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発明の名称 ピストン及び内燃機関
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16688(P2007−16688A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−198983(P2005−198983)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 熊井 照男
要約 課題
オイル消費量の低減を図ることのできるピストン及び内燃機関を提供する。

解決手段
内燃機関のピストン14には、トップリングとしてコンプレッションリング21が設けられるとともに、セカンドリング及びサードリングとしてオイルリング31,41がそれぞれ設けられる。それらオイルリング31,41に対応して、ピストン14の外部と内部とを連通する排出孔32,42が各別に形成される。これら排出孔32,42を通じて各オイルリング31,41によって掻き落とされるオイルが排出される。
特許請求の範囲
【請求項1】
トップリングとしてコンプレッションリングが設けられるとともに、セカンドリング及びサードリングとしてそれぞれオイルリングが設けられ、ピストンの外部と内部とを連通して各オイルリングによって掻き落とされるオイルを排出する排出孔が各オイルリングに対応して各別に形成されてなるピストン。
【請求項2】
請求項1に記載のピストンにおいて、
前記セカンドリングに対応する排出孔は、ピストン外周面における同セカンドリングのリング溝と前記サードリングのリング溝との間に位置して開口される
ことを特徴とするピストン。
【請求項3】
請求項1に記載のピストンにおいて、
前記セカンドリングに対応する排出孔は、同セカンドリングのリング溝内で開口される
ことを特徴とするピストン。
【請求項4】
請求項3に記載のピストンにおいて、
前記セカンドリングに対応する排出孔は、同セカンドリングのリング溝の底部で開口される
ことを特徴とするピストン。
【請求項5】
請求項4に記載のピストンにおいて、
前記セカンドリングに対応する排出孔は、前記底部における前記リング溝の幅方向中央よりも前記トップリングから離間する側の部位にて開口される
ことを特徴とするピストン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストンにおいて、
前記セカンドリングはツーピース構造のオイルリングである
ことを特徴とするピストン。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のピストンにおいて、
前記サードリングに対応する排出孔は、同サードリングのリング溝内で開口される
ことを特徴とするピストン。
【請求項8】
機関運転状態に基づいて機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構を備える内燃機関において、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストンを具備する
ことを特徴とする内燃機関。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストン及び内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピストンに設けられるピストンリングとしては、コンプレッションリング、オイルリングといった二種類のものがある。コンプレッションリングは、燃焼室からの燃焼ガスの漏れを抑えるために同燃焼室の気密を保つ機能と、ピストン温度の過上昇を防止するためにピストンが受けた熱をシリンダの壁面に伝える機能とを有する。一方、オイルリングは、シリンダの壁面に適当なオイル膜を形成するために同壁面に付着している潤滑オイルの余剰分を掻き落とす機能を有する。
【0003】
一般的なピストンにあっては、そのトップリング及びセカンドリングとしてコンプレッションリングが設けられ、またサードリングとしてオイルリングが設けられる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−152964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関に、その運転状態に応じて機関バルブのバルブ特性(例えば開弁時期や閉弁時期、開弁時間、リフト量など)を変更する変更機構を搭載することが近年多用されている。そうした内燃機関にあっては、例えば吸気行程における吸気バルブの開弁時間が短く設定されるなどして燃焼室内の圧力が一時的に著しく低くなることがある。これはトップリングの上記セカンドリング側から燃焼室内に吸い込まれるオイルの量を増大させる要因となるため、上記内燃機関はオイル消費量が多くなり易いと云える。
【0005】
なお、上記変更機構を備える内燃機関に限らず、燃焼室の圧力が著しく低くなることのある内燃機関にあっては、同様にオイル消費量が多くなり易い。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイル消費量の低減を図ることのできるピストン及び内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
