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発明の名称 可変動弁装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−77818(P2007−77818A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−263586(P2005−263586)
出願日 平成17年9月12日(2005.9.12)
代理人 【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
発明者 立野 学
要約 課題
この発明は両弁可変状態と片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置に関し、切り換え動作を行うための油圧が低下した場合であっても所望の可変動弁状態を確実に維持することを目的とする。

解決手段
大リフトアーム72側に設けられたピン80を、揺動カムアーム40R側に設けられたピン穴86に挿入して両者を連結することにより、片弁可変状態が実現される。大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとを非連結にすることにより、両弁可変状態が実現される。ピン80は、油圧室88の油圧により、リターンスプリング84の付勢力に抗してピン穴86に挿入される。ピン80のくびれ部80aがピン穴86の縮径部86aに係合することにより、油圧室88の油圧が低下しても、ピン80がピン穴86に挿入された状態を維持することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
同一気筒に設けられた同種の第1バルブおよび第2バルブの双方の作用角および/またはリフト量を可変とする両弁可変状態と、前記第1バルブの作用角および/またはリフト量を可変とし、前記第2バルブの作用角およびリフト量を固定とする片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置であって、
前記片弁可変状態および前記両弁可変状態の一方の状態では連結され、他方の状態ではその連結が解除される二つの部材の一方に設置された進退可能な連結ピンと、
前記二つの部材の他方に形成され、前記連結ピンが挿入可能なピン穴と、
油圧供給源から供給される油圧を受けて、前記連結ピンを前記ピン穴に挿入する方向に付勢する油圧室と、
前記連結ピンを前記ピン穴から抜去する方向に付勢するリターンスプリングと、
前記連結ピンが前記ピン穴へ挿入された状態において前記油圧供給源の油圧が低下した場合であっても前記連結ピンが前記ピン穴から抜けるのを防止する連結状態保持手段と、
を備えることを特徴とする可変動弁装置。
【請求項2】
前記連結状態保持手段は、前記連結ピンと前記ピン穴とに形成され、前記連結ピンの挿入状態を維持するように係合する係合部を含むことを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
【請求項3】
前記連結状態保持手段は、前記連結ピンの前記ピン穴への挿入後に前記油圧室を密閉することにより前記油圧室内の油圧が抜けるのを阻止する密閉手段を含むことを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
【請求項4】
前記密閉手段は、前記油圧室の油密を確保するシール部材と、前記油圧室への油路を遮断可能な遮断部材とを含むことを特徴とする請求項3記載の可変動弁装置。
【請求項5】
同一気筒に設けられた同種の第1バルブおよび第2バルブの双方の作用角および/またはリフト量を可変とする両弁可変状態と、前記第1バルブの作用角および/またはリフト量を可変とし、前記第2バルブの作用角およびリフト量を固定とする片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置であって、
前記片弁可変状態では連結され、前記両弁可変状態ではその連結が解除される二つの部材の一方に設置された進退可能な連結ピンと、
前記二つの部材の他方に形成され、前記連結ピンが挿入可能なピン穴と、
前記連結ピンを前記ピン穴に挿入する方向に付勢するピン押圧スプリングと、
油圧供給源から供給される油圧を受けて、前記連結ピンを前記ピン穴から抜去する方向に付勢する油圧室と、
を備え、
前記連結ピンが前記ピン穴に挿入された状態を、前記油圧供給源の油圧の高低によらず、前記ピン押圧スプリングの付勢力によって保持可能であることを特徴とする可変動弁装置。
【請求項6】
カム軸に設けられた第1駆動カムと、
前記カム軸と平行に設けられ、回転角度を連続的に或いは多段階に変更可能な制御軸と、
前記第1バルブに対応して設けられ、前記制御軸を中心として揺動する第1揺動カムアームと、
前記第2バルブに対応して設けられ、前記第1揺動カムアームと独立して揺動可能な第2揺動カムアームと、
前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームのそれぞれに形成され、前記各バルブを支持するバルブ支持部材に接触して前記各バルブをリフト方向に押圧する揺動カム面と、
前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームのそれぞれに前記第1駆動カムと対向して形成されたスライド面と、
前記第1駆動カムと前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームの前記各スライド面とに挟まれるように配置され、前記第1駆動カムの周面に接触する中間部材と、
前記第1揺動カムアームの前記スライド面を前記中間部材に押し付けるように、前記第1揺動カムアームを前記制御軸の周方向へ付勢する第1付勢手段と、
前記第2揺動カムアームの前記スライド面を前記中間部材に押し付けるように、前記第2揺動カムアームを前記制御軸の周方向へ付勢する第2付勢手段と、
前記制御軸の回転に連動させて前記中間部材を前記第1駆動カムの周面に沿って移動させ、前記中間部材の前記カム軸の中心に対する位相を変化させる連動機構と、
前記カム軸に前記第1駆動カムと並んで設けられた第2駆動カムと、
前記第2揺動カムアームに隣接して前記制御軸に回転可能に取り付けられ、前記第2駆動カムからの駆動力の入力を受けて揺動する入力アームと、
を備え、
前記第2揺動カムアームおよび前記入力アームが前記二つの部材に該当し、
前記第2揺動カムアームと前記入力アームとが連結状態とされた片弁可変状態において前記第2駆動カムによって前記第2揺動カムアームを揺動させることで得られる前記バルブのリフト量は、前記第2揺動カムアームと前記入力アームとが非連結状態とされた両弁可変状態において前記第1駆動カムによって前記第2揺動カムアームを揺動させるときの最大設定リフト量以上に設定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の可変動弁装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変動弁装置に係り、特に、バルブの開弁特性を機械的に変更可能な可変動弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されるように、内燃機関の運転状況に応じてバルブのリフト量やバルブタイミングを機械的に変更する可変動弁装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載される可変動弁装置では、カム軸に2つの回転カムが配置され、同一気筒に配置された2つの吸気バルブのうち、第1吸気バルブは第1回転カムによって開閉駆動され、第2吸気バルブは第2回転カムによって開閉駆動されるようになっている。そして、第1回転カムと第1吸気バルブとの間、および第2回転カムと第2吸気バルブとの間には、それぞれ四節リンク機構から構成される可変動弁伝達機構が配置されている。
【0004】
上記可変動弁装置の四節リンク機構は、回転カムに当接する入力部を有する入力アーム、入力アームに揺動可能に連結される伝達アーム、伝達アームと揺動可能に連結されるとともに回転制御軸周りに揺動可能とされ、回転カムから伝達される駆動力を吸気バルブの開閉を行う出力部へ伝達する揺動アーム、および、回転制御軸を回転中心として回転駆動するとともに、入力アームと揺動可能に連結されるコントロールアーム、から構成されている。四節リンク機構の姿勢を制御して回転カムと入力部との相対位置を変更することで、吸気バルブの開弁特性を機械的に変更することができる。
【0005】
また、上記可変動弁装置には、第1吸気バルブに係る四節リンク機構(第1リンク機構)と第2吸気バルブに係る四節リンク機構(第2リンク機構)とを連結する連結機構と、連結解除時に第2リンク機構の姿勢を第2吸気バルブの作用角が最大値になる姿勢に保持するための機構とが設けられている。連結機構は、各四節リンク機構のコントロールアームに形成された貫通穴と、貫通穴内に挿入される連結ピンとから構成されている。また、連結解除時に第2リンク機構の姿勢を保持する機構は、固定プレートに形成された貫通穴と、第2リンク機構のコントロールアーム(第2コントロールアーム)に形成された貫通穴と、前記の連結ピンとから構成されている。
【0006】
連結ピンは、常に第2コントロールアームの貫通穴に係合しており、第2コントロールアームの貫通穴に係合したまま、第1リンク機構のコントロールアーム(第1コントロールアーム)側にも、固定プレート側にも移動できるようになっている。連結ピンが第1コントロールアーム側に移動し、第1コントロールアームの貫通穴に挿入されることで、第2コントロールアームは第1コントロールアームと連結ピンを介して連結される。コントロールアーム同士が連結されることで、第1リンク機構と第2リンク機構とは常に同一の姿勢をとることになる。したがって、この場合は、第1バルブと第2バルブとを同一の開弁特性に制御することができる。
【0007】
逆に、連結ピンが固定プレート側に移動し、固定プレートの貫通穴に挿入されることで、第2コントロールアームは固定プレートと連結ピンを介して連結される。第2コントロールアームと固定プレートが連結されることで、第2リンク機構の姿勢は一定の姿勢に固定されることになる。この場合は、第1リンク機構の姿勢を制御して回転カムと入力部との相対位置を変更することで、第2バルブの開弁特性を固定した状態で、第1バルブの開弁特性のみを機械的に変更することができる。
【0008】
