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発明の名称 内燃機関の燃料系統の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16663(P2007−16663A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197833(P2005−197833)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 益城 善一郎
要約 課題
内燃機関のアイドル時における高圧燃料ポンプの作動音の発生を回避し、安定な燃焼を実現する。

解決手段
エンジンECUは、エンジン回転数NEおよびエンジン負荷を検知し、アイドル領域であると判断されると、次に筒内噴射用インジェクタから燃料をフィード圧で噴射できるか否かを判断し、高圧デリバリパイプ内の燃料温度Tを検知または推定し、燃料温度TがT(0)以下であると、高圧燃料ポンプを停止させて通常のフィード圧で燃料を筒内噴射用インジェクタから噴射し、燃料温度TがT(0)より高くT(1)以下であると、高圧燃料ポンプを停止させて通常のフィード圧よりも高い圧力で燃料を噴射し、燃料温度TがT(1)より高いと、高圧燃料ポンプを駆動して高い圧力で燃料を噴射するプログラムを実行する。
特許請求の範囲
【請求項1】
燃料タンクから燃料噴射手段に燃料を供給する低圧ポンプと、前記低圧ポンプと前記燃料噴射手段との間に設けられ、供給された燃料の圧力を上昇させる高圧ポンプとを含む内燃機関の燃料系統の制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態がアイドル運転状態であることを検知するための手段と、
前記高圧ポンプと前記燃料噴射手段とを接続する配管における燃料の状態を検知するための検知手段と、
前記低圧ポンプおよび前記高圧ポンプを制御するための制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記アイドル運転状態であることが検知されると、前記配管における燃料の状態に基づいて、前記高圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するとともに、前記低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するように、前記高圧ポンプおよび前記低圧ポンプを制御するための手段を含む、内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記配管における燃料の蒸発状態を検知するための手段を含む、請求項1に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記内燃機関の温度、前記配管における燃料の温度、前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の負荷の少なくともいずれかに基づいて、前記蒸発状態を検知するための手段を含む、請求項2に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記内燃機関の温度、前記配管における燃料の温度、前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の負荷の少なくともいずれかにより決定される運転状態の継続時間に基づいて、前記蒸発状態を検知するための手段を含む、請求項2に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記配管における燃料の蒸発が多い状態であると、前記高圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇するように、前記高圧ポンプを制御するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記配管における燃料の蒸発が少ない状態であると、前記高圧ポンプから吐出される燃料の圧力の上昇を停止させるとともに、前記蒸発の度合いに応じて前記低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するように、前記高圧ポンプおよび前記低圧ポンプを制御するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記配管における燃料の蒸発が少ない状態において、前記蒸発の度合いが高いときには、前記度合いが低いときよりも、前記低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させるように、前記低圧ポンプを制御するための手段を含む、請求項6に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項8】
前記燃料系統において、前記低圧ポンプを含めた低圧燃料配管系が構成され、
前記低圧燃料配管系は、配管における燃料の圧力が調整可能に構成される、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項9】
前記低圧ポンプは、吐出量を制御可能なポンプであって、
前記制御手段は、流量に依存して圧力が変化する機構により、前記低圧燃料配管系の配管における燃料の圧力を調整する、請求項8に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項10】
前記機構は、流量が増大するにしたがって圧力が上昇するプレッシャーレギュレータである、請求項9に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項11】
前記制御手段は、可変プレッシャーレギュレータにより、前記低圧燃料配管系の配管における燃料の圧力を調整する、請求項8に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項12】
前記燃料噴射手段は、筒内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射手段であって、
前記内燃機関は、吸気通路内に燃料を噴射するための第2の燃料噴射手段をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
【請求項13】
前記第1の燃料噴射手段は、筒内噴射用インジェクタであって、
前記第2の燃料噴射手段は、吸気通路噴射用インジェクタである、請求項12に記載の内燃機関の燃料系統の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒内に向けて高圧で燃料を噴射する燃料噴射手段(筒内噴射用インジェクタ)を備えた内燃機関またはこの燃料噴射手段に加えて吸気通路または吸気ポート内に向けて燃料を噴射する燃料噴射手段(吸気通路噴射用インジェクタ)とを備えた内燃機関の燃料系統の制御装置に関し、特に、内燃機関のアイドル運転時において燃料系統を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンの燃焼室内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射弁(筒内噴射用インジェクタ)と、吸気通路内に燃料を噴射するための第2の燃料噴射弁(吸気通路噴射用インジェクタ)とを備え、エンジンの回転数や内燃機関の負荷に応じて、筒内噴射用インジェクタと吸気通路噴射用インジェクタとで燃料を噴き分けるエンジンが公知である。また、ガソリンエンジンの燃焼室内に燃料を噴射するための燃料噴射弁(筒内噴射用インジェクタ)のみを備える直墳エンジンも公知である。筒内噴射用インジェクタを含む高圧燃料系統においては、高圧燃料ポンプで燃圧が高められた燃料がデリバリーパイプを介して筒内噴射用インジェクタに供給され、筒内噴射用インジェクタは、内燃機関の各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射する。
【0003】
また、コモンレール式燃料噴射系統を有するディーゼルエンジンも公知である。このコモンレール式燃料噴射系統においては、高圧燃料ポンプで燃圧が高められた燃料をコモンレールに蓄えておき、電磁弁の開閉によりコモンレールからディーゼルエンジンの各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射する。
【0004】
このような高圧燃料を発生させるために、内燃機関のクランクシャフトに連結されたドライブシャフトに設けられたカムによりシリンダを駆動する高圧燃料ポンプが用いられる。高圧燃料ポンプは、カムの回転によりシリンダ内で往復移動するポンププランジャーと、シリンダとポンププランジャーとにより構成される加圧室とを備えている。この加圧室には、燃料タンクから燃料を送り出すフィードポンプと連通するポンプ供給パイプ、加圧室から燃料を流出させて燃料タンクに戻すリターンパイプおよび加圧室内の燃料を筒内噴射用インジェクタに向けて圧送する高圧デリバリパイプがそれぞれ接続されている。また、高圧燃料ポンプには、ポンプ供給パイプおよび高圧デリバリパイプと加圧室との間を開閉する電磁スピル弁が設けられている。
【0005】
電磁スピル弁が開いた状態にあって、加圧室の容積が大きくなる方向にポンププランジャーが移動するとき、すなわち高圧燃料ポンプが吸入行程にあるとき、ポンプ供給パイプから加圧室内に燃料が吸入される。また、加圧室の容積が小さくなる方向にポンププランジャーが移動するとき、すなわち高圧燃料ポンプが圧送行程にあるときに電磁スピル弁を閉じると、ポンプ供給パイプおよびリターンパイプと加圧室との間が遮断され、加圧室内の燃料が高圧デリバリパイプを介して筒内噴射用インジェクタに圧送される。
【0006】
このような高圧燃料ポンプにおいては、圧送行程中における電磁スピル弁の閉弁期間中のみ筒内噴射用インジェクタに向けて燃料が圧送されるため、電磁スピル弁の閉弁開始時期を制御することで(電磁スピル弁の閉弁期間を調整することで)燃料圧送量が調整されるようになる。すなわち、電磁スピル弁の閉弁開始時期を早めて閉弁期間を長くすることで燃料圧送量が多くなり、電磁スピル弁の閉弁開始時期を遅らせて閉弁期間を短くすることで燃料圧送量が少なくなる。
【0007】
このように、フィードポンプから送り出された燃料を高圧燃料ポンプで加圧し、この加圧後の燃料を筒内噴射用インジェクタに向けて圧送することで、燃焼室に直接燃料を噴射供給する内燃機関にあっても、その燃料噴射を的確に行なうことができる。
【0008】
この高圧燃料ポンプの圧送行程において、電磁スピル弁が閉じるときには、加圧室の容積が小さくなる過程にあるので、燃料が高圧デリバリパイプ側だけでなくリターンパイプ側にも流れようとする。この状態で、電磁スピル弁を閉じると、この閉弁動作に、上記のように流れようとする燃料による力が付勢され、電磁スピル弁が閉弁するときの衝撃力が大きくなる。そして、この衝撃の増大に伴い電磁スピル弁の作動音(閉弁の音)も大きくなり、こうした電磁スピル弁の作動音が電磁スピル弁の閉弁毎に連続的に発生するようになる。
【0009】
内燃機関の通常運転時には混合気の燃焼音等の内燃機関の作動音が大きいため、このような電磁スピル弁の閉弁毎の連続的な作動音が不快感を感じるほど大きなものとはならない。しかしながら、内燃機関のアイドル運転時など内燃機関の作動音自体が小さくなるときには、電磁スピル弁の連続的な作動音が相対的に大きくなり、こうした作動音による不快感も無視できないものとなる。
【0010】
特開2001−41088号公報(特許文献1)は、電磁スピル弁の閉弁毎に生じる連続的な作動音を低減することができる燃料ポンプの制御装置を開示する。この公報に開示された制御装置は、カムの回転によるシリンダとポンププランジャーとの相対移動に基づき加圧室の容積を変化させて加圧室に燃料を吸入するとともに同燃料を内燃機関の燃料噴射弁に向けて圧送する燃料ポンプと、加圧室から燃料を流出させるスピル通路と同加圧室との間を開閉するスピル弁とを備え、スピル弁を閉弁期間を制御することにより燃料ポンプから燃料噴射弁への燃料圧送量を調整する燃料ポンプの制御装置であって、内燃機関の運転状態に基づきスピル弁を制御することより、所定期間中における燃料ポンプの燃料圧送回数を調節して同燃料圧送一回当たりの燃料噴射弁の燃料噴射回数を変更するものであって、機関低負荷時には燃料圧送一回当たりの燃料噴射回数を低減する制御手段を備える。
【0011】
この燃料ポンプの制御装置によると、電磁スピル弁の連続的な作動音が相対的に大きくなる機関低負荷時に、燃料圧送一回当たりの燃料噴射回数を低減するので、一回の燃料圧送量が少なくてすむ。そのため、電磁スピル弁の閉弁開始時期を一層上死点寄りの時期とすることができる。上死点に向かうほど、ポンププランジャーとシリンダとの相対移動量を示すカム速度は小さくなる。これにより、電磁スピル弁の閉弁時におけるカム速度を小さくして電磁スピル弁の閉じる音を一層小さくすることができる。このように、電磁スピル弁の閉弁する音を小さくすることで、電磁スピル弁の閉弁毎に生じる連続的な作動音が低減できる。
【0012】
また、特表2003−513193号公報(特許文献2)は、高圧燃料ポンプと低圧燃料ポンプとを備えた内燃機関にて全ての作動点において高圧燃料ポンプ内での気化を確実に生じないようにして内燃機関の燃料供給を確実に行なう装置が開示されている。この装置は、高圧燃料ポンプ内の燃料の実際温度を検出して、燃料実際温度に依存して、高圧燃料ポンプ内の燃料の気化が確実に回避される程度にできる限り小さな予備圧力を検出して、低圧燃料ポンプを、当該低圧燃料ポンプが求められた予備圧力を発生するように制御する。
【0013】
この装置によると、予備圧力を高圧燃料ポンプ内の燃料の実際温度に依存して制御することができる。このようにした場合、高圧燃料ポンプ内で気化が生じるのが、どんな場合でも確実に回避することができる。予備圧力は、求められた燃料温度に依存して、その都度、高圧燃料ポンプ内での燃料の気化を確実に回避することができるように高く選定しさえすればよい。
【0014】
また、特開2002−61529号公報(特許文献3)は、筒内噴射式内燃機関の始動時に、高圧燃料ポンプの吐出圧を上げることができない場合に、燃料噴射に必要な高い燃料圧力を速やかに得ることができる、内燃機関の燃料供給装置を開示する。この燃料供給装置は、燃料タンク内の燃料を燃料配管に吐出する低圧燃料ポンプと、低圧燃料ポンプから吐出された低圧力側の燃料を所定の燃料圧力に制御するレギュレータと、レギュレータによって圧力制御された燃料をさらに加圧してインジェクタに向けて燃料を吐出する高圧燃料ポンプとを備え、内燃機関の始動時において、低圧側の燃料圧力を所定の圧力以上に高める。
【0015】
この内燃機関の燃料供給装置によると、内燃機関の始動時には、低圧側の燃料圧力が高められ、始動時において内燃機関により駆動される高圧燃料ポンプが、その回転数不足により高圧が確保できないときにおいても、高圧燃料ポンプの吐出圧力は、低圧側の燃料圧力上昇分が上乗せされ、速やかに高圧になり、良好な始動性を実現できる。
【特許文献1】特開2001−41088号公報
【特許文献2】特表2003−513193号公報
【特許文献3】特開2002−61529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された制御装置によっても、機関低負荷時において高圧燃料ポンプが停止(すなわち、電磁スピル弁が開いたままの状態になる)することがないので、低減されるとはいうものの、依然として高圧燃料ポンプの電磁スピル弁が閉弁するときの作動音が発生する。
