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発明の名称 冷媒圧縮機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9862(P2007−9862A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−194588(P2005−194588)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 太田 年彦
要約 課題
吐出リードやスプリングリードの浮きが生じないことで圧縮効率が高く騒音レベルばらつきの小さい冷媒圧縮機を提供すること。

解決手段
吐出弁装置119のストッパ132は板ばね材から形成され、かしめピン133により固定されたストッパ固定部138近傍の略クランク形状のストッパ折り曲げ部137を有するとともに凹部124に設けた当接部128に反ストッパ固定部138側の端部を当接させることでストッパ132と凹部124底面との所定の隙間を確保しているもので組み立て精度が高くでき、また、吐出リード129の浮きが発生しないので圧縮効率が高く騒音レベルばらつきが少ない。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動モータと、前記電動モータによって駆動される圧縮要素と、前記電動モータと前記圧縮要素とを収容するとともにオイルを貯留する密閉容器とを備え、前記圧縮要素はピストンを収容したシリンダと、前記シリンダの開口端を封止するとともに反シリンダ側に吐出弁装置を形成したバルブプレートを備え、前記吐出弁装置は前記バルブプレートに穿設した吐出孔と、前記吐出孔を囲うように前記バルブプレートの反シリンダ側に形成した吐出弁座と、前記バルブプレートの反シリンダ側に形成した固定台座部と、前記固定台座部に一端が固定され、前記吐出弁座を開閉する開閉部を有する吐出リードと、前記吐出リードの反バルブプレート側に配置され前記吐出リードの開閉部と所定の隙間を保持したストッパを有するとともに、前記ストッパは板ばね材から形成され、一端を前記吐出リード固定端部とともに前記バルブプレートの前記固定台座部に固定し、他端を前記バルブプレートに形成した当接部に当接させた冷媒圧縮機。
【請求項2】
ストッパを、吐出リードとの間にスペーサを介在させて固定した請求項1に記載の冷媒圧縮機。
【請求項3】
バルブプレートを焼結金属から形成するとともに、前記バルブプレートに設けた当接部及び固定台座部を焼結金属素材面にて形成した請求項1または2に記載の冷媒圧縮機。
【請求項4】
圧縮要素にはシリンダに連通する消音空間を備えたサクションマフラーを含み、前記サクションマフラーに設けた吸入口は密閉容器に取り付けた吸入管の開口端に対向して開口するか、あるいは吸入管の開口端と連通する請求項1から3のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
【請求項5】
圧縮する冷媒をハイドロカーボンとし、オイルを鉱油またはアルキルベンゼンとした請求項1から4のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍冷蔵装置等に用いられる冷媒圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷媒圧縮機としては、運転時の騒音のばらつきを低減させるとともに、吐出リードの開閉時における損失を低減させることでエネルギ効率を向上させる吐出弁装置を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷媒圧縮機を説明する。
【0004】
図9は、特許文献1に記載された従来の冷媒圧縮機の縦断面図、図10は、特許文献1に記載された従来の冷媒圧縮機の平面断面図、図11は、特許文献1に記載された従来の冷媒圧縮機の要部拡大図を示すものである。
【0005】
図9から11において、密閉容器1にオイル2を収納するとともに密閉容器1内に開口する吸入管3および密閉容器1に取り付けられた吐出管15が固定されている。また、密閉容器1内には電動モータ4およびこれによって駆動される圧縮要素5が収容される。
【0006】
圧縮要素5はコンロッド6を介してシャフト7に連結されたピストン8が往復動するシリンダ9と、シリンダ9の開口端に配設され反シリンダ9側に吐出弁装置10を有するとともにシリンダ9内と連通する吸入バルブ11を備えたバルブプレート12と、サクションマフラー13と、吐出弁装置10を密閉封止するシリンダヘッド14と、シリンダヘッド14と吐出管15を連通する吐出連通管16とを備えている。
【0007】
サクションマフラー13は消音空間17の一端を吸入バルブ11に連通するとともに他端を密閉容器1に取り付けた吸入管3に近接対向し開口している。
【0008】
