米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 アクチュエータのストローク量決定装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9985(P2007−9985A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189773(P2005−189773)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
発明者 大坪 正明
要約 課題
スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点に対応したストローク量を精度よく決定する。

解決手段
ECUは、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)と下限値(L)との中点に設定された目標値(T)に、アクチュエータのストローク量が到達した場合において、スリーブとクラッチギヤとが噛合ったか否かに応じて、噛合い開始点の検索範囲を目標値(T)よりもストローク量が小さい側もしくは大きい側に絞り込み、目標値(T)を再設定するステップ(S110,S112)と、再設定後の目標値(T)と再設定前の目標値(TM)との差の絶対値がしきい値よりも小さい場合(S114にてYES)、目標値(T)を、噛合い開始点に対応するストローク量として記憶するステップ(S116)とを含む、プログラムを実行する。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1の部材が移動して第2の部材と噛合うことによりギヤ段が形成される変速機におけるアクチュエータのストローク量決定装置であって、前記アクチュエータは、前記第1の部材を移動させ、
前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合った状態における前記アクチュエータのストローク量である第1の値を設定するための第1の設定手段と、
前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合っていない状態における前記アクチュエータのストローク量である第2の値を設定するための第2の設定手段と、
前記第1の値と前記第2の値との範囲内において、前記アクチュエータのストローク量の目標値を設定するための第3の設定手段と、
ストローク量が目標値になるように、前記アクチュエータを制御するための手段と、
前記目標値に基づいて、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合い始めるストローク量を決定するための決定手段と、
前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合ったか否かを判定するための判定手段とを含み、
前記第1の設定手段は、前記アクチュエータのストローク量が前記目標値に達した場合において、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合った場合は、前記目標値と同じ値を前記第1の値に再設定するための手段を含み、
前記第2の設定手段は、前記アクチュエータのストローク量が前記目標値に達した場合において、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合ってない場合は、前記目標値と同じ値を前記第2の値に再設定するための手段を含み、
前記決定手段は、前記第1の値および前記第2の値のいずれか一方が再設定された後における目標値と再設定される前における目標値との差が予め定められた値よりも小さい場合、再設定された後の目標値および再設定される前の目標値のいずれか一方の値を、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合い始めるストローク量として決定するための手段を含む、アクチュエータのストローク量決定装置。
【請求項2】
前記第3の設定手段は、前記第1の値と前記第2の値との中間の値を、前記アクチュエータのストローク量の目標値に設定するための手段を含む、請求項1に記載のアクチュエータのストローク量決定装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合い始めるストローク量を、複数のギヤ段のうちの一部のギヤ段に対して決定するための手段を含む、請求項1または2に記載のアクチュエータのストローク量決定装置。
【請求項4】
前記ストローク量検定装置は、前記変速機の入力軸回転数を検出するための手段をさらに含み、
前記判定手段は、前記変速機の入力軸回転数に基づいて、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合ったか否かを判定するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のアクチュエータのストローク量決定装置。
【請求項5】
前記ストローク量決定装置は、前記変速機に連結された駆動源の回転数が予め定められた回転数になるように制御するための手段をさらに含む、請求項4に記載のアクチュエータのストローク量決定装置。
【請求項6】