【0017】
一方、内燃機関の低負荷時(アイドル時)において高圧燃料ポンプを停止させて、低圧燃料ポンプ(フィード圧)で燃料を噴射することにより、作動音の発生は回避しつつ、筒内噴射用インジェクタの噴孔にデポジットが堆積することを回避できることも考えられる。
【0018】
しかしながら、このようにフィード圧で筒内噴射用インジェクタに燃料を供給すると、デリバリパイプの燃料の圧力が低下する。デリバリパイプはシリンダへッド近傍に設けられているので内燃機関から熱を受けてデリバリパイプ内の燃料温度が上昇している。すなわち、デリバリパイプ内の燃料の圧力が低下するとともに燃料の温度が上昇するので、燃料が蒸発しやすくなり、ベーパ(蒸発した燃料成分)がデリバリパイプ内に発生しやすい状態になる。ベーパがデリバリパイプ内に発生して筒内噴射用インジェクタから燃料を噴射すると、燃料の噴射量が不安定になり、たとえば空燃比制御が安定化しない。
【0019】
このような問題に対して、特許文献2は、低圧燃料ポンプの予備圧力を上昇させるものの、高圧燃料ポンプ内で燃料が気化することを回避して高圧燃料ポンプを正常に作動させるものに過ぎない。したがって、アイドル時に特に顕著になる高圧燃料ポンプ作動音の発生を解決していないし、そのアイドル時における内燃機関の運転が不安定になることも解決していない。
【0020】
さらに、特許文献3も、低圧燃料ポンプの吐出圧を上昇させるものの、内燃機関の始動時に機関駆動式の高圧燃料ポンプの吐出圧が上昇しにくいので低圧燃料ポンプの吐出圧を上昇させるものに過ぎない。したがって、アイドル時に特に顕著になる高圧燃料ポンプ作動音の発生を解決していないし、そのアイドル時における内燃機関の運転が不安定になることも解決していない。
【0021】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関のアイドル時における高圧燃料ポンプの作動音を消滅させるとともに、内燃機関の安定運転を実現することができる、内燃機関の燃料系統の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の発明に係る制御装置は、燃料タンクから燃料噴射手段に燃料を供給する低圧ポンプと、低圧ポンプと燃料噴射手段との間に設けられ、供給された燃料の圧力を上昇させる高圧ポンプとを含む内燃機関の燃料系統を制御する。この制御装置は、内燃機関の運転状態がアイドル運転状態であることを検知するための手段と、高圧ポンプと燃料噴射手段とを接続する配管における燃料の状態を検知するための検知手段と、低圧ポンプおよび高圧ポンプを制御するための制御手段とを含む。この制御手段は、アイドル運転状態であることが検知されると、配管における燃料の状態に基づいて、高圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するとともに、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するように、高圧ポンプおよび低圧ポンプを制御するための手段を含む。
【0023】
第1の発明によると、高圧ポンプと燃料噴射手段とを接続する配管は、内燃機関から熱を受ける。このため、この配管内の燃料は高温になりやすい。たとえば内燃機関の駆動力を用いて、燃料の圧力を上昇させる高圧ポンプの機械的なノイズが顕著になるアイドル運転状態においては、高圧ポンプによる燃料圧力の上昇を停止して、機械的ノイズの発生を抑制できる。このように高圧ポンプではなく低圧ポンプで燃料噴射手段に燃料を供給すると、燃料の温度が高いときには配管にベーパが発生する。ベーパの発生は正常な燃料噴射量を阻害してしまう。そのため、制御手段は、配管における燃料の蒸発状態に基づいて、蒸発の度合いが低い方から高くなるにしたがって、高圧ポンプにより燃料の圧力を上昇させないで低圧ポンプでも上昇させない、高圧ポンプにより燃料の圧力を上昇させないが低圧ポンプで上昇させる、高圧ポンプにより燃料の圧力を上昇させるというように、高圧ポンプと低圧ポンプとを制御する。このようにすると、高圧ポンプを停止させて作動音の発生を抑制した場合に於いて、配管にベーパが発生することを回避でき、燃焼の安定化を図ることができる。その結果、内燃機関のアイドル時における高圧燃料ポンプの作動音を消滅させるとともに、内燃機関の安定運転を実現することができる、内燃機関の燃料系統の制御装置を提供することができる。
【0024】
第2の発明に係る制御装置は、第1の発明の構成に加えて、検知手段は、配管における燃料の蒸発状態を検知するための手段を含む。
【0025】
第2の発明によると、高圧ポンプと燃料噴射手段とを接続する配管における燃料の蒸発状態を検知して、その蒸発の度合いが高いほど配管における燃料の圧力が高くなるように制御して、その蒸発の度合いが低いほど配管における燃料の圧力が低くなるように制御して、高圧ポンプの作動音の抑制と、ベーパの発生による燃焼の不安定化の回避とを実現できる。
【0026】
第3の発明に係る制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、検知手段は、内燃機関の温度、配管における燃料の温度、内燃機関の回転数、内燃機関の負荷の少なくともいずれかに基づいて、蒸発状態を検知するための手段を含む。
【0027】
第3の発明によると、たとえば、内燃機関の温度が高いほど、内燃機関の回転数が高いほど、内燃機関の負荷が大きいほど、配管がより多くの熱を受けて、配管における燃料の温度が高くなる。内燃機関の運転状態から配管の燃料の温度を推定して蒸発状態を検知することができる。なお、この場合の蒸発状態の検知には、蒸発状態を推定して検知する場合を含む(以下、同じ)。
【0028】
第4の発明に係る制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、検知手段は、内燃機関の温度、配管における燃料の温度、内燃機関の回転数、内燃機関の負荷の少なくともいずれかにより決定される運転状態の継続時間に基づいて、蒸発状態を検知するための手段を含む。
【0029】
第4の発明によると、たとえば、内燃機関の温度が高い状態が長いほど、内燃機関の回転数が高い状態が長いほど、内燃機関の負荷が大きい状態が長いほど、配管がより多くの熱を受ける時間が長くなり、配管における燃料の温度が高くなる。内燃機関の運転状態の経過時間から配管の燃料の温度を推定して蒸発状態を検知することができる。
【0030】
第5の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段は、配管における燃料の蒸発が多い状態であると、高圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇するように、高圧ポンプを制御するための手段を含む。
【0031】
第5の発明によると、配管における燃料の蒸発が多い状態である場合には、高圧ポンプの作動音の抑制よりも燃焼の安定化を優先させて、高圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させて、ベーパを発生させないようにすることができる。
【0032】
第6の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段は、配管における燃料の蒸発が少ない状態であると、高圧ポンプから吐出される燃料の圧力の上昇を停止させるとともに、蒸発の度合いに応じて低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整するように、高圧ポンプおよび低圧ポンプを制御するための手段を含む。
【0033】
