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発明の名称 インペラ及びそれを備えた送風ファン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9831(P2007−9831A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193381(P2005−193381)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 高原 一郎
要約 課題
ブレード部の内周側で空気を取りこみやすく、吸気した空気を円滑に遠心方向に送り出し吸気効率を高めると共に、ブレード部先端における空気を離脱しやすくすることでファン騒音を抑制し、従来の送風ファンに比べ同一のファン騒音レベルで高風量、高静圧を得られるインペラ及びそれを備えた送風ファンの提供を目的とする。

解決手段
本発明のインペラ1は、円筒状のボス部2と、ボス部2の外周面から略放射状に延びる複数のブレード部3とを備えた遠心型の送風ファンのインペラ1であって、ブレード部3が、ボス部2の外周面から延びインペラ1の回転方向前方からみて凹状に湾曲し回転方向の入口角を有する前進翼部4と、前進翼部4の外周側端部から延びインペラ1の回転方向前方からみての凸状に湾曲した後退翼部5とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
円筒状のボス部と、前記ボス部の外周面から略放射状に延びる複数のブレード部とを備えた遠心型の送風ファンのインペラであって、前記ボス部の外周面と前記ブレード部の接続部において鈍角を形成する側を回転方向とし、前記ブレード部が、前記ボス部の外周面より延び回転方向前方からみて凹状に湾曲し回転方向の入口角を有する前進翼部と、前記前進翼部の外周側端部より延び回転方向前方からみて凸状に湾曲した後退翼部とを備えたことを特徴とするインペラ。
【請求項2】
前記インペラの前記前進翼部の入口角を0°〜38°としたことを特徴とする請求項1記載のインペラ。
【請求項3】
前記インペラの前記後退翼部の出口角を32°〜58°としたことを特徴とする請求項1記載のインペラ。
【請求項4】
前記インペラの前記前進翼部の出口角を60°〜84°としたことを特徴とする請求項1記載のインペラ。
【請求項5】
前記前進翼部と前記後退翼部の長さの比が1:1.2〜6.8であることを特徴とする請求項1記載のインペラ。
【請求項6】
扁平状のファンケーシングと、前記ファンケーシングの上壁または底壁のうち少なくともいずれか一方に形成した吸気口と、前記ファンケーシングの側壁に形成した排気口と、前記ファンケーシングの内部に配設した請求項1から5いずれか1項に記載のインペラと、前記インペラの回転駆動部とを備えたことを特徴とする送風ファン。
【請求項7】
前記ファンケーシングの上壁または底壁の少なくともその一方に形成した吸気口を略円形状に形成し、前記吸気口の周縁部が前記インペラの前記前進翼部と前記後退翼部とを接続する変曲部または前記後退翼部に対向するように形成したことを特徴とする請求項6記載の送風ファン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心型の送風ファンに用いられるインペラ及びそれを備えた送風ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器において小型化、薄型化が求められている。一方で、電子機器の多機能化も進み、電子機器の筐体の内部においては中央処理装置(以下CPUと称する)などの発熱電子部品の駆動周波数が高速化、または電子回路が高密度、高集積化することにより、それらの発熱量は急速に増大する傾向にある。このため、それら発熱電子部品の冷却や他の駆動回路基板や電源基板などの発熱電子部品を冷却するために、それらから発生した熱を電子機器の筐体の外部に効率的に放熱することがより強く求められている。
【0003】
CPUなどの発熱電子部品を冷却するために、電子機器の筐体の内部にある空気を筐体の外部に排気し筐体の内部で発生した熱を外部に放出するものとしては、一般的に送風ファンが広く用いられている。電子機器の筐体の内部は高密度に電子部品が実装配置されていることから、このような用途に用いられる送風ファンは、小型或いは薄型であることが要求されている。そこで、このような小型或いは薄型に対応した従来の送風ファンの事例としては、(特許文献1)に開示されたような遠心型の送風ファンが広く用いられている。その送風ファンについて、図12を用いて説明する。図12は、従来の送風ファンの分解斜視図である。
【0004】
