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発明の名称 真空断熱材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16806(P2007−16806A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−195924(P2005−195924)
出願日 平成17年7月5日(2005.7.5)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 勝部 毅
要約 課題
真空断熱材の熱伝導率の低減を目的に、芯材に用いるガラス繊維の素材熱伝導率を低下させ、かつ強度の低下したガラスでも多孔性芯材としての機能を確保する。

解決手段
ガラス繊維からなる芯材2と、水分吸着材3と、芯材2と水分吸着材3とを被覆するガスバリア性を有する外包材4とを備え、外包材4の内部が減圧して密閉され、ガラス繊維はガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20%以上、40%以下の範囲で含み、ガラス繊維素材の熱伝導率は1W/mK以下、かつガラス繊維の平均繊維径を1μm以上、20μm以下の範囲とした真空断熱材1である。
特許請求の範囲
【請求項1】
ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維はガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20%以上、40%以下の範囲で含み、前記ガラス繊維素材の熱伝導率は1W/mK以下、かつ前記ガラス繊維の平均繊維径を1μm以上、20μm以下の範囲とした真空断熱材。
【請求項2】
芯材部の嵩密度が150kg/m3以上、300kg/m3以下である請求項1に記載の真空断熱材。
【請求項3】
ガラス組成に少なくとも、アルカリ土類金属酸化物を一種類以上含み、前記アルカリ土類金属酸化物は合計で1重量%以上、30重量%以下の範囲である請求項1または2に記載の真空断熱材。
【請求項4】
ガラス組成にTiO2を1重量%以上、20重量%以下の範囲で含む請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
【請求項5】
外包材の内部には水分吸着材を備えてなる請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の防止を目的に省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギー化の推進が行われている。特に、冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
【0003】
一般的な断熱材としては、グラスウールなどの繊維体やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性を向上するには断熱材の厚みを増大して適用する必要がある。よって、断熱材を設置できる空間に制限がある場合や、省スペース化や空間の有効利用が必要な場合には従来断熱材の適用は望ましくない。
【0004】
このような課題を解決する一手段として、多孔体からなる芯材と、芯材を外包材によって覆い内部を減圧密閉して構成した真空断熱材がある。真空断熱材は、近年、省エネ競争が激化するなか、より一層、断熱性能の優れた真空断熱材が求められている。
【0005】
一般に、断熱材の伝熱は、固体と気体成分の熱伝導、輻射、対流熱伝達により引き起こされる。一方、外包材内部を減圧してなる真空断熱材は、気体成分の熱伝導と対流熱伝達に関してはその影響は小さい。また、常温以下の温度領域での使用においては、輻射の寄与もほとんどない。よって、常温以下で使用する保冷機器等に適用する真空断熱材においては、固体成分の熱伝導を抑制することが重要となる。そこで、断熱性能に優れる真空断熱用の芯材として、種々の繊維材料が報告されている。
【0006】
例えば、平均繊維長1mm以下、繊維径0.5〜3μmの無機質繊維が熱伝導の方向に対して垂直方向に配向されている真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
本構成により、伝熱方向に対して固体成分の熱伝導は一本の繊維を熱が伝わって起こるのではなく、各繊維間の接触点を介して次々と隣り合う繊維へと熱が伝わっていくことで伝熱方向に対しては熱伝導が起こる。よって、繊維間の接触熱抵抗により、繊維一本がそのまま伝熱方向へ熱を伝えるような芯材と比べて固体成分の熱伝導を抑制している。
【特許文献1】特開平9−4785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、真空断熱材の芯材に汎用グラスウールを用いることを前提としており、無機質繊維自体の熱伝導が大きく、真空断熱材の断熱性能に最も重要な固体成分の熱伝導が増大するため、芯材用材料自体が真空断熱材の熱伝導率低減を妨げているという課題があった。
【0009】
また、アルカリ金属酸化物を多く含むことで熱伝導率の低いガラス素材からなるガラス繊維を芯材に適用した場合には、ガラスの基本構造である網目構造における切断部が多いためにガラス素材の強度が低下する。よって、減圧封止後の大気圧縮により芯材部は高密度化してしまい、多孔性芯材が空隙を確保できないために、このような強度の低いガラス繊維の芯材への適用は困難であった。
【0010】
ところで、通常、常圧下で用いられる断熱材としての多孔性材料において、その伝熱要素である固体と気体成分の熱伝導のうち、はるかに気体成分による熱伝導が大きく、断熱材全体としては、ガラス繊維自身による固体成分の熱伝導は重要ではない。よって、ガラス繊維におけるガラス組成物自体の熱伝導率についてはこれまで特に十分検討がなされていなかった。
