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発明の名称 トリポード型等速自在継手
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16851(P2007−16851A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197707(P2005−197707)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾
発明者 後藤 竜宏 / 村上 裕志
要約 課題
脚軸あるいは針状ころが接触する部分での摩耗を低減する。

解決手段
内周部に軸方向の三本のトラック溝2が形成され、各トラック溝2の両側にそれぞれ軸方向のローラ案内面3を有する外側継手部材1と、半径方向に突出した三本の脚軸5を有するトリポード部材4と、トリポード部材4の各脚軸5に装着され、複数の針状ころ6を介して回転自在に支持されてトラック溝2に挿入されたローラ7とを備え、ローラ7がローラ案内面3に沿って外側継手部材1の軸方向に移動可能なトリポード型等速自在継手において、針状ころ6の表面に、微小凹形状のくぼみ8をランダムに無数に設け、くぼみ8を設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内とし、かつ、Sk値を−1.6以下とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
内周部に軸方向の三本のトラック溝が形成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した三本の脚軸を有するトリポード部材と、前記トリポード部材の各脚軸に装着され、複数の針状ころを介して回転自在に支持された状態で前記トラック溝に挿入されたローラとを備え、そのローラがローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能なトリポード型等速自在継手において、前記針状ころの表面に微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内とし、かつ、Sk値を−1.6以下としたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
【請求項2】
前記ローラは、前記トリポード部材の脚軸に外嵌された内側ローラに複数の針状ころを介して回転自在に支持された外側ローラであり、これら内側ローラ、針状ころおよび外側ローラでアッセンブリ体を構成している請求項1に記載のトリポード型等速自在継手。
【請求項3】
内周部に軸方向の三本のトラック溝が形成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した三本の脚軸を有するトリポード部材と、前記トリポード部材の各脚軸に装着され、複数の針状ころを介して回転自在に支持された状態で前記トラック溝に挿入されたローラとを備え、そのローラがローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能なトリポード型等速自在継手において、前記脚軸の表面に微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内とし、かつ、Sk値を−1.6以下としたことを特徴とするトリポード型等速自在継手。
【請求項4】
前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxが0.4〜1.0の範囲内である請求項1又は2のトリポード型等速自在継手。
【請求項5】
前記くぼみを設けた面の面粗さをパラメータRqniで表示したとき、軸方向面粗さRqni(L)と円周方向面粗さRqni(C)との比の値Rqni(L)/Rqni(C)を1.0以下とした請求項1又は2のトリポード型等速自在継手。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動式トリポード型等速自在継手に関する。一般に、等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結して二軸間に角度があっても等速で回転力を伝達することができるユニバーサルジョイントの一種であって、摺動式のものは、継手のプランジングによって二軸間の相対的軸方向変位を可能にしたものであり、トリポード型は、半径方向に突出した三本の脚軸を備えたトリポード部材を一方の軸に結合し、軸方向に延びる三つのトラック溝を備えた中空円筒状の外側継手部材を他方の軸に結合し、外側継手部材のトラック溝内にトリポード部材の脚軸を収容してトルクの伝達を行なうようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達するために摺動式トリポード型等速自在継手を使用することが知られている(例えば特許文献1の図10参照)。この摺動式トリポード型等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し、しかも、軸方向の相対変位をも許容することができる構造を備えている。
【0003】
この摺動式トリポード型等速自在継手の一例を本発明の図1を援用して説明すると、外側継手部材1の内周面の軸方向に三本の円筒形トラック溝2を形成し、外側継手部材1内に挿入したトリポード部材4の半径方向に突設した三本の脚軸5の円筒状の外周面に複数の針状ころ6を介して回転可能に外嵌した円環状のローラ7をトラック溝2に挿入して構成される。