先ず、請求項1に記載の発明は、ピストンにおいて、トップリングとしてコンプレッションリングが設けられるとともに、セカンドリング及びサードリングとしてそれぞれオイルリングが設けられ、ピストンの外部と内部とを連通して各オイルリングによって掻き落とされるオイルを排出する排出孔が各オイルリングに対応して各別に形成されることをその要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、シリンダの壁面に付着した潤滑のためのオイルが二つのオイルリングによってシリンダの壁面とピストンの外周面との間隙に掻き落とされるとともに、同オイルが各オイルリングに対応する排出孔を介してピストン内部に排出されるようになる。そのため、各オイルリングによって掻き落とされた余分なオイルを好適に排出することができるようになり、燃焼室内に吸い込まれるオイルの量、ひいてはオイル消費量の低減を図ることができるようになる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のピストンにおいて、前記セカンドリングに対応する排出孔は、ピストン外周面における同セカンドリングのリング溝と前記サードリングのリング溝との間に位置して開口されることをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、セカンドリングによって掻き落とされて同セカンドリングとサードリングとの間に溜まる余分なオイルを、排出孔を介してピストン内部に排出することができるようになる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のピストンにおいて、前記セカンドリングに対応する排出孔は、同セカンドリングのリング溝内で開口されることをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、セカンドリングによって掻き落とされる余分なオイルを、そのリング溝及び排出孔を介してピストン内部に排出することができるようになる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のピストンにおいて、前記セカンドリングに対応する排出孔は、同セカンドリングのリング溝の底部で開口されることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、穴あけ加工などによってセカンドリングのリング溝内に排出孔を形成する場合に、これをその底部以外の部分に形成する構成と比べて、排出孔を容易に加工形成することができるようになる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のピストンにおいて、前記セカンドリングに対応する排出孔は、前記底部における前記リング溝の幅方向中央よりも前記トップリングから離間する側の部位にて開口されることをその要旨とする。
【0014】
ここでピストンの往復動に伴い、ピストンリングもそのリング溝内において往復動している。請求項4に記載のピストンにあって、セカンドリングがそのリング溝内において燃焼室から離間する方向に移動すると、シリンダとピストンとの間隙における上記トップリングとセカンドリングとに挟まれた空間が、上記リング溝の側壁とセカンドリングとの隙間を通じて排出孔に連通されるおそれがある。この場合、上記空間がピストンの内部と連通されるために、該空間の圧力が不要に高くなるおそれがある。これは燃焼室内の圧力が低下したときにおける同圧力と上記空間の圧力との圧力差を大きくすることから、燃焼室内へのオイルの吸引量を増大させてしまう懸念がある。
【0015】
請求項5に記載の構成によれば、そのようにセカンドリングが燃焼室から離間する方向に移動した際に、同セカンドリングの内周面によって排出孔の開口を塞ぐことができるようになる。そのため、上記圧力差の増大を抑制することができるようになり、燃焼室内へのオイルの吸引量を好適に低減することができるようになる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のピストンにおいて、前記セカンドリングはツーピース構造のオイルリングであることをその要旨とする。
上述のようにセカンドリングとしてオイルリングを用いると、コンプレッションリングを用いる場合と比較して、ピストンからシリンダの壁面に伝わる熱量が減少してしまう。
【0017】
オイルリングとしては、円環形状のリング本体と同リング本体を拡径させるように付勢するエキスパンダとにより構成されるツーピース構造のものや、いずれも円環形状の二つのサイドレールとそれらに挟まれるエキスパンダとにより構成されるスリーピース構造のものがある。そして、ツーピース構造のオイルリングはスリーピース構造のオイルリングと比較して熱伝導性がよいことが知られている。
【0018】
