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発明の名称 蒸発燃料処理装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−71085(P2007−71085A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−257959(P2005−257959)
出願日 平成17年9月6日(2005.9.6)
代理人 【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
発明者 長内 昭憲
要約 課題
この発明は、内燃機関の蒸発燃料処理装置に関し、空燃比センサや酸素センサを用いたフィードバック制御が開始される以前から、蒸発燃料の多量パージを行いつつ、空燃比の制御精度を常に良好に維持することを目的とする。

解決手段
内燃機関の吸気通路に供給する蒸発燃料を蓄えるキャニスタを設ける。内燃機関の始動と共に、蒸発燃料のパージを開始する。始動後に実行された吸気回数を計数し、その回数に応じた基準の機関回転数NEBSを求める(ステップ114)。現実の機関回転数NEと基準回転数NEBSとの差に基づいてISC流量の補正量KQNEを求める(ステップ116)。KQNEを用いてISC流量に増減補正を施す(ステップ118)。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動後に実行された吸気回数を計数する吸気回数計数手段と、
機関回転数を検出する回転数検出手段と、
前記吸気回数と、前記機関回転数との関係に基づいて、前記吸気通路内の燃料濃度と関連を有する燃料濃度関連値を求める燃料濃度関連値算出手段と、
を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記燃料濃度関連値算出手段は、
前記吸気回数に基づいて機関回転数の基準回転数を求める基準回転数算出手段と、
前記基準回転数と現実の機関回転数との差を回転数偏差として算出する回転数偏差算出手段とを備え、
前記偏差に基づいて前記燃料濃度関連値を求めることを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段を備え、
前記燃料濃度関連値は、前記ISC流量を補正するためのISC補正量であることを特徴とする請求項1又は2記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記燃料濃度関連値算出手段は、
機関回転数が初爆判定回転数に達した際に初爆の発生を判定する初爆発生判定手段を備え、
初爆の発生が判定されるまでに要した初爆前吸気回数に基づいて、前記燃料濃度関連値を求めることを特徴とする請求項1記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動後に実行された吸気回数を計数する吸気回数計数手段と、
初爆の発生を判定する初爆発生判定手段と、
初爆の発生が判定されるまでに要した初爆前吸気回数に基づいて、前記吸気通路内の燃料濃度と関連を有する燃料濃度関連値を求める燃料濃度関連値算出手段と、
を備えることを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段を備え、
前記燃料濃度関連値は、前記ISC流量を補正するためのISC補正量であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が多いほど、前記ISC流量が少なくなるように、前記ISC補正量を決定するISC補正量決定手段と、を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
前記ISC補正量決定手段は、初爆が得られた後に、前記ISC流量が徐々に多くなるように、前記ISC補正量を更新するISC補正量更新手段を備えることを特徴とする請求項6記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項8】
前記始動時供給手段は、前記ISC補正量が更新されるのに伴って、単位吸気負圧当たりのエバポレーションガスの供給量を決める供給量制御値を徐々に増加させる供給量制御値増加手段を含むことを特徴とする請求項7記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項9】
前記燃料濃度関連値は、単位吸気負圧当たりのエバポレーションガスの供給量を決める供給量制御値を補正するためのガス供給量補正値であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が大きいほど、前記供給量制御値が多くなるように、前記ガス供給量補正値を決定するガス供給量補正値決定手段と、を含むことを特徴とする請求項4乃至8の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項10】
前記ガス供給量補正値決定手段は、初爆が得られた後に、前記供給量制御値が徐々に小さくなるように前記ガス供給量補正値の更新値を算出するガス供給量更新手段を備えることを特徴とする請求項9記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項11】
前記ガス供給量決定手段は、
初爆の発生が判定された時点で決定された前記ガス供給量補正値の初期値に基づいて、前記供給量補正値に施す定常補正値を算出する定常補正値算出手段と、
前記初期値を超えない範囲で、前記更新値と前記定常補正値との和を、前記ガス供給量補正値の最終値とする最終値算出手段と、
を含むことを特徴とする請求項10記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項12】
前記燃料濃度関連値は、内燃機関の点火時期を補正するための点火時期補正値であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が大きいほど、前記点火時期が進角されるように、前記点火時期補正値を決定する点火時期補正値決定手段と、を含むことを特徴とする請求項4乃至11の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項13】
前記点火時期補正値決定手段は、初爆が得られた後に、前記点火時期が徐々に遅角されるように前記点火時期補正値を更新する点火時期更新手段を備えることを特徴とする請求項12記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項14】
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動に結びつかなかったクランキングの履歴を記憶するクランキング履歴記憶手段と、
内燃機関の始動時に、前記履歴が存在する場合は、吸気通路に燃料が残存していると判断する燃料残存判断手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量に減量補正を施すガス供給量減量手段と、
を含むことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
【請求項15】
前記燃料濃度関連値は、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対して現実の初爆前吸気回数が不足しているか否かを判断する回数不足判断手段と、
前記不足が判断された場合に、吸気通路に燃料が残存していると判断する燃料残存判断手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量に減量補正を施すガス供給量減量手段と、を含むことを特徴とする請求項4乃至13の何れか1項記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項16】
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるISC流量に増量補正を施すISC流量増量手段と、
を備えることを特徴とする請求項14または15記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項17】
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の点火時期に遅角を施す点火時期遅角手段を備えることを特徴とする請求項16記載の蒸発燃料処理装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸発燃料処理装置に係り、特に、内燃機関に対して、始動時にエバポレーションガスを供給するうえで好適な蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば実開平6−37548号公報に開示されているように、燃料タンク内で発生するエバポレーションガス(蒸発燃料)をキャニスタで捕獲することにより、エミッション特性の改善を図るシステムが知られている。このシステムにおいて、キャニスタに捕獲された蒸発燃料は、内燃機関の運転中に吸気通路に吸引され、燃料として用いられる。
【0003】
特に、このシステムは、内燃機関の始動時に、通常時に比して多量の蒸発燃料を吸気通路に吸入させる。蒸発燃料は、既に気化しているため、低温環境下でも良好な燃焼性を示す。このため、上記従来のシステムによれば、内燃機関のエミッション特性に加えて、内燃機関の始動性をも改善することができる。
【0004】
【特許文献1】実開平6−37548号公報
【特許文献2】特開平9−42078号公報
【特許文献3】特開平8−200166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、内燃機関に対する燃料供給量は、通常、排気通路に配置した空燃比センサや酸素センサの出力を用いてフィードバック制御される。しかし、空燃比センサや酸素センサは、内燃機関の始動後、活性温度に加熱されるまでは適正に機能することができない。このため、内燃機関の始動直後は、燃料供給量をフィードバック制御によって精度良く制御することはできない。
【0006】
上述した従来のシステムは、内燃機関の始動時に、キャニスタ内の蒸発燃料を多量にパージする。パージによって供給される燃料量は、キャニスタに捕獲されている燃料量や、吸気負圧の大きさ等により大きく変動する。そして、フィードバック制御が開始されていない状況下で、蒸発燃料を多量にパージしようとすれば、目標とする燃料供給量と、現実の燃料供給量との間に大きな誤差が生じ易い。この点、上記従来のシステムは、内燃機関に対して常に良好な始動性及びエミッション特性を付与し得るものではなかった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、空燃比センサや酸素センサを用いたフィードバック制御が開始される以前から、蒸発燃料の多量パージを行いつつ、空燃比の制御精度を常に良好に維持することのできる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動後に実行された吸気回数を計数する吸気回数計数手段と、
機関回転数を検出する回転数検出手段と、
前記吸気回数と、前記機関回転数との関係に基づいて、前記吸気通路内の燃料濃度と関連を有する燃料濃度関連値を求める燃料濃度関連値算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
前記吸気回数に基づいて機関回転数の基準回転数を求める基準回転数算出手段と、
前記基準回転数と現実の機関回転数との差を回転数偏差として算出する回転数偏差算出手段とを備え、
前記偏差に基づいて前記燃料濃度関連値を求めることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段を備え、
前記燃料濃度関連値は、前記ISC流量を補正するためのISC補正量であることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第1の発明において、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
機関回転数が初爆判定回転数に達した際に初爆の発生を判定する初爆発生判定手段を備え、
初爆の発生が判定されるまでに要した初爆前吸気回数に基づいて、前記燃料濃度関連値を求めることを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明は、蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動後に実行された吸気回数を計数する吸気回数計数手段と、
初爆の発生を判定する初爆発生判定手段と、
初爆の発生が判定されるまでに要した初爆前吸気回数に基づいて、前記吸気通路内の燃料濃度と関連を有する燃料濃度関連値を求める燃料濃度関連値算出手段と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明は、第4又は第5の発明において、
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段を備え、
前記燃料濃度関連値は、前記ISC流量を補正するためのISC補正量であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が多いほど、前記ISC流量が少なくなるように、前記ISC補正量を決定するISC補正量決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記ISC補正量決定手段は、初爆が得られた後に、前記ISC流量が徐々に多くなるように、前記ISC補正量を更新するISC補正量更新手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第8の発明は、第7の発明において、前記始動時供給手段は、前記ISC補正量が更新されるのに伴って、単位吸気負圧当たりのエバポレーションガスの供給量を決める供給量制御値を徐々に増加させる供給量制御値増加手段を含むことを特徴とする。
【0016】
また、第9の発明は、第4乃至第8の発明の何れかにおいて、
前記燃料濃度関連値は、単位吸気負圧当たりのエバポレーションガスの供給量を決める供給量制御値を補正するためのガス供給量補正値であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が大きいほど、前記供給量制御値が多くなるように、前記ガス供給量補正値を決定するガス供給量補正値決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、第10の発明は、第9の発明において、前記ガス供給量補正値決定手段は、初爆が得られた後に、前記供給量制御値が徐々に小さくなるように前記ガス供給量補正値の更新値を算出するガス供給量更新手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第11の発明は、第10の発明において、
前記ガス供給量決定手段は、
初爆の発生が判定された時点で決定された前記ガス供給量補正値の初期値に基づいて、前記供給量補正値に施す定常補正値を算出する定常補正値算出手段と、