つまり、上記可変動弁装置によれば、第1吸気バルブと第2吸気バルブの開弁特性を同一とする場合と、第1吸気バルブと第2吸気バルブの開弁特性を相違させる場合とを選択的に実行することができる。これにより、第1吸気バルブと第2吸気バルブとの開弁特性、特に各バルブのリフト量を相違させることによって、吸入流量を相違させ、燃焼室内において旋回流を発生させることが可能となり、燃焼室内における燃焼の安定化を図ることが可能となる。
【特許文献1】特開2004−100555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、上記可変動弁装置によれば、第1および第2吸気バルブの双方の開弁特性を共に変化させ得る両弁可変制御と、第2吸気バルブの開弁特性を固定して第1吸気バルブのみの開弁特性を変化させる片弁可変制御との切り替えが可能である。両弁可変制御から片弁可変制御へ切替える際には、第1コントロールアームの貫通穴から連結ピンを抜く動作と、固定プレートの貫通穴に連結ピンを挿入する動作の2つの動作が必要となる。また、片弁可変制御から両弁可変制御へ切替える際には、固定プレートの貫通穴から連結ピンを抜く動作と、第1コントロールアームの貫通穴に連結ピンを挿入する動作の2つの動作が必要となる。
【0010】
上記のような可変動弁装置における連結ピンを動かす駆動源としては、内燃機関の潤滑油ポンプの発生する油圧が用いられるのが一般的である。この場合、油圧を抜いたときに連結ピンを戻すリターンスプリングが設けられる。そして、連結ピンに油圧を掛けたり抜いたりして、油圧が及ぼす力とリターンスプリングが及ぼす力とのバランスを変えることにより、連結ピンの挿入動作・抜去動作を行う。
【0011】
リターンスプリングの付勢力に抗して連結ピンをいずれかの貫通孔に挿入させた場合には、その挿入状態を維持するためには、連結ピンに一定以上の油圧を掛け続ける必要がある。しかしながら、潤滑油ポンプの発生するポンプ油圧は、機関回転数に比例的に変化する。このため、低回転域においては、ポンプ油圧が、連結ピンの挿入状態を維持するのに必要な油圧を下回る場合がある。つまり、ポンプ油圧の低い低回転域においては、挿入状態にあるべき連結ピンが不本意に抜けてしまうという事態が生じ得る。
【0012】
意図しない連結ピンの抜けが起きた場合には、所望の可変動弁状態を維持することができなくなり、燃費、出力、排気エミッション等の悪化を招き易くなる。更に、可変動弁機構のアーム類がロストモーションスプリングの付勢力によって通常作動範囲外に動き、可変機構の破損等の不具合が生じることも考えられる。
【0013】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、両弁可変状態と片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置において、切り換え動作を行うための油圧が低下した場合であっても所望の可変動弁状態を確実に維持することのできる可変動弁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、同一気筒に設けられた同種の第1バルブおよび第2バルブの双方の作用角および/またはリフト量を可変とする両弁可変状態と、前記第1バルブの作用角および/またはリフト量を可変とし、前記第2バルブの作用角およびリフト量を固定とする片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置であって、
前記片弁可変状態および前記両弁可変状態の一方の状態では連結され、他方の状態ではその連結が解除される二つの部材の一方に設置された進退可能な連結ピンと、
前記二つの部材の他方に形成され、前記連結ピンが挿入可能なピン穴と、
油圧供給源から供給される油圧を受けて、前記連結ピンを前記ピン穴に挿入する方向に付勢する油圧室と、
前記連結ピンを前記ピン穴から抜去する方向に付勢するリターンスプリングと、
前記連結ピンが前記ピン穴へ挿入された状態において前記油圧供給源の油圧が低下した場合であっても前記連結ピンが前記ピン穴から抜けるのを防止する連結状態保持手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記連結状態保持手段は、前記連結ピンと前記ピン穴とに形成され、前記連結ピンの挿入状態を維持するように係合する係合部を含むことを特徴とする。
【0016】
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記連結状態保持手段は、前記連結ピンの前記ピン穴への挿入後に前記油圧室を密閉することにより前記油圧室内の油圧が抜けるのを阻止する密閉手段を含むことを特徴とする。
【0017】
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記密閉手段は、前記油圧室の油密を確保するシール部材と、前記油圧室への油路を遮断可能な遮断部材とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、第5の発明は、上記の目的を達成するため、同一気筒に設けられた同種の第1バルブおよび第2バルブの双方の作用角および/またはリフト量を可変とする両弁可変状態と、前記第1バルブの作用角および/またはリフト量を可変とし、前記第2バルブの作用角およびリフト量を固定とする片弁可変状態とを切り換え可能な可変動弁装置であって、
前記片弁可変状態では連結され、前記両弁可変状態ではその連結が解除される二つの部材の一方に設置された進退可能な連結ピンと、
前記二つの部材の他方に形成され、前記連結ピンが挿入可能なピン穴と、
前記連結ピンを前記ピン穴に挿入する方向に付勢するピン押圧スプリングと、
油圧供給源から供給される油圧を受けて、前記連結ピンを前記ピン穴から抜去する方向に付勢する油圧室と、
を備え、
前記連結ピンが前記ピン穴に挿入された状態を、前記油圧供給源の油圧の高低によらず、前記ピン押圧スプリングの付勢力によって保持可能であることを特徴とする。
【0019】
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
カム軸に設けられた第1駆動カムと、
前記カム軸と平行に設けられ、回転角度を連続的に或いは多段階に変更可能な制御軸と、
前記第1バルブに対応して設けられ、前記制御軸を中心として揺動する第1揺動カムアームと、
前記第2バルブに対応して設けられ、前記第1揺動カムアームと独立して揺動可能な第2揺動カムアームと、
前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームのそれぞれに形成され、前記各バルブを支持するバルブ支持部材に接触して前記各バルブをリフト方向に押圧する揺動カム面と、
前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームのそれぞれに前記第1駆動カムと対向して形成されたスライド面と、
前記第1駆動カムと前記第1揺動カムアームおよび第2揺動カムアームの前記各スライド面とに挟まれるように配置され、前記第1駆動カムの周面に接触する中間部材と、
前記第1揺動カムアームの前記スライド面を前記中間部材に押し付けるように、前記第1揺動カムアームを前記制御軸の周方向へ付勢する第1付勢手段と、
前記第2揺動カムアームの前記スライド面を前記中間部材に押し付けるように、前記第2揺動カムアームを前記制御軸の周方向へ付勢する第2付勢手段と、
前記制御軸の回転に連動させて前記中間部材を前記第1駆動カムの周面に沿って移動させ、前記中間部材の前記カム軸の中心に対する位相を変化させる連動機構と、
前記カム軸に前記第1駆動カムと並んで設けられた第2駆動カムと、
前記第2揺動カムアームに隣接して前記制御軸に回転可能に取り付けられ、前記第2駆動カムからの駆動力の入力を受けて揺動する入力アームと、
を備え、
前記第2揺動カムアームおよび前記入力アームが前記二つの部材に該当し、
前記第2揺動カムアームと前記入力アームとが連結状態とされた片弁可変状態において前記第2駆動カムによって前記第2揺動カムアームを揺動させることで得られる前記バルブのリフト量は、前記第2揺動カムアームと前記入力アームとが非連結状態とされた両弁可変状態において前記第1駆動カムによって前記第2揺動カムアームを揺動させるときの最大設定リフト量以上に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、連結ピンがピン穴へ挿入された連結状態において油圧供給源の油圧が低下した場合であっても、連結ピンがピン穴から抜けるのを防止することができる。このため、片弁可変状態および両弁可変状態のうち、連結ピンによる連結状態に対応する方の状態を、油圧供給源の油圧が低くなった場合においても、確実に維持することができる。また、片弁可変状態および両弁可変状態のうち、連結ピンの非連結状態に対応する方の状態については、油圧の高低にかかわらず、リターンスプリングの付勢力によって確実に維持することができる。従って、この発明によれば、片弁可変状態および両弁可変状態の何れの状態のときでも、その状態を、油圧低下に影響されることなく確実に保持することができる。
【0021】
第2の発明によれば、連結ピンおよびピン穴に係合部を形成するだけの簡単な構造で、連結状態保持手段を構成することができる。
【0022】
第3の発明によれば、油圧室を密閉可能な密閉手段を設けるだけの簡単な構成で、連結状態保持手段を構成することができる。
【0023】
第4の発明によれば、油圧室を密閉したとき、その密閉状態を確実に維持することができる。このため、油圧供給源の油圧低下時に連結ピンがピン穴から抜けるのをより確実に防止することができる。
【0024】
第5の発明によれば、連結ピンがピン穴へ挿入することによって得られる片弁可変状態を、油圧供給源の油圧によらず、ピン押圧スプリングの付勢力によって保持することができる。片弁可変状態は、エンジン回転数の低い領域において要求されることが多い。一方、エンジン回転数の低い領域では、油圧供給源の油圧が低下し易い。すなわち、片弁可変状態は、油圧供給源の油圧が低い場合に要求される場合が多い。この発明によれば、油圧供給源の油圧低下に影響されることなく片弁可変状態を保持することができるので、片弁可変状態が要求される条件下で片弁可変状態を確実に保持することができる。
【0025】
第6の発明によれば、片弁可変状態と両弁可変状態とを切り換え可能な動弁機構を、簡単かつ小型な構造によって実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施の形態1.