【0011】
さらに、従来の断熱材用ガラス繊維は、長期間に渡って大気中に放置されても品質劣化がないように、高い耐水性が不可欠であり、製造上好ましい低粘度特性を実現するためにアルカリ金属酸化物を増加させるといったことは、耐水性が低下する問題からガラス組成には大きな制約があり、なされていなかった。
【0012】
一方、真空断熱材において、ガラス繊維の集合体を芯材として適用する場合、上記常圧下の断熱材よりもさらに気体成分の伝熱をも抑制できるものであるため、その伝熱は固体成分による熱伝導がほぼ大部分を占める。そのため、従来のガラス繊維をそのまま真空断熱材の芯材に適用しようとすると、ガラス自体の熱伝導により、断熱性能に限界があるという大きな課題があった。
【0013】
さらに、ガラス素材の熱伝導率の低減、及び粘土特性を改善するためにアルカリ金属酸化物を多く含む場合、ガラス自体の強度が低下する。その場合、減圧状態であるために大気圧縮を受けるとガラス繊維の集合体は圧縮されて多孔性芯材としての機能を失って、減圧空間を確保できなくなる。よって、ガラス繊維素材の熱伝導率を低減しても、真空断熱材としての断熱性能を向上させることができないという課題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ガラス繊維自身の熱伝導率を低減することにより断熱性能を向上させた真空断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の真空断熱材は、ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維はガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20%以上、40%以下の範囲で含み、ガラス繊維素材の熱伝導率は1W/mK以下、かつ前記ガラス繊維の平均繊維径を1μm以上、20μm以下の範囲としたものである。
【0016】
従来の断熱材として利用されるガラス繊維の組成において、アルカリ金属酸化物は16〜18重量%程度である。これは、増加させることでガラスの粘度特性が低下し、ガラス繊維成形時の熱エネルギーが低減できる反面、水分による侵食を受け易くなることから、長期に渡って耐久性を確保するためにはこれ以上は増加させられないものであった。
【0017】
それに対して、本発明による真空断熱材の芯材となるガラス繊維は、ガスバリア性を有する外包材に減圧された密封状況下で使用されるため、水分との接触はもとより、大気との接触による影響も格段に低減でき、アルカリ金属酸化物を多く含む低耐久性のガラス繊維が適用可能となる。このことにより、低粘度特性を有するガラス繊維の適用が実現する。
【0018】
また、ガラス構造上、アルカリ金属酸化物はガラスの網目構造を特に切り易い性質を備えており、特に酸化物ガラスにおいては網目構造中に非架橋酸素を多く作ってガラスの結合力を極端に弱める働きがある。これはアルカリ金属に電気的引力が強く、ガラスの網目構造における架橋酸素との共有結合からアルカリ金属とのイオン結合への置換が起こり、ガラス網目構造の結合力が低下するためと考えられる。
【0019】
よって、ガラス成分にアルカリ金属酸化物を増加させることでガラスの網目構造を積極的に切断し、ガラス中での非架橋酸素部分の熱伝導が抑制され、ガラス内部の熱抵抗が増大する。
【0020】
以上のことから、本発明のガラス組成物は熱伝導率が低減し、アルカリ金属酸化物を増加させることにより、ガラス単体の熱伝導率を1W/mK以下とすることができる。
【0021】
しかし一方では、アルカリ金属酸化物を増加させるとガラスの結合力が弱まり、網目構造が切断されることで、ガラス素材の強度は低下する。そのため、大気圧縮時にガラス繊維の積層体が潰されて、多孔性芯材としての機能を失ってしまうという問題が起こり得る。
【0022】
そこで、ガラス繊維の平均繊維径を1μm以上とすることで、ガラス素材の強度低下を繊維強度として、及び繊維積層体の強度として確保し、大気圧縮時にも減圧空間の保持が可能となる。さらに、繊維径を平均20μm以下とすることで芯材の作り出す空隙径を細分化し、気体分子の運動を妨げることで気体成分の熱伝導も抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の真空断熱材は、芯材として用いるガラス繊維において、アルカリ金属酸化物を多く含むことで、従来のガラス繊維として用いることが可能であったガラス組成物よりも、熱伝導率が大幅に低減でき、真空断熱材の断熱性能を飛躍的に改善する。
【0024】
また、アルカリ金属酸化物を多く含むことで、低粘度特性を有するために、ガラス溶融、繊維化工程等における必要熱エネルギーを低減でき、生産性が向上する。さらには、生分解されやすく、万が一人体に取り込まれた場合にも蓄積され難く、安全性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
請求項1に記載の発明は、ガラス繊維からなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉され、前記ガラス繊維はガラス組成に少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を合計で20%以上、40%以下の範囲で含み、前記ガラス繊維素材の熱伝導率は1W/mK以下、かつ前記ガラス繊維の平均繊維径を1μm以上、20μm以下の範囲とした真空断熱材である。
【0026】