第6の発明によると、配管における燃料の蒸発が少ない状態である場合には、高圧ポンプの作動音を抑制するための高圧ポンプを停止させる。その際に、燃焼の安定化を図るために、蒸発の度合いに応じて低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を調整する。すなわち、配管における燃料の蒸発が少ない状態であっても、蒸発の度合いが比較的高い場合には、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させて、ベーパを発生させないようにすることができる。
【0034】
第7の発明に係る制御装置においては、第6の発明の構成に加えて、制御手段は、配管における燃料の蒸発が少ない状態において、蒸発の度合いが高いときには、度合いが低いときよりも、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させるように、低圧ポンプを制御するための手段を含む。
【0035】
第7の発明によると、配管における燃料の蒸発が少ない状態であっても、蒸発の度合いが比較的高い場合には、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させてベーパを発生させないようにして、蒸発の度合いが低い場合には、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させないで、燃焼の安定化を図ることができる。
【0036】
第8の発明に係る制御装置においては、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、燃料系統において、低圧ポンプを含めた低圧燃料配管系が構成され、低圧燃料配管系は、配管における燃料の圧力が調整可能に構成される。
【0037】
第8の発明によると、たとえば、低圧ポンプの吐出圧を上昇させたり、低圧ポンプの吐出量を上昇させたりすることにより、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させることができる。
【0038】
第9の発明に係る制御装置においては、第8の発明の構成に加えて、低圧ポンプは、吐出量を制御可能なポンプであって、制御手段は、流量に依存して圧力が変化する機構により、低圧燃料配管系の配管における燃料の圧力を調整する。
【0039】
第9の発明によると、たとえば流量に依存して圧力が変化する機構の一例であるプレッシャーレギュレータの設定圧を変更することにより、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させることができる。
【0040】
第10の発明に係る制御装置においては、第9の発明の構成に加えて、機構は、流量が増大するにしたがって圧力が上昇するプレッシャーレギュレータである。
【0041】
第10の発明によると、流量が増大するにしたがって圧力が上昇するプレッシャーレギュレータの設定圧を変更することにより、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を上昇させることができる。
【0042】
第11の発明に係る制御装置においては、第8の発明の構成に加えて、制御手段は、可変プレッシャーレギュレータにより、低圧燃料配管系の配管における燃料の圧力を調整する。
【0043】
第11の発明によると、可変プレッシャーレギュレータを制御することにより、低圧ポンプから吐出される燃料の圧力を変化(上昇)させることができる。
【0044】
第12の発明に係る制御装置においては、第1〜11のいずれかの発明の構成に加えて、燃料噴射手段は、筒内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射手段であって、内燃機関は、吸気通路内に燃料を噴射するための第2の燃料噴射手段をさらに含む。
【0045】
第12の発明によると、筒内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射手段のみを有する内燃機関のみならず、筒内に燃料を噴射するための第1の燃料噴射手段および吸気通路内に燃料を噴射するための第2の燃料噴射手段を有する内燃機関において、内燃機関のアイドル時における高圧燃料ポンプの作動音を消滅させるとともに、内燃機関の安定運転を実現することができる。
【0046】
第13の発明に係る制御装置においては、第12の発明の構成に加えて、第1の燃料噴射手段は、筒内噴射用インジェクタであって、第2の燃料噴射手段は、吸気通路噴射用インジェクタである。
【0047】
第13の発明によると、第1の燃料噴射手段である筒内噴射用インジェクタと第2の燃料噴射手段である吸気通路噴射用インジェクタとを別個に設けて噴射燃料を分担する内燃機関において、内燃機関のアイドル時における高圧燃料ポンプの作動音を消滅させるとともに、内燃機関の安定運転を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0049】
図1に、本発明の実施の形態に係る制御装置であるエンジンECU(Electronic Control Unit)で制御されるエンジンの燃料供給システム10を示す。このエンジンは、V型8気筒のガソリンエンジンであって、各気筒の筒内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタ110と、各気筒の吸気通路に燃料を噴射する吸気通路噴射用インジェクタ120とを有する。なお、本発明はこのようなエンジンに限定されて適用されるものではなく、少なくとも各気筒の筒内に燃料を噴射する筒内噴射用インジェクタ110を有するエンジンであればよい。また、他の形式のガソリンエンジン(V型6気筒、直列6気筒、直列4気筒等)や、コモンレール式ディーゼルエンジンであってもよい。さらに、高圧燃料ポンプは2台に限定されないで、1台以上であればよい。
【0050】
図1に示すように、この燃料供給システム10は、燃料タンクに設けられ、低圧(プレッシャーレギュレータ102の設定圧)の吐出圧で燃料を供給するフィードポンプ100と、第1のカム210により駆動される第1の高圧燃料ポンプ200と、第1のカム210とは吐出の位相が異なる第2のカム310により駆動される第2の高圧燃料ポンプ300と、筒内噴射用インジェクタ110に高圧燃料を供給するための左右のバンク毎に設けられた高圧デリバリパイプ112と、高圧デリバリパイプ112に設けられた左右のバンク各4個ずつの筒内噴射用インジェクタ110と、吸気通路噴射用インジェクタ120に燃料を供給するための左右のバンク毎に設けられた低圧デリバリパイプ122と、低圧デリバリパイプ122に設けられた左右のバンク各4個ずつの吸気通路噴射用インジェクタ120とを含む。
【0051】
燃料タンクのフィードポンプ100の吐出口には、プレッシャーレギュレータ102が設けられている。このプレッシャーレギュレータ102は、エンジンECUに接続され、エンジンECUによりその設定圧を変更することができる。設定圧は、たとえば、300kPa〜700kPa程度である。フィードポンプ100から吐出された燃料の圧力がプレッシャーレギュレータ102にて設定された圧力以上になると、超過した圧力に対応する燃料分だけがフューエルタンク内にリリーフ燃料として戻される。フューエルタンク内にプレッシャーレギュレータ102を設けてリリーフ燃料としているので、エンジンルームを通過して加熱された燃料が燃料タンクに戻ることがなくなるので、フューエルタンク内でのエバポレーションガスの発生を抑制している。なお、プレッシャーレギュレータ102は、このようにフューエルタンク内に設けられるのではなく、低圧デリバリパイプ122の末端に設けられるものでもよい。
【0052】
燃料タンクのフィードポンプ100の吐出口は、低圧供給パイプ400に接続され、低圧供給パイプ400は、第1の低圧デリバリ連通パイプ410とポンプ供給パイプ420とに分岐する。第1の低圧デリバリ連通パイプ410は、V型バンクの片方のバンクの低圧デリバリパイプ122との分岐点より下流側で、第2の低圧デリバリ連通パイプ430となり、もう片方のバンクの低圧デリバリパイプ122に接続されている。