回転軸100の一方端に結合されたインペラ101は、円筒形状のボス部107とボス部107の外周面107aの周方向に一定の間隔で略放射状に配置されたブレード部108を有しており、全体として回転駆動部を形成するボビン型巻線102と複数個の磁極片103を有するステータヨーク104と回路基板109とを備えたステータ105の外周及び上部を覆うように配置し内側にマグネット106を設け、回転時にはそのインペラ101が回転軸100の軸方向の両方向または片方向より吸気し、インペラ101の回転軸100に直交する遠心方向へ送風の方向を変化させて、冷却しようとする発熱電子部品や発熱電子部品と熱的に接続された放熱フィン(図示せず)などの放熱部が配置された方向に送風するものである。回転軸100の略遠心方向に空気を送風するため、CPUなどの発熱電子部品、またはその発熱電子部品と熱接続された放熱フィンなどの放熱部に比較的容易に近接した状態で側方に並べて配置して用いることができるので、特に電子機器の筐体の内部に空きスペースが少ない小型或いは薄型の電子機器の場合にはよく用いられる。
【特許文献1】特開2002−315289号公報(第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の小型或いは薄型の電子機器に対応した送風ファンのインペラのブレード部形状は、通常、単純な直線形状またはゆるやかな弓形形状である。ここで、送風ファンの冷却性能は、風量と静圧の特性値で示され、その風量と静圧のそれぞれの値が高いほどより冷却性能が高いことを示す。つまり、密閉された空気流路内において送風の妨げとなる送風抵抗いわゆる圧力損失が大きくなると結果的に必要とする風量が得られなくなるが、設置されるファンがその空気流路内の圧力損失を上回る風量静圧特性を有するファンであれば、必要な風量を得ることができるので、一般的にこの風量静圧特性が送風ファンの冷却性能を示している。一方、ブレード部が直線形状や弓形形状の場合、単純にそのブレード部の長さや幅を大きくしブレード部の表面積を大きくすることで容易にその風量や静圧を高めることができるが、送風ファン全体として大型化することとなり、筐体の内部に空きスペースが少ない小型または薄型の電子機器には搭載でき難くなるという課題を有していた。
【0006】
また、インペラの回転数を上昇させることによっても同様に風量や静圧を高めることができるが、ブレード部の先端での空気の急激な圧力変化によるファン騒音も大きくなり、特に静音性の要求される情報処理機器、音響機器、または映像機器などには搭載でき難くなるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、ブレード部の内周側において空気を取りこみ易く、吸気した空気をブレード部表面では円滑にブレード部の先端へ送り出して吸気効率を高め、さらにブレード部先端では空気を離脱しやすくすることにより、ブレード部の先端での空気の急激な圧力変化を小さくしてファン騒音を抑制できるインペラを提供することを目的とする。
【0008】
言い換れば、同一のファン騒音レベルで比較した場合、従来のブレード部形状のインペラを用いた送風ファンに比較してより高回転数で駆動することができるので、結果として高風量、高静圧の送風ファンが実現可能なインペラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインペラは上記目的を達成するために、円筒状のボス部と、ボス部の外周面から略放射状に延びる複数のブレード部とを備えた遠心型の送風ファンのインペラであって、ボス部の外周面とブレード部の接続部において鈍角を形成する側を回転方向とし、ブレード部が、ボス部の外周面より延び回転方向前方からみて凹状に湾曲し回転方向の入口角を有する前進翼部と、この前進翼部の外周側端部より延び回転方向前方からみて凸状に湾曲した後退翼部とを備えたことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のインペラ及びそれを備えた送風ファンによれば、ブレード部の内周側において空気を取りこみ易く、吸気した空気をブレード部表面では円滑にブレード部先端へ送り出して吸気効率を高め、さらにブレード部先端では空気を離脱しやすくすることにより、ブレード部先端での空気の急激な圧力変化を小さくしてファン騒音を抑制できるという効果があり、結果として高風量、高静圧の送風ファンが実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
請求項1に記載の発明は、円筒状のボス部と、ボス部の外周面から略放射状に延びる複数のブレード部とを備えた遠心型の送風ファンのインペラであって、ボス部の外周面とブレード部の接続部において鈍角を形成する側を回転方向とし、ブレード部がボス部の外周面より延び回転方向前方からみて凹状に湾曲し回転方向の入口角を有する前進翼部と、この前進翼部の外周側端部より延び回転方向前方からみて凸状に湾曲した後退翼部とを備えたもので、前進翼部がインペラの回転方向前方からみて凹状に湾曲し、その前進翼部の空気を受ける前面が窪んでいるので、吸気口から空気を取りこみ易く空気を効率よく吸気できる。
