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発明の名称 内燃機関の排気浄化システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16653(P2007−16653A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−197515(P2005−197515)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
代理人 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
発明者 伊藤 慎一郎 / 宮崎 雅生
要約 課題
排気浄化システムにおいて、必要に応じて触媒コンバータ8を活性化温度に迅速かつ適切に昇温可能とする。

解決手段
触媒コンバータ8の下流に配置されて排気流量を調整する排気絞り弁10と、排気絞り弁10と触媒コンバータ8との間に配置されて排気ガスの変動圧や絶対圧を検出する動圧センサ11と、触媒コンバータ8の温度を検出する温度センサ13と、触媒コンバータ8を活性化するための触媒昇温制御を行う制御装置9とを含む。制御装置9は、必要に応じて動圧センサ11の出力に基づき排気流量を推定したうえで、この推定した排気流量と温度センサ13の出力とに基づき触媒コンバータ8の触媒床温度を推定し、触媒床温度が所定基準値より低い場合に、運転状況を加味して目標排気圧を設定した後、少なくとも動圧センサ11の出力に基づき現在の排気圧を推定し、現在の排気圧と目標排気圧との差に基づき排気絞り弁10の開度を制御する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関から排気ガスが排出される排気通路に設けられて排気ガスを浄化する触媒コンバータと、前記排気通路における前記触媒コンバータの下流に配置されて排気流量を調整する排気絞り弁と、この排気絞り弁と前記触媒コンバータとの間または触媒コンバータの上流に配置されて排気ガスの変動圧や絶対圧を検出する動圧センサと、前記触媒コンバータの温度を検出する温度センサと、前記触媒コンバータを活性化するための触媒昇温制御を行う制御装置とを含み、
前記制御装置は、
必要に応じて前記動圧センサの出力に基づき排気流量を推定したうえで、この推定した排気流量と前記温度センサの出力とに基づき前記触媒コンバータの触媒床温度を推定する触媒床温度推定手段と、
触媒床温度が所定基準値より低い場合に、運転状況を加味して目標排気圧を設定する目標排気圧設定手段と、
目標排気圧を設定した後、少なくとも動圧センサの出力に基づき現在の排気圧を推定する排気圧推定手段と、
前記推定した現在の排気圧と前記目標排気圧との差に基づき前記排気絞り弁の開度を制御する弁制御手段とを含むことを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
【請求項2】
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段をさらに含み、
前記排気圧推定手段は、前記回転数検出手段からの出力および内燃機関の負荷を現在の排気圧の推定要件に加えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
【請求項3】
前記動圧センサは、前記排気通路内の共鳴の腹部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
【請求項4】
前記排気通路において前記触媒コンバータより下流側領域は、前記触媒コンバータより小径に形成されていて、前記触媒コンバータの出口部分は、前記小径領域に向けて漸次縮径された形状とされており、
前記動圧センサは、前記出口部分の最小径位置から前記小径領域における前記排気絞り弁の配置位置までの間でかつ排気通路内の排気共鳴の腹部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化システム。
【請求項5】
