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発明の名称 プロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10027(P2007−10027A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191135(P2005−191135)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾
発明者 葉山 佳彦
要約 課題
プロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手の寿命を延長するとともに、回転停止状態での折曲げ戻し操作時の極大トルク発生による引っかかり現象が発生しにくい継手構造とすることにより、継手組立後のマッチングや選別のための工程を簡略化すること。

解決手段
本発明は、内輪10の外周面と外輪12の内周面の各々に6本のトラック10b、12bを交差状の配置で設け、両トラックの交差部分にトルク伝達用として6個のボール14を組込み、該ボール14を内輪10の外周面と外輪12の内周面との間に配置したケージ16により保持し、内輪10と外輪12の最大作動角を10〜13°としたプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手において、内輪10のトラック10bと外輪12のトラック12bのトラック交差角を7〜12°、トラック接触率を1.05〜1.1、トラック接触角を40〜50°に設定したことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
内輪の外周面と外輪の内周面の各々に6本のトラックを交差状の配置で設け、両トラックの交差部分にトルク伝達用として6個のボールを組込み、該ボールを前記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置したケージにより保持し、前記内輪と外輪の最大作動角を10〜13°としたプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手において、前記内輪のトラックと外輪のトラックのトラック交差角を7〜12°、トラック接触率を1.05〜1.1、トラック接触角を40〜50°に設定したことを特徴とするプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、4WD(四輪駆動)車やFR(前置きエンジン後輪駆動)車等においてトランスミッションからディファレンシャルに回転駆動力を伝達するプロペラシャフト(推進軸)に使用されるクロスグルーブ型等速自在継手に係り、より詳しくは、継手寿命を維持向上しつつトラック接触角を増大させて継手の引っかかり現象を回避した等速自在継手に関する。
【背景技術】
【0002】
4WD車やFR車では、変速機(トランスミッション)と減速歯車装置(ディファレンシャル)との間の動力伝達にプロペラシャフトを用いる。例えば、FRベースの4WD車では、図7のように、エンジン1の動力がトランスミッション2と動力分配装置3を介してリアプロペラシャフト4とフロントプロペラシャフト5に伝達され、さらにリアデフ6とフロントデフ7を経由して後輪8および前輪9に伝達される。プロペラシャフト4、5は等速自在継手および滑り継手を有し、トランスミッション2とディファレンシャル6、7の間の相対位置の変化による長さと角度の変化を吸収する。プロペラシャフト4、5は車両の構造や要求特性により2継手型、3継手型または4継手型などが用いられる。
【0003】
プロペラシャフト4、5は、衝突時の軸方向衝撃による過大な軸方向荷重が作用したとき、トランスミッション2とデフ6、7の間の軸方向変位を吸収する構造が採用される(特許文献1参照)。このような衝撃吸収型プロペラシャフトでは、等速自在継手としてダブルオフセット型の等速自在継手(ダブルオフセットジョイント。以下、「DOJ」という。)や、クロスグルーブ型等速自在継手が使用される。クロスグルーブ型等速自在継手の基本形態は非特許文献1に記載されている。
【0004】
内外輪のトラック10b、12bは、図8のように交差状配置で形成される。特許文献1および非特許文献1によると、トラック10b、12bの交差角αは通常7〜19°である。トラック10b、12bの横断面形状は、図9に示すようにゴシックアーチ状である。このため、トラックとボールとの接触は所定の接触角 (β1:以下、トラック接触角 という。)を持ったアンギュラコンタクトとなる。接触角は通常30°〜45°である。また、トラック断面の円弧の曲率半径の二倍をD、ボールの径をdとしたとき、D/dを接触率という。従来のこの種の継手においては、接触率は1.01〜1.04とされている。また、ここでいう「トラック接触角」とは、ボールの中心を基準として、ボールとトラックとが接触する接触中心と、トラックの溝底中心とのなす角度をさす。また、「接触中心」とは、トラックとボールとの接触により形成される楕円形状の接触面(接触楕円)における長軸と短軸とが交わる点のことをさす。長軸は、接触楕円の長手方向における最も長い部分となる軸をいい、短軸は、前記長軸と直交する短手方向における最も長い部分となる軸をいう。
【0005】