【0012】
また、後退翼部がインペラの回転方向前方からみて凸状に湾曲し、その後退翼部の空気の通過する前面が膨らんでいるので、ブレード部の前面に沿って流れた空気が後退翼部の前面を通過してブレード部先端で離脱しやすくなり、ブレード部先端での空気の急激な圧力変化を小さくしてファン騒音を抑制できる。
【0013】
つまり、同一のファン騒音レベルで比較した場合、従来のブレード部が直線形状や弓形形状のインペラを用いた送風ファンに比較してより高回転数で駆動することができるので、結果として高風量、高静圧の達成が可能なインペラを提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に従属する発明で、インペラの回転軸を中心としボス部の外周側端部を通る仮想円の前進翼部のボス部との接続点における接線と前進翼部の内周側仮想延長線とのなす角度のうち回転方向にとった角度(以下、前進翼部の入口角と称する)を0°〜38°とするのが好ましく、送風ファンに用いた場合、吸気口より空気を取り込み易いので、より効率よく吸気できるインペラを提供することができる
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に従属する発明で、インペラの回転軸を中心とし後退翼部の外周側端部を通る仮想円の後退翼部の外周側端部における接線と後退翼部の外周側端部の延長線とのなす角度のうち回転方向にとった角度(以下、後退翼部の出口角と称する)を32°〜58°とするのが好ましく、空気が後退翼部の前面を通過してブレード部の先端から離脱し易くなるために、空気の急激な圧力変化を小さくすることができ、送風ファンに用いた場合、ファン騒音を抑制できるインペラを提供することができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に従属する発明で、インペラの回転軸を中心とし変曲部を通る仮想円と変曲部における仮想円の接線と前進翼部の外周側端部の延長線とのなす角度のうち回転方向にとった角度(以下、前進翼部の出口角と称する。)を60°〜84°とするのが好ましく、吸気された空気がブレード部前面の内周側から外周側へ円滑に流れるので、送風ファンに用いた場合、ファン騒音の原因にもなる渦流や乱流も抑制され、その際の空気の急激な圧力変化も小さく、十分な空気をブレード部の先端側に送り出すことができ、風量や静圧を損なうことが少ない。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明に従属する発明で、インペラの最大外径に応じて、前進翼部と後退翼部との長さの比を1:1.2〜6.8とするのが好ましく、吸気した空気を風量や静圧を損なうことなく円滑にブレード部の先端側へ送り出し、吸気量と排気量のバランスを適切に調整することができ、結果として、より冷却性能に優れたインペラを提供することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、扁平状のファンケーシングと、ファンケーシングの上壁または底壁のうち少なくともいずれか一方に形成した吸気口と、ファンケーシングの側壁に形成した排気口と、ファンケーシングの内部に配設した請求項1から5いずれか1項に記載のインペラと、インペラの回転駆動部とを備えたことを特徴とする送風ファンで、インペラのブレード部が単純な直線形状や弓形形状ではない前進翼部と後退翼部を備えているので空気を取りこみ易くかつファン騒音を抑制できるだけでなく、吸気された空気がファンケーシングの上壁と底壁及び側壁により方向規制されているので、不要な渦流や乱流を発生させることを少なくすることでファン騒音を抑制し、同一のファン騒音レベルでより高速回転で駆動できるため、結果的に同一のファン騒音レベルで比較して高風量と高静圧である冷却性能に優れた送風ファンを提供することができる。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明に従属する発明で、ファンケーシングの上壁または底壁の少なくともその一方に形成した吸気口を略円形状に形成して、吸気口の周縁部がインペラの前進翼部と後退翼部とを接続する変曲部または後退翼部に対向するように形成しているので、インペラに結合された回転軸の軸方向の両方向または片方向よりファンケーシング内への吸気量の調整が容易でかつ吸気が円滑に行われ、結果的により高風量で高静圧も達成でき、より冷却性能の高い送風ファンを提供することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0020】
(実施例1)