【0004】
各トラック溝2の円周方向で対向する一対のローラ案内面3は軸方向に平行な凹曲面であり、三本の脚軸5の各ローラ7の外周面はローラ案内面3に適合する凸曲面である。各ローラ7は、対応するトラック溝2のローラ案内面3に係合して脚軸5を中心に回転しながらトラック溝2に沿って移動可能である。前記二軸の一方である駆動軸が外側継手部材1に連結され、他方の従動軸がトリポード部材4に連結される。
【0005】
このようにトリポード部材4の脚軸5と外側継手部材1のローラ案内面3とがローラ7を介して二軸の回転方向に係合することにより、駆動側から従動側へ回転トルクが等速で伝達される。また、各ローラ7が脚軸5に対して回転しながらローラ案内面3上を転動することにより、外側継手部材1とトリポード部材4との間の相対的な軸方向変位や角度変位が吸収される。
【0006】
図1(B)に示すように、継手が作動角θをとった状態で回転力を伝達するとき、ローラ7とローラ案内面3とは図1(C)に示すように互いに斜交する関係となる。この場合、ローラ7は図1(B)に矢印tで示す方向に転がり移動しようとするのに対して、トラック溝2は外側継手部材1の軸線と平行な円筒面の一部であるため、ローラ7はトラック溝2に拘束されながら移動することになる。その結果、ローラ案内面3とローラ7との相互間に滑りが発生してスライド抵抗が発生し、さらに、この滑りが軸方向に誘起スラストを発生させる。このようなスライド抵抗と誘起スラストは、車体の振動や騒音の発生原因となり、自動車のNVH性能に影響を与え、車両の足回りの設計自由度を低くするため、できるだけ低減させることが望まれる。
【0007】
かかるスライド抵抗と誘起スラストの低減を図るための摺動式トリポード型等速自在継手として、例えばダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手が知られている(例えば特許文献1の図11参照)。このダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手は、トリポード部材の脚軸に回転自在に嵌合したローラをローラカセットで構成したものである。ローラカセットは内側ローラと外側ローラを有し、両ローラ間に針状ころを介設したもので、脚軸に対して内側ローラが首振り揺動自在に嵌合され、外側ローラが外側継手部材のトラック溝内に収容され、トラック溝のローラ案内面上を転動しながら外側継手部材の軸方向に移動する。
【0008】
このダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手では、ローラカセットが首振り揺動自在(ローラカセットが脚軸に対して傾動および軸方向変位自在である)であるため、外側継手部材とトリポード部材が作動角をとった状態で回転力伝達を行うとき、外側ローラとローラ案内面とが斜交状態となることを回避することができ、外側ローラは外側継手部材の軸線と平行な姿勢を保つように外側継手部材のローラ案内面によって案内され、そのままの姿勢でローラ案内面上を正しく転動する。したがって、作動角運転時における滑り抵抗が低減し、スライド抵抗と誘起スラストの発生が抑制される。
【特許文献1】特開2000−320563号公報(図10、図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1の図10に示すタイプの継手では、外側継手部材とトリポード部材の間で回転力を伝達するとき、脚軸と針状ころ、針状ころとローラの相互間に転がりと滑りが同時に発生する。そのため、脚軸、針状ころおよびローラでの接触部では摩耗が発生し易く、この摩耗が過大に進行すると車体の振動や騒音の発生原因となる。また、特許文献1の図11に示すダブルローラタイプの継手においても、脚軸と内側ローラ、内側ローラと針状ころ、針状ころと外側ローラの間に転がりと滑りが同時に生じる。そのため、脚軸、内側ローラ、針状ころおよび外側ローラでの接触部では摩耗が発生し易く、この磨耗が過大に進行すると同様に車体の振動や騒音の発生原因となる。
【0010】
そこで、本発明は前述した問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、脚軸あるいは針状ころが接触する部分での摩耗を低減し得るトリポード型等速自在継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内周部に軸方向の三本のトラック溝が形成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ案内面を有する外側継手部材と、半径方向に突出した三本の脚軸を有するトリポード部材と、前記トリポード部材の各脚軸に装着され、複数の針状ころを介して回転自在に支持された状態で前記トラック溝に挿入されたローラとを備え、そのローラがローラ案内面に沿って外側継手部材の軸方向に移動可能なトリポード型等速自在継手において、前記針状ころあるいは脚軸の表面に微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内とし、かつ、Sk値を−1.6以下としたことを特徴とする。
【0012】
