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発明の名称 内燃機関の排気浄化装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−71050(P2007−71050A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−256415(P2005−256415)
出願日 平成17年9月5日(2005.9.5)
代理人 【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
発明者 福田 光一朗 / 松岡 広樹 / 陶山 欣悟 / 三宅 照彦
要約 課題
フィルタなどの排気浄化手段の熱害を抑制しつつ再生効率を高めて再生処理に伴う燃費悪化を抑制することができる技術を提供する。

解決手段
排気浄化手段と、当該排気浄化手段の上流の排気通路に還元剤を添加する還元剤添加手段と、当該還元剤添加手段から還元剤を添加させることにより排気浄化手段に捕集された被浄化物質を浄化する浄化処理手段とを備える内燃機関の排気浄化装置において、浄化処理手段は、排気浄化手段の部位毎の被浄化物質の捕集量を把握する捕集量把握手段と、当該捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量に基づいて前記排気浄化手段の部位毎の許容温度を算出する許容温度算出手段と、当該許容温度算出手段が算出した許容温度に基づいて前記還元剤添加手段からの還元剤添加パターンを決定するパターン決定手段とを有する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、
当該排気浄化手段の上流に還元剤を添加する還元剤添加手段と、
当該還元剤添加手段から還元剤を添加させることにより前記排気浄化手段に捕集された被浄化物質を浄化する浄化処理手段と、
を備える内燃機関の排気浄化装置において、
前記浄化処理手段は、
前記排気浄化手段の部位毎の被浄化物質の捕集量を把握する捕集量把握手段と、
当該捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量に基づいて前記排気浄化手段の部位毎の許容温度を算出する許容温度算出手段と、
当該許容温度算出手段が算出した許容温度に基づいて前記還元剤添加手段からの還元剤添加パターンを決定するパターン決定手段と、
を有することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記許容温度算出手段は、前記排気浄化手段の所定部位以降に捕集されている総被浄化物質量が多いほど当該所定部位の許容温度を低く算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記許容温度算出手段は、被浄化物質捕集量が減少するにつれて許容温度を高く算出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記パターン決定手段は、前記捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量が零ではない場合には、前記許容温度算出手段が算出した許容温度を目標温度に設定し、当該目標温度に基づいて添加パターンを決定するものであり、前記排気浄化手段の排気流れ方向の部位間の目標温度の差が大きい場合には、所定量の還元剤量を所定期間内に均一に添加する均一添加を実行し、目標温度の差が小さい場合には、所定期間内に添加実行と添加停止を繰り返し、かつ添加実行時の添加密度を前記均一添加時よりも大きくすることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記パターン決定手段は、前記捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量が零である部位では、前記許容温度算出手段が算出した許容温度を目標温度として設定せずに、他の部位における目標温度の差に基づいて還元剤添加パターンを決定することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関にて駆動される自動車等から大気中へ排出される煤等の微粒子(PM:Particulate Matter)を低減する技術が望まれている。そのため、内燃機関の排気通路にパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という場合もある。)を配置し、内燃機関から排出されるPMをフィルタにより捕集する技術が知られている。