前記初期値を超えない範囲で、前記更新値と前記定常補正値との和を、前記ガス供給量補正値の最終値とする最終値算出手段と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
また、第12の発明は、第4乃至第11の発明の何れかにおいて、
前記燃料濃度関連値は、内燃機関の点火時期を補正するための点火時期補正値であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出する過多吸気回数算出手段と、
前記過多回数が大きいほど、前記点火時期が進角されるように、前記点火時期補正値を決定する点火時期補正値決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、第13の発明は、第12の発明において、前記点火時期補正値決定手段は、初爆が得られた後に、前記点火時期が徐々に遅角されるように前記点火時期補正値を更新する点火時期更新手段を備えることを特徴とする。
【0021】
また、第14の発明は、蒸発燃料処理装置であって、
内燃機関の吸気通路に供給するためのエバポレーションガスを発生するエバポ発生手段と、
内燃機関の始動と共に、前記エバポレーションガスを吸気通路に供給し始める始動時供給手段と、
内燃機関の始動に結びつかなかったクランキングの履歴を記憶するクランキング履歴記憶手段と、
内燃機関の始動時に、前記履歴が存在する場合は、吸気通路に燃料が残存していると判断する燃料残存判断手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量に減量補正を施すガス供給量減量手段と、
を含むことを特徴とする。
【0022】
また、第15の発明は、第14の発明において、
前記燃料濃度関連値は、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量であり、
前記燃料濃度関連値算出手段は、
基準の初爆前吸気回数に対して現実の初爆前吸気回数が不足しているか否かを判断する回数不足判断手段と、
前記不足が判断された場合に、吸気通路に燃料が残存していると判断する燃料残存判断手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるエバポレーションガスの供給量に減量補正を施すガス供給量減量手段と、を含むことを特徴とする。
【0023】
また、第16の発明は、第14の発明において、
アイドル時の吸入空気量であるISC流量を制御するアイドルスピードコントロール手段と、
前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の始動時におけるISC流量に増量補正を施すISC流量増量手段と、
を備えることを特徴とする。
【0024】
また、第17の発明は、第16の発明において、前記燃料の残存が判断された場合に、内燃機関の点火時期に遅角を施す点火時期遅角手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
第1の発明によれば、内燃機関の始動と共に、エバポレーションガスを吸気通路に供給し始めると共に、始動後の吸気回数と機関回転数との関係に基づいて、吸気通路内の燃料濃度と関連を有する燃料濃度関連値を求めることができる。このため、本発明によれば、空燃比センサや酸素センサが活性する以前から、エバポレーションガスの多量パージを行いつつ、燃料濃度関連値を用いて、吸気通路内の燃料濃度を精度良く制御することができる。
【0026】
第2の発明によれば、吸気回数との関係で定まる基準回転数と、現実の機関回転数との間に生じている回転数偏差を算出することができる。現実の機関回転数は、吸気通路内の燃料濃度に応じた値となる。従って、上記の回転数偏差は、その燃料濃度と相関を有している。本発明によれば、その回転数偏差に基づいて、燃料濃度関連値を精度良く求めることができる。
【0027】
第3の発明によれば、燃料濃度関連値としてISC補正量を算出することができる。吸気通路内の燃料濃度に応じた適正なISC補正量が算出されると、アイドル時の吸入空気量が適正に増減されるため、燃料濃度は標準濃度に近づく。このため、本発明によれば、吸気通路内の燃料濃度を精度良く標準濃度の近傍に制御することができる。
【0028】
第4の発明によれば、機関回転数が初爆判定回転数に達するまでの吸気回数を初爆前吸気回数として計数することができる。初爆前吸気回数は、吸気通路内の燃料濃度が濃いと少なくなり、その濃度が薄いと多くなる。本発明によれば、初爆前吸気回数に基づいて、燃料濃度関連値を精度良く求めることができる。
【0029】
第5の発明によれば、内燃機関の始動後、初爆が生ずるまでの吸気回数を初爆前吸気回数として計数することができる。初爆前吸気回数は、吸気通路内の燃料濃度が濃いと少なくなり、その濃度が薄いと多くなる。本発明によれば、初爆前吸気回数に基づいて、燃料濃度関連値を精度良く求めることができる。
【0030】
第6の発明によれば、基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数を算出することができる。過多回数は、吸気通路内の燃料濃度が薄いほど多くなる。また、本発明によれば、過多回数が多いほど、ISC流量を少なくして、空気の流通量を減らし、かつ、吸気負圧を大きくすることができる。空気の流通量が減れば、相対的に燃料の比率が上がり吸気通路の燃料濃度が上昇する。また、吸気負圧が増えれば、エバポレーションガスのパージ量が増えて吸気通路内の燃料量自体も増加する。このため、本発明によれば、吸気通路内の燃料濃度が低い場合に、その濃度を速やかに高めることができる。
【0031】
第7の発明によれば、初爆が生じた後に、ISC流量を徐々に増やすことにより、始動の直後に一旦減量されたISC流量を、徐々に標準値に戻すことができる。初爆の発生後は、吸気負圧が立ち上がるため、ISC流量を絞らなくても吸気通路内の燃料濃度は適正値に上昇し易い。他方、この段階でISC流量が絞られると、空気量が不足し、適正トルクが得られない事態が生じ得る。本発明によれば、このような事態の発生を有効に回避することができる。
【0032】
第8の発明によれば、ISC補正量の更新に伴い、ISC流量が標準値に向けて増量される過程で、エバポレーションガスの供給量を徐々に増加させることができる。このため、本発明によれば、ISC流量の増量に起因して、吸気通路内の燃料濃度が薄くなるのを有効に阻止することができる。
【0033】
第9の発明によれば、基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数多いほど、エバポレーションガスの供給量を増やして吸気通路の燃料濃度を上げることができる。このため、本発明によれば、吸気通路内の燃料濃度が低い場合に、その濃度を速やかに高めることができる。
【0034】
第10の発明によれば、始動の直後に一旦増量された供給量制御値を、初爆が生じた後に、徐々に標準値に向けて減らすことができる。初爆の発生後は、吸気負圧が立ち上がるため、供給量制御値を大きな値にしなくても、エバポレーションガスの供給量を十分に確保することができる。本発明によれば、このような処理を行うことにより、初爆の後に、エバポレーションガスの供給量が過大になるのを有効に阻止することができる。
【0035】
第11の発明によれば、初爆の発生が判定された時点でガス供給量補正値の初期値を特定し、その初期値に基づいて、定常補正値を算出することができる。上記の初期値は、現在の状況下での、エバポレーションガスの供給量の過不足傾向を表している。従って、本発明によれば、その過不足傾向を定常補正値に反映させることができる。そして、本発明によれば、その定常補正値をガス供給量補正値に反映させることにより、初爆の後においても、上記の過不足傾向が相殺されるように、エバポレーションガスを供給することができる。
【0036】
第12の発明によれば、基準の初爆前吸気回数に対する、現実の初爆前吸気回数の過多回数多いほど、点火時期を進角させることができる。初爆前吸気回数の過多回数は、吸気通路内の燃料濃度が薄い場合に計数される。そして、燃料濃度が薄い場合は、爆発行程において燃焼の遅れが生じ易い。本発明によれば、この場合に、点火時期を進角させることにより、燃焼遅れの影響を小さくすることができる。
【0037】
第13の発明によれば、始動の直後に一旦進角された点火時期を、初爆の発生後に徐々に標準時期に向けて遅角させることができる。初爆の発生後は、吸気負圧の立ち上がりに伴い、吸気通路内の燃料不足が解消され、燃焼遅れの問題も解消され易い。本発明によれば、上記の処理を行うことで、不必要に点火時期が進角位置に固定されるのを避けることができる。
【0038】
第14の発明によれば、内燃機関の始動に結びつかなかったクランキングの履歴を記憶することができる。このようなクランキングが実行されると、吸気通路の内部には、そのクランキングに伴って供給されたエバポレーションガスが残存する。本発明によれば、この場合、始動時におけるエバポレーションガスの供給量が減量されるため、燃料供給量が過大になるのを有効に避けることができる。
【0039】
第15の発明によれば、基準の初爆前吸気回数に対して現実の初爆前吸気回数が不足していた場合は、内燃機関の始動が開始される時点で、吸気通路に燃料が残存していたと判断される。そして、この場合は、始動時におけるエバポレーションガスの供給量に減量補正を施すことができる。このため、本発明によれば、始動時に燃料供給量が過大になるのを有効に避けることができる。
【0040】
第16の発明によれば、内燃機関の始動時に燃料の残存が判断された場合に、ISC流量を増やすことができる。ISC流量が増えると、空気の流通量が増えるため、燃料リッチの状態を解消することができる。このため、本発明によれば、始動時における空燃比の制御精度を向上させることができる。
【0041】
第17の発明によれば、内燃機関の始動時に燃料の残存が判断された場合に、つまり、その判断に起因してISC流量が増量される場合に、内燃機関の点火時期に遅角を施すことができる。内燃機関のトルクは、空気量の増加に伴って大きくなり、点火時期の遅角に伴って小さくなる。本発明によれば、ISC流量の増量に合わせて点火時期を遅角させることができるため、トルクの変化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1(A)は、本発明の実施の形態1の機械的な構成を説明するための図である。また、図1(B)は、本実施形態のシステムの電気的な構成を説明するための図である。図1(A)に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、複数の気筒を備えている。以下、説明の便宜上、内燃機関10は4気筒式の機関であるものとする。
【0043】
4つの気筒には、それぞれ、吸気ポートを開閉する吸気弁12、および排気ポートを開閉する排気弁14が組み込まれている。図1(A)は、それらの気筒の一つを示している。個々の気筒の吸気ポートには、吸気マニホールド16の枝管が連通している。4気筒分の枝管は、一端において集合し、サージタンク18に連通している。サージタンク18の上流には、吸気通路の導通状態を制御するスロットル弁20が配置されている。
【0044】
スロットル弁20は、外部からの指令信号を受けて所望のスロットル開度TAを実現する電子制御式の弁機構である。例えば、内燃機関10の運転中、アクセルペダルが開放されている場合は、スロットル弁20に対してアイドル運転に必要な空気量を流通させるための指令信号が与えられる。以下、このような状況下で実現される吸入空気量を「ISC(Idle Speed Control)流量」と称す。
【0045】
内燃機関10は、気筒毎に燃料噴射弁22を備えている。燃料噴射弁22は、個々の気筒の吸気ポートに燃料を噴射することができる。吸気ポートの近傍には、パージ通路24が連通している。パージ通路24は、気筒毎に準備されており、それぞれD-VSV26を備えている。D-VSV26は、デューティ信号を受けて開閉する制御弁である。D-VSV26によれば、パージ通路24の導通状態を実質的に制御することができる。
【0046】
4気筒分のパージ通路24は、何れもキャニスタ28に連通している。キャニスタ28は、その内部に活性炭を内蔵していると共に、ベーパ流入孔30と、大気孔32とを備えている。ベーパ流入孔30は、図示しないベーパ通路を介して燃料タンクに連通している。大気孔32は、図1(A)に示すように大気と連通している。
【0047】
燃料タンクの内部には、エバポレーションガス(蒸発燃料)を含むガスが存在している。このガスは、例えば給油の際にベーパ流入孔30からキャニスタ28内部に流入する。この際、キャニスタ28は、ガス中に含まれる蒸発燃料を吸着し、空気のみを大気孔32から流出させる。その結果、キャニスタ28は、蒸発燃料を吸着した状態となる。
【0048】
本実施形態のシステムは、内燃機関10の運転中に個々の気筒のD-VSV26を適当に開弁させることができる。内燃機関10の運転中は吸気負圧が発生する。D-VSV26が開弁すると、その負圧がキャニスタ28に導かれる。その結果、キャニスタ28の内部には、大気孔32から流入した空気の流れが発生し、その空気の流れにより蒸発燃料がパージされる。本実施形態のシステムは、キャニスタ28に吸着されている蒸発燃料を、このようにして個々の気筒に流入させることができる。
【0049】
内燃機関10の排気通路には、排気ガスを浄化するための触媒34が設けられている。触媒34の上流及び下流には、それぞれ、空燃比センサ36と酸素センサ38が配置されている。空燃比センサ36は、所定の活性温度に加熱されることにより、その周囲を流れる排気ガスの空燃比に応じた出力を発するセンサである。一方、酸素センサ38は、所定の活性状態に加熱されることにより、その周囲を流れる排気ガスの空燃比に応じて、リッチ出力またはリーン出力を発するセンサである。
【0050】
空燃比センサ36によれば、内燃機関10から排出されてくる排気ガスがどのような空燃比を有するものであるかを正確に計測することができる。また、酸素センサ38によれば、触媒34の下流にリッチガス或いはリーンガスが吹き抜けてきた場合に、それらの吹き抜けを精度良く検知することができる。このため、これらのセンサが適正な出力を発する状況下では、それらの出力を燃料供給量にフィードバックさせることにより、高精度な空燃比制御を実現することが可能である。
【0051】
図1(B)に示すように、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40には、上述した空燃比センサ36や酸素センサ38に加えて、イグニッションスイッチ(IG)42、スタータスイッチ44、クランク角センサ46、および水温センサ48が接続されている。また、ECU40には、♯1気筒〜♯4気筒に配置されたD-VSV26が接続されている。
【0052】
クランク角センサ46は、クランク軸が30°CA回転する毎にパルス信号を発生すると共に、♯1気筒のピストンが吸気上死点を通過する際、および♯4気筒のピストンが吸気上死点を通過する際に気筒判別信号を発生する。ECU40は、内燃機関10の始動後、♯4気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号を受信すると、その時点で、クランク角が0°CAであると認識する。また、♯1気筒が吸気上死点に達したことを表す気筒判別信号を受信すると、その時点で、クランク角を360°CAと認識する。以下、このようにしてクランク角を認識することを「気筒判別」と称する。
