米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> 松下電器産業株式会社

発明の名称 断熱体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16929(P2007−16929A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199653(P2005−199653)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 野末 章浩
要約 課題
真空断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持し、かつ、断熱体に適用するに際し、反応性が低い窒素を効果的に吸着する気体吸着材を用いることにより、優れた断熱性能を有する高性能な真空断熱体を提供する。

解決手段
断熱体4は、芯材5と、リチウムと高分子を同時蒸着気相合成法によって作製した気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8と、これらを覆うガスバリア性を有する外被材6とを備え、外被材6の内部を減圧してなるものであり、芯材5として無機繊維集合体を、外被材6として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを用いたものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を気体吸着材1が吸着除去し、その結果、断熱体4の断熱性能の向上を図ることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、芯材と、気体を吸着可能な気体吸着材と、前記芯材と前記気体吸着材とを覆うガスバリア性を有する外被材とを備え、前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくともリチウムと高分子を同時に蒸着する同時蒸発気相合成法によって作製されたものであることを特徴とする断熱体。
【請求項2】
前記リチウムが、シングルナノ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の断熱体。
【請求項3】
前記高分子が、疎水性材料であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱体。
【請求項4】
前記気体吸着材が、その周囲を化学的水分吸着性物質に覆われていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の断熱体。
【請求項5】
前記気体吸着材が、その周囲を化学的酸素吸着性物質に覆われていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の断熱体。
【請求項6】
前記芯材が、メソ多孔構造を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の断熱体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体吸着材を含む断熱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機等の保温保冷機器では熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性能を有する断熱材が求められている。
【0003】
このような課題を解決する一手段として、空間を保持する芯材と、空間と外気を遮断する外被材によって構成される真空断熱体がある。その芯材として、一般に、粉体材料、繊維材料、連通化した発泡体などが用いられている。
【0004】
例えば、冷蔵庫などに多く用いられている真空断熱材としては、真空断熱パネルがあり、真空断熱パネルは、無機繊維集合体を用いた芯材をガスバリア性の金属―プラスチックラミネートフィルム等で覆い、内部を真空排気した後、パックしてパネルとするものである。
【0005】
これを冷蔵庫などの断熱箱体に用いる場合には、箱体の容器材料の内面に貼り付けられ、さらに発泡ウレタン樹脂を注入発泡成形する二重構造で構成されている。近年では、冷蔵庫などをはじめ真空断熱体への要求が多岐にわたってきており、一層高性能な真空断熱体が求められている。
【0006】
空気が介在して熱伝導が行われる場合、断熱性能に影響を及ぼす物性として気体の平均自由行程がある。気体の平均自由行程とは、空気を構成する分子の一つが別の分子と衝突するまでに進む距離のことであり、平均自由行程よりも形成されている空隙が大きい場合は空隙内において分子同士が衝突し、気体による熱伝導が生じるため、熱伝導率は大きくなる。
【0007】
真空断熱体の断熱原理は、熱を伝える空気をできる限り排除し、気体による熱伝導を低減することである。一方、平均自由行程よりも空隙が小さい場合は、熱伝導率は小さくなる。これは空気の衝突による熱伝導がほとんどなくなるためである。
【0008】
従って、真空断熱体の性能を長期間維持するためには、初期の内部圧力をより低圧とする必要がある。しかしながら、工業的レベルで高真空にすることは困難であり、実用的に達成可能な真空度は13.3Pa程度までである。
【0009】
また、真空断熱体内部から発生するガスや、外部から真空断熱体へ透過侵入してくるガスが真空断熱体の経時的な断熱性能の劣化を招く要因となる。特に空気中にもっとも多く含まれる窒素は、反応性に乏しく、非極性分子のため低圧における活性炭などの物理吸着材による除去が困難であり、その存在は断熱性能の悪化要因となるものである。