よって、芯材であるガラス繊維の組成に、アルカリ金属酸化物が20重量%〜40重量%と多く含むものであることから、ガラス組成物自体の熱伝導率が大幅に低減できる。また、ガラス組成におけるアルカリ金属酸化物の増加は、粘度特性を著しく低下させ、繊維化及び真空断熱材用の芯材成形に必要な熱エネルギーを大幅に低減できる。
【0027】
さらに、従来のガラス繊維よりも生分解性を高め、安全性が向上する効果も有する。ここで、アルカリ金属酸化物が40重量%を超えると、ガラス化が困難となり結晶が析出する問題が起こり、繊維化が安定して行えないことから、40重量%以下であることが好ましい。また、20重量%未満では熱伝導率の改善効果にほとんど影響がなく、20重量%以上かつ40重量%以下であることが望ましい。
【0028】
しかし一方で、アルカリ金属酸化物を増加させるとガラスの結合力が弱まり、網目構造が切断されることで、ガラス素材の強度は低下する。そのため、大気圧縮時にガラス繊維の積層体が潰されて、多孔性芯材としての機能を失ってしまうという問題が起こり得る。そこで、ガラス繊維の平均繊維径を1μm以上とすることで、ガラス素材の強度低下を繊維及び繊維積層体の強度として補い、大気圧縮時にも減圧空間の保持が可能となる。さらに、繊維径を平均20μm以下とすることで芯材の作り出す空隙径を細分化し、気体分子の運動を妨げることで気体成分の熱伝導も抑制できるため、断熱性能の悪化を防ぐ。
【0029】
以上の作用により、ガラス繊維自体を伝わる固体成分の熱伝導を抑制し、かつ芯材としての空隙を確保することができるために、真空断熱材の断熱性能が向上する。さらに、低粘度特性とすることによる生産性向上、及び生分解性を高めたことによる安全性向上を図ることが可能となる。
【0030】
請求項2に記載の発明は、芯材部の嵩密度が150kg/m3以上、300kg/m3以下である請求項1に記載の真空断熱材である。
【0031】
よって、請求項1に記載の作用に加え、芯材部の嵩密度が150kg/m3以上であるために、本発明のようにアルカリ金属酸化物を多く含むような強度の低いガラスを芯材に適用しても、芯材部は形状が崩れることのないように強度をより向上させることができ、真空断熱材として十分な剛性を備える。また、芯材部の嵩密度が300kg/m3を超えると、芯材固体の占める割合が増加し、固体成分の熱伝導が大きくなるために断熱性能が悪化する。芯材部の嵩密度が150kg/m3未満の場合には、表面の凹凸が顕著に現れ、表面性が悪化し、真空断熱材の品質が悪化する。
【0032】
以上の作用により、本発明の真空断熱材は剛性及び高い断熱性能を有し、取扱い性及び平面性を確保できるために、各機器への適用性が高まる。
【0033】
請求項3に記載の発明は、ガラス組成に少なくとも、アルカリ土類金属酸化物を一種類以上含み、前記アルカリ土類金属酸化物は合計で1重量%以上、30重量%以下の範囲である請求項1または請求項2に記載の真空断熱材である。
【0034】
ガラス組成にアルカリ土類金属酸化物を含むことで、ガラスは耐久性が向上し、特に水分の侵食によるガラス繊維の強度低下を抑制することができる。よって、ガラス繊維の強度をより高め、芯材の剛性を高める作用がある。また、アルカリ土類金属が30重量%を超えると、ガラス化が困難となり、結晶が析出して繊維化が安定して行えなくなる。
【0035】
以上の作用により、本発明の真空断熱材は芯材の剛性を高め、平面性が良好で、取扱い性を向上できる。
【0036】
請求項4に記載の発明は、ガラス組成にTiO2を1重量%以上、20重量%以下の範囲で含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の真空断熱材である。
【0037】
よって、1重量%以上のTiO2をガラス成分に含むことでガラス素材の耐水性が向上し、水分浸食によるガラス繊維の強度低下を抑制することができる。よって、ガラス繊維の強度をより高め、芯材の剛性を高める作用がある。また、20重量%以上のTiO2を含むとガラス化が困難となり、結晶化してしまうためにガラスの繊維化を安定して行うことができなくなるために、この範囲が好ましい。さらに、TiO2を1重量%以上場合に、ガラス素材の熱伝導率も低減できるため、芯材の熱抵抗が増す。
【0038】
以上の作用により、本発明の真空断熱材は芯材の剛性を高め、平面性が良好で、取扱い性を向上できる上に、熱伝導率も改善できる。
【0039】
請求項5に記載の発明は、外包材の内部には水分吸着材を備えてなる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の真空断熱材である。
【0040】
よって、水分吸着材が外包材内部の水蒸気を吸着し、ガラス繊維と水分との接触をさらに小さいものとすることで、水分によるガラスへの侵食を低減することができる。また、端面から経時的に侵入してくる水分をも吸着することで、経時的な水分との接触及び、内圧上昇を抑制し、芯材部の強度低下及び真空断熱材の断熱性能の劣化を防止することも可能である。
【0041】
以上の作用から、本発明の真空断熱材は長期に渡る耐久性をより向上させ、断熱性能の長期信頼性をも同時に向上させることができる。
【0042】
また、本発明で使用できるガラスは、ガラス状態になり得るガラス形成酸化物からなる繊維であればよいが、特に汎用性、環境面を混慮すると、SiO2を主成分とするケイ酸塩系、ホウケイ酸塩系のガラスが好ましい。
【0043】
また、ガラスはアルカリ金属酸化物等の含有量の増加に伴ってガラス化が安定して行えない場合、網目形成酸化物または、Al2O3、ZnO等の中間酸化物を加えることもできるが、特に低粘度特性を示し、かつ耐候性を向上させるために少量のB23を添加してもよい。また、同じく低粘度特性を有するP25を加えると、さらに生分解性が高まり、安全性が増す。