【0053】
以上説明した通り、ECU40は、内燃機関10の始動後、♯1気筒或いは♯4気筒が吸気上死点に達するタイミングにおいて気筒判別を終えることができる。そして、気筒判別が終わると、以後、30°CA毎に発せられるパルス信号をカウントすることにより、ECU40は、クランク軸の回転位置を特定し続けることができる。
【0054】
[実施の形態1の特徴]
本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動時には、燃料噴射弁22による燃料供給を行わず、キャニスタ28に吸着されている蒸発燃料を内燃機関10に吸入させる。キャニスタ28から供給される蒸発燃料は、既に気化しているため、内燃機関10が冷間始動される場合においても良好な燃焼性を示す。このため、蒸発燃料を用いて始動を図ることとすると、噴射燃料により始動を図る場合に比して、良好な始動性を得るうえで有利な状況を作り出すことができる。
【0055】
しかしながら、内燃機関10の始動直後は、空燃比センサ36及び酸素センサ38が、未だ活性温度に到達していない。従って、始動時には、それらのセンサ出力に基づいて蒸発燃料の供給量をフィードバック制御することはできない。
【0056】
また、本実施形態のシステムによれば、キャニスタ28から内燃機関10に供給される蒸発燃料の量は、主として、D-VSV26の開き具合(開度や開弁時間)、キャニスタ28内の燃料吸着状態、及び、吸気負圧の大きさによって決定される。そして、これらの要素に基づいて、蒸発燃料の供給量を正確にフィードフォワード制御することは、必ずしも容易なことではない。
【0057】
他方、内燃機関10の始動時に、正確な制御を伴うことなく蒸発燃料が供給されるとすれば、燃料供給量の不足に起因する始動性の悪化や、燃料供給量の過多に起因するエミッション特性の悪化が引き起こされる。このため、本実施形態のシステムにおいて、常に良好な始動性及びエミッション特性を実現するためには、空燃比センサ36や酸素センサ38が未活性の状況下で、優れた空燃比精度が維持できるように、蒸発燃料の供給量を制御することが必要である。
【0058】
[実施の形態1における具体的処理]
図2は、上記の要求を満たすために、本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中を問わず、所定の周期で起動されるものとする。より具体的には、例えば、内燃機関10の停止中には所定時間毎に起動され、内燃機関10の始動後は所定のクランク角毎に起動されるものとする。
【0059】
図2に示すルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ100)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、内燃機関10に対する燃料供給を停止する必要があるため、蒸発燃料のパージを停止する処理が実行された後(ステップ102)、今回の処理サイクルが終了される。
【0060】
一方、IGスイッチ42がONであると判別された場合は、次に、クランキングの実行中であるか、つまり、スタータスイッチ44がONであるかが判別される(ステップ104)。IGスイッチ42がONとされ、更にクランキングが開始された後は、クランキングが終了するまで、本ステップ104において、クランキングが実行中であると判断される。この場合、次に、「始動モード」の実行を表すフラグがセットされる(ステップ106)。
【0061】
「始動モード」は、停止状態にある内燃機関10を、蒸発燃料を用いて安定したアイドル運転状態に移行させるためのモードである。本実施形態では、始動モードは、クランキングの開始と同時に開始され、初爆の発生後、内燃機関10において所定サイクル数の動作が繰り返された時点で終了される。
【0062】
IGスイッチ42がONとされた後、クランキングが開始されるまでの間(つまり、内燃機関10の停止中)は、上記ステップ104において、クランキングが実行中でないとの判断がなされる。この場合、ステップ104の処理に次いで、始動モードのフラグがONであるかが判断される(ステップ108)。この段階では、未だこのフラグがONとされていないため、ステップ108の条件が成立せず、次に、通常の燃料噴射制御が実行される(ステップ110)。ここでは、内燃機関10が停止しているため、実質的には何ら処理が行われることなく処理サイクルが終了される。
【0063】
クランキングが終了し、更に、始動モードが終了した後も、ステップ104→ステップ108→ステップ110の順で処理が進められる。この場合、内燃機関10が既に動作を開始しているため、その動作に合わせて、燃料噴射弁22からの燃料噴射が実行される(蒸発燃料のパージを併用してもよい)。
【0064】
クランキングの開始後、始動モードが終了されるまでの間は、図2に示すルーチンが起動される毎に、ステップ108において、「始動モード中?」の判定が肯定される。この場合、次に、蒸発燃料をパージするための基準設定が行われる(ステップ112)。
【0065】
ステップ112では、具体的には、(1)パージONクランク角の設定と、(2)パージON時間TVSVの設定とが行われる。「パージONクランク角」は、個々の気筒において、D-VSV26を開くクランク角である。また、「パージON時間TVSV」は、個々の気筒において、D-VSV26を開弁状態に維持しておくべき時間である。
【0066】
内燃機関10の個々の気筒は、その気筒の吸気弁12が開いている間に限って吸気通路16内の蒸発燃料を吸入することができる。従って、個々の気筒のD-VSV26は、対応する気筒の吸気弁12が閉じる以前に所望量の蒸発燃料がパージできるように開弁させる必要がある。また、D-VSV26が開いている間にパージされる蒸発燃料の量は、吸気負圧の大きさに応じて変化し、他方、内燃機関10の始動時には、特に初爆の発生前後において、吸気負圧に大きな変化が生ずる。このため、パージON時間TVSVは、個々のD-VSV26が開く時点でどの程度の吸気負圧が発生しているかを考慮したうえで決定する必要がある。
【0067】
上記の要求に応えてD-VSV26の開弁時期を、各気筒の吸気弁12の動作と同期させるためには、吸気弁12の状態が把握できていることが必要である。そして、本実施形態のシステムでは、気筒判別が終了することにより、その状態の把握が可能となる。このため、このシステムは、気筒判別の終了後に、個々の気筒で順次吸気行程が実行されるのに合わせて各気筒のD-VSV26を開弁させる。
【0068】
上記の処理により、個々の気筒に十分な量の蒸発燃料が吸入されるとすれば、気筒判別の後、内燃機関10において始めて実行される吸気行程において、何れかの気筒内に適量の燃料が吸入される。以下、この気筒を「第1吸入気筒」と称す。内燃機関10において2度目の吸気が行われる間は、第1吸入気筒で圧縮行程が行われる。そして、内燃機関10において3度目の吸気が開始される頃に、第1吸入気筒のピストンは、圧縮上死点近傍に到達する。
【0069】
本実施形態のシステムは、気筒判別の終了と共に、各気筒における点火処理を開始することとしている。このため、第1吸入気筒では、3度目の吸気が開始される時点で、爆発行程が行われる。つまり、上記の作動例によれば、本実施形態のシステムでは、気筒判別の終了後、3度目の吸気が開始される時点で内燃機関10に初爆が発生し、その後に機関回転数NEに急激な立ち上がりが生ずることになる。
【0070】
吸気負圧は、クランキングの開始後、初爆が発生するまでは緩やかな変化を示し、初爆の発生後、機関回転数NEが立ち上がるのと同期して急激な立ち上がりを示す。従って、本実施形態のシステムでは、気筒判別後に実行された吸気の回数との関係で、吸気負圧がどの程度の値になるかをある程度推定することが可能である。そして、吸気負圧が特定できれば、所望の蒸発燃料量をパージさせるために必要なパージON時間TVSVを、ある程度の精度で設定することが可能である。従って、本実施形態のシステムでは、所望の蒸発燃料をパージさせるためのパージON時間TVSVを気筒判別後の吸気回数との関係で定めておくことが可能である。
【0071】
ECU40は、それらの関係を定めたマップを記憶している。上記ステップ112では、より具体的には、先ず、気筒判別後の吸気回数が検出される。次いで、その吸気回数に対応するパージON時間TVSVが上記のマップから読み出される。最後に、対応気筒の吸気弁12が閉じる前にパージON時間TVSVを完了させるためのパージONクランク角が設定される。これらの処理によれば、内燃機関10の始動時において、個々の気筒に対して、ある程度の精度で所望量の蒸発燃料を供給することが可能である。
【0072】
上記の処理が終わると、次に、内燃機関10の基準回転数NEBSが算出される(ステップ114)。上述した通り、本実施形態のシステムでは、気筒判別の後、3回目の吸気が行われる時点で初爆が発生し、その後、機関回転数NEがアイドル回転数に向けて立ち上がる。始動時の吸入空気量は正確に制御されている(ISC流量)ため、混合気の空燃比が特定されていれば、この際の機関回転数NEは、吸気回数との関係で特定することができる。
【0073】
図2においてステップ114の枠中に示すマップは、内燃機関10に対する供給ガスが理論空燃比である場合に実現される機関回転数NE(ここでは、この回転数NEを「基準機関回転数NEBS」という)と、気筒判別後の吸気回数との関係を定めたマップである。基準回転数NEBSは、厳密には、内燃機関10の暖機状態(冷却水温度THW)や、内燃機関10の負荷状態に応じて変化する。ステップ114の枠中には、特定の冷却水温THW下で適用するべき3種類のマップ、具体的には、(1)特別な負荷が生じていない状況下で用いるべきベースのマップ、(2)電気負荷(オルタネータの負荷)の発生時に用いるべきマップ、及び(3)エアコンディショナの稼働時に用いるべきマップが示されている。ECU40は、冷却水温THW毎に、これら3種類のマップを記憶している。上記ステップ114では、具体的には、先ず、それらのマップの中から、現在の冷却水温THWや負荷状況に対応する最適なマップが特定され、次いで、そのマップに従って、現在の吸気回数に対する基準回転数NEBSが算出される。
【0074】
基準回転数NEBSは、混合気が理論空燃比である場合に、現在の吸気回数に対して実現されるべき回転数NEである。現実の機関回転数NEは、混合気がリーンであると、基準回転数NEBSより低くなり、他方、混合気がリッチであると基準回転数NEBSより高くなる。従って、現実の機関回転数NEが基準回転数NEBSより高ければ、混合気がリッチであり、NEがNEBSより低ければ混合気がリーンであると判断できる。
【0075】
始動時に供給される混合気は、キャニスタ28から供給される蒸発燃料量が、予定量より多い場合にリッチとなる。この場合、吸気通路18を流れる空気量を増やすことにより、或いは蒸発燃料の供給量を減らすことにより混合気を理論空燃比に近づけることができる。本実施形態のシステムでは、ISC流量を増やせば、空気量を増やすことができ、かつ、吸気負圧を減らすことができる。吸気負圧が減ると、キャニスタ28から流出する蒸発燃料量は減少する。このため、混合気がリッチである場合にISC流量を増やせば、混合気を理論空燃比に近づけることができる。
【0076】
これに対して、混合気の空燃比は、キャニスタ28から供給される蒸発燃料量が、予定量より少ない場合にリッチとなる。この場合、吸気通路18を流れる空気量を減らすか、或いは蒸発燃料の供給量を増やすかによりその空燃比を理論空燃比に近づけることができる。本実施形態のシステムでは、ISC流量を減らせば、空気量を減らし、かつ、吸気負圧を大きくすることができる。吸気負圧が大きくなれば、キャニスタ28から流出する蒸発燃料量が増加し、燃料の供給量は増える。このため、混合気がリーンである場合にISC流量を減らせば、混合気を理論空燃比に近づけることができる。
【0077】
図2に示すルーチンでは、ステップ114の処理に次いで、ISC補正量KQNEが算出される(ステップ116)。ステップ116中には、この算出に用いるためのマップが示されている。このマップには、機関回転数NEと基準回転数NEBSとの差「DLNE=NE−NEBS」との関係で、ISC補正量KQNEが定められている。具体的には、このマップによれば、上記の差DLNEが「0」近傍の値である場合はISC補正量KQNEが「1.0」とされる。また、DLNEが、0より十分に大きな値である場合は、その値が大きいほど、KQNEは1.0より大きな値とされる。そして、DLNEが0より十分に小さな値である場合は、その値が小さくいほど、KQNEは1.0より小さな値とされる。
【0078】
上記の処理が終わると、次に、以下に示す演算式に従ってISC流量QCALが設定される(ステップ118)。但し、QCALBSは、既定の基準ISC流量である。
QCAL=QCALBS*KQNE ・・・(1)
【0079】
上記の処理によれば、機関回転数NEに基づいて、混合気がリッチである場合は、ISC流量QCALを基準ISC流量QCALBSより多くして、その空燃比を理論空燃比に近づけることができる。また、混合気がリーンである場合は、ISC流量QCALを基準ISC流量QCALBSより少なくして、混合気を理論空燃比に近づけることができる。このように、図2に示すルーチンによれば、空燃比センサ36や酸素センサ38の出力に頼ることなく、蒸発燃料の多量パージを行いながら、高精度な空燃比制御を実現することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、良好なエミッション特性を維持しながら、内燃機関10に対して極めて優れた始動性を付与することができる。
【0080】
ところで、上述した実施の形態1においては、蒸発燃料の供給源をキャニスタ28としているが、その供給源はキャニスタ28に限定されるものではない。例えば、燃料タンク内の燃料中に空気を導入する配管を備え、吸気負圧を受けることにより、バブリングによって蒸発燃料を発生させるようなバブリング装置をその供給源としてもよい。
【0081】
尚、上述した実施の形態1においては、キャニスタ28が前記第1の発明における「エバポ発生手段」に、ISC補正量KQNEが前記第1の発明における「燃料濃度関連値」に、それぞれ相当していると共に、ECU40が、ステップ112の設定に従ってD-VSV26を駆動することにより前記第1の発明における「始動時供給手段」が、ステップ114において吸気回数を計数することにより前記第1の発明における「吸気回数計数手段」が、ステップ116において現実の機関回転数NEを検出することにより前記第1の発明における「回転数検出手段」が、ステップ116においてISC補正量KQNEを算出することにより前記第1の発明における「燃料濃度関連値算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0082】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、ステップ114の処理を実行することにより前記第2の発明における「基準回転数算出手段」が、ステップ116においてDLNEを算出することにより前記第2の発明における「回転数偏差算出手段」が、更に、アイドル運転時において、ISC流量が確保されるようにスロットル弁20を制御することにより前記第3の発明における「アイドルスピードコントロール手段」が、それぞれ実現されている。
【0083】
実施の形態2.
