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発明の名称 トロイダル式無段変速機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9964(P2007−9964A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188950(P2005−188950)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
発明者 田淵 元樹 / 菅谷 正美 / 岩瀬 雄二 / 佐野 敏成 / 田中 直人
要約 課題
パワーローラを支持したトラニオンと傾転角度抑制部材とが接触したことを、確実に検出することの可能なトロイダル式無段変速機を提供する。

解決手段
パワーローラ8を支持するトラニオン12と、トラニオン12を動作させてパワーローラ8を傾転させる動作機構とを有するトロイダル式無段変速機において、パワーローラ8の傾転角度を検出する傾転角度検出装置と、トラニオン12が傾転角度規制部材に接触して、パワーローラ8の傾転角度を規制する傾転角度規制装置とが設けられており、パワーローラ8には、傾転角度を検出できる第1のパワーローラ8Bと、傾転角度を検出できない第2のパワーローラ8Aとが含まれており、第1のパワーローラ8Bの最大傾転角度β1,β3と、第2のパワーローラ8Aの最大傾転角度β2,β4とが相違する。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1の軸線に沿って同軸上に配置された入力ディスクおよび出力ディスクと、前記入力ディスクおよび前記出力ディスクにより挟持される複数のパワーローラと、複数のパワーローラを別々に回転可能に支持する複数のトラニオンと、前記第1の軸線と垂直な平面内で前記複数のトラニオンを第2の軸線に沿って動作させて、前記パワーローラを前記第2の軸線を中心として傾転させる動作機構とが設けられているトロイダル式無段変速機において、
前記パワーローラの傾転角度を検出する傾転角度検出装置と、前記複数のトラニオンが別々に傾転角度規制部材に接触することにより、これら複数のトラニオンにより支持されているパワーローラの傾転角度を規制する傾転角度規制装置とが設けられており、
前記複数のトラニオンにより支持されている複数のパワーローラには、前記傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできる第1のパワーローラと、前記傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできない第2のパワーローラとが含まれており、
前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とを相違させる構成を、前記傾転角度規制装置が有していることを特徴とするトロイダル式無段変速機。
【請求項2】
前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度を、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度よりも小さく設定する構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル式無段変速機。
【請求項3】
前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも高速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合に、前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度とを異ならせるとともに、
前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも低速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合に、前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度とを異ならせる構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とする請求項1または2に記載のトロイダル式無段変速機。
【請求項4】
前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも高速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合における前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度との第1の角度差を、
前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも低速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合における前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度との第2の角度差よりも小さく設定する構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とする請求項3に記載のトロイダル式無段変速機。
【請求項5】
前記傾転角度規制装置は、前記第1のパワーローラを支持するトラニオンと前記傾転角度規制部材とが接触する部分の形状と、前記第2のパワーローラを支持するトラニオンと前記傾転角度規制部材とが接触する部分の形状とが相違することにより、前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とを相違させる構成を、更に有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のトロイダル式無段変速機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、トロイダル面を有する入力ディスクと出力ディスクとの間に、外周面をトロイダル面に対応する曲面としたパワーローラなどの回転部材を挟み込み、これら三者の間に形成されるトラクションオイルの油膜のせん断力を利用してトルクを伝達するトロイダル式(トラクション式)無段変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、トロイダル式無段変速機は、対向する面をトロイダル面とした入力ディスクと出力ディスクとの間に、それらのトロイダル面に倣った周面を有するパワーローラを挟み込み、そのパワーローラと各ディスクとの間にトラクションオイルの油膜を形成し、その油膜に掛かる圧力を増大してガラス遷移化させ、それに伴うせん断力を利用して、入力ディスクと出力ディスクとの間でトルクを伝達するように構成されている。このようなトロイダル式無段変速機の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたトロイダル式無段変速機においては、入力ディスクおよび出力ディスクが同軸に対向配設されている。そして、パワーローラは、入出力ディスク間に動力伝達可能に狭圧されている。各パワーローラを回転可能に支持するトラニオンは、パワーローラの回転軸線と直交する首振り軸線の周りに傾転可能である。そして、各トラニオンはアッパリンクおよびロアリンクにより、ニードルベアリングを介して支持されている。また、各トラニオンと一体回転するロアワッシャ(プーリ)が設けられており、各ロアワッシャにはストッパ面が形成されている。また、前記ロアリンクにはストッパ突起が設けられている。
