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発明の名称 内燃機関の潤滑装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9900(P2007−9900A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2006−109148(P2006−109148)
出願日 平成18年4月11日(2006.4.11)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 伊藤 泰志 / 品川 知広 / 鈴木 誠 / 黒木 錬太郎 / 山田 賢一
要約 課題
内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる内燃機関の潤滑装置を提供すること。

解決手段
内燃機関にオイルを循環させ、この内燃機関の潤滑を行う内燃機関の潤滑装置1−1において、マイクロバブルMを発生するマイクロバブル発生装置4を備え、このマイクロバブル発生装置4により発生したマイクロバブルMをオイルに混入する。このマイクロバブルMが混入されたオイルが内燃機関の潤滑部に供給されることで、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関に潤滑油を循環させ、当該内燃機関の潤滑を行う内燃機関の潤滑装置において、
マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生手段を備え、
前記発生したマイクロバブルを前記潤滑油に混入することを特徴とする内燃機関の潤滑装置。
【請求項2】
前記マイクロバブル発生手段は、
前記循環する潤滑油内に気泡を形成する導入部を有する気体導入装置と、
前記導入部に形成された気泡を振動させる超音波を発生する超音波発生装置と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項3】
前記気体導入装置は、前記潤滑油を前記内燃機関に循環させるオイルポンプに吸引される前記潤滑油に気泡を導入することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項4】
前記マイクロバブル発生手段は、前記潤滑油を前記内燃機関に循環させるオイルポンプに吸引される潤滑油に気泡を導入する気体導入装置であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項5】
前記内燃機関を循環した潤滑油を貯留する潤滑油貯留室をさらに備え、
前記発生したマイクロバブルを前記潤滑油貯留室内の潤滑油に混入することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項6】
前記マイクロバブルが混入された潤滑油を循環する混入側循環経路と、前記マイクロバブルが混入されていない潤滑油を供給する無混入側循環経路とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項7】
前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生を制御するバブル発生制御手段をさらに備え、
前記バブル発生制御手段は、前記内燃機関の機関回転数、負荷あるいは前記潤滑油の油温のいずれか1つに基づいて、前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項8】
前記バブル発生制御手段は、前記潤滑油の油温と、当該潤滑油の圧力あるいは前記内燃機関の機関回転数の少なくともいずれか一方とから推定される当該潤滑油の粘度に基づいて、前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項9】
前記内燃機関を循環した潤滑油を貯留する潤滑油貯留室の油面高さを検出する油面センサをさらに備え、
前記バブル発生制御手段は、前記マイクロバブル混入前後にそれぞれ検出した前記潤滑油貯留室の油面高さに基づいて前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする請求項7または8に記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項10】
前記内燃機関を循環する潤滑油に光を照射する光源および当該潤滑油の透過光の強度を検出する光センサをさらに備え、
前記バブル発生制御手段は、前記検出した前記潤滑油の透過光の強度に基づいて前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする請求項7または8に記載の内燃機関の潤滑装置。
【請求項11】
前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生を制御するバブル発生制御手段および前記マイクロバブルの潤滑油に対するバブル混入量を検出するバブル混入量検出手段をさらに備え、