前記ストローク量決定装置は、前記第1の部材と前記第2の部材とが噛合っていない状態において、前記変速機の入力軸回転数が予め定められた回転数になるように、前記変速機と前記駆動源との間に設けられた摩擦係合要素を制御するための手段をさらに含む、請求項5に記載のアクチュエータのストローク量決定装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータのストローク量決定装置に関し、特に、アクチュエータにより変速が行なわれる変速機におけるアクチュエータのストローク量を決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、常時噛合式歯車からなるギヤトレーンを有する変速機において、アクチュエータによりスリーブを移動させることによりギヤ段の選択を行なう技術が知られている。
【0003】
特開2003−56694号公報(特許文献1)は、エネルギー効率の良いシフト操作を実行することができる変速機のシフト操作装置を開示する。特許文献1に記載の変速機のシフト操作装置は、同期装置を備えた変速機のシフトレバーをシフト方向に作動する。このシフト操作装置は、シフトレバーに連結した作動部材と係合する作動ロッドと、作動ロッドの外周面に配設された磁石可動体と、磁石可動体を包囲して配設された筒状の固定ヨークと、固定ヨークの内側に軸方向に併設された一対のコイルとを具備するシフトアクチュエータと、シフトレバーのシフトストローク位置を検出するシフトストロークセンサと、シフトストロークセンサからの信号に基づいてシフトアクチュエータの一対のコイルに供給する電力を制御する制御部とを含む。制御部は、シフトストロークセンサによって検出されたシフトストローク位置に対応してシフトアクチュエータの一対のコイルに供給する電力を制御する。ギヤイン作動時においては一対のコイルに供給する電力が、同期装置の同期終了位置までは第1の電力量に設定され、同期終了位置を過ぎてから同期装置のクラッチスリーブのチャンファとドッグ歯のチャンファとの係合終了位置までは第1の電力より低い第2の電力に設定される。
【0004】
この公報に記載のシフト操作装置によると、シフトストロークセンサによって検出されたシフトストローク位置に対応してシフトアクチュエータに供給する電力を制御するようにしたので、各シフトストローク位置において過不足のない推力を発生することができ、最もエネルギー効率の良いシフト操作を実行することができる。
【特許文献1】特開2003−56694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2003−56694号公報に記載のシフト操作装置のように、クラッチスリーブ(スリーブ)とドッグ歯(クラッチギヤ、ピースともいう)との係合位置(噛合い位置)に応じてアクチュエータを制御するためには、スリーブとクラッチギヤとが噛合う位置とシフトストローク位置(ストローク量)とを精度よく対応させなければならない。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、スリーブとクラッチギヤとが噛合う位置に精度よく対応したストローク量を決定することができるアクチュエータのストローク量決定装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置は、第1の部材が移動して第2の部材と噛合うことによりギヤ段が形成される変速機におけるアクチュエータのストローク量を決定する。アクチュエータは、第1の部材を移動させる。ストローク量決定装置は、第1の部材と第2の部材とが噛合った状態におけるアクチュエータのストローク量である第1の値を設定するための第1の設定手段と、第1の部材と第2の部材とが噛合っていない状態におけるアクチュエータのストローク量である第2の値を設定するための第2の設定手段と、第1の値と第2の値との範囲内において、アクチュエータのストローク量の目標値を設定するための第3の設定手段と、ストローク量が目標値になるように、アクチュエータを制御するための手段と、目標値に基づいて、第1の部材と第2の部材とが噛合い始めるストローク量を決定するための決定手段と、第1の部材と第2の部材とが噛合ったか否かを判定するための判定手段とを含む。第1の設定手段は、アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合において、第1の部材と第2の部材とが噛合った場合は、目標値と同じ値を第1の値に再設定するための手段を含む。第2の設定手段は、アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合において、第1の部材と第2の部材とが噛合ってない場合は、目標値と同じ値を第2の値に再設定するための手段を含む。決定手段は、第1の値および第2の値のいずれか一方が再設定された後における目標値と再設定される前における目標値との差が予め定められた値よりも小さい場合、再設定された後の目標値および再設定される前の目標値のいずれか一方の値を、第1の部材と第2の部材とが噛合い始めるストローク量として決定するための手段を含む。
【0008】