図1(a)は実施例1における送風ファンのインペラの平面図であり、図1(b)は前進翼部の入口角と出口角及び後退翼部の出口角を説明するためのインペラの模式平面図で、ブレード部の回転方向の肉厚中心線を示したものである。
【0021】
図1(a)において、インペラ1は、円筒状のボス部2とその天面部2bの下面中央部に固定された回転軸2aとボス部2の外周面から放射状に伸びる複数のブレード部3より形成されている。ここで、ボス部2の外周面とブレード部3の接続部7において鈍角を形成する側への方向、つまりX方向を回転方向とし、ブレード部3は、インペラ1の回転方向X前方からみて凹状に湾曲した前進翼部4、前進翼部4と後退翼部5をなめらかに接続する変曲部6、及び前進翼部4の外周側端部から延びインペラ1の回転方向X前方からみて凸状に湾曲した後退翼部5を有している。
【0022】
また、図1(b)において、前進翼部4の入口角β1、後退翼部5の出口角β2、前進翼部4の出口角β3を示しており、図から明らかなように、前進翼部4の出口角β3は、後退翼部5の入口角と同一のものである。
【0023】
ここで、前進翼部4の入口角β1とは、インペラ1の回転軸2aの中心であるOを中心としボス部2の外周側端部を通る仮想円の前進翼部4のボス部2との接続部7における接線と前進翼部4の内周側仮想延長線とのなす角度のうちインペラ1の回転方向Xにとった角度である。
【0024】
次に、後退翼部5の出口角β2とは、インペラ1の回転軸2aの中心であるOを中心とし後退翼部5の外周側端部を通る仮想円の後退翼部5の外周側端部における接線と後退翼部5の外周側端部の延長線とのなす角度のうちインペラ1の回転方向Xにとった角度である。
【0025】
さらに、前進翼部4の出口角β3とは、インペラ1の回転軸2aの中心であるOを中心とし変曲部6を通る仮想円と変曲部6における仮想円の接線と前進翼部4の外周側端部の延長線とのなす角度のうちインペラ1の回転方向Xにとった角度である。
【0026】
各々のブレード部3は、前進翼部4の入口角β1が0°〜38°、後退翼部5の出口角β2が32°〜58°、前進翼部4の出口角(後退翼部5の入口角)β3が60°〜84°となるように形成されている。
【0027】
また、前進翼部4と後退翼部5の長さの比は、1:1.2〜6.8となる様に形成されている。
【0028】
以上のように構成された実施例1におけるインペラ1を備えた送風ファン10について、図2及び図3を用いて説明する。
【0029】
次に、図2(a)は実施例1における送風ファンの斜視図であり、図2(b)は実施例1における送風ファンの内部透視平面図であり、図2(c)は図2(b)の送風ファンのAA’ラインで切断した横断面図であり、図3は実施例1におけるインペラの要部拡大平面図である。
【0030】
これらの図で、送風ファン10は、ファンケーシング11の底壁11aと側壁11bとを有し、側壁11bの内側は排気口15を除いて略円形状に形成された内周面11cで、ケーシングカバー12はファンケーシング11の上面に覆設され上壁を形成している。ここで、ファンケーシング11の底壁11aにはその中央部に略円形状の下部吸気口13が形成され、ケーシングカバー12の中央部に略円形状の上部吸気口14が形成され、ファンケーシング11の側壁11bの所定部には略矩形の排気口15が形成されている。下部吸気口13の略中央部に支持部材(図示せず)により支持された保持板16が配置され、保持板16の上面にはインペラ1の回転軸2aを回転自在に軸支する軸受部17が立設固定され、軸受部17の周囲にはコイルが巻着されたステータ18が固定され、ステータ18に対向してボス部2の内周面に嵌合固定された円筒状マグネット19が配置され、ステータ18の下部には回路基板20が配設されている。
【0031】
ここで、排気口15は側壁11bの一つの辺を全て開口してもよく、一つの辺の一部を適宜略矩形に開口して形成してもよい。
【0032】
ここで、ケーシングカバー12としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金、もしくはステンレス鋼などの熱伝導性のよい金属が用いられ、ファンケーシング11の底壁11aや側壁11bについては樹脂製の扁平状の箱形に形成されたものが用いられる。また、ケーシングカバー12やファンケーシング11の底壁11aのうち少なくともいずれかの一方にインペラ1の回転軸2aを略中心とする略円形状や多角形状などの上部吸気口14または下部吸気口13が形成され、それぞれの吸気口の周縁部がインペラ1の後退翼部5の中央よりやや中心側の部分に対向するように形成されている。
【0033】
一方、上部吸気口14または下部吸気口13の中央部には、周縁部から延びるリブなどの支持部材(図示せず)で支持された保持板16が配設され、その保持板16上にインペラ1の回転駆動部であるモータを構成する回路基板20やステータ18、軸受部17などの部品が搭載され、インペラ1に結合された回転軸2aはその軸受部17に軸支される。