以下、図1乃至図15を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
[本実施形態の可変動弁装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる可変動弁装置の構成を示す側面視図、図2および図3はその分解斜視図、図4は図1のA−A断面を模式的に示す図である。図2および図4に示すように、本可変動弁装置のカム軸20には、一気筒当たり2つの駆動カム22,24が設けられている。そして、一方の駆動カム(第1駆動カム)22を中心にして左右対称に2つのバルブ4L,4Rが配置されている。これらのバルブ4L,4Rは同一気筒の吸気側或いは排気側に並んで配置される。第1駆動カム22と各バルブ4L,4Rとの間には、第1駆動カム22の回転運動に各バルブ4L,4Rのリフト運動を連動させる可変動弁機構30L,30Rがそれぞれ設けられている。もう一方の駆動カム(第2駆動カム)24は、第1駆動カム22との間で第2バルブ4Rを挟むようにして配置されている。第2駆動カム24と第2バルブ4Rとの間には、第2駆動カム24の回転運動に第2バルブ4Rのリフト運動を連動させる固定動弁機構70が設けられている。本可変動弁装置は、第2バルブ4Rのリフト運動の連動先を可変動弁機構30Rと固定動弁機構70との間で選択的に切替えることができるようになっている。
【0027】
(1)可変動弁機構の詳細構成
以下では、先ず、可変動弁機構30L,30Rの詳細な構成について説明する。なお、左右の可変動弁機構30L,30Rは、基本的には、第1駆動カム22に関して対称形であるので、ここでは左右の可変動弁機構30L,30Rを区別することなくその構成を説明する。また、本明細書および図面では、左右の可変動弁機構30L,30Rを区別しないときには、単に可変動弁機構30と表記する。同様に、可変動弁機構30L,30Rの各構成部品やバルブ4R,4L等、対称に配置されている部品については、特に区別をする必要がある時以外は、左右を区別するR,Lの記号はつけないものとする。
【0028】
図1に示すように、本可変動弁装置では、バルブ4はロッカーアーム10によって支持されている。可変動弁機構30は、第1駆動カム22とロッカーアーム10との間に介在し、第1駆動カム22の回転運動とロッカーアーム10の揺動運動との連動状態を連続的に変化させるようになっている。
【0029】
可変動弁機構30は、カム軸20に回転可能に支持された制御アーム50を含んでいる。制御アーム50には、その回動中心であるカム軸20の中心から偏心した位置に中間アーム58が回転可能に取り付けられている。中間アーム58はその支点側の両端部に接続ピン56を備えており、この接続ピン56を制御アーム50に回転可能に支持されている。中間アーム58は、接続ピン56を支点として先端を制御軸32に向けて配置されている。中間アーム58の先端には、カム軸20に平行に配置された連結軸64が固定されている。この連結軸64上には、第1ローラ60と第1ローラ60よりも小径の第2ローラ62とが回転可能に支持されている。図2に示すように、第2ローラ62は第1ローラ60の両側に一対配置されている。なお、制御アーム50は第1駆動カム22の両側に一対設けられ、左右の制御アーム50によって中間アーム58が支持されている(図1では手前側の制御アーム50は省略されている)。
【0030】
左右の制御アーム50の間には、弧状の大径ギヤ52が配置され、その両側面を左右の制御アーム50に固定されている。大径ギヤ52は、制御アーム50の回転中心、すなわち、カム軸20と同心の円弧に沿って形成されている。制御アーム50上での大径ギヤ52の位置は、制御アーム50の回動中心に関し接続ピン56の位置のほぼ反対側となっている。
【0031】
可変動弁機構30は、カム軸20に平行に配置された制御軸32を含んでいる。制御軸32の回転角度は制御軸駆動装置としての図示しないアクチュエータ(例えばモータ等)によって任意の角度に制御することができる。制御軸32の外周面には制御軸32と同心の小径ギヤ34が形成されている。この小径ギヤ34は、制御アーム50に取り付けられた大径ギヤ52に噛み合わされている。これにより、制御軸32の回転は小径ギヤ34および大径ギヤ52を介して制御アーム50に入力されるようになっている。小径ギヤ34と大径ギヤ52は、制御軸32の回転を減速して制御アーム50に伝達する減速機構を構成している。
【0032】
制御軸32には、揺動カムアーム40が揺動可能に支持されている。この揺動カムアーム40は、図2乃至図4に示すように、小径ギヤ34の両側に一対配置されている。図中、小径ギヤ34の左側に配置される揺動カムアーム(第1揺動カムアーム)40Lは可変動弁機構30Lの構成部品であり、小径ギヤ34の右側に配置される揺動カムアーム(第2揺動カムアーム)40Rは可変動弁機構30Rの構成部品である。これら揺動カムアーム40は、その先端を第1駆動カム22の回転方向の上流側に向けて配置されている。本実施形態では、図中に矢印で示すように、カム軸20は時計周り方向に回転している。揺動カムアーム40の第1駆動カム22に対向する側には、後述する第2ローラ62に接触するスライド面46が形成されている。スライド面46は第1駆動カム22側に緩やかに湾曲するとともに、揺動中心である制御軸32の中心から遠くなるほど第1駆動カム22の中心から距離が大きくなるように形成されている。
【0033】
揺動カムアーム40のスライド面46とは逆の側には、揺動カム面42(42a,42b)が形成されている。揺動カム面42はプロフィールの異なる非作用面42aと作用面42bから構成されている。そのうち非作用面42aはカム基礎円の周面であり、制御軸32の中心からの距離を一定に形成されている。他方の面である作用面42bは揺動カムアーム40の先端側に設けられ、非作用面42aに滑らかに連続するように接続されるとともに、揺動カムアーム40の先端に向けて制御軸32の中心からの距離(すなわち、カム高さ)が次第に大きくなるよう形成されている。本明細書では、非作用面42aと作用面42bの双方を区別しないときには、単に揺動カム面42と表記する。
【0034】
また、揺動カムアーム40にはバネ座48が形成されている。バネ座48には、他端を内燃機関の静止部位に固定されたロストモーションスプリング36が掛けられている。揺動カムアーム40は、ロストモーションスプリング36から受けるバネ力によって、スライド面46が第1駆動カム22に近づく方向(図1中の反時計回り方向)に回転するよう付勢されている。
【0035】
揺動カムアーム40のスライド面46と第1駆動カム22との間には、先端を制御軸32の方向に向けるようにして中間アーム58が配置されている。中間アーム58に回転可能に支持されている第1ローラ60は第1駆動カム22の回転面内に位置している。また、左側の第2ローラ62Lは左側の揺動カムアーム40Lの揺動面内に位置しており、右側の第2ローラ62Rは右側の揺動カムアーム40Rの揺動面内に位置している。前述のロストモーションスプリング36のバネ力は、スライド面46を第2ローラ62に押し当てる付勢力として作用し、さらに、連結軸64で第2ローラ62と連結されている第1ローラ60を第1駆動カム22に押し当てる付勢力として作用する。これにより、第1ローラ60および第2ローラ62は、スライド面46と第1駆動カム22とに両側から挟みこまれて位置決めされている。
【0036】
上記のように、第1ローラ60および第2ローラ62は、中間アーム58によって制御アーム50に接続されるとともに、スライド面46と第1駆動カム22との間に挟みこまれている。このため、制御アーム50がカム軸20を中心として回転すると、第1ローラ60および第2ローラ62も第1駆動カム22の周面に接しながらカム軸20の周りを回転する。制御アーム50の回転は小径ギヤ34および大径ギヤ52を介して制御軸32の回転に連動しているので、第1ローラ60および第2ローラ62のカム軸20の周りの回転も制御軸32の回転に連動している。本実施の形態では、小径ギヤ34、大径ギヤ52、制御アーム50および中間アーム58によって、制御軸32の回転に連動させて中間部材である1ローラ60および第2ローラ62を第1駆動カム22の周面に沿って移動させる連動機構が構成されている。
【0037】
揺動カムアーム40の下方には、前述のロッカーアーム10が配置されている。ロッカーアーム10には、揺動カムアーム40の揺動カム面42に対向するようにロッカーローラ12が配置されている。ロッカーローラ12はロッカーアーム10の中間部に回転可能に取り付けられている。ロッカーアーム10の一端にはバルブ4を支持するバルブシャフト2が取り付けられ、ロッカーアーム10の他端は油圧ラッシャアジャスタ6によって回動可能に支持されている。バルブシャフト2は図示しないバルブスプリングによって、閉方向、すなわち、ロッカーアーム10を押し上げる方向に付勢されており、この付勢力と油圧ラッシャアジャスタ6によってロッカーローラ12は揺動カムアーム40の揺動カム面42に押し当てられている。
【0038】
(2)固定動弁機構の詳細構成
次に、固定動弁機構70の詳細な構成について説明する。
図2および図4に示すように、固定動弁機構70は、第2駆動カム24と第2揺動カムアーム40Rとの間に介在している。固定動弁機構70は、第2揺動カムアーム40Rの揺動運動を第2駆動カム24の回転運動に連動させるものであり、第2駆動カム24によって駆動される大リフトアーム(入力アーム)72と、大リフトアーム72を第2揺動カムアーム40Rに連結するアーム連結機構78とを備えている。
【0039】