上記構成によれば、そうした熱伝導性のよいツーピース構造のオイルリングがセカンドリングとして用いられるために、スリーピース構造のオイルリングが用いられる場合と比較して、上記シリンダの壁面に多くの熱を伝えることができ、ピストンの温度上昇を好適に抑制することができるようになる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のピストンにおいて、前記サードリングに対応する排出孔は、同サードリングのリング溝内で開口されることをその要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、サードリングによって掻き落とされる余分なオイルを、そのリング溝及び排出孔を介してピストン内部に排出することができるようになる。
また、請求項8に記載の発明は、機関運転状態に基づいて機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構を備える内燃機関において、請求項1〜7のいずれか一項に記載のピストンを具備することをその要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、機関バルブのバルブ特性の変更を通じて燃焼室内の圧力が著しく低くなることのある内燃機関にあって、そのオイル消費量の増大を好適に抑制することができるようになる。
【0022】
なお上記バルブ特性としては、機関バルブの開弁時期や閉弁時期、開弁時間、並びにリフト量などを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる内燃機関の概略構成を示す。
【0024】
図1に示すように、内燃機関10は吸気バルブ11の開弁時間を変更する変更機構12を備えている。また内燃機関10にはその運転状態を検出するための各種センサが設けられている。そして、各種センサの検出信号に基づいて上記変更機構12の作動を制御することにより、そのときどきの機関運転状態に適したかたちで吸気バルブ11の開弁時間が変更制御される。なお上記変更機構12の作動態様によっては、変更機構を備えていない内燃機関の燃焼室内の圧力と比較して、上記燃焼室13内の圧力が著しく低くなる。
【0025】
図2に、上記内燃機関10のピストン周辺の内部構造を示す。
図2に示すように、内燃機関10のピストン14の外周面には燃焼室13側から順に、トップリング溝20、セカンドリング溝30、及びサードリング溝40がそれぞれ形成されている。
【0026】
トップリング溝20にはトップリングとしてのコンプレッションリング21が装着されている。
このコンプレッションリング21は、いわゆる合口を有する円環形状に形成されたものであり、ピストン14とシリンダ15との間隙を塞ぐように装着される。コンプレッションリング21は、燃焼室13の気密を保つ機能と、上記ピストン14の受けた熱をシリンダ15の壁面に伝える機能とを有する。
【0027】
一方、セカンドリング溝30にはセカンドリングとしてのオイルリング31が装着されている。
ピストン14には、オイルリング31に対応して同ピストン14の内部と外部とを連通する排出孔32が形成されている。この排出孔32は、具体的には、ピストン14の移動方向と直交する方向に直線状に延びるように、且つ同ピストン14の外周面における上記セカンドリング溝30及びサードリング溝40の間の部位とピストン14の内周面とにおいてそれぞれ開口するように形成される。
【0028】
上記オイルリング31としては、リング本体33とコイルエキスパンダ34とにより構成されるツーピース構造のものが採用されている。リング本体33は、合口を有する円環形状の本体33aとその外周面の厚さ方向中央に形成された溝33bとからなる断面コの字形状に形成される。上記溝33bにはその底部からリング本体33の内周面まで延びる貫通孔33cが複数形成されている。また上記コイルエキスパンダ34は、コイルスプリングを円環状に繋いだ形状のものであり、上記リング本体33の内周面に沿うように設けられる。このコイルエキスパンダ34により、上記リング本体33はその外径が拡大するように付勢される。
【0029】
上記リング本体33は、コイルエキスパンダ34によってシリンダ15の壁面に押し付けられるとともに、ピストン14ともども往復動してシリンダ15の壁面から余分なオイルを掻き落とす。掻き落とされたオイルは上記貫通孔33cや排出孔32を介してピストン14の内部に排出される。このようにオイルリング31により、シリンダ15の壁面のオイル膜が調整される。
【0030】
他方、サードリング溝40にはサードリングとしてのオイルリング41が装着されている。
ピストン14には、オイルリング41に対応して同ピストン14の内部と外部とを連通する排出孔42が形成されている。この排出孔42は、具体的には、ピストン14の移動方向と直交する方向に直線状に延びるように、且つサードリング溝40の底部とピストン14の内周面とにおいてそれぞれ開口するように形成される。
【0031】
上記オイルリング41としては、二つのサイドレール43,44及びエキスパンダ45により構成されるスリーピース構造のものが採用されている。このオイルリング41は、詳しくは、いずれも合口を有する円環形状のサイドレール43,44が板ばね等の弾性材料からなるエキスパンダ45を間に挟む構造のものである。エキスパンダ45は各サイドレール43,44を、対向するサードリング溝40の側面に向けてそれぞれ付勢することに加えて、シリンダ15の壁面に向けて付勢している。なおエキスパンダ45は、その外周側から内周側にオイルが流入可能な形状に形成されている。
