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発明の名称 アクチュエータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−64460(P2007−64460A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−255069(P2005−255069)
出願日 平成17年9月2日(2005.9.2)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 笠原 幸治
要約 課題
長期間に渡って回転−直動変換機構の正常な作動が約束される、高い信頼性を備えたアクチュエータを提供する。

解決手段
アクチュエータ10は、回転−直動変換機構12と、異物排出用羽38とを備える。回転−直動変換機構12は、ナット51とサンシャフト31とを有し、ナット51に入力された回転運動を直線運動に変換してサンシャフト31から出力する。異物排出用羽38は、サンシャフト31に設けられ、サンシャフト31とともに直線運動する。回転−直動変換機構12には、ナット51とサンシャフト31との間で潤滑油が滞留する空間56が形成されている。異物排出用羽38が直線運動することにより、空間56内に潤滑油流れが生じる。
特許請求の範囲
【請求項1】
回転子と軸部材とを有し、前記回転子に入力された回転運動を直線運動に変換して前記軸部材から出力する回転−直動変換機構と、
前記軸部材に設けられ、前記軸部材とともに直線運動する羽部材とを備え、
前記回転−直動変換機構には、前記回転子と前記軸部材との間で潤滑油が滞留する空間が形成されており、
前記羽部材が直線運動することにより、前記空間内に潤滑油流れが生じる、アクチュエータ。
【請求項2】
回転子と軸部材とを有し、前記回転子に入力された回転運動を直線運動に変換して前記軸部材から出力する回転−直動変換機構と、
前記回転子に設けられ、前記回転子とともに回転運動する羽部材とを備え、
前記回転−直動変換機構には、前記回転子と前記軸部材との間で潤滑油が滞留する空間が形成されており、
前記羽部材が回転運動することにより、前記空間内に潤滑油流れが生じる、アクチュエータ。
【請求項3】
前記回転−直動変換機構は、前記回転子と前記軸部材とを係合させ、回転運動を直線運動に変換し、前記空間に収容された変換部をさらに有し、
前記羽部材の運動により、前記変換部に潤滑油流れが生じる、請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記羽部材は、前記変換部よりも前記羽部材の運動によって生じる潤滑油流れの上流側に設けられている、請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記空間に潤滑油を供給する潤滑油供給部と、
前記潤滑油供給部から供給された潤滑油を排出する潤滑油排出部とをさらに備え、
前記空間は、前記潤滑油供給部と前記潤滑油排出部とを結ぶ経路上から分岐した位置に形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記回転−直動変換機構には、前記羽部材よりも前記羽部材の運動によって生じる潤滑油流れの上流側で前記空間に開口する孔が形成されており、
前記羽部材の運動によって潤滑油流れが生じる時、前記孔を通じて前記空間に潤滑油が流れ込む、請求項1から5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、アクチュエータに関し、より特定的には、回転運動を直線運動に変換する回転−直動変換機構を備えるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアクチュエータに関して、たとえば、特開平10−196757号公報には、効率を向上させるとともに、1回転当たりの直動量を小さくすることを目的とした回転−直動変換機構が開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示された回転−直動変換機構は、シャフト、ローラおよびナットを備えるローラねじ機構から構成されている。シャフト、ローラおよびナットには、ねじや歯車が形成されている。これらが互いに噛み合いながら、ナットの回転運動がローラおよびシャフトへと順に伝わることによって、シャフトが直線運動する。