前記動圧センサは、前記排気通路を形成する管の外径側から内径側に突き出した状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される内燃機関に用いる排気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばディーゼルエンジン等の内燃機関は、例えば始動運転時等のように低速低負荷運転時に、燃焼室の温度が低くなるために、排気ガス中における粒子状物質(PM:Paticulate Matter)や窒素酸化物(NOx)の混入量が多くなりやすい。
【0003】
排気ガスは、通常、排気通路内に設置される触媒コンバータにより浄化するようにしているが、触媒床温度が低い場合には浄化能力が低下する。
【0004】
ここで、筒内直接噴射式の希薄燃焼エンジンにおいて、排気温度が低いとき、燃焼室に対する主噴射を空気過剰状態で行うのに加え、主噴射後に副噴射を行って燃焼量を増大し、併せて排気通路に排気制御弁を設けてこれをほぼ全閉することで、未燃HCの発生量を低減しようとするものが考えられている(特許文献1参照。)。
【0005】
なお、排気の昇温状態の監視は、触媒コンバータの上流に配置した排気温センサや排気圧センサの出力に基づいて行うようにしている。また、主噴射に加えて副燃焼を行うと、燃焼室では主噴射による燃焼(以下「主燃焼」という。)時に発生した未燃HCが副噴射による燃焼(以下「副燃焼」という。)で燃焼されるので、発生する未燃HC自体が大幅に減る。しかも、主燃焼時に発生した未燃HCが副燃料とともに燃焼されることによって、燃焼量が増大するので、必然的に排気温度が高まり、触媒コンバータの触媒床温度が高められて触媒コンバータの浄化能力が向上する。
【0006】
また、内燃機関の排気通路に配置している触媒コンバータの下流に排気制御弁を配置し、触媒コンバータの下流の温度が所定温度に達するまで排気制御弁を閉めることにより、触媒コンバータの触媒床温度を活性化温度にまで高めようとしたものが考えられている(特許文献2参照。)。
【0007】
なお、排気制御弁は、触媒コンバータの下流に配置した温度センサの出力に基づいて行うようにしている。
【特許文献1】特開2001−123870号公報
【特許文献2】特開2001−59414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記各従来例では、いずれも、触媒コンバータを積極的に活性化するうえで効果があると考えられるが、それぞれ下記するような点で改良の余地がある。
【0009】
まず、特許文献1に係る従来例では、燃料の噴射を二段階で行うことに加えて、排気制御弁を開閉制御するようにしているので、構成や動作制御が複雑となり、設備コストが嵩む。しかも、排気圧センサおよび排気温度センサは、触媒コンバータの上流の排気温度を監視するものであり、また、排気圧センサとして一般的な静圧センサを用いていると、排気の動圧成分の影響によって正確な排気圧測定は難しいので、このような排気圧センサおよび排気温度センサは、排気流量の影響を受ける触媒コンバータの触媒床温度を推定することに利用するには不十分と考えられる。
【0010】
また、特許文献2に係る従来例では、触媒コンバータの下流に配置した温度センサからの出力に基づいて排気制御弁を制御しているので、触媒コンバータの触媒床温度を正確に制御しているとは言えない。
【0011】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガスを排気通路に設けられる触媒コンバータで浄化する排気浄化システムにおいて、必要に応じて触媒コンバータを活性化温度に迅速かつ適切に昇温可能とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムは、内燃機関から排気ガスが排出される排気通路に設けられて排気ガスを浄化する触媒コンバータと、前記排気通路における前記触媒コンバータの下流に配置されて排気流量を調整する排気絞り弁と、この排気絞り弁と前記触媒コンバータとの間または触媒コンバータの上流に配置されて排気ガスの変動圧や絶対圧を検出する動圧センサと、前記触媒コンバータの温度を検出する温度センサと、前記触媒コンバータを活性化するための触媒昇温制御を行う制御装置とを含み、前記制御装置は、必要に応じて前記動圧センサの出力に基づき排気流量を推定したうえで、この推定した排気流量と前記温度センサの出力とに基づき前記触媒コンバータの触媒床温度を推定する触媒床温度推定手段と、触媒床温度が所定基準値より低い場合に、運転状況を加味して目標排気圧を設定する目標排気圧設定手段と、目標排気圧を設定した後、少なくとも動圧センサの出力に基づき現在の排気圧を推定する排気圧推定手段と、前記推定した現在の排気圧と前記目標排気圧との差に基づき前記排気絞り弁の開度を制御する弁制御手段とを含むことを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、触媒コンバータの触媒床温度が低くなる状況つまり触媒コンバータの浄化能力が低下している状況のとき、排気絞り弁を閉側に制御して排気圧を上昇させることが可能になる。
【0014】
これにより、排気通路内における触媒コンバータおよびその周辺に排気熱を滞留させることが可能になるので、触媒コンバータが迅速かつ適切に昇温されて活性化温度とされ、その浄化能力が向上することになる。
【0015】
また、排気脈動による圧力変動や絶対圧を高精度に検出できる動圧センサを用いているから、この動圧センサの出力の信頼性が高くなるとともに、この動圧センサの出力に基づき推定する排気流量の信頼性も高くなる。そして、前記推定した排気流量と温度センサの出力とに基づき触媒床温度を推定しているから、触媒床温度を正確に把握できるようになる。これらのことから、触媒昇温制御において目標排気圧をマージンの小さい理想的なハード上限圧に設定することが可能になる。
【0016】
したがって、触媒昇温制御において、運転状況に応じて排気圧を理想的なハード上限圧に高めるように排気絞り弁を制御できるようになり、運転状況全般にわたって触媒コンバータを有効に活用できるようになる。
【0017】
なお、上記ハード上限圧とは、例えば内燃機関の排気行程において排気絞り弁を閉じたときに、排気ポートの圧力が上昇し、バルブステムのオイルシールが脱落したり、エキゾーストバルブ(図示省略)がピストン(図示省略)等に干渉したりするといったメカニカルな動作の不具合の発生を回避するための上限の圧力のことである。このハード上限圧は、内燃機関の構造設計時点で決まるので、触媒昇温制御での目標排気圧については、設計上のハード上限圧に所定のマージンを見込んだ値に設定するのが一般的である。
【0018】
上記排気浄化システムは、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段をさらに含み、前記制御装置の排気圧推定手段は、前記回転数検出手段からの出力および内燃機関の負荷を現在の排気圧の推定要件に加えたものとすることができる。
【0019】
この構成では、そもそも排気絞り弁の開度と排気圧との相対関係が、内燃機関の回転数、負荷によって異なることを考慮し、排気絞り弁の動作制御の条件に内燃機関の回転数、負荷を加えているから、目標排気圧に応じた排気絞り弁の制御を適切に行えるようになる。
【0020】
上記排気浄化システムの動圧センサは、前記排気通路内の共鳴の腹部に配置されたものとすることができる。
【0021】
この構成によれば、動圧センサの配置を適正にしているから、動圧センサの検出精度を高めることが可能になり、動圧センサの検出出力の信頼性が向上するようになる。
【0022】
上記排気浄化システムは、前記排気通路において前記触媒コンバータより下流側領域が、前記触媒コンバータより小径に形成されていて、前記触媒コンバータの出口部分が、前記小径領域に向けて漸次縮径された形状とされており、前記動圧センサが、前記出口部分の最小径位置から前記小径領域における前記排気絞り弁の配置位置までの間でかつ排気通路内の排気共鳴の腹部に配置されたものとすることができる。
【0023】
この構成によれば、動圧センサの検出精度をさらに高めることが可能になり、動圧センサの検出出力の信頼性がさらに向上するようになる。
【0024】
上記排気浄化システムの動圧センサは、前記排気通路を形成する管の外径側から内径側に突き出した状態で取り付けられたものとすることができる。
【0025】