吐出弁装置10はバルブプレート12に穿設した吐出孔18を囲うようにバルブプレート12の反シリンダ9側の凹部19に設けた吐出弁座20と、凹部19の反吐出弁座20側に形成した固定台座部21と、固定台座部21に一端が固定され吐出弁座20を開閉する開閉部22を有する吐出リード23と、吐出リード23とともにスプリングリード24を狭持して固定台座部21に固定されるストッパ25とを有している。
【0009】
スプリングリード24はスプリングリード固定部26近傍の折り曲げ部27によりストッパ25及び吐出リード23と所定の隙間を保持している。固定台座部21に固定されたストッパ25はスプリングリード24と所定の隙間を保持したまま反固定台座部21側の端部をバルブプレート12の当接部28に当接している。
【0010】
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0011】
電動モータ4によってシャフト7の回転がコンロッド6に伝わりピストン8が往復運動することで外部冷却回路(図示せず)から流れてきた冷媒は、吸入管3を介して一旦密閉容器1内に開放されてからサクションマフラー13内に吸入され、吸入バルブ11を通ってシリンダ9内に間欠的に吸入される。
【0012】
シリンダ9内に吸入された冷媒は、ピストン8で圧縮され、バルブプレート12の吐出孔18を介して吐出リード23の開閉部22を押し開くことでシリンダヘッド14に一旦開放された後、吐出連通管16と吐出管15を介して再び外部冷却回路(図示せず)へと吐出される。
【0013】
ストッパ25は反固定弁座部21側の端部がバルブプレート12の当接部28と当接し、かつ、スプリングリード24の折り曲げ部27の折り曲げ角度を厳しく管理することによりスプリングリード24とストッパ25及び吐出リード23との隙間を精度よく一定に管理している。
【特許文献1】特開2004−218537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の構成では、ストッパ25とスプリングリード24と吐出リード23をバルブプレート12の固定台座部21に固定した時、ストッパ25の反固定台座部21側の端部をバルブプレート12の当接部28に当接し、端部と当接部28との干渉によるストッパ25の変形により端部と当接部28の間に隙間ができないように構成しているので、ストッパ25の変形のもととなる固定による押さえつけ力の分力がストッパ25からバルブプレート12の当接部28に働くので吐出リード23は固定台座部21に均等に押し付けられない。
【0015】
その結果、吐出リード23に浮きが発生し吐出リード23の開閉部22と吐出弁座20に隙間が生じ、冷媒ガスの逆流による圧縮効率の低下が生ずると言った課題を有していた。
【0016】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、吐出リード23の浮きを防ぎ、圧縮効率が高く騒音レベルばらつきの小さい冷媒圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記従来の課題を解決するために本発明の冷媒圧縮機は、ストッパは板ばね材から形成され、一端を吐出リード固定端部とともにバルブプレートの固定台座部に固定し、他端を前記バルブプレートに形成した当接部に当接させたことにより吐出リードの浮きが発生しないという作用を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の冷媒圧縮機は、組み立て精度が高い吐出弁装置により圧縮効率が高く騒音レベルばらつきが少ない、冷媒圧縮機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
請求項1に記載の発明は、電動モータと、前記電動モータによって駆動される圧縮要素と、前記電動モータと前記圧縮要素とを収容するとともにオイルを貯留する密閉容器とを備え、前記圧縮要素はピストンを収容したシリンダと、前記シリンダの開口端を封止するとともに反シリンダ側に吐出弁装置を形成したバルブプレートを備え、前記吐出弁装置は前記バルブプレートに穿設した吐出孔と、前記吐出孔を囲うように前記バルブプレートの反シリンダ側に形成した吐出弁座と、前記バルブプレートの反シリンダ側に形成した固定台座部と、前記固定台座部に一端が固定され、前記吐出弁座を開閉する開閉部を有する吐出リードと、前記吐出リードの反バルブプレート側に配置され前記吐出リードの開閉部と所定の隙間を保持したストッパを有するとともに、前記ストッパは板ばね材から形成され、一端を前記吐出リード固定端部とともに前記バルブプレートの前記固定台座部に固定し、他端を前記バルブプレートに形成した当接部に当接させたもので、ストッパと吐出リードをバルブプレートの固定台座に固定した場合にストッパの一端がバルブプレートの当接部に当接することでストッパと吐出リードに所定の隙間が精度よく確保され、ストッパにばね性を有するためストッパから当接部に働く固定力の分力をストッパの微小な変形により吸収することで固定台座部への固定力が均等になるので吐出リードが吐出弁座から浮き上がることがなく、シリンダより吐出した冷媒ガスの逆流が発生することなく圧縮効率が高い冷媒圧縮機を提供できる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、ストッパを、吐出リードとの間にスペーサを介在させて固定したもので、折り曲げ加工のないストッパをバルブプレートの当接部に当接させることにより吐出リードとの所定の隙間が精度よく確保できるほか折り曲げ加工を省略できるので、請求項1に記載の効果に加えてさらに圧縮効率と騒音ばらつきが少なく、しかも安価な冷媒圧縮機を提供することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明に加えて、バルブプレートを焼結金属から形成するとともに、前記バルブプレートに設けた当接部及び固定台座部を焼結金属素材面にて形成したもので、金型の高精度な形状を固定台座部と当接部の段差として反映させることができ、吐出リードとストッパとの所定の隙間が精度よく確保できるので請求項1または請求項2に記載の効果に加えてさらに圧縮効率と騒音ばらつきの少ない冷媒圧縮機を提供することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明に加えて、圧縮要素にはシリンダに連通する消音空間を備えたサクションマフラーを含み、前記サクションマフラーに設けた吸入口は密閉容器に取り付けた吸入管の開口端に対向して開口するか、あるいは吸入管の開口端と連通したもので、外部冷却回路(図示せず)から流れてきた冷媒が熱を受けることなくシリンダに吸入されるので請求項1から3のいずれか一項に記載の効果に加えてさらに圧縮効率が高くなり、一方、外部冷却回路から液バックした液冷媒の圧縮が発生しやすいえ構造であるが、吐出孔から噴出した液冷媒により一旦変形したストッパはそのばね性により直ちに初期の形状に戻るため、故障のない信頼性の高い冷媒圧縮機を提供することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明に加えて、圧縮する冷媒をハイドロカーボンとし、オイルを鉱油またはアルキルベンゼンとしたもので、通常、フォーミング現象が発生しやすいオイルと冷媒の組み合わせにあって液圧縮が頻繁に発生する場合でも吐出孔から勢いよく噴出した液冷媒とオイルの混合液により一旦変形したストッパはそのばね性により初期の形状に戻るため、故障のない信頼性の高い冷媒圧縮機を提供することができる。
【0024】
以下、本発明による冷媒圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による冷媒圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態の冷媒圧縮機の平面断面図、図3は、同実施の形態の冷媒圧縮機の要部拡大断面図、図4は、同実施の形態の冷媒圧縮機の分解斜視図である。
【0026】
図1から図4において、密閉容器101は外部冷却回路(図示しない)と連結される吐出管102と吸入管103を備えており、底部に鉱油からなるオイル104を貯溜すると共に、内部はR600a等のハイドロカーボンからなる冷媒105で満たされている。また密閉容器101は固定子106と回転子107とからなる電動モータ108及びこれによって駆動される圧縮要素109を収容している。
【0027】
次に圧縮要素109の構成について説明する。
【0028】
圧縮要素109は、電動モータ108の回転子107に挿入固定されるシャフト110と、シャフト110を回転自在に軸支するとともに圧縮室111を形成するシリンダ112を形成したシリンダーブロック113を備えている。またシリンダ112内にはピストン114が挿入され、シャフト110とピストン114はコンロッド115で連結されている。
【0029】
シリンダ112の開口端に配設され焼結金属からなるバルブプレート116にはシリンダ112内と連通する吸入バルブ117とバルブプレート116の反シリンダ112側にシリンダヘッド118に封止される吐出弁装置119を設けてある。
【0030】
サクションマフラー120は樹脂で形成され、消音空間121の一端を吸入バルブ117に連通するとともに、消音空間121に連通した吸入口122が密閉容器101に取り付けた吸入管103の開口端123に近接対向し開口している。
【0031】
次に吐出弁装置119の構成について説明する。
【0032】
バルブプレート116の反シリンダ112側には凹部124が形成されており、凹部124の底には吐出孔125が穿設されるとともに、吐出孔125を囲うように吐出弁座126が形成されている。さらに凹部124の底には吐出弁座126と同じ高さの固定台座部127を形成し、また吐出孔125を挟んで固定台座部127の反対側に固定台座部127より浅い当接部128を形成している。