【特許文献1】特開平10−196757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献1に開示されているような回転−直動変換機構では、摩擦の低減や冷却を目的として、ねじや歯車の噛み合い位置に潤滑油が供給される。しかしながら、回転−直動変換機構を長期間作動させていると、その過程で、潤滑油に含まれる異物や、ねじや歯車の噛み合い位置で生じた摩耗粉、バリ等が、回転−直動変換機構に滞留する場合がある。この場合、ねじや歯車間で摩擦が増大し、回転−直動変換機構の機能が損なわれるおそれが生じる。また最終的には、回転−直動変換機構の作動が停止に至るおそれも生じる。
【0004】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、長期間に渡って回転−直動変換機構の正常な作動が約束される、高い信頼性を備えたアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の1つの局面に従ったアクチュエータは、回転−直動変換機構と、羽部材とを備える。回転−直動変換機構は、回転子と軸部材とを有し、回転子に入力された回転運動を直線運動に変換して軸部材から出力する。羽部材は、軸部材に設けられ、軸部材とともに直線運動する。回転−直動変換機構には、回転子と軸部材との間で潤滑油が滞留する空間が形成されている。羽部材が直線運動することにより、空間内に潤滑油流れが生じる。
【0006】
この発明の別の局面に従ったアクチュエータは、回転−直動変換機構と、羽部材とを備える。回転−直動変換機構は、回転子と軸部材とを有し、回転子に入力された回転運動を直線運動に変換して軸部材から出力する。羽部材は、回転子に設けられ、回転子とともに回転運動する。回転−直動変換機構には、回転子と軸部材との間で潤滑油が滞留する空間が形成されている。羽部材が回転運動することにより、空間内に潤滑油流れが生じる。
【0007】
このように構成されたアクチュエータによれば、羽部材の運動により生じる潤滑油流れによって、回転子と軸部材との間に存在する異物等を強制的に排除することができる。これにより、異物等の介在に起因して、回転−直動変換機構の機能が低下することを防止し、アクチュエータの信頼性を向上させることができる。
【0008】
また、回転−直動変換機構は、回転子と軸部材とを係合させ、回転運動を直線運動に変換し、空間に収容された変換部をさらに有する。好ましくは、羽部材の運動により、変換部に潤滑油流れが生じる。このように構成されたアクチュエータによれば、変換部に存在する異物等を強制的に排除することで、回転運動を直線運動に変換する変換部を正常に作動させることができる。
【0009】
また好ましくは、羽部材は、変換部よりも羽部材の運動によって生じる潤滑油流れの上流側に設けられている。このように構成されたアクチュエータによれば、変換部のいずれの位置においても、潤滑油流れを生じさせることができる。これにより、変換部に異物等が残ることを防止し、変換部をより確実に正常に作動させることができる。
【0010】
また、アクチュエータは、空間に潤滑油を供給する潤滑油供給部と、潤滑油供給部から供給された潤滑油を排出する潤滑油排出部とをさらに備える。空間は、潤滑油供給部と潤滑油排出部とを結ぶ経路上から分岐した位置に形成されている。このように構成されたアクチュエータによれば、空間は、潤滑油供給部から潤滑油排出部に向かう潤滑油流れから逸れた位置に形成されている。このため、潤滑油が空間に滞留し易くなる。したがって、本発明の適用により、回転子と軸部材との間に存在する異物等を効果的に排除することができる。
【0011】
また好ましくは、回転−直動変換機構には、羽部材よりも羽部材の運動によって生じる潤滑油流れの上流側で空間に開口する孔が形成されている。羽部材の運動によって潤滑油流れが生じる時、孔を通じて空間に潤滑油が流れ込む。このように構成されたアクチュエータによれば、羽部材の運動時、羽部材よりも羽部材の運動によって生じる潤滑油流れの上流側の空間で、負圧が発生することを抑制できる。これにより、空間内に潤滑油流れをより効果的に生じさせるとともに、回転−直動変換機構の効率が低下することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明に従えば、長期間に渡って回転−直動変換機構の正常な作動が約束される、高い信頼性を備えたアクチュエータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるアクチュエータが用いられたバルブリフト可変機構を示す正面図である。図2は、図1中のバルブリフト可変機構を部分的に示す斜視図である。図2中では、内部構造が明確に把握できるように一部が破断されて表わされている。
