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発明の名称 アクチュエータ診断装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10106(P2007−10106A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−194769(P2005−194769)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二
発明者 川野 正和 / 大竹 知之 / 太田 光紀
要約 課題
アクチュエータの動作不具合についての診断精度を向上させる。

解決手段
シリンダ34及びピストン36を備えたアクチュエータ20には、アーム40が後退端にあることを検知するセンサA44と、アーム40が前進端にあることを検知するセンサB46が設けられている。例えば、後退端からの前進動作は、起動指令部62からの指令によって行われる。制御診断装置50では、指令信号があってから、センサA44がアーム40の動き出しを検知するまでの時間(動き出し時間)を収集し、この解析に基づいてアクチュエータの動作診断を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
アクチュエータの行う少なくとも一つの動作について、その物理的な動き出しに要する所用時間を取得する取得手段と、
設定された対応関係情報を参照して、取得した所用時間に基づいてアクチュエータの動作不具合についての診断を行う診断手段と、
を備える、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータ診断装置において、
取得手段は、アクチュエータに対する動作指令がなされた時点から実際の動作開始が検出された時点までの時間に基づいて前記所用時間を取得する、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアクチュエータ診断装置において、
取得手段は、異なる二以上の動作についてそれぞれの前記所用時間を取得し、
診断手段は、取得した二以上の所用時間を用いて、アクチュエータにおける二以上の箇所の動作不具合についての診断を行う、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアクチュエータ診断装置において、
診断手段は、アクチュエータの動作不具合の診断において、アクチュエータが動作不具合を生じるまでの寿命予測を行う、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載のアクチュエータ診断装置において、
診断手段は、アクチュエータの動作不具合の診断において、アクチュエータの不具合箇所又はその候補群の特定を行う、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアクチュエータ診断装置において、
取得手段は、アクチュエータが繰り返す複数のサイクルに対し、同一の動作についての前記所用時間を取得し、
当該アクチュエータ診断装置は、複数のサイクルを対象として、取得した所用時間についての統計解析を行う解析手段を備え、
診断手段は、統計解析結果に基づいてアクチュエータの動作不具合についての診断を行う、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアクチュエータ診断装置において、
解析手段において行われる統計解析には、所用時間の平均値を求める平均値解析、又は、二以上の所用時間の相関を求める相関解析が含まれる、ことを特徴とするアクチュエータ診断装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータの動作に関しての時間計測結果に基づいて、アクチュエータの診断を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等に設けられたアクチュエータには、制御指令に従って的確に動作することが求められる。下記特許文献1乃至4には、アクチュエータに発生する異常を監視し、速やかな対処に結びつけるための技術が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に記載された技術では、アクチュエータに対する動作指令がなされてから、アクチュエータの起動条件を満たしていることを確認して実際に起動信号を出すまでの動作待ち時間を計測し、動作待ち時間が許容時間を超えた場合に異常を検出している。