図9に示すように、継手にトルクTが負荷されると、ボール14から内輪10と外輪12のトラック10b、12bに垂直荷重Pが作用する他、ボール14からケージ16の軸方向で対向したポケット面にも軸方向荷重が作用する。このポケット面の軸方向荷重はトラック交差角αが大きい程大きくなる。
【0006】
【特許文献1】特公平7−47619号公報
【特許文献2】特開平5−231435号公報
【非特許文献1】Universal Joint and Driveshaft Design Manual(Section 3.2.12:Cross Groove Universal Joint)(出版元:SAE)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内外輪のトラックが、継手軸線方向に対して傾斜したクロスグルーブ型等速自在継手において、等速自在継手の摺動ストロークを稼ぐために継手軸線に対するトラックの交差角を小さくした場合、等速自在継手としての最大作動角が小さくなってしまう。すなわち、等速自在継手の作動角を増大させていくと、ある作動角で内外輪の一方のトラックが相手側のトラックに対して平行となる。この瞬間からトラックの傾斜関係が逆転し(反転状態)、継手を折曲げるためのトルクが急増する。この反転状態ではボールを継手作動角の二等分面に保持する機能が失われ、継手の作動が著しく不安定になる。このため、クロスグルーブ型等速自在継手の常用作動角はトラック交差角の範囲内に制約され、基本的に大きくとることが出来ない。
【0008】
トラック交差角を小さくすることで最大作動角が小さくなることを避けるために、トラックを軸線方向だけでなく、内外輪の半径方向へもねじった等速自在継手も提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
ここで「最大作動角」とは、継手を回転停止状態でいったん任意の作動角をつけ(折曲げ)、その後再び元通りに戻す操作を角度を変えて繰返し行った場合に、極大なトルクが発生する作動角のことである。この極大トルクが発生すると、最悪の場合、継手は最大作動角のまま元に戻らなくなる、いわゆる「引っかかり現象」が起きる。このため、クロスグルーブ型等速自在継手は、前述した引っかかり現象の有無検査のために、組立後、マッチングや選別のために多くの工数がかけられる。
【0010】
引っかかり現象は、トラックとボールの接触率を小さくすることによってある程度抑制することができるが、接触率を小さくするとトルク伝達時の接触楕円が拡大して実質接触角が大きくなり、この接触楕円の一部がトラックの肩部にかかるいわゆる「乗上げ現象」が発生しやすくなる。「乗上げ現象」が発生すると過大面圧によって極端な寿命低下を惹起する。
【0011】
本発明は、プロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手の寿命を延長するとともに、極大トルク発生による引っかかり現象が発生しにくい継手構造とすることにより、継手組立後のマッチングや選別のための工程を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1の発明は、内輪の外周面と外輪の内周面の各々に6本のトラックを交差状の配置で設け、両トラックの交差部分にトルク伝達用として6個のボールを組込み、該ボールを前記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置したケージにより保持し、前記内輪と外輪の最大作動角を10〜13°としたプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手において、前記内輪のトラックと外輪のトラックのトラック交差角を7〜12°、トラック接触率を1.05〜1.1、トラック接触角を40〜50°に設定したことを特徴とする。
【0013】
継手の引っかかり現象が発生するか否かは、トラックに対するボールの接触率と接触角に影響される。接触率を小さくすれば前述のように引っかかり現象を抑制することができるが、継手寿命に悪影響が出る。接触角を大きくすると折曲げトルクが低下するので同じように引っかかり現象を抑制することができるが、トラックに対するボールの面圧増大を来して継手寿命にやはり悪影響が出る。本発明は、トラックに対するボールの接触角を大きくした場合、折曲げトルクに対する接触率の大小の影響ないし敏感度を低減できることを見出し、この性質をうまく利用して継手の長寿命化と引っかかり現象の抑制を両立させたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前述のように、内輪のトラックと外輪のトラックのトラック交差角を7〜12°にするとともに、トラック接触率とトラック接触角を、それぞれ従来よりも大きな「1.05〜1.1」と「40〜50°」に設定したので、トラックの曲率ないし接触率の影響が少なくなり、製造工程における、マッチングや選別工程を軽減できて原価低減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係るプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手の実施形態について説明する。図1は継手の端面を示したもので、内輪10、外輪12、ボール14およびケージ16が見えている。これらの構成は、基本的に図8〜図10で既述した従来のものと同じであるから、同一部分に同一符合を付して対応する説明を省略する。
【0016】