【0032】
上記各サイドレール43,44は、シリンダ15の壁面に押し付けられるとともに、ピストン14ともども往復動してシリンダ15の壁面から余分なオイルを掻き落とす。掻き落とされたオイルは、上記排出孔32を介してピストン14の内部に排出されたり、ピストン14とシリンダ15との間隙における上記オイルリング41の下方から排出されたりして、同間隙から排出される。
【0033】
このように本実施の形態にあっては、前記オイルリング31に加えて、オイルリング41によってもシリンダ15の壁面のオイル膜が調整される。そのためセカンドリングとしてコンプレッションリングが設けられるものと比較して、余分なオイルが十分に掻き落とされて排出されるようになって燃焼室13内に侵入するオイルの量が少なくなり、オイル消費量が低減されるようになる。また前記変更機構12の作動制御を通じて燃焼室13内の圧力が一時的に著しく低下したとしても、これに起因して燃焼室13内に吸い込まれるオイルの量が少なくなるため、これによってもオイル消費量が低減されるようになる。
【0034】
ここで内燃機関10の運転中においては、ピストン14の往復動に伴い、オイルリング31もセカンドリング溝30内において往復動している。
図3に、ピストン14の下降時におけるオイルリング31の周辺構造の一例を拡大して示す。
【0035】
図3に示すように、吸気行程においてピストン14が下降する場合には、オイルリング31がセカンドリング溝30内において燃焼室13(図2)に近接する方向(以下「上方」)に移動し、同セカンドリング溝30の上方側の側面30Uに押し付けられるようになる。このときオイルリング31と側面30Uとの間に面圧が発生した状態でオイルリング31とセカンドリング溝30との隙間が塞がれ、良好なシール性が得られる。
【0036】
図4に、ピストン14の上昇時におけるオイルリング31の周辺構造の一例を拡大して示す。
図4に示すように、排気行程においてピストン14が上昇する場合には、オイルリング31がセカンドリング溝30内において燃焼室13(図2)から離間する方向(以下「下方」)に移動し、同セカンドリング溝30の下方側の側面30Bに押し付けられるようになる。このときオイルリング31と側面30Bとの間に面圧が発生した状態でオイルリング31とセカンドリング溝30との隙間が塞がれ、良好なシール性が得られる。
【0037】
このように、ピストン14が上昇する場合(図3)及び下降する場合(図4)のいずれの場合においてもオイルリング31によるシール性が良好に保たれるため、たとえ同オイルリング31の上記燃焼室13側の圧力が変動しても、これに伴う同オイルリング31よりも下方側の圧力の変動はごく小さく抑えられるようになる。また、オイルリング31の下方側のオイルがその上方側に侵入することについてもこれが抑えられるようになる。
【0038】
ところで、セカンドリング及びサードリングとして、共にツーピース構造のオイルリングを用いることや、共にスリーピース構造のオイルリングを用いることによっても、オイル消費量の低減を図ることは可能である。
【0039】
ただし、ツーピース構造のオイルリングとスリーピース構造のオイルリングとではその特性が異なる。具体的には、ツーピース構造のオイルリングは総体積が大きいために熱伝導性に優れるといった特徴がある。またスリーピース構造のオイルリング41は、熱伝導性に劣るものの、比較的軽量のものによって大きなオイル掻き落とし作用が得られるといった特徴がある。
【0040】
こうした実情をふまえ、本実施の形態では、セカンドリング溝30にツーピース構造のオイルリング31を装着するとともに、サードリング溝40にスリーピース構造のオイルリング41を装着するようにしている。
【0041】
これにより、セカンドリング溝30及びサードリング溝40にそれぞれスリーピース構造のオイルリングを装着したものと比較して、ピストン14からシリンダ15の壁面へと多くの熱が伝えられ、ピストン14の温度上昇が抑制されるようになる。しかも、セカンドリング溝30及びサードリング溝40にそれぞれツーピース構造のオイルリングを装着したものと比較して、多くのオイルが掻き落とされるようになり、オイル消費量が低減されるようになる。このように本実施の形態では、ピストン14の温度上昇の抑制とオイル消費量の低減との両立を図るべく、二種類のオイルリングが用いられている。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)セカンドリングとしてのオイルリング31及びサードリングとしてのオイルリング41によってシリンダ15の壁面に付着したオイルが掻き落とされるとともに、同オイルが各オイルリング31,41に対応する排出孔32,42を介してピストン14の内部に排出されるようになる。そのため、余分なオイルを掻き落として好適に排出することができるようになり、燃焼室13内に吸い込まれるオイルの量、ひいてはオイル消費量を低減することができるようになる。
【0043】
(2)オイルリング31に対応する排出孔32を、ピストン14の外周面における同セカンドリング溝30とサードリング溝40との間の部位で開口するように形成した。そのため、オイルリング31によって掻き落とされて同オイルリング31とオイルリング41との間に溜まる余分なオイルを、上記排出孔32を介してピストン14の内部に排出することができるようになる。
