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インホイールモータの軸受装置 - NTN株式会社
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発明の名称 インホイールモータの軸受装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16846(P2007−16846A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197660(P2005−197660)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
発明者 石川 恭光 / 片山 康行 / 今中 宏則
要約 課題

中空モータを使用したインホイールモータにおいて、モータのロータを回転自在に支承する転がり軸受の電食を防止すると共に、回転速度検出装置の誤動作を防止したインホイールモータの軸受装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
中空モータを使用したインホイールモータの軸受装置であって、
前記モータのロータが内周面に固定された円筒状の外ケースと、
前記モータのステータが外周面に固定された円筒状の内ケースと、
前記外ケースに取り付けられた外輪と、前記内ケースに取り付けられた内輪、およびこの内輪と前記外輪との間に転動自在に収容された複数の転動体を有する転がり軸受と備えたインホイールモータの軸受装置において、
以下の1〜3の少なくとも1箇所が絶縁されていることを特徴とするインホイールモータの軸受装置。
1.前記転がり軸受を構成する内輪または外輪と前記転動体との接触部。
2.前記転がり軸受を構成する外輪と前記外ケースとの取付部。
3.前記転がり軸受を構成する内輪と前記内ケースとの取付部。
【請求項2】
前記転がり軸受を構成する転動体がセラミックスで形成されている請求項1に記載のインホイールモータの軸受装置。
【請求項3】
アンチロックブレーキシステムを制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が前記転がり軸受に内蔵あるいは前記転がり軸受の直近に配設され、当該回転速度検出装置がシールと一体に構成されると共に、このシールが非磁性体の鋼板で形成されたシール板または芯金を備えている請求項1または2に記載のインホイールモータの軸受装置。
【請求項4】
前記外ケースが、両端部に径方向外方に延びるフランジを一体に有する外ケース本体と、この外ケース本体の軸方向外方部を閉塞する環状の蓋部材とからなり、前記外ケース本体と蓋部材の対向する端部内周に円筒状の嵌合部がそれぞれ形成され、これら嵌合部に前記外輪が所定の径方向すきまを介して内嵌されると共に、前記外輪の外周に径方向外方に延びる取付フランジが一体に形成され、前記外ケース本体と蓋部材とで前記取付フランジが挟持され、当該取付フランジを貫通する固定ボルトを介して外輪が前記外ケースに締結されている請求項1乃至3いずれかに記載のインホイールモータの軸受装置。
【請求項5】
前記内ケースが、両端部に径方向外方に延びる固定フランジと、この固定フランジから軸方向外方に延びる円筒状の嵌合部および小径段部が形成された内ケース本体と、この内ケース本体の小径段部に圧入され、円筒状の嵌合部が形成された環状の固定リングとからなり、前記内ケース本体と固定リングの嵌合部に前記内輪が所定の径方向すきまを介して外嵌されると共に、前記固定フランジにピン孔が軸方向に貫通して形成され、このピン孔に対応して前記内輪の端面にピン孔が形成され、これらピン孔にピンが圧入されている請求項1乃至4いずれかに記載のインホイールモータの軸受装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のダイレクトドライブホイールを駆動輪とする車両に用いられるインホイールモータの軸受装置に関し、特に、軸受の電食を防止したインホイールモータの軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車等モータによって駆動される車両においては、モータを車輪に内蔵するインホイールモータシステムが採用されつつある。ここで、従来はモータステータ部が車両の懸架装置を構成するナックルにスピンドル軸が回転可能に固定されるため、ばね下重量がインホイールモータの分だけ増加し、その結果、タイヤ接地力変動が増加してロードホールディング性が悪化してしまうといった問題があった。
【0003】