ボール14は、図2のように内外輪のトラック10b、12b間に挟まれている。トラック10b、12bはゴシックアーチ形状であって、それぞれ2つの円弧(部分円筒面)を所定の角度で左右対称形状に接続した断面形状である。トラック10b、12bは、図3のように、それぞれ傾斜方向を交互に変えながら円周方向にボール14と同数の6本で等間隔に形成されている。継手軸線に対するトラック10b、12bの傾斜角(交差角α)は、従来と同程度の7〜12°である。
【0017】
本発明の特徴は、トラック10b、12bの断面の円弧の曲率半径の二倍をD、ボール14の直径をdとした場合、トラック10b、12bに対するボール14の接触率D/dは1.05〜1.1にし、また図2に示す接触角β2は40〜50°にしたことにある。「接触角」の定義は前述した通りである。
【0018】
図4は、一般的な継手を回転停止状態でいったん15°前後の任意の作動角で折曲げ、その後再び元通りに戻す操作を繰返し行った場合の折曲げトルクの履歴曲線を示したものである。この履歴曲線では、折曲げトルクは作動角が15°から12°まで戻した付近から急増し、作動角約9°をピークとして急減する。継手の常用作動角の範囲内にこのピークがあるか否かによって、引っかかり現象が発生するか否かを判断することができる。
【0019】
図5は、6個ボールにおけるクロスグルーブ型等速自在継手のトラック断面形状が引っかかり現象に与える影響について実験した結果である。トラックに対するボールの接触角が大きくなるにつれて、引っかかり現象発生時の折曲げトルクが低減することがわかる。また、接触率が小さいほど折曲げ時のトルクは低減される傾向にあるが、接触角が大きくなるにしたがって接触率の影響は少なくなってくる。
【0020】
一方、単に接触角を大きくすることは、ボールとトラックの接触点が、よりトラックの肩に近づくため、トルク伝達時に接触楕円がトラックをはみ出す、いわゆる乗り上げが起きてしまい、それにともなう過大面圧による寿命低下が懸念される。
【0021】
図6は、継手の回転位相角と実際のトルク伝達時の接触角との関係を示している。この図から、トルク伝達によって、接触楕円の中心が肩部に移動するため、設計上の接触角よりも実際の接触角の方が大きくなることが分かる。なお、接触率が小さい方が設計上の接触角と実際の接触角のずれ量は大きくなることも分かる。したがって、トルク伝達時の接触角を小さくするためには接触率を大きめにすることが有利であるといえる。
【0022】
ところで、同じ荷重条件においては、Hertzの接触理論によると、接触率が小さいほうが接触面圧は低減されるが接触楕円は大きくなる。図6が示す傾向から判断して、接触面圧低減のためにトラックの接触率を小さくすると、トルク伝達時の接触角の増加を引き起こす。加えて接触楕円が拡大するため、むしろボールがトラックの肩部に乗り上げやすくなる傾向となるから、過大面圧による継手の寿命低下が懸念される。よって、継手の寿命面から判断すると、接触率は大きめに設定することが有利であるといえる。このことは、図5が示唆する内容、すなわち接触率が小さいほうが引っかかり時の折り曲げトルクが小さいことと相反する関係にあるが、接触角を大きく設定することにより、接触率を大きくした場合のそのマイナス面の影響(面圧増大)を低減ないし相殺することが可能である。このことは、換言するならば、従来よりも大きな所定範囲の接触角において接触率を引き上げることにより、引っかかり現象発生時の折曲げトルクを実用上問題のない程度に抑制することができるとともに、接触楕円の拡大によるトラック肩部乗り上げを阻止して継手寿命を維持向上することができる。
【0023】
前述したように、クロスグルーブ型等速自在継手の折曲げトルクや接触面圧は、トラック断面形状の影響を敏感に受ける。現在のクロスグルーブ型等速自在継手の製造工程では、組み立て時のマッチング工程や、出荷前に引っかかりの有無を確認する選別工程があり、これら工程に多大な工数がかけられている。図5と図6が示すとおり、トラックの接触角を大きめに設定することにより、接触率ないしトラック断面の円弧曲率の影響を軽減できるということは、マッチング工程や選別工程の工数を軽減することができることにつながり、原価低減の一助となる。
【0024】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想に基づき種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るプロペラシャフト用クロスグルーブ型等速自在継手の端面図。
【図2】トラックの断面図。
【図3】トラックの展開状態平面図。
【図4】継手作動角に対する折曲げトルクの履歴曲線図。
【図5】接触角と折曲げるトルクの相関曲線図。
【図6】トルク伝達時の回転位相角と接触角の相関曲線図。
【図7】4WD車のパワートレインのレイアウト平面図。
【図8】トラックの展開状態平面図。
【図9】トラックの断面図。
【符号の説明】
【0026】
1 エンジン
2 トランスミッション
3 動力分配装置
4 リアプロペラシャフト
5 フロントプロペラシャフト
6 リアデフ
7 フロントデフ
8 後輪
9 前輪
10 内輪
10a 外周面
10b トラック
10c スプライン孔
12 外輪
12a 内周面
12b トラック
14 ボール
16 ケージ
16a ポケット




 

 


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