【0044】
(3)セカンドリングとしてツーピース構造のオイルリング31を用いるようにしたため、スリーピース構造のオイルリングが用いられる場合と比較して、シリンダ15の壁面に伝わる熱量の減少を極力抑制することができ、ピストン14の温度上昇を好適に抑制することができるようになる。
【0045】
(4)オイルリング41に対応する排出孔42を、サードリング溝40内で開口する形状に形成するようにしたために、同オイルリング41によって掻き落とされる余分なオイルをサードリング溝40及び排出孔42を介してピストン14の内部に排出することができるようになる。
【0046】
(第2の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
本実施の形態と先の第1の実施の形態とは、前記オイルリング31に対応する排出孔の形成位置のみが異なる。
ここでは先ず、本実施の形態の排出孔の形成態様について説明する。
【0048】
図5に、本実施の形態にかかる内燃機関についてそのピストン周辺の内部構造を示す。
同図5に示すように、本実施の形態にかかるピストン54には、上記オイルリング31に対応する排出孔62が設けられている。この排出孔62は、詳しくは、ピストン54の移動方向と直交する方向に直線状に延びるように、且つセカンドリング溝30の底部の下端とピストン54の内周面とにおいてそれぞれ開口するように形成される。なお、排出孔62を上記形状としたために、穴あけ加工によってセカンドリング溝30内に排出孔62を形成するに際して、これをその底部以外の部分に形成する構成と比べて、排出孔62を容易に加工形成することができるようになる。
【0049】
そして、オイルリング31によって前記シリンダ15の壁面の余分なオイルが掻き落とされ、これが同オイルリング31の貫通孔33cや排出孔62を介してピストン54の内部に排出されるといったように、シリンダ15の壁面のオイル膜が調整される。
【0050】
次に、上記オイルリング31のシール機能について説明する。
図6に、ピストン54の下降時におけるオイルリング31の周辺構造の一例を拡大して示す。
【0051】
図6に示すように、吸気行程においてピストン54が下降する場合には、オイルリング31がセカンドリング溝30内において上方に移動し、同セカンドリング溝30の上方側の側面30Uに押し付けられるようになる。このときオイルリング31と側面30Uとの間に面圧が発生した状態でそれらの隙間が塞がれ、良好なシール性が得られる。
【0052】
図7に、ピストン54の上昇時におけるオイルリング31の周辺構造の一例を拡大して示す。
図7に示すように、排気行程においてピストン54が上昇する場合には、オイルリング31がセカンドリング溝30内において下方に移動し、同セカンドリング溝30の下方側の側面30Bに押し付けられるようになる。このときオイルリング31のコイルエキスパンダ34が排出孔62の開口を遮る位置に移動して同排出孔62が塞がれ、更にはオイルリング31と側面30Bとの間に面圧が発生した状態でそれらの隙間が塞がれて、良好なシール性が得られるようになる。
【0053】
このように、ピストン54が上昇する場合(図6)及び下降する場合(図7)のいずれの場合においてもオイルリング31によるシール性が良好に保たれるため、たとえ同オイルリング31の上記燃焼室13側の圧力が変動しても、これに伴う同オイルリング31よりも下方側の圧力の変動はごく小さく抑えられるようになる。また、オイルリング31の下方側のオイルがその上方側に侵入することや、ピストン54内部のオイルや空気が排出孔62を介してオイルリング31の上方側に侵入することについてもこれが抑えられるようになる。
【0054】
ちなみに図7に破線で示すように、オイルリング31に対応する排出孔62’をセカンドリング溝30の底部上端において開口するように形成した場合、オイルリング31が下方に移動すると、シリンダ15及びピストン54の間隙におけるコンプレッションリング21(図5)とオイルリング31とに挟まれた空間が排出孔62’に連通されてしまう。この場合、上記空間がピストン54の内部と連通されるために、同空間の圧力が不要に高くなってしまう。これは燃焼室13内の圧力が低下したときにおける同圧力と上記空間の圧力との圧力差を大きくすることから、燃焼室13内へのオイルの吸引量を増大させてしまう懸念がある。
【0055】
本実施の形態では、燃焼室13内の圧力が低くなる吸気行程において排出孔62の開口がコイルエキスパンダ34によって塞がれるようになるため、上記圧力差の増大を抑制することができるようになり、燃焼室13内へのオイルの吸引量を好適に低減することができるようになる。
【0056】
以上説明した本実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)、(3)及び(4)に記載した効果に準じた効果が得られるようになることに加えて、以下の(5)〜(7)に記載する効果が得られるようになる。
【0057】
(5)オイルリング31に対応する排出孔62をセカンドリング溝30内で開口する形状に形成したために、同オイルリング31によって掻き落とされる余分なオイルをセカンドリング溝30及び排出孔62を介してピストン14の内部に排出することができるようになる。