この構成によれば、動圧センサの検出部を最適な場所に配置するから、動圧センサの検出出力の信頼性がさらに向上するようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムによれば、必要に応じて触媒コンバータを活性化温度に迅速かつ適切に昇温可能となり、そのため、内燃機関の排気を効率よく浄化できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を図1から図7に示して説明する。
【0028】
本発明に係る排気浄化システムの説明に先立ち、その使用対象となる内燃機関の概略構成を図1に示して説明する。
【0029】
図1に示す内燃機関1は、直列四気筒型ディーゼルエンジンとされており、基本的には、吸気系から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料とを適宜の空燃比で混合してなる混合気を燃焼室2に噴射して燃焼させた後、燃焼室2内の排気ガスを排気系を経て大気放出させるようになっている。
【0030】
上記吸気系は、シリンダヘッドの吸気ポート3に接続されるインテークマニホルド21に吸気管22を接続してなる吸気通路に、その上流側から順にエアクリーナ23、エアフローメータ24,スロットルバルブ25を配置した構成である。エアフローメータ24は、エアクリーナ23を介して吸気管22に流入する空気量に応じた電気信号を出力する。
【0031】
上記燃料供給系は、燃料供給路31に、その上流側から順に燃料タンク32、サプライポンプ33、コモンレール34、複数のインジェクタ35・・・を配置した構成である。燃料タンク32内の燃料は、サプライポンプ33により吸い出されてコモンレール34に供給され、コモンレール34からインジェクタ35・・・を経て燃焼室2に噴射される。サプライポンプ33は、内燃機関1の図示しないクランクシャフトによって駆動される。
【0032】
上記排気系は、シリンダヘッドの排気ポート4に接続されるエキゾーストマニホルド41にマフラー42を接続して構成される排気通路からなる。
【0033】
この実施形態で例示する内燃機関1には、ターボチャージャ5、インタークーラ6、排気再循環装置としてのEGR装置7、触媒コンバータ8が装備されているので、以下で説明する。
【0034】
ターボチャージャ5は、排気ガスを利用して吸入空気を昇圧するものであり、コンプレッサ5aとタービン5bを備えている。コンプレッサ5aは、吸気管22におけるエアフローメータ24の下流に配置されており、タービン5bは、エキゾーストマニホルド41の集合部とマフラー42との間に配置されている。
【0035】
インタークーラ6は、ターボチャージャ5で昇圧した吸入空気を冷却するものであり、ターボチャージャ5のコンプレッサ5aとスロットルバルブ25との間に配置されている。
【0036】
EGR装置7は、排気の一部(EGRガス)を吸気系に戻して燃焼室2へ再度供給することによりNOxを低減させるものであり、EGR通路7aに、その上流からEGR触媒コンバータ7b、EGRクーラ7c、EGRバルブ7dを配置した構成である。
【0037】
EGR通路7aは、排気系から吸気系へ燃焼室2をバイパスして連接するバイパス通路からなる。EGR触媒コンバータ7bは、EGR通路7aに流入した排気ガスを浄化するものである。EGRクーラ7cは、例えばEGRガスと内燃機関1の冷却液との間で熱交換を行うことによりEGRガスの温度を下げる熱交換器からなる。EGRバルブ7dは、EGR通路7a内を排気系側から吸気系側に流れる排気ガスの量を制御するものである。
【0038】
触媒コンバータ8は、排気通路を構成するエキゾーストマニホルド41とマフラー42との間に介装されており、この実施形態では、DPNR(Diesel Paticulate−Nox Reduction system)と呼ばれるものとされている。
【0039】
このDPNRからなる触媒コンバータ8は、排気ガス中の粒子状物質(PM:Paticulate Matter)や窒素酸化物(NOx)を共に低減するものであり、図2に示すように、ケ
ース8a内にハニカム構造体8bを収納配置した構成である。
【0040】
ケース8aは、その中間部分が円筒形状とされていて、その一端部分(入り口)と他端部分(出口)がそれぞれ端縁へ向けて漸次縮径するテーパ形状とされている。このケース8aの中間部分にハニカム構造体8bが配置されている。
【0041】