【0033】
固定台座部127及び当接部128は同じ焼結金型によって形成され、表面は焼結金属の素材面のままで追加工はしていない。固定台座部127にはピン孔129が穿設され、吐出リード130、スプリングリード131、ストッパ132がこの順に積層され、ピン孔129にかしめピン133によって固定される。
【0034】
吐出リード130は板ばね材から形成され、吐出弁座126を開閉する開閉部134を有する。スプリングリード131も同様に板ばね材から形成され、スプリングリード固定部135近傍のスプリングリード折り曲げ部136において折曲整形され、吐出リード130とストッパ132の間で所定の隙間を確保している。
【0035】
ストッパ132は板ばね材から形成され、ストッパ折り曲げ部137で略クランク形状に折曲整形され、ストッパ固定部138及び規制部139を設けてある。またストッパ132をストッパ固定部138において固定台座部127にかしめピン133によって固定することで、規制部139の端部が当接部128に当接され、ストッパ132と凹部124底面との所定の隙間を確保している。
【0036】
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
電動モータ108によって圧縮要素109が駆動され、電動モータ108の回転子107とともにシャフト110が回転し、コンロッド115を介してピストン114がシリンダ112内で往復動することで、外部冷却回路(図示せず)から流れてきたハイドロカーボンからなる冷媒105は、吸入管103を通って直接サクションマフラー120へ吸入され、消音空間121から吸入バルブ117よりシリンダ112の圧縮室111へと流入する。
【0038】
圧縮室111内へ流入した冷媒105は、その後シリンダ112内を往復運動するピストン114によって圧縮され、吐出弁装置119を通って一旦はシリンダヘッド118内に開放されるが、その後、吐出管102より再び外部冷却回路(図示せず)へと吐出される。この際、吸入管103から流入した冷媒105はサクションマフラー120に直接吸い込まれるいわゆる直吸い方式となるので電動モータ108からの熱をあまり受けることなく圧縮室111に到達することとなり圧縮効率を高くすることができる。
【0039】
圧縮室111からシリンダヘッド118に吐出される冷媒105は圧縮室111の圧力上昇により吐出リード130を押し開くことによって断続的にシリンダヘッド118に流入する。
【0040】
この際、吐出リード130が開く初期には吐出リード130とスプリングリード131との所定の隙間が確保されているので吐出リード130だけが開くことになり、より低い圧縮室111内圧力により開くことが可能となるので圧縮に伴う入力損失が低減できる。
【0041】
圧縮工程の中期では、圧縮室111から噴出する冷媒105により吐出リード130とスプリングリード131とが密着した状態でストッパ132に当接することで吐出孔125の開口面積を最大化しながら吐出リード130とスプリングリード131の折損を防いでいる。また、圧縮工程が終了し吐出リード130が閉じる場合には吐出リード130の復元力に加えスプリングリード131の復元力によっても吐出リード130が閉じることとなり、吐出リード130の閉じ遅れが軽減されることでシリンダヘッド118へ吐出された冷媒105が圧縮室111へ逆流することが防止される。
【0042】
次に吐出弁装置119の作用について説明する。
【0043】
吐出弁装置119の組み立て時にストッパ132がかしめピン133によりバルブプレート116に固定されると同時に一端がバルブプレート116の当節部128に当接することで、スプリングリード131とストッパ132の規制部139との間には所定の隙間が確保される。
【0044】
この隙間は固定台座部127と当節部128との位置で規定されるが固定台座部127及び当接部128は同じ焼結金型によって形成され、表面は焼結金属の素材面のままで追加工はしていないため、高精度の焼結金型の寸法がそのままストッパ132とバルブプレート116の隙間として反映されるため寸法のばらつきが小さく極めて高い寸法精度が得られる。
【0045】
その結果、吐出リード130の開き量や閉じ遅れ時間に対するばらつきが極めて小さくなり、最適な開き量や閉じ遅れ時間を得ることができるので、圧縮効率が高められるだけでなく騒音レベルばらつきの極小化が図られている。
【0046】
一方、ストッパ132はかしめピン133によって固定台座部127に固定される時、一端が当接部128と干渉することでストッパ132を変形させながら当接部128との隙間をなくすこととなるが、ストッパ132は板ばね材から形成されているため剛性が低く、従ってかしめピン133をかしめることによって生じるストッパ132を変形させるかしめ力の分力が当接部128に加わったとしてもストッパ132には微小な弾性変形が生じることでバルブプレート116の当接部128へのかしめ力の分力が軽減される。