大リフトアーム72は、制御軸32上に第2揺動カムアーム40Rと並んで配置され、第2揺動カムアーム40Rとは独立して回転可能になっている。大リフトアーム72には、第2駆動カム24の周面に接触する入力ローラ74が回転可能に支持されている。大リフトアーム72には図示しないロストモーションスプリングが掛けられており、そのバネ力は、入力ローラ74を第2駆動カム24の周面に押し当てる付勢力として作用している。
【0040】
大リフトアーム72には、第2揺動カムアーム40Rに向けて出し入れ可能なピン80が備えられている。大リフトアーム72には、第2揺動カムアーム40R側に開口部を有する油圧室88が形成され、ピン80はこの油圧室88内に嵌め込まれている。油圧室88には作動油が流れる油路90が接続されている。油路90から油圧室88内に作動油が供給されることで、その油圧によりピン80は油圧室88から第2揺動カムアーム40Rに向けて押し出されるようになっている。
【0041】
一方、第2揺動カムアーム40Rには、大リフトアーム72側に開口部を有するピン穴86が形成されている。ピン80とピン穴86は、制御軸32を中心とする同じ円弧上に配置されている。これにより、第2揺動カムアーム40Rが大リフトアーム72に対して所定の回転角度に位置したとき、ピン穴86の位置とピン80の位置とが一致するようになっている。ピン穴86内には、その奥側からリターンスプリング84とピストン82とが配置されている。ピン穴86の位置とピン80の位置とが一致したとき、ピン80はピストン82に当接する。このとき、リターンスプリング84がピストン82を押す力よりも、油圧室88内の油圧がピン80を押す力のほうが大きければ、ピン80はピストン82をピン穴86の奥に押し込むようにしてピン穴86内に進入する。ピン80がピン穴86内に挿入されることで、揺動カムアーム40Rと大リフトアーム72はピン80を介して連結されることになる。つまり、上記のピン80,油圧室88,油路90,ピン穴86,リターンスプリング84およびピストン82によって、アーム連結機構78が構成されている。
【0042】
なお、図4では、アーム連結機構78のピン80、ピン穴86およびピストン82の形状が簡略化して図示されている。アーム連結機構78の詳細な構造については、後に、図7乃至図9を参照して説明する。
【0043】
[本実施形態の可変動弁装置の基本動作]
以下では、上記のように構成された本可変動弁装置の基本動作について図5および図6を用いて説明する。
【0044】
(1)可変動弁機構によるバルブのリフト動作
先ず、可変動弁機構30によるバルブ4のリフト動作について図5を用いて説明する。図5中、(A)はリフト動作の過程でバルブ4が閉弁しているときの可変動弁機構30の状態を、また、(B)はリフト動作の過程でバルブ4が最大に開弁しているときの可変動弁機構30の状態を、それぞれ表している。
【0045】
可変動弁機構30では、第1駆動カム22の回転運動は、先ず、第1駆動カム22に接触する第1ローラ60に入力される。第1ローラ60は第2ローラ62とともに中間アーム58に支持されているので、中間アーム58の支点である接続ピン56を中心に揺動する。その運動は第2ローラ62に接触する揺動カムアーム40のスライド面46に入力される。スライド面46はロストモーションスプリング36の付勢力によって常に第2ローラ62に押し当てられているので、揺動カムアーム40は第2ローラ62を介して伝達される第1駆動カム22の回転に連動して制御軸32を中心にして揺動する。
【0046】
具体的には、図5の(A)に示す状態からカム軸20が回転すると、図5の(B)に示すように、第1ローラ60の第1駆動カム22上での接触位置は、第1駆動カム22の頂部へと近づいていく。相対的に第1ローラ60は第1駆動カム22によって押し下げられ、揺動カムアーム40はそのスライド面46を第1ローラ60と一体の第2ローラ62によって押し下げられる。これにより、揺動カムアーム40は制御軸32を中心にして図中、時計回り方向に回動する。
【0047】
揺動カムアーム40の回動によりロッカーローラ12の揺動カム面42上での接触位置が非作用面42aから作用面42bに切り換わると、ロッカーアーム10は作用面42bの制御軸32の中心からの距離に応じて押し下げられ、油圧ラッシャアジャスタ6による支持点を中心に時計回り方向へ揺動する。これにより、バルブ4はロッカーアーム10によって押し下げられ、開弁する。そして、図5の(B)に示すように、第1ローラ60の第1駆動カム22上での接触位置が第1駆動カム22の頂部に達したとき、揺動カムアーム40の回動量は最大になり、バルブ4のリフト量も最大になる。
【0048】
カム軸20がさらに回転し、第1ローラ60の第1駆動カム22上での接触位置が第1駆動カム22の頂部を過ぎると、今度はロストモーションスプリングとバルブスプリングによる付勢力によって、揺動カムアーム40は制御軸32を中心にして図中、反時計回り方向に回動する。揺動カムアーム40が反時計回り方向に回動することで、ロッカーローラ12の揺動カム面42上での接触位置は非作用面42a側へ移動する。これにより、バルブ4のリフト量は減少していき、やがて、図5の(A)に示すように、ロッカーローラ12の揺動カム面42上での接触位置が作用面42bから非作用面42aに切り換わったところで、バルブ4のリフト量はゼロとなる。つまり、バルブ4は閉弁する。
【0049】
(2)可変動弁機構によるリフト量変更動作
次に、図6を参照して可変動弁機構30によるリフト量変更動作について説明する。図6中、(A)は可変動弁機構30がバルブ4に対して大きなリフトを与えるように動作する場合の最大リフト時の可変動弁機構30の状態を、また、(B)は可変動弁機構30がバルブ4に対して小さなリフトを与えるように動作する場合の最大リフト時の可変動弁機構30の状態を、それぞれ表している。
【0050】
図6の(A)に示すリフト量から図6の(B)に示すリフト量にリフト量を変更する場合、図6の(A)に示す状態において制御軸32をカム軸20の回転方向と同方向(図中、時計回り方向)に回転駆動する。制御軸32の回転は小径ギヤ34と大径ギヤ52を介して制御アーム50に伝達され、図6の(B)に示す回転角度に制御アーム50を回転させる。制御アーム50の回転に伴い、制御アーム50に中間アーム58を介して連結されている第2ローラ62は、スライド面46に沿って制御軸32から遠ざかる方向に移動する。同時に、第2ローラ62と一体の第1ローラ60は、第1駆動カム22に沿ってその回転方向の上流側に移動する。
【0051】
第2ローラ62が制御軸32から遠ざかる方向に移動することで、揺動カムアーム40の揺動中心から第2ローラ62のスライド面46上での接触位置P2までの距離が長くなり、揺動カムアーム40の揺動角幅は減少する。揺動カムアーム40の揺動角幅は揺動中心から駆動力の入力点である接触位置P2までの距離に反比例するからである。揺動カムアーム40の揺動角幅が減少する結果、ロッカーローラ12が到達できる最終接触位置P3は作用面42b上を非作用面42a側に移動することになり、バルブ4のリフト量は減少する。また、ロッカーローラ12が作用面42b上に位置している期間(クランク角)が、バルブ4の作用角となるが、最終接触位置P3が非作用面42a側に移動することで、バルブ4の作用角も減少する。さらに、第1ローラ60が第1駆動カム22に沿ってその回転方向の上流側に移動することで、カム軸20が同一回転角度にあるときの第1ローラ60の接触位置P1は、第1駆動カム22の進角側に移動する。これにより、第1駆動カム22の位相に対する揺動カムアーム40の揺動タイミングは進角され、その結果、バルブタイミング(最大リフトタイミング)は進角されることになる。
【0052】
逆に、図6の(B)に示すリフト量から図6の(A)に示すリフト量にリフト量を変更する場合は、図6の(B)に示す状態において制御軸32をカム軸20の回転方向と逆方向(図中、反時計回り方向)に回転駆動し、図6の(A)に示す回転角度に制御アーム50を回転させる。これにより、第2ローラ62が制御軸32に近づく方向に移動し、揺動カムアーム40の揺動中心から第2ローラ62のスライド面46上での接触位置P2までの距離が短くなり、揺動カムアーム40の揺動角幅は増大する。揺動カムアーム40の揺動角幅が増大する結果、ロッカーローラ12が到達できる最終接触位置P3は作用面42bの先端側に移動することになり、バルブ4のリフト量および作用角は増大する。このとき、カム軸20が同一回転角度にあるときの第1ローラ60の接触位置P1は、第1駆動カム22の遅角側に移動する。これにより、第1駆動カム22の位相に対する揺動カムアーム40の揺動タイミングは遅角され、その結果、バルブタイミングは遅角されることになる。
【0053】
[本実施形態の可変動弁装置の連動切替動作]
本可変動弁装置では、アーム連結機構78によって大リフトアーム72を第2揺動カムアーム40Rに連結することで、第2バルブ4Rのリフト運動の連動先を可変動弁機構30Rから固定動弁機構70へ切替えることができる。逆に、アーム連結機構78による大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rの連結を解除することで、第2バルブ4Rのリフト運動の連動先を固定動弁機構70から可変動弁機構30Rへ切替えることができる。以下、本可変動弁装置の連動切替動作について説明する。
【0054】
まず、アーム連結機構78の詳細な構造について説明する。図7乃至図9は、それぞれ、アーム連結機構78の詳細な構成および動作を説明するための模式的な断面図である。図7に示すように、ピン80には、外径が他の部位より小さくなったくびれ部80aが形成されている。くびれ部80aの先端側に位置するヘッド部80bと、くびれ部80aとの間には、ヘッド部80bからくびれ部80aに向かって直径が漸減するテーパー部80cが形成されている。
【0055】