そこで、こうした問題を解決するため、図5に示すようなインホイールモータが提案されている。このインホイールモータは、ステータ50Sを支持する非回転側ケース50aが、緩衝機構56を介してナックル57に対して弾性支持されると共に、ロータ50Rを支持する回転側ケース50bとホイール58とが、直動ガイド62、63を用いて連結したフレキシブルカップリング64により結合されている。ここで、緩衝機構56は、直動ガイド51を介して互いに車両の上下方向に作動するばね52およびダンパー53により結合された2枚のプレート54、55を備えている。また、直動ガイド62、63は、複数枚の中空円盤状のプレート59〜61の作動方向が互いに直交するように配置されている。
【0004】
こうしたインホイールモータシステムでは、モータ50を車両の足回り部品に対してフローティングマウントして、モータ50自身をダイナミックダンパーのウェイトとして作用させることができるので、不整路走行時の接地性能および乗り心地性能を共に向上させることができると共に、フレキシブルカップリング64により、モータ軸とホイール軸がどの方向にも偏心可能に結合されているので、モータ50からホイール58へのトルクを効率良く伝達させることができる。
【0005】
さらに、モータ50とホイール58間に形成される空隙にダストブーツ65、66を設けて外部から遮断するようにしたので、空隙への石や塵芥等の侵入を防止でき、インホイールモータシステムの信頼性を向上させることができる。
【0006】
また、ケース50a、50b間には、ロータ50Rを回転自在に支持する軸受67が嵌合されている。図6に拡大して示すように、この軸受67の外側には固定カバー68、69が取り付けられている。これらの固定カバー68、69には、互いに対向する面に階段状の切欠き68k、69kが設けられ、これら切欠き68k、69kに蓋部材68p、69pを取り付けて中空部70が形成されている。そして、この中空部70内には、モータ50の軸方向に摺動可能な中空円盤状の隔壁を構成する樹脂リング71が収容されている。これにより、モータ50の運転時、発熱でモータ50内部の温度が上昇し、外気圧に対してモータ50の内圧が高くなっても、この圧力差によってモータ50内への水の浸入を防止することができ、コンパクトな構成の防水機構を実現することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−90696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来のインホイールモータにおいて、様々な回転数制御を行うためにインバータ(図示せず)からの交流で作動し、またこのインバータのキャリア周波数を高く設定して作動する場合、モータ50のロータ50Rが固定された回転側のケース50bに発生する電圧(高周波誘導に基づいて発生する電圧)が大きくなり、ケース50bとステータ50Sが固定された固定側のケース50aとの間に大きな電位差が生じる。これに伴い、両者の間に取り付けられた軸受67の内輪と外輪との間にも大きな電位差が生じて、この軸受67内に電流が流れ易い状態になり、内輪と外輪の転走面および転動体の転動面に電食(電気化学的腐食)が生じる恐れがある。この電食が生じると、転走面および転動体の転動面の精度が低下し、振動が上昇して軸受67の寿命が著しく低下する恐れがある。
【0008】
さらに、こうしたインホイールモータにおいて、様々な回転数制御のうちアンチロックブレーキシステム(ABS)を制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が軸受67に内蔵あるいは軸受67の直近に配設される場合、磁気エンコーダや磁気センサが外部磁界の影響を受けて誤動作する恐れがある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、中空モータを使用したインホイールモータにおいて、モータのロータを回転自在に支承する転がり軸受の電食を防止すると共に、回転速度検出装置の誤動作を防止したインホイールモータの軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、中空モータを使用したインホイールモータの軸受装置であって、前記モータのロータが内周面に固定された円筒状の外ケースと、前記モータのステータが外周面に固定された円筒状の内ケースと、前記外ケースに取り付けられた外輪と、前記内ケースに取り付けられた内輪、およびこの内輪と前記外輪との間に転動自在に収容された複数の転動体を有する転がり軸受と備えたインホイールモータの軸受装置において、以下の1〜3の少なくとも1箇所が絶縁されている構成を採用した。
1.前記転がり軸受を構成する内輪または外輪と前記転動体との接触部。
2.前記転がり軸受を構成する外輪と前記外ケースとの取付部。