【0047】
その結果、かしめピン133の押さえつけ力が均等にストッパ固定部138に働くこととなり、かしめピン133の浮き上がりや、吐出リード130やスプリングリード131の浮き上がりをほとんど無くすことができる。その結果、吐出リード130が吐出弁座126から浮き上がることがないのでシリンダヘッド118からの冷媒105の逆流が防止されることで高性能な冷媒圧縮機が提供できる。
【0048】
また、スプリングリード131の浮き上がりをほとんど無くすことができ、スプリングリード131とストッパ132の規制部139との間に設定した所定の隙間が確保できることで、圧縮効率が高められ、騒音レベルばらつきを極小化できる。
【0049】
次に本実施の形態における冷媒圧縮機が液圧縮を起こした場合について説明する。
【0050】
サクションマフラー120は消音空間121に連通した吸入口122を密閉容器101に取り付けた吸入管103の開口端123に近接対向し開口しているため、冷凍サイクルシステムから気化していない液の状態で冷媒105が戻ってきた場合にこの液の状態の冷媒105が圧縮室111に吸引され、これを圧縮することがある。
【0051】
また、ハイドロカーボンなどの冷媒105においては鉱油などのオイル104との相溶性が高く、冷媒圧縮機の停止時にオイル104に溶け込んだ冷媒105が冷媒圧縮機の起動初期に急激に発泡する現象が起こることがある。そして発泡したオイル104は冷媒105とともに直接サクションマフラー120へ吸入され、消音空間121から吸入バルブ117よりシリンダ112の圧縮室111へと流入し、これを圧縮することがある。
【0052】
その結果、液の状態の冷媒105やオイル104を含んだ冷媒105が吐出孔125から勢いよく噴出し、ストッパ132を反バルブプレート116側へと大きく変形させてしまう。
【0053】
しかしながら、ストッパ132は板ばね材から形成されているため、ストッパ132の変形は弾性変形となるため、液圧縮が終了し、通常のガス冷媒を圧縮する状態に戻ると同時にストッパ132は初期の形状に復帰する。従って、液圧縮を起こしても故障しにくい、信頼性の高い冷媒圧縮機を提供できる。
【0054】
なお、本実施の形態ではサクションマフラー120は消音空間121に連通した吸入口122を密閉容器101に取り付けた吸入管103の開口端123に近接対向し開口しているものを例示したが、吸入口122と吸入管103の開口端123が直接連通したものにおいても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0055】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2による冷媒圧縮機の縦断面図、図6は、同実施の形態の冷媒圧縮機の平面断面図、図7は、同実施の形態の冷媒圧縮機の要部拡大断面図、図8は、同実施の形態の冷媒圧縮機の分解斜視図である。
【0056】
図5から図8において、密閉容器201は外部冷却回路(図示しない)と連結される吐出管202と吸入管203を備えており、底部に鉱油からなるオイル204を貯溜すると共に、内部はR600a等のハイドロカーボンからなる冷媒205で満たされている。また密閉容器201は固定子206と回転子207とからなる電動モータ208及びこれによって駆動される圧縮要素209を収容している。
【0057】
次に圧縮要素209の主な構成について説明する。
【0058】
圧縮要素209は、電動モータ208の回転子207に挿入固定されるシャフト210と、シャフト210を回転自在に軸支するとともに圧縮室211を形成するシリンダ212を形成したシリンダーブロック213を備えている。またシリンダ212内にはピストン214が挿入され、シャフト210とピストン214はコンロッド215で連結されている。
【0059】
シリンダ212の開口端に配設され焼結金属からなるバルブプレート216にはシリンダ212内と連通する吸入バルブ217とバルブプレート216の反シリンダ212側にシリンダヘッド218に封止される吐出弁装置219を設けてある。
【0060】
サクションマフラー220は樹脂で形成され消音空間221の一端を吸入バルブ217に連通するとともに、消音空間221に連通した吸入口222が密閉容器201に取り付けた吸入管203の開口端223に近接対向し開口している。
【0061】
次に吐出弁装置219の構成について説明する。
【0062】
バルブプレート216の反シリンダ212側には凹部224が形成されており、凹部224の底には吐出孔225が穿設されるとともに、吐出孔225を囲うように吐出弁座226が形成されている。さらに凹部224の底には吐出弁座226と同じ高さの固定台座部227を形成し、また吐出孔225を挟んで固定台座部227の反対側に固定台座部227より浅い当接部228を形成している。