【0003】
さらに、前記各トラニオンにはサーボピストンが取り付けられており、各サーボピストンのサーボピストン室に作動油が導入および排出されるように構成されている。さらに、各トラニオンには、各々のトラニオンと一体回転するプーリが設けられており、各プーリにはワイヤが巻き掛けられている。そして、サーボピストン室の油圧が制御されて、トラニオンが傾転軸方向に変位すると、パワーローラの回転中心がディスクの回転中心位置に対してオフセットされる。すると、パワーローラと入出力ディスクとの接触部で生じるサイドスリップ力により、パワーローラが傾転する。このようにして、トロイダル式無段変速機の変速比が変化するとともに、オフセットが解消されると、その変速比が維持される。さらに、ロアワッシャに設けられたストッパ面が、ロアリンクに形成されたストッパ突起に接触することで、トラニオンが所定の傾転範囲を超えて傾転することが防止される。すなわち、最大増速側位置と最大減速側位置にて、トラニオンの傾転範囲が規制される。なお、ワイヤとプーリとの摩擦力により、各トラニオン同士の傾転作用の同期が促進される。
【0004】
ところで、トロイダル式無段変速機においては、サーボピストン室の油圧が略一定に制御されている場合に、外乱が発生してパワーローラの傾転角度が変化することがある。ここで、二個のパワーローラの傾転角度が異なる状態になった場合においても、入力ディスクおよび出力ディスクに対する第1のパワーローラの接触点の周速度は、各ディスクにおける接触点の周速度と一致する。これに対して、入力ディスクおよび出力ディスクに対する第2のパワーローラの接触点における周速度と、入力ディスクおよび出力ディスクにおける接触点の周速度とに差が生じる。このため、入力ディスクおよび出力ディスクにおける二箇所の接触点から、第2のパワーローラに対して、トラニオンの軸線方向に沿って同じ向きの接線力(復元力)が加えられ、変速のメカニズムと同様のメカニズムによって、第2のパワーローラの傾転角度が変化する。そして、第2のパワーローラの接触点における周速度と、各ディスクの接触点における周速度とが一致した時点で、復元力が消滅する。このようにして、第1のパワーローラの傾転角度と第2のパワーローラの傾転角度とを、自動的に一致(同期)させる作用が生じる。しかしながら、第2のパワーローラを支持するトラニオンが、パワーローラの傾転角度を抑制するストッパに接触した場合は、パワーローラの傾転角度を自動的に同期させる作用が妨げられ、第1のパワーローラの傾転角度と第2のパワーローラの傾転角度とが同期されないままになる可能性がある。
【0005】
一方、トロイダル式無段変速機においては、トラニオンの回転角度を検出する検出機構が知られており、この検出機構の信号を用いると、「トラニオンのストロークを変化させたとしても、トラニオンの回転角度が変化しないとすれば、それはトラニオンがストッパに接触しているからである。」との判断をおこなうことが可能である。そして、トラニオンがストッパに接触した状態を回避するために、全てのパワーローラの傾転角度、言い換えれば、各トラニオンの回転角度が小さくなるように、サーボピストン室の油圧を制御して、トラニオンをストッパから離れさせて、各パワーローラの傾転角度の自動同期が可能な状態にすることも可能である。なお、トロイダル式無段変速機におけるトラニオンの傾転位置を規制する技術は、特許文献2ないし特許文献4にも記載されている。
【特許文献1】特開2003−83410号公報
【特許文献2】特開平11−13849号公報
【特許文献3】特開2003−194204号公報
【特許文献4】特開平7−127724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配置スペースやコストなどの条件、または、トラニオンの傾転角度の同期を促進するプーリおよびワイヤが設けられているなどの理由により、一方のパワーローラを保持するトラニオンのみに対応して検出装置が設けられている。このため、各部品の組付け精度のバラツキなどにより、どのパワーローラがストッパ突起に接触するかが分からず、傾転角度を検出する検出装置が設けられていない方のトラニオンがストッパに接触したとしても、その事実を検出することができなかった。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、パワーローラを支持したトラニオンと傾転角度抑制部材とが接触したことを、確実に検出することの可能なトロイダル式無段変速機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、第1の軸線に沿って同軸上に配置された入力ディスクおよび出力ディスクと、前記入力ディスクおよび前記出力ディスクにより挟持される複数のパワーローラと、複数のパワーローラを別々に回転可能に支持する複数のトラニオンと、前記第1の軸線と垂直な平面内で前記複数のトラニオンを第2の軸線に沿って動作させて、前記パワーローラを前記第2の軸線を中心として傾転させる動作機構とが設けられているトロイダル式無段変速機において、前記パワーローラの傾転角度を検出する傾転角度検出装置と、前記複数のトラニオンが別々に傾転角度規制部材に接触することにより、これら複数のトラニオンにより支持されているパワーローラの傾転角度を規制する傾転角度規制装置とが設けられており、前記複数のトラニオンにより支持されている複数のパワーローラには、前記傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできる第1のパワーローラと、前記傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできない第2のパワーローラとが含まれており、前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とを相違させる構成を、前記傾転角度規制装置が有していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度を、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度よりも小さく設定する構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも高速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合に、前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度とを異ならせるとともに、前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも低速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合に、前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度とを異ならせる構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも高速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合における前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