第1の発明によると、第1の部材(たとえばスリーブ)と第2の部材(たとえばクラッチギヤ)とが噛合い始めるストローク量を検索する範囲を決定するため、スリーブとクラッチギヤとが噛合った状態におけるストローク量である第1の値が設定される。また、スリーブとクラッチギヤとが噛合っていない状態におけるストローク量である第2の値が設定される。これらの第1の値と第2の値との範囲内が、スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点の検索範囲になる。したがって、第1の値と第2の値との範囲内において、アクチュエータのストローク量の目標値が設定される。アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合において、スリーブとクラッチギヤとが噛合った場合は、今回の目標値よりもストローク量が小さい領域において、スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点があるといえる。この場合、今回の目標値と同じ値が第1の値に再設定される。すなわち、噛合い開始点の検索範囲が、今回の目標値よりもストローク量の小さい側に絞られる。一方、アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合において、第1の部材と第2の部材とが噛合ってない場合は、今回の目標値よりもストローク量が大きい領域において、スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点があるといえる。この場合、今回の目標値と同じ値が第2の値に再設定される。すなわち、噛合い開始点の検索範囲が、今回の目標値よりもストローク量の大きい側に絞られる。このようにして噛合い開始点の検索範囲が絞られた後は、ストローク量の目標値の設定と検索範囲の絞り込みとが繰返される。これにより、検索範囲が徐々に小さくされる。ストローク量の目標値の設定と検索範囲の絞り込みとが繰返され、検索範囲が十分に小さくなると、第1の値および第2の値のいずれか一方の再設定前後における目標値の差が予め定められた値よりも小さくなる。このときの目標値(再設定前もしくは再設定後の目標値)が、噛合い開始点に対応したストローク量であるといえる。したがって、検索範囲が再設定された後の目標値および再設定される前の目標値のいずれか一方の値が、スリーブとクラッチギヤとが噛合い始めるストローク量として決定される。これにより、スリーブとクラッチギヤとが噛合う位置に精度よく対応したストローク量を決定することができるアクチュエータのストローク量決定装置を提供することができる。
【0009】
第2の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置においては、第1の発明の構成に加え、第3の設定手段は、第1の値と第2の値との中間の値を、アクチュエータのストローク量の目標値に設定するための手段を含む。
【0010】
第2の発明によると、第1の値と第2の値との中間の値が、アクチュエータのストローク量の目標値に設定される。この目標値と同じ値が第1の値に再設定されたり、第2の値に再設定されたりする。これにより、噛合い開始点の検索範囲を2分の1ずつ絞り込むことができる。そのため、噛合い開始点の検索範囲を速やかに小さくして、スリーブとクラッチギヤとが噛合う位置に精度よく対応したストローク量を速やかに決定することができる。
【0011】
第3の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置においては、第1または2の発明の構成に加え、決定手段は、第1の部材と第2の部材とが噛合い始めるストローク量を、複数のギヤ段のうちの一部のギヤ段に対して決定するための手段を含む。
【0012】
第3の発明によると、スリーブとクラッチギヤとが噛合う位置に対応したストローク量は、複数のギヤ段のうちの一部のギヤ段に対して決定される。これにより、噛合い開始点に応じて精度よくアクチュエータを制御する必要があるギヤ段に対してのみ、ストローク量を決定することができる。そのため、必要以上に噛合い開始点を検索することを抑制し、工数や作業時間を抑制することができる。
【0013】
第4の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置は、第1〜3のいずれかの発明の構成に加え、変速機の入力軸回転数を検出するための手段をさらに含む。判定手段は、変速機の入力軸回転数に基づいて、第1の部材と第2の部材とが噛合ったか否かを判定するための手段を含む。
【0014】
第4の発明によると、たとえば車両が停車している場合において、入力軸回転数が低下した場合は、スリーブとクラッチギヤとが噛合ったと判定される。これにより、スリーブとクラッチギヤとの噛合い状態を判定することができる。
【0015】
第5の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置は、第4の発明の構成に加え、ストローク量決定装置は、変速機に連結された駆動源の回転数が予め定められた回転数になるように制御するための手段をさらに含む。
【0016】
第5の発明によると、変速機に連結された駆動源の回転数が予め定められた回転数になるように制御される。これにより、変速機の入力軸回転数を安定させることができる。そのため、スリーブとクラッチギヤとの噛合い状態を精度よく判定することができる。
【0017】