ハニカム構造体8bは、詳細に図示していないが、例えば多孔質セラミック基材にNOx吸蔵還元型の三元触媒を担持させた構成であり、原理的には、PMやNOxを含む排気ガスが図3の矢印で示すように流入すると、PMが多孔質セラミック基材の微細孔に捕捉され、NOxが多孔質セラミック基材の微細孔を通る際に吸蔵され、N2やCO2を排出するようになっている。
【0042】
通常、上記触媒コンバータ8の触媒床は、排気ガスの空燃比(以下、排気空燃比と称す)が理論空燃比よりもリーンのときはNOxを吸収し、排気空燃比が理論空燃比あるいはそれよりもリッチになって流入排気ガス中の酸素濃度が低下するときに吸収したNOxをNO2またはNOとして放出する。そして、触媒コンバータ8の触媒床から放出されたN
Ox(NO2またはNO)は直ちに排気ガス中の未燃HCやCOと反応してN2に還元され
る。
【0043】
制御装置9は、ECU(Electronic Control Unit)であり、公知のように双方向性バ
スによって相互に接続した中央処理装置(CPU)、プログラムメモリ(ROM)、データメモリ(RAM)等から構成されている。
【0044】
この制御装置9は、内燃機関1のいろいろな運転を制御するのであるが、ここではその動作説明は割愛する。
【0045】
一般的に、触媒コンバータ8内に捕集されるPMは、基本的に触媒コンバータ8の触媒床温度が活性化温度になることによって燃焼されて除去される。
【0046】
ところが、例えば内燃機関1の冷間運転、始動運転あるいは低速低負荷運転等の運転条件になると、触媒コンバータ8の触媒床温度が低くなりやすいので、PMが燃焼されずに残りやすくなり、しかも、触媒コンバータ8による浄化能力が低下する傾向となる。このような運転条件での運転が長く継続されると、触媒コンバータ8内のPM捕集能力が飽和状態になりうる。
【0047】
このような場合に、触媒コンバータ8の触媒床温度およびその周辺の雰囲気温度を高めることにより、触媒コンバータ8を活性化することが望ましい。
【0048】
そこで、この実施形態では、制御装置9により、必要に応じて、触媒コンバータ8の触媒床温度を活性化温度に高める触媒昇温制御を行うように工夫しているので、以下で詳細に説明する。
【0049】
まず、図1に示すように、マフラー42における触媒コンバータ8の下流側には、排気流量を調整する排気絞り弁10が設置されており、この排気絞り弁10と触媒コンバータ8との間には、排気ガスの変動圧や絶対圧を測定可能な動圧センサ11が設置されている。
【0050】
具体的に、排気絞り弁10は、触媒コンバータ8より下流のマフラー42に設置されており、制御装置9により開閉駆動される。
【0051】
動圧センサ11は、触媒コンバータ8のケース8aにおける排気通過方向の下流端部分の最小径部位8cからマフラー42における排気絞り弁10の配置部位までの間でかつ排気に伴う図4の仮想線で示すような管内共鳴の腹部(動圧発生部)X1またはX2に配置されており、検出した圧力に対応する電気信号を制御装置9に出力する。
【0052】
なお、動圧センサ11は、マフラー42の外径側から内径側に所定量突き出した状態で取り付けられている。この動圧センサ11の突出量は、管内共鳴の腹部X1またはX2における中央に近づけつつも排気抵抗となりにくくするように適宜設定される。
【0053】
このように動圧センサ11の配置や取り付け状態を特定すれば、動圧センサ11の検出精度を高めるうえで有利となる。
【0054】
なお、マフラー42において触媒コンバータ8の上流には、静圧センサ12が設けられている。触媒コンバータ8において排気ガス通過方向の略中央には、温度センサ13が設けられている。
【0055】
また、吸気管22においてターボチャージャ5のコンプレッサ5aとインタークーラ6との間には、吸入空気圧センサ14が設けられている。さらに、エンジン1には、クランクシャフト(図示省略)の回転数を検出するクランク回転センサ15が設けられている。
【0056】
次に、制御装置9による触媒昇温制御について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0057】
制御装置9は、内燃機関1の運転中において、定期的に図6に示すフローチャートにエントリーする。まず、ステップS1で、排気圧を高める必要があるか否かを判定する。この判定は、触媒コンバータ8の触媒床温度を推定し、この推定した触媒床温度と所定の基準値(使用対象となる触媒コンバータ8の活性化温度)とを対比することにより、排気圧を高める必要があるか否かを判断する。