前記バブル発生制御手段は、前記検出されたバブル混入量が所定値以上であると、前記マイクロバブル発生手段による前記マイクロバブルの発生を停止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の内燃機関の潤滑装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の潤滑装置に関し、さらに詳しくは、マイクロバブルが混入された潤滑油を循環する内燃機関の潤滑装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、内燃機関は、オイルパン、シリンダブロック、シリンダヘッドなどの静止部品と、ピストン、コンロッド、クランクシャフト、吸排気バルブなどの運動部品とにより構成されている。内燃機関を駆動する際には、この静止部品と運動部品あるいは運動部品どうしが回転、摺動など運動を行うものである。従って、内燃機関の静止部品と運動部品との間あるいは運動部品と運動部品との間である潤滑部に摩擦が発生し、摩擦抵抗がこの内燃機関から出力される駆動力(出力トルク)に対する損失となる。この内燃機関から出力される駆動力に対するすべての損失のうち、この摩擦による損失が占める割合は高いものである。例えば、シリンダブロックに対してピストンが往復運動する際の摩擦、すなわちシリンダライナとピストンリングとの間の摩擦抵抗は、この摩擦による損失のうち最も大きい。
【0003】
一般に、従来の内燃機関では、摩擦による損失の低減を図るために、内燃機関の潤滑部に潤滑油を供給することで液体潤滑が行われている。ここで、内燃機関の燃費の向上、高出力化など要望があり、内燃機関の熱効率のさらなる向上が望まれている。従って、液体潤滑が行われても潤滑部の摩擦は、まだ大きく、摩擦による損失のさらなる低減が望まれている。
【0004】
ところで、従来において、特許文献1に示すように、オイルの見掛けの粘度を低下させる技術が提案されている。特許文献1では、内燃機関であるエンジンのシリンダブロックに形成されたオイルジャケットにオイルを循環させて、エンジンを冷却するエンジンの冷却装置である。このオイルジャケットの所定箇所に気泡発生器を配設し、気泡発生器からオイルに微細な気泡を混入し、オイルの見掛けの粘度を低下させるものである。
【0005】
ここで、この特許文献1では、気泡発生器の表面に穿設されて形成された極めて微細な多数の小孔や、非常に目の細かい網の一方から他方に向けて空気を噴出させ、極めて微細な気泡を発生させる。そして、この極めて微細な気泡は、直径1mm以下であるとしている。しかしながら、小孔や網により発生する気泡は、小さくても視認が容易な大きさ、例えば直径0.2mm程度の気泡である。上記の直径の気泡であれば、気泡どうしが合体や吸収し、大きな気泡となる虞がある。従って、オイルを循環させる場合、このオイルを吸入、吐出するポンプに、この大きな気泡が吸入され、ポンプの吐出能力が低下する虞がある。
【0006】
【特許文献1】実開昭63−78122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる内燃機関の潤滑装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明では、内燃機関に潤滑油を循環させ、当該内燃機関の潤滑を行う内燃機関の潤滑装置において、マイクロバブルを発生するマイクロバブル発生手段を備え、前記発生したマイクロバブルを前記潤滑油に混入することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、マイクロバブル発生手段は、内燃機関を循環する潤滑油に視認が困難なほど極微細な気泡であるマイクロバブルを潤滑油に混入する。つまり、マイクロバブルが混入した潤滑油が、内燃機関の静止部品と運動部品との間および運動部品と運動部品との間である潤滑部に供給される。従って、この潤滑部と潤滑油との境界層の乱れがマイクロバブルにより抑制されると考えられる。また、マイクロバブルが混入することで潤滑油の密度が低下し、潤滑油のマイクロバブルを除く液体部分と潤滑部との接触面積が低下すると考えられる。これらにより、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる。
【0010】
また、潤滑油に混入されたマイクロバブルは、潤滑油に溶け込みながら消滅し、気泡どうしが合体や吸収し難いため、マイクロバブルが集まり大きな気泡となることを抑制することができる。従って、マイクロバブルが混入した潤滑油を内燃機関に循環させるために、このオイルを吸入、吐出するオイルポンプを用いても、このオイルポンプの吐出能力の低下を抑制することができる。
【0011】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記マイクロバブル発生手段は、前記循環する潤滑油内に気泡を形成する導入部を有する気体導入装置と、前記導入部に形成された気泡を振動させる超音波を発生する超音波発生装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、上記気体導入装置の導入部に形成された潤滑油内の気泡は、超音波発生装置により発生した超音波により振動する。従って、この気泡の表面には、表面波が発生し、その波頭からマイクロバブルが分離し、潤滑油に混入する。これにより、マイクロバブルを安定して潤滑油に混入することができる。