【0044】
また、ガラス材料は経済面、環境面からも天然材料を主原料とすることが好ましく、ガラス成分には不純物によるばらつきは避けられないが、1重量%未満であれば、不純物成分を多数含んでも本発明におけるガラスにおいて特に問題はない。
【0045】
また、本発明の外包材は、プラスチックラミネートフィルムが使用できるが、より高いガスバリア性を付与するためには金属箔や蒸着層が適用できる。なお、金属箔、および蒸着層は公知のもが利用でき、特に指定するものではない。
【0046】
また、本発明で使用できる水分吸着材は特に限定するものではなく、真空断熱材の内部に存在する水蒸気を吸着し、内部雰囲気中の水蒸気量を減少されるものであればよい。一例としては、合成ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタルサイトなどの物理吸着剤、アルカリ金属やアルカリ土類金属単体やその酸化物および水酸化物などの化学吸着剤などが適用可能である。
【0047】
さらに、空気成分が吸着できるゲッター材等を併用することで内部の気体成分の熱伝導を低減して、断熱性能を向上させることが可能である。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0049】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図を示す。
【0050】
図1において、真空断熱材1は、芯材2と水分吸着材3とを外包材4に挿入し、内部を減圧して構成している。
【0051】
真空断熱材1の作製は、芯材2を140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、ラミネートフィルムの三方を熱溶着によりシールして袋状に成形した外包材4に挿入し、減圧チャンバー内で、外包材内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止している。
【0052】
この時、外包材4は、表面保護層としてポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にはアルミ箔(6μm)、熱溶着層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)からなるラミネートフィルムにより構成している。
【0053】
また、水分吸着剤3は、酸化カルシウムを適用している。水分吸着材3がない場合にも特に問題はないが、水分吸着材を備えることで、内部の残存水蒸気を吸着し、ガラス繊維が水分により浸食されること可能性をさらに低減できるだけでなく、端面からの水蒸気侵入による内圧上昇を長期に渡って抑制できる。さらに、ガス吸着材を併用することでより内圧を低減し、断熱性能を高めることも可能である。
【0054】
一方、芯材2は、平均繊維径3.5μのガラス繊維集合体を加圧した状態で加熱し、密度が200kg/m3程度の形状を維持しているボード状のものを用いている。平均繊維径はN=50を顕微鏡で測定した平均値で評価しているが、1μm〜20μmの範囲のものが好ましく、2μm〜10μのものが芯材としての剛性を備え、かつ生産性と熱伝導率の面でより好ましい。
【0055】
また、断熱性能及び取扱い性の面で密封後の芯材部密度は210〜280kg/m3の範囲がより好ましく、240kg/m3となるように作製した。ここではバインダーを用いることなく芯材成形を行っているが、バインダーを用いてより低温で芯材を成形しても良い。
【0056】
また、表面性が問題とならない場合には、ガラス繊維の集合体をそのまま密閉封止しても構わない。その場合には、製造工数が削減するために、生産性が向上する。
【0057】
また、用いたガラス組成及び、ガラス物性の具体的な内容については実施例の中で詳しく説明するが、ガラス物性としてはガラス素材の熱伝導率の測定を行い、このガラスを繊維化したものを積層し、芯材2として作製した真空断熱材1の熱伝導率及び剛性の測定を行った。ここで、ガラス繊維素材とは、繊維を形成するガラス材料自体を意味している。
【0058】
その熱伝導率測定方法は、定常法、非定常法などがあるが、今回は一例として、同組成のガラス繊維を再溶融後に板ガラス状に成形したものを用いて、非定常熱線法により平均約24℃のときの熱伝導率を算出した。
【0059】
また、ガラスの組成については、板ガラス及びガラス繊維それぞれについて成形後の蛍光X線分析による重量比で表示している。
【0060】
尚、芯材2は、減圧封止後にサイズを計測し、開封後に重量測定することで、真空断熱材1の芯材部密度として評価を行っている。この芯材部密度が150kg/m3を下回ると真空断熱材1の剛性が不足し、300kg/m3を超えると芯材2の固体成分による熱伝導が大きくなるために、真空断熱材1の断熱性能が悪化する。
【0061】
真空断熱材1の剛性測定については、常圧下における芯材の厚みを基準に、減圧封止後の厚み圧縮率で評価を行い、真空断熱材の剛性は、長さ120mm×幅25mm×厚み10mmの試験片を作製し、3点曲げ強度における荷重地点から10mm変位時の最大応力をN=5で測定し、平均値1MPa以上で平面性が良好であり、取扱い性・適用性に優れていた。また、これを下回るものは、変形しやすく、平面性が確保できない上に、適用時に折れ曲がりやすい等、取扱い性が大きく低下する。
【0062】
以上のようにして形成した真空断熱材1の熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。結果、熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0011〜0.0017W/mKであり、汎用的な硬質ウレタンフォームの10倍以上、従来の真空断熱材と比較しても2倍近くの断熱性能を有していた。