【0015】
図1および図2を参照して、バルブリフト可変機構100は、内燃機関のバルブ(本実施の形態では、吸気バルブ)のバルブリフト量を可変とする機構である。内燃機関は、ガソリンエンジンであっても良いし、ディーゼルエンジンであっても良い。参照する図には示されていないが、図中の駆動軸20の先端には、駆動軸20を直線運動させるための本実施の形態におけるアクチュエータが接続されている。
【0016】
バルブリフト可変機構100は、内燃機関のシリンダヘッド内に設けられている。そのシリンダヘッド内には、カム103が形成されたカムシャフト102、揺動可能に軸支されたロッカアーム106およびロッカアーム106の揺動に応じて開閉駆動される吸気バルブ101が配設されている。バルブリフト可変機構100は、一方向に延びる駆動軸20と、駆動軸20の外周面を覆う支持パイプ108と、支持パイプ108の外周面上で駆動軸20の軸方向に並んで配置された入力アーム104および揺動カム105とを備える。
【0017】
なお、この内燃機関では、各気筒にそれぞれ一対の吸気バルブ101およびロッカアーム106が設けられており、一対の吸気バルブ101が、1つのカム103によって開閉駆動される。バルブリフト可変機構100には、各気筒に設けられた1つのカム103に対応して、1つの入力アーム104が設けられている。入力アーム104の両側には、各気筒に設けられた一対の吸気バルブ101のそれぞれに対応して、2つの揺動カム105が設けられている。
【0018】
支持パイプ108は、中空円筒状に形成されており、カムシャフト102に対して平行に配置されている。支持パイプ108は、軸方向へ移動したり、回転したりしないようにシリンダヘッドに固定されている。支持パイプ108の内部には、その軸方向に摺動可能なように駆動軸20が挿入されている。支持パイプ108の外周面上には、駆動軸20の軸芯を中心として揺動可能で、かつ、その軸方向には移動しないように、入力アーム104および2つの揺動カム105が設けられている。
【0019】
入力アーム104は、支持パイプ108の外周面から離れる方向に突出するアーム部104aと、アーム部104aの先端に回転可能に接続されたローラ部104bとを有する。入力アーム104は、ローラ部104bがカム103に当接可能な位置に配置されるように設けられている。
【0020】
揺動カム105は、支持パイプ108の外周面から離れる方向に突出する略三角形状のノーズ部105aを有する。ノーズ部105aの一辺(図1中の下方側の辺)には、凹状に湾曲したカム面105bが形成されている。吸気バルブ101には、バルブスプリングが設けられている。その付勢力によって、カム面105bには、ロッカアーム106に回転可能に取り付けられたローラ106aが押し付けられる。
【0021】
入力アーム104および揺動カム105は、一体となって駆動軸20の軸芯を中心として揺動する。このため、カムシャフト102が回転すると、カム103に当接された入力アーム104が揺動し、この入力アーム104の動きに連動して揺動カム105も揺動する。この揺動カム105の動きが、ロッカアーム106を介して吸気バルブ101に伝わり、これによって吸気バルブ101が開閉駆動される。
【0022】
バルブリフト可変機構100は、さらに、支持パイプ108の軸芯周りにおいて、入力アーム104と揺動カム105との相対位相差を変更する機構を備えており、この機構によって、吸気バルブ101のバルブリフト量を適宜変更する。つまり、両者の相対位相差を拡大すれば、入力アーム104および揺動カム105の揺動角に対するロッカアーム106の揺動角が拡大され、吸気バルブ101のバルブリフト量が増大される。また、両者の相対位相差を縮小すれば、入力アーム104および揺動カム105の揺動角に対するロッカアーム106の揺動角が縮小され、吸気バルブ101のバルブリフト量が低減される。
【0023】
次に、上記の相対位相差を変更する機構について、より詳細な説明を行なう。図2に示されるように、入力アーム104および2つの揺動カム105と、支持パイプ108の外周面との間に規定された空間には、支持パイプ108に対して、回転可能で、かつ軸方向に摺動可能に支持されたスライダギア107が収容されている。