一方、ピン穴86の入口付近には、その奥の部位よりも内径が小さくなった縮径部86aが形成されている。縮径部86aの内径は、ピン80のヘッド部80bがほぼ隙間なく、かつ円滑に挿入可能な大きさになっている。縮径部86aと、その奥の部位との間には、内径が徐々に変化するテーパー部86bが形成されている。
【0056】
ピストン82の先端側の部分は、外径が他の部位より小さくなった小径部82aになっている。小径部82aの外径は、縮径部86aの内径より小さくなっている。それゆえ、小径部82は、縮径部86aを超えて外に突出可能である。
【0057】
(1)大リフトアームと第2揺動カムアームとの連結動作
前述のように、ピン80とピン穴86とは、揺動カムアーム40Rが大リフトアーム72に対して所定の回転角度に位置したとき、互いの位置が一致するようになっている。ピン80とピン穴86の各位置が重なると、ピン80がピン穴86に挿入されて大リフトアーム72は第2揺動カムアーム40Rに連結される。このため、アーム連結機構78の誤作動を防止するためには、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rの連結時以外ではピン80とピン穴86の各位置が重ならないように、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅を設定しておく必要がある。
【0058】
図7乃至図9には、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとの連結動作が順を追って示されている。大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rの連結時以外は、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は、ピン80とピン穴86の各位置が図7に示す位置関係になるように設定される。これに対し、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rの連結時は、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は、ピン80とピン穴86の各位置が図8に示す位置関係になるように設定される。
【0059】
図7乃至図9中の“ピン位置”とは、第2駆動カム24によって大リフトアーム72が駆動されたときに、ピン80が円弧上を往復移動するときの閉弁側の最外位置を示している。ピン80がこの“ピン位置”にあるとき、入力ローラ74は第2駆動カム24のカム基礎円部に接触している。入力ローラ74がカム基礎円部に接触している間、大リフトアーム72は静止状態となり、その間、ピン80は“ピン位置”に位置している。大リフトアーム72の揺動角幅は制御軸32の回転角度によらず常に一定であるので、“ピン位置”も制御軸32の回転角度によらず一定位置となる。
【0060】
これに対し、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は、制御軸32の回転角度に応じて変化する。前述のように、第2バルブ4Rのリフト量および作用角が大きくなる側に制御軸32を回転させると、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は拡大する。第2バルブ4Rのリフト量および作用角が小さくなる側に制御軸32を回転させると、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は縮小する。図7中の“第2大リフト位置”とは、制御軸32の回転角度を通常使用範囲内での最大リフト角度に設定し、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅を通常使用範囲内での最大角幅に設定したときに、ピン穴86が円弧上を往復移動するときの閉弁側の最外位置を示している。ピン穴86がこの“第2大リフト位置”にあるとき、第1ローラ60は第1駆動カム22のカム基礎円部に接触しており、第2揺動カムアーム40Rは第2バルブ4Rにリフトを生じさせないゼロリフト位置にある。第1ローラ60が第1駆動カム22のカム基礎円部に接触している間、第2揺動カムアーム40Rはこのゼロリフト位置で静止状態となる。
【0061】
図7に示すように、“第2大リフト位置”は“ピン位置”よりも、第2揺動カムアーム40Rの揺動方向の内側に設定されている。“第2大リフト位置”は、通常使用範囲内での第2バルブ4Rの最大リフトに対応しており、第2バルブ4Rのリフト量を小リフト側に設定するほど第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅は狭まっていくので、制御軸32の回転角度が通常使用範囲内にあるときには、ピン80の位置とピン穴86の位置とが一致することはない。つまり、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが誤って連結されることはない。
【0062】
大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとを連結させる時には、まず、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させ第2ローラ62のスライド面46上での位置を大リフト側に移動させる。これにより、揺動カムアーム40Rの揺動角幅は拡大し、ピン穴86が円弧上を移動するときの閉弁側の最外位置は“第2大リフト位置”よりもさらに外側に移動する。図8中の“第1大リフト位置”とは、上記のように第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅を通常使用範囲よりも拡大したときのピン穴86の位置であり、ピン80側の“ピン位置”に合わせられている。これにより、ピン穴86が“第1大リフト位置”に位置するように第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅を切替えることで、ピン80の位置とピン穴86の位置とが一致する。ピン80の位置とピン穴86の位置とが一致すると、図8に示すように、ピン80は、油圧室88内の油圧に押され、ピン穴86に挿入する。
【0063】
図8に示す状態となったら、次に、制御軸32を、小リフト側に回転させ、通常使用範囲内の最大リフトの角度に戻す。これにより、図9に示すように、ピン穴86が“第2大リフト位置”に戻る。すると、ロストモーションスプリング36の付勢力により、ピン穴86の内壁は、ピン80に押し付けられた状態を保持する。この状態では、縮径部86aがくびれ部80aに挿入するとともに、テーパー部80cとテーパー部86bとが接触する。このようにして、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結される。
【0064】
(2)大リフトアームと第2揺動カムアームとの非連結による両弁可変制御
図10は大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されていない場合のリフト動作について示す模式図である。図10では、ピン80、ピン穴86およびピストン82の形状が簡略化して図示されている。図10に示すように、ピン80とピン穴86とが係合しておらず、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されていない場合には、カム軸20の回転運動は第1駆動カム22から第1ローラ60および第2ローラ62Lを介して第1揺動カムアーム40Lのスライド面46Lに伝達され、第1揺動カムアーム40Lの揺動運動に変換される。第1揺動カムアーム40Lの揺動運動はロッカーアーム10Lに伝達され、第1バルブ4Lのリフト運動に変換される。
【0065】
カム軸20の回転運動は第1駆動カム22から第1ローラ60および第2ローラ62Rを介して第2揺動カムアーム40Rのスライド面46Rにも伝達され、第2揺動カムアーム40Rの揺動運動に変換される。第2揺動カムアーム40Rの揺動運動はロッカーアーム10Rに伝達され、第2バルブ4Rのリフト運動に変換される。
【0066】
制御軸32(図10中には図示せず)を回転させると、その回転角度に連動して第1ローラ60および第2ローラ62L,62Rは第1駆動カム22の周面に沿って移動する。その結果、第2ローラ62Lのスライド面46L上での位置が変化し、第1揺動カムアーム40Lの揺動角幅や初期揺動角度が変化して第1バルブ4Lのリフト量が変化する。同様に、第2ローラ62Rのスライド面46R上での位置も変化し、第2揺動カムアーム40Rの揺動角幅や初期揺動角度が変化して第2バルブ4Rのリフト量も変化する。つまり、この場合は、制御軸32の回転に連動させて、第1バルブ4L、第2バルブ4Rともにそのリフト量を変更することができる。この場合、図10に示すように、第1バルブ4Lのリフト量と、第2バルブ4Rのリフト量は常に同一となる。
【0067】
また、第1ローラ60のカム軸20に対する位相が変化することで、カム軸20の位相に対する第1揺動カムアーム40Lおよび第2揺動カムアーム40Rの揺動タイミングが変化する。その結果、制御軸32の回転に連動して第1バルブ4Lおよび第2バルブ4Rのバルブタイミングもそれぞれ変化することになる。この場合、第1バルブ4Lのバルブタイミングと、第2バルブ4Rのバルブタイミングは常に同一となる。
【0068】