【0003】
しかし、フィルタにPMが過度に捕集されて、フィルタにPMが過堆積すると、フィルタが目詰まりして排気抵抗の増加を生じさせ、エンジンの出力低下を生じさせてしまう。そのため、フィルタに捕集されている微粒子を該フィルタから酸化除去させフィルタを再生する、いわゆるPM酸化除去処理を適宜実行する必要がある。
【0004】
PM酸化除去処理は、フィルタの温度を500℃〜700℃程度の高温域まで昇温させるための昇温処理を実行するとともに、フィルタへ流入する排気ガスを酸素過剰な雰囲気とするための空燃比処理を行うものである。
【0005】
そして、このPM酸化除去処理に伴う、燃費悪化あるいは高温によるフィルタの破損などを防止することを目的として、特許文献1には、以下のようなPM酸化除去処理を行う排気浄化装置が提案されている。すなわち、フィルタの温度に応じて昇温操作の実施・停止の時間比率を変更することで、フィルタの上流に配置された酸化触媒に供給されるHC量を多段階あるいは連続的に制御して、フィルタの温度を目標温度近傍に制御する。
【特許文献1】特開2004−301013号公報
【特許文献2】特開2003−254038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の方法では、フィルタ内のPM堆積量の分布や熱の伝播を考慮していないため、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタなどの排気浄化手段の熱害を抑制しつつ再生効率を高めて再生処理に伴う燃費悪化を抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、内燃機関の排気通路に備えられた排気浄化手段と、当該排気浄化手段の上流に還元剤を添加する還元剤添加手段と、当該還元剤添加手段から還元剤を添加させることにより前記排気浄化手段に捕集された被浄化物質を浄化する浄化処理手段と、を備える内燃機関の排気浄化装置において、前記浄化処理手段は、前記排気浄化手段の部位毎の被浄化物質の捕集量を把握する捕集量把握手段と、当該捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量に基づいて前記排気浄化手段の部位毎の許容温度を算出する許容温度算出手段と、当該許容温度算出手段が算出した許容温度に基づいて前記還元剤添加手段からの還元剤添加パターンを決定するパターン決定手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、排気浄化手段としては、被浄化物質である排気中の微粒子を捕集するパティキ
ュレートフィルタ、あるいは被浄化物質であるNOxあるいはSOxを吸蔵することにより捕集する吸蔵還元型のNOx触媒を例示することができる。これらは、フィルタにNOx触媒が担持されたものでもよいし、フィルタとNOx触媒が直列的に配置されたものでもよい。
【0010】
そして、排気浄化手段がフィルタである場合、浄化処理手段は、還元剤添加手段から還元剤を添加させることによりフィルタの温度を上昇させ、フィルタに捕集された被浄化物質たる微粒子を酸化除去するものである。
【0011】
フィルタは、その温度が過剰に高くなると溶損などの不具合が生じるが、そのフィルタの温度は、微粒子が酸化除去される際の反応熱、フィルタを通過する排気あるいは周囲に奪われる熱などにより、その温度が決まる。
【0012】
また、微粒子が酸化除去される際の反応により発生した熱は下流に伝わる。ゆえに、排気浄化手段における排気流れ方向の上流側部位で発生した反応熱は中央部位以降へと伝わる。また、中央部位で発生した反応熱は下流側部位へと伝わる。
【0013】
また、フィルタに捕集された微粒子の量が多いほど、酸化除去反応と昇温が連鎖的におこり、結果的に反応熱が高くなる。
【0014】
それゆえ、フィルタの上流側部位に捕集された微粒子の量が多いと、当該上流側部位で反応が促進され反応熱が高くなりその熱が下流側部位へと伝わる。そして、その熱と、下流側部位に捕集された微粒子の反応熱でフィルタの温度が過剰に上昇するおそれがある。
【0015】
一方、フィルタの温度が高いほど微粒子を酸化除去するための反応が促進されるので、微粒子を酸化除去する処理中においては、フィルタの許容温度に近いほど早期に微粒子の捕集量を零にすることができる。ゆえに、フィルタの温度が高いほど酸化除去効率が向上し燃費が向上する。
【0016】
また、排気浄化手段がNOx触媒である場合、浄化処理手段は、還元剤添加手段から還元剤を添加させることによりNOx触媒に捕集(吸蔵)された被浄化物質たるNOxあるいはSOxを放出・還元するものである。