[実施の形態2の特徴]
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは、図1に示すシステム構成において、ECU40に、図2に示すステップ100〜112の処理と共に、後述する図5に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。ステップ100〜112の処理は、内燃機関10の始動時に蒸発燃料をパージさせるための処理である。これらの処理は、実施の形態1において説明した処理と何ら異なるところがないため、ここでは、それらの説明は省略することとする。
【0084】
(標準動作)
図3は、本実施形態のシステムにおいて内燃機関10の始動時に実現される標準的な動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図3(A)は、内燃機関10に供給される混合気の空燃比を示す。図3(B)は機関回転数NEの変化を示す。また、図3(C)は、クランク角センサ46の出力に基づいて計数されるクランク角の値を示す。
【0085】
ECU40は、上述した通り、内燃機関10の始動が開始された後、♯1気筒或いは♯4気筒が吸気上死点に達するタイミングで気筒判別を終了し、その後、クランク角を正しく監視し始める。図3(C)は、♯1気筒が吸気上死点に達することで気筒判別がなされた例を示している。この場合、ECU40は、気筒判別の瞬間に、クランク角が360°CAであると認識する。その後、クランク角は、クランク角センサ46から30°CA毎に信号が発せられる毎に計数が進められ、720°CAに達した時点で0°CAにリセットされる。
【0086】
図3に示す場合、気筒判別の終了直後に、内燃機関10における1回目の吸気(♯1気筒)が行われる。次いで、クランク角が440°CAとなった辺りで、2回目の吸気(♯3気筒)が行われ、更に、クランク角が720°CAに達して0°CAにリセットされた辺りで3回目の吸気(♯4気筒)が行われる。尚、図3(C)中に示す1〜3の数字は、これらの吸気の回数を示すものである。
【0087】
1回目の吸気が行われた♯1気筒では、2回目の吸気が行われる180°CAの間に圧縮行程が行われる。そして、3度目の吸気が開始される頃には、♯1気筒のピストンが圧縮上死点に達する。本実施形態のシステムは、気筒判別が終了すると同時に、全ての気筒で点火処理を開始する。このため、1回目の吸気で適正濃度の混合気が吸い込まれていれば、3回目の吸気が行われる時期と同期して♯1気筒で初爆が発生する。
【0088】
図3(B)は、3回目の吸気と同期して初爆が発生し、その後、機関回転数NEが急激に立ち上がった様子を示している。機関回転数NEが立ち上がると、吸気負圧が急増して、蒸発燃料のパージ量も急増する。このため、図3(A)に示すように、混合気の空燃比は、機関回転数NEの立ち上がりと同期して、リッチ側に大きく変化する。その後、内燃機関10の運転状態が安定化するのに伴い、混合気の空燃比も適当な値に収束する。
【0089】
(初爆遅延動作)
図4は、本実施形態のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートを示す。より具体的には、図4(A)〜図4(C)は、それぞれ、図3(A)〜図3(C)と同様に、内燃機関10の始動直後における空燃比、機関回転数、及びクランク角を示している。また、図4(D)は、初爆の遅延時に行われるISC流量の補正を説明するためのチャートである。
【0090】
図4(A)は、内燃機関10の始動直後において、混合気の空燃比が、予定の値に比してリーンであった場合を示している。気筒内に吸入された混合気がリーンであると、点火処理の実行に関わらず適正な燃焼が起こらないことがある。図4(B)中に実線で示す波形は、その結果として、5回目の吸気が行われるまで、内燃機関10に初爆が生じなかった場合の機関回転数NEの変化を示している(対比のため、3回目の吸気で初爆が発生する標準時の波形を破線で示す)。
【0091】
本実施形態のシステムでは、混合気の空燃比が適正値であれば、3回目の吸気が行われるのと同期して初爆が発生する。従って、図4(B)に示すように、3回目の吸気と同期して初爆が起きなかった場合は、混合気の空燃比がリーンであると推測できる。このため、本実施形態では、図4(D)に示すように、3回目の吸気の時点で初爆が発生しなかった場合、その後、初爆が発生するまで、徐々にISC流量が減量補正される。
【0092】
ISC流量が減量されると、空気の流量が減り、かつ、吸気負圧が増えるため、混合気中に蒸発燃料が閉める割合が増し、空燃比がリッチ化される。その結果、気筒内で燃焼が生じ易くなり、混合気がリーンのままクランキングが継続される場合に比して、始動性を改善することができる。
【0093】
初爆が発生すると、吸気負圧が急激に立ち上がるため、蒸発燃料の供給量が急増する。蒸発燃料の吸蔵量が増えると、ISC流量を絞って混合気のリーン化を阻止する必要性が小さくなる。このため、本実施形態のシステムは、図4(D)に示すように、初爆の発生後に(この例では5回目の吸気の後に)減量補正されていたISC流量を、補正前の正常値に復帰させる。このような処理によれば、混合気がリーンになり易い状況下でも、内燃機関10に対して良好な始動性を付与することができる。
【0094】
また、内燃機関10の始動直後は、触媒34を活性化させるために、その暖機を迅速に進める必要がある。そして、この要求を満たすうえでは、吸入空気量は多量であるほど望ましい。上記の処理によれば、初爆の発生後は、一旦減量されたISC流量が通常値に戻される。このため、本実施形態のシステムによれば、触媒34の暖機速度の低下をも阻止することができる。
【0095】
[実施の形態2における具体的処理]
図5は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。図5に示すルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0096】
このルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ120)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、このルーチンによる処理の実行が不要であると判断され、そのまま今回の処理サイクルが終了される。
【0097】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、ISC流量を設定するべきタイミングであるかが判断される(ステップ122)。ECU40は、所定のクランク角を、ISC流量の設定を開始するべきクランク角として記憶している。本ステップ122では、具体的には、現在のクランク角が、その所定のクランク角と一致するかが判別される。
【0098】
上記の判定が否定された場合は、今回は、特別な処理を実行する必要がないと判断され、そのまま処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、次に、次式に従って基準のISC流量QCALが設定される(ステップ124)。
QCAL=QTHW+QIDL+QG ・・・(2)
但し、QIDLは、暖機終了後のアイドル運転に必要とされるISC流量として定められた暖機後基本流量である。QTHWは、冷間時に対応するための冷間補正量であり、冷却水温THWに基づいて設定される。また、QGは、安定したアイドル運転を実現するための学習値である。
【0099】
上記の処理が終わると、次に、気筒判別後に計数された吸気回数が4回以上であるかが判別される(ステップ126)。標準時の初爆は、3回目の吸気が計数された後に発生する。そして、本ステップ126の処理は、具体的には、標準時であれば初爆が発生しているタイミングであるか、或いは標準時であっても初爆が発生していないタイミングであるかを判断するために行われる。
【0100】
上記の判別の結果、吸気回数が4回以上でないと判定された場合は、標準時であっても初爆が発生しないタイミングであるとの判断がなされる。この場合、ISC遅延始動補正量QSTNEAに0がセットされる(ステップ128)。
【0101】
次に、現在のISC遅延始動補正量QSTNEAが、初爆時補正量QSTAとして記憶される(ステップ130)。
【0102】
その後、次式に従って、最終的なISC流量QCALが算出される(ステップ132)。
QCAL=QCAL−QSTNEA≧0 ・・・(3)
但し、上記(3)式において、右辺のQCALは、上記ステップ124で算出された基準のISC流量である。また、「≧0」は、最終的なQCALの下限値は0以上にガードされることを表している。
【0103】
以上の処理によれば、吸気回数が4回に満たない間は、ステップ124において設定される基準のISC流量QCALが、そのまま最終的なISC流量QCALとして用いられる。このため、この間は、標準的なISC流量により、内燃機関10のクランキングが行われることになる。
【0104】
上記ステップ126において、吸気回数が4回以上であると判断された場合は、次に、機関回転数NEが、初爆判定値(400rpm)以上であるかが判別される(ステップ134)。吸気回数が4回以上であれば、標準時には初爆が発生している。従って、本ステップ134でNE≧400rpmの判定が否定された場合は、初爆の発生が遅れている、更には、混合気の空燃比がリーンであると判断できる。
【0105】
上記の判断がなされると、次に、ISC遅延始動補正量QSTNEAが設定される(ステップ136)。ECU40は、ステップ136の枠中に示すようなISC遅延始動補正量QSTNEAのマップを記憶している。このマップは、QSTNEAを吸気回数との関係で定めたものであり、吸気回数が4回以上の領域で、吸気回数が多いほどQSTNEAが大きな値となるように定められている。本ステップ136では、このマップに従って、現在の吸気回数に対応するQSTNEAが設定される。上記の処理によれば、初爆の発生前に計数された吸気回数が多数であるほど、ISC遅延始動補正量QSTNEAを大きな値とすることができる。
【0106】
以後、ステップ130では、今回の処理サイクルで設定されたQSTNEAが、初爆時補正量QSTAとして記憶される。また、ステップ132では、基準のISC流量QCALからISC遅延始動補正量QSTNEAを減じた値が最終的なISC流量として設定される。ステップ134で初爆の発生が判定されるまでは、上記ステップ136→130→132の処理が繰り返し実行される。これらの処理によれば、初爆の発生が遅延するほど、ISC流量を減らして混合気の空燃比をリッチ化することができる。
【0107】
吸気回数が4回以上となった後、初爆が発生すると、ステップ134でNE≧400rpmの成立が認められる。この場合、次式に従ってISC遅延始動補正量QSTNEAが更新される(ステップ138)。
QSTNEA=QSTNEA−QKST ・・・(4)
但し、QKSTは、ISC遅延始動補正量QSTNEAを徐々に減少させるための既定値である。
【0108】
次いで、ステップ132において、基準のISC流量QCALからISC遅延始動補正量QSTNEAを減じた値が最終的なISC流量とされる。内燃機関10に初爆が生じた後は、上記ステップ138→132の処理が繰り返し実行される。これらの処理によれば、ISC遅延始動補正量QSTNEAを徐々に減らして、最終的なISC流量QCALを、基準のISC流量QCALに収束させることができる。
【0109】
以上説明したように、図5に示すルーチンによれば、初爆の遅延が生じた際に、ISC流量を図4(D)に示すように変化させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の始動時に、蒸発燃料の供給量が不足していた場合に、混合気の空燃比を適正値に修正して、良好な始動性及びエミッション特性を実現することができる。また、このような環境下でも、触媒34の暖機を迅速に進めることができる。
【0110】
尚、上述した実施の形態2においては、ISC遅延始動補正量QSTNEAが前記第1の発明における「燃料濃度関連値」に相当していると共に、ECU40が、ステップ136において吸気回数を計数することにより前記第1の発明における「吸気回数計数手段」が、ステップ134において機関回転数NEを検出することにより前記第1の発明における「回転数検出手段」が、ステップ136においてISC遅延始動補正量QSTNEAを算出することにより前記第1の発明における「燃料濃度関連値算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0111】
また、上述した実施の形態2においては、ECU40が、ステップ134の処理を実行することにより前記第4の発明における「初爆発生判定手段」が実現されている。
【0112】
また、上述した実施の形態2においては、キャニスタ28が前記第5の発明における「エバポ発生手段」に、ISC遅延始動補正量QSTNEAが前記第5の発明における「燃料濃度関連値」に、それぞれ相当していると共に、ECU40が、ステップ112(図2)の設定に従ってD-VSV26を駆動することにより前記第5の発明における「始動時供給手段」が、ステップ136において吸気回数を計数することにより前記第5の発明における「吸気回数計数手段」が、ステップ134の処理を実行することにより前記第5の発明における「初爆発生判定手段」が、ステップ136においてISC遅延始動補正量QSTNEAを算出することにより前記第5の発明における「燃料濃度関連値算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0113】
また、上述した実施の形態2においては、ISC遅延始動補正量QSTNEAが前記第6の発明における「ISC補正量」に相当していると共に、ECU40が、アイドル運転時において、ISC流量が確保されるようにスロットル弁20を制御することにより前記第6の発明における「アイドルスピードコントロール手段」が、ステップ136の処理を実行することにより前記第6の発明における「過多吸気回数算出手段」及び「ISC補正量決定手段」が、それぞれ実現されている。
【0114】
更に、上述した実施の形態2においては、ECU40が、ステップ138の処理を実行することにより前記第7の発明における「ISC補正量更新手段」が実現されている。
【0115】
実施の形態3.