【0063】
つまり、蛍光X線分析によると重量比で、ガラス繊維の組成においてNa2OやK2Oなどのアルカリ金属酸化物が合計で20〜40%の範囲にあるものについて、断熱性能は良好であり、この範囲の組成からなるガラス繊維について、特に強度でも問題とならなかった。
【0064】
このように、本構成により作製した真空断熱材1は、優れた断熱性能を有している。これは、芯材2に用いたガラス繊維集合体において、ガラス自体の固体熱伝導が低減されているため、従来、真空断熱材の伝熱要素の大部分を占めていた芯材部における固体成分の熱伝導を抑制でき、真空断熱材の断熱性能が改善するものである。
【0065】
また、ここで用いる芯材としてのガラス繊維は、外包材に覆われており、水分吸着材と併用されることにより大気や水蒸気中にさらされることがなく、耐水性を有する必要がないために、アルカリ金属酸化物を添加するなどによりガラス構造の弱い、粘度特性が極めて低いものが適用可能である。よって繊維化に必要な熱エネルギーの低減が実現でき、生産性がより一層高まるという効果がある。
【0066】
更には、高アルカリ含有であるために、ガラスの生分解性が高く、安全性が向上する。
アルカリ金属酸化物成分としては、Na2Oを主成分として用いている。これは、原料が安価であること、また窓ガラスなどのリサイクルガラスを適用できるために好ましい。
【0067】
さらに、K2Oを混合しているが、これは単一のアルカリ金属酸化物成分を添加する場合よりも、粘度特性及び耐水性に優れるためである。また、2重量%程度までであれば、SiO2原料の珪砂が含む不純物として混合が容易であり、生産性がよい。
【0068】
また、ここでの実施の形態においては、B23やAl23を含むものを用いている。これにより耐水性や取り扱い性、及びガラス成形性の機能性が付与されているため、本発明の構成に加えて、これらを適量添加するのが好ましい。
【0069】
さらに、Fe23は不純物として混入しているものであるが、この成分により輻射熱を吸収する効果があり、輻射が大きい温度領域の適用には有用である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例、および比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
ガラス組成は重量比でSiO2が65.3%、Al23が1.0%、B23が3.0%、Na2Oが18.5%、K2Oが1.5%、MgOが2.0%、CaOが7.0%、Fe23が0.3%、その他1.4%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0072】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.93W/mKであり、従来の芯材用ガラス素材よりも低熱伝導率を示していた。
【0073】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmであった。繊維径は細い方が内部の減圧空間を細分化し、気体分子の運動を抑制して気体成分の熱伝導を低減できるため好ましいが、細すぎれば積層体としての強度が低下し、大気圧縮時に減圧空間を保持できない。
【0074】
次に、このガラス素材からなるガラス繊維を芯材とし、水分吸着材を用いることなく真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0017W/mKであった。
【0075】
この時の芯材部の嵩密度は240kg/m3、曲げ強度は1.96MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について優れている。
【0076】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で20重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0077】
(実施例2)
ガラス組成は重量比でSiO2が55.1%、Al23が1.1%、B23が3.2%、Na2Oが27.6%、K2Oが2.2%、MgOが1.8%、CaOが7.0%、Fe2Oが0.2%、その他1.8%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0078】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.78W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0079】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。尚、このとき水分吸着材は適用していない。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0015W/mKであった。
【0080】
この時の芯材部の嵩密度は240kg/m3、曲げ強度は1.88MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について優れている。
【0081】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で29.8重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0082】
(実施例3)