【0017】
NOx触媒は、その温度が過剰に高くなると熱劣化などの不具合が生じるが、そのNOx触媒の温度は、NOxあるいはSOxが還元される際の反応熱、NOx触媒を通過する排気あるいは周囲に奪われる熱などにより、その温度が決まる。
【0018】
また、NOxあるいはSOxが還元される際の反応により発生した熱は下流に伝わる。ゆえに、NOx触媒における排気流れ方向の上流側部位で発生した反応熱は中央部位以降へと伝わる。また、中央部位で発生した反応熱は下流側部位へと伝わる。
【0019】
また、NOx触媒に捕集(吸蔵)されたNOxあるいはSOxの量が多いほどNOx触媒での酸化還元反応が促進され反応熱が高くなる。
【0020】
それゆえ、NOx触媒の上流側部位に捕集されたNOxあるいはSOxの量が多いと、当該上流側部位で反応が促進され反応熱が高くなりその熱が下流側部位へと伝わる。そして、その熱と、下流側部位に捕集されたNOxあるいはSOxの還元反応の反応熱でNOx触媒の温度が過剰に上昇するおそれがある。
【0021】
一方、NOx触媒の温度が高いほどNOxあるいはSOxを還元するための反応が促進
されるので、NOxあるいはSOxを還元する処理中においては、NOx触媒の許容温度に近いほど早期にその捕集量を零にすることができる。ゆえに、NOx触媒の温度が高いほど還元効率が向上し燃費が向上する。
【0022】
ところで、還元剤添加弁から還元剤を添加する添加パターン、つまり、所定量の還元剤量を所定期間内に均一に添加する添加パターンであるのか、所定期間内に添加実行と添加停止を繰り返す添加パターンであるのかなどによって排気浄化手段の温度上昇度合いが異なる。
【0023】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置においては、捕集量把握手段が排気浄化手段たるフィルタ(又はNOx触媒)の部位毎の微粒子(又はNOxあるいはSOx)の捕集量を把握し、許容温度算出手段が、捕集量把握手段が把握した微粒子(又はNOxあるいはSOx)量に基づいてフィルタ(又はNOx触媒)の部位毎の許容温度を算出し、パターン決定手段が、許容温度算出手段が算出した許容温度に基づいて還元剤添加手段からの還元剤添加パターンを決定する。これにより、フィルタ、NOx触媒などの排気浄化手段の過昇温を防止しつつ、微粒子の酸化除去効率又はNOxあるいはSOxの還元効率を向上させることができる。
【0024】
ここで、前記許容温度算出手段は、前記排気浄化手段の所定部位以降に捕集されている総被浄化物質量が多いほど当該所定部位の許容温度を低く算出することが好適である。そして、前記許容温度算出手段は、被浄化物質捕集量が減少するにつれて許容温度を高く算出することが好適である。これらにより、排気浄化手段の過昇温を防止することができる。
【0025】
また、前記パターン決定手段は、前記捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量が零ではない場合には、前記許容温度算出手段が算出した許容温度を目標温度に設定し、当該目標温度に基づいて添加パターンを決定するものであり、前記排気浄化手段の排気流れ方向の部位間の目標温度の差が大きい場合には、所定量の還元剤量を所定期間内に均一に添加する均一添加を実行し、目標温度の差が小さい場合には、所定期間内に添加実行と添加停止を繰り返し、かつ添加実行時の添加密度を前記均一添加時よりも大きくすることが好適である。
【0026】
許容温度算出手段が、排気浄化手段の所定部位以降に捕集されている総被浄化物質量が多いほど当該所定部位の許容温度を低く算出する。そして、パターン決定手段が、許容温度算出手段が算出した許容温度を目標温度に設定する場合には、排気浄化手段の排気流れ方向の部位間の目標温度の差が大きい場合であるのは上流側部位の目標温度が低い場合であり、部位間の目標温度の差が小さいのは上流側部位の目標温度が高い場合であることを意味する。それゆえ、部位間の目標温度の差が小さい場合、つまり上流側部位の目標温度が高い場合には、添加密度を大きくすることで上流側部位から排気浄化手段の温度を高温にすることができる。一方、部位間の目標温度の差が大きい場合、つまり上流側部位の目標温度が低い場合には、添加密度を小さくすることで上流側部位の温度が高温にならないようにすることができる。
【0027】
また、部位間の目標温度の差が小さい場合に添加密度を大きくして上流側部位から排気浄化手段の温度を高温にするが、添加実行と添加停止を繰り返すので、添加停止期間に、NOx触媒を通過する排気あるいは周囲により熱が奪われるので、下流側部位の温度が過剰に高くなることを防止することができる。
【0028】