3.前記転がり軸受を構成する内輪と前記内ケースとの取付部。
【0011】
このように、中空モータのロータが内周面に固定された円筒状の外ケースと、モータのステータが外周面に固定された円筒状の内ケースと、外ケースに取り付けられた外輪と、内ケースに取り付けられた内輪、およびこの内輪と外輪との間に転動自在に収容された複数の転動体を有する転がり軸受とを備えたインホイールモータの軸受装置において、以下の1〜3の少なくとも1箇所が絶縁されているので、転がり軸受の電食を防止することができると共に、絶縁効果および耐漏洩磁束性を向上させることができる。したがって、転がり軸受の疲労寿命を確保することができると共に、アンチロックブレーキシステムを制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が転がり軸受に内蔵あるいは転がり軸受の直近に配設された場合において、回転速度検出装置の誤動作を防止することができる。
1.転がり軸受を構成する内輪または外輪と転動体との接触部。
2.転がり軸受を構成する外輪と外ケースとの取付部。
3.転がり軸受を構成する内輪と内ケースとの取付部。
【0012】
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記転がり軸受を構成する転動体がセラミックスで形成されていれば、長期間に亙って転がり軸受の電食を確実に防止することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明のように、アンチロックブレーキシステムを制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が前記転がり軸受に内蔵あるいは前記転がり軸受の直近に配設され、当該回転速度検出装置がシールと一体に構成されると共に、このシールが非磁性体の鋼板で形成されたシール板または芯金を備えていれば、回転速度検出装置が外部磁界の影響を受けて誤動作するのを一層防止することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明のように、前記外ケースが、両端部に径方向外方に延びるフランジを一体に有する外ケース本体と、この外ケース本体の軸方向外方部を閉塞する環状の蓋部材とからなり、前記外ケース本体と蓋部材の対向する端部内周に円筒状の嵌合部がそれぞれ形成され、これら嵌合部に前記外輪が所定の径方向すきまを介して内嵌されると共に、前記外輪の外周に径方向外方に延びる取付フランジが一体に形成され、前記外ケース本体と蓋部材とで前記取付フランジが挟持され、当該取付フランジを貫通する固定ボルトを介して外輪が前記外ケースに締結されていれば、超薄肉の大径軸受であっても剛性を増大させることができ、組立による転がり軸受の変形を抑制することができる。したがって、ケースの精度の影響を受けることなく軸受加工時の精度を確保することができる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明のように、前記内ケースが、両端部に径方向外方に延びる固定フランジと、この固定フランジから軸方向外方に延びる円筒状の嵌合部および小径段部が形成された内ケース本体と、この内ケース本体の小径段部に圧入され、円筒状の嵌合部が形成された環状の固定リングとからなり、前記内ケース本体と固定リングの嵌合部に前記内輪が所定の径方向すきまを介して外嵌されると共に、前記固定フランジにピン孔が軸方向に貫通して形成され、このピン孔に対応して前記内輪の端面にピン孔が形成され、これらピン孔にピンが圧入されていれば、内輪の回り止めを確実に行うことができ、内輪を圧入することなく内ケースに固定することができる。したがって、組立による転がり軸受の変形を可及的に抑制することができ、組立後の転がり軸受の精度を加工時の精度に確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るインホイールモータの軸受装置は、中空モータを使用したインホイールモータの軸受装置であって、前記モータのロータが内周面に固定された円筒状の外ケースと、前記モータのステータが外周面に固定された円筒状の内ケースと、前記外ケースに取り付けられた外輪と、前記内ケースに取り付けられた内輪、およびこの内輪と前記外輪との間に転動自在に収容された複数の転動体を有する転がり軸受と備えたインホイールモータの軸受装置において、以下の1〜3の少なくとも1箇所が絶縁されているので、転がり軸受の電食を防止することができると共に、絶縁効果および耐漏洩磁束性を向上させることができる。したがって、転がり軸受の疲労寿命を確保することができると共に、アンチロックブレーキシステムを制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が転がり軸受に内蔵あるいは転がり軸受の直近に配設された場合においても、回転速度検出装置の誤動作を防止することができる。