【0034】
以上のように構成された実施例1におけるインペラ1及び送風ファン10の動作について図面を用いて説明する。
【0035】
回路基板20に電力が供給されると、ステータ18に巻着された各コイルに電流が流れステータ18に磁力が発生する。円筒状マグネット19は周方向にN極とS極が交互に着磁されており、ステータ18に発生した磁力と引き合ってインペラ1が回転する。このとき、回路基板20に実装されたホール素子(図示せず)は円筒状マグネット19のN極とS極を検出し出力信号を発生する。各コイルに流れる電流をホール素子の出力信号により転流するように制御することで、ステータ18に発生する磁力の磁極は逐次変わって円筒状マグネット19のN極やS極と引き合い、インペラ1は所定のインペラ1の回転方向Xに連続的に回転する。インペラ1の回転方向Xへの回転により、下部吸気口13及び上部吸気口14から外部の空気が吸気される。
【0036】
また、インペラ1が回転方向Xに回転すると、ファンケーシング11の内部に吸気された空気は、図3に示すように、ブレード部3の内周側の前進翼部4により外周側へ送り出される。このとき、前進翼部4はインペラ1の回転方向X前方からみて凹状に湾曲しインペラ1の回転方向Xの入口角を有しており、空気を受ける前面が窪んでいるので、吸気口から空気を取りこみ易く空気を効率よく吸気できる。そして、前進翼部4と後退翼部5とがゆるやかな変曲部で接続されているので、送風ファン10に用いた場合、ファン騒音の原因にもなる不要な渦流や乱流も抑制され、吸気された空気がブレード部前面の内周側から外周側へ円滑に流れるので、その際の空気の圧力変化も小さく、十分な空気をブレード部先端側に送り出すことができ、風量や静圧を損なうことが少ない。
【0037】
さらに、ブレード部3の外周側へ送り出された空気は、後退翼部5によりブレード部3の先端の端面側、すなわちブレード部3の先端とファンケーシング11の内周面11cとの間に送り出される。このとき、後退翼部5はインペラ1の回転方向X前方からみて凸状に湾曲し、その後退翼部5の空気の通過する前面が膨らんでいるので、ブレード部3の前面に沿って流れた空気が後退翼部5の前面を通過してブレード部3の先端で離脱しやすくなり、ブレード部3の先端での空気の急激な圧力変化を小さくしてファン騒音を抑制できる。
【0038】
次に、実施例1における送風ファン10の冷却性能について図4〜図11を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、実施例1の送風ファンと従来の送風ファンの風量と静圧との関係を示す風量静圧特性曲線図で、実施例1の送風ファン10と従来の送風ファンを同一のファン騒音レベルで比較したもので、図5は実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の入口角β1を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図で、図6は実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の入口角β1を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図で、図7は実施例1の送風ファンにおいて後退翼部の出口角β2を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図で、図8は実施例1の送風ファンにおいて後退翼部の出口角β2を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図で、図9は実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の出口角β3を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図で、図10は実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の出口角β3を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図で、図11は実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の長さと後退翼部の長さの比を変化させたときの風量及び静圧との関係を示す特性相関図である。
【0040】
図4において、Aは実施例1の送風ファン、Bは従来の送風ファンの風量静圧特性曲線であって、同一のファン騒音レベルで比較したものである。実施例1のインペラ1としては、ブレード部3の前進翼部4の入口角β1を15°、後退翼部5の出口角β2を40°、前進翼部4の出口角β3を70°に設定し、ボス部2の外径、インペラ1の外径(インペラ1の回転軸2aの中心とブレード部3の先端部との直線距離)、送風ファン10を構成する他のファンケーシング11、上部吸気口14、下部吸気口13、排気口15などの寸法条件については比較用の従来の送風ファンと同一とし、従来の送風ファンとしては、インペラのブレード部がボス部の外周面に対して接線方向に直線形状となるように形成したものを用いた。