第6の発明に係るアクチュエータのストローク量決定装置は、第5の発明の構成に加え、ストローク量決定装置は、第1の部材と第2の部材とが噛合っていない状態において、変速機の入力軸回転数が予め定められた回転数になるように、変速機と駆動源との間に設けられた摩擦係合要素を制御するための手段をさらに含む。
【0018】
第6の発明によると、変速機の入力軸回転数が予め定められた回転数になるように、変速機と駆動源との間に設けられた摩擦係合要素が制御される。これにより、変速機の入力軸回転数を安定させることができる。そのため、スリーブとクラッチギヤとの噛合い状態を精度よく判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るストローク量決定装置を搭載した車両について説明する。車両100は、FF(Front drive Front engine)車両である。なお、本発明に係るストローク量決定装置を搭載した車両は、FF車両に限られない。
【0021】
車両100は、従来のマニュアルトランスミッションと同じ形式の常時噛合式歯車変速機およびクラッチをアクチュエータにより作動させ、所望のギヤ段を形成するクラッチペダルレスの車両である。車両100においては、車速とスロットル開度とにより規定されるマップに基づいて、アップシフトおよびダウンシフトを行なうオートシフトモードと、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できるマニュアルシフトモードとを選択することができる。オートシフトモードにおいては、通常よりも高いエンジン回転数で変速を行なうスポーツモードを選択することができる。
【0022】
車両100は、エンジン200と、クラッチ300と、トランスミッション400と、デェファレンシャルギヤ(以下、デフと略して記載する)500と、ECU(Electronic Control Unit)600とを含む。本実施の形態に係るストローク量決定装置は、たとえばECU600により実行されるプログラムにより実現される。
【0023】
エンジン200は、インジェクタ(図示せず)により噴射された燃料と空気との混合気を、気筒内で爆発させてピストン(図示せず)を押し下げ、クランクシャフト202を回転させる内燃機関である。エンジン200は、動力源として車両100に搭載されている。車両100は、エンジン200からの駆動力により走行する。なお、エンジン200の代わりに、その他、モータなどの動力機関を搭載してもかまわない。
【0024】
クラッチ300は、乾式単板式の摩擦クラッチである。図2に示すように、クラッチ300は、クラッチ出力軸302と、クラッチ出力軸302に配設されたクラッチディスク304と、クラッチハウジング306と、クラッチハウジング306に配設されたプレッシャプレート308と、ダイヤフラムスプリング310と、クラッチレリーズシリンダ312と、レリーズフォーク314と、レリーズスリーブ316とを含む。
【0025】
ダイヤフラムスプリング310が、プレッシャプレート308を図2において右方向に付勢することにより、クラッチディスク304が、エンジン200のクランクシャフト202に取り付けられたフライホイール204に押付けられ、クラッチが接続される。
【0026】
クラッチレリーズシリンダ312が、レリーズフォーク314を介して図2において右方向へ、レリーズスリーブ316を移動させることにより、ダイヤフラムスプリング310の内端部が図2において右方向へ移動する。ダイヤフラムスプリング310の内端部が図2において右方向へ移動すると、プレッシャプレート308が図2において左方向に移動し、クラッチディスク304とフライホイール204とが離れてクラッチが切断される。
【0027】
クラッチレリーズシリンダ312は、油圧回路(図示せず)によって油圧が供給されることにより作動する。クラッチレリーズシリンダ312は、ECU600により制御される。クラッチ300は、周知の一般的な技術を利用すればよいため、ここではさらなる説明は繰返さない。なお、クラッチ300を、電力により断接するようにしてもよい。
【0028】
図1に戻って、トランスミッション400は、インプットシャフト402と、アウトプットシャフト404と、ハウジング406とを含む。トランスミッション400は、デフ500と共に、ハウジング406内に収容されている。トランスミッション400は、常時噛合式歯車変速機である。
【0029】
インプットシャフト402とアウトプットシャフト404とは、平行に設けられている。インプットシャフト402とアウトプットシャフト404との間には、ギヤ比が異なる複数の変速ギヤ対411〜415と、後進ギヤ対416とが配設されている。
【0030】
各変速ギヤ対を構成する2つのギヤのうち、一方はインプットシャフト402に設けられており、他方はアウトプットシャフト404に設けられている。また、各変速ギヤ対を構成する2つのギヤのうち、一方は、設けられているシャフトに対して空転可能であり、他方は、設けられているシャフトと一体的に回転する。各変速ギヤ対を構成する2つのギヤは、常に噛合っている。
【0031】