1.前記転がり軸受を構成する内輪または外輪と前記転動体との接触部。
2.前記転がり軸受を構成する外輪と前記外ケースとの取付部。
3.前記転がり軸受を構成する内輪と前記内ケースとの取付部。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
中空モータを使用したインホイールモータの軸受装置であって、前記モータのロータが内周面に固定された円筒状の外ケースと、前記モータのステータが外周面に固定された円筒状の内ケースと、前記外ケースに取り付けられた外輪と、前記内ケースに取り付けられた内輪、およびこの内輪と前記外輪との間に転動自在に収容された複数の転動体を有する転がり軸受と備えたインホイールモータの軸受装置において、前記転がり軸受を構成する転動体がセラミックスで形成されていると共に、アンチロックブレーキシステムを制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が前記転がり軸受の直近に配設され、当該回転速度検出装置が非磁性体の鋼板で形成されたシール板を備えたシールと一体に構成されている。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るインホイールモータの軸受装置の第1の実施形態を示す要部断面図、図2は、図1の転がり軸受を示す縦断面図である。なお、この実施形態では、全体構成は、従来技術で説明した部分と共通するため重複した説明を避け、本発明に係る軸受装置の特徴部分のみの説明を行う。
【0019】
このインホイールモータの軸受装置は、中空状のモータ1と、このモータ1が装着された円筒状の外ケース2および内ケース3と、これらケース2、3間に固定された一対の転がり軸受4、4と、ケース2、3間に形成される環状の開口空間を密閉するシール5、5とを備えている。モータ1は、ロータ1aと、このロータ1aに所定の径方向すきまを介して対向配置されたステータ1bとからなる。
【0020】
ロータ1aは、円筒状をなす回転側の外ケース2の内周面に固定されている。この外ケース2は、両端部に径方向外方に延びるフランジ6bを一体に有する外ケース本体6と、この外ケース本体6の軸方向外方部を閉塞する蓋部材7とからなる。一方、ステータ1bは、円筒状をなす固定側の内ケース3の外周面に固定されている。この内ケース3は、両端部に径方向外方に延びる固定フランジ8bを一体に有する内ケース本体8と、この内ケース本体8に外嵌された固定リング9とからなる。
【0021】
後述する転がり軸受4は内ケース3に対して外ケース2を回転自在に支持し、これらケース2、3間に固定されている。具体的には、外ケース本体6および蓋部材7の対向する端部内周に円筒状の嵌合部6a、7aが形成され、これら嵌合部6a、7aに転がり軸受4の外輪17が所定の径方向すきまを介して内嵌されると共に、外輪17の外周に一体に形成された取付フランジ17bが外ケース本体6と蓋部材7とで挟持された状態で、取付フランジ17bを貫通する固定ボルト10によって固定されている。ここで、外ケース本体6には周方向に複数のボルト孔6cが穿設されると共に、蓋部材7には、このボルト孔6cに対応する位置に雌ねじ7bが形成されている。そして、外輪17の取付フランジ17bに、これらボルト孔6cおよび雌ねじ7bに対応して取付孔17cが形成され、固定ボルト10がボルト孔6cおよび取付孔17cを介して雌ねじ7bに締結されている。
【0022】
このように、外輪17に取付フランジ17bが一体に形成され、外輪17を外ケース2に圧入することなく、この取付フランジ17bを介して外輪17が固定されているので、転がり軸受4が超薄肉の大径軸受であっても剛性を増大させることができ、組立による転がり軸受4の変形を抑制することができる。したがって、ケース2の精度の影響を受けることなく軸受加工時の精度を確保することができる。
【0023】
内ケース本体8には、固定フランジ8bから軸方向に延びる円筒状の嵌合部8aおよび小径段部8cが形成され、この小径段部8cに環状の固定リング9が圧入されている。そして、内ケース本体8と固定リング9の対向する端部外周に形成された円筒状の嵌合部8a、9aに内輪18が所定の径方向すきまを介して外嵌されている。ここで、内ケース本体8の固定フランジ8bにはピン孔8dが軸方向に貫通して形成され、このピン孔8dに対応する内輪18の端面にピン孔18bがそれぞれ形成されている。そして、これらピン孔8d、18bにピン11が軽圧入され、内輪18の回り止めをしている。これにより、内輪18を圧入することなく内ケース3に固定することができ、組立による転がり軸受4の変形を可及的に抑制することができる。なお、ここでは、ピン11により内輪18を固定する方法を例示したが、この方法に限らず、無論、内ケース3の嵌合部8a、9aに内輪18を僅かなシメシロ(とまりばめ)で外嵌することにより内輪18の回り止めを行っても良い。