また、前記パターン決定手段は、前記捕集量把握手段が把握した被浄化物質捕集量が零である部位では、前記許容温度算出手段が算出した許容温度を目標温度として設定せずに
、他の部位における目標温度の差に基づいて還元剤添加パターンを決定することが好適である。
【0029】
これにより、被浄化物質捕集量が零でない部位における温度を高めたまま再生効率を維持したまま、被浄化物質捕集量が零であり高温にする必要がない部位の温度を低下させることができるので、浄化処理に伴う燃費悪化を抑制することができる。また、触媒の熱劣化を抑制することもできる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、排気浄化手段の熱害を抑制しつつ再生効率を高めて再生処理に伴う燃費悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
【実施例1】
【0032】
図1に示す内燃機関1は、ディーゼルエンジンである。内燃機関1には排気通路2が接続されており、内燃機関1からの排気が排気通路2を流れる。この排気通路2は、下流にて大気へと通じており、排気通路2の途中には、排気浄化手段3が備えられている。
【0033】
この排気浄化手段3は、吸蔵還元型NOx触媒が煤等のPMを捕集するフィルタに担持されたものである。また、排気浄化手段3は、NOx触媒とフィルタが直列に並んだものであってもよい。
【0034】
また、排気通路2における排気浄化手段3の上流側には、排気通路2内を流通する排気中に還元剤たる燃料を添加する還元剤添加弁4が取り付けられている。
【0035】
以上述べたように構成された内燃機関1には、当該内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10が併設されている。このECU1
0は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどからなる算術論理演算回路であり、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0036】
ECU10には、排気温度センサ(図示省略)、クランクポジションセンサ(図示省略)、アクセルポジションセンサ(図示省略)、エアフローメータ(図示省略)などといった各種センサが電気配線を介して接続され、各種センサの出力信号がECU10に入力されるようになっている。
【0037】
一方、ECU10には、還元剤添加弁4、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁等が電気配線を介して接続され、これらを制御することが可能になっている。
【0038】
ここで、排気浄化手段3のフィルタにPMが過度に堆積すると、フィルタが目詰まりを起こし、排気抵抗の増加を生じさせ、内燃機関1の出力低下を生じさせる。そのため、フィルタに堆積したPMを除去するフィルタの再生処理を実行することが必要であり、ECU10は、PM酸化除去処理を実行する。
【0039】
PM酸化除去処理は、フィルタのPM酸化除去処理実行条件が成立したときに、フィルタに堆積したPMを除去すべく、ECU10が実行するものである。PM酸化除去処理実行条件としては、フィルタに堆積したPM量が、所定量以上であるという条件を例示することができる。当該所定量は、PMがフィルタに堆積していることによりフィルタの目詰
まりを起こし、この目詰まりが排気抵抗の増加を生じさせ、内燃機関の出力低下を生じさせてしまう限界量よりもやや低めに設定される量である。
【0040】
そして、PM酸化除去処理実行条件が成立としていると判別された場合には、ECU10は、フィルタの温度を500℃〜700℃程度の高温域まで昇温させる昇温処理を実行するとともに、フィルタへ流入する排気を酸素過剰な雰囲気とする。
【0041】
昇温処理は、還元剤添加弁4から排気中へ還元剤たる燃料を添加させることにより、それらの未燃燃料成分を排気浄化手段3のNOx触媒において酸化させ、酸化の際に発生する熱によってフィルタの温度を高める処理である。
【0042】
酸素過剰な雰囲気にする空燃比処理は、フィルタに流入する排気の空燃比がリーン空燃比となるように、燃料噴射弁から気筒内に噴射される燃料量又は還元剤添加弁4から排気中へ添加される燃料量を調整する制御である。
【0043】
そして、このようなPM酸化除去処理が実行されると、フィルタに堆積したPMが酸化され、フィルタからPMが除去されることになる。
【0044】
ところで、フィルタの温度は、PMの酸化反応による発熱、排気あるいは周囲に奪われる熱などにより、その温度が決まる。また、PMの酸化反応により発生した熱は下流に伝わる。