ガラス組成は重量比でSiO2が45.3%、Al23が0.9%、B23が4.5%、Na2Oが38.0%、K2Oが2.0%、MgOが2.0%、CaOが6.2%、Fe2Oが0.3%、その他0.8%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0083】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.63W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0084】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。尚、このとき水分吸着材は適用していない。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0013W/mKであった。
【0085】
この時の芯材部の嵩密度は250kg/m3、曲げ強度は1.18MPaであり、アルカリ金属酸化物の増大により強度は低下しているものの、表面性も良好であり、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について問題ない。
【0086】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で40重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0087】
(実施例4)
ガラス組成は重量比でSiO2が52.6%、Al23が1.2%、B23が7.1%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが2.1%、CaOが5.4%、Fe2Oが0.3%、その他0.7%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0088】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.74W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0089】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は1.0μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。尚、このとき水分吸着材は適用していない。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0016W/mKであった。
【0090】
この時の芯材部の嵩密度は300kg/m3、曲げ強度は1.54MPaであり、表面性も問題ないレベルであったことから、平均繊維径1.0μmにおいても高密度化しすぎることはなく、断熱性能及び、取扱い性について良好であるといえる。
【0091】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で30.6重量%含むときにも、平均繊維径が1.0μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0092】
(実施例5)
ガラス組成は重量比でSiO2が54.3%、Al23が1.0%、B23が5.4%、Na2Oが30.7%、K2Oが0.8%、MgOが1.7%、CaOが5.2%、Fe2Oが0.3%、その他0.6%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0093】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.72W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0094】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は20.0μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。尚、このとき水分吸着材は適用していない。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0017W/mKであった。
【0095】
この時の芯材部の嵩密度は150kg/m3、曲げ強度は1.02MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径20.0μmにおいても低密度化しすぎることはなく、曲げ強度を確保できているために断熱性能に優れ、かつ取扱い性について優れている。
【0096】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で31.5重量%含むときにも、平均繊維径が20.0μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0097】
(実施例6)
ガラス組成は重量比でSiO2が56.8%、Al23が1.0%、B23が5.3%、Na2Oが28.1%、K2Oが1.6%、MgOが2.0%、CaOが5.0%、Fe2Oが0.3%、その他0.3%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0098】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.77W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0099】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。さらに、このとき水分吸着材を適用した。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0013W/mKであった。