各変速ギヤ対411〜415には、それぞれと対応したクラッチギヤ421〜425が設けられている。シャフトとクラッチギヤ421〜425との間には、シャフトの回転数と、クラッチギヤ421〜425の回転数とを同期させて、連結するシンクロメッシュ機構431〜433が設けられている。いずれかのクラッチギヤ421〜425が、シンクロメッシュ機構431〜433のいずれかによりシャフトに連結されて、1速から5速のいずれかのギヤ段が成立する。全てのクラッチギヤがシャフトに連結されていなければ、トランスミッション400はニュートラル状態となる。
【0032】
後進ギヤ対416は、カウンタシャフト(図示せず)に配設された後進用アイドル歯車と噛合わされる。後進ギヤ対416が後進用アイドル歯車と噛合わされることにより、後進ギヤ段が成立させられる。
【0033】
シンクロメッシュ機構431〜433は、フォークシャフト440を介して、ECU600により制御されるアクチュエータ442により作動させられる。シンクロメッシュ機構431〜433は、キー式シンクロメッシュ機構である。なお、キー式シンクロメッシュ機構の代わりに、その他、ダブルコーンシンクロメッシュ機構などを用いてもかまわない。
【0034】
図3(A)および(B)を参照して、シンクロメッシュ機構431について説明する。なお、シンクロメッシュ機構432、433については、シンクロメッシュ機構431と同じであるため、ここではその説明は繰返さない。
【0035】
図3(A)に示すように、シンクロメッシュ機構431は、スリーブ470と、シンクロナイザキー472、キースプリング474と、シンクロナイザリング480と、変速ギヤ対411を構成するギヤのうち、インプットシャフト402に対して空転可能に設けられた入力ギヤ482に設けられた、テーパ状のコーン部484とを含む。
【0036】
スリーブ470は、フォークシャフト440を介して、アクチュエータ442により、クラッチギヤ421の方向に移動させられる。シンクロナイザキー472は、キースプリング474により、スリーブ470に対して付勢され、スリーブ470に係合している。スリーブ470とシンクロナイザキー472とは、シンクロナイザハブ(図示せず)と共に、インプットシャフト402と一体的に回転する。
【0037】
シンクロナイザリング480は、入力ギヤ482とシンクロナイザキー472との間に設けられている。シンクロナイザリング480に設けられた溝には、シンクロナイザキー472が係合しており、シンクロナイザリング480とシンクロナイザキー472とは共に回転する。
【0038】
スリーブ470が図3(A)において右方向へ移動させられると、シンクロナイザキー472がスリーブ470と共に移動させられる。シンクロナイザキー472が移動すると、シンクロナイザリング480がコーン部484に押圧されてテーパ嵌合させられる。
【0039】
シンクロナイザリング480とコーン部484とがテーパ嵌合させられると、シンクロナイザリング480とコーン部484との間の摩擦により、徐々にインプットシャフト402から入力ギヤ482に動力が伝達され、シンクロナイザリング480と入力ギヤ482とがある程度スリップしながら、インプットシャフト402の回転数と入力ギヤ482の回転数とが次第に等しくなる(同期する)。
【0040】
入力ギヤ482は、変速ギヤ対411を構成するギヤのうち、アウトプットシャフト404に一体的に設けられたギヤと常に噛合っているため、インプットシャフト402の回転数と入力ギヤ482の回転数とが同期することにより、インプットシャフト402の回転数とアウトプットシャフト404の回転数とが同期する。
【0041】
スリーブ470が更に右方向へ移動させられると、図3(B)に示すように、スリーブ470に設けられたスプライン490が、シンクロナイザリング480に設けられたスプライン492および入力ギヤ482に設けられたクラッチギヤ(ピース)421と噛合わされる。スリーブ470のスプライン490が、クラッチギヤ421と噛合うと、インプットシャフト402とアウトプットシャフト404とが連結されて、変速ギヤ対411を介して、インプットシャフト402からアウトプットシャフト404に、動力が伝達される。
【0042】
たとえば、変速時におけるギヤ入れの際には、速やかな変速を行なうため、図4に示す噛合い開始点までスリーブ470が素早く移動するように、アクチュエータ442のストローク量が制御される。一方、スリーブ470がストッパ484の位置に到達した際に発生し得る音やショックを抑制するため、噛合い開始点からストッパ484までの範囲においては、スリーブ470が緩やかに移動するように、アクチュエータ442のストローク量が制御される。そのため、アクチュエータ442を精度よく制御し、適切な変速を行なうためには、スリーブ470が噛合い開始点に到達するストローク量を精度よく得る必要がある。
【0043】
図1に戻って、インプットシャフト402は、スプライン450によってクラッチ300のクラッチ出力軸302に連結されているとともに、アウトプットシャフト404には出力歯車460が配設されてデフ500のリングギヤ502と噛合わされている。
【0044】
デフ500は、一対のサイドギヤ504、506を含む。サイドギヤ504、506にはそれぞれドライブシャフト508、510がスプライン嵌合などによって連結されている。ドライブシャフト508、510を介して、左右の前輪512、514に動力が伝達される。
【0045】
ECU600には、アクセル開度センサ602、スポーツモードスイッチ604、シフトレバー606、回転数センサ608、温度センサ610、車速センサ612、入力回転数センサ614、出力回転数センサ616およびストロークセンサ618が接続されている。