次に、図6及び図7を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態2の装置において、ECU40に、更に、後述する図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0116】
上述した実施の形態2の装置は、初爆の発生が遅れた場合に、ISC流量QCALを減量することで、混合気のリッチ化を図ることとしている。これに対して、本実施形態の装置は、初爆の発生が遅れた際に、蒸発燃料のパージON時間補TVSVを大きくすることで、混合気の更なるリッチ化を図る点に特徴を有している。
【0117】
図6は、本実施形態の装置の特徴的な動作を説明するための図である。図6に示すタイミングチャートは、図6(E)が追加されている点を除いて図4に示すタイミングチャートと同じである。すなわち、図6において、図6(A)〜図6(D)に示す内容は、それぞれ図4(A)〜図4(D)に示すものと同一である。
【0118】
図6(E)中に破線で示す波形は、気筒判別後の吸気回数との関係で定められる基本のパージON時間TVSV、つまり、図2に示すステップ112の処理により設定されるパージON時間TVSVである。個々の気筒に所望の蒸発燃料量をパージさせるためにD-VSV26を開弁させるべき時間は、吸気負圧が大きいほど短時間で足りる。吸気負圧は、クランキングの開始後、徐々に大きくなり、初爆の発生により急激に大きな値となる。このため、基本のパージON時間TVSVは、図6(E)中の破線が示すように、始動の直後に最大となり、初爆が発生するまでは徐々に短縮され、初爆の発生と共に大幅に短縮されるように設定される。
【0119】
本実施形態のシステムは、初爆の発生が遅れた場合に、パージON時間TVSVに関して、2種類の補正を施す。図6(E)中に符号a及びbを付して示す波形は、それらの補正の内容を説明するための波形である。
【0120】
波形aは、本来初爆が発生するべき3回目の吸気において初爆が発生しなかった場合に、その後、初爆の発生が認められるまでTVSVが徐々に伸張され、初爆の発生後に、伸張分が徐々に短縮される様子を表している。このような補正によれば、初爆の発生が遅れた場合に、初爆が発生するまで蒸発燃料のパージ量を徐々に増やして、大幅な初爆の遅れを回避することができる。また、初爆の発生と共に吸気負圧が立ち上がった後に、不必要に多量の蒸発燃料がパージされ続けるのを有効に防ぐことができる。
【0121】
波形bは、初爆の発生が遅れた場合は、初爆が発生した後も、適当な固定値が基本のパージON時間TVSVに加算される様子を表している。初爆の遅れは、キャニスタ28に吸着されている蒸発燃料量が少量である等、蒸発燃料のパージ量が確保し難い状況下で生ずる現象である。このような傾向は、初爆の発生に伴って吸気負圧が立ち上がった後も維持されるのが通常である。そこで、本実施形態では、その傾向を相殺するための補正値を算出したうえで、その補正値を、初爆の発生後も定常的に基本のパージON時間TVSVに加算することとした。このような補正によれば、蒸発燃料が発生し難い傾向が生じている場合に、初爆の前後の通じて、その傾向を前提とした適正なパージを実現することができる。
【0122】
[実施の形態3における具体的処理]
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行するルーチンのフローチャートである。図7に示すルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0123】
このルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ140)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、内燃機関10に対する燃料供給を停止する必要があるため、蒸発燃料のパージを停止する処理が実行された後(ステップ142)、今回の処理サイクルが終了される。
【0124】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、何れかの気筒のD-VSV26をON(開)とするタイミングであるかが判断される(ステップ144)。ECU40は、所定のクランク角を、D-VSV26のONタイミングとして記憶している。本ステップ144では、具体的には、現在のクランク角が、その所定のクランク角と一致するかが判別される。
【0125】
上記の判定が否定された場合は、今回は、特別な処理を実行する必要がないと判断され、そのまま処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、次に、基本のパージON時間TVSVに相当するパージON割合KPGが設定される(ステップ146)。
【0126】
パージON割合KPGは、内燃機関10のクランク周期に対してD-VSV26をONとするべき割合である。基準の環境下で所望の蒸発燃料量をパージさせるためのパージON割合は、気筒判別後の吸気回数との関係で予め定めておくことができる。ステップ146の枠中に示すマップは、このようにして定めたマップの一つである。ここでは、そのマップを参照することにより、パージON割合KPGが算出される。尚、図7に示すマップは、初爆が3回目の吸気で発生した場合にそのまま適用されるものである。初爆が3回目の吸気で発生しなかった場合は、初爆が発生するまで吸気回数が3回目であるものとして、パージON割合KPGが設定される。
【0127】
上記の処理が終わると、次に、気筒判別後の吸気回数が4回以上であるかが判別される(ステップ148)。その結果、吸気回数が4回以上でないと判定された場合は、標準時であっても初爆が発生しないタイミングであるとの判断がなされる。この場合、パージON時間TVSVに関する遅延始動補正量(以下、「TVSV遅延始動補正量KSTNEA」と称す)が0とされる(ステップ150)。
【0128】
次に、TVSV遅延始動補正量KSTNEAが、初爆時補正量KSTAとして記憶される(ステップ152)。更に、TVSV遅延始動補正量KSTNEAが、一時記憶値tKSTNEAとして記憶される(ステップ154)。
【0129】
その後、次式に従って、最終的なパージON時間TVSVが算出される(ステップ156)。
TVSV=(KPG*クランク周期)+tKSTNEA ・・・(5)
【0130】
吸気回数が4回に達するまでは、TVSV遅延始動補正量KSTNEAが0とされるため、上記(5)式によれば、最終的なTVSV遅延始動補正量KSTNEAは、「KPG*暗く周期」となる。この場合、内燃機関10においては、標準的な条件により蒸発燃料のパージが行われる。
【0131】
上記ステップ148で吸気回数が4回以上であると判断された場合は、次に、機関回転数NEが、初爆判定値(400rpm)以上であるかが判別される(ステップ158)。吸気回数が4回以上であれば、標準時には初爆が発生している。従って、本ステップ158でNE≧400rpmの判定が否定された場合は、初爆の発生が遅れていると判断できる。
【0132】
上記の判断がなされると、次に、TVSV遅延始動補正量KSTNEAが設定される(ステップ160)。ECU40は、ステップ160の枠中に示すようなTVSV遅延始動補正量KSTNEAのマップを記憶している。このマップは、KSTNEAを吸気回数との関係で定めたものであり、吸気回数が4回以上の領域で、吸気回数が多いほどKSTNEAが大きな値となるように定められている。本ステップ160では、このマップに従って、現在の吸気回数に対応するKSTNEAが設定される。上記の処理によれば、初爆の発生前に計数された吸気回数が多数であるほど、TVSV遅延始動補正量KSTNEAを大きな値とすることができる。
【0133】
以後、ステップ152では、今回の処理サイクルで設定されたKSTNEAが、初爆時補正量KSTAとして記憶される。また、ステップ154及び156の処理によれば、「KPG*クランク周期」の算出値に、今回設定されたTVSV遅延始動補正量KSTNEAを加えた値が最終的なパージON時間TVSVとして設定される。ステップ158で初爆の発生が判定されるまでは、上記ステップ160→152→154→156の処理が繰り返し実行される。これらの処理によれば、初爆の発生が遅延するほど、パージON時間TVSVを伸張して混合気の空燃比をリッチ化することができる。
【0134】
吸気回数が4回以上となった後、初爆が発生すると、ステップ158でNE≧400rpmの成立が認められる。この場合、次式に従ってTVSV遅延始動補正量KSTNEAが更新される(ステップ162)。
KSTNEA=KSTNEA−KST≧0 ・・・(6)
但し、KSTは、TVSV遅延始動補正量KSTNEAを徐々に減少させるための既定値である。
【0135】
次に、パージON時間TVSVに、定常的に反映させるべき遅延始動後補正量KSTNEA1が算出される(ステップ164)。遅延始動後補正量KSTNEA1は、混合気がリーンになり易い傾向を相殺するための補正値であるから、その傾向が強い場合には大きな値とし、また、その傾向が弱い場合には小さな値とするのが適切である。図7に示すルーチンによれば、ステップ152の処理により、初爆を発生させるために必要とされたTVSV遅延始動補正量KSTNEAが初爆時補正量KSTAとして記憶される。そして、このKSTAは、混合気をリーン化させる傾向の強さを直接的に表す特性値である。このため、本実施形態では、遅延始動後補正量KSTNEA1を、初爆時補正量KSTAに基づいて設定することとした。
【0136】
ステップ164の枠中に示すマップは、上記の観点より設定した遅延始動後補正量KSTNEA1のマップである。本ステップ164では、このマップに従って、遅延始動後補正量KSTNEA1が設定される。このマップによれば、KSTNEA1は、初爆時補正量KSTAが大きいほど、つまり、混合気がリーン化する傾向が強いほど大きな値に設定される。
【0137】
上記の処理が終わると、次に、以下に示す演算式に従って、一時記憶値tKSTNEAが算出される(ステップ166)。
tKSTNEA=KSTNEA+KSTNEA1≦KSTA ・・・(7)
但し、上記(7)式中、右辺のKSTNEAは、上記ステップ162の処理によって算出された更新後のKSTNEAである。
【0138】
次いで、ステップ156において、「KPG*クランク周期」に一時記憶値tKSTNEAを加えた値が最終的なパージON時間TVSVとされる。上記(7)式により算出される一時記憶値tKSTNEAは、最終的に遅延始動後補正量KSTNEA1に収束する。このため、上記の処理によれば、パージON時間TVSVを、最終的には、基本のON時間(KPG*クランク周期)より遅延始動後補正量KSTNEA1だけ長い時間に収束させることができる。
【0139】
以上説明したように、図7に示すルーチンによれば、初爆の遅延が生じた際に、パージON時間TVSVに、図6(E)に示す2種類の補正(a及びb)を施すことができる。これらの補正によれば、蒸発燃料がパージされ難い状況が形成されている場合にも、そのパージ量を適正量に修正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、蒸発燃料のパージ量が不足し易い環境下でも、適正な空燃比を実現して、良好な始動性及びエミッション特性を実現することができる。
【0140】
[実施の形態3の変形例]
(変形例1)
次に、図8を参照して、上述した実施の形態3の変形例について説明する。図7に示すルーチンは、上述した通り、初爆の発生後に、TVSV遅延始動補正量KSTNEAに減衰処理を施す(ステップ162参照)一方で、KSTNEAに遅延始動後補正量KSTNEA1を加算するという2重の処理を行っている。前者の減衰処理は、吸気負圧の立ち上がり後にパージON時間TVSVが不当に長い時間となるのを避けるためのものである。他方、後者の加算処理は、混合気がリーン化され易い傾向を相殺するためのものである。
【0141】
図8は、それらの処理を実行することで得られるのと同等の効果を、より簡単な処理で実現するためのルーチンのフローチャートである。尚、図8において、図7に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0142】
すなわち、図8に示すルーチンでは、吸気回数が4回以上でない場合、及び、初爆の発生が認められない場合に、ステップ152の処理に続いて、その時点でのパージON割合KPGが初爆時割合KPGAとして記憶される(ステップ170)。
【0143】
次に、最終的なパージON時間TVSVが、以下に示す演算式に従って算出される(ステップ172)。
TVSV=(KPG*クランク周期)*(1+KSTA/KPGA*k) ・・・(8)
但し、上記(8)式中、kは、既定の比例計数である。
【0144】
また、図8に示すルーチンでは、初爆の発生が認められた後は、ステップ158の処理に続いて、ステップ172の処理が即座に実行される。つまり、この場合は、初爆時補正量KSTA及び初爆時割合KPGAが更新されることなく、上記(8)式に従ってパージON時間TVSVが算出される。
【0145】
以上の処理によれば、吸気回数が4回以上になるまでは、TVSV遅延始動補正量KSTNEAが0であることから、最終的なTVSVは、基本のTVSV、つまり、「KPG*クランク周期」となる。そして、初爆の発生が遅れた場合は、初爆が発生するまで、吸気回数の増加に伴ってKSTNEAが大きな値に更新される。その結果、上記(8)式によって算出されるパージON時間TVSVが伸張され、その値が十分な値になった時点で初爆が発生する。
【0146】
初爆が発生した時点で算出されている「KSTA/KPGA」は、その時点におけるKSTNEAとKPGの比「KSTNEA/KPG」である。この比「KSTA/KPGA」は、現在の環境下で、パージON割合KPGを何割増加させると混合気の空燃比を適正化できるかを表す数値である。初爆の前後で吸気負圧が大きく変化することから、適正なパージON時間TVSVを得るために基本のTVSVに「加算」するべき補正時間は、初爆の後に減少させる必要がある。
【0147】
しかしながら、適正なパージON時間TVSVを得るために、基本のTVSVに施すべき増加の割合は、混合気がリーン化され易い傾向の程度によって決まるものであり、初爆の前後でさほど大きくは変化しない。このため、初爆の発生時に、基本のTVSVを「KSTA/KPGA」なる比で増加させることで適正なTVSVが得られたのであれば、初爆の発生後も、同じ増加割合を維持ずれば、適正なTVSVを得ることができる。
【0148】
図8に示すルーチンによれば、上述した通り、基本のパージON時間(KPG*クランク周期)に対する補正の比率「KSTA/KPGA」が、初爆の発生時に確定され、以後、初爆の発生後も、その比率「KSTA/KPGA」による補正が継続される。このような処理によれば、蒸発燃料がパージされ難い環境下で、初爆の発生が不当に遅れるのを防止することができると共に、初爆の発生後に、蒸発燃料を過不足なくパージさせることができる。このため、図8に示すルーチンによっても、図7に示すルーチンの場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0149】
(変形例2)
次に、図9を参照して、上述した実施の形態3の第2の変形例について説明する。上述した実施の形態3の装置は、実施の形態2の場合と同様に、初爆の発生が遅れた場合に、初爆が発生するまでISC流量QCALを徐々に減量し、初爆の発生後にISC流量QCALを通常値に復帰させる処理を行う(図5参照)。つまり、この装置は、内燃機関10の初爆が遅れた場合は、ISC流量QCALを減らし、かつ、パージON時間TVSVを増やすことにより混合気のリッチ化を図り、その後、ISC流量QCAL及びパージON時間TVSVを通常値に向けて復帰させる。
【0150】
この装置を搭載する内燃機関10において、初爆の発生時には、減量されたISC流量QCALと、伸張されたパージON時間TVSVとの関係が、適正な空燃比の混合気を生成するものとなっている。しかしながら、初爆の発生後は、両者がそれぞれ更新されることにより、必ずしもその関係が維持されない。