度との第1の角度差を、前記入力ディスクの回転速度が前記出力ディスクの回転速度よりも低速となる方向に、前記第1のパワーローラおよび前記第2のパワーローラを傾転させる場合における前記第1のパワーローラの最大傾転角度と前記第2のパワーローラの最大傾転角度との第2の角度差よりも小さく設定する構成を、前記傾転角度規制装置が更に有していることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成に加えて、前記傾転角度規制装置は、前記第1のパワーローラを支持するトラニオンと前記傾転角度規制部材とが接触する部分の形状と、前記第2のパワーローラを支持するトラニオンと前記傾転角度規制部材とが接触する部分の形状とが相違することにより、前記第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、前記第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とを相違させる構成を、更に有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明の発明によれば、複数のトラニオンを第2の軸線に沿って動作させると、各パワーローラが第2の軸線を中心として傾転して変速が実行される。さらに、複数のトラニオンが別々に傾転角度規制部材に接触することにより、これら複数のトラニオンにより支持されているパワーローラの傾転角度が規制される。ここで、複数のパワーローラには、傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできる第1のパワーローラと、傾転角度検出装置により傾転角度を検出することのできない第2のパワーローラとが含まれており、第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とが相違する。このため、各種の部品に組み付け精度のバラツキや加工精度のバラツキがあったとしても、複数のパワーローラが傾転した場合に、第1のパワーローラの方が第2のパワーローラよりも先に傾転角度規制部材に接触するように、傾転角度規制装置を構成することができる。したがって、第1のパワーローラを支持したトラニオンと、傾転角度抑制部材とが接触したことを、確実に検出することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第1のパワーローラで許容される最大傾転角度を、第2のパワーローラで許容される最大傾転角度よりも小さく設定すると、第1のパワーローラの方が第2のパワーローラよりも、確実に先に傾転角度規制部材に接触する。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、入力ディスクの回転速度が出力ディスクの回転速度よりも高速となる方向に、第1のパワーローラおよび第2のパワーローラを傾転させる場合、または、入力ディスクの回転速度が出力ディスクの回転速度よりも低速となる方向に、第1のパワーローラおよび第2のパワーローラを傾転させる場合のいずれにおいても、第1のパワーローラの最大傾転角度と第2のパワーローラの最大傾転角度とが異なる。したがって、減速時または増速時のいずれにおいても、第1のパワーローラを支持したトラニオンと、傾転角度抑制部材とが接触したことを、確実に検出することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる。また、トロイダル式無段変速機においては、パワーローラの傾転角度が大きくなると、より具体的には、入力ディスクと出力ディスクとの間における変速比が小さくなるような変速時(増速時)には、接触点における面圧が低下する傾向にある。また、入力ディスクおよび出力ディスクに対するパワーローラの接触点において、パワーローラの傾転角度の変化量に応じて、パワーローラの接触点における周速度と、入力ディスクおよび出力ディスクの接触点における周速度の変化量との関係が変化する。このため、入力ディスクおよび出力ディスクに対するパワーローラの接触点におけるスリップ率も、パワーローラの傾転角度の変化量に応じて変化する。そして、最増速時における、第1のパワーローラの傾転角度と第2のパワーローラの傾転角度との第1の角度差を、最減速時における、第1のパワーローラの傾転角度と第2のパワーローラとの傾転角度との第2の角度差よりも大きく設定することにより、最増速時および最減速時で予め許容する傾転角度の差を、同じスリップ率の差になるような値に設定することができる。したがって、一方のパワーローラのみが過剰に発熱したり、寿命が低下したりすることを抑制できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、第1のパワーローラを支持するトラニオンと、傾転角度規制部材とが接触する部分の形状と、第2のパワーローラを支持するトラニオンと、傾転角度規制部材とが接触する部分の形状とを相違させることにより、第1のパワーローラで許容される最大傾転角度と、第2のパワーローラで許容される最大傾転角度とを相違させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。まず、この発明に係るトロイダル式無段変速機を車両に用いる場合の概略構成を、図2に基づいて説明する。図2は、トロイダル式無段変速機の構成を示す概略的な平面図である。すなわち、軸線X1を中心として回転可能な入力軸1および出力軸2が同軸上に配置されており、入力軸1と出力軸2との間における変速比を制御するトロイダル式無段変速機3が設けられている。また、入力軸1は動力源(図示せず)に動力伝達可能に連結され、出力軸2は車輪(図示せず)に動力伝達可能に連結されている。トロイダル式無段変速機3は、入力ディスク4および出力ディスク5を有しており、入力ディスク4が入力軸1と一体回転するように連結され、出力ディスク5が出力軸2と一体回転するように連結されている。また、入力ディスク4は入力軸1に対して軸線方向に移動可能であり、出力ディスク5は出力軸2に対して軸線方向に移動可能に構成されている。
【0019】
一方、入力ディスク4には軸線X1を中心とする環状のトロイダル面6が形成され、出力ディスク5には軸線X1を中心とする環状のトロイダル面7が形成されている。軸線X1を含む平面内において、点Q1を中心とする同一の円周上にトロイダル面6およびトロイダル面7が形成されている。そして、トロイダル面6,7に対して、潤滑油膜(トラクションオイル)を介在させて接触する複数、例えば、2個のパワーローラ8が設けられている。各パワーローラ8は、トロイダル面6,7に倣った外周面形状を有している。なお、図2においては、入力ディスク4および出力ディスク5およびパワーローラ8により構成される変速部が単数である形式のシングルキャビティ式のトロイダル式無段変速機が示されているが、この実施例は、変速部を2つ有するダブルキャビティ式のトロイダル式無段変速機にも適用可能である。
【0020】
上記のトロイダル式無段変速機3の具体的な構成を、図3に基づいて説明する。図3は、図2の軸線X1と垂直な平面方向における側面断面図である。この実施例において、トロイダル式無段変速機3はケーシング9内に設けられている。また、ケーシング9の下部は開口されており、そのケーシング9の開口部分を塞ぐように、シリンダボデー10およびロアカバー11が重ねて取り付けられている。具体的には、図3の上下方向で、ケーシング9とロアカバー11との間に、シリンダボデー10が配置されている。
【0021】