【0100】
この時の芯材部の嵩密度は240kg/m3、曲げ強度は2.05MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について優れている。
【0101】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で29.7重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。また、水分吸着材を備えることで、ガラス繊維の水分侵食を抑え、より強度を高めることで、取扱い性の向上し、かつ内圧上昇を抑えることで断熱性能を改善する。
【0102】
(実施例7)
ガラス組成は重量比でSiO2が42.6%、Al23が1.1%、B23が4.9%、Na2Oが19.4%、K2Oが0.6%、MgOが8.7%、CaOが15.3%、BaOが6%、Fe2Oが0.3%、その他1.1%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0103】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.57W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0104】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。さらに、このとき水分吸着材を適用した。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0012W/mKであった。
【0105】
この時の芯材部の嵩密度は240kg/m3、曲げ強度は2.20MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について優れている。
【0106】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で20重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。
【0107】
また、1重量%未満では効果を得られないが、アルカリ土類金属を30重量%含むことにより、水分による強度低下をより抑え、芯材部の強度を高めて表面性及び取扱い性が向上する。さらに、アルカリ土類金属としてはBaOを用いることで、ガラス素材の熱伝導率の低減効果も大きい。
【0108】
(実施例8)
ガラス組成は重量比でSiO2が49.0%、Al23が0.8%、B23が1.2%、Na2Oが30.0%、K2Oが0.6%、MgOが5.1%、CaOが9.8%、Fe2Oが0.3%、TiO2が3.0%、その他0.3%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0109】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.60W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0110】
また、このガラス組成で繊維化を行い、平均繊維径は3.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製した。尚、このとき水分吸着材は適用していない。この真空断熱材の熱伝導率を測定したところ、平均温度24℃にて0.0011W/mKであった。
【0111】
この時の芯材部の嵩密度は230kg/m3、曲げ強度は2.47MPaであり、表面性も良好であったことから、平均繊維径3.5μmのときに断熱性能及び、取扱い性について優れている。
【0112】
よって、本実施例の真空断熱材は、芯材のガラス繊維がアルカリ金属酸化物を合計で30.6重量%含むときにも、平均繊維径が3.5μmであるために芯材部は内部の減圧空間を確保し、優れた断熱性能を有している。さらに、ガラス組成にはTiO2を1重量%以上含むことにより、ガラス素材の耐水性を向上させ、芯材部の強度を高めて表面性及び取扱い性を改善できる。
【0113】
また、TiO2はガラス素材の熱伝導率も低減できるため、真空断熱材の断熱性能はさらに向上する。また、TiO2と同様の効果を得るものとして、ZnOを用いると耐水性をさらに改善できるため、真空断熱材の低密度化、断熱性能の向上が図れる。
【0114】
(比較例1)
ガラス組成は重量比でSiO2が49.8%、Al23が1.5%、B23が3.3%、Na2Oが30.0%、K2Oが1.2%、MgOが4.8%、CaOが8.0%、Fe2Oが0.3%、その他1.1%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0115】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.73W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0116】
しかし、これを繊維化し、平均繊維径が0.8μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製したところ、平均温度24℃にて0.0038W/mKであり、断熱性能は良い値が得られなかった。また、芯材部の密度が350kg/m3と増大し、曲げ強度も2.30MPaと同様に増大した。
【0117】
これは、繊維が細いことによる強度不足から、大気圧縮により芯材部は押し潰されているために、内部の減圧空間を保持できず、多孔性芯材としての機能を失ったためである。
【0118】