【0045】
それゆえ、図2(a)のラインAに示すように、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけて均一にPMが堆積している場合に、図2(c)の添加パターンAに示すように、所望量の還元剤量を、還元剤添加弁4の添加インターバルを一定、かつ添加量(弁の開弁期間)を一定、つまり所望量の還元剤量を均一に分割して添加すると、フィルタの温度分布が、図2(b)のラインAに示すように、上流側部位から下流側部位にかけて徐々に温度が高くなる。
【0046】
一方、図2(a)のラインBに示すように、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけて徐々に堆積量が減少している場合に、添加パターンAのように、所望量の還元剤量を均一に分割して添加すると、上流側部位から下流側部位にかけて堆積量が減少している分、図2(b)のラインBに示すように、温度上昇度合いがラインAよりも小さくなる。
【0047】
一方、図2(a)のラインCに示すように、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から中央部位にかけて徐々に堆積量が減少し、中央部位から下流側部位にかけて堆積量が略一定(例えば零)である場合に、添加パターンAのように、所望量の還元剤量を均一に分割して添加すると、PMが堆積している上流側部位においては温度上昇するが、中央部位から下流側部位にかけてはPMの酸化反応による発熱が小さいため温度一定となる。
【0048】
以上のことより、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけてPMがどれだけ堆積しているかにより温度上昇度合いが異なる。それゆえ、フィルタを排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけて3つの部位(上流側部位、中央部位、下流側部位)に分割した場合に、各部位以降にどれだけのPMが堆積しているかにより当該部位の許容温度が定まる。つまり、各部位以降のPM堆積総量と当該部位における許容温度の関係を示したのが図3であり、本図に示すように、各部位以降のPM堆積総量が多くなるにしたがって当該部位における許容温度が低くなる。なお、フィルタに溶損などの不具合を生じさせないフィルタの限界の温度、つまり許容温度を700℃としている。
【0049】
フィルタに溶損などの不具合を生じさせない限界の温度、つまり許容温度を700℃とすると、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけて均一にPMが堆積している場合にフィルタの温度が最も高温となる下流側部位の温度を700℃以下とする必要がある。一方、高温であるほどPMの酸化除去処理が促進されることを考慮すると、下流側部位の温度をできるかぎり高温にすることが好ましい。
【0050】
例えば、図4(a)に示すように、上流側部位、中央部位、下流側部位それぞれに2(g)のPMが堆積していると仮定すると、各部位以降のPM堆積総量は図4(b)に示すようになり、各部位における許容温度は図4(c)に示すようになる。
【0051】
また、例えば、図5(a)に示すように、上流側部位に1.5(g)、中央部位に1.0(g)、下流側部位に0.5(g)のPMが堆積していると仮定すると、各部位以降のPM堆積総量は図5(b)に示すようになり、各部位における許容温度は図5(c)に示すようになる。
【0052】
なお、上流側部位、中央部位、下流側部位のPM堆積量は、図6に示すような差圧センサの検出値と経験則に基づいて把握することができる。あるいは、内燃機関の負荷及び機関回転数の履歴によって推定することもできる。
【0053】
また、最初はフィルタの各部位に均一に堆積していたとしても、PM酸化除去処理開始後のフィルタ内の温度分布などによって、部位毎の酸化除去量が異なるので、各部位におけるPM堆積量が異なり、分布が生じる。それゆえ、フィルタに流入するPM量をPMin、各部位x(x=1〜3、上流側部位:x=1、中央部位:x=2、下流側部位:x=3)のPM堆積量をPMx、酸化除去されたPM量をPMrx、フィルタの温度をTx、今回値を(i)、前回値を(i−1)、単位時間当たりにフィルタを通過する排気量(排気流速)をSVとすると、今回のPM堆積量は以下の式(1)のようになる。
PMx(i)=PMx(i−1)+PMin/3−PMrx・・・(1)
ここで、PMrx=f(Tx、SV)である。かかる事項を考慮して各部位におけるPM堆積量を算出することもできる。
【0054】