【0151】
つまり、実施の形態3の装置は、初爆の発生後に、TVSV遅延始動補正量KSTNEAを徐々に0まで減少させる(図7中ステップ162参照)。この減量は、吸気負圧の立ち上がりに伴って蒸発燃料のパージ量が過大になるのを防ぐことを目的としたものであり、必ずしも、ISC流量QCALの増量に起因する影響を相殺し得るものではない。
【0152】
また、実施の形態3の装置は、初爆の発生後に、パージON時間TVSVに遅延始動後補正量KSTNEA1を加えることとしているが(図7中ステップ164参照)、この加算は、初爆発生時の環境を、初爆の発生後も維持するための補正である。つまり、減量されたISC流量QCALと伸張されたパージON時間TVSVとの間に成立した関係を維持するためのものであり、初爆の発生後にISC流量QCALが増量されることによる影響を相殺し得るものではない。
【0153】
このように、実施の形態3の装置は、初爆の発生後に、パージON時間TVSVに対して2種類の補正を施しているが、これらは、厳密には、初爆後に行われるISC流量QCALの増量補正の影響を相殺し得るものではない。このため、実施の形態3の装置においては、初爆の発生後に、ISC流量の増量に伴って最適な空燃比が維持されない事態が生じ得る。
【0154】
図9は、初爆の発生後にISC流量QCALの増量に合わせてパージON時間TVSVを伸張するためにECU40に実行させる一連の処理のフローチャートである。図9に示す一連の処理は、例えば、初爆の発生後に図7に示すステップ156に続けて実行させればよい。
【0155】
ここでは、先ず、第2の遅延始動後補正量KSTNEA2が設定される(ステップ180)。第2の遅延始動後補正量KSTNEA2は、初爆の発生後にISC流量QCALに施された増量補正分ΔQの影響を相殺するためのものである。従って、その値KSTNEA2は、その増量補正分ΔQに基づいて定めることが妥当である。
【0156】
本実施形態において、ISC流量QCALは、上記(3)式に示すように、基本のQCALからISC遅延始動補正量QSTNEAを減ずることにより算出される(図5中ステップ132参照)。また、初爆発生時のISC遅延始動補正量QSTNEAは、初爆時補正量QSTAとして記憶されている(図5中ステップ130参照)。従って、初爆の発生後にISC流量に施された増量補正分ΔQは、以下に示すように、初爆時補正量QSTAから、現在の遅延始動補正量QSTNEAを減ずることにより求めることができる。
ΔQ=QSTA−QSTNEA ・・・(9)
【0157】
ステップ180の枠中に示すマップは、上記の観点より設定した第2の遅延始動後補正量KSTNEA2のマップである。本ステップ180では、このマップに従って、第2の遅延始動後補正量KSTNEA2が設定される。このマップによれば、KSTNEA2は、初爆の発生後にISC流量QCALに施された増量補正分ΔQが多量であるほど大きな値に設定される。
【0158】
上記の処理が終わると、次に、以下に示す演算式に従って、最終的なパージON時間TVSVが算出される(ステップ182)。
TVSV=TVSV+KSTNEA2 ・・・(10)
但し、上記(10)式中、右辺のTVSVは、図7に示すステップ156において算出されたパージON時間である。
【0159】
以上の処理によれば、初爆の発生後にISC流量QCALに施された増量補正分ΔQの影響を正確に相殺するための伸張を、パージON時間TVSVに施すことができる。このため、実施の形態3の装置に、図9に示す一連の処理を実行させることとすれば、その処理が実行されない場合に比して、初爆の発生後における空燃比の制御精度を更に向上させることができる。
【0160】
(変形例3)
次に、図10を参照して、実施の形態3の第3変形例について説明する。図10は、図9に示す一連の処理と入れ替えることのできる一連の処理のフローチャートである。つまり、図10に示す一連の処理は、図9に示す処理と同様に、初爆の発生後にISC流量QCALに施される増量分を相殺するための伸張をパージON時間TVSVに施すためのものである。
【0161】
図10に示す一連の処理は、図9に示す処理と同様に、初爆の発生後に図7に示すステップ156の処理に続いて実行することができる。ここでは、先ず、第3の遅延始動後補正量KSTNEA3が算出される(ステップ190)。実施の形態3によれば、ISC流量QCALには、初爆の発生時に初爆時補正量QSTAの減量補正が施される。そして、初爆の発生後に、その減量補正分は徐々に0まで減量される(図4(D)参照)。
【0162】
換言すると、この実施形態によれば、ISC流量QCALには、初爆の発生後に、最終的に、初爆時補正量QSTAに相当する増量補正が施されることになる。上述した第3の遅延始動後補正量KSTNEA3は、その増量補正分QSTAに対してパージON時間TVSVに加算するべき伸張分としての意味を有する補正値である。
【0163】
ステップ190の枠中に示すマップは、第3の遅延始動後補正量KSTNEA3のマップである。上記ステップ190では、このマップに従って、第3の遅延始動後補正量KSTNEA3が設定される。このマップによれば、KSTNEA3は、初爆時補正量QSTAが大きいほど、つまり、初爆の発生後にISC流量QCALに施される最終的な増量補正分が多量であるほど大きな値に設定される。
【0164】
図10に示す処理では、次に、以下に示す演算式に従って、第4の遅延始動後補正量KSTNEA4が算出される(ステップ192)。
KSTNEA4=KSTNEA3*(QSTA−QSTNEA)/QSTA ・・・(11)
【0165】
上記(11)式のうち、右辺の(QSTA−QSTNEA)は、初爆の発生後に、ISC流量QCALに現に施された増量補正の大きさである。そして、その値をQSTAで除した値は、最終的に行われる増量補正のうち、何割の増量補正が行われたかを表す係数である。上記(11)式によれば、最終的に伸張するべき第3の遅延始動後補正量KSTNEA3のうち、現在の増量補正分に対して施すべき伸張分を第4の遅延始動後補正量KSTNEA4として算出することができる。
【0166】
上記の処理が終わると、最後に、次式に従って最終的なパージON時間TVSVが算出される(ステップ194)。
TVSV=TVSV+KSTNEA4 ・・・(12)
但し、上記(12)式中、右辺のTVSVは、図7に示すステップ156において算出されたパージON時間である。
【0167】
以上の処理によれば、初爆の発生後にISC流量QCALに施された増量補正分(QSTA−QSTNEA)の影響を正確に相殺するための伸張を、パージON時間TVSVに施すことができる。このため、実施の形態3の装置に、図10に示す一連の処理を実行させることとすれば、その処理が実行されない場合に比して、初爆の発生後における空燃比の制御精度を更に向上させることができる。
【0168】
尚、上述した実施の形態3においては、パージON時間TVSVが前記第8の発明における「供給量制御値」に相当していると共に、ECU40に、図9又は図10に示す一連の処理を実行させることにより前記第8の発明における「供給量制御値増加手段」を実現することができる。
【0169】
また、上述した実施の形態3においては、パージON時間TVSVが前記第9の発明における「供給量制御値」に、遅延始動補正量KSTNEAが前記第9の発明における「ガス供給量補正値」に、ECU40が、ステップ160の処理を実行することにより前記第9の発明における「過多吸気回数算出手段」及び「ガス供給量補正値決定手段」が、それぞれ実現されている。
【0170】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、ステップ162の処理を実行することにより前記第10の発明における「ガス供給量更新手段」が実現されている。更に、ここでは、ECU40が、初爆時補正量KSTAが前記第11の発明における「ガス供給量補正値の初期値」に、遅延始動後補正量KSTNEA1が前記第11の発明における「定常補正値」に、それぞれ相当していると共に、ECU40が、ステップ164の処理を実行することにより前記第11の発明における「定常補正値算出手段」が、ステップ166の処理を実行することにより前記第11の発明における「最終値算出手段」が、それぞれ実現されている。
【0171】
実施の形態4.
[実施の形態4の特徴]
次に、図11及び図12を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態2の装置において、ECU40に、更に、後述する図12に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0172】
上述した実施の形態2の装置は、初爆の発生が遅れた場合に、ISC流量QCALを減量することで、混合気のリッチ化を図ることとしている。これに対して、本実施形態の装置は、初爆の発生が遅れた際に、蒸発燃料のパージON時間補TVSVを大きくすることで、混合気の更なるリッチ化を図る点に特徴を有している。
【0173】
図11は、本実施形態の装置の特徴的な動作を説明するための図である。図11に示すタイミングチャートは、図11(F)が追加されている点を除いて図6に示すタイミングチャートと同じである。すなわち、図11において、図11(A)〜図11(E)に示す内容は、それぞれ図6(A)〜図6(E)に示すものと同一である。
【0174】
図11(F)は、内燃機関10における始動時の点火時期を表すチャートである。この図において、破線で示す波形は、基本の点火時期を表している。一方、実線で示す波形は、初爆の遅延が認められた場合に用いられる進角点火時期を表している。
【0175】
初爆の遅延は、内燃機関10に供給される混合気がリーンであることに起因して発生する。混合気がリーンである場合は、混合気の燃焼速度が低下し筒内で燃焼の遅延が起き易い。このような場合に点火時期を進角させて、燃焼の開始を早めれば、燃焼速度の低下を補って燃焼の遅延を阻止することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、混合気がリーン化し易い環境下での始動性を更に改善することができる。
【0176】
[実施の形態4の具体的処理]
図12は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0177】
図12に示すルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ200)。IGスイッチ42がONでない場合は、内燃機関10における点火が停止され(ステップ202)、その後今回の処理サイクルが終了される。
【0178】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、何れかの気筒の点火時期算出タイミングであるかが判断される(ステップ204)。ECU40は、所定のクランク角を、点火時期の算出タイミングとして記憶している。本ステップ204では、具体的には、現在のクランク角が、その所定のクランク角と一致するかが判別される。
【0179】
上記の判定が否定された場合は、今回は、特別な処理を実行する必要がないと判断され、そのまま処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、次に、以下に示す演算式に従って、基本の点火時期AOPが設定される(ステップ206)。
AOP=Amap+ACOLD+AIDL ・・・(13)
但し、上記(13)式中、右辺のAmapは、内燃機関10の運転状態との関係で定めたマップから読み出される値である。また、ACOLDは、内燃機関10の温度の影響を考慮した補正項である。更に、AIDLは、アイドル運転時の特質を考慮した補正項である。また、ここで算出されるAOPは、上死点前(BTDC)のクランク角(°CA)であるものとする。
【0180】
上記の処理が終わると、次に、気筒判別後の吸気回数が4回以上であるかが判別される(ステップ208)。その結果、吸気回数が4回以上でないと判定された場合は、標準時であっても初爆が発生しないタイミングであるとの判断がなされる。この場合、点火時期AOPに関する遅延始動補正量(以下、「AOP遅延始動補正量ASTNEA」と称す)が0とされる(ステップ210)。
【0181】
その後、次式に従って、最終的な点火時期AOPが算出される(ステップ212)。
AOP=AOP+ASTNEA ・・・(14)
【0182】
吸気回数が4回に達するまでは、AOP遅延始動補正量ASTNEAが0とされるため、最終的な点火時期AOPはステップ206で算出された基本のAOPとなる。この場合、内燃機関10においては、標準的な条件により点火処理が行われる。
【0183】
上記ステップ208で吸気回数が4回以上であると判断された場合は、次に、機関回転数NEが、初爆判定値(400rpm)以上であるかが判別される(ステップ214)。ここでNE≧400rpmの判定が否定された場合は、初爆の発生が遅れていると判断できる。
【0184】
上記の判断がなされると、次に、AOP遅延始動補正量ASTNEAが設定される(ステップ216)。ECU40は、ステップ216の枠中に示すようなAOP遅延始動補正量ASTNEAのマップを記憶している。このマップは、ASTNEAを吸気回数との関係で定めたものであり、吸気回数が4回以上の領域で、吸気回数が多いほどASTNEAが上限値に近づくように定められている。本ステップ216では、このマップに従って、現在の吸気回数に対応するASTNEAが設定される。上記の処理によれば、初爆の発生前に計数された吸気回数が多数であるほど、AOP遅延始動補正量ASTNEAを大きな値とすることができる。
【0185】
以後、ステップ212では、基本のAOPにAOP遅延始動補正量ASTNEAを加えた値が最終的な点火時期AOPとされる。つまり、基本のAOPをAOP遅延始動補正量ASTNEAだけ進角させたクランク角kが、最終的な点火時期とされる。ステップ214で初爆の発生が判定されるまでは、上記ステップ216→212の処理が繰り返し実行される。これらの処理によれば、初爆の発生が遅延するほど、点火時期AOPが進角限界点に向けて進角されることになる。
【0186】
吸気回数が4回以上となった後、初爆が発生すると、ステップ214でNE≧400rpmの成立が認められる。この場合、次式に従ってAOP遅延始動補正量ASTNEAが更新される(ステップ218)。
ASTNEA=ASTNEA−KAST≧0 ・・・(15)
但し、KASTは、AOP遅延始動補正量ASTNEAを徐々に減少させるための既定値である。
【0187】
次いで、ステップ212において、基本のAOPにAOP遅延始動補正量ASTNEAを加えた値が最終的な点火時期AOPとされる。上記(15)式により算出されるASTNEAは、最終的には0に収束する。このため、上記の処理によれば、点火時期AOPを、最終的に基本の点火時期AOPに収束させることができる。
【0188】
初爆の発生後は、吸気負圧が立ち上がり、混合気のリーン化が解消されるため、筒内での燃焼速度も適正速度に回復する。上記の処理によれば、燃焼速度の回復に合わせて点火時期AOPの進角量を減少させることができるため、常に適正な燃焼時期を維持することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、内燃機関10の始動性を更に改善させることができる。
【0189】
尚、上述した実施の形態4においては、AOP遅延始動補正量ASTNEAが前記第12の発明における「点火時期補正値」に相当していると共に、ECU40が、ステップ216の処理を実行することにより前記第12の発明における「過多吸気回数算出手段」及び「点火時期補正値決定手段」が実現されている。更に、ここでは、ECU40が、ステップ218の処理を実行することにより前記第13の発明における「点火時期更新手段」が実現されている。
【0190】
実施の形態5.