【0024】
両ケース2、3の両端部、すなわち、蓋部材7と固定リング9とで形成される環状の開口部にはシール5が装着されている。このシール5は、蓋部材7の内周面に嵌合され、断面が略L字状で、全体として円環状に形成された第1のシール板12と、この第1のシール板12に対向配置して固定リング9の外周面に嵌合され、断面が略L字状で、全体として円環状に形成された第2のシール板13とからなる。
【0025】
第1のシール板12は、耐食性を有するステンレス鋼板等からプレス加工にて形成された芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着され、内縁部にサイドリップ15aおよび一対のラジアルリップ15b、15cを有するシール部材15とからなる。特に、芯金14は、後述する回転速度センサ22の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体の鋼鈑、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されるのが好ましい。
【0026】
第2のシール板13は、耐食性を有する鋼板、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。なお、この第2のシール板13も、後述する回転速度センサ22の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体のオーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されるのが好ましい。
【0027】
この第2のシール板13は、固定リング9に圧入される円筒部13aと、この円筒部13aから径方向外方に延びる立板部13bとからなる。そして、前記第1のシール板12のサイドリップ15aがこの立板部13bに摺接されると共に、一対のラジアルリップ15b、15cが円筒部13aに摺接され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。また、第1のシール板12と第2のシール板13の外縁とは僅かな径方向すきまを介して対峙し、所謂ラビリンスシール16を構成している。本実施形態のシール5は、このようなシール構成を採用しているので、長期間に亙って強固な、かつ安定した密封性を備え、転がり軸受4の耐久性を向上させることができる。
【0028】
ここで、第2のシール板13における立板部13bの外側面に、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された磁気エンコーダ21が一体に加硫接着され、回転速度センサ22に所定の軸方向すきまを(エアギャップ)介して対峙している。この磁気エンコーダ21は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。なお、ここでは、磁気エンコーダ21をエラストマ製としたものを例示したが、これに限らず、例えば、フェライト等からなる強磁性体粉を金属バインダーで固めた燒結金属製であっても良い。
【0029】
回転速度センサ22は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子と、この磁気検出素子の出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたICとからなる。
【0030】
転がり軸受4は深溝玉軸受からなり、図2に拡大して示すように、外輪17と内輪18、およびこれら外輪17と内輪18間に保持器19を介して転動自在に収容された複数の転動体(ボール)20とを備えている。外輪17は、外周に径方向外方に延びる取付フランジ17bを一体に有し、内周に外側転走面17aが形成されている。なお、転がり軸受4は深溝玉軸受に限らず、ラジアル荷重とスラスト荷重が負荷できる転がり軸受であれば良く、例えば、アンギュラ玉軸受や円錐ころ軸受でも良い。
【0031】
ここで、本実施形態では、転がり軸受4を構成する転動体20がセラミックスで形成されている。これにより、長期間に亙って転がり軸受4の電食を確実に防止することができると共に、絶縁効果および耐漏洩磁束性を向上させることができ、中空モータを使用したインホイールモータにおいて、モータ1のロータ1aを回転自在に支承する転がり軸受4の疲労寿命を確保すると共に、回転速度検出装置の誤動作を防止したインホイールモータの軸受装置を提供することができる。