ここで、パラメータRyniは基準長毎最大高さの平均値すなわち、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値である(ISO 4287:1997)。針状ころあるいは脚軸の表面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設けることによって、油膜形成能力が向上し、長寿命となる。特に、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内に設定することにより油膜切れを防ぐことが可能で、従来品に比べ長寿命を得ることができる。なお、面粗さパラメータRyniが0.4μmより小さいかまたは1.0μmより大きく、あるいは、Sk値が−1.6より大きくなると、寿命増大効果は殆ど得られなかった。
【0013】
パラメータSkは粗さ曲線の歪み度(スキューネス)を指し(ISO 4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量であり、ガウス分布のような対称な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。Sk値のコントロールは、バレル研摩機の回転速度、加工時間、ワーク投入量、チップの種類と大きさ等を選ぶことにより行える。Sk値を幅方向、円周方向とも−1.6以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても滑り方向、直角方向への油のリークは少なく、油膜形成に優れ、油膜形成状況は良好で、表面損傷を極力抑える効果がある。
【0014】
また、前述した構成において、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxは0.4〜1.0の範囲内とすることが望ましい。ここで、パラメータRymaxは基準長毎最大高さの最大値である(ISO 4287:1997)。さらに、前述のくぼみを設けた面の面粗さをパラメータRqniで表示したとき、軸方向面粗さRqni(L)と円周方向面粗さRqni(C)との比の値Rqni(L)/Rqni(C)は1.0以下とすることが望ましい。ここで、パラメータRqniとは、粗さ中心線から粗さ曲線までの高さの偏差の自乗を測定長さの区間で積分し、その区間で平均した値の平方根であり、別名自乗平均平方根粗さともいう。Rqniは拡大記録した断面曲線、粗さ曲線から数値計算で求められ、粗さ計の触針を幅方向および円周方向に移動させて測定する。
【0015】
本発明は、前述した構成におけるローラを、前記トリポード部材の脚軸に外嵌された内側ローラに複数の針状ころを介して回転自在に支持された外側ローラとし、これら内側ローラ、針状ころおよび外側ローラでアッセンブリ体を構成したダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手に適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トリポード型等速自在継手の針状ころあるいは脚軸の表面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設けたことにより、針状ころあるいは脚軸との接触部での油分がくぼみ内に安定的に保持され、油膜切れを防ぐことができる。これにより、針状ころあるいは脚軸での接触部での摩耗低減効果が得られ、摩耗増大が要因となる車体振動や騒音といった現象を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明における第一の実施形態を図1(A)〜(C)および図2(A)(B)を参照しながら詳述する。図1(A)〜(C)および図2(A)(B)に示す実施形態のトリポード型等速自在継手は、構造的には従来のものと同様である。
【0018】
図1(A)〜(C)に示すように、外側継手部材1の内周面の軸方向に、三本の円筒形トラック溝2が形成される。この外側継手部材1内にトリポード部材4が挿入される。トリポード部材4の半径方向に突設した三本の脚軸5の円筒状の外周面に、複数の針状ころ6を介して、円環状のローラ7が回転可能に外嵌され、これらローラ7がトラック溝2に挿入される。各トラック溝2の円周方向で対向する一対のローラ案内面3は軸方向に平行な凹曲面とされ、各ローラ7の外周面はローラ案内面3に適合する凸曲面とされる。各ローラ7は、対応するトラック溝2のローラ案内面3に係合して脚軸5を中心に回転しながらトラック溝2に沿って移動可能である。この等速自在継手においては、駆動軸が外側継手部材1に連結され、従動軸がトリポード部材4に連結される。
【0019】
このようにトリポード部材4の脚軸5と外側継手部材1のローラ案内面3とがローラ7を介して二軸の回転方向に係合することにより、駆動側から従動側へ回転トルクが等速で伝達される。また、各ローラ7が脚軸5に対して回転しながらローラ案内面3上を転動することにより、外側継手部材1とトリポード部材4との間の相対的な軸方向変位や角度変位が吸収される。
【0020】
この実施形態のトリポード型等速自在継手が従来と異なる点は、図2(A)(B)に示すように、針状ころ6あるいは脚軸5の表面、少なくとも針状ころ6あるいは脚軸5の外周面に、微小凹形状のくぼみ8をランダムに無数に設けたことである。この微小凹形状のくぼみ8を設けるのは、針状ころ6あるいは脚軸5のいずれか一方でも、また、針状ころ6および脚軸5の両方であってもよい。
【0021】