また、この起動信号が出力されてから動作完了する迄の実働時間を計測して許容時間と比較し、動作の異常の検出を行っている。下記特許文献2では、アクチュエータの動作時間が正常である範囲内において、警報のための閾値を設定し、動作を監視する技術が開示されている。また、下記特許文献3には、アクチュエータの動作時間を設定時間と比較し、詳細な表示を行うことで、故障診断を行う技術が開示されている。そして、下記特許文献4には、アクチュエータの各動作の所要時間を計時し、その最大値と最小値を順次演算して記憶し、必要に応じて最新の値とともに表示することで、故障予知を可能とする技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−149215号公報
【特許文献2】特開2004−133857号公報
【特許文献3】特開平7−93027号公報
【特許文献4】特開平2−212043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1乃至4の技術においては、動作の開始から動作の完了までの実働時間に着目して、アクチュエータの異常検出や異常予測を行っている。また、上記特許文献1においては、動作待ち時間についての監視も行っているが、この動作待ち時間は、起動条件が満たされるまで時間、言い換えればソフトウエア的に準備が整うまでの時間であるに過ぎない。一般に不具合の発生は、動作における動き出しの瞬間の緩慢として顕著に検出しうると考えられる。しかし、上記技術は、この過程に着目するものではなく、アクチュエータの動作を十分に診断できるものではない。
【0006】
本発明の目的は、アクチュエータの動作不具合についての診断精度を向上させることにある。
【0007】
本発明の別の目的は、アクチュエータの不具合要因の特定を詳細化しうる新たな診断態様を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアクチュエータ診断装置は、アクチュエータの行う少なくとも一つの動作について、その物理的な動き出しに要する所用時間を取得する取得手段と、設定された対応関係情報を参照して、取得した所用時間に基づいてアクチュエータの動作不具合についての診断を行う診断手段と、を備える。
【0009】
アクチュエータとは、機器等の可動体を駆動するための装置であり、具体的には、モータ、ソレノイド、シリンダなどを用いて構成される。そして、アクチュエータ診断装置は、このアクチュエータの動作診断を行う装置である。アクチュエータ診断装置は、アクチュエータ又はアクチュエータを含む機器に内蔵されていてもよいし、これらとは別構成されてもよい。また、アクチュエータ診断装置は、アクチュエータの動作を制御する制御装置と一体形成されていてもよい。アクチュエータ診断装置は、演算機能を備えたハードウエアとそれを制御するソフトウエア(プログラム)によって構成することが可能である。この場合、ハードウエア又はソフトウエアは、通信可能に設定された複数の筐体に配置されていてもよい。
【0010】
取得手段は、アクチュエータの少なくとも一つの動作に関して、物理的な動きだしに要する所用時間を取得する。動作とは、前進、後退、回転など、実際の動きを伴う動作を指す。前進しながら回転するような複合的な動作であってもよい。取得手段は、この動作の物理的な動き出しの時間、すなわち、駆動を開始してから実際に物理的な動きが見られるまでの所用時間を取得する。取得する所用時間は、厳密な動きだしの時間でなく、その前又は後における若干の時間が加えられ又は加えられていないものであってもよい。このような場合にも、取得する所用時間に動きだしに要する時間が十分に反映されているのであれば、実質的には物理的な動き出しに要する時間について解析することができるからである。
【0011】
診断手段は、取得した所用時間に基づいてアクチュエータの動作不具合についての診断を行う。動作不具合とは、故障と認識される状態、又は、故障とは認識されない程度ではあるが動作が良好ではない状態をいう。この動作不具合の診断においては、設定された対応関係情報が参照される。対応関係情報は、所用時間あるいはその解析により得られる情報を、診断内容と対応づけるための情報であり、例えば、ルックアップテーブルとして実装することができる。対応関係情報は、ユーザ入力に従い固定的に設定されてもよいし、学習アルゴリズム等に基づいて更新されてもよい。診断手段は、典型的には、取得した所用時間に対する条件式を用意することで、取得した所用時間から動作不具合の診断を行うことができる。