前記ケーシング9の内部には、2個のパワーローラ8を別々に支持する2つのトラニオン12が設けられている。なお、図3で左側に配置されたトラニオン12を便宜上トラニオン12Aと記載し、二つのトラニオン12のうち、図3で右側に配置されたトラニオン12を便宜上トラニオン12Bと記載することがある。各トラニオン12であって、車両の高さ方向における下部には支持軸13がそれぞれ形成されており、各トラニオン12であって、車両の高さ方向における上部には支持軸14が一体的に形成されている。支持軸13,14は同軸上に配置されている。
【0022】
また、各トラニオン12の支持軸13,14は、上下方向に配置された軸線A1を中心として回転可能に構成されている。各トラニオン12には、軸線A1方向における異なる位置に、上側張り出し部17および下側張り出し部18が、それぞれ設けられている。上側張り出し部17および下側張り出し部18は、軸線A1に直交する方向に対向して突出している。また、車両の高さ方向において、上側張り出し部17の方が下側張り出し部18よりも上方に配置されている。前記各支持軸13の外周であって、下側張り出し部18とピストン15との間には、プーリ19が、それぞれ取り付けられている。このプーリ19は、トラニオン12と一体回転するように構成されている。そして、2つのプーリ19に亘って環状のワイヤ19Aが巻き掛けられている。ワイヤ19Aは2つのプーリ19の間で一回交差するように反転している。つまり、平面形状が8の字となっている。また、各支持軸13の外周であって、ピストン15とプーリ19との間には、プレート20がそれぞれ取り付けられている。さらに、各支持軸13の外周であって、プーリ19と下側張り出し部18との間には、それぞれニードルベアリング21が取り付けられている。
【0023】
前記シリンダボデー10において、ケーシング9の内部に臨む位置には、ロアポスト24が固定されている。このロアポスト24には支持軸23が設けられている。さらに、ケーシング9の内部にはロアリンク22が設けられており、ロアリンク22は支持軸23により回転可能に支持されている。この支持軸23は軸線X1と平行な方向に延ばされており、支持軸23は、二つのトラニオン12同士の間に配置されている。このように、ロアリンク22はシーソー状に揺動可能に構成されている。また、支持軸23の両側であってロアポスト24とロアリンク22との間には、弾性部材25がそれぞれ介在させられている。この弾性部材25は、ロアリンク22に対して上向きの力を与える機構であり、この弾性部材25としては、例えば、圧縮コイルばねを用いることが可能である。
【0024】
さらに、ロアリンク22を高さ方向に貫通する軸孔26が形成されており、この軸孔26内にニードルベアリング21が配置されている。各ニードルベアリング21は、ロアリンク22に対して軸線A1に沿って移動可能に構成されている。ニードルベアリング21は、支持軸13に接触する多数の転動体(ニードル)21Aと、これらの転動体21Aを保持する環状の外輪21Bとを有している。さらに、トラニオン12Aを軸線A1に沿った方向に動作させる油圧サーボ機構150について説明する。まず、油圧サーボ機構150について説明すると、前記トラニオン12Aの支持軸13には環状のピストン15が取り付けられているとともに、このピストン15の外周には環状の受圧部16が形成されている。また、シリンダボデー10とロアカバー11との間には、受圧部16により区画された油圧室27,28が設けられている。このようにして、油圧室27,28の油圧が、受圧部16に対して逆向きに作用する構成となっている。さらに、トラニオン12Bを軸線A1に沿った方向に動作させる油圧サーボ機構151について説明する。まず、油圧サーボ機構151について説明すると、前記トラニオン12Bの支持軸13には環状のピストン15が取り付けられているとともに、このピストン15の外周には環状の受圧部16が形成されている。また、シリンダボデー10とロアカバー11との間には、受圧部16により区画された油圧室29,30が設けられている。このようにして、油圧室29,30の油圧が、受圧部16に対して逆向きに作用する構成となっている。
【0025】
一方、ケーシング9の上部を構成する天板31には、アッパポスト31Aが位置決め固定されており、アッパポスト31Aには潤滑ポスト32が取り付けられている。この潤滑ポスト32は略円柱形状を有しており、アッパポスト31Aから下に向けて潤滑ポスト32が突出されている。この潤滑ポスト32には、入力ディスク4および出力ディスク5に対するパワーローラ8の接触部分に、潤滑油を供給する潤滑油吐出孔32Aが設けられている。また、アッパポスト31Aには支持軸33が設けられている。支持軸33は、トラニオン12Aとトラニオン12Bとの間に配置されており、支持軸33は軸線X1と平行な方向に延ばされている。そして、支持軸33を中心としてシーソー状に揺動(回転)するアッパリンク34が設けられている。このアッパリンク34は上側張り出し部17よりも上方に配置されており、アッパリンク34であって、支持軸33の両側には、上下方向に貫通する軸孔35がそれぞれ設けられている。
【0026】
また、各支持軸14の外周にはニードルベアリング36がそれぞれ取り付けられており、ニードルベアリング36は軸孔35内に配置されている。そして、ニードルベアリング36はアッパリンク34に対して軸線A1方向に移動可能に構成されている。このニードルベアリング36は、支持軸14の周囲に接触する多数の転動体(ニードル)36Aと、多数のニードル36Aを保持するように、支持軸14の半径方向で、多数のニードル36Aの外側に配置された外輪36Bとを有している。
【0027】
また、支持軸14であって、ニードルベアリング36よりも上方には環状のプレート37が取り付けられているとともに、支持軸14であって、プレート37よりも上部にはスナップリング50が取り付けられている。このようにして、トラニオン12とニードルベアリング36とが、軸線A1方向に位置決めされている。つまり、トラニオン12およびニードルベアリング36が、軸線方向に一体的に動作可能である。上記のようにして、アッパリンク34とトラニオン12とが、ニードルベアリング36を介在させて連結されており、トラニオン12が軸線A1に沿って動作すると、アッパリンク34が支持軸33を支点として揺動する。
【0028】
さらに、天板31とアッパリンク34との間であって、支持軸33の両側には、弾性部材41がそれぞれ介在させられている。この弾性部材41はアッパリンク34に対して下向きの力を与える機構であり、この弾性部材41としては、例えば、圧縮コイルばねを用いることが可能である。また、前記二個のパワーローラ8は、各トラニオン12の上側張り出し部17と下側張り出し部18との間に設けられている。また、各トラニオン12は、上側張り出し部17と下側張り出し部18とを接続する側壁141とを有しており、各側壁141により外輪42が回転可能に保持されている。具体的に説明すると、外輪42は相互に偏心された軸部43,44を有しており、軸部43が側壁141によりラジアルベアリング45を介在させて回転可能に支持されている。また、軸部44によりパワーローラ8がラジアルベアリング46を介在させて回転可能に支持されている。さらに、パワーローラ8と外輪42との間にはスラストベアリング47が設けられている。ラジアルベアリング45により支持された軸部43は軸線C1を中心として回転可能であり、ラジアルベアリング46により支持されたパワーローラ8は軸線D1を中心として回転可能である。つまり、軸部44は軸部43を中心として公転し、その軸部44を中心として、パワーローラ8が公転かつ自転可能である。さらに、上側張り出し部17と下側張り出し部18とが連結部材48により連結されている。