【0024】
スライダギア107には、その軸方向の中央部に位置して、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギア107bが設けられている。また、スライダギア107には、ヘリカルギア107bの両側に位置して、ヘリカルギア107bとは逆に左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されたヘリカルギア107cがそれぞれ設けられている。
【0025】
一方、スライダギア107を収容する空間を規定する入力アーム104および2つの揺動カム105の表面には、ヘリカルギア107bおよび107cに対応したヘリカルスプラインがそれぞれ形成されている。つまり、入力アーム104には、右ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギア107bに噛み合っている。また、揺動カム105には、左ねじ螺旋状のヘリカルスプラインが形成されており、そのヘリカルスプラインがヘリカルギア107cに噛み合っている。
【0026】
スライダギア107には、一方のヘリカルギア107cとヘリカルギア107bとの間に位置して、周方向に延びる長穴107aが形成されている。また、支持パイプ108には、長穴107aの一部と重なるように、軸方向に延びる長穴108aが形成されている。支持パイプ108の内部に挿通された駆動軸20には、これら2つの長穴107aおよび108aの重なった部分を通じて突出する係止ピン20aが一体に設けられている。
【0027】
駆動軸20がその軸方向に移動すると、スライダギア107が係止ピン20aにより押されるため、ヘリカルギア107bおよび107cが同時に駆動軸20の軸方向に移動する。このようなヘリカルギア107bおよび107cの移動に対して、これらにスプライン係合された入力アーム104および揺動カム105は、軸方向に移動しないため、ヘリカルスプラインの噛み合いを通じて駆動軸20の軸芯周りに回動する。このとき、入力アーム104と揺動カム105とでは、形成されたヘリカルスプラインの向きが逆であるため、回動方向が互いに逆方向となる。これにより、入力アーム104と揺動カム105との相対位相差が変化し、既に説明したように吸気バルブ101のバルブリフト量が変更される。
【0028】
図3は、この発明の実施の形態1におけるアクチュエータを示す断面図である。図3を参照して、アクチュエータ10は、回転運動を直線運動に変換する回転−直動変換機構12と、回転−直動変換機構12に回転運動を入力するモータ71と、回転−直動変換機構12に潤滑油を供給する潤滑油供給路62と、潤滑油供給路62から供給された潤滑油を排出する潤滑油排出路66と、回転−直動変換機構12に設けられ、回転−直動変換機構12の作動時に移動することによって、潤滑油流れを生じさせる異物排出用羽38とを備える。シリンダヘッド85のリヤ側端面には、ハウジング81が固定されている。回転−直動変換機構12およびモータ71は、ハウジング81内に形成された空間83に配置されている。
【0029】
まず、アクチュエータ10で回転運動を直線運動に変換する構造について説明を行なう。回転−直動変換機構12の主要部は、外周面31aを有し、軸201上に延びるサンシャフト31と、外周面31a上で軸201と平行に延び、軸201を中心とした周方向に並んで配設された複数のプラネタリシャフト41と、複数のプラネタリシャフト41を取り囲むように設けられ、軸201を中心に筒状に延びるナット51とから構成されている。サンシャフト31は、軸201上で駆動軸20と並ぶように配置されている。
【0030】
ハウジング81には、シリンダヘッド85と対向する位置で空間83が開口する開口部80が形成されている。サンシャフト31は、空間83から開口部80を通じてハウジング81の外側に突出するように設けられている。サンシャフト31は、ハウジング81の外側に位置決めされた一方端31mと、空間83に収容される他方端31nとを有する。一方端31mは、図示しないカップリング機構等により駆動軸20と接続されている。
【0031】
サンシャフト31は、外周面31aにスプラインが形成されたスプライン部32と、外周面31aに雄ねじが形成されたねじ部33とを有する。サンシャフト31の他方端31nには、リング状のサンギヤ36が嵌め合わされている。サンギヤ36の外周面36aには、軸201を中心とした周方向に歯が並ぶ平歯ギヤが形成されている。