【0010】
このような課題を解決する手段として、窒素吸蔵合金や窒素ゲッター材と呼ばれる金属系の吸着材がある。例えば窒素ゲッター材と呼ばれるものには70%Zr―15%V―3.3%Fe―8や69%Zr―2.6%V―0.6%Fe―24.8%Mn―3%Mm(Mm:ミッシュメタル)の組成の合金があり、これらを断熱空間の最も温度が高いところに設置し、真空度維持に用いるものがある(特許文献1参照)。
【0011】
また、窒素吸蔵合金とよばれるものとしては、NdFe7やCeO2−Feがある(特許文献2参照)。
【0012】
また、真空用ゲッターとして非蒸発型バリウムゲッターであるBaLi合金を用いた窒素吸着材が提案されている(特許文献3参照)。
【0013】
また、金属Liは唯一常温で窒素と反応する金属であるが、金属Liは窒素と反応すると窒化リチウムを形成する(非特許文献1)。
【特許文献1】特表2003―535218号公報
【特許文献2】特開2000―247613号公報
【特許文献3】特表平9−512088号公報
【非特許文献1】非金属窒化物/ゲ・ヴエ・サムソノフ著 日・ソ通信社翻訳部訳 1971.6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1の構成による窒素ゲッター材を用いた気体吸着材では、反応速度を上げるために、断熱空間内で温度をあげる必要がある。しかし、窒素分子は三重結合を有し、約940kJ/molという非常に大きな結合エネルギーのため、開裂させるのが非常に困難であり、多くの窒素ゲッター材では窒素分子を開裂させるため、Feを混入させているが、それでも速やかに窒素を吸着させるには数百度という高温が必要であり、樹脂部材の断熱体などでは加熱できず、反応速度が上がらないという課題がある。
【0015】
特許文献2の構成による窒素吸蔵合金も同様で、高温が必要であり、樹脂部材の断熱体などでは加熱できず、反応速度があがらないという課題がある。
【0016】
また、特許文献3の構成では、BaLi合金は常温でも窒素と反応するが、Baが環境負荷物質である問題がある。
【0017】
また、非特許文献1にあるように金属Li単体でも常温で窒素と反応し窒化リチウムを形成するが、窒化リチウムは緻密な膜を表面に形成してしまい、その後、Liと窒素の反応が著しく低下する課題がある。
【0018】
また、表面積を増大させようにも金属Liは延性が高く、粒状に成形しにくいこと、さらに、表面積を増大させても窒素との反応性が高いため、断熱体に使用する際に窒素と触れないようにせねばならず非常に取り扱い難い課題がある。
【0019】
本発明の目的は、断熱体の内部圧力を低減し、かつ、その圧力を維持する気体吸着材を備えた断熱体であって、特に反応性に乏しく、吸着除去が困難な窒素を速やかに吸着可能で、環境負荷物質を用いず、取り扱い性に優れた気体吸着材を用い、断熱性能が優れた断熱体を提供することにある。また、芯材の空隙径を低減することによりさらに優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の断熱体は、少なくとも、芯材と、気体を吸着可能な気体吸着材と、前記芯材と前記気体吸着材とを覆うガスバリア性を有する外被材とを備え、前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくともリチウムと高分子を同時に蒸着する同時蒸発気相合成法によって作製されたものであることを特徴とするものである。
【0021】
これによって、高分子中にリチウムが微粒子として分散され、高表面積、高触媒活性を有すると共に、高分子中に固定されることで、窒素は高分子中を通過せねばならず急激に空気にさらされることがなくなり、窒化速度を緩やかにでき取り扱い性が向上する。
【0022】
また、蒸着されたリチウムは活性化処理を行わなくても活性度は高く、そのため、工業的真空排気プロセスで除去しきれない残存窒素や、経時的に外部から侵入してくる窒素を吸着し、高性能な断熱体を提供することが出来る。
【0023】
また、一つ一つが独立した粒子のため、窒化リチウムを形成しても、気体吸着材としての窒素吸着性は失われない。また、常温で窒素と反応するため、加熱する必要がなく耐熱性が低い外被材にも担持することができる。さらに、高分子が基材となるため、気体吸着材の固体熱伝導率は大きく減じられる。
【0024】
また、本発明の断熱体は、前記リチウムが、シングルナノ粒子であることを特徴とするものである。
【0025】
リチウムは非常に延性の高い金属のため、ボールミル等の機械的粉砕法では微細化することも難しいが、高分子とリチウムを同時蒸発気相合成法で作製した気体吸着材は、リチウム粒子が非常に微細に存在し、10ナノメートル以下のシングルナノサイズの粒子も形成され、粒子サイズ効果により特異な触媒能を有し、著しく触媒活性が向上する。また、気体吸着材の表面積が著しく増加することで、反応速度も増加する。
【0026】
また、本発明の断熱体は、高分子が疎水性材料であることを特徴とするものである。
【0027】
これにより、気体吸着材を構成する高分子に水が浸入することを防止し、リチウムが水と反応し、水酸化リチウムを生成、発熱することを防止するとともに、窒素吸着力が低下することを防止する。
【0028】
また、本発明の断熱体は、前記気体吸着材がその周囲を化学的水分吸着性物質に覆われていることを特徴とするものである。
【0029】