一方、還元剤添加弁4から還元剤を添加する添加パターンによってフィルタの温度が異なる。また、フィルタの温度が高いと酸化除去反応が促進され、PMの酸化反応による発熱量が多くなる。
【0055】
例えば、図7(c)のパターンBに示すように、添加実行・停止を繰り返し、所望量の還元剤量を、パターンAに対して添加密度を大きくした添加実行と、添加停止を繰り返すと、添加実行の間にPMの酸化反応により発熱するものの、添加停止期間に排気あるいは周囲により奪われる熱量が増える。
【0056】
それゆえ、図7(a)のラインBに示すように、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から下流側部位にかけて徐々に堆積量が減少している場合には、図7(c)のパターンBのように添加することが好適である。これにより、図7(b)のラインBに示すように、上流側部位から中央部位にかけて温度が上昇し、中央部位から下流側部位にかけては温度一定となる温度分布となる。それゆえ、下流側部位においてもフィルタの温度が許容温度を超えないようにすることができるとともにPMを酸化除去すべき上流側部位及び中央部位においては最大限にフィルタの温度を高くすることができる。
【0057】
また、例えば、図7(c)のパターンCに示すように、添加実行・停止を繰り返し、かつ添加実行期間及び停止期間をラインBに比して長くすると、パターンBに比して添加実行の間の発熱量が増えるものの、添加停止期間に排気あるいは周囲により奪われる熱量も
増える。
【0058】
それゆえ、図7(a)のラインCに示すように、フィルタの排気流れ方向の上流側部位から中央部位にかけて徐々に堆積量が減少し、中央部位から下流側部位にかけて堆積量が略一定(例えば零)である場合には、図7(c)のパターンCのように添加することが好適である。これにより、図7(b)のラインCに示すように、上流側部位において温度が上昇し、上流側部位から下流側部位にかけては温度が低下する温度分布となる。それゆえ、フィルタの温度が許容温度を超えないようにすることができるとともにPMを酸化除去すべき上流側部位においては最大限にフィルタの温度を高くすることができる。また、PMが堆積していないために高温にする必要がない下流側部位においては低温とすることができるので、熱負荷を抑制することができる。
【0059】
これらの例示のごとく、図8に示すように、還元剤添加弁4の開弁期間をa、添加実行時における開弁開始の間隔をb、添加実行期間をc、添加実行開始から次回の添加実行開始までの期間(添加実行開始間隔)をdとする場合に、a〜dの値に応じて以下の特性を有する。
【0060】
例えば、c及びdを一定として、a/b(添加密度)を変化させると、a/bが大きい方がフィルタ温度の振幅が大きくなる。ゆえに、a/bが大きい方が小さい場合よりもより上流側から昇温することができる。また、下流側はa/bの変化による影響が小さい。
【0061】
また、フィルタの下流側部位は熱容量で温度がなまされる。そのため、平均エネルギー=単位時間あたりの添加量=d間の総添加量/d期間となり、これを不変とし、また、bは還元剤添加弁4の所要充電時間等で最低期間が定まるので固定とし、かかる条件下では、許容温度が高いほど、aを大きくしcを小さくすることが好適である。
【0062】
上述した事項を踏まえて添加パターンを決定する。それには以下の2つの方法がある。オフライン:シミュレーションモデルあるいは実験等の経験則に基づくマップを予め作成しておく。
オンライン:モデル自体をECUに実装し、運転状態を基に逐次計算させる。
これらの2つの方法の精度は同等だが、特性は排気流量等多くのパラメータによる影響を受けるので、(1)では予め作成しておくマップ数が膨大になる。それゆえ、(2)の方が好ましい。
【0063】
例えば、上述した手法を用いてフィルタの各部位における許容温度を把握し、これを目標温度に設定する。そして、図9に示すマップを用いて、各部位におけるフィルタの温度が目標温度となる最大の添加密度を算出するなど、各部位における目標温度を満足できる添加パターンを上記(1)あるいは(2)の手法を用いて算出する。
【0064】
以下、具体的に本実施例に係るPM酸化除去処理制御の制御ルーチンについて図10に示すフローチャートに沿って説明する。この制御ルーチンは、予めECU10のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間毎、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU10が実行するルーチンである。
【0065】