【0032】
空間83内のスプライン部32を取り囲む位置には、周り止めカラー58が固定されている。周り止めカラー58の内周面58bには、スプラインが形成されている。周り止めカラー58およびスプライン部32に形成されたスプラインが互いに係合することにより、軸201を中心とするサンシャフト31の回転運動が規制されている。
【0033】
ナット51は、ハウジング81に固定されたベアリング59によって、軸201を中心に回転自在に支持されている。ナット51は、外周面31aと隙間を設けて向い合う内周面51bと、内周面51bの裏側に面する外周面51aとを有する。内周面51bには、ねじ部33に形成された雄ねじとは逆向きの雌ねじが形成されている。
【0034】
ナット51は、さらに、軸201が延びる方向(以下、単に軸201方向とも呼ぶ)の両端で延在する端面51cおよび51dを有する。軸201方向において、端面51cは、サンシャフト31の他方端31nと同じ側に形成されており、端面51dは、一方端31mと同じ側に形成されている。端面51cおよび51dには、それぞれ、カバー53およびフランジ54が固定されている。カバー53は、他方端31n側で開口するナット51の一端を塞いでいる。フランジ54には、軸201方向に貫通する貫通孔54hが形成されており、貫通孔54hからサンシャフト31が突出している。フランジ54とハウジング81とが対向する位置には、オイルシール55が設けられている。
【0035】
ナット51には、雌ねじが形成された内周面51bの両側に位置して、リングギヤ45が固定されている。リングギヤ45の内周面45bには、軸201を中心とした周方向に歯が並ぶ平歯ギヤが形成されている。
【0036】
モータ71は、ロータ72とステータ73とから構成されている。ナット51の外周面51aには、焼嵌め、圧入または接着剤等の手段を用いて、ロータ72が固定されている。ハウジング81には、コイル75が巻回されたステータ73が同様の手段により固定されている。ステータ73は、ロータ72の周りを取り囲むように、軸201を中心に環状に延びて形成されている。ロータ72は、軸201を中心とした周方向に沿って、ステータ73との間に所定の大きさの隙間を設けるように位置決めされている。ロータ72のステータ73に向い合う位置には、軸201を中心として所定の角度ごとに並ぶ永久磁石74が配設されている。
【0037】
コイル75に通電することにより、ロータ72とステータ73との間に磁界が発生する。これにより、ナット51、カバー53およびフランジ54が一体となって、ロータ72とともに軸201を中心に回転する。
【0038】
図4は、図3中のIV−IV線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。図3および図4を参照して、プラネタリシャフト41は、ねじ部43と、ねじ部43の両側にそれぞれ形成されたギヤ部44pおよび44qとを有する。
【0039】
ねじ部43には、サンシャフト31のねじ部33に形成された雄ねじと、ナット51の内周面51bに形成された雌ねじとに螺合する雄ねじが形成されている。ねじ部43に形成される雄ねじは、ねじ部33に形成された雄ねじとは逆向きであり、内周面51bに形成された雌ねじとは同じ向きである。
【0040】
ギヤ部44pには、リングギヤ45の内周面45bに形成された平歯ギヤと、サンギヤ36の外周面36aに形成された平歯ギヤとに噛み合う平歯ギヤが形成されている。ギヤ部44qには、リングギヤ45の内周面45bに形成された平歯ギヤと噛み合う平歯ギヤが形成されている。ギヤ同士の噛み合いによって、ナット51の回転時、プラネタリシャフト41は強制駆動され、自転しながら軸201を中心に公転する。また、自転しながら軸201を中心に公転する際、プラネタリシャフト41は、ギヤ同士の噛み合いによって、軸201と平行に延びる所定の姿勢に保持される。
【0041】
サンシャフト31のねじ部33に形成された雄ねじ、プラネタリシャフト41のねじ部43に形成された雄ねじおよびナット51の内周面51bに形成された雌ねじは、いずれも同一のピッチを有する多条ねじである。サンシャフト31の雄ねじ、プラネタリシャフト41の雄ねじおよびナット51の雌ねじのピッチ円直径を、それぞれ、Ds、DpおよびDnとし、各ねじの条数を、それぞれ、Ns、NpおよびNnとする。本実施の形態では、サンシャフト31を軸201方向にストロークさせるため、たとえば、Ns:Np:Nn=(Ds+1):Dp:Dnの関係を満たすように各ねじの条数が決定されている。なお、各ねじのピッチ円直径と条数とは、これ以外の関係も採り得る。