【0032】
なお、ここでは、転動体20にセラミックスを適用した転がり軸受4を例示したが、これに限らず、図示はしないが、外輪あるいは内輪をセラミックスで形成するか、また、外輪の外周面あるいは内輪の内周面にセラミックスや絶縁樹脂等からなる絶縁被膜を形成して電食を防止するようにしても良い。
【実施例2】
【0033】
図3は、本発明に係るインホイールモータの軸受装置の第2の実施形態を示す要部断面図、図4は、図1の転がり軸受を示す要部拡大図である。なお、前述した第1の実施形態と同一部品、同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
このインホイールモータの軸受装置は、中空状のモータ1と、このモータ1が装着された円筒状の外ケース2および内ケース3と、これらケース2、3間に固定された一対の転がり軸受4、23とを備えている。ここで、一対の転がり軸受4、23のうち一方の転がり軸受23は複列アンギュラ玉軸受からなり、一端部に回転速度検出装置24が内蔵されている(転がり軸受4は図示せず)。
【0035】
この転がり軸受23は、図4に拡大して示すように内周に複列の外側転走面25a、25aが形成された外輪25と、外周にこの複列の外側転走面25a、25aに対向する複列の内側転走面26a、26aが形成された内輪26と、両転走面25a、26a間に保持器19を介して転動自在に収容された転動体20と、外輪25の両端部に装着された接触型のシール27、28とを備えている(図3参照)。なお、両転走面25a、26aは、転動体20との接触角が15〜30°になるように設定されている。
【0036】
ここで、転がり軸受23を構成する転動体20が前述した実施形態と同様にセラミックスで形成されている。これにより、転がり軸受23の電食を防止することができると共に、絶縁効果および耐漏洩磁束性を向上させることができる。
【0037】
本実施形態では、回転輪となる外輪25の一端部に装着されたシール27と、このシール27よりさらに軸方向外方側にシール29が配設されている。このシール29は、固定輪となる内輪26に装着され、円板状に形成された芯金29aと、この芯金29aに一体に加硫接着され、外輪25の端部内周面に摺接するシールリップが形成されたシール部材29bとを有している。これらシール27、29が後述する回転速度検出装置24を構成している。芯金29aは、耐食性を有するステンレス鋼板等からプレス加工にて形成されている。ここで、この芯金29aは、後述する回転速度センサ31の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体の鋼鈑、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されている。
【0038】
回転速度検出装置24は、回転素子30と、この回転素子30に所定の軸方向すきま(エアギャップ)を介して対峙された回転速度センサ31とプリント基板等からなる電子回路部品32およびこれらに接続されているハーネス33を封止剤34で一体モールドした検出部35で構成されている。符号36は、回転速度センサ31を位置決めするための芯金である。この芯金36も、回転速度センサ31の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体の鋼鈑、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されている。
【0039】
回転素子30は磁気エンコーダからなり、軸受内方側のシール27と一体に構成されている。この回転素子30は、前述した磁気エンコーダ21と同様、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入され、周方向に交互に磁極N、Sが着磁されている。また、シール27の芯金27aも、回転速度センサ31の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体の鋼鈑、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されている。
【0040】
ここで、封止剤34は、耐薬品性、耐熱性に優れたビスフェノールA型エポキシ樹脂等の合成樹脂からなり、硬化剤として無水メチルナジック酸(MNA)を使用している。なお、封止剤34として前記した合成樹脂以外にも、フェノール樹脂やビスマレイミド系ポリイミド樹脂等の熱硬化性ポリイミド樹脂、あるいは、光硬化性樹脂を例示することができる。また、硬化剤としては、イソホロンジアミン(IPD)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、BFモノフェニルアミン、その他イミダゾール類を例示することができる。