【0029】
上記の軸線C1,D1は、軸線X1と垂直な平面と平行に配置されている。一方、前述した図2のように、パワーローラ8とトロイダル面6とにより接触点S1が形成され、パワーローラ8とトロイダル面7とにより接触点S2が形成される。また、パワーローラ8は、前述の軸線A1を中心として傾転可能であり、図2の平面図では、トロイダル面6,7の円弧の中心Q1と、軸線A1とが一致した位置に設定されている。また、接触点S1と接触点S2とを結ぶ線分B1から外れた位置に、軸線A1が配置されている。このように、トロイダル式無段変速機3は、いわゆるハーフトロイダル形の無段変速機である。
【0030】
つぎに、各トラニオン12の回転角度、具体的には、パワーローラ8の傾転角度について説明する。、パワーローラ8の傾転角度とは、軸線Y1と軸線D1との成す鋭角側の角度を意味する。軸線Y1とは、軸線X1と直交し、かつ、水平平面内に設定される線分である。この水平平面内においては、軸線Y1上に前記中心Q1が位置している。
【0031】
このパワーローラ8の傾転角度が零度である場合、つまり、入力ディスク4に対するパワーローラ8の接触点の接触半径と、出力ディスク5に対するパワーローラ8の接触点の接触半径とが同一である場合は、変速比が1であることを意味する。そして、図1および図2でパワーローラ8の傾転角度が零度である場合において、パワーローラ8Bが反時計方向に傾転するとともに、パワーローラ8Aが時計方向に傾転すると、入力ディスク4に対するパワーローラ8の接触点の接触半径よりも、出力ディスク5に対するパワーローラ8の接触点の接触半径の方が小さくなる増速状態(変速比が1よりも小さくなる)となる。一方、図1および図2でパワーローラ8の傾転角度が零度である場合において、パワーローラ8Bが時計方向に傾転すると、入力ディスク4に対するパワーローラ8の接触点の接触半径よりも、出力ディスク5に対するパワーローラ8の接触点の接触半径の方が大きくなる減速状態(変速比が1よりも大きくなる)となる。
【0032】
つぎに、各トラニオン12に対応して設けられた傾転角度規制装置の構成を、図1に基づいて説明する。ここで、傾転角度規制装置とは、軸線A1を中心とするトラニオン12の回転角度、より具体的には、パワーローラ8の傾転角度の変化許容範囲を決定する機構である。この実施例において、傾転角度規制装置は、トラニオン12と、このトラニオン12の周辺に設けられている部品とを直接接触させることにより、パワーローラ8の傾転角度の変化許容範囲を決定するように構成されている。また、パワーローラ8の傾転角度が変化する状況としては、油圧サーボ機構150,151の制御によりトラニオン12が軸線A1に沿って動作されて、パワーローラ8の傾転角度が変化する場合と、外乱によってパワーローラ8の傾転角度が変化する場合と、復元力によりパワーローラ8の傾転角度が変化する場合とがある。これらの場合における具体的なパワーローラ8の傾転角度の変化原理については後述する。
【0033】
まず、トラニオン12Bに対応して設けられた傾転角度規制装置について説明すると、トラニオン12Bには、接触面100,101が形成されているとともに、接触面100に連続するエッジ部100Aおよび接触面101に連続するエッジ部101Aが形成されている。また、アッパリンク34の下面には、ストッパ102が設けられており、ストッパ102には規制面103,104が形成されている。図1の例では、接触面100,101および規制面103,104が平坦面によって構成されている。そして、パワーローラ8Bの傾転角度が零度である場合は、軸線X1,Y1を含む平面内で、接触面100と規制面103との間に隙間E1が形成され、この隙間E1は、軸線Y1から離れることにともない拡大するように構成されている。そして、パワーローラ8Bの傾転角度が零度である場合に、隙間E1の臨む接触面100と規制面103とにより、角度α1が形成される。また、パワーローラ8Bの傾転角度が零度である場合は、軸線X1,Y1を含む平面内で、接触面101と規制面104との間に隙間E2が形成されている。この隙間E2は、軸線Y1から離れることにともない拡大するように構成されている。そして、パワーローラ8Bの傾転角度が零度である場合に、隙間E2に臨む接触面101と規制面104とにより、角度α2が形成される。
【0034】
上記のように構成されたトラニオン12Bが、図1で反時計方向に回転すると、隙間E1が狭められるとともに、接触面100またはエッジ部100Aが、規制面103に接触すると、トラニオン12Bが停止する。このようにして、増速側におけるパワーローラ8Bの傾転角度の範囲が、傾転角度が零度よりも大きい値から、最大傾転角度β1の範囲内に規制される。これに対して、図1においてトラニオン12Bが時計方向に回転すると、隙間E2が狭められるとともに、接触面101またはエッジ部101Aが規制面104に接触すると、トラニオン12Bが停止する。このようにして、減速側におけるパワーローラ8Bの傾転角度の範囲が、傾転角度が零よりも小さい値から、最大傾転角度β3の範囲内に規制される。さらに、この実施例においてはパワーローラ8Bの傾転角度が零度である場合において、角度α1が角度α2よりも大きくなるように、トラニオン12Bおよびストッパ102の形状・寸法などが構成されている。したがって、増速側で許容される最大傾転角度β1が、減速側で許容される最大傾転角度β3よりも大きくなる。
【0035】
つぎに、トラニオン12Aに対応して設けられた傾転角度規制装置について説明すると、トラニオン12Aには、接触面105,106が形成されているとともに、接触面105に連続するエッジ部105Aおよび接触面106に連続するエッジ部106Aが形成されている。また、アッパリンク34の下面には、ストッパ107が設けられており、ストッパ107には規制面108,109が形成されている。図1の例では、接触面105,106および規制面108,109が平坦面によって構成されている。そして、パワーローラ8Aの傾転角度が零度である場合は、軸線X1,Y1を含む平面内で、接触面105と規制面108との間に隙間E3が形成され、この隙間E3は、軸線Y1から離れることにともない拡大するように構成されている。そして、パワーローラ8Aの傾転角度が零度である場合に、接触面105と規制面108とにより角度α3が形成される。また、パワーローラ8Aの傾転角度が零度である場合は、軸線X1,Y1を含む平面内で、接触面106と規制面109との間に隙間E4が形成されている。この隙間E4は、軸線Y1から離れることにともない拡大するように構成されている。そして、パワーローラ8Aの傾転角度が零度である場合に、接触面106と規制面109とにより角度α4が形成される。
【0036】
上記のように構成されたトラニオン12Aが、図1で反時計方向に回転すると、隙間E4が狭められるとともに、接触面106またはエッジ部106Aが、規制面109に接触すると、トラニオン12Aが停止する。このようにして、減速側におけるパワーローラ8Aの傾転角度の範囲が、傾転角度が零度よりも大きい値から、最大傾転角度β4の範囲内に規制される。これに対して、図1においてトラニオン12Aが時計方向に回転すると、隙間E3が狭められるとともに、接触面105またはエッジ部105Aが規制面108に接触すると、トラニオン12Aが停止する。このようにして、増速側におけるパワーローラ8Aの傾転角度の範囲が、傾転角度が零よりも小さい値から、最大傾転角度β2の範囲内に規制される。さらに、この実施例においてはパワーローラ8Aの傾転角度が零度である場合において、角度α3が角度α4よりも大きくなるように、トラニオン12Aおよびストッパ107の形状・寸法などが構成されている。したがって、増速側で許容される最大傾転角度β2が、減速側で許容される最大傾転角度β4よりも大きくなる。さらに、図1の実施例においては、パワーローラ8B側における角度α1よりも、パワーローラ8A側における角度α3の方が大きくなるように構成されている。また、パワーローラ8B側における角度α2よりも、パワーローラ8A側における角度α4の方が大きくなるように構成されている。