【0042】
軸201方向に沿ったプラネタリシャフト41の両側には、軸201を中心に環状に延びるリテーナ48および49がそれぞれ配設されている。プラネタリシャフト41の両端は、リテーナ48および49によって回転自在に支持されている。リテーナ48とリテーナ49とは、軸201を中心とした周方向に所定の間隔ごとに設けられ、プラネタリシャフト41と平行に延びる支柱46によって互いに結合されている。
【0043】
ナット51が回転すると、その回転運動は、ナット51およびプラネタリシャフト41に形成されたねじの噛み合いにより、プラネタリシャフト41に伝わる。プラネタリシャフト41は、軸201方向に静止したまま、自転しながら軸201を中心に公転する。
【0044】
プラネタリシャフト41の回転運動は、プラネタリシャフト41およびサンシャフト31に形成されたねじの噛み合いにより、サンシャフト31に伝わる。サンシャフト31は、周り止めカラー58およびスプライン部32に形成されたスプラインの係合によってナット51と供回りすることなく、軸201方向に直動する。
【0045】
このように回転−直動変換機構12では、ナット51の内周面51b、プラネタリシャフト41のねじ部43およびサンシャフト31のねじ部33に形成された各ねじと、サンギヤ36の外周面36a、プラネタリシャフト41のギヤ部44pおよび44qならびにリングギヤ45の内周面45bに形成された各ギヤとが機能して、ナット51の回転運動がサンシャフト31の直線運動に変換される。回転−直動変換機構12は、これら各ねじと各ギヤとから構成され、回転運動から直線運動への変換時に所定の機能を発揮する変換部25を有する。
【0046】
続いて、アクチュエータ10に設けられた潤滑構造について説明を行なう。ハウジング81には、変換部25に向けて潤滑油を供給する潤滑油供給路62と、潤滑油供給路62から供給された潤滑油をシリンダヘッド85側に排出する潤滑油排出路66とが形成されている。潤滑油供給路62の経路上には、潤滑油供給路62から回転−直動変換機構12への潤滑油の供給を一時的に停止させるためのチェックバルブ63が設けられている。潤滑油排出路66に流れる潤滑油は、シリンダヘッド85内を通って内燃機関の図示しないオイルパンに戻される。潤滑油排出路66からオイルパンに向かう潤滑油経路の先は、大気開放されている。
【0047】
回転−直動変換機構12のナット51、カバー53およびフランジ54に囲まれた位置には、変換部25を収容する空間56が形成されている。空間56は、フランジ54に形成された貫通孔54hを通じて潤滑油供給路62と繋がっている。空間56は、潤滑油供給路62から潤滑油排出路66に向かう経路から分岐した位置に形成されている。空間56は、潤滑油供給路62に対して、潤滑油供給路62から潤滑油排出路66に潤滑油が流入する方向とは反対方向に位置して設けられている。潤滑油供給路62から供給された潤滑油が、空間56を満たすことによって、変換部25を構成するねじやギヤを潤滑したり冷却したりする。
【0048】
サンシャフト31の他方端31nには、異物排出用羽38が接続されている。異物排出用羽38は、他方端31nの端面31cから距離を隔てた位置で軸201を中心に鍔状に広がって形成されている。異物排出用羽38は、空間56に収容されている。異物排出用羽38は、カバー53と対向する位置に設けられている。異物排出用羽38は、変換部25に対して潤滑油供給路62および潤滑油排出路66の反対側に設けられている。異物排出用羽38は、カバー53と変換部25との間で、空間56を略分割するように設けられている。
【0049】
図5は、図3中の回転−直動変換機構が駆動軸を押し出す時の潤滑油流れを示す断面図である。図6は、図3中の回転−直動変換機構が駆動軸を引き戻す時の潤滑油流れを示す断面図である。
【0050】
図5を参照して、ナット51が所定の方向に回転し、サンシャフト31が駆動軸20を押し出す場合、異物排出用羽38は、サンシャフト31とともに潤滑油排出路66に近づく方向(矢印211に示す方向)にストロークする。このとき、空間56を満たす潤滑油が、貫通孔54hを通じて空間56から押し出される(ポンプ効果)。これにより、空間56内で潤滑油流れが発生し、潤滑油は、矢印216に示すように、変換部25および貫通孔54hを順に通って潤滑油排出路66に向かう。