【0041】
図4は風量静圧特性が改善されていることを示しており、実施例1の送風ファン10はブレード部3が前進翼部4と後退翼部5を有しているので、前進翼部4における上部吸気口14または下部吸気口13からの空気導入のしやすさによる風量の増大効果と、取りこんだ空気を後退翼部5により適度に離脱し易くすることにより空気の急激な圧力変化を小さくして、ファン騒音を低減できることから、従来の送風ファンに比較して高回転数で駆動することができるので、結果として従来の送風ファンに比べ風量や静圧を改善できる。
【0042】
図5において、A1は前進翼部4の入口角β1を変化させた時の風量との関係を示し、図6において、A2は前進翼部4の入口角β1を変化させた時の静圧との関係を示す。なお、ブレード部3の後退翼部5の出口角β2は40°に固定し、ブレード部3の前進翼部4の出口角β3は70°に固定し、インペラ1の回転数は、従来の送風ファンのファン騒音レベルと同一となるようそれぞれのプロットにおいて回転数を調整した。ここで、ボス部2の外径、インペラ1の外径(インペラ1の回転軸2aの中心とブレード部3の先端部との直線距離)、送風ファン10を構成する他のファンケーシング11、上部吸気口14、下部吸気口13、排気口15などについても比較用の従来の送風ファンと同一条件とし、従来の送風ファンとしては、インペラのブレード部がボス部の外周面に対して接線方向に直線形状となるように形成したものを用いた。
【0043】
従来の送風ファンの測定値は、風量が138L/minで、静圧が16.2Paであることから、本実施例1の送風ファン10であれば、風量については、前進翼部4の入口角β1を0°〜42°とすることで、138L/minを超え最大約143L/minの風量が得られ、静圧については、前進翼部4の入口角β1を0°〜38°とすることで、16.2Paを超え最大約17.6Paの静圧が得られることが分かった。つまり、従来の送風ファンと比較して風量静圧共に同等以上である特性が得られるのは、前進翼部4の入口角β1を0°〜38°とした場合に、最大で約3%の風量と約22%程度の静圧を高めることができ、冷却性能に優れることがわかった。
【0044】
図7において、A3は後退翼部5の出口角β2を変化させた時の風量との関係を示し、図8において、A4は後退翼部5の出口角β2を変化させた時の静圧との関係を示す。なお、ブレード部3の前進翼部4の入口角β1は10°に、前進翼部4の出口角β3は70°に固定し、インペラ1の回転数は、従来の送風ファンと同一のファン騒音レベルと同一となるようそれぞれのプロットにおいて回転数を調整した。ここで、ボス部2の外径、インペラ1の外径(インペラ1の回転軸2aの中心とブレード部3の先端部との直線距離)、送風ファン10を構成する他のファンケーシング11、上部吸気口14、下部吸気口13、排気口15などの寸法条件については比較用の従来の送風ファンと同一とし、従来の送風ファンとしては、インペラのブレード部がボス部の外周面に対して接線方向に直線形状となるように形成したものを用いた。
【0045】
従来の送風ファンの測定値は、風量が138L/minで、静圧が16.2Paであることから、実施例1の送風ファン10であれば、風量については、後退翼部5の出口角β2を29°〜58°とすることで、138L/minを超え最大約144L/minの風量が得られ、静圧については、後退翼部5の出口角β2を32°〜58°とすることで、16.2Paを超え最大約18Paの静圧が得られることが分かった。つまり、従来の送風ファンと比較して風量静圧共に同等以上である特性が得られるのは、後退翼部5の出口角β2を32°〜58°とした場合で、最大で約4%程度の風量と約11%程度の静圧を高めることができ、冷却性能に優れることがわかった。
【0046】
図9において、A5は前進翼部4の出口角β3を変化させた時の風量との関係を示し、図10においてA6は前進翼部4の出口角β3を変化させた時の静圧との関係を示す。なお、ブレード部3の前進翼部4の入口角β1は10°に固定し、後退翼部5の出口角β2は40°に固定し、インペラ1の回転数は、従来の送風ファンと同一のファン騒音レベルと同一となるようそれぞれのプロットにおいて回転数を調整した。ここで、ボス部2の外径、インペラ1の外径(インペラ1の回転軸2aの中心とブレード部3の先端部との直線距離)、送風ファン10を構成する他のファンケーシング11、上部吸気口14、下部吸気口13、排気口15などの寸法条件については比較用の従来の送風ファンと同一とし、従来の送風ファンとしては、インペラのブレード部がボス部の外周面に対して接線方向に直線形状となるように形成したものを用いた。