【0063】
固定台座部227及び当接部228は同じ焼結金型によって形成され、表面は焼結金属の素材面のままで追加工はしていない。固定台座部227にはピン孔229が穿設され、吐出リード230、スプリングリード231、スペーサ232、ストッパ234がこの順に積層され、ピン孔229にかしめピン235によって固定される。
【0064】
吐出リード230は板ばね材から形成され、吐出弁座226を開閉する開閉部236を有する。スプリングリード231も同様に板ばね材から形成され、スプリングリード固定部237近傍のスプリングリード折り曲げ部238において折曲整形され、吐出リード230とストッパ234の間で所定の隙間を確保している。
【0065】
ストッパ234は平板状の板ばね材から形成され、ストッパ固定部239及び規制部240を設けてある。また、ストッパ234をストッパ固定部239において固定台座部227にかしめピン235によって固定する時ストッパ固定部239とスプリングリード固定部237の間にスペーサ232を狭持することで、ストッパ234と凹部224底面との所定の隙間を確保するとともに規制部240の端部が当接部228に当接している。
【0066】
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
【0067】
電動モータ208によって圧縮要素209が駆動され、電動モータ208の回転子207とともにシャフト210が回転し、コンロッド215を介してピストン214がシリンダ212内で往復動することで、外部冷却回路(図示せず)から流れてきたハイドロカーボンからなる冷媒205は、吸入管203を通って直接サクションマフラー220へ吸入され、消音空間221から吸入バルブ217よりシリンダ212の圧縮室211へと流入する。
【0068】
圧縮室211内へ流入した冷媒205は、その後シリンダ212内を往復運動するピストン214によって圧縮され、吐出弁装置219を通って一旦はシリンダヘッド218内に開放されるが、その後、吐出管202より再び外部冷却回路(図示せず)へと吐出される。この際、吸入管203から流入した冷媒205はサクションマフラー220に直接吸い込まれるいわゆる直吸い方式となるので電動モータ208からの熱をあまり受けることなく圧縮室211に到達することとなり圧縮効率を高くすることができる。
【0069】
圧縮室211からシリンダヘッド218に吐出される冷媒205は圧縮室211の圧力上昇により吐出リード230を押し開くことによって断続的にシリンダヘッド218に流入する。
【0070】
この際、吐出リード230が開く初期には吐出リード230とスプリングリード231との所定の隙間が確保されているので吐出リード230だけが開くことになり、より低い圧縮室211内圧力により開くことが可能となるので圧縮に伴う入力損失が低減できる。
【0071】
圧縮工程の中期では、圧縮室211から噴出する冷媒205により吐出リード230とスプリングリード231とが密着した状態でストッパ234に当接することで吐出孔225の開口面積を最大化しながら吐出リード230とスプリングリード231の折損を防いでいる。また、圧縮工程が終了し吐出リード230が閉じる場合には吐出リード230の復元力に加えスプリングリード231の復元力によっても吐出リード230が閉じることとなり、吐出リード230の閉じ遅れが軽減されることでシリンダヘッド218へ吐出された冷媒205が圧縮室211へ逆流することが防止される。
【0072】
次に吐出弁装置の作用について説明する。
【0073】
吐出弁装置219の組み立て時にストッパ234がかしめピン235によりスペーサ232を介してバルブプレート216に固定されると同時に一端がバルブプレート216の当節部228に当接することで、スプリングリード231とストッパ234の規制部240との間には所定の隙間が確保される。
【0074】
この隙間は、固定台座部227と当接部228との位置で規定されるが固定台座部227及び当接部228は同じ焼結金属によって形成され、表面は焼結金属の素材面のままで追加工はしていないため、高精度の焼結金型の寸法がそのままストッパ234とバルブプレート216の隙間として反映されるため寸法のばらつきが小さく極めて高い寸法精度が得られる。また、ストッパ234とスプリングリード231の間にスペーサ232を狭持することでストッパ234と凹部224底面との所定の隙間を確保することにより寸法管理の困難な板ばね材の折曲整形が省けることで組み立て時に高い精度を保つことができる。
【0075】
その結果、吐出リード230の開き量や閉じ遅れ時間に対するばらつきが極めて小さくなり、最適な開き量や閉じ遅れ時間を得ることができるので、圧縮効率が高められるだけでなく騒音ばらつきの極小化が図られている。
【0076】