【0051】
このとき、潤滑油排出路66に向かう経路上で圧力が上昇し、チェックバルブ63が機能する。これにより、潤滑油供給路62から空間56に向かう潤滑油流れが遮断される。このような構成によって、異物排出用羽38のストローク時、空間56内に形成される潤滑油流れが、潤滑油供給路62から空間56に流入する潤滑油によって妨げられることを防止できる。アクチュエータ10は、異物排出用羽38の運動によって潤滑油流れが生じる時、潤滑油供給路62から空間56に向かう潤滑油流れを遮断するバルブ機構としてのチェックバルブ63をさらに備える。
【0052】
図6を参照して、ナット51が先に述べた所定の方向とは反対方向に回転し、サンシャフト31が駆動軸20を引き戻す場合、異物排出用羽38は、サンシャフト31とともに潤滑油排出路66から遠ざかる方向(矢印231に示す方向)にストロークする。このとき、潤滑油供給路62を流れる潤滑油は、矢印221に示すように、貫通孔54hを通って、図5に示す工程で圧力が低下した空間56に流入する。
【0053】
本実施の形態では、空間56が、潤滑油供給路62から潤滑油排出路66に向かう経路から分岐した位置に形成されているため、空間56に潤滑油が滞留し易くなる。しかしながら、サンシャフト31とともにストロークする異物排出用羽38を設けることによって、空間56に、変換部25から潤滑油排出路66に向かう潤滑油流れを強制的に生じさせることができる。
【0054】
この発明の実施の形態1におけるアクチュエータ10は、回転−直動変換機構12と、羽部材としての異物排出用羽38とを備える。回転−直動変換機構12は、回転子としてのナット51と軸部材としてのサンシャフト31とを有し、ナット51に入力された回転運動を直線運動に変換してサンシャフト31から出力する。異物排出用羽38は、サンシャフト31に設けられ、サンシャフト31とともに直線運動する。回転−直動変換機構12には、ナット51とサンシャフト31との間で潤滑油が滞留する空間56が形成されている。異物排出用羽38が直線運動することにより、空間56内に潤滑油流れが生じる。
【0055】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるアクチュエータ10によれば、空間56内で潤滑油流れを強制的に生じさせることにより、変換部25に存在する異物を空間56から排除することができる。また、ナット51の底に異物が溜まる場合があっても、ナット51の回転によって異物が浮き上がるため、同様に空間56から排除することができる。
【0056】
異物を排除する方法として潤滑油供給路62にフィルタを配置することも考えられるが、この場合、フィルタの目より小さい異物が空間56に流入するおそれが生じる。また、変換部25で異物(ねじやギヤの摩耗粉、バリ)が発生することもあり、潤滑油供給路62に配置するフィルタによってはこのような異物を排除することができない。これに対して、本実施の形態では、非常に小さい異物や変換部25で生じる異物であっても、変換部25から確実に排除することができる。
【0057】
したがって、本実施の形態によれば、変換部25を構成するねじやギヤで異物の噛み込みが発生することを防止し、長期間に渡って回転−直動変換機構12を正常に作動させ続けることができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、本発明によるアクチュエータを内燃機関のバルブリフト可変機構に適用したが、これに限定されず、直線駆動が必要となる各種機構に適用することができる。また、本実施の形態では、回転運動を直線運動に変換する機構として遊星差動ねじ型の回転−直動変換機構12を用いたが、このほか、たとえばボールねじや、台形送りねじに代表される送りねじ等を用いても良い。
【0059】
図7は、図3中のアクチュエータの変形例を示す断面図である。図7を参照して、本変形例では、フランジ54、ナット51およびカバー53に、潤滑油供給路62と空間56との間を連通させる潤滑油導入路91が形成されている。潤滑油導入路91は、異物排出用羽38と向い合い、空間56を規定するカバー53の端面53cに開口している。潤滑油導入路91は、異物排出用羽38よりも、実施の形態1における図5に示す工程で空間56に生じる潤滑油流れの上流側で、空間56に開口している。
【0060】