【0058】
そもそも、触媒コンバータ8は、図5(a),(b)に示すように、排気流量の大小によって触媒床温度の分布が異なる。つまり、排気流量が大の場合には、図5(a)に示すように、上流側から下流側へ向かう温度の広がりが、径方向中間部分のほうが外径側部分よりも速くなるため、径方向中間部分と外径側部分との温度差が大きくなる。一方、排気流量が小の場合には、図5(b)に示すように、上流側から下流側へ向かう温度の広がりが、径方向中間部分のほうが外径側部分よりわずかに速い程度であるため、径方向中間部分と外径側部分との温度差は僅かとなる。
【0059】
このようなことから、この実施形態では、触媒コンバータ8の触媒床温度を温度センサ13の出力のみで特定するのは正確性に欠けると考え、触媒コンバータ8を通過する排気流量を触媒コンバータ8の下流に配置した動圧センサ11の出力に基づき推定し、この推定した排気流量、温度センサ13の出力、吸入空気圧センサ14の出力ならびにクランク回転センサ15の出力を利用して触媒コンバータ8の触媒床温度を推定するようにしている。なお、動圧センサ11の出力は、排気流量に比例したものとなるので、排気流量の推定は比較的容易かつ正確に行うことが可能である。
【0060】
ここで、まず、触媒床温度が基準値以上である場合には、ステップS1で否定判定して、図示していない内燃機関1の運転制御に関するメインフローに戻る。
【0061】
一方、触媒床温度が基準値よりも低い場合には、上記ステップS1で肯定判定して、触媒コンバータ8の浄化能力が不十分であるとして、ステップS2で目標排気圧P1を設定
する。
【0062】
この目標排気圧P1については、運転状況を把握して、いわゆるハード上限圧に設定し
ている。なお、ハード上限圧とは、例えば内燃機関の排気行程において排気絞り弁を閉じたときに、排気ポートの圧力が上昇し、バルブステムのオイルシールが脱落したり、エキゾーストバルブ(図示省略)がピストン(図示省略)等に干渉したりするといったメカニカルな動作の不具合の発生を回避するための上限の圧力のことである。このハード上限圧は、内燃機関1の構造設計時点で決まるので、触媒昇温制御での目標排気圧P1について
は、設計上のハード上限圧に所定のマージンを見込んだ値に設定するのが一般的である。
【0063】
ここで、仮に従来例のように触媒コンバータ8の下流の排気圧を検出する圧力センサと
して一般的な静圧センサを用いている場合には、排気脈動による圧力変動の幅を考慮して前記マージンを可及的に大きく確保しなければならず、目標排気圧P1を理想の目標排気
圧P0(例えば図7の実線参照)よりも低く設定する必要があった。
【0064】
しかし、この実施形態では前記ステップS1のように触媒床温度の推定を高精度に行えるようにしているから、目標排気圧P1として前記マージンを小さく設定した理想の目標
排気圧P0に設定することが可能になって、設計上のハード上限圧に近づけることが可能
になる。
【0065】
この後、ステップS3〜S6において、静圧センサ12の出力、動圧センサ11の出力、吸入空気圧センサ14の出力、クランク回転センサ15の出力を順次取り込んでから、続くステップS7において、上記ステップS3〜S6で取り込んだ各種の情報に基づいて現在の排気圧P2を求める。
【0066】
この後、ステップS8において、上記ステップS2で設定した目標排気圧P1から上記
ステップS7で求めた現在の排気圧P2を減算して、その結果が「0」以上であるか否か
を判定する。ここでは、要するに、現在の排気圧P2が目標排気圧P1よりも低いか高いかを調べている。
【0067】
ここで、まず、P1−P2<0の場合、つまり現在の排気圧P2が目標排気圧P1を超える場合には、上記ステップS8で否定判定し、ステップS9で目標排気圧P1と現在の排気
圧P2との差に基づいて排気絞り弁10を目標排気圧P1とするよう開側に制御する処理を実行してから、図示していない内燃機関1の運転制御に関するメインフローに戻る。
【0068】