図11は、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されていない場合に、本可変動弁装置により実現される各バルブ4L、4Rのリフト量とバルブタイミングとの関係を示すグラフである。図11中、左のグラフが第1バルブ4Lにおけるリフト量とバルブタイミングとの関係を示し、右のグラフが第2バルブ4Rにおけるリフト量とバルブタイミングとの関係を示している。図11に示すように、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されていない場合には、左右のバルブ4L,4Rともにリフト量およびバルブタイミングを可変制御することができる。つまり、両弁可変制御が可能になる。この両弁可変制御では、各バルブ4L,4Rのリフト量の増大に連動してバルブタイミングを遅角することができ、逆に、各バルブ4L,4Rのリフト量の減少に連動してバルブタイミングを進角することができる。
【0069】
(3)大リフトアームと第2揺動カムアームとの連結による片弁可変制御
図12は大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されている場合のリフト動作について示す模式図である。図12では、ピン80、ピン穴86およびピストン82の形状が簡略化して図示されている。図12に示すように、ピン80とピン穴86とが係合し、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが連結されている場合には、第2揺動カムアーム40Rには、カム軸20の回転運動は第2駆動カム24から大リフトアーム72を介して伝達される。第2揺動カムアーム40Rの揺動運動はロッカーアーム10Rに伝達され、第2バルブ4Rのリフト運動に変換される。
【0070】
前述のように、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとは、制御軸32を回転させ第2ローラ62Rのスライド面46R上での位置を通常使用範囲よりも大リフト側に移動させた状態で連結される。図6に示すように、第2揺動カムアーム40Rの初期揺動角度(第1ローラ60が第1駆動カム22のカム基礎円に接しているときの揺動角度)は大リフト側ほど大きくなるので、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとを連結したときの第2揺動カムアーム40Rの初期揺動角度は、通常使用範囲内での最大初期揺動角度以上になる。第2揺動カムアーム40Rの初期揺動角度が大きいほど、第1駆動カム22の周面と第2揺動カムアーム40Rのスライド面46Rとの距離が拡大することから、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとを連結したときには、第2ローラ62Rの通常の移動範囲内では、第2揺動カムアーム40Rの揺動時にスライド面46Rが第2ローラ62Rと干渉することはない。つまり、この場合の第2バルブ4Rの開弁特性は、第2駆動カム24、大リフトアーム72および第2揺動カムアーム40Rの形状および位置関係によって機械的に決まり、制御軸32の回転角度に関係なく常に一定の開弁特性に固定される。
【0071】
これに対し、第1揺動カムアーム40Lには、第1駆動カム22から第1ローラ60および第2ローラ62Lを介してカム軸20の回転運動が伝達される。したがって、制御軸32を回転させて第1ローラ60および第2ローラ62Lのカム軸20に対する位相を変化させることで、第1揺動カムアーム40Lの揺動角幅、初期揺動角度および揺動タイミングは変化する。第1揺動カムアーム40Lの揺動運動はロッカーアーム10Lに伝達されて第1バルブ4Lのリフト運動に変換されるので、この場合の第1バルブの開弁特性は、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとが連結されていない場合と同様、制御軸32の回転角度に連動して変化することになる。
【0072】
図13は、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとが連結されている場合に、本可変動弁装置により実現される各バルブ4L、4Rのリフト量とバルブタイミングとの関係を示すグラフである。図13中、左のグラフが第1バルブ4Lにおけるリフト量とバルブタイミングとの関係を示し、右のグラフが第2バルブ4Rにおけるリフト量とバルブタイミングとの関係を示している。図13に示すように、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとが連結されている場合には、第2バルブ4Rに関しては一定のリフト量およびバルブタイミングに固定され、第1バルブ4Lに関してのみリフト量およびバルブタイミングを可変制御することができる。つまり、大リフトアーム72と揺動カムアーム40Rとを連結することで、片弁可変制御が可能になる。この片弁可変制御では、第2バルブ4Rのリフト量は、第1駆動カム22によって第2揺動カムアーム40Rを揺動させるときの最大設定リフト量以上に固定されるので、図12に示すように、第1バルブ4Lのリフト量を変更して両バルブ4L,4Rのリフト量の差を制御することで、気筒内の混合気の流れを制御(スワール制御)することが可能になる。
【0073】
(4)両弁可変制御と片弁可変制御の切替のための油圧制御
次に、ピン80に供給する油圧の制御について説明する。上記の両弁可変制御から片弁可変制御へ、或いは、片弁可変制御から両弁可変制御への切替えは、ピン80に供給する油圧を制御して大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとを連結し、或いは、連結を解除することによって実現される。
【0074】
図14はピン80を作動させるための油圧系の構成を示す図である。図14では、ピン80、ピン穴86およびピストン82の形状が簡略化して図示されている。図14に示すように、制御軸32内には制御軸32と大リフトアーム72との摺動隙間、および制御軸32と第2揺動カムアーム40Rとの摺動隙間に接続される油路92が形成されている。この油路92の上流にはポンプ100が設けられ、ポンプ100で加圧された潤滑油が油路92を通って制御軸32と各アーム72,40Rとの摺動隙間に供給されるようになっている。本実施形態では、この潤滑油用の油路92と大リフトアーム72内の油圧室88とを別の油路90によって接続している。これにより、油路92を流れる潤滑油の一部が油圧室88に供給され、ピン80に油圧を付与する作動油として機能する。潤滑油用の油路92を作動油用の油路として兼用することで、装置全体の油路の構成を簡素化することができる。
【0075】
図15は、両弁可変制御と片弁可変制御との切り換えマップと、ポンプ100の油圧との関係を示す図である。本実施形態では、図15中の制御切替線よりも低回転・低負荷の領域においては片弁可変制御を行い、それより高回転・高負荷の領域においては両弁可変制御を行う。片弁可変制御によれば、バルブ4Rのリフト量をバルブ4Lより大きくすることができる。このとき、新気は主としてリフト量の大きい片方のバルブ4Rを通って筒内に吸入されるので、筒内に新気のスワール(旋回流)を形成することができる。このスワールにより、低回転・低負荷域での燃焼の改善が図れる。
【0076】
前述した通り、片弁可変制御を行うには、ピン80をピン穴86に挿入する必要がある。そして、ピン80をピン穴86に挿入するには、油圧室88に、ある一定の切換え油圧以上の油圧を作用させる必要がある。油圧室88に切換え油圧以上の油圧が作用した状態で、ピン80とピン穴86との位置を一致させると、ピン80は、リターンスプリング84の付勢力に打ち勝って、ピン穴86に挿入する。
【0077】
一方、ポンプ100は内燃機関によって駆動される。このため、図15に示すように、ポンプ100の発生する油圧はエンジン回転数に比例的に上昇する。ポンプ油圧が切換え油圧以上となる高回転域では、油圧室88にポンプ油圧を作用させることによって、ピン80がピン穴86に挿入した状態を維持することができる。
【0078】
これに対し、ポンプ油圧が切換え油圧を下回る低回転域では、油圧室88の油圧がピン80を押す力よりも、リターンスプリング84がピストン82を介してピン80を押し戻す力の方が強くなる。すなわち、ピン80には、ピン穴86から抜けさせる向きの力が作用する。しかしながら、図15に示すように、ポンプ油圧が切換え油圧を下回る低回転域は、片弁可変制御を行うべき場合が多い。つまり、ポンプ油圧が低い状況下でも、ピン80がピン穴86に挿入した状態を維持しなくてはならない場合がある。
【0079】
本実施形態では、ピン80にくびれ部80aを設けるとともにピン穴86に縮径部86aを設けたことにより、上記の要請を満足することができる。すなわち、本実施形態では、図9に示すように、片弁可変制御状態のとき、テーパー部80cがテーパー部86bに係合して、くびれ部80aが縮径部86aに引っ掛かった状態となっている。この引っ掛かりによって、油圧室88に作用する油圧が小さくなっても、ピン80がピン穴86から抜けることはない。したがって、本実施形態によれば、ポンプ油圧が小さい低回転域においても、片弁可変制御を確実に行うことができる。
【0080】
次に、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとの連結を解除する場合、つまり、ピン80をピン穴86から抜き出す場合の動作について説明する。この場合には、まず、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させることにより、ピン穴86を“第2大リフト位置”へ移動させる。これにより、図9に示す状態から図8に示す状態へと変化して、ピン穴86とピン80との位置が一致する。
【0081】