このくぼみ8を設けた面の面粗さパラメータRyniは、0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内とするのがよい。かつ、Sk値は−1.6以下、好ましくは−4.9〜−1.6の範囲とするのがよい。また、くぼみ8を設けた面の面粗さパラメータRymaxは、0.4〜1.0の範囲内が望ましい。さらに、くぼみ8を設けた面の面粗さをパラメータRqniで表示したとき、軸方向面粗さRqni(L)と円周方向面粗さRqni(C)との比の値Rqni(L)/Rqni(C)を1.0以下とするのが望ましい。このような微小粗面を得るための表面加工処理としては、特殊なバレル研摩によって、所望の仕上げ面を得ることができるが、ショット等を用いてもよい。
【0022】
パラメータRyni、Rymax、Sk、Rqniの測定方法および条件を例示するならば、次のとおりである。なお、これらのパラメータで表される表面性状を、トリポード型等速自在継手の針状ころ6あるいは脚軸5について測定する場合、一ヶ所の測定値でも代表値として信頼できるが、例えば針状ころ6あるいは脚軸5の直径方向に対向する二ヶ所を測定するとよい。
【0023】
パラメータ算出規格:JIS B 0601:1994(サーフコム JIS 1994)
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:×10000
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:針状ころ中央部あるいは脚軸中央部
測定数:2
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
【0024】
図1に示すトリポード型等速自在継手について、針状ころ6あるいは脚軸5の外周面を滑らかな面に仕上げた継手A,B(比較例)と、針状ころ6あるいは脚軸5の外周面に微小凹形状のくぼみ8をランダムに無数に形成した継手C〜E(比較例)ならびにF,G(実施例)について行った寿命試験について説明する(表1参照)。使用した継手A〜Gはいずれも、針状ころ6の外径は、2mmであり、脚軸5の外径は19mmである。なお、比較例の継手A,Bにおける針状ころ6あるいは脚軸5の外周面は、研削加工され、くぼみ加工を施してない。比較例の継手C〜Eならびに実施例の継手F,Gにおける針状ころ6あるいは脚軸5の外周面は、バレル研磨特殊加工によって微小凹形状のくぼみ8がランダムに無数に形成してある。なお、Rqni(L/C)については、継手C〜Gは1.0以下であり、継手A,Bは1.0前後である。
【0025】
寿命試験は、回転トルク:834[Nm]、作動角θ:6°、回転数:230[rpm ]の条件で行い、表1より、実施例の継手F、Gが、比較例の継手A〜Eに比べ、摩耗量が低減していることが確認された。
【0026】
【表1】


[寿命判定基準]
○;異常無し、△;摩耗小(継続運転可)、×;摩耗大
[試験条件]
T=834Nm、θ=6°、回転数N=230rpm
【0027】
次に、本発明における第二の実施形態を図3(A)〜(D)および図4(A)(B)を参照しながら詳述する。この実施形態は、ダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手であって、図3(A)は継手の横断面を示し、図3(B)は作動角θをとった状態の継手の縦断面を示し、図3(C)は脚軸に垂直な断面を示し、図3(D)は内側ローラの断面を示す。なお、図3(B)で符号eは偏心量を表す。
【0028】
図3(A)〜(D)に示すように、トリポード部材20の脚軸22に、ローラカセットCが首振り揺動自在に嵌合される。ローラカセットCは、内側ローラ32、外側ローラ34および両ローラ間に介設された針状ころ36からなるアッセンブリ体で構成される。
【0029】
詳しくは、外側継手部材10は内周面に軸方向に延びる三本のトラック溝12を有する。各トラック溝12の円周方向で向かい合った側壁にローラ案内面14が形成されている。トリポード部材20は半径方向に突設した三本の脚軸22を有し、各脚軸22にローラカセットCが取り付けてある。ローラカセットCの外側ローラ34が、外側継手部材10のトラック溝12内に収容される。外側ローラ34の外周面は、ローラ案内面14に適合する凸曲面である。
【0030】
外側ローラ34の外周面は脚軸22の軸線から半径方向に離れた位置に曲率中心を有する円弧を母線とする凸曲面であり、ローラ案内面14の断面形状はゴシックアーチ形状であって、これにより、外側ローラ34とローラ案内面14とがアンギュラコンタクトをなす〔図3(A)の一点鎖線参照〕。外側ローラ34の球面状外周面に対してローラ案内面14の断面形状をテーパ形状としても両者のアンギュラコンタクトが実現する。
【0031】
このように外側ローラ34とローラ案内面14とがアンギュラコンタクトをなす構成を採用することによって、外側ローラ34が振れにくくなるため姿勢が安定する。なお、アンギュラコンタクトを採用しない場合には、例えばローラ案内面14を軸線が外側継手部材10の軸線と平行な円筒面の一部で構成し、その断面形状を外側ローラ34の外周面の母線に対応する円弧とすることもできる。
【0032】
脚軸22の外周面に内側ローラ32が外嵌している。この内側ローラ32と外側ローラ34とは複数の針状ころ36を介してユニット化され、相対回転可能なローラカセットCを構成している。すなわち、内側ローラ32の円筒形外周面を内側軌道面とし、外側ローラ34の円筒形内周面を外側軌道面として、これらの内外軌道面間に針状ころ36が転動自在に介在する。
【0033】