【0046】
アクセル開度センサ602は、アクセル踏み量を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。スポーツモードスイッチ604は、通常よりも高いエンジン回転数で変速を行ない、加速性を重視したスポーティな走行を嗜好する場合に、運転者により操作される。
【0047】
シフトレバー606は、所望のギヤ段が選択されるように、運転者が操作する。シフトレバー606と対応したレンジ(たとえばDレンジ)に応じて、トランスミッション400のギヤ段が自動で形成される。また、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できるマニュアルシフトモードを選択することができる。
【0048】
回転数センサ608は、エンジン200の回転数を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。温度センサ610は、エンジン200の油温を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。車速センサ612は、ドライブシャフト508の回転数から車両100の車速を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。入力回転数センサ614はインプットシャフト402の回転数を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。
【0049】
出力回転数センサ616はアウトプットシャフト404の回転数を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。ストロークセンサは、アクチュエータ442のストローク量(フォークシャフト440もしくはスリーブ470の移動量)を検出し、検出結果を表す信号をECU600に送信する。
【0050】
ECU600は、これらのセンサおよびスロットル開度センサ(図示せず)などから送られた信号と、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両100が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。
【0051】
図5を参照して、本実施の形態に係るストローク量決定装置であるECU600が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、以下に説明するプログラムは、車両が停車した状態において実行される。
【0052】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU600は、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)をストッパ484までのストローク量に設定し、下限値(L)を待機点までのストローク量に設定する。ここで、待機点とは、スリーブ270の先端が、シンクロナイザリング480の後端とクラッチギヤ421の先端との間に位置する点をいう。また、ECU600は、アクチュエータ442のストローク量の目標値(T)を、目標値(T)=(上限値(U)+下限値(L))/2に設定する。すなわち、上限値(U)と下限値(L)との中点に、目標値(T)を設定する。なお、上限値(U)と下限値(L)との中点以外に目標値(T)を設定するようにしてもよい。
【0053】
S102にて、ECU600は、トランスミッション400をニュートラル状態にして、アクチュエータ442のストローク量を待機点までのストローク量にする(スリーブ470の先端が待機点に位置するようにする)。また、このとき、ECU600は、エンジン200の回転数をアイドル回転数にし、トランスミッション400の入力軸回転数NIが予め定められた回転数NI(1)になるように、クラッチ300を半係合状態(半クラッチ状態)にする。なお、エンジン200の回転数をアイドル回転数以外の回転数にするようにしてもよい。
【0054】
S104にて、ECU600は、アクチュエータ442のストローク量を目標値(T)にする(スリーブ470の先端が目標値(T)に位置するようにする)。S106にて、ECU600は、予め定められた時間T(1)だけ待機する。
【0055】
S108にて、ECU600は、トランスミッション400の入力軸回転数NIが、予め定められた回転数NI(2)(NI(2)<NI(1))より低いか否かを判別する。トランスミッション400の入力軸回転数NIが、予め定められた回転数NI(2)より低い場合(S108にてYES)、処理はS110に移される。もしそうでないと(S108にてNO)、処理はS112に移される。
【0056】
S110にて、ECU600は、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)を既に設定されていた目標値(T)と同じ値に再設定し、下限値(L)を維持する。また、ECU600は、再設定された上限値(U)と維持された下限値(L)との中点に、目標値(T)を再設定する。
【0057】