次いで、油圧室88内の油圧を下げる。図14に示すように、本実施形態の油圧系には、油路92から潤滑油を抜き出すための排出路102と、この排出路102を開閉する電磁弁(排出弁)104とが設けられている。電磁弁104を開弁させると、排出路102から潤滑油が排出され、油路92内を流れる潤滑油の油圧が下がり、油圧室88内の油圧も下がる。その結果、リターンスプリング84が油圧に打ち勝ってピン80を押し戻し、ピン80がピン穴86から抜去される。排出路102には、また、排出路102における電磁弁10の下流にはオリフィス106が配置されている。オリフィス106は、各アーム72,40Rへの潤滑油の供給量として少なくとも最低潤滑油量は確保できるように、排出路102から排出される潤滑油の流量を制限している。
【0082】
ピン80がピン穴86から抜去された後、制御軸32を小リフト側へ回転させて、その回転角度を通常使用範囲内まで戻す。これにより、図7に示す状態に戻り、両弁可変制御が可能となる。
【0083】
本実施形態では、ピン80にテーパー部80cを設けるとともにピン穴86にテーパー部86bを設けたことにより、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとの連結を解除する際の失敗を確実に防止することができる。すなわち、ピン80をピン穴86から抜去する際、両者の中心位置が僅かにずれていた場合であっても、テーパー部80cとテーパー部86bとの接触により、両者の中心位置ずれが自動的に修正される。このため、ピン穴86からのピン80の抜去を失敗なくスムーズに行うことができる。よって、片弁可変制御から両弁可変制御への切替を失敗なく確実に行うことができる。
【0084】
[本実施形態の可変動弁装置のその他の利点]
以上説明した通り、本実施形態の可変動弁装置によれば、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとを連結するだけで、第2バルブ4Rの開弁特性の制御を可変制御から一定制御へ切替えることができ、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとの連結を解除するだけで、第2バルブ4Rの開弁特性の制御を一定制御から可変制御へ切替えることができる。これにより、第1バルブ4Lの開弁特性と第2バルブ4Rの開弁特性を制御軸32の回転角度に連動させてともに変化させることができる両弁可変制御から、第2バルブ4Rの開弁特性を固定した状態で第1バルブ4Lの開弁特性のみを制御軸32の回転角度に連動させて変化させることができる片弁可変制御へ、簡単且つ確実に切替えることができる。逆に、片弁可変制御から両弁可変制御へも簡単且つ確実に切替えることができる。
【0085】
また、本実施形態の可変動弁装置によれば、ピン80をピン穴86に差し込むという極めて簡単な構造で大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとを連結することができる。しかも、制御軸32の回転角度が通常使用範囲内にあるときは、ピン穴86の位置とピン80の位置とは一致しないようになっているので、第2バルブ4Rの可変動作時に誤って一定動作へ切替わってしまうことはない。
【0086】
さらに、上記の“ピン位置”および“第1大リフト位置”は、各アーム40R,72のゼロリフト位置に対応して設けられているので、各アーム40R,72がともに静止した状態でピン80をピン穴86へ差し込むことができる。したがって、本実施形態の可変動弁装置によれば、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとを確実に連結することができる。
【0087】
また、両弁可変制御から片弁可変制御への切替え時、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させるため、第2バルブ4Rのリフト量は通常使用範囲での最大リフト量よりも一時的に増大する。しかし、リフト量の差が吸入空気量に与える影響は大リフト側ほど小さいので、制御切替え時のリフト量の変化によって吸入空気量が大きく変化してしまうことはない。
【0088】
また、両弁可変制御に加えて片弁可変制御を実現するために必要な部品は、固定動弁機構70を構成する大リフトアーム72とアーム連結機構78だけであるので、部品点数の増加を抑えることができるという利点もある。さらに、大リフトアーム72は第2揺動カムアーム40Rの真横に配置され、固定動弁機構70を設けない場合に比較して大リフトアーム72の分だけ軸方向の長さが拡大するだけであるので、装置全体の大型化も抑制されるという利点もある。
【0089】
ところで、上述した実施の形態1では、ピン80を動かす油圧の供給源として、エンジンの回転によって直接に駆動されるエンジン潤滑油ポンプを兼用するものとして説明したが、ピン80を動かすためのポンプ100は、エンジン潤滑油ポンプと別個に設けてもよい。その場合、ポンプ100は、電動で駆動されるものでもよい。ポンプ100を電動駆動とした場合には、ピン80に油圧を作用させる必要のあるときにのみポンプ100を作動させればよいので、エンジンの潤滑と、アーム連結機構78の動作との制御上の干渉を考慮しなくて済む、という利点がある。また、エンジン潤滑油ポンプの方は、ピン80の動作をまかなう必要はないので、潤滑に必要な容量・能力だけを備えていれば足りるという利点もある。
【0090】
また、上述した実施の形態1においては、ピン80が前記第1の発明における「連結ピン」に、第2揺動カムアーム40Rおよび大リフトアーム72が前記第1の発明における「二つの部材」に、ポンプ100が前記第1の発明における「油圧供給源」に、それぞれ相当している。また、ピン80のくびれ部80aおよびテーパー部80c並びにピン穴86の縮径部86aおよびテーパー部86bが前記第1の発明における「連結状態保持手段」および前記第2の発明における「係合部」に相当している。
【0091】
実施の形態2.
次に、図16乃至図18を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、アーム連結機構の構造が異なること以外は、上述した実施の形態1と同様である。図16乃至図18は、それぞれ、本実施形態におけるアーム連結機構110の構造および動作を説明するための模式的な断面図である。
【0092】
図16に示すように、本実施形態のアーム連結機構110は、大リフトアーム72に設置されたピン112を有している。ピン112は、第2揺動カムアーム40Rに向けて出し入れ可能になっている。大リフトアーム72には、第2揺動カムアーム40R側に開口部を有するピン収納穴114が形成され、ピン112はこのピン収納穴114内に嵌め込まれている。ピン収納穴114の奥には、内径がやや小さくなったばね収納穴116が連続して形成されている。ばね収納穴116内には、ピン112を押し出すためのピン押圧スプリング118が配置されている。
【0093】
一方、第2揺動カムアーム40Rには、大リフトアーム72側に開口部を有するピン穴120が形成されている。ピン穴120内には、ピストン122が嵌め込まれている。ピストン122の奥のピン穴120内は、油圧室126となる空間である。この油圧室126には、制御軸32内の油路92に連通する油路124が接続されている。本実施形態では、ピン112、ピン穴120およびピストン122は、いずれも、ほぼ円柱状をなしている。
【0094】
図16は、両弁可変制御時の通常使用範囲内の最大リフト状態を示している。この状態では、上記実施の形態1と同様に、ピン112の位置とピン穴120の位置とが僅かにずらされているので、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが誤って連結されることはない。この両弁可変制御時において、油圧室126内の油圧は、ポンプ油圧より低くされている。
【0095】
両弁可変制御から片弁可変制御へ切り替える際には、上記実施の形態1と同様に、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させることにより、ピン112の位置とピン穴120の位置とを一致させる。そうすると、ピン押圧スプリング118の付勢力により、ピン112がピストン122を押圧する。油圧室126内は油圧が低い状態になっているので、ピン押圧スプリング118の力が油圧に打ち勝ち、ピン112がピン穴120内に挿入する(図17参照)。これにより、揺動カムアーム40Rと大リフトアーム72とはピン112を介して連結され、片弁可変制御状態となる。
【0096】
片弁可変制御から両弁可変制御へ切り替える際には、ポンプ油圧が切換え油圧よりも大きくなるようなエンジン回転数の下で、油圧室126にポンプ油圧を作用させる。これにより、図18に示すように、油圧室126内の油圧がピストン122を介してピン112を押し戻し、ピン112がピン穴120から抜かれる。その後、制御軸32を小リフト側に回転させて通常使用範囲に戻す。すると、ピン穴120の位置がピン112の位置から僅かにずれて、図16に示す姿勢となる。その後、油圧室126の油圧が抜かれる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態では、図17に示す片弁可変制御時において、ピン押圧スプリング118の付勢力によって、ピン112がピン穴120に挿入された状態を維持することができる。したがって、ポンプ油圧が小さくなる低回転域においても、ピン112がピン穴120から抜けるおそれがなく、片弁可変制御を確実に行うことができる。
【0098】
また、上述した実施の形態2においては、ピン112が前記第5の発明における「連結ピン」に、第2揺動カムアーム40Rおよび大リフトアーム72が前記第5の発明における「二つの部材」に、それぞれ相当している。
【0099】
実施の形態3.