【0047】
従来の送風ファンの測定値は、風量が138L/minで、静圧が16.2Paであることから、本実施例1の送風ファン10であれば、風量については、前進翼部4の出口角β3を60°〜84°とすることで、138L/minを超え最大約145L/minの風量が得られ、静圧については、前進翼部4の出口角β3を60°〜85°とすることで、16.2Paを超え最大約17.7Paの静圧が得られることが分かった。つまり、従来の送風ファンと比較して風量静圧共に同等以上である特性が得られるのは、前進翼部4の出口角β3を60°〜84°とした場合に、最大で約5%程度の風量と約9%程度の静圧を高めることができ、冷却性能に優れることがわかった。
【0048】
ここで、前進翼部4の出口角が60°より小さくなると前進翼部4が凹状に湾曲した形状ではなくなりしかも変曲部6が形成されなくなるので、特性相関図にプロットしていない。また、逆に前進翼部4の出口角が84°より大きくなるにつれ前進翼部4がインペラ1の回転方向Xに直交するように立ち上がるため、吸気した空気が前進翼部4の回転方向X側の面内に溜まりがちになりブレード部3の外周側へ空気を円滑に送り出すことができ難くなるばかりでなく、前進翼部4と後退翼部5との間に空気の急激な圧力変化が発生し易くなり、そのことによりファン騒音も増大することになり好ましくない。
【0049】
また、図11において、A7とA8はブレード部3における前進翼部4と後退翼部5の長さの比、つまり(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を変化させた時の風量と静圧のそれぞれの変化を示す。なお、ブレード部3の前進翼部4の入口角β1は5°に固定し、後退翼部5の出口角β2は45°に固定し、前進翼部4の出口角β3は60°に固定し、インペラ1の回転数は、従来の送風ファンのファン騒音レベルと同一となるようそれぞれのプロットにおいて回転数を調整した。
【0050】
ここで、ボス部2の外径、インペラ1の外径(インペラ1の回転軸2aの中心とブレード部3の先端部との直線距離)、送風ファン10を構成する他のファンケーシング11、上部吸気口14、下部吸気口13、排気口15などの寸法条件については比較用の従来の送風ファンと同一とし、従来の送風ファンとしては、インペラのブレード部がボス部の外周面に対して接線方向に直線形状となるように形成したものを用いた。
【0051】
従来の送風ファンの測定値は、風量が138L/minで、静圧が16.2Paであるところから、本実施例1の送風ファン10であれば、風量については、ブレード部3における前進翼部4と後退翼部5の長さの比、つまり(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を0.9〜6.9とすることで、138L/minを超え最大約143.7L/minの風量が得られ、静圧については、ブレード部3における前進翼部4と後退翼部5の長さの比、つまり(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を1.2〜6.8とすることで、16.2Paを超え最大約17.5Paの静圧が得られることが分かった。つまり、従来の送風ファンと比較して風量静圧共に同等以上である特性が得られるのは、ブレード部3における前進翼部4と後退翼部5の長さの比、つまり(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を1.2〜6.8とした場合に、最大で約4%程度の風量と約8%程度の静圧を高めることができ、冷却性能に優れることがわかった。
【0052】
つまり、本発明のインペラを送風ファンに用いた場合、ファン騒音の原因にもなる吸気口での渦流や乱流を抑制することも可能となり、吸気口でのファン騒音を抑制することができ、特に、(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を1.2以上とすることで、吸気した空気を効率よく遠心方向へ送り出すことができる。また、(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)を6.8以下とすることで、吸気口から効率よく空気を吸気することができ、吸気口での渦流を抑制し、低騒音化の効果を得ることができる。従って、(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)が1.2より小さくなるにつれて、吸気口より流入する空気が効率よく吸気され易くなる反面、後退翼部5において空気を離脱し難くなり、ブレード部3の先端で空気を離脱するときの急激な圧力変化が大きくなるためにファン騒音が大きくなる傾向があり、好ましくない。また、(後退翼部の長さ)/(前進翼部の長さ)が6.8より大きくなるにつれて、空気が吸気口から効率よく吸気され難くなることによって、風量が損なわれることとなり、それも好ましくない。さらに、ブレード部3の外周側へ送り出される空気量が前進翼部4の前面で吸気する空気量よりも増大する傾向があるため、前進翼部4と後退翼部5との間に空気の急激な圧力変化が発生し易くなり、そのことによりファン騒音も増大することとなり好ましくない。