S112にて、ECU600は、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)を維持し、下限値(L)を既に設定されていた目標値(T)と同じ値に再設定する。また、ECU600は、維持された上限値(U)と再設定された下限値(L)との中点に、目標値(T)を再設定する。
【0058】
S114にて、ECU600は、再設定後の目標値(T)と再設定前の目標値(T)(以下、再設定前の目標値(T)を目標値(TM)とも記載する)との差の絶対値がしきい値よりも小さいか否かを判別する。目標値(T)と目標値(TM)との差の絶対値がしきい値よりも小さい場合(S114にてYES)、処理はS116に移される。もしそうでないと(S114にてNO)、処理はS102に移される。S116にて、ECU600は、目標値(T)を、噛合い開始点に対応するストローク量として記憶(決定)する。なお、目標値(T)の代わりに再設定前の目標値(TM)を噛合い開始点に対応するストローク量として記憶するようにしてもよい。
【0059】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るストローク量の決定装置であるECU600の動作について説明する。
【0060】
たとえば、工場からの出荷時において、車両システムが起動すると、図6に示すように、スリーブ470とクラッチギヤ421との噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)がストッパ484までのストローク量に設定され、下限値(L)が待機点に設定される(S100)。また、上限値(U)と下限値(L)との中点が、アクチュエータ442のストローク量の目標値(T)に設定される(S100)。
【0061】
噛合い開始点の検索を開始する準備として、トランスミッション400が一旦ニュートラル状態にされた上で、アクチュエータ442のストローク量が、待機点にまでのストローク量にされる(S102)。これにより、図6において実線で示すように、スリーブ470の先端が待機点に位置する。また、このとき、トランスミッション400の入力軸回転数NIを安定させるため、エンジン200の回転数がアイドル回転数にされ、トランスミッション400の入力軸回転数が予め定められた回転数NI(1)になるように、クラッチ300が半係合状態にされる(S102)。
【0062】
噛合い開始点の検索を開始する準備が整うと、アクチュエータ442のストローク量が目標値(T)にされ(S104)、アクチュエータ442やスリーブ470が移動するまで、予め定められた時間T(1)だけ待機状態になる(S106)。これにより、図6において一点鎖線もしくは二点鎖線で示すように、スリーブ470の先端が目標値(T)に位置する。
【0063】
アクチュエータ442のストローク量が目標値(T)に達した場合において、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合っていれば、トランスミッション400のインプットシャフト402とアウトプットシャフト404とが連結した状態となる。この場合、車両が停車中であるため、インプットシャフト402およびアウトプットシャフト404の回転数がゼロになると考えられる。したがって、入力軸回転数NIが低下し、予め定められた回転数NI(2)より低い場合(S108にてYES)、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合っているといえる。
【0064】
この場合は、スリーブ470とクラッチギヤ421との噛合い開始点が、今回の目標値(T)よりもストローク量が小さい範囲内にあるといえる。したがって、噛合い開始点の検索範囲をストローク量が小さい側に絞り込むため、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)が既に設定されていた目標値(T)と同じ値に再設定され、下限値(L)が維持される(S110)。また、再設定された上限値(U)と維持された下限値(L)との中点に、目標値(T)が再設定される(S110)。
【0065】
一方、アクチュエータ442のストローク量が目標値(T)に達しても、入力軸回転数NIが低下せず、予め定められた回転数NI(2)より高い場合(S108にてNO)、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合っていないといえる。
【0066】
この場合は、スリーブ470とクラッチギヤ421との噛合い開始点が、今回の目標値(T)よりもストローク量が大きい範囲内にあるといえる。したがって、噛合い開始点の検索範囲をストローク量が大きい側に絞り込むため、噛合い開始点の検索範囲の上限値(U)が維持され、下限値(L)が既に設定されていた目標値(T)と同じ値に再設定される(S112)。また、維持された上限値(U)と再設定された下限値(L)との中点に、目標値(T)が再設定される(S112)。
【0067】
このようにして目標値(T)を再設定した場合において、再設定後の目標値(T)と再設定前の目標値(TM)との差の絶対値がしきい値よりも大きい場合(S114にてNO)、検索範囲が絞りきれていない状態であるといえる。したがって、噛合い開始点の検索(S102〜S112の処理)が繰返される。
【0068】