一方、ストッパ234はかしめピン235によって固定台座部227に固定される時、一端が当接部228と干渉することでストッパ234を変形させながら当接部228との隙間をなくすこととなるが、ストッパ234は板ばね材から形成されているため剛性が低く、従ってかしめピン235をかしめることによって、ストッパ234を変形させるかしめ力の分力が当接部228に加わったとしてもストッパ234には微小な弾性変形が生じることでバルブプレート216の当接部228へのかしめ力の分力が軽減される。
【0077】
その結果、かしめピン235の押さえつけ力が均等にストッパ固定部239に働くこととなり、かしめピン235の浮き上がりや、吐出リード230やスプリングリード231の浮き上がりをほとんど無くすことができる。その結果、吐出リード230が吐出弁座226から浮き上がることがないのでシリンダヘッド218からの冷媒205の逆流が防止されることで高性能な冷媒圧縮機が提供できる。
【0078】
また、スプリングリード231の浮き上がりをほとんどなくすことができ、スプリングリード231とストッパ234の規制部240との間に設定した所定の隙間が確保できることで、圧縮効率が高められ、騒音レベルばらつきも極小化できる。
【0079】
次に本実施の形態における冷媒圧縮機が液圧縮を起こした場合について説明する。
【0080】
サクションマフラー220は消音空間221に連通した吸入口222を密閉容器201に取り付けた吸入管203の開口端223に近接対向し開口しているため、冷凍サイクルシステムから気化していない液の状態で冷媒205が戻ってきた場合にこの液の状態の冷媒205が圧縮室211に吸引され、これを圧縮することがある。
【0081】
また、ハイドロカーボンなどの冷媒205においては鉱油などのオイル204との相溶性が高く、冷媒圧縮機の停止時にオイル204に溶け込んだ冷媒205が冷媒圧縮機の起動初期に急激に発泡する現象が起こることがある。そして発泡したオイル204は冷媒205とともに直接サクションマフラー220へ吸入され、消音空間221から吸入バルブ217よりシリンダ212の圧縮室211へと流入し、これを圧縮することがある。
【0082】
その結果、液状態の冷媒205やオイル204を含んだ冷媒205が吐出孔225から勢いよく噴出し、ストッパ234を反バルブプレート216側へと大きく変形させてしまう。
【0083】
しかしながら、ストッパ234は板ばね材から形成されているため、ストッパ234の変形は弾性変形となるため、液圧縮が終了し、通常のガス冷媒を圧縮する状態に戻ると同時にストッパ234は初期の形状に復帰する。従って、液圧縮を起こしても故障しにくい、信頼性の高い冷媒圧縮機を提供できる。
【0084】
なお、本実施の形態ではサクションマフラー220は消音空間221に連通した吸入口222を密閉容器201に取り付けた吸入管203の開口端223に近接対向し開口しているものを例示したが、吸入口222と吸入管203の開口端223が直接連通したものにおいても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかる冷媒圧縮機は、外部冷却回路からの液冷媒やオイルの戻りが多い場合でも、また、冷媒圧縮機の停止中のオイル中への液冷媒の溶解量が多い場合でも故障の無い高い信頼性を備えた冷媒圧縮機を提供することができるので、空調用、業務用大型冷凍冷蔵機器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の平面断面図
【図3】本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の要部拡大断面図
【図4】本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態2における冷媒圧縮機の縦断面図
【図6】本発明の実施の形態2における冷媒圧縮機の平面断面図
【図7】本発明の実施の形態2における冷媒圧縮機の要部拡大断面図
【図8】本発明の実施の形態2における冷媒圧縮機の分解斜視図
【図9】従来の冷媒圧縮機の縦断面図
【図10】従来の冷媒圧縮機の平面断面図
【図11】従来の冷媒圧縮機の要部拡大断面図
【符号の説明】
【0087】
101,201 密閉容器
103,203 吸入管
104,204 オイル
105,205 冷媒
108,208 電動モータ
109,209 圧縮要素
112,212 シリンダ
114,214 ピストン
116,216 バルブプレート
119,219 吐出弁装置
120,220 サクションマフラー
121,221 消音空間
122,222 吸入口
123,223 開口端
125,225 吐出孔
126,226 吐出弁座
127,227 固定台座部
128,228 当接部
130,230 吐出リード
132,234 ストッパ
134,236 開閉部
232 スペーサ




 

 


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