【0053】
ポンプ供給パイプ420は、第1の高圧燃料ポンプ200および第2の高圧燃料ポンプ300の入り口にそれぞれ接続される。第1の高圧燃料ポンプ200の入り口の手前には、第1のパルセーションダンパー220が、第2の高圧燃料ポンプ300の入り口の手前には、第2のパルセーションダンパー320が、それぞれ設けられ、燃料脈動の低減を図っている。
【0054】
第1の高圧燃料ポンプ200の吐出口は、第1の高圧デリバリ連通パイプ500に接続され、第1の高圧デリバリ連通パイプ500は、V型バンクの片方のバンクの高圧デリバリパイプ112に接続される。第2の高圧燃料ポンプ300の吐出口は、第2の高圧デリバリ連通パイプ510に接続され、第2の高圧デリバリ連通パイプ510は、V型バンクのもう片方のバンクの高圧デリバリパイプ112に接続される。V型バンクの片方のバンクの高圧デリバリパイプ112ともう片方のバンクの高圧デリバリパイプ112とは、高圧連通パイプ520により接続される。
【0055】
高圧デリバリパイプ112に設けられたリリーフバルブ114は、高圧デリバリリターンパイプ610を介して高圧燃料ポンプリターンパイプ600に接続される。高圧燃料ポンプ200および高圧燃料ポンプ300のリターン口は、高圧燃料ポンプリターンパイプ600に接続される。高圧燃料ポンプリターンパイプ600は、リターンパイプ620およびリターンパイプ630に接続され、燃料タンクに接続される。
【0056】
図2に、図1の第1の高圧燃料ポンプ200付近の拡大図を示す。第2の高圧燃料ポンプ300も同様であるがカムの位相が異なり吐出タイミングの位相をずらして脈動の発生を抑制している。また、第1の高圧燃料ポンプ200と第2の高圧燃料ポンプ300の特性は、同じでも異なってもよい。以下の説明では、第1の高圧燃料ポンプ200の吐出能力および第2の高圧燃料ポンプ300の吐出能力は、仕様上同じであるが、それぞれの個体差により、制御特性は異なる。
【0057】
高圧燃料ポンプ200は、カム210で駆動され上下に摺動するポンププランジャー206と、電磁スピル弁202とリーク機能付きチェックバルブ204とを主な構成部品としている。
【0058】
カム210によりポンププランジャー206が下方向に移動しているときであって電磁スピル弁202が開いているときに燃料が導入され(吸い込まれ)、カム210によりポンププランジャー206が上方向に移動しているときに電磁スピル弁202を閉じるタイミングを変更して、高圧燃料ポンプ200から吐出される燃料量を制御する。ポンププランジャー206が上方向に移動している加圧行程中における電磁スピル弁202を閉じる時期が早いほど多くの燃料が吐出され、遅いほど少ない燃料が吐出される。この最も多く吐出される場合の電磁スピル弁202の駆動デューティを100%とし、この最も少なく吐出される場合の電磁スピル弁202の駆動デューティを0%としている。電磁スピル弁202の駆動デューティが0%の場合には、電磁スピル弁202は閉じることなく開いたままの状態になり、第1のカム210が回転している限り(エンジンが回転している限り)ポンププランジャー206は上下方向に摺動するが、電磁スピル弁202が閉じないので、燃料は加圧されない。
【0059】
加圧された燃料は、リーク機能付きチェックバルブ204(設定圧60kPa程度)を押し開けて第1の高圧デリバリ連通パイプ500を介して高圧デリバリパイプ112へ圧送される。このとき、高圧デリバリパイプ112に設けられた燃圧センサにより燃圧がフィードバック制御される。また、前述の通り、V型の一方のバンクの高圧デリバリパイプ112と他方のバンクの高圧デリバリパイプ112とは、高圧連通パイプ520により連通している。
【0060】
リーク機能付きチェックバルブ204は、通常のチェックバルブ204に細孔を設けたものであって、常時その細孔は開いている。このため、第1の高圧デリバリ連通パイプ500内の燃料の圧力よりも第1の高圧燃料ポンプ200(ポンププランジャー206)側の燃料の圧力が低くなると(たとえば電磁スピル弁202が開いたまま、エンジンが停止してカム210が停止)、この細孔を通って第1の高圧デリバリ連通パイプ500内の高圧燃料が高圧燃料ポンプ200側に戻ってきて高圧デリバリ連通パイプ500および高圧デリバリパイプ112内の燃料の圧力が低下する。これにより、たとえば、エンジン停止時には高圧デリバリパイプ112内の燃料が高圧でなくなり、筒内噴射用インジェクタ110からの燃料漏れを回避できる。
【0061】
エンジンECUは、最終燃料噴射量に基づき筒内噴射用インジェクタ110を駆動制御し、筒内噴射用インジェクタ110から噴射される燃料の量を制御する。こうした筒内噴射用インジェクタ110から噴射される燃料の量(燃料噴射量)は、高圧デリバリパイプ112内の燃料圧力(燃圧)と燃料噴射時間によって定まるため、燃料噴射量を適正にするためには燃圧を適正な値に維持する必要がある。したがって、エンジンECUは、燃圧センサからの検出信号に基づき求められる燃圧がエンジン運転状態に応じて設定される目標燃圧に近づくよう、高圧燃料ポンプ200の燃料吐出量をフィードバック制御して燃圧Pを適正値に維持する。なお、高圧燃料ポンプ200の燃料吐出量は、後述するデューティ比DTに基づき電磁スピル弁の閉弁期間(閉弁開始時期)を調整することによってフィードバック制御される。
【0062】
ここで、高圧燃料ポンプ200の燃料吐出量(電磁スピル弁202の閉弁開始時期)を制御するための制御量であるデューティ比DTについて説明する。このデューティ比DTは、0〜100%という値の間で変化する値であって、電磁スピル弁202の閉弁期間に対応するカム210のカム角度に関係した値である。すなわち、このカム角度に関して、電磁スピル弁202の最大閉弁期間に対応したカム角度(最大カム角度)を「θ(0)」とし、同閉弁期間の目標値に対応するカム角度(目標カム角度)を「θ」とすると、デューティ比DTは、最大カム角度θ(0)に対する目標カム角度θの割合を示すものということになる。したがって、デューティ比DTは、目標とする電磁スピル弁202の閉弁期間(閉弁開始時期)が最大閉弁期間に近づくほど100%に近い値とされ、目標とする閉弁期間が「0」に近づくほど0%に近い値とされるようになる。
【0063】
デューティ比DTが100%に近づくほど、デューティ比DTに基づき調整される電磁スピル弁202の閉弁開始時期は早められ、電磁スピル弁202の閉弁期間は長くなる。その結果、高圧燃料ポンプ200の燃料吐出量が増加して燃圧Pが上昇するようになる。また、デューティ比DTが0%に近づくほど、デューティ比DTに基づき調整される電磁スピル弁202の閉弁開始時期は遅らされ、電磁スピル弁202の閉弁期間は短くなる。その結果、高圧燃料ポンプ200の燃料吐出量が減少して燃圧Pが低下するようになる。
【0064】
なお、高圧燃料ポンプ200の制御はデューティ比DTを用いたものに限定されない。このようにデューティ比DTを介して間接的に開閉弁(電磁スピル弁)を閉じるタイミングを制御するのではなく、高圧燃料ポンプ200の要求吐出量に基づいて要求吐出量を満足するクランクシャフトの角度を算出して、直接的にクランクシャフトの角度に到達したときに電磁スピル弁202を閉じるように制御されるものでもよい。高圧燃料ポンプ200の要求吐出量に基づいて要求吐出量を満足するクランクシャフトの角度を算出するときには、エンジンの回転数と高圧燃料の圧力とが考慮される。これにより、エンジンの回転数や高圧燃料の圧力が変動した場合であっても、従来のようにデューティ比のみでフィードバック制御されずに、要求吐出量で制御されるので、制御特性が向上する。
【0065】