[実施の形態5の特徴]
次に、図13乃至図15を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1乃至4の何れかの装置において、ECU40に、後述する図14及び図15に示すルーチンにより、パージON時間TVSVを算出させることにより実現することができる。
【0191】
内燃機関10においては、クランキングの開始後、初爆の発生前にクランキングが停止されることがある。この場合、クランキングの停止以前にパージされた蒸発燃料は、吸気通路18の内部に滞留し、クランキングの再開後に新たなパージ燃料と共に内燃機関10に吸入される。この場合、クランキングの再開直後に、混合気が一時的に過度にリッチ化し易い。
【0192】
図13は、このような状況下での本実施形態のシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図13(A)は内燃機関10に供給される混合気の空燃比、図13(B)は機関回転数NE、図13(C)はクランク角の計数値を示している。また、図13(D)は、パージON時間TVSVの変化を示している。
【0193】
図13(B)中に破線で示す波形は、気筒判別の終了後、3回目の吸気と同期して初爆が発生する標準的な動作を表している。これに対して、図13(B)中に実線で示す波形は、吸気通路18内に滞留燃料が存在する状況下でクランキングが再開された場合の動作を表している。後者の場合は、適正な濃度を有する混合気が筒内に吸入されるタイミングが、標準時に比して早いため、標準時に比して早期に(ここでは2回目の吸気の時点で)初爆が発生する。
【0194】
図13(D)において、破線で示す波形は、標準時に設定される基本のパージON時間TVSVの変化を示す。一方、実線で示す波形は、クランキングの開始時点で吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していた場合に、混合気の過度なリッチ化を防止しつつ内燃機関10を良好に始動させるためのパージON時間TVSVの変化を示す。
【0195】
本実施形態のシステムは、初爆の発生前に停止されたクランキングの履歴を記憶することができる。そして、内燃機関10の始動時に、その履歴が存在している場合は、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していると判断し、図13(D)中に実線で示すように、パージON時間TVSVに減量補正を施す。このため、本実施形態のシステムによれば、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留している状況下で内燃機関10が始動される場合にも、混合気が過度にリッチ化するのを防ぐことができる。
【0196】
[実施の形態5における具体的処理]
図14は、ECU40が、停止されたクランキングの履歴を記憶するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で気筒されるものとする。このルーチンが起動されると、先ず、スタータスイッチ44がONであるかが判別される(ステップ220)。
【0197】
スタータスイッチ44がONでない場合は、次に、機関回転数NEが400rpm以上であるかが判別される(ステップ222)。クランキングの開始後、内燃機関10が始動すると、スタータスイッチ44がONでなく、かつ、NE≧400rpmが成立する状態となる。この場合は、本ステップ222で条件の成立が判定される。つまり、ステップ222の条件は、内燃機関10の始動が適正に行われた場合に成立する。
【0198】
内燃機関10が適正に始動すると、上記の如くステップ222の条件が成立して、次に、吸気履歴回数が0にクリアされる(ステップ224)。以後、吸気履歴回数は、内燃機関10において、再びクランキングが開始されるまで、継続的に0のまま維持される。
【0199】
上記の処理が終わると、次に、始動中断フラグXSTCTが0とされる(ステップ226)。始動中断フラグXSTCTは、初爆の発生前に停止されたクランキングの履歴の有無を表すためのフラグである。上記の処理によれば、内燃機関10が適正に始動されることにより、その履歴をリセットすることができる。
【0200】
内燃機関10が停止した後、クランキングが開始されるまでは、ステップ220の条件が否定され、かつ、ステップ222の条件も否定される。この場合、次に、吸気履歴回数が0であるかが判別される(ステップ226)。
【0201】
内燃機関10が停止状態を維持している間は、吸気履歴回数は0のまま維持される。従って、その間は、上記ステップ226において、吸気履歴回数が0であると判断される。この場合、始動中断フラグXSTCTが0にリセットされた後、処理サイクルが終了される。このように、図14に示すルーチンによれば、内燃機関10が停止した後、継続して停止状態を維持している間は、始動中断フラグXSTCTを0に維持しておくことができる。
【0202】
内燃機関10において、クランキングが開始されると、ステップ220において、スタータスイッチ44がONであると判断される。この場合、次に、吸気履歴回数の計数が開始される(ステップ230)。その後、内燃機関10が適正に始動された場合は、上述した通り、ステップ220→222→224→228の順で処理が繰り返されることとなり、始動中断フラグXSTCTは0のまま維持される。
【0203】
一方、初爆の発生前にクランキングが停止された場合は、その後、ステップ220→222→226の順で処理が進められる。そして、この場合は、吸気履歴回数の計数が進められていることから、ステップ226の条件が不成立となる。その結果、始動中断フラグXSTCTに1がセットされる(ステップ232)。
【0204】
以後、始動中断フラグXSTCTは、内燃機関10が適正に始動され、ステップ228の処理が実行されるまで「1」のまま維持される。このように、図14に示すルーチンによれば、初爆の発生前にクランキングが停止された後、内燃機関10が適正に始動されるまでの間に限って始動中断フラグXSTCTに1をセットしておくことができる。このため、本実施形態のシステムでは、内燃機関10の始動時に、始動中断フラグXSTCTの状態を見ることで、その直前にクランキングが停止された履歴があるか否かを正しく判断することができる。
【0205】
図15は、ECU40が、始動中断フラグXSTCTの状態に基づいてパージON時間TVSVを設定するための実行するルーチンのフローチャートである。。
【0206】
尚、上述した実施の形態5においては、キャニスタ28が前記第14の発明における「エバポ発生手段」に相当していると共に、ECU40が、ステップ250により設定されたパージON時間TVSVに従ってD-VSV26を駆動することにより前記第14の発明における「始動時供給手段」が、図14に示すルーチンを実行することにより前記第14の発明における「クランキング履歴記憶手段」が、ステップ248の処理を実行することにより前記第14の発明における「燃料残存判断手段」が、ステップ252の処理を実行することにより前記第14の発明における「ガス供給量減量手段」が、それぞれ実現されている。
【0207】
実施の形態6.
[実施の形態6の特徴]
次に、図16及び図17を参照して本発明の実施の形態6について説明する。本実施形態のシステムは、上述した実施の形態1乃至4の何れかの装置において、ECU40に、後述する図17に示すルーチンによりパージON時間TVSVを算出させることにより実現することができる。
【0208】
上述した実施の形態5では、初爆前に停止されたクランキングの履歴を残すための処理を実行し(図14参照)、その履歴の有無に基づいてパージON時間TVSVの短縮の必要性を判断している。
【0209】
ところで、初爆の発生前にクランキングが停止され、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留している場合は、次に始動が開始された際に、標準時に比して早い段階(例えば2回目の吸気の時点)で初爆が発生する(図13(B)参照)。反対に、吸気通路18に蒸発燃料が滞留していなければ、吸気回数が3回に達する前に初爆が発生することはない。このため、本実施形態では、初爆の発生時に吸気回数が標準回数(3回)に達しているか否かに基づいて、パージON時間TVSVの短縮の必要性を判断する。
【0210】
[実施の形態6における具体的処理]
図16は、ECU40が、初爆発生時における吸気回数に基づいて、クランキングの停止の有無を推定するために実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中に所定の周期で気筒されるものとする。
【0211】
図16に示すルーチンが起動されると、先ず、内燃機関10において初爆が発生したか否かが判別される(ステップ260)。その結果、初爆の発生が認められない場合は、そのまま今回の処理サイクルが終了される。
【0212】
一方、初爆の発生が認められると判断された場合は、次に、気筒判別後の吸気回数が3回以上であるかが判別される(ステップ262)。その結果、吸気回数が既に3回以上であると判別された場合は、初爆の発生時期が特別に早くはなく、吸気通路18中に蒸発燃料が滞留しているとは認められないと判断される。この場合、早期始動フラグXSTNEが0とされる(ステップ164)。
【0213】
これに対して、上記ステップ262において、吸気回数が未だ3回に達していないと判定された場合は、初爆の発生が標準時に比して早いと判断される。この場合、早期始動フラグXSTNEに1がセットされ(ステップ266)、その後今回のサイクルが終了される。以上の処理によれば、内燃機関10の初爆が標準時に比して早期に発生した場合に限り、早期始動フラグXSTNEに1をセットすることができる。
【0214】
図17は、ECU40が、早期始動フラグXSTNEの状態に基づいてパージON時間TVSVを設定するための実行するルーチンのフローチャートである。尚、このルーチンにおいて、ステップ240〜246は、図15に示す処理と同一であるため、ここでは、その説明を省略または簡略する。
【0215】
すなわち、図17に示すルーチンでは、ステップ246において基本のパージON割合KPGが算出された後、早期始動フラグXSTNEに1がセットされているか否かが判別される(ステップ270)。その結果、早期始動フラグXSTNEが1でないと判断された場合は、早期始動補正量KSTNEが0とされる(ステップ272)。
【0216】
次いで、以下に示す演算式に従って、パージON時間TVSVが算出される(ステップ274)。
TVSV=(KPG*クランク周期)−KSTNE ・・・(16)
【0217】
上記の演算式(16)によれば、基本のパージON時間「KPG*クランク周期」から、早期始動補正量KSTNEを減じた値を最終的なパージON時間TVSVとすることができる。ここでは、早期始動フラグXSTNEが0であり、早期始動補正量KSTNEが0であるため、基本のパージON時間TVSVがそのまま最終的なパージON時間TVSVとなる。
【0218】
上記ステップ270において、早期始動フラグXSTNEが1であると判断された場合は、吸気通路18内に滞留している蒸発燃料の影響を相殺するための早期始動補正量KSTNEが設定される(ステップ276)。ステップ276の枠中に示すマップは、早期始動補正量KSTNEと、気筒判別後の吸気回数との関係を定めたものである。ここでは、具体的には、このマップに従って早期始動補正量KSTNEが算出される。
【0219】
早期始動補正量KSTNEが設定された場合、ステップ274では、そのKSTNEを用いて上記(16)式の演算が行われる。その結果、基本のパージON時間TVSVに比して、早期始動補正量KSTNEの分だけ短いパージON時間TVSVが算出される。
【0220】
クランキングの開始時に吸気通路18の内部に滞留していた蒸発燃料は、吸気が繰り返され過程で徐々に筒内に吸入され、やがて消滅する。ステップ276の枠中に示すマップは、早期始動補正量KSTNEが、滞留蒸発燃料の吸入量と同じ減少傾向を辿るように設定されている。
【0221】
上記の設定によれば、早期始動補正量KSTNEにより、滞留蒸発燃料の吸入量を相殺することができる。つまり、滞留蒸発燃料が筒内に吸入される分だけ、TVSVを短縮して蒸発燃料のパージ量を絞ることができる。この場合、滞留蒸発燃料の存在に関わらず、筒内に吸入される蒸発燃料の総量を適量に制御することができる。
【0222】
以上説明した通り、図16及び図17に示すルーチンによれば、始動時に吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していると推測できる場合に限り、始動時のパージON時間TVSVを短縮補正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、このような状況下で、混合気が過度にリッチ化されるのを有効に阻止することができる。
【0223】
尚、上述した実施の形態6においては、パージON時間TVSVが前記第15の発明における「エバポレーションガスの供給量」に相当しており、ECU40が、図16に示すルーチンを実行することにより前記第15の発明における「回数不足判断手段」が、ステップ270の処理を実行することにより前記第15の発明における「燃料残存判断手段」が、ステップ276の処理を実行することにより前記第15の発明における「ガス供給量減量手段」が、それぞれ実現されている。
【0224】
実施の形態7.
[実施の形態7の特徴]
次に、図18を参照して本発明の実施の形態7について説明する。本実施形態のシステムは、上述した実施の形態6の装置において、ECU40に、後述する図18に示すルーチンにより燃料噴射時間TAUを算出させると共に、早期始動フラグXSTNEの状態に関わらず、常に早期始動補正量KSTNEを0としてパージON時間TVSVを設定させることにより実現することができる。
【0225】
上述した実施の形態1乃至6のシステムは、内燃機関10の始動時に、パージによる蒸発燃料のみを筒内に吸入させることを前提としている。これに対して、本実施形態のシステムは、内燃機関10の始動時に、パージによる蒸発燃料と、燃料噴射弁22からの噴射燃料とを併用することを前提としている。
【0226】
内燃機関10の始動時に、蒸発燃料と噴射燃料とが併用されるのであれば、吸気通路18内に滞留している蒸発燃料の影響は、噴射燃料を減量することによっても相殺することができる。そこで、本実施形態のシステムは、パージON時間TVSVを常に基本のパージTVSVに維持することとし、早期始動が生じた場合には、燃料噴射時間TAUを減じることにより滞留蒸発燃料の影響を相殺することとした。
【0227】
[実施の形態7における具体的処理]
図18は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0228】
図18に示すルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ270)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、内燃機関10に対する燃料供給を停止する必要があるため、噴射停止の処理が実行される(ステップ272)。
【0229】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、何れかの気筒の燃料噴射弁22から燃料を噴射するべきタイミングであるかが判断される(ステップ274)。現在のクランク角が噴射タイミングでない場合は、上記の判定が否定され、そのまま今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、次に、以下に示す演算式により、基本の燃料噴射時間TAUが算出される(ステップ276)。
TAU=(GA/NE)*KINJ*(FTHW+KG+FAF+・・) ・・・(17)
但し、GAは吸入空気量、NEは機関回転数、KINJは定数、FTHWは冷却水温に対する補正係数、KGは定常的な誤差を相殺するための学習値、FAFは空燃比フィードバック係数である。上記(17)式によるTAUの演算は、公知であり、本発明の主要部ではないため、ここでは、これ以上の説明は省略する。
【0230】
上記の処理が終わると、次に、早期始動フラグXSTNEに1がセットされているか否かが判別される(ステップ288)。その結果、早期始動フラグXSTNEが1でないと判断された場合は、早期始動噴射補正量KSTNEIが0とされる(ステップ290)。
【0231】
次いで、以下に示す演算式に従って、最終的な燃料噴射時間TAUが算出される(ステップ292)。
TAU=TAU−KSTNEI ・・・(18)
但し、上記(18)式中、右辺のTAUは、上記ステップ286において算出された基本の燃料噴射時間TAUである。
【0232】
上記の演算式(18)によれば、基本の燃料噴射時間TAUから、早期始動噴射補正量KSTNEIを減じた値を最終的な燃料噴射時間TAUとすることができる。ここでは、早期始動フラグXSTNEが0であり、早期始動噴射補正量KSTNEIが0であるため、基本の燃料噴射時間TAUは、そのまま最終的な燃料噴射時間TAUとなる。
【0233】
上記ステップ288において、早期始動フラグXSTNEが1であると判断された場合は、吸気通路18内に滞留している蒸発燃料の影響を相殺するための早期始動噴射補正量KSTNEIが設定される(ステップ294)。ここでは、具体的には、ステップ294の枠中に示すマップに従って、現在の吸気回数に対応する早期始動噴射補正量KSTNEIが算出される。上記の処理によれば、ステップ276の場合と同様の原理により、滞留蒸発燃料の吸入量を相殺することのできる早期始動噴射補正量KSTNEIを算出することができる。
【0234】
早期始動フラグXSTNEに1がセットされている場合は、ステップ292において、上記の如く設定された早期始動噴射補正量KSTNEIが上記(18)式に代入される。この場合、最終的な燃料噴射時間TAUは、早期始動噴射補正量KSTNEI分だけ、基本の燃料噴射時間TAUに比して短い時間となる。その結果、滞留蒸発燃料の存在に関わらず、筒内に吸入される蒸発燃料の総量は適量に制御される。
【0235】
以上説明した通り、図18に示すルーチンによれば、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していると推測できる場合に限り、始動時の燃料噴射時間TAUを短縮補正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、このような状況下で、混合気が過度にリッチ化されるのを有効に阻止することができる。
【0236】
ところで、上述した実施の形態7においては、吸気通路18内で滞留している蒸発燃料の影響を、燃料噴射時間TAUの補正で相殺することとしているが、その補正の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、滞留している蒸発燃料の影響は、燃料噴射時間TAUの補正と、パージON時間TVSVの補正の双方により相殺することにしてもよい。
【0237】
また、上述した実施の形態7においては、実施の形態6の場合と同様に、吸気通路18内に蒸発燃料の滞留が生じているか否かを、早期始動フラグXSTNEにより判断することとしているが、その判断の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、その判断は、実施の形態5の場合と同様に、始動中断フラグXSTCTに基づいて行うこととしてもよい。尚、この点については、後述する他の実施形態についても同様である。
【0238】
実施の形態8.