【0013】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記気体導入装置は、前記潤滑油を前記内燃機関に循環させるオイルポンプに吸引される前記潤滑油に気泡を導入することを特徴とする。
【0014】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記マイクロバブル発生手段は、前記潤滑油を前記内燃機関に循環させるオイルポンプに吸引される潤滑油に気泡を導入する気体導入装置であることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上記気体導入装置の導入部に形成された潤滑油内の気泡、あるいはマイクロバブル発生装置が潤滑油に導入した気泡は、オイルポンプに吸引される。オイルポンプに吸引された気泡がオイルポンプを構成する部材のうち、潤滑油を吸引吐出するために相対運動する部材により剪断される。つまり、マイクロバブルは、この剪断力により発生し、この発生したマイクロバブルがオイルポンプから吐出される潤滑油に混入する。これにより、マイクロバブルを安定して潤滑油に混入することができる。
【0016】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記内燃機関を循環した潤滑油を貯留する潤滑油貯留室をさらに備え、前記発生したマイクロバブルを前記潤滑油貯留室内の潤滑油に混入することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、潤滑油貯留室に貯留された潤滑油にマイクロバブルが混入されるが、このマイクロバブルは、消滅せず長時間この潤滑油に混入された状態を維持する。従って、潤滑油貯留室に貯留された潤滑油に短時間で多くのマイクロバブルを混入しても、この潤滑油は、マイクロバブルが混入された状態を維持しながら静止部品と運動部品との間および運動部品と運動部品との間である潤滑部に供給され、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減させる。これにより、潤滑油貯留室に貯留された潤滑油にマイクロバブルを混入することで、この潤滑油をマイクロバブルが混入されていない状態から、短時間で多くのマイクロバブルが混入された状態とすることができ、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を短時間で低減させることができる。
【0018】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記マイクロバブルが混入された潤滑油を循環する混入側循環経路と、前記マイクロバブルが混入されていない潤滑油を供給する無混入側循環経路とを備えることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、マイクロバブルが混入された潤滑油およびマイクロバブルが混入されていない潤滑油の2種類の潤滑油を内燃機関で循環させることができる。従って、マイクロバブルが混入された潤滑油により、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる。また、マイクロバブルが混入されていない潤滑油により、流体潤滑および境界潤滑とからなる混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0020】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生を制御するバブル発生制御手段をさらに備え、前記バブル発生制御手段は、前記内燃機関の機関回転数、負荷あるいは前記潤滑油の油温のいずれか1つに基づいて、前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする。
【0021】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記バブル発生制御手段は、前記潤滑油の油温と、当該潤滑油の圧力あるいは前記内燃機関の機関回転数の少なくともいずれか一方とから推定される当該潤滑油の粘度に基づいて、前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする。
【0022】
これらの発明によれば、バブル発生制御手段は、内燃機関の運転状態、例えば、潤滑油の油温の低下、内燃機関の負荷の低下、内燃機関の機関回転数の上昇、潤滑油の粘度の上昇に応じて、マイクロバブル発生手段による潤滑油に対するバブル混入量を増加する。つまり、バブル発生制御手段は、潤滑部の油膜切れを起こしやすい内燃機関の運転状態、例えば、潤滑油の油温の上昇、内燃機関の負荷の上昇、内燃機関の機関回転数の低下、潤滑油の粘度の低下に応じて、マイクロバブル発生手段による潤滑油に対するバブル混入量を減少する。従って、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0023】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記内燃機関を循環した潤滑油を貯留する潤滑油貯留室の油面高さを検出する油面センサをさらに備え、前記バブル発生制御手段は、前記マイクロバブル混入前後にそれぞれ検出した前記潤滑油貯留室の油面高さに基づいて前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする。