図3を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUで実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0066】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、エンジンECUは、エンジンの回転数センサからの信号に基づいて、エンジン回転数NEを検知する。S110にて、エンジンECUは、アクセル開度センサ440からの信号に基づいて、エンジンの負荷率を検知する。なお、エンジンの負荷率は、アクセルペダル10の開度のみにより決定されるものでなくてもよい。
【0067】
S120にて、エンジンECUは、検知したエンジン回転数NE、負荷率および予め定められたマップ等に基づいて、現在のエンジンの運転領域がアイドル領域であるか否かを判断する。現在のエンジンの運転領域がアイドル領域であると判断されると(S120にてYES)、処理はS130へ移される。もしそうでないと(S120にてNO)、処理はS180へ移される。
【0068】
S130にて、エンジンECUは、筒内噴射用インジェクタ110をフィード圧で燃料噴射するフィード圧制御が可能か否かを判断する。たとえば、筒内噴射用インジェクタ110の噴孔にデポジットが堆積している状態では高圧燃料でこのデポジットを吹き飛ばすこと等を考慮して、フィード圧制御が可能でないと判断される。筒内噴射用インジェクタ110をフィード圧で燃料噴射するフィード圧制御が可能であると(S130にてYES)、処理はS140へ移される。もしそうでないと(S130にてNO)、処理はS180へ移される。
【0069】
S140にて、エンジンECUは、高圧燃料ポンプ200,300の停止指令信号を出力する。具体的には、電磁スピル弁のデューティ比DTが0%である制御信号を出力する。
【0070】
S150にて、エンジンECUは、高圧デリバリパイプ112における燃料の温度Tを検知または推定する。推定するときには、エンジンの温度、冷却水温、エンジンの作動状態、作動状態の継続時間等が用いられる。さらに、この燃料の温度から最終的には高圧デリバリパイプ112内の燃料の蒸発の度合いを推定したいので、これらの状態量を用いて、この燃料の蒸発の度合いを直接推定するようにしてもよい。
【0071】
S160にて、エンジンECUは、高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが予め定められた第1のしきい値T(0)よりも高いか否かを判断する。高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが予め定められた第1のしきい値T(0)よりも高いと(S160にてYES)、処理はS170へ移される。もしそうでないと(S160にてNO)、処理はS200へ移される。
【0072】
S170にて、エンジンECUは、高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが予め定められた第2のしきい値T(1)(T(0)<T(1))よりも高いか否かを判断する。高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが予め定められた第2のしきい値T(1)よりも高いと(S170にてYES)、処理はS180へ移される。もしそうでないと(S170にてNO)、処理はS190へ移される。
【0073】
S180にて、エンジンECUは、高圧燃料ポンプ200,300の駆動指令信号を出力する。具体的には、電磁スピル弁202のデューティ比DTが0%でない制御信号を出力する。
【0074】
S190にて、エンジンECUは、通常のフィード圧よりも上昇するように、プレッシャーレギュレータ102に制御信号を出力する。これにより、フィードポンプ100から筒内噴射用インジェクタ110へ供給される燃料の圧力が上昇される。
【0075】
なお、低圧供給パイプ400等の低圧燃料系の配管内の燃料の圧力を通常のフィード圧よりも上昇させるようにするための方法(フィード圧の上昇方法)は、上記したプレッシャーレギュレータ102を制御する方法に限定されない。
【0076】
S200にて、エンジンECUは、通常のフィード圧になるように、プレッシャーレギュレータ102に制御信号を出力する。
【0077】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUにより制御される内燃機関の動作について説明する。
【0078】
エンジン回転数NEおよびエンジン負荷率が検知され(S100,S110)、エンジン10の現在の運転領域がアイドル領域であると(S120にてYES)、筒内噴射用インジェクタ110から燃料をフィード圧で噴射するフィード圧制御が可能であるか否かが判断される(S130)。
【0079】
アイドル領域であって、筒内噴射用インジェクタ110から燃料をフィード圧で噴射するフィード圧制御が可能であると(S120にてYES、S130にてYES)、高圧燃料ポンプ200,300が一旦停止される(S140)。
【0080】
<燃料温度Tが比較的低い場合>
高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが比較的低いと(S160にてNO)、高圧デリバリパイプ112内の燃料の圧力が低下しても、燃料が蒸発する度合いが小さい。このため、フィードポンプ100からの吐出圧が通常のフィード圧になるように制御される。このようにすると、高圧燃料ポンプ200,300の作動音の発生を回避できるとともに、高圧デリバリパイプ112内にベーパが発生しないので、所望の燃料を筒内噴射用インジェクタ110から噴射することができ、燃焼の不安定化を回避できる。
【0081】
<燃料温度TがT(0)とT(1)との間の場合>
高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度TがT(0)とT(1)との間にあると(S160にてYESかつS170にてNO)、高圧デリバリパイプ112内の燃料の圧力が低下すると、燃料が蒸発する度合いが比較的高くなる。このため、フィードポンプ100からの吐出圧が通常のフィード圧よりも高くなるように制御される。このようにすると、高圧燃料ポンプ200,300の作動音の発生を回避できるとともに、高圧デリバリパイプ112内にベーパが発生しないので、所望の燃料を筒内噴射用インジェクタ110から噴射することができ、燃焼の不安定化を回避できる。
【0082】
<燃料温度Tが比較的高い場合>
高圧デリバリパイプ112内の燃料の温度Tが比較的高いと(S160にてYESかつS170にてYES)、高圧デリバリパイプ112内の燃料の圧力が低下すると、燃料が蒸発する度合いが大きい。このため、高圧燃料ポンプ200,300を駆動して高圧燃料を高圧デリバリパイプ112に圧送する。このようにすると、高圧燃料ポンプ200,300の作動音の発生の回避は困難になるが、高圧デリバリパイプ112内にベーパが発生しないので、所望の燃料を筒内噴射用インジェクタ110から噴射することができ、燃焼の不安定化は回避できる。
【0083】
なお、フィード圧の上昇方法については、上述したようなプレッシャーレギュレータ102の設定圧を変更する方法に限定されない。フューエルポンプに容量可変型ポンプ(吐出量可変)を用いて、燃料の吐出量を変化させるとともに、流量の増加にしたがって圧力が上昇する特性を有するプレッシャーレギュレータを用いて、燃料の圧力を上昇させるようにしてもよい。さらに、フューエルポンプに容量可変型ポンプ(吐出圧可変)を用いてもよい。この場合、たとえば、ポンプを駆動させるモータの回転数を、フィード圧を検知する圧力センサからの信号に基づいて目標圧力になるように、フィードバック制御するようにすることもできる。さらに、吐出圧ではなく、吐出量を制御量としてフィードバック制御するようにしてもよい。なお、上述した実施の形態のようにエンジンECUにより設定圧が制御可能なプレッシャーレギュレータを用いれば、フューエルポンプの種類を問わないで、フィード圧を上昇させることができる。