これにより、気体吸着材に水が浸入することをより確実に防止し、リチウムが水と反応し、水酸化リチウムを生成、発熱することを防止するとともに、窒素吸着力が低下することを防止する。
【0030】
また、本発明の断熱体は、前記気体吸着材がその周囲を化学的酸素吸着性物質に覆われていることを特徴とするものである。
【0031】
これにより、気体吸着材に酸素が浸入することを防止し、リチウムが酸素と反応し、酸化リチウムを形成することで、窒素吸着力が低下することを防止する。
【0032】
また、本発明の断熱体は、芯材としてメソ多孔構造を有することを特徴とするものである。
【0033】
これにより、芯材の空隙径を低減することでさらに優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の断熱体は、気体吸着材として、少なくともリチウムと高分子を同時に蒸着する同時蒸発気相合成法によって作製した気体吸着材を含むことにより、真空断熱材中の残存気体や芯材からの発生ガス、及び経時的に外部から侵入してくる気体、その中でも特に活性度の低い窒素を継続的に吸着可能とし、断熱性能の向上を図ることができる。
【0035】
さらに、また、窒素の吸着速度調節することが可能で、さらに取り扱い性の向上も図れる。
【0036】
また、本発明の断熱体は、芯材としてメソ多孔構造を有することで、芯材の空隙径を低減することでき、さらに優れた断熱性能を有する高性能な断熱体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
請求項1に記載の断熱体の発明は、少なくとも、芯材と、気体を吸着可能な気体吸着材と、前記芯材と前記気体吸着材とを覆うガスバリア性を有する外被材とを備え、前記外被材の内部を減圧してなる断熱体であって、前記気体吸着材が、少なくともリチウムと高分子を同時に蒸着する同時蒸発気相合成法によって作製されたものであることを特徴とする。
【0038】
これにより、高分子にリチウムが微粒子として分散され、高表面積、高触媒活性を有すると共に、高分子中に固定されることで、窒素は高分子中を通過せねばならず急激に空気にさらされることがなくなり、窒化速度を緩やかにでき取り扱い性が向上する。
【0039】
また、蒸着されたリチウムは活性化処理を行わなくても活性度は高く、そのため、工業的真空排気プロセスで除去しきれない残存窒素や、経時的に外部から侵入してくる窒素を吸着し、高性能な断熱体を提供することが出来る。
【0040】
また、一つ一つが独立した粒子のため、窒化リチウムを形成しても、吸着材の窒素吸着性は失われない。また、常温で窒素と反応するため、加熱する必要がなく耐熱性が低い外被材にも担持することができる。さらに、高分子が基材となるため、気体吸着材の固体熱伝導率は大きく減じられる。
【0041】
また、リチウムは非常に延性の高い金属のため、ボールミル等の機械的粉砕法では微細化することも難しいが、高分子との同時蒸発気相合成法では、独立した微細な粒子を容易に作成することができる。
【0042】
また、リチウムは金属リチウムの状態で存在していれば良く、混合物や、化合物であってもよい。
【0043】
また、高分子は特に特定するものではないが、取り扱い性や窒素吸着速度の点から、高分子の20℃における窒素透過速度が0.01cm3・20μm/m2・day・atm以上300cm3・20μm/m2・day・atm以下であることが好ましい。
【0044】
また、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルム等であれば、熱溶着層を気体吸着材で兼ねてもよい。
【0045】
また、気体吸着材の上層に高分子だけを蒸着や貼り付けることにより、高分子層を厚くし、気体透過速度を調節することも可能である。
【0046】
また、気体吸着材は、窒素以外の酸素、水素、二酸化炭素、水、一酸化炭素等の気体を吸着するために、リチウムと高分子の同時蒸発気相合成法からなる気体吸着材と、その他の気体吸着材、例えば公知の化学吸着材や物理吸着材を併用ハイブリット化することも可能である。その構成比は、使用環境や内部発生ガスの種類により選択できるものである。
【0047】
また、本発明における外被材は、ガスバリア性を有するものが利用でき、金属容器やガラス容器、樹脂と金属の積層されたガスバリア容器、さらには表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムなど、気体侵入を阻害可能な種々の材料および複合材料が利用できる。
【0048】
また、本発明における芯材としては、ポリスチレンやポリウレタンなどのポリマー材料の連通気泡体や、無機材料の連通気泡体、無機および有機の粉末、無機および有機の繊維材料などが利用できる。またそれらの混合物であっても良い。
【0049】
請求項2に記載の断熱体の発明は、請求項1に記載の発明における前記リチウムが、シングルナノ粒子であることを特徴とする。
【0050】
シングルナノ粒子からなるリチウムは、粒子サイズ効果による特異な触媒活性と非常に大きな表面積により、窒素の吸蔵速度が著しく大きく、少量の窒素吸着性金属で、工業的真空排気プロセスで除去しきれない残存窒素や、経時的に外部から侵入してくる窒素をより速やかかつ確実に吸着し、高性能な断熱体を供給できる。
【0051】
請求項3に記載の断熱体の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明における前記高分子が、疎水性材料であることを特徴とする。
【0052】
本発明では、高分子に水が浸入することを防止することで、リチウムが水と反応することで水酸化リチウムを生成することを防止し、気体吸着材の窒素吸着能が低下することを防止する。