【0012】
この態様によれば、アクチュエータの動作における動き出しの時間に基づいて、アクチュエータの動作不具合が診断される。動き出しの時間は、部品間の接合状態、嵌合状態又は静摩擦力、あるいは動作部品の摩耗などの様々な要因によって敏感に変化しうる。したがって、この動き出しの時間に基づくことで、アクチュエータの動作不具合を精度よく診断できるものと期待される。なお、取得手段又は診断手段における処理は、不具合の速やかな検出が可能となるように個々の動作が行われる度に実施するようにしてもよいし、処理の効率を考慮して適当なタイミングでまとめて実施するようにしてもよい。
【0013】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、取得手段は、アクチュエータに対する動作指令がなされた時点から実際の動作開始が検出された時点までの時間に基づいて前記所用時間を取得する。すなわち、ここでは、物理的な動き出しに要する時間を、動作指令についての信号が送信又は受信された時点から、実際の動きが検出された時点までに要する時間を計測した結果に基づいて取得する。なお、動きの検出は、例えば、位置センサ、速度センサ又は加速度センサを用いることで行いうる。
【0014】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、取得手段は、異なる二以上の動作についてそれぞれの前記所用時間を取得し、診断手段は、取得した二以上の所用時間を用いて、アクチュエータにおける二以上の箇所の動作不具合についての診断を行う。なお、取得手段は、動き出しに要する所用時間以外の時間(例えば、動き出してから動き終わるまでの実動作時間)も取得することが可能であり、診断手段は、このような時間にも基づいてアクチュエータにおける二以上の箇所の動作不具合についての診断を行うことができる。
【0015】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、診断手段は、アクチュエータの動作不具合の診断において、アクチュエータが動作不具合を生じるまでの寿命予測を行う。寿命とは、故障するまで又は部品交換やメンテナンスが必要となる不具合が発生するまでの時間をいう。
【0016】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、診断手段は、アクチュエータの動作不具合の診断において、アクチュエータの不具合箇所又はその候補群の特定を行う。不具合箇所とは、故障と認識される箇所、または、故障に至らないまでも注意すべき箇所をいう。不具合箇所の特定は、ある一箇所を明示するものであってもよいが、複数の候補を列挙するもの(つまり少なくともある程度の範囲にまで故障箇所を絞り込むもの)であってもよい。不具合箇所の特定は、故障発生前(従って故障とは言えないなんらかの不具合箇所を特定する)に行ってもよいし、故障発生後に行ってもよい。
【0017】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、取得手段は、アクチュエータが繰り返す複数のサイクルに対し、同一の動作についての前記所用時間を取得し、当該アクチュエータ診断装置は、複数のサイクルを対象として、取得した所用時間についての統計解析を行う解析手段を備え、診断手段は、統計解析結果に基づいてアクチュエータの動作不具合についての診断を行う。統計解析を行うことで、処理対象のデータ数に応じた診断精度の向上が期待できる。
【0018】
本発明のアクチュエータ診断装置の一態様においては、解析手段において行われる統計解析には、所用時間の平均値(移動平均のような重みつき平均も含む)を求める平均値解析、又は、二以上の所用時間の相関を求める相関解析が含まれる。この他、二以上の所用時間に対し、重回帰分析や主成分分析などの様々な多変量解析を行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本実施の形態にかかるアクチュエータ及び関連構成の概略を説明する図である。ここには、主たる構成として、アクチュエータ20、制御診断装置50及び操作盤110が示されている。
【0020】
アクチュエータ20は、生産物の加工処理等を行う機械(ロボット)等に一つ又は複数個設けられて、その可動部分を動かすために用いられる。このアクチュエータ20は、空気圧を制御する弁32、弁32から空気が流れ込むシリンダ34、シリンダに嵌合されたピストン36を備えている。ピストン36は、シリンダ34と接触部38において接触しており、ここでの摩擦の大小はピストン36の動作の滑らかさを左右する。さらに、ピストン36の先にはアーム40が取り付けられている。そして、アーム40の先端部42は、アクチュエータ20の可動扉や可動ユニット等に接続されている。