【0084】
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置であるエンジンECUによると、アイドル運転時において、筒内噴射用インジェクタに高圧燃料を供給する高圧燃料ポンプの作動音の発生を回避するとともに、高圧配管系におけるベーパの発生を抑制して、エンジンにおける燃焼の安定化を図ることができる。
【0085】
<この制御装置が適用されるに適したエンジン(その1)>
以下、本実施の形態に係る制御装置が適用されるに適したエンジン(その1)について説明する。
【0086】
図4および図5を参照して、エンジンの運転状態に対応させた情報である、筒内噴射用インジェクタ110と吸気通路噴射用インジェクタ120との噴き分け比率(以下、DI比率(r)とも記載する。)を表わすマップについて説明する。これらのマップは、エンジンECUのROMに記憶される。図4は、エンジンの温間用マップであって、図5は、エンジンの冷間用マップである。
【0087】
図4および図5に示すように、これらのマップは、エンジンの回転数を横軸にして、負荷率を縦軸にして、筒内噴射用インジェクタ110の分担比率がDI比率rとして百分率で示されている。
【0088】
図4および図5に示すように、エンジンの回転数と負荷率とに定まる運転領域ごとに、DI比率rが設定されている。「DI比率r=100%」とは、筒内噴射用インジェクタ110からのみ燃料噴射が行なわれる領域であることを意味し、「DI比率r=0%」とは、吸気通路噴射用インジェクタ120からのみ燃料噴射が行なわれる領域であることを意味する。「DI比率r≠0%」、「DI比率r≠100%」および「0%<DI比率r<100%」とは、筒内噴射用インジェクタ110と吸気通路噴射用インジェクタ120とで燃料噴射が分担して行なわれる領域であることを意味する。なお、概略的には、筒内噴射用インジェクタ110は、出力性能の上昇に寄与し、吸気通路噴射用インジェクタ120は、混合気の均一性に寄与する。このような特性の異なる2種類のインジェクタを、エンジンの回転数と負荷率とで使い分けることにより、エンジンが通常運転状態(たとえば、アイドル時の触媒暖気時が、通常運転状態以外の非通常運転状態の一例であるといえる)である場合には、均質燃焼のみが行なわれるようにしている。
【0089】
さらに、これらの図4および図5に示すように、温間時のマップと冷間時のマップとに分けて、筒内噴射用インジェクタ110と吸気通路噴射用インジェクタ120のDI比率rを規定した。エンジンの温度が異なると、筒内噴射用インジェクタ110および吸気通路噴射用インジェクタ120の制御領域が異なるように設定されたマップを用いて、エンジンの温度を検知して、エンジンの温度が予め定められた温度しきい値以上であると図4の温間時のマップを選択して、そうではないと図5に示す冷間時のマップを選択する。それぞれ選択されたマップに基づいて、エンジンの回転数と負荷率とに基づいて、筒内噴射用インジェクタ110および/または吸気通路噴射用インジェクタ120を制御する。
【0090】
図4および図5に設定されるエンジンの回転数と負荷率について説明する。図4のNE(1)は2500〜2700rpmに設定され、KL(1)は30〜50%、KL(2)は60〜90%に設定されている。また、図5のNE(3)は2900〜3100rpmに設定されている。すなわち、NE(1)<NE(3)である。その他、図4のNE(2)や、図5のKL(3)、KL(4)も適宜設定されている。
【0091】
図4および図5を比較すると、図4に示す温間用マップのNE(1)よりも図5に示す冷間用マップのNE(3)の方が高い。これは、エンジンの温度が低いほど、吸気通路噴射用インジェクタ120の制御領域が高いエンジン回転数の領域まで拡大されるということを示す。すなわち、エンジンが冷えている状態であるので、(たとえ、筒内噴射用インジェクタ110から燃料を噴射しなくても)筒内噴射用インジェクタ110の噴口にデポジットが堆積しにくい。このため、吸気通路噴射用インジェクタ120を使って燃料を噴射する領域を拡大するように設定され、均質性を向上させることができる。
【0092】
図4および図5を比較すると、エンジンの回転数が、温間用マップにおいてはNE(1)以上の領域において、冷間用マップにおいてはNE(3)以上の領域において、「DI比率r=100%」である。また、負荷率が、温間用マップにおいてはKL(2)以上の領域において、冷間用マップにおいてはKL(4)以上の領域において、「DI比率r=100%」である。これは、予め定められた高エンジン回転数領域では筒内噴射用インジェクタ110のみが使用されること、予め定められた高エンジン負荷領域では筒内噴射用インジェクタ110のみが使用されるということを示す。すなわち、高回転領域や高負荷領域においては、筒内噴射用インジェクタ110のみで燃料を噴射しても、エンジンの回転数や負荷が高く吸気量が多いので筒内噴射用インジェクタ110のみでも混合気を均質化しやすいためである。このようにすると、筒内噴射用インジェクタ110から噴射された燃料は燃焼室内で気化潜熱を伴い(燃焼室から熱を奪い)気化される。これにより、圧縮端での混合気の温度が下がる。これにより対ノッキング性能が向上する。また、燃焼室の温度が下がるので、吸入効率が向上し高出力が見込める。
【0093】
図4に示す温間マップでは、負荷率KL(1)以下では、筒内噴射用インジェクタ110のみが用いられる。これは、エンジンの温度が高いときであって、予め定められた低負荷領域では筒内噴射用インジェクタ110のみが使用されるということを示す。これは、温間時においてはエンジンが暖まった状態であるので、筒内噴射用インジェクタ110の噴口にデポジットが堆積しやすい。しかしながら、筒内噴射用インジェクタ110を使って燃料を噴射することにより噴口温度を低下させることができるので、デポジットの堆積を回避することも考えられ、また、筒内噴射用インジェクタの最小燃料噴射量を確保して、筒内噴射用インジェクタ110を閉塞させないことも考えられ、このために、筒内噴射用インジェクタ110を用いた領域としている。
【0094】
図4および図5を比較すると、図5の冷間用マップにのみ「DI比率r=0%」の領域が存在する。これは、エンジンの温度が低いときであって、予め定められた低負荷領域(KL(3)以下)では吸気通路噴射用インジェクタ120のみが使用されるということを示す。これはエンジンが冷えていてエンジンの負荷が低く吸気量も低いため燃料が霧化しにくい。このような領域においては筒内噴射用インジェクタ110による燃料噴射では良好な燃焼が困難であるため、また、特に低負荷および低回転数の領域では筒内噴射用インジェクタ110を用いた高出力を必要としないため、筒内噴射用インジェクタ110を用いないで、吸気通路噴射用インジェクタ120のみを用いる。
【0095】
また、通常運転時以外の場合、エンジンがアイドル時の触媒暖気時の場合(非通常運転状態であるとき)、成層燃焼を行なうように筒内噴射用インジェクタ110が制御される。このような触媒暖気運転中にのみ成層燃焼させることで、触媒暖気を促進させ、排気エミッションの向上を図る。
【0096】
<この制御装置が適用されるに適したエンジン(その2)>
以下、本実施の形態に係る制御装置が適用されるに適したエンジン(その2)について説明する。なお、以下のエンジン(その2)の説明において、エンジン(その1)と同じ説明については、ここでは繰り返さない。
【0097】
図6および図7を参照して、エンジンの運転状態に対応させた情報である、筒内噴射用インジェクタ110と吸気通路噴射用インジェクタ120との噴き分け比率を表わすマップについて説明する。これらのマップは、エンジンECUのROMに記憶される。図6は、エンジンの温間用マップであって、図7は、エンジンの冷間用マップである。
【0098】