【0053】
疎水性材料は、特に規定するものではないが、テトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂が好ましい。
【0054】
請求項4に記載の断熱体の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明における前記気体吸着材が、その周囲を化学的水分吸着性物質に覆われていることを特徴とする。
【0055】
本発明では、化学的水分吸着材で覆うことで、気体吸着材のリチウムと水分が反応し、吸着活性が失われることを防止するとともに、水分も吸着するため、断熱体内の圧力が上昇することも防止する。
【0056】
また、本発明における化学的水分吸着性物質は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが使用できるが、化学的に水分を固定化できるものならば、特に規定するものではない。
【0057】
請求項5に記載の断熱体の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明における前記気体吸着材が、その周囲を化学的酸素吸着性物質に覆われていることを特徴とする。
【0058】
本構成により、酸素吸着性物質が酸素を吸着することで、酸素とリチウムが反応し、酸化リチウムを形成することで、窒素吸着不活性となることを抑制することができ、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる。
【0059】
また、本発明における化学的酸素吸着材は、Fe粉など、酸素親和性が高い物質が使われるが、特に規定するものではない。
【0060】
請求項6に記載の断熱体の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発明における前記芯材が、メソ多孔構造を有することを特徴とする。
【0061】
本発明では、気体吸着材が、工業的真空排気プロセスで除去しきれない残存窒素や、経時的に外部から侵入してくる窒素、あるいは、いかなる外被材をも通過し、経時的に外部から侵入してくる水素を吸着し、その結果、断熱体の断熱性能の向上を図ることができる一方で、芯材の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材によっても除去しきれなかった残存気体の気体熱伝導をより低減可能とするものである。
【0062】
以下、本発明の実施の形態の断熱体について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0063】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における気体吸着材1の模式図である。
【0064】
図1において、気体吸着材1は、リチウム2と高分子3を気相合成同時蒸着法により作製したもので、高分子3の中に、リチウム2が超微粒子として取り込まれている。
【0065】
図2は、本発明の実施の形態1における気体吸着材1を適用した断熱体の断面図である。
【0066】
図2において、断熱体4は、芯材5と、気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8と、芯材5と気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8とを覆うガスバリア性を有する外被材6とを備え、外被材6の内部を減圧してなるものであり、芯材5として無機繊維集合体を、外被材6として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムが用いられたことを特徴とするものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を気体吸着材が吸着除去し、その結果、断熱体4の断熱性能の向上を図ることができる。
【0067】
高分子の種類を変えた気体吸着材1を適用した断熱体4における気体吸着の評価結果を実施例1から実施例4に示す。実施例1から4においては、水分吸着材7には酸化カルシウムを、酸素吸着材8には、鉄系脱酸素材を用いた。評価は、いずれも初期の内圧を13Paとし、その後の経時的な内圧増大を比較例1の断熱体と比較して行った。
【0068】
(実施例1)
リチウムとポリエチレンを同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を外被材6内側に貼り、水分吸着材7として酸化カルシウム、及び酸素吸着材8として鉄系酸素吸着材を用いた断熱体4を作製した。
【0069】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。
【0070】
また、経時1ヶ月後の内圧は20Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材6を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。
【0071】
(実施例2)
リチウムとポリプロピレンとを同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を外被材6内側に貼り、水分吸着材7として酸化カルシウム、及び酸素吸着材8として鉄系酸素吸着材を用いた断熱体4を作製した。
【0072】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。