【0037】
つぎに、トロイダル式無段変速機3の制御系統について説明すると、図4に示すように、入力ディスク4および出力ディスク5に軸線方向の荷重(挟圧力)を与えるアクチュエータ200が設けられている。このアクチュエータ200は、例えば、油圧シリンダおよびピストンなどにより構成されており、このアクチュエータ200の他に、皿ばねなどの構造部品が設けられている。また、油圧室27,28,29,30の油圧を制御する油圧制御装置201が設けられている。油圧制御装置201は、バルブおよび油圧回路などにより構成されている。さらに、アクチュエータ200および油圧制御装置201を制御する電子制御装置202が設けられている。さらに、一方のトラニオン12Bの軸線A1に沿った方向の動作量および位置を検知する位置検知センサ203が設けられている。さらにまた、トラニオン12Bの回転角度に基づいて、前記パワーローラ8Bの傾転角度を検知する傾転角度検知センサ204が設けられている。この位置検知センサ203および傾転角度検知センサ204は、機械的な検知センサ、電気的なセンサ、電磁気的な検知センサ、光学的な検知センサなど公知のものを用いることが可能である。そして、位置検知センサ203の信号および傾転角度検知センサ204の信号が電子制御装置202に入力される。なお、トラニオン12Aの軸線方向における動作位置および位置を検知するセンサは設けられておらず、パワーローラ8Aの傾転角度を検知する傾転角度検知センサも設けられていない。その理由は後述する。
【0038】
上記のように構成されたトロイダル式無段変速機3においては、動力源のトルクが入力軸1に伝達されるとともに、パワーローラ8と各トロイダル面6,7との間にトラクションオイルの油膜が形成される。また、アクチュエータ200から、入力ディスク4および出力ディスク5に対して、軸線X1に沿った方向の挟圧力が与えられる。このようにして、油膜に掛かる圧力を増大してトラクションオイルをガラス遷移化させ、ガラス遷移化に伴うせん断力を利用して、入力軸1と出力軸2との間でトルクが伝達される。つぎに、図2に示す入力ディスク4が矢印方向に回転する場合を例として、トロイダル式無段変速機3の変速制御について説明する。前述した油圧室27の油圧と、油圧室28の油圧との関係に基づいて、軸線A1方向におけるトラニオン12Aのピストン15の位置が制御されるとともに、油圧室29の油圧と油圧室30の油圧との関係に基づいて、軸線A1方向におけるトラニオン12Bのピストン15の位置が制御される。油圧サーボ機構150,151により、軸線A1に沿った方向のトラニオン12A,12B位置および動作量が同期(一致)される。
【0039】
具体的には、各ピストン15の動作に連動して、各トラニオン12が軸線A1方向に、かつ、逆向きに動作し、軸線D1が軸線X1に対してオフセット(非交差状態)される。すると、パワーローラ8とトロイダル面6,7との接触点S1,S2に、サイドスリップ力(傾転力)が誘起されてパワーローラ8の傾転角度が変化し、トロイダル面6に対する各パワーローラ8の接触点S1の接触半径と、トロイダル面7に対する各パワーローラ8の接触点S2の接触半径とが変化する。このようにして、入力軸1と出力軸2との間における変速比が変化する。具体的には、トロイダル式無段変速機3の変速比を小さくする変速を実行する場合は、トラニオン12Bが図1で反時計方向に回転し、トラニオン12Aが図1で時計方向に回転する。これに対して、トロイダル式無段変速機3の変速比を大きくする変速を実行する場合は、トラニオン12Bが図1で時計方向に回転し、トラニオン12Aが図1で反時計方向に回転する。そして、パワーローラ8の傾転角度が変化して、所望の変速比が達成された場合は、トラニオン12が軸線A1方向に動作されて、軸線D1と軸線X1とが交差する状態に制御され、その変速比が維持される。パワーローラ8の実傾転角度を目標傾転角度に近づけるフィードバック制御は、前述した傾転角度検知センサ204の信号に基づいて、油圧サーボ機構150,151を制御することでおこなわれる。なお、トラニオン12が軸線A1に沿った方向に動作され、かつ、回転した場合において、ストッパ102,107によりトラニオン12の傾転角度が規制されて、パワーローラ8の傾転角度が要求値よりも大きくなることを防止できる。
【0040】
つぎに、各パワーローラ8A,8Bの傾転角度の同期について、具体的に説明する。基本的には、油圧室27,28,29,30の油圧が制御されて、軸線A1に沿った方向でトラニオン12A,12Bの位置が制御されて、各パワーローラ8A,8Bの傾転角度が同期、つまり、一致される。また、前述のように、2つのプーリ19にはワイヤ19Aが巻き掛けられているため、ワイヤ19Aとプーリ19との摩擦力により、一方のトラニオンの回転トルクが他方のトラニオンに伝達される。したがって、トラニオン12A,12Bの回転作用の同期が促進され、パワーローラ8A,8Bの同期が一層促進される。
【0041】
ところで、トラニオン12が軸線A1に沿った方向に動作しない場合でも、外乱が発生してパワーローラ8の傾転角度が変化する可能性がある。ここで、2つのパワーローラ8A,8Bの傾転角度が相違する状態になった場合において、いずれか一方のパワーローラ8の接触点S1,S2における周速度が、各ディスク4,5の接触点S1,S2における周速度と一致する場合について説明する。つまり、他方のパワーローラ8と各ディスク4,5との接触点S1,S2では、パワーローラ8の接触点S1,S2の周速度と、各ディスク4,5における接触点S1,S2の周速度とに差が生じてる場合を想定する。この周速度の差(スリップ率)により、入力ディスク4および出力ディスク5に対する他方のパワーローラ8の接触点S1,S2では、トラニオン12の軸線方向に沿った同じ向きの接線力(復元力)が発生する。すると、変速比が変化する場合と同様の原理により、他方のパワーローラ8の傾転角度が変化する。そして、他方のパワーローラ8の傾転角度と、一方のパワーローラ8の傾転角度とが一致(同期)し、他方のパワーローラ8の周速度と、各ディスク4,5の周速度とが一致した時点で、復元力が消滅する。このようにして、2つのパワーローラ8A,8Bにおける傾転角度の同期が自動的におこなわれる。
【0042】
一方、スリップ率の差が小さい場合は、復元力よりも、他方のパワーローラ8を保持するトラニオン12の回転を妨げる摩擦力の方が大きく、復元作用が生じることはなく、2つのパワーローラ8における傾転角度の同期はおこなわれない。このため、他方のパワーローラ8がストッパ102(107)に接触した場合は、同期のための傾転角度の変化が妨げられ、他方のパワーローラ8がスリップする状態が継続されて、動力伝達効率が低下する。これに対して、この実施例においては、以下のような原理により、パワーローラ8のスリップ、特にグロススリップの発生を抑制し、動力伝達効率の低下を抑制することが可能である。まず、位置検知センサ203により、軸線A1に沿った向でトラニオン12Bの位置が検知されている。そして、トラニオン12Bが軸線A1方向に動作しているにも関わらず、パワーローラ8Bの傾転角度が変化していないことが、傾転角度検知センサ204の信号から検知された場合は、トラニオン12Bがストッパ102に接触しているものと判断し、全てのパワーローラ8の傾転角度が小さくなるように、油圧室27,28,29,30の油圧を制御して、パワーローラ8の傾転角度の自動同期が可能な状態にすることが可能である。