図3(C)に示されるように、針状ころ36は、できるだけ多くのころを入れた、保持器のない、いわゆる総ころ状態で組み込まれている。符号33,35で指してあるのは、針状ころ36の抜け落ち止めのために外側ローラ34の内周面に形成した環状溝に装着した一対のワッシャである。これらのワッシャ33,35は円周方向の一個所に切れ目を有し、弾性的に縮径させた状態で外側ローラ34の内周面の環状溝に装着するようになっている。
【0034】
脚軸22の外周面は、縦断面〔図3(A)または図3(B)〕で見ると脚軸22の軸線と平行なストレート形状であり、横断面〔図3(C)〕で見ると、長軸が継手の軸線に直交する楕円形状である。脚軸22の断面形状は、トリポード部材20の軸方向で見た肉厚を減少させて略楕円状としてある。言い換えれば、脚軸22の断面形状は、トリポード部材20の軸方向で互いに向き合った面が相互方向に、つまり、仮想円筒面よりも小径側に退避している。
【0035】
内側ローラ32の内周面は、図3(D)のように円弧状凸断面を有する。すなわち、内周面の母線が半径rの凸円弧である。このことと、脚軸22の横断面形状が上述のように略楕円形状であり、脚軸22と内側ローラ32との間には所定のすきまが設けてあることから、内側ローラ32は脚軸22の軸方向での移動が可能であるばかりでなく、脚軸22に対して首振り揺動自在である。
【0036】
また、前述したように内側ローラ32と外側ローラ34は針状ころ36を介して相対回転自在にユニット化されているため、脚軸22に対し、内側ローラ32と外側ローラ34がユニットとして首振り揺動可能な関係にある。ここで、首振りとは、脚軸22の軸線を含む平面内で、脚軸22の軸線に対して内側ローラ32および外側ローラ34の軸線が傾くことをいう〔図3(B)参照〕。
【0037】
このダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手では、ローラカセットCが首振り揺動自在(ローラカセットCが脚軸22に対して傾動および軸方向変位自在である)であるため、外側継手部材10とトリポード部材20が作動角をとった状態で回転力伝達を行うとき、外側ローラ34とローラ案内面14とが斜交状態となることを回避することができ、外側ローラ34は外側継手部材10の軸線と平行な姿勢を保つように外側継手部材10のローラ案内面14によって案内され、そのままの姿勢でローラ案内面14上を正しく転動する。したがって、作動角運転時における滑り抵抗が低減し、スライド抵抗と誘起スラストの発生が抑制される。
【0038】
また、脚軸22の横断面形状を、継手の軸線と直交する方向で内側ローラ32の内周面と接触すると共に、継手の軸線方向で内側ローラ32の内周面との間に隙間を形成するような形状、例えば楕円形としていることから、継手が作動角をとった時、ローラカセットCの姿勢を変えることなく、脚軸22が外側継手部材10に対して傾くことができる。しかも、脚軸22の外周面と内側ローラ32との接触楕円が横長から点に近づくため、ローラカセットCを傾けようとする摩擦モーメントが低減する。したがって、ローラカセットCの姿勢が常に安定し、外側ローラ34がローラ案内面14と平行に保持されるため、円滑に転動することができる。
【0039】
この第二の実施形態におけるダブルローラタイプのトリポード型等速自在継手においても、第一の実施形態と同様、図4(A)(B)に示すように少なくとも針状ころ36あるいは脚軸22の外周面に微小凹形状のくぼみ37をバレル研摩あるいはショット等によってランダムに無数に設ける。これにより、内側ローラ32と針状ころ36間、針状ころ36と外側ローラ34間、あるいは、脚軸22と内側ローラ32間の潤滑性が向上し、針状ころ36あるいは脚軸22との接触部での摩耗を低減してトリポード型等速自在継手の寿命を向上させることができる。
【0040】
なお、本発明は、前述した第一および第二の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想に基づき種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第一の実施形態のトリポード型等速自在継手を示すもので、(A)は継手の横断面図、(B)は(A)の継手の作動角をとった状態の縦断面図、(C)は(B)におけるローラとローラ案内面との相互関係を示す模式的斜視図である。
【図2】(A)は図1のトリポード部材を示す正面図、(B)は図1の針状ころを示す正面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態のトリポード型等速自在継手を示すもので、(A)は継手の横断面図、(B)は(A)の継手の作動角をとった状態の縦断面図、(C)はローラカセットの脚軸に垂直な断面図、(D)は内側ローラの断面図である。
【図4】(A)は図3のトリポード部材を示す正面図、(B)は図3の針状ころを示す正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 外側継手部材
2 トラック溝
3 ローラ案内面
4 トリポード部材
5 脚軸
6 針状ころ
7 ローラ
8 微小凹形状のくぼみ
10 外側継手部材
12 トラック溝
14 ローラ案内面
20 トリポード部材
22 脚軸
32 内側ローラ
34 外側ローラ
36 針状ころ
37 微小凹形状のくぼみ




 

 


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