再設定後の目標値(T)と再設定前の目標値(TM)との差の絶対値がしきい値よりも小さい場合(S114にてYES)、ストローク量が再設定後の目標値(T)になった場合に、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合い始めるといえる。したがって、今回の目標値(T)が、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合いを開始するストローク量であるとして記憶(決定)される(S116)。これにより、スリーブ470とクラッチギヤ421とが噛合いを開始するストローク量を、速やかにかつ精度よく得ることができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態に係るストローク量決定装置であるECUによれば、アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合においてスリーブとクラッチギヤとが噛合った場合、噛合い開始点の検索範囲をストローク量が小さい側に絞り込み、検索範囲の上限値(U)と下限値(L)とを用いて目標値を再設定する。アクチュエータのストローク量が目標値に達した場合においてスリーブとクラッチギヤとが噛合っていない場合、噛合い開始点の検索範囲をストローク量が大きい側に絞り込み、検索範囲の上限値(U)と下限値(L)とを用いて目標値を再設定する。再設定後の目標値(T)と再設定前の目標値(T)との差の絶対値がしきい値よりも小さい場合、再設定後の目標値(T)に対応するストローク量が、スリーブとクラッチギヤとが噛合い始めるストローク量であると記憶される。これにより、スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点に対応したストローク量を速やかにかつ精度よく得ることができる。
【0070】
なお、スリーブとクラッチギヤとの噛合い開始点に対応したストローク量を全てのギヤ段に対して記憶する代わりに、一部のギヤ段(たとえば1速ギヤ段や2速ギヤ段)に対してのみ記憶するようにしてもよい。これにより、噛合い開始点を検索する工数を抑制することができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、ギヤ入れ時において、噛合い開始点までスリーブ470を素早く移動させるようにしていたが、ギヤ入れ時の代わりにもしくは加えて、ギヤ抜き時において噛合い開始点までスリーブを移動させるようにしてもよい。
【0072】
この場合、図7に示すように、クラッチ300の解放を開始すると同時にスリーブを移動させる。スリーブが噛合い開始点まで移動した後は、クラッチ300が解放状態になるまで噛合い開始点で待機させる。クラッチ300が解放状態になると、スリーブの移動を再開し、スリーブとクラッチギヤとを離間させ、次のギヤ段においてスリーブとクラッチギヤとを噛合わせる。これにより、速やかにギヤ抜きを行なうことができる。そのため、最終的には、変速を速やかに行なうことができる。
【0073】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲はした説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態に係るストローク量決定装置が搭載された車両を示す全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るストローク量決定装置が搭載された車両におけるクラッチを示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストローク量決定装置が搭載された車両におけるシンクロメッシュ機構を示す部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るスリーブのスプラインとクラッチギヤとの噛合い状態を示す図(その1)である。
【図5】本発明の実施の形態に係るストローク量決定装置であるECUが実行するプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るスリーブのスプラインとクラッチギヤとの噛合い状態を示す図(その2)である。
【図7】ギヤ抜き時おけるストローク量の推移を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0075】
100 車両、200 エンジン、300 クラッチ、400 トランスミッション、402 インプットシャフト、404 アウトプットシャフト、411 変速ギヤ対、416 後進ギヤ対、421,422,423 クラッチギヤ、431,432,433 シンクロメッシュ機構、440 フォークシャフト、442 アクチュエータ、470 スリーブ、472 シンクロナイザキー、474 キースプリング、480 シンクロナイザリング、482 入力ギヤ、484 コーン部、490 スプライン、492 スプライン、602 アクセル開度センサ、604 スポーツモードスイッチ、606 シフトレバー、608 回転数センサ、610 温度センサ、612 車速センサ、614 入力回転数センサ、616 出力回転数センサ、618 エコノミースイッチ、620 燃料レベルセンサ、700 燃料タンク。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013