力室14の容積が拡大する方向にロッド11とシリンダ10を付勢している。
【0019】
圧力室14の下部とリザーバ室15の下部は、シリンダ10に形成された第1通路18を介して連通しており、この第1通路18には、リザーバ室15側から圧力室14側への流れのみを許容する第1チェック弁19が設けられている。第1チェック弁19は、圧力室14の下部に固定した弁座19aと、弁座19aに形成された弁孔19bを開閉する球状の弁体19cと、弁体19cの移動範囲を制限するストッパ19dとからなる。
【0020】
また、ロッド11とばね座16には、圧力室14の上部とリザーバ室15の上部を連通する第2通路20が形成され、この第2通路20には、弁座21aと、弁座21aに形成された弁孔21bに向けて進退可能に支持される弁体21cと、弁体21cを弁孔21bに向けて付勢するばね21dとからなる第2チェック弁21が設けられている。この第2チェック弁は、図4に示すように圧力室14側からリザーバ室15側への流れのみを許容する。弁体21cには、図3に示すように電磁コイル22が装着されており、電磁コイル22に通電すると弁体21cが弁孔21bに向けて押圧されて、弁孔21bの閉鎖状態を保持するようになっている。
【0021】
ばね座16とシリンダ10の間の開口は伸縮可能なベローズ23で塞がれており、これによりリザーバ室15内の作動油が外部に洩れるのを防止している。
【0022】
ロッド11の第2通路20には、図5に示すように圧力室14側を大径とする段部24が形成されている。この第2通路20には、端面に渦巻き状の溝25が形成された円柱部材26が圧入されており、図6(a)に示すようにその端面が段部24に当接している。そのため、溝25の内面と段部24の間には、図6(b)に示すように渦巻き状の通路27が形成されている。このような円柱部材26は、たとえば樹脂成形品や焼結品で形成することができる。
【0023】
また、円柱部材26の側面には、図5に示すように円柱部材26の一端面から他端面に至る溝28が複数形成されている。そのため、この溝28の内面と第2通路20の内面の間には、図6(a)に示すようにロッド軸方向に延びる通路29が形成され、この通路29によって圧力室14と渦巻き状の通路27が連通している。
【0024】
ばね座16の上部には、図3に示すようにブッシュ取付け孔30が形成されており、そのブッシュ取付け孔30にブッシュ31が圧入され、そのブッシュ31内に内輪32が回転可能に挿入されている。内輪32は、図1に示すようにボルト33でエンジンブロック(図示せず)に固定されて、オートテンショナ4を揺動可能に支持している。
【0025】
図3に示すように、シリンダ10の下部にもブッシュ取付け孔34が形成されており、そのブッシュ取付け孔34にブッシュ35が圧入され、そのブッシュ35内に内輪36が回転可能に挿入されている。内輪36は、図1に示すようにプーリアーム2にボルト37で固定されて、オートテンショナ4とプーリアーム2を相対回転可能に連結している。
【0026】
つぎに、上述のオートテンショナ4の動作を説明する。
【0027】
通常走行時、補機8は、図2に示すようにベルト5を介してエンジン6で駆動される。このとき、補機8の負荷が変動してベルト5の張力が大きくなると、その張力がプーリアーム2を介してオートテンショナ4に伝達し、圧力室14内の圧力が高くなる。圧力室14内の圧力が高まると、第2チェック弁21の弁体21cが弁座21aから離反して弁孔21bが開き、圧力室14内の作動油が第2通路20を通ってリザーバ室15に流出する。この作動油の流出によりスリーブ9内のピストン12が移動し、ベルト5の張力とリターンスプリング17の付勢力とがつり合う位置までテンションプーリ1が移動して、ベルト5の緊張を緩和する。このとき、作動油の流量が渦巻き状の通路27で制限されているので、テンションプーリ1はゆっくりと移動する。そのため、ベルト5の張力が不安定になりにくい。
【0028】
また、補機8の負荷が変動してベルト5の張力が小さくなると、リターンスプリング17の付勢力によって圧力室14内の圧力が低くなる。圧力室14内の圧力が低くなると、第1チェック弁19の弁体19cが弁座19aから離反して弁孔19bが開き、リザーバ室15内の作動油が第1通路18を通って圧力室14に流入する。この作動油の流入によりスリーブ9内のピストン12が移動し、ベルト5の張力とリターンスプリング17の付勢力とがつり合う位置までテンションプーリ1が移動して、ベルト5の弛みを吸収する。このとき、第1通路18には絞りがないので、テンションプーリ1は速やかに移動し、ベルト5の弛みを迅速に吸収する。
【0029】
このように、テンションプーリ1の位置のベルト5の張力が変動すると、ベルト5の張力とリターンスプリング17の付勢力とがつり合う位置までテンションプーリ1が移動してベルト5の張力変動を吸収するので、ベルト5の張力が適正範囲に保たれる。
【0030】
一方、エンジン6を一旦停止した後に、図7に示すようにモータジェネレータ7でエンジン6を再始動するときは、電磁コイル22に通電して第2チェック弁21を閉鎖状態に保持しておく。このようにすると、圧力室14内の作動油がリザーバ室15に流れないので、スリーブ9内のピストン12が移動せず、テンションプーリ1の位置が固定される。そのため、ベルト5の緊張状態が保持され、ベルト5のスリップを防止し、安定したエンジン始動を可能とすることができる。
【0031】
このオートテンショナ4は、渦巻き状の溝25を形成した円柱部材26の端面を第2通路20の段部24に当接させて渦巻き状の通路27を形成するので、その通路27の長さを断面寸法に比べて大きくするのが容易である。そのため、このオートテンショナ4は、渦巻き状の通路27の長さで絞りの抵抗を管理して、品質を安定させることができる。また、圧力室14内の作動油に含まれる異物(たとえばピストンの摺動により生じた摩耗粉など)が詰まりにくく、動作不良を起こしにくい。
【0032】
円柱部材の端面に形成する渦巻き状の溝25は、1条でもよいが、複数条形成するとより好ましい。このようにすると、絞りを構成する通路27が複数形成されるので、いずれかの通路27に異物が詰まっても他の通路27を作動油が流れる。そのため、より動作不良を起こしにくい。
【0033】
上記実施形態では、円柱部材26の側面に溝28を形成して圧力室14と渦巻き状の通路27とを連通しているが、他の方法で連通してもよく、たとえば、第2通路20の内面にロッド軸方向に延びる溝を形成して圧力室14と渦巻き状の通路27とを連通してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施形態のオートテンショナの使用例を示す正面図
【図2】エンジンによる補機の駆動状態を示す図
【図3】図1のオートテンショナの軸線に沿った断面図
【図4】図1のオートテンショナの第2チェック弁を示す拡大図
【図5】図1のオートテンショナの絞りの分解斜視図
【図6】(a)は図1のオートテンショナの絞りの軸線に沿った断面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図
【図7】モータジェネレータによるエンジンの始動状態を示す図
【符号の説明】
【0035】
9 スリーブ
10 シリンダ
11 ロッド
12 ピストン
14 圧力室
15 リザーバ室
17 リターンスプリング
18 第1通路
19 第1チェック弁
20 第2通路
21 第2チェック弁
22 電磁コイル
24 段部
25 溝
26 円柱部材
27 通路
28 溝




 

 


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