[実施の形態8の特徴]
次に、図19及び図20を参照して、本発明の実施の形態8について説明する。本実施形態のシステムは、上述した実施の形態6の装置において、ECU40に、後述する図20に示すルーチンによりISC流量QCALを算出させることにより実現することができる。
【0239】
上述した実施の形態6又は7のシステムは、内燃機関10の始動時に、吸気通路12内に蒸発燃料が滞留していると推定される場合に、燃料の供給量を絞ることにより混合気が過渡にリッチ化するのを防ぐことにしている。これに対して、本実施形態のシステムは、蒸発燃料の滞留が推定された場合に、燃料の供給量を絞ると共に、ISC流量を増やすことにより、混合気のリッチ化を防ぐ点に特徴を有している。
【0240】
図19は、本実施形態の装置の特徴的な動作を説明するための図である。図19に示すタイミングチャートは、図19(E)が追加されている点を除いて図13に示すタイミングチャートと同じである。すなわち、図19において、図19(A)〜図19(D)に示す内容は、それぞれ図13(A)〜図13(D)に示すものと同一である。
【0241】
図19(E)は、内燃機関10における始動時のISC流量の変化を示している。この図において、破線で示す波形は、基本のISC流量である。一方、実線で示す波形は、初爆の早期発生が認められた場合に用いられるISC流量である。
【0242】
図19(E)に示すように、本実施形態では、初爆の早期発生が認められると、その後、ISC流量が基本の流量に比して増量される。ISC流量が増量されれば、空気の比率が増えて混合気はリーン化される。このため、このような処理によれば、初爆が早期に発生する状況下で、つまり、吸気通路12内に蒸発燃料が滞留している状況下で、混合気の過度のリッチ化を確実に防ぐことができる。
【0243】
[実施の形態8における具体的処理]
図20は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0244】
図20に示すルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ300)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、空燃比を制御する必要がないため、ISC流量の制御が停止される(ステップ302)。
【0245】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、ISC流量QCALの算出タイミングであるかが判断される(ステップ304)。現在のクランク角が既定の算出タイミングと一致していない場合は、上記の判定が否定され、そのまま今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、基本のISC流量QCALが算出される(ステップ306)。尚、本ステップ306の処理は、図5に示すステップ124の処理と同様である。
【0246】
次に、早期始動フラグXSTNEが1であるかが判別される(ステップ308)。その結果、早期始動フラグXSTNEが1でないと判断された場合は、ISC早期始動補正量QSTNEが0とされる(ステップ310)。
【0247】
次いで、以下に示す演算式に従って、最終的なISC流量QCALが算出される(ステップ312)。
QCAL=QCAL+QSTNE ・・・(19)
但し、上記(19)式中、右辺のQCALは、上記ステップ306において算出された基本の燃料噴射時間TAUである。
【0248】
上記の演算式(19)によれば、基本のISC流量QCALに、ISC早期始動補正量QSTNEを加えた値を最終的なISC流量QCALとすることができる。ここでは、早期始動フラグXSTNEが0であり、ISC早期始動補正量QSTNEが0であるため、基本のISC流量QCALがそのまま最終的なISC流量QCALとなる。
【0249】
上記ステップ308において、早期始動フラグXSTNEが1であると判断された場合は、吸気通路18内に滞留している蒸発燃料の影響を相殺するためのISC早期始動補正量QSTNEが設定される(ステップ314)。ここでは、具体的には、ステップ314の枠中に示すマップに従って、現在の吸気回数に対応するISC早期始動補正量QSTNEが算出される。上記の処理によれば、ステップ276の場合と同様の原理により、滞留蒸発燃料の吸入量を相殺することのできるISC早期始動補正量QSTNEを算出することができる。
【0250】
早期始動フラグXSTNEに1がセットされている場合は、ステップ312において、上記の如く設定されたISC早期始動補正量QSTNEが上記(19)式に代入される。この場合、最終的なISC流量QCALは、ISC早期始動補正量QSTNE分だけ、基本のISC流量QCALに比して短い時間となる。その結果、滞留蒸発燃料の影響が薄められ、混合気の過度なリッチ化が防止される。
【0251】
以上説明した通り、図20に示すルーチンによれば、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していると推測できる場合に限り、始動時のISC流量QCALを短縮補正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、このような状況下で、混合気が過度にリッチ化されるのを有効に阻止することができる。
【0252】
尚、上述した実施の形態8においては、ECU40が、アイドル運転時において、ISC流量が確保されるようにスロットル弁20を制御することにより前記第16の発明における「アイドルスピードコントロール手段」が、ステップ314の処理を実行することにより前記第16の発明における「ISC流量増量手段」が、それぞれ実現されている。
【0253】
実施の形態9.
[実施の形態9の特徴]
次に、図21及び図22を参照して、本発明の実施の形態9について説明する。本実施形態のシステムは、上述した実施の形態8の装置において、ECU40に、更に、後述する図22に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0254】
上述した実施の形態8のシステムは、吸気通路12内に蒸発燃料が滞留していると推定される場合に、ISC流量QCALを増やして混合気のリッチ化を防止することとしている。しかし、このような手法によれば、ISC流量QCALの増量分だけ、内燃機関10の出力トルクが増大し易い。そこで、本実施形態のシステムは、蒸発燃料の滞留が推定される場合に、ISC流量の増量補正を行う一方で、点火時期AOPの遅角補正を行うこととした。
【0255】
内燃機関10の出力トルクは、常用域においては、点火時期AOPが遅角されるのに伴って低下する。このため、本実施形態のシステムによれば、ISC流量QCALの増量に伴う出力変化を、点火時期AOPの遅角に伴う出力変化で相殺させることができ、内燃機関10の始動時に出力トルクが過大になるのを有効に防止することができる。
【0256】
図21は、本実施形態の装置の特徴的な動作を説明するための図である。図21に示すタイミングチャートは、図21(F)が追加されている点を除いて図19に示すタイミングチャートと同じである。すなわち、図21において、図21(A)〜図21(E)に示す内容は、それぞれ図19(A)〜図19(E)に示すものと同一である。
【0257】
図21(F)は、内燃機関10の始動時における点火時期AOPの変化を示す。この図において、破線で示す波形は、始動時における基本の点火時期AOPである。一方、実線で示す波形は、初爆の早期発生が認められた場合に用いられる点火時期AOP、つまり、遅角補正の施された点火時期AOPである。
【0258】
[実施の形態9における具体的処理]
図22は、上記の機能を実現するためにECU40が実行するルーチンのフローチャートである。このルーチンは、内燃機関10の運転中及び停止中において、所定の周期で繰り返し起動されるものとする。
【0259】
図22に示すルーチンでは、先ず、IGスイッチ42がONであるかが判別される(ステップ320)。IGスイッチ42がONでないと判別された場合は、点火処理が停止された後(ステップ322)、今回の処理サイクルが終了される。
【0260】
一方、IGスイッチ42がONであると判断された場合は、点火時期の算出タイミングであるかが判断される(ステップ324)。現在のクランク角が既定の算出タイミングと一致していない場合は、上記の判定が否定され、そのまま今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の判定が肯定された場合は、基本の点火時期AOPが算出される(ステップ326)。尚、本ステップ326の処理は、図12に示すステップ206の処理と同様である。
【0261】
次に、早期始動フラグXSTNEが1であるかが判別される(ステップ328)。その結果、早期始動フラグXSTNEが1でないと判断された場合は、AOP早期始動補正量ASTNEが0とされる(ステップ330)。
【0262】
次いで、以下に示す演算式に従って、最終的な点火時期AOPが算出される(ステップ332)。
AOP=AOP−ASTNE ・・・(20)
但し、上記(20)式中、右辺のAOPは、上記ステップ326において算出された基本の点火時期AOPである。また、点火時期AOPの値は、上死点前のクランク角(BTDC°CA)で表したものである。
【0263】
上記の演算式(20)によれば、基本の点火時期AOPに比してAOP早期始動補正量ASTNEだけ遅れたクランク角を最終的なISC流量QCALとすることができる。ここでは、早期始動フラグXSTNEが0であり、AOP早期始動補正量ASTNEが0であるため、基本の点火時期AOPがそのまま最終的な点火時期AOPとなる。
【0264】
上記ステップ328において、早期始動フラグXSTNEが1であると判断された場合は、ISC流量QCALに増量補正が施されていると判断できる。そして、ここでは、その増量補正が出力トルクに与える影響を排除するためのAOP早期始動補正量ASTNEが設定される(ステップ334)。具体的には、ステップ334の枠中に示すマップに従って、現在の吸気回数に対応するAOP早期始動補正量ASTNEが算出される。
【0265】
ステップ334の処理において参照されるマップは、AOP早期始動補正量ASTNEが、吸気回数に対して、ISC早期始動補正量QSTNEと同様の変化傾向を示すように設定されている。このため、上記の処理によれば、ISC流量QCALの増量分に対応する遅角量をAOP早期始動補正量ASTNEとして算出することができる。
【0266】
早期始動フラグXSTNEに1がセットされている場合は、ステップ332において、上記の如く設定されたAOP早期始動補正量ASTNEが上記(20)式に代入される。この場合、最終的な点火時期AOPは、AOP早期始動補正量ASTNE分だけ、基本の点火時期AOPに比して短い時間となる。その結果、内燃機関10の出力トルクが低下し、ISC流量の増量に関わらず、過大な出力トルクの発生を防ぐことができる。
【0267】
以上説明した通り、図22に示すルーチンによれば、吸気通路18内に蒸発燃料が滞留していると推測できる場合に限り、つまり、ISC流量QCALが増量補正される場合に限り、点火時期AOPを遅角補正することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、このような状況下で、内燃機関10の出力トルクに、不当な変動が生ずるのを有効に防止することができる。
【0268】
尚、上述した実施の形態9においては、ECU40が、ステップ334の処理を実行することにより前記第17の発明における「点火時期遅角手段」が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2のシステムにおいて内燃機関の始動時に実現される標準的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートを示す。
【図5】本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態3のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3の第1変形例において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3の第2変形例において実行される一連の処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3の第3変形例において実行される一連の処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態5のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施の形態5においてクランキングの停止履歴を残すために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態5においてパージON時間TVSVを設定するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態6において早期始動の発生を判断するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態6においてパージON時間TVSVを設定するために実行されるルーチンのフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態7において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態8のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図20】本発明の実施の形態8において実行されるルーチンのフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態9のシステムの特徴的な動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図22】本発明の実施の形態9において実行されるルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0270】
10 内燃機関
20 スロットル弁
22 燃料噴射弁
26 D-VSV
28 キャニスタ
40 ECU(Electronic Control Unit)
NEBS 基準回転数
KQNE ISC補正量
TVSV パージON時間
QCAL ISC流量
QSTNEA ISC遅延始動補正量
KSTNEA TVSV遅延始動補正量
KSTNEA1 遅延始動後補正量
KPG パージON割合
QSTA,KSTA 初爆時補正量
AOP 点火時期
XSTCT 始動中断フラグ
XSTNE 早期始動フラグ
QSTNE ISC早期始動補正量
ASTNE AOP早期始動補正量




 

 


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