【0024】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記内燃機関を循環する潤滑油に光を照射する光源および当該潤滑油の透過光の強度を検出する光センサをさらに備え、前記バブル発生制御手段は、前記検出した前記潤滑油の透過光の強度に基づいて前記マイクロバブル発生手段による前記潤滑油に対するバブル混入量を制御することを特徴とする。
【0025】
これらの発明によれば、検出した潤滑油貯留室の油面高さあるいは検出した潤滑油の透過光の強度に基づいてマイクロバブルの潤滑油に対するバブル混入量を検出することができる。従って、例えば検出されたバブル混入量が目標バブル混入量以上の場合は、マイクロバブルの発生を停止する。従って、バブル混入量を適正値に維持することができるので、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0026】
また、この発明では、上記内燃機関の潤滑装置において、前記マイクロバブル発生手段によるマイクロバブルの発生を制御するバブル発生制御手段および前記マイクロバブルの潤滑油に対するバブル混入量を検出するバブル混入量検出手段をさらに備え、前記バブル発生制御手段は、前記検出されたバブル混入量が所定値以上であると、前記マイクロバブル発生手段による前記マイクロバブルの発生を停止することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、検出されたバブル混入量が所定値以上、すなわち内燃機関を循環する潤滑油にマイクロバブルが十分に混入されている場合は、マイクロバブルの発生を停止する。従って、常にマイクロバブルを発生させる場合と比較して、このマイクロバブルを発生するための駆動力を抑制することができる。これにより、マイクロバブルを発生するために内燃機関から出力される駆動力を利用している場合は、この内燃機関の駆動力に対する損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明にかかる内燃機関の潤滑装置は、内燃機関を循環する潤滑油にマイクロバブルを混入するので、内燃機関の駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施例により、この発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。ここで、以下に説明する内燃機関の潤滑装置は、潤滑油を乗用車、トラックなどの車両に搭載されるガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどエンジン本体に循環させる装置である。
【実施例1】
【0030】
図1は、実施例1にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。この発明にかかる内燃機関の潤滑装置1−1は、オイルパン2と、オイル供給経路3と、マイクロバブル発生装置4と、制御装置5とにより構成されている。
【0031】
オイルパン2は、図示しない内燃機関の潤滑を行う潤滑油(以下、単に「オイル」と称する)を貯留する潤滑油貯留室である。このオイルパン2は、例えば図示しない内燃機関のクランクケースの下部に配置され、図示しない内燃機関の静止部品と運動部品との間および運動部品と運動部品との間である潤滑部に供給されたオイルが戻り、貯留される場所である。
【0032】
オイル供給経路3は、オイルパン2に貯留されているオイルを図示しない内燃機関の静止部品と運動部品との間および運動部品と運動部品との間である潤滑部に供給するものである。このオイル供給経路3は、オイルポンプ31と、オイル供給通路32とにより構成されている。オイルポンプ31は、オイルパン2に貯留されているオイルを上記潤滑部に圧送するためのものである。このオイルポンプ31は、例えば図示しない内燃機関の駆動力が伝達されたクランクシャフトが回転することで作動、すなわち内燃機関の駆動力により作動するものである。オイル供給通路32は、オイルポンプ31を介して、オイルパン2と上記潤滑部とを連通するものである。ここで、各潤滑部としては、シリンダブロックとピストンとの間、シリンダヘッドと吸排気バルブとの間、シリンダヘッドとカムシャフトとの間、ピストンとコンロッドとの間、コンロッドとクランクシャフトとの間、吸排気バルブとカムとの間などがある。
【0033】