本制御ルーチンでは、ECU10は、先ず、ステップ(以下、単に「S」という場合もある。)101において、上述したPM酸化除去処理実行条件が成立としているか否かを判別する。そして、肯定判定された場合は、S102へ進み、否定判定された場合は、本ルーチンの実行を終了する。
【0066】
S102においては、上流側部位、中央部位、下流側部位の各部位におけるPM堆積量を算出する。これは、上述した手法を用いて算出するものである。
【0067】
その後S103へ進み、上流側部位、中央部位、下流側部位の各部位における許容温度を算出する。これは、S102にて算出したPM堆積量を、図3に示したPM堆積量と許容温度との相関関係を示すマップに代入することにより算出するものである。
【0068】
その後S104へ進み、S103にて算出した許容温度を目標温度に設定し、各部位における温度が目標温度になるように、上述した手法に基づいて還元剤添加弁4による添加パターンを決定する。
【0069】
その後S105へ進み、S104で決定した添加パターンとなるように還元剤添加弁4による還元剤添加を実行する。
【0070】
このようにすることで、酸化除去効率を向上させることができるとともに、フィルタの温度が過剰に高くなることを防止することができる。
【実施例2】
【0071】
フィルタの上流側部位から下流側部位にかけて均一にPMが堆積している状態から、PM酸化除去処理を実行すると、下流側部位の方が先に温度が高くなることから、下流側部位の方からより多くのPMが酸化除去され、PM堆積量が減少していく。
【0072】
そして、PM堆積量が零になった場合には、図11に示すように、当該部位の目標温度を、当該部位の許容温度よりも低めに設定する。例えば、下流側部位が先にPM堆積量が零になったら、実施例1では目標温度は許容温度である700℃であるが、当該部位では温度確保の必要がないので、できる限り要求温度を下げる。これにより、中央部位まではきちんと酸化除去しつつ、下流側部位は温度を低くするので、無駄な熱負荷がかからず、フィルタの性能を維持することができる。また、何らかの理由で、上流側部位でシステムクライテリアを超える温度上昇が起きたとしても、下流側部位は元々目標温度が低いので、上流の熱が伝わってきても、許容温度を超えるほどの温度上昇とならないようにすることができる。これにより、フィルタの品質を維持することができる。
【0073】
かかる場合の添加パターンとしては、例えば、図7(c)のパターンCのように添加密度を大きくした添加実行と添加停止を繰り返し、かつ添加停止期間をパターンCに比して長くすることを例示することができる。これにより、パターンCよりも、添加停止期間に排気あるいは周囲により奪われる熱量が増えるので、上流側部位の温度を高く保ちつつ、下流側部位の温度を低くすることができる。それゆえ、PM酸化除去処理に伴う燃費悪化を抑制することができる。
【0074】
以下、具体的に本実施例に係るPM酸化除去処理制御の制御ルーチンについて図12に示すフローチャートに沿って説明する。この制御ルーチンは、予めECU10のROMに記憶されているルーチンであり、一定時間毎、あるいはクランクポジションセンサからのパルス信号の入力などをトリガとした割り込み処理としてECU10が実行するルーチンである。
【0075】
本制御ルーチンは、実施例1に係るPM酸化除去処理制御の制御ルーチンに対して、S206が追加されたものであり、その他S201〜S205はそれぞれS101〜S105と同じである。
【0076】
S206においては、PMが堆積している部位のみ、目標温度をS203にて算出した
許容温度に設定し、堆積PM量が略零と算出された場合にはその部位の目標温度を設定しないようにする。そして、S204においては、S206にて設定された目標温度に基づいて添加パターンを決定する。その際、PM酸化除去処理に伴う燃費悪化を抑制することができるとともに堆積したPMを最大限に酸化除去できる添加パターンが選択される。
【0077】
このようにすることで、堆積PM量が零である部位では温度が低下されるので、PM酸化除去処理に伴う燃費悪化を抑制することができるとともにフィルタの熱負荷を抑制することができる。一方、PMが堆積している部位では最大限に温度が高められるので酸化除去効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0078】
排気浄化手段3のNOx触媒は、NOxと同様のメカニズムによって排気中のSOxを捕集するため、SOxの捕集量が増加すると、それに応じてNOx触媒のNOx捕集能力が低減する、いわゆるSOx被毒が発生する。
【0079】