【0041】
本実施形態では、転がり軸受23の両端部にシール27、28、29が装着され、このうちシール27、29に回転速度検出装置24が一体に構成されているので、よりコンパクトな回転速度検出装置24を構成することができ、インホイールモータにおける軸受装置の小スペース化を実現することができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るインホイールモータの軸受装置は、中空モータを使用したインホイールモータにおいて、モータを支持する転がり軸受を備えた軸受装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るインホイールモータの軸受装置の第1の実施形態を示す要部断面図である。
【図2】図1の転がり軸受を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係るインホイールモータの軸受装置の第1の実施形態を示す要部断面図である。
【図4】図3の転がり軸受を示す要部拡大図である。
【図5】従来のインホイールモータシステムの全体構成を示す縦断面図である。
【図6】図5の軸受部を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・・・・・・・・・・・モータ
1a・・・・・・・・・・・・・ロータ
1b・・・・・・・・・・・・・ステータ
2・・・・・・・・・・・・・・外ケース
3・・・・・・・・・・・・・・内ケース
4、23・・・・・・・・・・・転がり軸受
5、27、28、29・・・・・シール
6・・・・・・・・・・・・・・外ケース本体
7・・・・・・・・・・・・・・蓋部材
6a、7a、8a、9a・・・・嵌合部
6b・・・・・・・・・・・・・フランジ
6c・・・・・・・・・・・・・ボルト孔
7b・・・・・・・・・・・・・雌ねじ
8・・・・・・・・・・・・・・内ケース本体
8b・・・・・・・・・・・・・固定フランジ
8c・・・・・・・・・・・・・小径段部
8d、18b・・・・・・・・・ピン孔
9・・・・・・・・・・・・・・固定リング
10・・・・・・・・・・・・・固定ボルト
11・・・・・・・・・・・・・ピン
12・・・・・・・・・・・・・第1のシール板
13・・・・・・・・・・・・・第2のシール板
14、27a、29a、36・・芯金
15、29b・・・・・・・・・シール部材
15a・・・・・・・・・・・・サイドリップ
15b、15c・・・・・・・・ラジアルリップ
16・・・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
17、25・・・・・・・・・・外輪
17a、25a・・・・・・・・外側転走面
17b・・・・・・・・・・・・取付フランジ
17c・・・・・・・・・・・・取付孔
18、26・・・・・・・・・・内輪
18a、26a・・・・・・・・内側転走面
18b・・・・・・・・・・・・ピン孔
19・・・・・・・・・・・・・保持器
20・・・・・・・・・・・・・転動体
21・・・・・・・・・・・・・磁気エンコーダ
22、31・・・・・・・・・・回転速度センサ
24・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置
30・・・・・・・・・・・・・回転素子
32・・・・・・・・・・・・・電子回路部品
33・・・・・・・・・・・・・ハーネス
34・・・・・・・・・・・・・封止剤
35・・・・・・・・・・・・・検出部
50・・・・・・・・・・・・・モータ
50R・・・・・・・・・・・・ロータ
50S・・・・・・・・・・・・ステータ
50a・・・・・・・・・・・・非回転側ケース
50b・・・・・・・・・・・・回転側ケース
51、62、63・・・・・・・直動ガイド
52・・・・・・・・・・・・・ばね
53・・・・・・・・・・・・・ダンパー
54、55・・・・・・・・・・プレート
56・・・・・・・・・・・・・緩衝機構
57・・・・・・・・・・・・・ナックル
58・・・・・・・・・・・・・ホイール
59、60、61・・・・・・・円盤状のプレート
64・・・・・・・・・・・・・フレキシブルカップリング
65、66・・・・・・・・・・ダストブーツ
67・・・・・・・・・・・・・軸受
68、69・・・・・・・・・・固定カバー
68k、69k・・・・・・・・切欠き
68p、69p・・・・・・・・蓋部材
70・・・・・・・・・・・・・中空部
71・・・・・・・・・・・・・樹脂リング




 

 


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