【0073】
また、経時1ヶ月後の内圧は21Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材6を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。また、高分子の厚さ、気体透過速度により、気体吸着速度に差が生じる。
【0074】
(実施例3)
リチウムとポリテトラフルオロエチレンを同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を外被材6内側に貼り、水分吸着材7として酸化カルシウム、及び酸素吸着材8として鉄系酸素吸着材を用いた断熱体4を作製した。
【0075】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。
【0076】
また、経時1ヶ月後の内圧は19Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材6を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。
【0077】
また、ポリテトラフルオロエチレンが水分を吸収せず、リチウムの活性が水分により低下しないためと考えられる。
【0078】
(実施例4)
リチウムとポリテトラフルオロエチレン20%とポリエチレン80%を同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を外被材6内側に貼り、水分吸着材7として酸化カルシウム、及び酸素吸着材8として鉄系酸素吸着材を用いた断熱体4を作製した。
【0079】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。
【0080】
また、経時1ヶ月後の内圧は17Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材6を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。
【0081】
また、創始性の高いポリテトラフルオロエチレンとガス透過性の高いポリエチレンとを混合させることで、ガス透過性も高くいと同時に、高分子が水分を吸収せず、リチウムの活性が水分により低下しないためと、考えられる。
【0082】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における気体吸着材1を水分吸着材7で覆った断熱体9の断面図である。
【0083】
図3において、断熱体9は、芯材5と、リチウムとポリエチレンからなる気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8と、芯材5と気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8とを覆うガスバリア性を有する外被材6とを備え、水分吸着材7が気体吸着材1を覆い、外被材6の内部を減圧してなるものである。芯材5、外被材6は実施の形態1と同様のものを使用している。
【0084】
これにより、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を気体吸着材1が吸着除去し、また、水分を気体吸着材1を覆った水分吸着材7が吸収する。従って、気体吸着材1のリチウムの吸着活性は低下せず、また、水分も吸着されるため、その結果、断熱体9の断熱性能の向上を図ることができる。
【0085】
気体吸着材1の周囲を水分吸着材7で覆ったものを適用した断熱体9における気体吸着の評価結果を実施例5に示す。実施例5においては、水分吸着材7には酸化カルシウムを、酸素吸着材8には、鉄系脱酸素材を用いた。評価は、いずれも初期の内圧を13Paとし、その後の経時的な内圧増大を比較例1の断熱体と比較して行った。
【0086】
(実施例5)
リチウムとポリエチレンを同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を酸化カルシウムからなる水分吸着材7で覆ったものと、鉄系酸素吸着材を用いた酸素吸着材8と、芯材5とを外被材6内側に配置した断熱体9を作製した。
【0087】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。
【0088】
また、経時1ヶ月後の内圧は17Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが水分吸着材7により水分の影響を受けず、活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材6を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。
【0089】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における気体吸着材1を酸素吸着材8で覆った断熱体10の断面図である。
【0090】
図4において、断熱体10は、芯材5と、リチウムとポリエチレンからなる気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8と、芯材5と気体吸着材1と水分吸着材7と酸素吸着材8とを覆うガスバリア性を有する外被材6とを備え、酸素吸着材8が気体吸着材1を覆い、外被材6の内部を減圧してなるものである。芯材5、外被材6は実施の形態1と同様のものを使用している。
【0091】