【0021】
アクチュエータ20の動作は、センサA44及びセンサB46を用いて検知される。すなわち、センサA44は、アーム40のシリンダ34側に設置されており、アーム40が最も後退した位置(後退端)に達したことを検知する。また、センサA44は、アーム40の前方側に設置されており、アーム40が最も前進した位置(前進端)に達したことを検知する。
【0022】
制御診断装置50は、アクチュエータ20の動作を制御するとともに、実際の動作について診断する装置である。制御診断装置50は、制御プログラム装置60、データ収集装置70、データ読取装置80及びデータ解析装置90を含んでいる。各装置は、それぞれPC(パーソナルコンピュータ)などの演算装置やハードディスクなどの記憶装置を含むハードウエアをソフトウエア制御することで実現されており、相互に通信可能に設定されている。
【0023】
制御プログラム装置60には、起動指令部62とセンサ確認部64を備えている。起動指令部62は、プログラムに従って所定の動作指令を行うものである。すなわち、弁32に対し開閉指示信号を送信してアクチュエータ20の動作を制御する。一般には、アクチュエータ20に対しては、生産ラインの流れなどに従って、同じ動作を反復して繰り返す制御が行われる。また、センサ確認部64は、センサA44,B46の出力を受け付けることでアクチュエータ20の動作検知情報を取得するものである。
【0024】
データ収集装置70は、制御プログラム装置60から、アクチュエータ20に対する制御データ及び診断データを取得し、データ格納部72に格納する。図示した例においては、データ格納部72のアドレスX10.1には、ピストン36を後退させるために行う弁32への指示信号が時系列順に格納されている。具体的には、最初の三つのサンプリング時刻においては「0」の信号が出力されており、後退のための弁操作は行われない。しかし、続く四つのサンプリング時刻においては「1」の信号が出力され、前進のための弁操作が行われている。また、データ格納部72のアドレスY20.1は、センサA44の出力をX10.1と同じ各サンプリング時刻について示したデータである。これによれば、最初の七つのサンプリング時刻においては「0」の状態が維持されており、センサA44はアーム40の所定箇所を検知しておらず、アーム40は後退端に達していない。しかし、続く四つのサンプリング時刻においては「1」の状態が検出されており、アーム40が後退端に達していることを示している。
【0025】
同様にして、データ格納部72のアドレスX10.2には、ピストン36を前進させるために行う弁32への指示信号が時系列順に格納されており、アドレスY20.2には、アーム40が前進端に位置しているかについての情報がセンサB46の出力に基づいて格納されている。
【0026】
データ読取装置80は、データ収集装置70のデータ格納部72に格納された情報を読み取り、その集計を行って、集計テーブル82を生成する。集計テーブル82においては、例えば、アーム40の前進動き出し時間や前進実動作時間の値が格納される。前進動き出し時間とは、後退端に位置するアーム40を前進させるべく起動指令部62が弁32に動作指示信号を出してから、後退端を監視するセンサA44によってアーム40の後退端からの移動が検出されるまでの時間をいう。つまり、動作指令信号を発してから実際にその動作が始まるまでの時間を動き出し時間と定義して、各種の動き出し時間データの集計が行われる。
【0027】
また、前進実動作時間とは、センサA44によって後退端からの離脱が確認されてから、センサB46によって前進端への到着が確認されるまでの時間をいう。つまり、ある動作が行われはじめてから終了するまでの時間を実動作時間と定義して、各種の実動作時間データの集計が行われる。この他、データ読取装置80においては、ある動作が完了してから次の動作がはじめられるまで(あるいは次の動作の指令が行われるまで)の動作サイクル間隔時間についての集計なども行われる。
【0028】