なお、33は、オイル供給経路3を通過するオイルに混入されたマイクロバブルMのバブル混入量を検出し、制御装置5に出力するバブル混入量検出手段であるバブル混入量センサである。なお、このバブル混入量センサ33は、バブル混入量を例えばオイル供給通路32を通過する際のオイルの流速、流量、圧力差などや、オイルポンプ31の仕事量の変化などに基づいてオイルに混入されたマイクロバブルMのバブル混入量を検出するものである。これは、マイクロバブルMが混入されたオイルでは、オイルポンプ31の作動条件が同一の場合、マイクロバブルMが混入されていないオイルと比較して、オイル供給通路32内のオイルの流量が増加し、流速が速くなり、圧力差が小さくなるためである。また、これらによりオイルポンプ31の仕事量が小さくなるためである。
【0034】
マイクロバブル発生装置4は、マイクロバブルMを発生するマイクロバブル発生手段であり、混合槽41と、バブルポンプ42と、気体吸入通路43と、オイル吸入通路44と、バブル吐出通路45とにより構成されている。
【0035】
混合槽41は、気体吸入通路43を介して導入される例えば空気などの気体と、オイル吸入通路44を介して導入されるオイルである液体とを混合する槽である。この混合槽41は、オイル吸入通路44を介してオイルパン2のオイルが流入するものであり、バブル吐出通路45を介してオイルをオイルパン2に流出するものである。この混合槽41とバブル吐出通路45との間には、バブル発生機構41aが設けられている。このバブル発生機構41aは、オイルがバブル発生機構41aからバブル吐出通路45に噴出する際におけるせん断力により、混合槽41内の気体からマイクロバブルMを生成するものである。ここで、マイクロバブルMとは、視認が容易な大きさの気泡ではなく、視認が困難なほど極微細な気泡であり、その大きさが直径50μm、好ましくは20〜30μmの気泡をいう。このマイクロバブルMは、バブルどうしが合体や吸収し難く、液体中に長時間浮遊することができ、液体であるオイルに溶け込みながら消滅するものである。なお、この混合槽41内に存在する気泡(気体)の大きさは、マイクロバブルMよりも大きく、気泡どうしが合体や吸収する虞のある大きさである。
【0036】
バブルポンプ42は、モータなどの駆動源42aにより作動するものであり、オイル吸入通路44を介してオイルパン2に貯留されているオイルを吸入し、混合槽41に吐出するものである。このバブルポンプ42は、例えばケーシング内のフィンが駆動源42aにより回転することで、オイルの吸入、吐出を行うものである。このバブルポンプ42は、制御装置5から出力されるバブルポンプ駆動信号により作動される。
【0037】
気体吸入通路43は、マイクロバブル発生装置4の外部の例えば空気などの気体を吸入し、このオイル吸入通路44内のオイルに混入するものである。この気体吸入通路43は、オイルパン2と混合槽41との間のオイル吸入通路44の途中と連通している。オイル吸入通路44に負圧が発生すると、気体吸入通路43にも負圧が発生するので、例えば大気圧である外部から気体がこの気体吸入通路43を介して、オイル吸入通路44に導入され、このオイル吸入通路44内のオイルに混入される。なお、この気体吸入通路43は、混合槽41とも連通しているため、この混合槽41内の気体が混入されたオイルの一部が気体吸入通路43を介してオイル吸入通路44に還流され、再度気体が混入される。
【0038】
オイル吸入通路44およびバブル吐出通路45には、それぞれ吸入制御弁46および吐出制御弁47が設けられている。これら吸入制御弁46および吐出制御弁47は、制御装置5から出力される制御弁開閉信号に基づいて、開閉弁が行われる。
【0039】
制御装置5は、マイクロバブルの発生を制御するバブル発生制御手段である。制御装置5は、バブル混入量センサ33により検出されたバブル混入量が入力され、このバブル混入量に基づいて、マイクロバブル発生装置4の制御を行うものである。
【0040】
具体的には、上記入力信号や出力信号の入出力を行う入出力部(I/O)51と、バブルポンプ42の作動、停止、吸入制御弁46および吐出制御弁47の開閉弁の判断を行う処理部52と、記憶部53とにより構成されている。処理部52は、バブル混入量取得部54と、バブル発生制御部55とを有するものである。また、この処理部52は、メモリおよびCPU(Central Processing Unit)により構成され、マイクロバブル発生装置の制御方法などに基づくプログラムをメモリにロードして実行することにより、マイクロバブル発生装置の制御方法を実現させるものであっても良い。また、記憶部53は、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、ROM(Read Only Memory)のような読み出しのみが可能な不揮発性のメモリあるいはRAM(Random Access Memory)のような読み書きが可能な揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。なお、制御装置5は、単独で構成される必要はなく、内燃機関の運転を制御するECU(Engine Control Unit)がこの制御装置5の機能を有していても良い。
【0041】