これにより、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を気体吸着材1が吸着除去し、また、気体吸着材1を覆った酸素吸着材8が酸素を吸収する。従って、気体吸着材1のリチウムの吸着活性は低下せず、また、酸素も吸着されるため、その結果、断熱体10の断熱性能の向上を図ることができる。
【0092】
気体吸着材1の周囲を酸素吸着材8で覆ったものを適用した断熱体10における気体吸着の評価結果を実施例6に示す。実施例6においては、水分吸着材7には酸化カルシウムを、酸素吸着材8には、鉄系脱酸素材を用いた。評価は、いずれも初期の内圧を13Paとし、その後の経時的な内圧増大を比較例1の断熱体と比較して行った。
【0093】
(実施例6)
リチウムとポリエチレンを同時蒸着気相合成法で作製した気体吸着材1を鉄系酸素吸着材からなる酸素吸着材8で覆ったものを外被材6内側に貼り、水分吸着材7として酸化カルシウムを用いた断熱体10を作製した。
【0094】
気体吸着材1は空気中で取り扱っても、空気が高分子を短時間では通過できないため、急激に窒素と反応することはなく、短時間であれば活性を失わず、取り扱い性が向上する。また、。経時1ヶ月後の内圧は17Paであり、比較例1と比較して経時的な劣化は少ない。これは、リチウムが酸素吸着材8により酸素の影響を受けず、活性を維持し、かつ高表面積、高触媒活性により外被材を透過侵入してくる窒素を速やかに吸着しているためと考える。
【0095】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における気体吸着材1を適用した断熱体11の断面図である。
【0096】
断熱体11は、メソ多孔構造を有する芯材12と、気体吸着材1と、芯材12と気体吸着材1とを覆うガスバリア性を有する外被材6とを備え、外被材6の内部を減圧してなるものであり、芯材12として気相法により製造されたシリカ粉体を圧縮成形したメソ多孔体を、外被材6として表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層によって構成されるラミネートフィルムを、気体吸着材1として実施の形態1の気体吸着材1を用いたものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素および経時的に外部から侵入してくる窒素を気体吸着材1が吸着除去し、その結果、断熱体11の断熱性能の向上を図ることができる。
【0097】
また、芯材12の空隙径が2〜50nmの範囲であるために、平均自由行程よりも空隙が小さく、その結果、気体吸着材1によっても除去しきれなかった残存気体の衝突による気体熱伝導を抑制することが可能であるため、優れた断熱性能を有する断熱体11が提供できるものである。
【0098】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における、気体吸着材1を適用した断熱体13の断面図を示すものである。
【0099】
断熱体13は、芯材5と、気体を吸着する気体吸着材1と、芯材5と気体吸着材1とを覆うガスバリア性を有する外被材14とを備え、外被材14の内部を減圧してなるものであり、芯材5として無機繊維集合体を、外被材14としてステンレス鋼からなる容器を、気体吸着材1として実施の形態1の気体吸着材1を用いたものであり、工業的真空排気プロセスで除去しきれない窒素を気体吸着材1が吸着除去し、その結果、断熱体13の断熱性能の向上を図ることができる。
【0100】
次に本発明の気体吸着材1および断熱体に対する比較例を示す。評価方法は実施例に準じるものとする。
【0101】
(比較例1)
吸着材として、塊状リチウムを用い、また、酸素吸着材として鉄系脱酸素材を用いて断熱体を作製した。できるだけ空気に触れないようにアルゴン雰囲気中で取り扱ったが、断熱体作製時には、空気に触れてしまい、窒素は断熱体作製時から吸着し始め、活性が一部失われた。経時1ヶ月後の内圧は45Paであった。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明にかかる断熱体は、真空断熱材中の気体、その中でも特に反応性が低い窒素を吸着可能とすることにより、断熱性能の向上を図ることができ、優れた断熱性能を発現可能なものであり、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとした温冷熱機器や、熱や寒さから保護したい物象などのあらゆる断熱用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態1における気体吸着材の模式図
【図2】本発明の実施の形態1における気体吸着材を適用した断熱体の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における気体吸着材を水分吸着材で覆った断熱体の断面図
【図4】本発明の実施の形態3における気体吸着材を酸素吸着材で覆った断熱体の断面図
【図5】本発明の実施の形態4における気体吸着材を適用した断熱体の断面図
【図6】本発明の実施の形態5における気体吸着材を適用した断熱体の断面図
【符号の説明】
【0104】
1 気体吸着材
2 リチウム
3 高分子
4 断熱体
5 芯材
6 外被材
7 水分吸着材
8 酸素吸着材
9 断熱体
10 断熱体
11 断熱体
12 メソ多孔構造を有する芯材
13 断熱体
14 外被材




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013