【0043】
そして、この実施例では、位置検知センサ203および傾転角度検知センサ204により検知可能なトラニオン12Bおよびパワーローラ8Bの最大傾転角度の方が、位置検知センサ203および傾転角度検知センサ204では検知できない方のトラニオン12Aおよびパワーローラ8Aの最大傾転角度よりも小さく設定されている。具体的には、最大傾転角度β2よりも最大傾転角度β1の方が小さく、最大傾転角度β4よりも最大傾転角度β3の方が小さい。したがって、トロイダル式無段変速機3を構成する各種の部品の加工精度や組付け精度にバラツキがあったとしても、パワーローラ8A,8Bが同時に同じ角度だけ増速側または減速側に傾転した場合に、トラニオン12Aがストッパ107に接触するよりも前に、トラニオン12Bがストッパ102に接触する。したがって、そのトラニオン12Bがストッパ102に接触したという事実を、確実に検知することができる。
【0044】
ところで、トロイダル式無段変速機3はハーフトロイダル形であるため、入力ディスク4および出力ディスク5に加えられる軸線方向の荷重により、パワーローラ8を半径方向で外側に向けて押し出そうとする分力が生じる。そして、パワーローラ8の傾転角度が大きくなると、特に、入力ディスク4と出力ディスク5との間における変速比が小さくなるような変速時(増速時)には、接触点S1,S2における面圧が低下する傾向にある。そこで、前述したように、接触点における接線力が大きい減速時のパワーローラ8の最大傾転角度を、増速時のパワーローラ8の最大傾転角度よりも小さく設定することにより、増速時よりも減速時のトルク容量を高めている。このため、図2に示すように、最減速付近におけるパワーローラ8と入力ディスク4との接触点S1における、傾転角度の変化量に対する周速度の変化量は、最増速付近におけるパワーローラ8と出力ディスク5との接触点S2における、傾転角の変化量に対する周速度の変化量よりも大きく(多く)なる。これは、接触点S2の半径r2よりも、接触点S1の半径r3の方が大きいからである。
【0045】
また、最減速付近におけるパワーローラ8と、出力ディスク5との接触点S2において、傾転角度の変化量に対する周速度の変化量は、最増速付近におけるパワーローラ8と入力ディスク4との接触点S1において、傾転角度の変化量に対する周速度の変化量よりも大きく(多く)なる特性を示す。ここで、最減速付近におけるパワーローラ8と、出力ディスク5との接触点S2の半径r4は、最増速付近におけるパワーローラ8と入力ディスク4との接触点S1の半径r1よりも小さいが、図2に示すように、最増速側におけるパワーローラ8と入力ディスク4との接触点S1の半径r3が、軸線X1から中心Q1までの半径と略同じに設定されているのに対して、最減速側におけるパワーローラ8と、出力ディスク5との接触点S2の半径r2は、軸線X1から中心Q1までの半径よりも大きいため、上記のような特性を示す。
【0046】
このため、最減速付近において、パワーローラ8と入力ディスク4との接触点S1におけるスリップ率と、最増速付近において、パワーローラ8と出力ディスク5との接触点S2におけるスリップ率とが同じとなる傾転角度の範囲、および、最減速付近において、パワーローラ8と出力ディスク5との接触点におけるスリップ率と、最増速付近において、パワーローラ8と入力ディスク4との接触点におけるスリップ率とが同じとなる傾転角度の範囲においては、最増速時に比べて最減速時の方が、パワーローラ8の傾転角度の変化量に対するスリップ率の変化量が大きくなる傾向にある。
【0047】
そして、前述した「小さなスリップ率の差が生じる傾転角度の差」の範囲では、一方のトラニオン12がストッパに接触せず、他方のトラニオン12がストッパに接触するというような状況にならないようにするために、一方のパワーローラ8の傾転角度と、他方のパワーローラ8の傾転角度とに、予め差を許容しておくことが望ましい。また、最増速付近および最減速付近で予め許容する傾転角度の差を、同じスリップ率の差になるように設定する場合において、前述した「最増速付近に比べて最減速付近の方が、パワーローラ8の傾転角度の変化量に対するスリップ率の変化量が大きくなる傾向にある。」という特性を考慮すると、第1の角度差θ1および第2の角度差θ2の関係を、
θ1<θ2
に設定することが望ましい。
【0048】
ここで、
θ1=(パワーローラ8Aの最大傾転角β4)−(パワーローラ8Bの最大傾転角β3)
であり、
θ2=(パワーローラ8Aの最大傾転角度β2)−(パワーローラ8Bの最大傾転角度β1)
である。
このように設定することで、最増速付近および最減速付近で予め許容する傾転角度の差を、同じスリップ率の差になるような値に設定することができる。したがって、一方のパワーローラのみが過剰に発熱したり、そのパワーローラの寿命が低下したりすることを抑制できる。
【0049】
また、この実施例においては、傾転角度検出装置により傾転角度を検出可能なトラニオンの方を、傾転角度検出装置により傾転角度を検出不可能なトラニオンよりも先にストッパに接触させる構成となっているため、傾転角度検出装置により傾転角度を検出不可能なトラニオンが先にストッパに接触することのないように、入力ディスクおよび出力ディスクの半径を大きくして余裕を持たせずに済み、小型化を図ることができる。
【0050】
つぎに、二個のパワーローラ8A,8Bに関する傾転角度規制装置の他の構成例を、図5に基づいて説明する。この図5に示す例は、傾転角度規制装置を、プーリ19およびロアリンク22に設けた実施例である。すなわち、トラニオン12Bと一体回転するプーリ19Bには、接触面100,101およびエッジ部100A,101Aが形成されている。一方、ロアリンク22の下面側には、ストッパ102が形成されており、ストッパ102は規制面103,104を有している。そして、前述と同様の原理により、パワーローラ8Bの傾転角度が規制される。また、図5において、パワーローラ8Bの最大傾転角度β1,β3の技術的意義、最大傾転角度β1と最大傾転角度β3との対応関係も、前述と同じである。
【0051】
また、トラニオン12Aと一体回転するプーリ19Cには、接触面105,106およびエッジ部105A,106Aが形成されている。一方、ロアリンク22の下面側には、ストッパ107が形成されており、ストッパ107は規制面108,109を有している。そして、前述と同様の原理により、パワーローラ8Aの傾転角度が規制される。また、図5において、パワーローラ8Aの最大傾転角度β2,β4の技術的意義、最大傾転角度β2と最大傾転角度β4との対応関係、最大傾転角度β1と最大傾転角度β2との対応関係、最大傾転角度β3と最大傾転角度β4との対応関係も、前述と同じである。さらに、第1の角度差θ1および第2の角度差θ2の技術的意義、および第1の角度差θ1と第2の角度差θ2との対応関係も、前述と同じである。この図5に示された実施例においても、図1および図2に示された構成と同様の効果を得られる。
【0052】