【0053】
実施例1におけるインペラ1及びそれを備えた送風ファン10は上述したように構成されているので、以下のような作用を有する。
【0054】
前進翼部4がインペラ1の回転方向X前方からみて凹状に湾曲し、その前進翼部4の空気を受ける前面が窪んでいるので、吸気口から空気を取りこみ易く空気を効率よく吸気できる。また、前進翼部4と後退翼部5とがなめらかな変曲部6で接続されているので、送風ファン10に用いた場合、ファン騒音の原因にもなる不要な渦流や乱流も抑制され、取りこまれた空気がブレード部3前面の内周側から外周側へ円滑に流れるので、その際の空気の圧力変化も小さく、十分な空気をブレード部1先端側に送り出すことができ、風量や静圧を損なうことが少ない。さらに、後退翼部5がインペラ1の回転方向X前方からみて凸状に湾曲し、その後退翼部5の空気が通過する前面が膨らんでいるので、ブレード部3の前面に沿って流れた空気が後退翼部5の前面を通過してブレード部3の先端で離脱しやすくなり、ブレード部3の先端での空気の急激な圧力変化を小さくしてファン騒音を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のインペラ及びそれを備えた送風ファンは、筐体の内部に空きスペースが少ない薄型の電子機器に搭載が容易で、特に静音性の要求される情報処理機器、音響機器、または映像機器などに実装される発熱電子部品、またはその発熱電子部品と熱接続された放熱フィンなどの放熱部の冷却に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)実施例1における送風ファンのインペラの平面図、(b)前進翼部の入口角と出口角及び後退翼部の出口角を説明するためのインペラの模式平面図
【図2】(a)実施例1における送風ファンの斜視図、(b)実施例1における送風ファンの内部透視平面図、(c)図2(b)の送風ファンのAA’ラインで切断した横断面図
【図3】実施例1におけるインペラの要部拡大平面図
【図4】実施例1の送風ファンと従来の送風ファンの風量と静圧との関係を示す風量静圧特性曲線図
【図5】実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の入口角β1を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図
【図6】実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の入口角β1を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図
【図7】実施例1の送風ファンにおいて後退翼部の出口角β2を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図
【図8】実施例1の送風ファンにおいて後退翼部の出口角β2を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図
【図9】実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の出口角β3を変化させたときの風量との関係を示す特性相関図
【図10】実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の出口角β3を変化させたときの静圧との関係を示す特性相関図
【図11】実施例1の送風ファンにおいて前進翼部の長さと後退翼部の長さの比を変化させたときの風量及び静圧との関係を示す特性相関図
【図12】従来の送風ファンの分解斜視図
【符号の説明】
【0057】
1 インペラ
2 ボス部
2a 回転軸
2b 天面部
3 ブレード部
4 前進翼部
5 後退翼部
6 変曲部
7 接続部
10 送風ファン
11 ファンケーシング
11a 底壁
11b 側壁
11c 内周面
12 ケーシングカバー(ケーシング上壁)
13 下部吸気口
14 上部吸気口
15 排気口
16 保持板
17 軸受部
18 ステータ
19 円筒状マグネット
20 回路基板
O 回転軸の中心
X インペラの回転方向
β1 前進翼部の入口角
β2 後退翼部の出口角
β3 前進翼部の出口角(後退翼部の入口角)




 

 


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