これにより、排気通路(エキゾーストマニホルド41、マフラー42)において排気絞り弁10での排気抵抗が小さくなって、排気絞り弁10より上流側の排気圧が低下するとともに、排気熱が触媒コンバータ8内からスムーズに抜けることになるので、触媒コンバータ8の触媒床温度が許容範囲内に収まるようになる。
【0069】
一方、P1−P2≧0の場合、つまり現在の排気圧P2が目標排気圧P1以下の場合には、上記ステップS8で肯定判定し、ステップS10で目標排気圧P1と現在の排気圧P2との差に基づいて排気絞り弁10を目標排気圧P1とするよう閉側に制御する処理を実行して
から、図示していない内燃機関1の運転制御に関するメインフローに戻る。
【0070】
これにより、排気通路(エキゾーストマニホルド41、マフラー42)において排気絞り弁10での排気抵抗が大きくなって、排気絞り弁10より上流側の排気圧が高められるとともに、排気熱が触媒コンバータ8内に滞留されることになるので、触媒コンバータ8が昇温されることになる。
【0071】
なお、そもそも、通常、図7の仮想線で示すように、内燃機関1の回転数が低いほど、つまり排気流量が小さいほど、排気絞り弁10を閉めても排気圧が理想の目標排気圧P0
まで上昇しにくくなる。
【0072】
このように、排気絞り弁10の開度と排気圧との相対関係が内燃機関1の回転数の高低、つまり排気流量の大小によって異なることを考慮し、上記ステップS10では、排気絞り弁10の制御条件について、動圧センサ11および静圧センサ12の出力だけでなく、温度センサ13、吸入空気圧センサ14ならびにクランク回転センサ15からの出力を利用するようにしている。
【0073】
そのため、ステップS9,S10における排気絞り弁10の動作制御について、内燃機
関1の運転状況を加味すれば、目標排気圧P1に応じた排気絞り弁10の制御を適切に行
えるようになり、図7の実線で示すように、排気絞り弁10の制御に伴い理想の目標排気圧P0どおりの排気圧を確保できるようになる。
【0074】
また、上記ステップS10では、排気絞り弁10を全閉状態とせずに、所定量の排気ガスの通過を許容して排気詰まりを回避するような開度とするのが好ましい。
【0075】
このようなステップS9,S10において、触媒コンバータ8の触媒床温度が活性化温度に到達すると、排気絞り弁10の開度を予め規定してある開度に戻す。
【0076】
ところで、制御装置9は、上述した触媒昇温制御の処理において、ステップS1で触媒床温推定手段として機能し、ステップS2で目標排気圧設定手段として機能し、ステップS3〜S7で排気圧推定手段として機能し、ステップS8〜S10で弁制御手段として機能するようになっている。
【0077】
以上説明した実施形態の排気浄化システムによれば、触媒コンバータ8の触媒床温度が活性化温度より低くなるような状況を制御装置9が認識したときに、排気絞り弁10を閉側に制御することにより、触媒コンバータ8の触媒床温度を速やかに活性化温度にまで昇温させて、触媒コンバータ8内に捕集しているPM等を燃焼させるとともに触媒コンバータ8による浄化能力を高めるようにしている。
【0078】
これにより、例えば内燃機関1の冷間時、あるいは低速低負荷運転時等のように、触媒コンバータ8の触媒床温度が低くなる状況等であっても、触媒コンバータ8の触媒床温度を迅速かつ適切に活性化温度に昇温させることができるので、触媒コンバータ8のPM等の燃焼除去が効率よく行えるようになるとともに、触媒コンバータ8の浄化能力を十分に高めることができ、内燃機関1から排出される排気ガスを効率よく浄化することが可能になる。
【0079】
特に、排気脈動による圧力変動や絶対圧を高精度に検出できる動圧センサ11を用いたうえで、それを最適な場所に配置しているから、上述したような触媒昇温制御において、動圧センサ11の出力の信頼性が高くなるとともに、この動圧センサ11の出力に基づき推定する排気流量の信頼性も高くなる。そして、前記推定した排気流量と温度センサ13の出力とに基づき触媒床温度を推定しているから、触媒床温度を正確に把握できるようになる。これらのことから、触媒昇温制御において目標排気圧P1をマージンの小さい理想
的なハード上限圧に設定することが可能になる。
【0080】
したがって、触媒昇温制御において、運転状況に応じて排気圧を理想的なハード上限圧に高めるように排気絞り弁10を制御できるようになり、運転状況全般にわたって触媒コンバータ8を有効に活用できるようになる。