図6および図7を比較すると、以下の点で図4および図5と異なる。エンジンの回転数が、温間用マップにおいてはNE(1)以上の領域において、冷間用マップにおいてはNE(3)以上の領域において、「DI比率r=100%」である。また、負荷率が、温間用マップにおいては低回転数領域を除くKL(2)以上の領域において、冷間用マップにおいては低回転数領域を除くKL(4)以上の領域において、「DI比率r=100%」である。これは、予め定められた高エンジン回転数領域では筒内噴射用インジェクタ110のみが使用されること、予め定められた高エンジン負荷領域では筒内噴射用インジェクタ110のみが使用される領域が多いことを示す。しかしながら、低回転数領域の高負荷領域においては、筒内噴射用インジェクタ110から噴射された燃料により形成される混合気のミキシングが良好ではなく、燃焼室内の混合気が不均質で燃焼が不安定になる傾向を有する。このため、このような問題が発生しない高回転数領域へ移行するに伴い筒内噴射用インジェクタの噴射比率を増大させるようにしている。また、このような問題が発生する高負荷領域へ移行するに伴い筒内噴射用インジェクタ110の噴射比率を減少させるようにしている。これらのDI比率rの変化を図6および図7に十字の矢印で示す。このようにすると、燃焼が不安定であることに起因するエンジンの出力トルクの変動を抑制することができる。なお、これらのことは、予め定められた低回転数領域へ移行するに伴い筒内噴射用インジェクタ110の噴射比率を減少させることや、予め定められた低負荷領域へ移行するに伴い筒内噴射用インジェクタ110の噴射比率を増大させることと、略等価であることを確認的に記載する。また、このような領域(図6および図7で十字の矢印が記載された領域)以外の領域であって筒内噴射用インジェクタ110のみで燃料を噴射している領域(高回転側、低負荷側)においては、筒内噴射用インジェクタ110のみでも混合気を均質化しやすい。このようにすると、筒内噴射用インジェクタ110から噴射された燃料は燃焼室内で気化潜熱を伴い(燃焼室から熱を奪い)気化される。これにより、圧縮端での混合気の温度が下がる。これにより対ノッキング性能が向上する。また、燃焼室の温度が下がるので、吸入効率が向上し高出力が見込める。
【0099】
なお、図4〜図7を用いて説明したこのエンジンにおいては、均質燃焼は筒内噴射用インジェクタ110の燃料噴射タイミングを吸気行程とすることにより、成層燃焼は筒内噴射用インジェクタ110の燃料噴射タイミングを圧縮行程とすることにより実現できる。すなわち、筒内噴射用インジェクタ110の燃料噴射タイミングを圧縮行程とすることで、点火プラグ周りにリッチ混合気が偏在させることにより燃焼室全体としてはリーンな混合気に着火する成層燃焼を実現することができる。また、筒内噴射用インジェクタ110の燃料噴射タイミングを吸気行程としても点火プラグ周りにリッチ混合気を偏在させることができれば、吸気行程噴射であっても成層燃焼を実現できる。
【0100】
また、ここでいう成層燃焼には、成層燃焼と以下に示す弱成層燃焼の双方を含むものである。弱成層燃焼とは、吸気通路噴射用インジェクタ120を吸気行程で燃料噴射して燃焼室全体にリーンで均質な混合気を生成して、さらに筒内噴射用インジェクタ110を圧縮行程で燃料噴射して点火プラグ周りにリッチな混合気を生成して、燃焼状態の向上を図るものである。このような弱成層燃焼は触媒暖気時に好ましい。これは、以下の理由による。すなわち、触媒暖気時には高温の燃焼ガスを触媒に到達させるために点火時期を大幅に遅角させ、かつ良好な燃焼状態(アイドル状態)を維持する必要がある。また、ある程度の燃料量を供給する必要がある。これを成層燃焼で行なおうとしても燃料量が少ないという問題があり、これを均質燃焼で行なおうとしても良好な燃焼を維持するために遅角量が成層燃焼に比べて小さいという問題がある。このような観点から、上述した弱成層燃焼を触媒暖気時に用いることが好ましいが、成層燃焼および弱成層燃焼のいずれであっても構わない。
【0101】
また、図4〜図7を用いて説明したエンジンにおいては、筒内噴射用インジェクタ110による燃料噴射のタイミングは、以下のような理由により、圧縮行程で行なうことが好ましい。ただし、上述したエンジンは、基本的な大部分の領域には(触媒暖気時にのみに行なわれる、吸気通路噴射用インジェクタ120を吸気行程噴射させ、筒内噴射用インジェクタ110を圧縮行程噴射させる弱成層燃焼領域以外を基本的な領域という)、筒内噴射用インジェクタ110による燃料噴射のタイミングは、吸気行程である。しかしながら、以下に示す理由があるので、燃焼安定化を目的として一時的に筒内噴射用インジェクタ110の燃料噴射タイミングを圧縮行程噴射とするようにしてもよい。
【0102】
筒内噴射用インジェクタ110からの燃料噴射時期を圧縮行程中とすることで、筒内温度がより高い時期において、燃料噴射により混合気が冷却される。冷却効果が高まるので、対ノック性を改善することができる。さらに、筒内噴射用インジェクタ110からの燃料噴射時期を圧縮行程中とすると、燃料噴射から点火時期までの時間が短いことから噴霧による気流の強化を実現でき、燃焼速度を上昇させることができる。これらの対ノック性の向上と燃焼速度の上昇とから、燃焼変動を回避して、燃焼安定性を向上させることができる。
【0103】
さらに、エンジンの温度によらず(すなわち、温間時および冷間時のいずれの場合であっても)、オフアイドル時(アイドルスイッチがオフの場合、アクセルペダルが踏まれている場合)には、図4または図6に示す温間マップを用いるようにしてもよい(冷間温間を問わず、低負荷領域において筒内噴射用インジェクタ110を用いる)。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態に係る制御装置により制御されるガソリンエンジンの燃料供給システムの全体概要図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】エンジンECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるに好適なエンジンの温間時のDI比率マップを表わす図(その1)である。
【図5】本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるに好適なエンジンの冷間時のDI比率マップを表わす図(その1)である。
【図6】本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるに好適なエンジンの温間時のDI比率マップを表わす図(その2)である。
【図7】本発明の実施の形態に係る制御装置が適用されるに好適なエンジンの冷間時のDI比率マップを表わす図(その2)である。
【符号の説明】
【0106】
10 燃料供給システム、100 フィードポンプ、102 プレッシャーレギュレータ、110 筒内噴射用インジェクタ、112 高圧デリバリパイプ、114 リリーフバルブ、120 吸気通路噴射用インジェクタ、122 低圧デリバリパイプ、200 第1の高圧燃料ポンプ、202 電磁スピル弁、204 リーク機能付きチェックバルブ、206 ポンププランジャー、210 第1のカム、220 第1のパルセーションダンパー、300 第2の高圧燃料ポンプ、310 第2のカム、320 第2のパルセーションダンパー、400 低圧供給パイプ、410 第1の低圧デリバリ連通パイプ、420 ポンプ供給パイプ、430 第2の低圧デリバリ連通パイプ、500 第1の高圧デリバリ連通パイプ、510 第2の高圧デリバリ連通パイプ、520 高圧連通パイプ、600 高圧燃料ポンプリターンパイプ、610 高圧デリバリリターンパイプ、620,630 リターンパイプ。




 

 


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