よって本比較例の真空断熱材は、アルカリ金属酸化物を31.2重量%含むことでガラス素材熱伝導率は0.73W/mKと従来のガラス素材よりも低減したものの、繊維径が0.8μmであるために芯材の強度不足から高密度化し、内部の固体成分の熱伝導が増したために断熱性能は悪化した。
【0119】
(比較例2)
ガラス組成は重量比でSiO2が47.5%、Al23が1.6%、B23が3.9%、Na2Oが30.2%、K2Oが1.3%、MgOが5.0%、CaOが8.0%、Fe2Oが0.3%、その他0.7%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0120】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は0.73W/mKであり、従来のものよりも低熱伝導率を示していた。
【0121】
しかし、これを繊維化し、平均繊維径が23.5μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製したところ、平均温度24℃にて0.0031W/mKであり、断熱性能は良い値が得られなかった。
【0122】
また、芯材部の密度は140kg/m3と低くなり、曲げ強度も0.4MPaと低下しているため、表面凹凸が顕著となり、折れ易く取扱い性も悪化した。
【0123】
熱伝導率が悪化した原因は、繊維径が大きすぎることで内部の減圧空間が細分化されておらず、気体成分の熱伝導が大きくなったためである。
【0124】
よって本比較例の真空断熱材は、アルカリ金属酸化物を31.5重量%含むことでガラス素材熱伝導率は0.73W/mKと従来のガラス素材よりも低減したものの、繊維径が
23.5μmであるために芯材の低密度化から品質が悪化し、気体成分の熱伝導により断熱性能も悪化した。
【0125】
(比較例3)
ガラス組成は重量比でSiO2が62.5%、Al23が3.5%、B23が4.6%、Na2Oが15.8%、K2Oが0.7%、MgOが3.7%、CaOが7.9%、Fe2Oが0.1%、その他1.1%の多数不純物からなるものを用いて、そのガラス素材の熱伝導率の測定を行った。
【0126】
結果、ガラス素材の24℃の熱伝導率は1.05W/mKであった。
【0127】
これを繊維化し、平均繊維径が0.8μmとなるガラス繊維を芯材として真空断熱材を作製したところ、平均温度24℃にて0.0022W/mKであり、断熱性能は本実施例と比較して良い値が得られなかった。
【0128】
また、曲げ強度は2.10MPa、芯材部密度も250kg/m3と良好な値であったものの、ガラス熱伝導率が1.05W/mKであるために、固体成分の熱伝導が大きいために真空断熱材の断熱性能は良い値が得られなかった。
【0129】
よって本比較例の真空断熱材は、アルカリ金属酸化物を16.5重量%しか含まないことでガラス素材熱伝導率は1.05W/mKであり、従来のガラス素材と同様であるために断熱性能の向上は図れなかった。
【0130】
(比較例4)
ガラス組成は重量比でSiO2が43.6%、Al23が2.2%、B23が3.3%、Na2Oが41.5%、K2Oが0.4%、MgOが2.3%、CaOが5.7%、Fe2Oが0.1%、その他0.8%の多数不純物からなるものを用いて、ガラスを作製しようとした場合、そのガラスは失透し、結晶化していた。
【0131】
そのため、これを連続的に繊維化することは不可能であり、真空断熱材用の芯材に適用できなかった。
【0132】
(比較例5)
ガラス組成は重量比でSiO2が37.0%、Al23が1.7%、B23が3.2%、Na2Oが28.0%、K2Oが0.8%、MgOが2.2%、CaOが5.0%、Fe2Oが0.1%、TiO2が21.3%、その他0.8%の多数不純物からなるものを用いて、ガラスを作製しようとした場合、そのガラスは失透し、結晶化していた。
【0133】
そのため、これを連続的に繊維化することは不可能であり、真空断熱材用の芯材に適用できなかった。
【0134】
なお、実施例1〜9、および比較例1〜5の結果について(表1)にまとめた。
【0135】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0136】
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、芯材に用いるガラス素材の熱伝導率を低減し、固体成分の熱伝導を著しく低減できることから、従来の断熱材よりも優れた断熱性能を有するものであるとともに、製造時の熱エネルギーを大幅に低減し、より安全性の高いものである。
【0137】
その結果、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとする断熱を要する機器に利用することが可能となり、建材等の熱や冷熱から保護すべき物象などのあらゆる断熱、遮熱用途や、熱害対策用途等に適用することで省エネルギー化に貢献できる。
【0138】
なお、本発明における真空断熱材はあらゆる機器への適用が可能であり、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、野菜保冷庫、および米保冷庫等の作動温度帯である−30℃から常温、更には自動販売機、給湯タンク等のより高温までの範囲で温冷熱を利用した電気、ガス機器や一般住宅等の建材など、断熱を要する部分を含むものに適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図
【符号の説明】
【0140】
1 真空断熱材
2 芯材
3 水分吸着材
4 外包材




 

 


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