【0081】
さらに、そもそも排気絞り弁10の開度と排気圧との相対関係が内燃機関1の回転数(排気流量)、負荷によって異なることを考慮し、触媒昇温制御において排気絞り弁10を閉側に制御する際に、内燃機関1の運転状況、特に内燃機関1の回転数(排気流量)、負荷を加味して排気絞り弁10の開度を決定しているから、目標排気圧P1に応じた排気絞
り弁10の制御を適切に行えるようになり、目標排気圧P1どおりの排気圧を確保できる
ようになる。
【0082】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。
【0083】
(1)上記実施形態において、必要に応じて、排気系に添加剤(燃料、例えばディーゼ
ルエンジンでは軽油)を供給して触媒コンバータ8の浄化能力を回復させる添加剤供給装置を装備することができる。
【0084】
その一例を、図8に示す。図8に示す実施形態では、図1に示した構成に加えて、エキゾーストマニホルド41の外側に、エキゾーストマニホルド41の集合部分へ向けて添加剤を供給する添加弁51を付設し、この添加弁51を、添加剤供給路52を介してサプライポンプ33に接続する。そして、制御装置9は、マフラー42において触媒コンバータ8に設置された温度センサ13の出力に基づき、例えば添加弁51を所定時間開放することによりエキゾーストマニホルド41の集合部へ向けて添加剤を噴射させる。
【0085】
なお、上述した添加弁51、添加剤供給路52、サプライポンプ33、制御装置9が、添加剤供給装置を構成している。
【0086】
(2)上記実施形態では、内燃機関1としてディーゼルエンジンを例示したが、これに限ることなく、他に例えば筒内直接噴射式の希薄燃焼ガソリンエンジンであってもよい。
【0087】
(3)上記実施形態で例示した内燃機関1は、ターボチャージャ5およびEGR装置7を装備したものを例に挙げているが、それらのいずれか一方または両方を無くしたものであっても本発明を適用できる。
【0088】
(4)触媒コンバータ8は、例えばDPF(Diesel Paticulate Filter)、NOx吸蔵還元触媒、酸化触媒等とすることも可能である。また、内燃機関を希薄燃焼型ガソリンエンジンとする場合には触媒コンバータ8として三元触媒コンバータとすることも可能である。さらに、上記実施形態では、触媒コンバータ8を一つにした例を挙げているが、二つあるいは三つの併用したものにも本発明を適用できる。これらの複数の触媒コンバータの種類は、特に限定されず、適宜いろいろな種類の触媒コンバータを用いることができる。
【0089】
(5)上記実施形態において、動圧センサ11と静圧センサ12との配置位置を反対にしてもよい。その場合でも、上記実施形態と同様に、動圧センサ11を管内共鳴の腹部に配置するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気浄化システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の触媒コンバータを示す概略構成図である。
【図3】図2の触媒コンバータによる浄化原理を模式的に示す説明図である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【図5】図1の触媒コンバータの温度分布を示す模式図であり、(a)は排気流量大の場合、(b)は排気流量小の場合を示している。
【図6】図1に示す排気浄化システムの動作説明に用いるフローチャートである。
【図7】内燃機関の回転数に対する排気圧の変化を示すグラフである。
【図8】本発明に係る内燃機関の排気浄化システムの他の実施形態で、図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0091】
1 内燃機関
2 燃焼室
4 シリンダヘッドの排気ポート
8 触媒コンバータ
9 制御装置
10 排気絞り弁
11 動圧センサ
12 静圧センサ
13 温度センサ
14 吸入空気圧センサ
15 クランク回転センサ
41 エキゾーストマニホルド(排気通路)
42 マフラー(排気通路)




 

 


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