データ解析装置90は、データ読取装置80によって集計された集計テーブル82を基に、各種の解析を行う装置である。データ解析としては、個々のサイクルにおけるデータに対して閾値との比較などを行う瞬間値解析を採用しうる他、複数のサイクルにおけるデータを処理する統計解析も採用することができる。データ解析装置90に設けられた分散解析部92、平均解析部94、トレンド解析部96は、この統計解析を実現するための構成である。分散解析部92は、同じ動作についての測定時間がどの程度ばらついているかを解析し、平均解析部94は、同じ動作についての測定時間を適当な重み付けで移動平均し、トレンド解析部96は、二種類の時間についての変化傾向の解析を行う。統計解析としては、この他にも、例えば二種類の時間についての相関解析など様々なものを行うことができる。
【0029】
データ解析装置90には、さらに診断部98と診断DB(データベース)100が設けられている。診断DB100には、故障の有無や、故障の可能性などを解析結果と対応づけたデータが格納されている。診断部98は、解析結果を診断DB100に従って分類することで、解析結果に対応したアクチュエータ20の動作不具合を見つけ出すことができる。
【0030】
操作盤110は、キーボード等のユーザ入力部とディスプレイ等の結果表示部を備えている。ユーザはこの操作盤110を通じて各種の設定を行うことができる他、データ解析装置90で検出された動作不具合結果を見ることができる。
【0031】
図2は、データ読取装置80においてデータ集計に用いられる検出信号120と、この検出信号120を用いて集計される時間140との対応関係を、アクチュエータ20の一サイクルの動作について説明した図である。サイクルの最初には、アーム40は後退端に位置している。この状態で、起動指令部62は前進指令122を出力する。これにより弁32で空気圧調整が行われ、ピストン36及びアーム40には前進方向の力が作用する。しかし、この前進指令122がなされてから、ピストン36が実際に前進し、アーム40が後退端から離れたことにつきセンサAによる確認124が行われるまでには若干の時間(この時間を前進動き出し時間142と呼ぶ)がかかる。これは、例えば、ピストン36とシリンダ34とが接触する接触部38で静摩擦力が作用することによる。静摩擦力は、接触部38に設けられた空気をシールするゴムの状態や、ピストン36あるいはシリンダ34の摩耗の状態などによっても変化する。つまり、前進動き出し時間142には、接触部38の不具合の状態が反映されることになる。
【0032】
動き出したピストン36は、やがて前進端に達して静止する。前進端への到着時間は、センサBによる確認126に基づいて取得することができる。そして、センサAによる確認124の時間からセンサBによる確認126の時間までは、実際に前進に要した前進実動作時間144として集計される。前進実動作時間144もアクチュエータ20の不具合状態に伴って変化する。すなわち、前進動作の緩急は接触部38における動摩擦力の大きさに依存しており、この動摩擦力の大きさは接触部38の部品の状態によって定まるからである。
【0033】
前進端にアーム40が到達すると、アクチュエータ20が搭載された工作機械等における所定の処理が行われる。そして、加工処理が終了した場合には、その旨の信号が制御プログラム装置60に対して発せられる。制御プログラム装置60においては、こうした信号に基づいて、後退指令130のための動作条件を満たす128に至ったことを確認し、起動指令部62によって後退指令130を出力する。この間の時間(前後動作サイクル間隔時間146と呼ぶ)は、加工処理について動作状態を反映している。つまり、加工動作に関して不具合が生じた場合には、前後動作サイクル間隔時間146が長引くことになる。
【0034】
アーム40の後退過程について同様にして時間集計が行われる。すなわち、後退指令130からセンサBによる確認132までの後退動き出し時間148、センサBによる確認132からセンサAによる確認134までの後退実動作時間150、センサAによる確認134から前進指令138までの後前動作サイクル間隔時間152が集計される。
【0035】
なお、時間集計はこの他にも様々に可能であり、例えば、アクチュエータ20が長時間の動作待ち状態となる場合などに行われる動力解放に関して使用する時間についてのデータを集計することができる。
【0036】
図3は、データ解析装置90において行われる解析処理の例を説明する図である。ここでは、複数のサイクルを対象として集計された時間データに基づいて行う次の4項目の解析、「1:(前進または後退の)動き出し平均時間」、「2:(前進または後退の)実動作動き出し時間」、「3:(前進または後退の)動き出し時間と(前後または後前の)動作サイクル間隔時間との相関」、「4:(前進または後退の)動き出し時間と動力解放後時間との相関」について説明する。項目1,2の平均時間の解析結果は、集計結果が基準値Aよりも20%以上遅いか、20%以内か、20%以上速いかの三種類に分類される。また、項目3,4の相関解析の結果は、相関が弱い(相関係数が0.7より小さい)か強いか(相関係数が0.7より大きいか)の二種類に分類される。