次に、図19乃至図22を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、アーム連結機構の構造が異なること以外は、上述した実施の形態1と同様である。図19は、本実施形態におけるアーム連結機構130の模式的な断面図である。
【0100】
本実施形態のアーム連結機構130は、大リフトアーム72に設置されたピン132を有している。ピン132は、第2揺動カムアーム40Rに向けて出し入れ可能になっている。大リフトアーム72には、第2揺動カムアーム40R側に開口部を有する油圧室134が形成され、ピン132はこの油圧室134内に嵌め込まれている。油圧室134には油路90が接続されている。油路90から油圧室134内に作動油が供給されることで、その油圧によりピン132は油圧室134から第2揺動カムアーム40Rに向けて押し出されるようになっている。
【0101】
一方、第2揺動カムアーム40Rには、大リフトアーム72側に開口部を有するピン穴136が形成されている。ピン穴136内には、その奥側からリターンスプリング84とピストン138とが配置されている。ピン132、ピン穴136およびピストン138は、いずれも、ほぼ円柱状をなしている。
【0102】
油圧室134の入口付近の内周部には、ピン132の外周面との隙間を封止するシールリング140が設置されている。これにより、ピン132の外周面と油圧室134の内周面との隙間の油密が確保される。
【0103】
このようなアーム連結機構130は、両弁可変制御時の通常使用範囲内の最大リフト状態においては、図示を省略するが、上記実施の形態1と同様にピン132の位置とピン穴136の位置とが僅かにずらされている。このため、大リフトアーム72と第2揺動カムアーム40Rとが誤って連結されることはない。
【0104】
両弁可変制御から片弁可変制御へ切り替える際には、上記実施の形態1と同様に、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させることにより、ピン132の位置とピン穴136の位置とを一致させる。図20は、制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させた状態でのアーム連結機構130の断面側面図である。
【0105】
図20に示すように、制御軸32の内部には油路92が形成されている。そして、制御軸32の周壁の所定位置には、側孔142が形成されている。制御軸32を通常使用範囲よりも大リフト側に回転させると、側孔142の位置が油路90の位置に一致する。これにより、油路92内の油圧が、側孔142および油路90を通って、油圧室134に伝わる。この油圧により、図21に示すように、ピン132はピストン138をピン穴136の奥に押し込むようにしてピン穴136内に進入する。これにより、揺動カムアーム40Rと大リフトアーム72とはピン112を介して連結され、片弁可変制御の状態となる。
【0106】
片弁可変制御では、一方のバルブ4Lのリフト量および作用角を小さくするべく、制御軸32は、図20に示す回転位置から、小リフト側、つまり図中で時計回りに回転される。これにより、側孔142の位置は、例えば図22に示すような位置となり、油路90と重ならない位置となる。この状態では、油路90の出口は制御軸32の外周面により遮断される。図22中の二点鎖線は、第2駆動カム24のカム山が入力ローラ74を押した状態での大リフトアーム72の姿勢を示している。このように、図22に示す状態では、大リフトアーム72が揺動中に何れの姿勢になったときでも、油路90と側孔142とが一致することはない。また、前述したように、ピン132の外周面と油圧室134の内周面との隙間は、シールリング140により封止されている。このため、油圧室134は密閉状態となり、油圧室134内の油が漏れ出ることのない状態が実現される。よって、本実施形態によれば、片弁可変制御時に、ポンプ油圧の高低にかかわらず、ピン132がピン穴136に挿入された状態を維持することができる。つまり、ポンプ油圧が小さくなる低回転域においても、ピン130がピン穴136から抜けるおそれがないので、片弁可変制御を確実に行うことができる。
【0107】
また、上述した実施の形態3においては、ピン132が前記第1の発明における「連結ピン」に、第2揺動カムアーム40Rおよび大リフトアーム72が前記第1の発明における「二つの部材」に、それぞれ相当している。また、制御軸32の外周面およびシールリング140が前記第1の発明における「連結状態保持手段」および前記第3の発明における「密閉手段」に相当している。また、シールリング140が前記第4の発明における「シール部材」に、制御軸32の外周面が前記第4の発明における「遮断部材」に、それぞれ相当している。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる可変動弁装置の構成を示す側面視図である。
【図2】図1に示す可変動弁装置における可変動弁機構および固定動弁機構の構成を説明するための分解斜視図である。
【図3】図1に示す可変動弁装置におけるアーム連結機構の構成を説明するための分解斜視図である。
【図4】図1に示す可変動弁装置のA−A断面を模式的に示す図である。
【図5】図1に示す可変動弁装置のリフト動作を示す図であり、(A)はバルブの閉弁時、(B)はバルブの開弁時を示している。
【図6】図1に示す可変動弁装置のリフト量の変更動作を示す図であり、(A)は大リフト時、(B)は小リフト時を示している。
【図7】実施の形態1におけるアーム連結機構の詳細な構成および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図8】実施の形態1におけるアーム連結機構の詳細な構成および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図9】実施の形態1におけるアーム連結機構の詳細な構成および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図10】大リフトアームと第2揺動カムアームとが連結されていない場合の可変動弁装置のリフト動作について示す模式図である。
【図11】大リフトアームと第2揺動カムアームとが連結されていない場合の、左右のバルブのバルブタイミングとリフト量との関係を示す図である。
【図12】大リフトアームと第2揺動カムアームとが連結されている場合の可変動弁装置のリフト動作について示す模式図である。
【図13】大リフトアームと第2揺動カムアームとが連結されている場合の、左右のバルブのバルブタイミングとリフト量との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1にかかるピンを作動させるための油圧系の構成を示す図である。
【図15】両弁可変制御と片弁可変制御の切り換えマップと、ポンプ油圧との関係を示す図である。
【図16】実施の形態2におけるアーム連結機構の構造および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図17】実施の形態2におけるアーム連結機構の構造および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図18】実施の形態2におけるアーム連結機構の構造および動作を説明するための模式的な断面図である。
【図19】実施の形態3におけるアーム連結機構の模式的な断面図である。
【図20】実施の形態3におけるアーム連結機構の断面側面図である。
【図21】実施の形態3におけるアーム連結機構の模式的な断面図である。
【図22】実施の形態3におけるアーム連結機構の断面側面図である。
【符号の説明】
【0109】
4 バルブ
6 油圧ラッシャアジャスタ
10 ロッカーアーム
12 ロッカーローラ
20 カム軸
22 第1駆動カム
24 第2駆動カム
30 可変動弁機構
32 制御軸
34 小径ギヤ
36 ロストモーションスプリング
40 揺動カムアーム
42(42a,42b)揺動カム面
46 スライド面
48 バネ座
50 制御アーム
52 大径ギヤ
56 接続ピン
58 中間アーム
60 第1ローラ
62 第2ローラ
64 連結軸
70 固定動弁機構
72 大リフトアーム
74 入力ローラ
78 アーム連結機構
80 ピン
80a くびれ部
80b ヘッド部
80c テーパー部
82 ピストン
82a 小径部
84 リターンスプリング
86 ピン穴
86a 縮径部
86b テーパー部
88 油圧室
90 油路
92 油路
100 ポンプ
104 電磁弁
110 アーム連結機構
112 ピン
114 ピン収納穴
116 ばね収納穴
118 ピン押圧スプリング
120 ピン穴
122 ピストン
124 油路
126 油圧室
130 アーム連結機構
132 ピン
134 油圧室
136 ピン穴
138 ピストン
140 シールリング
142 側孔




 

 


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