【0058】
(6)また排出孔62を、セカンドリング溝30の底部で開口する形状に形成するようにした。そのため、穴あけ加工によってセカンドリング溝30内に排出孔62を形成する際に、これをその底部以外の部分に形成する構成と比べて、排出孔62を容易に加工形成することができるようになる。
【0059】
(7)排出孔62を、セカンドリング溝30の底部の下端において開口する形状に形成した。そのため、オイルリング31が下方に移動した際に、同オイルリング31のコイルエキスパンダ34によって排出孔62の開口を塞ぐことができるようになり、燃焼室13内へのオイルの吸引量を好適に低減することができるようになる。
【0060】
(その他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1の実施の形態において排出孔32の形状は、例えばピストン14の移動方向と直交する方向以外の方向に延びる形状や、途中で折れ曲がる形状など、任意に変更可能である。要は、ピストン14の外周面における上記セカンドリング溝30及びサードリング溝40の間の部位とピストン14の内周面とにおいてそれぞれ開口して、ピストン14の内部と外部とを連通する形状であればよい。
【0061】
・第2の実施の形態において排出孔62の形状は、例えばピストン54の移動方向と直交する方向以外の方向に延びる形状や、途中で折れ曲がる形状など、任意に変更可能である。要は、セカンドリング溝30の底部の下端とピストン54の内周面とにおいてそれぞれ開口して、ピストン54の内部と外部とを連通する形状であればよい。
【0062】
・また、排出孔62が開口する部位は上記セカンドリング溝30の内部であれば任意に変更可能である。例えばセカンドリング溝30の底部下端よりも若干上方の部位において開口するように排出孔62を形成するようにしてもよい。同構成によっても、ピストン54の上昇時においてオイルリング31のコイルエキスパンダ34によって同排出孔62の開口を塞ぐことは可能である。ただし同構成にあって排出孔62の開口が的確に塞がれるようにするためには、同排出孔62を、上記底部におけるセカンドリング溝30の幅方向中央より下方側の部位において開口するように形成することが望ましい。その他、セカンドリング溝30の下方側の側面30Bにおいて開口するように排出孔62を形成するようにしてもよい。同構成によれば、ピストン54の上昇時においてオイルリング31の下面によって同排出孔62の開口を塞ぐことが可能になる。
【0063】
・各実施の形態において、セカンドリング溝30及びサードリング溝40にそれぞれツーピース構造のオイルリングを装着する、或いはそれぞれスリーピース構造のオイルリングを装着するようにしてもよい。その他、セカンドリング溝30にスリーピース構造のオイルリングを装着するとともに、サードリング溝40にツーピース構造のオイルリングを装着することも可能である。要は、必要な熱伝導性やオイル掻き落とし作用が得られるようになるオイルリングを選択して用いるようにすればよい。
【0064】
・各実施の形態は、吸気バルブ11の開弁時間以外のバルブ特性(例えば開弁時期、閉弁時期、リフト量など)を変更する変更機構が設けられた内燃機関にも適用することができる。また、排気バルブのバルブ特性を変更する変更機構が設けられた内燃機関にも適用可能である。同構成によれば、吸気バルブ11や排気バルブといった機関バルブのバルブ特性の変更を通じて燃焼室内の圧力が著しく低くなることのある内燃機関にあって、そのオイル消費量の増大を好適に抑制することができるようになる。
【0065】
・各実施の形態は、機関バルブのバルブ特性を変更する変更機構を備えていない内燃機関にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明にかかる内燃機関を具体化した第1の実施の形態についてその概略構成を示す概略構成図。
【図2】同第1の実施の形態にかかる内燃機関についてそのピストン周辺の内部構造を拡大して示す断面図。
【図3】ピストンの下降時におけるオイルリングの周辺構造の一例を拡大して示す断面図。
【図4】ピストンの上昇時におけるオイルリングの周辺構造の一例を拡大して示す断面図。
【図5】本発明を具体化した第2の実施の形態にかかる内燃機関についてそのピストン周辺の内部構造を拡大して示す断面図。
【図6】ピストンの下降時におけるオイルリングの周辺構造の一例を拡大して示す断面図。
【図7】ピストンの上昇時におけるオイルリングの周辺構造の一例を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
【0067】
10…内燃機関、11…吸気バルブ、12…変更機構、13…燃焼室、14…ピストン、15…シリンダ、20…トップリング溝、21…コンプレッションリング、30…セカンドリング溝、30B,30U…側面、31…オイルリング、32…排出孔、33…リング本体、33a…本体、33b…溝、33c…貫通孔、34…コイルエキスパンダ、40…サードリング溝、41…オイルリング、42…排出孔、43,44…サイドレール、45…エキスパンダ、54…ピストン、62,62’…排出孔。




 

 


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