ここで、図1ないし図5に基づいて説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、軸線X1が、この発明における第1の軸線に相当し、入力ディスク4が、この発明の入力ディスクに相当し、出力ディスク5が、この発明の出力ディスクに相当し、パワーローラ8A,8Bが、この発明における複数のパワーローラに相当し、トラニオン12A,12Bが、この発明における複数のトラニオンに相当し、油圧サーボ機構150,151およびニードルベアリング21,36およびアッパリンク34およびロアリンク22が、この発明における「動作機構」に相当し、傾転角度検知センサ204および電子制御装置202が、この発明における「傾転角度検出装置」に相当し、ストッパ102,107が、この発明における「傾転角度規制部材」に相当し、接触面100,101,105,106、およびエッジ部100A,101A,105A,106A、およびストッパ102,107が、この発明における「傾転角度規制装置」に相当し、パワーローラ8Bが、この発明における「第1のパワーローラ」に相当し、パワーローラ8Aが、この発明における「第2のパワーローラ」に相当し、最大傾転角度β1,β3が、この発明における「第1のパワーローラで許容される最大傾転角度」に相当し、最大傾転角度β2,β4が、この発明における「第2のパワーローラで許容される最大傾転角度」に相当し、θ1が、この発明における「第1の角度差」に相当し、θ2が、この発明における「第2の角度差」に相当する。
【0053】
また、この実施例においては、トラニオン12と、トラニオン12の周辺に設けられている部品、例えば、ロアリンク22またはアッパリンク34にストッパを設け、トラニオン12とストッパとを接触させることにより、パワーローラ8の最大傾転角度を規制している。つまり、この実施例においては、パワーローラ8の傾転角度が零度である場合には、トラニオン12とストッパとの間に、軸線X1,Y1を含む平面方向の隙間が形成されており、パワーローラ8の傾転角度が増加することにともない、前記隙間が狭められて、トラニオン12とストッパとが接触されるように構成されている。したがって、トラニオン12またはストッパに、軸線X1,Y1を含む平面方向で突出する突起やピンを設け、その突起やピンをトラニオン12またはストッパに接触させるような構成も、この発明における「傾転角度規制装置」に含まれる。
【0054】
さらに、ロアリンク22の上面に、図1および図5と同様のストッパを設け、各トラニオン12A,12Bの下側張り出し部18に、接触面およびエッジ部を設けることにより、トラニオン12A,12Bとストッパとを接触させて、パワーローラ8A,8Bの最大傾転角度を規制する構成も、この発明の傾転角度規制装置に含まれる。つまり、パワーローラ8の傾転角度の変化により、トラニオン12の一部と、トラニオン12の周辺に設けられている部品の一部とが接触して、パワーローラ8の最大傾転角度が規制されればよく、その接触部分の形状は、平坦面、曲面、突出部、ピンなどのいずれでもよい。さらに、トラニオン12の一部が接触して、パワーローラ8の傾転角度を規制するストッパが、ケーシング9の内周面に形成されていてもよい。また、この発明における「パワーローラの最大傾転角度」には、減速側における最大傾転角度β3,β4、および増速側における最大傾転角度β1,β2という、それぞれの値という意味と、トロイダル式無段変速機3の変速比の全制御に相当する傾転角度の変更可能範囲という意味とが含まれる。なお、パワーローラ8Bでは、最大傾転角度β1と最大傾転角度β3とを加算すれば、傾転角度の変更可能範囲を求めることが可能である。これに対して、パワーローラ8Aでは、最大傾転角度β2と最大傾転角度β4とを加算すれば、傾転角度の変更可能範囲を求めることが可能である。
【0055】
また、各実施例において、傾転角度を検出することの可能なトラニオン12Bの傾転角度と、傾転角度検出装置が設けられていないトラニオン12Aの傾転角度とを相違させる場合、トラニオン12A(またはプーリ19C)およびトラニオン12B(またはプーリ19B)の形状および寸法を同一にする一方、トラニオン12A(またはプーリ19C)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法と、トラニオン12B(またはプーリ19B)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法とを異ならせる構成を採用することが可能である。これに対して、傾転角度を検出することの可能なトラニオン12B(またはプーリ19B)の傾転角度と、傾転角度検出装置が設けられていないトラニオン12A(またはプーリ19C)の傾転角度とを相違させる場合、トラニオン12A(またはプーリ19C)の形状または寸法と、トラニオン12B(またはプーリ19B)の形状または寸法とを異ならせる一方、トラニオン12A(またはプーリ19C)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法と、トラニオン12B(またはプーリ19B)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法とを同一にする構成を採用することも可能である。
【0056】
さらに、傾転角度を検出することの可能なトラニオン12B(またはプーリ19B)の傾転角度と、傾転角度検出装置が設けられていないトラニオン12A(またはプーリ19C)の傾転角度とを相違させる場合、トラニオン12A(またはプーリ19C)の形状または寸法と、トラニオン12B(またはプーリ19B)の形状または寸法とを異ならせるとともに、トラニオン12A(またはプーリ19C)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法と、トラニオン12B(またはプーリ19B)に接触する傾転角度規制部材の形状または寸法とを異ならせる構成を採用することも可能である。つまり、トラニオン12B(またはプーリ19B)およびトラニオン12A(またはプーリ19C)と、ストッパとの相対的な位置関係(円周方向における位置関係)により、任意に設計変更可能である。ここで、傾転角度規制部材とは前述したストッパであり、このストッパは、ロアリンク、アッパリンク、ケーシングのいずれに設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明におけるトロイダル式無段変速機における傾転角度規制装置の構成例を示す概略的な平面図である。
【図2】この発明で対象とするトロイダル式無段変速機を有する動力伝達装置の概略的な平面図である。
【図3】この発明のトロイダル式無段変速機の縦断面図である。
【図4】この発明におけるトロイダル式無段変速機の制御系統を示すブロック図である。
【図5】この発明におけるトロイダル式無段変速機における傾転角度規制装置の他の構成例を示す概略的な平面図である。
【符号の説明】
【0058】
3…トロイダル式無段変速機、 4…入力ディスク、 5…出力ディスク、 8(8A,8B)…パワーローラ、 12(12A,12B)…トラニオン、 21,36…ニードルベアリング、 22…ロアリンク、 34…アッパリンク、100A,101A,105A,106A…エッジ部、 102,107…ストッパ、 100,101,105,106…接触面、 150,151…油圧サーボ機構、 202…電子制御装置、 204…傾転角度検知センサ、 X1…軸線、 β1,β2,β3,β4…最大傾転角度。




 

 


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