このような構成により、実施の形態1における図5に示す工程において、潤滑油導入路91を通じて空間56に潤滑油が流れ込む。これにより、空間56内により効果的に潤滑油流れを生じさせることができる。また、空間56に過大な負圧が生じることを防止し、モータ71による回転−直動変換機構21の駆動力が増大することを抑制できる。
【0061】
(実施の形態2)
図8は、この発明の実施の形態2におけるアクチュエータを示す断面図である。図9は、図8中のIX−IX線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。本実施の形態におけるアクチュエータは、実施の形態1におけるアクチュエータ10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
【0062】
図8および図9を参照して、本実施の形態では、図3中の異物排出用羽38に替えて、異物排出用ファン95が設けられている。異物排出用ファン95は、ナット51に設けられており、空間56を取り囲むナット51の内壁51eから軸201に向かって延びる複数の羽から構成されている。異物排出用ファン95は、空間56に収容されている。異物排出用ファン95は、カバー53とサンシャフト31の他方端31nとの間に配置されている。異物排出用ファン95は、変換部25に対して潤滑油供給路62および潤滑油排出路66の反対側に設けられている。
【0063】
このような構成により、ナット51が所定の方向に回転すると、異物排出用ファン95も同時に回転する。これにより、空間56内で潤滑油流れが発生し、潤滑油が、変換部25および貫通孔54hを順に通って潤滑油排出路66に向かう。また、ナット51が先に述べた所定の方向とは反対方向に回転した場合には、潤滑油供給路62を流れる潤滑油が、貫通孔54hを通って空間56に流入する。なお、異物排出用ファン95は、カバー53に接続されていても良い。
【0064】
この発明の実施の形態2におけるアクチュエータは、回転−直動変換機構12と、羽部材としての異物排出用ファン95とを備える。回転−直動変換機構12は、回転子としてのナット51と軸部材としてのサンシャフト31とを有し、ナット51に入力された回転運動を直線運動に変換してサンシャフト31から出力する。異物排出用ファン95は、ナット51に設けられ、ナット51とともに回転運動する。回転−直動変換機構12には、ナット51とサンシャフト31との間で潤滑油が滞留する空間56が形成されている。異物排出用ファン95が回転運動することにより、空間56内に潤滑油流れが生じる。
【0065】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるアクチュエータによれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、実施の形態1におけるアクチュエータ10の構成と実施の形態2におけるアクチュエータの構成とを適宜、組み合わせて新たなアクチュエータを構成しても良い。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態1におけるアクチュエータが用いられたバルブリフト可変機構を示す正面図である。
【図2】図1中のバルブリフト可変機構を部分的に示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1におけるアクチュエータを示す断面図である。
【図4】図3中のIV−IV線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。
【図5】図3中の回転−直動変換機構が駆動軸を押し出す時の潤滑油流れを示す断面図である。
【図6】図3中の回転−直動変換機構が駆動軸を引き戻す時の潤滑油流れを示す断面図である。
【図7】図3中のアクチュエータの変形例を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2におけるアクチュエータを示す断面図である。
【図9】図8中のIX−IX線上に沿った回転−直動変換機構の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
10 アクチュエータ、12 回転−直動変換機構、25 変換部、31 サンシャフト、38 異物排出用羽、51 ナット、56 空間、62 潤滑油供給路、66 潤滑油排出路、91 潤滑油導入路、95 異物排出用ファン。




 

 


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