【0037】
具体例として、図4に、項目3の動き出し時間と動作サイクル間隔時間との相関の例を示した。図4(a)は、新品のアクチュエータ20について解析した例であり、図4(b)は、故障が発生した日について解析した例を示している。両図とも横軸は動き出し時間、縦軸は動作サイクル間隔時間であり、そこに複数サイクルにおける各集計値がドットで記されている。
【0038】
図4(a)の場合には、各集計値は領域160内にある。そして、動き出し時間はほぼ一様であり、動作サイクル間隔時間は値が小さい付近に集中しながらも、値が大きい付近にも拡がっている。そして、両者の相関係数は0.125である。これに対し、図4(b)の場合には、ほぼ領域170の中にデータが分布しており、動き出し時間は遅い側に大きく拡がり、動作サイクル間隔時間は動き出し時間が遅い側になるほどやや大きくなる傾向にある。そして、両者の相関係数は0.898と非常に高い。図3に示した基準に従えば、図4(a)の場合には相関が弱いグループに分類され、図4(b)の場合には相関が強いグループに分類される。そして、この相関が強い場合には、その要因をもたらした箇所に不具合が発生するだろうこと、あるいは、既に発生しているだろうことがわかる。
【0039】
図5は、データ解析装置90の診断DB100に格納された不具合判定を行うためのデータの一部分を示している。すなわち、項目1,2については(遅い、一定、速い)の三種類、項目3,4については(弱い、強い)の二種類からなる各場合の組み合わせについて、その要因を説明する「解説」、どのような故障によるものかを示す「故障モード」、シリンダに原因がある場合の原因を特定する「エアシリンダならば」の欄を設けて不具合判定を行えるようにデータが用意されている。
【0040】
例えば、一番上の行の場合は、項目1〜4がそれぞれ遅い、速い、強い、弱い状態に相当するものであり、動力供給速度の低下あるいは静摩擦抵抗の異常上昇に起因するものであり、アクチュエータ動作部に発生した摩耗による可能性が大きいこと、そして、エアシリンダに原因がある場合にはシールの摩耗によるものと考えられることが記されている。同様にして、次行以下には、項目1〜4の他の全ての組み合わせにおける要因究明情報が記されている。
【0041】
データ解析装置90においては、このデータに基づいて、診断部98がアクチュエータ20の動作不具合についての診断を行う。診断は様々に行うことが可能であり、故障原因の特定の他、故障発生の予測、部品の寿命の予測なども行うことが可能である。
【0042】
図6は、操作盤110になされる診断結果表示の例を示す図である。ここでは、複数のアクチュエータについて故障モードと余寿命を表示する欄が設けられている。そして、ジグクランプ1のアクチュエータについては、シール摩耗が発生していること、ジグクランプ2のアクチュエータについては不具合が生じていないこと、扉閉じのアクチュエータについてはロッド異常が発生していること、ユニット前進のアクチュエータについては不具合が生じていないことが示されている。不具合が生じたアクチュエータ名の欄は、色反転表示がなされ、監視を容易なものにしている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る概略的な装置構成例を示す図である。
【図2】検出信号と集計される時間との対応関係を示す図である。
【図3】解析データを段階評価するための基準例を示す図である。
【図4】相関解析結果の例を示す図である。
【図5】解析結果に基づいて診断を行うために用意された情報である。
【図6】診断結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
20 アクチュエータ、32 弁、34 シリンダ、36 ピストン、38 接触部、40 アーム、42 先端部、44 センサA、46 センサB、50 制御診断装置、60 制御プログラム装置、62 起動指令部、64 センサ確認部、70 データ収集装置、72 データ格納部、80 データ読取装置、82 集計テーブル、90 データ解析装置、92 分散解析部、94 平均解析部、96 トレンド解析部、98 診断部、100 診断DB、110 操作盤。




 

 


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