そして、このようにNOx触媒にSOx被毒が生じると、NOx捕集能力が飽和し、排気中のNOxがNOx触媒にて浄化されずに大気中へ放出されてしまう。したがって、NOx触媒に捕集されたSOxを放出及び還元させてNOx触媒を再生する、SOx被毒解消処理を実行する。
【0080】
このSOx被毒解消処理では、ECU10は、先ずNOx触媒の床温を約600℃に高める触媒昇温処理を実行した上で、NOx触媒に流入する排気の空燃比を理論空燃比以下とするようにする。
【0081】
具体的に、本実施例の触媒昇温処理では、NOx触媒の温度を早期に上昇させる手段として、内燃機関1の圧縮行程上死点近傍での通常の主燃料噴射に加えて、排気行程中もしくは膨張行程中に気筒内に燃料を副次的に噴射するポスト噴射又は吸気行程もしくは排気行程の上死点近傍で気筒内に燃料を噴射するビゴム噴射等の副噴射を行うことが有効である。
【0082】
また、上述の副噴射の代わりにあるいは副噴射とともに、還元剤添加弁4から排気中へ還元剤たる燃料を添加させることにより、それらの未燃燃料成分をNOx触媒において酸化させ、酸化の際に発生する熱によってNOx触媒の床温を高めるようにしてもよい。
【0083】
そして、このような触媒昇温処理によりNOx触媒の床温が約600℃まで上昇したら、ECU10は、NOx触媒に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比以下とすべく還元剤添加弁4から還元剤たる燃料を添加させる還元剤添加制御を実行する。
【0084】
そして、還元剤添加弁4から還元剤が添加されると、還元剤添加弁4から添加された還元剤は、気筒から排出された排気と混ざり合って理論空燃比以下の混合気を形成してNOx触媒に流入し、NOx触媒に捕集されたSOxが放出・還元されることになる。
【0085】
このようなSOx被毒解消処理を実行するにあたっては、還元剤を添加することになるが、この還元剤添加の態様を制御しないとSOxが還元される際の反応熱によりNOx触媒の温度が過剰に上昇し、NOx触媒に熱劣化あるいはNOx触媒に担持されたフィルタに溶損などの不具合が生じるおそれがある。そのため、還元剤添加弁4から添加する還元剤量を適切な量にすることが重要となる。
【0086】
そして、SOx被毒解消処理においても、実施例1あるいは実施例2と同様の手法を用いて還元剤添加弁4から添加する還元剤添加パターンを決定する。
【0087】
つまり、NOx触媒の各部位におけるSOx捕集量を把握し、当該SOx捕集量に基づいてNOx触媒の各部位における許容温度を算出する。
【0088】
そして、捕集量が零ではない場合には、許容温度を目標温度に設定して、当該目標温度に応じて還元剤添加パターンを決定する。他方、ある部位における捕集量が零である場合には、当該部位の目標温度は設定せずに、他の部位における目標温度のみに応じて還元剤添加パターンを決定する。
【0089】
これにより、添加パターンを適切に決定することができるので、SOx被毒解消処理実行中に、NOx触媒およびフィルタの温度が上昇することに起因して不具合が生じることを防止することができる。また、SOx被毒解消処理実行中にはNOx触媒の温度ができる限り高温にされるのでSOx被毒解消処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例に係る内燃機関の排気浄化装置の概略構成を示す図である。
【図2】PM堆積量、フィルタ温度、添加パターンの関係を示す図である。
【図3】PM堆積総量とフィルタの許容温度の相関関係を示す図である。
【図4】フィルタの各部位におけるPM堆積量とフィルタの許容温度の相関関係の第1例を示す図である。
【図5】フィルタの各部位におけるPM堆積量とフィルタの許容温度の相関関係の第2例を示す図である。
【図6】フィルタの各部位におけるPM堆積量を検出する差圧センサの概略構成を示す図である。
【図7】PM堆積量、フィルタ温度、添加パターンの関係を示す図である。
【図8】添加パターンを模式的に示す図である。
【図9】フィルタの各部位におけるフィルタの許容温度と添加密度の相関関係を示す図である。
【図10】実施例1に係るPM酸化除去処理制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図11】実施例2に係るフィルタの各部位における目標温度を模式的に示す図である。
【図12】実施例2に係るPM酸化除去処理制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 内燃機関
2 排気通路
3 吸蔵還元型NOx触媒
4 還元剤添加弁
10 ECU




 

 


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