次に、実施例1にかかる内燃機関の潤滑装置1−1の動作について説明する。特に、マイクロバブル発生装置の制御方法について説明する。図2は、実施例1にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。図3は、摩擦力と、バブル混入量との関係を示す図である。まず、制御装置5の処理部52のバブル発生制御部55は、図2に示すように、まずマイクロバブル発生装置4を作動させる(ステップST101)。具体的には、例えば、駆動源42aを駆動するためのバブルポンプ駆動信号を出力することで、駆動源42aを作動させ、このバブルポンプ42を作動させる。また、吸入制御弁46および吐出制御弁47に、それぞれを開弁するための制御弁開閉信号を出力し、吸入制御弁46および吐出制御弁47を開弁させる。
【0042】
吸入制御弁46および吐出制御弁47を開弁した状態で、バブルポンプ42を作動させると、オイルパン2に貯留されているオイルは、オイル吸入通路44を介して、バブルポンプ42に吸入される。このとき、オイル吸入通路44に発生した負圧により、気体吸入通路43に気体である空気が吸入され、この空気もオイルとともに、バブルポンプ42に吸入される。バブルポンプ42に吸入されたオイルと空気は、このバブルポンプ42により加圧され、混合槽41に吐出される。混合槽41に吐出されたオイルと空気は、この混合槽41内で混合される。バブルポンプ42を作動させることで、混合槽41に吐出された加圧されたオイルと空気は、混合された状態でバブル発生機構41aを介して、バブル吐出通路45に流出する。このとき、このバブル発生機構41aは、オイルがバブル発生機構41aからバブル吐出通路45に噴出する際におけるせん断力により、混合槽41内の気体からマイクロバブルMを生成する。従って、オイルとマイクロバブルMは、バブル吐出通路45を介して、オイルパン2に流出する。つまり、マイクロバブル発生装置4は、オイルパン2に貯留されたオイルにマイクロバブルMを混入させることができる。
【0043】
オイルに混入されたマイクロバブルMは、消滅せず長時間このオイルに混入された状態を維持する。従って、オイルパン2に貯留されたオイルは、マイクロバブル発生装置4により、多くのマイクロバブルMが混入されても、多くのマイクロバブルMが混入された状態を維持しながら、オイル供給経路3により図示しない内燃機関の潤滑部に供給され、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減させる。これにより、オイルパン2に貯留されたオイルにマイクロバブルMを混入することで、このオイルをマイクロバブルMが混入されていない状態から、短時間で多くのマイクロバブルMが混入された状態とすることができ、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を短時間で低減させることができる。
【0044】
ここで、図示しない内燃機関が駆動し、オイルポンプ31が作動すると、マイクロバブルMが混入されたオイルがオイルパン2からオイル供給通路32を介して、内燃機関の潤滑部に供給される。内燃機関の潤滑部に供給されたオイルに混入されているマイクロバブルMは、潤滑部において発生するこの潤滑部とオイルとの境界層の乱れを抑制することができると考えられている。また、内燃機関の潤滑部に供給されたオイルにマイクロバブルMが混入されていることでオイルの密度が低下する。つまり、オイルのマイクロバブルMを除く液体部分と潤滑部との接触面積が低下すると考えられる。従って、図3に示すように、オイルのバブル混入量に応じて内燃機関の潤滑部の摩擦力が変化し、オイルにマイクロバブルMが多く含まれるほど内燃機関の潤滑部の摩擦力が低下する。これにより、マイクロバブルMが混入されたオイルにより内燃機関の潤滑部の液体潤滑を行うことで、従来のオイルのみによる液体潤滑を行った際のこの潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる。
【0045】
なお、図示しない内燃機関の潤滑部に供給されるオイルは、オイルポンプ31に吸入され、このオイルポンプ31により加圧されて、オイル供給通路32に吐出される。このとき、オイルポンプ31により加圧されるオイルにマイクロバブルMが混入されているが、このマイクロバブルMは、オイルに溶け込みながら消滅し、気泡どうしが合体や吸収し難いため、マイクロバブルMが集まり大きな気泡となり難い。従って、マイクロバブルMが混入したオイルをオイルポンプ31により内燃機関に循環させても、このオイルポンプ31の吐出能力の低下を抑制することができる。
【0046】
次に、処理部52のバブル混入量取得部54は、図2に示すように、図示しない内燃機関を循環するオイルのバブル混入量Aを取得する(ステップST102)。具体的には、バブル混入量センサ33により検出され、制御装置5に出力されたバブル混入量Aを取得する。
【0047】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記バブル混入量取得部54により取得された図示しない内燃機関を循環するオイルのバブル混入量Aが所定値A1以上であるか否かを判断する(ステップST103)。図3に示すように、オイルのバブル混入量Aと潤滑部の摩擦力との関係は、オイルのバブル混入量Aがある一定以上となると、潤滑部の摩擦力が低減し難くなる。これは、オイルに混入されるマイクロバブルMが飽和状態となると考えられるためである。ここで、所定値A1は、潤滑部の摩擦力が低減し難くなるオイルのバブル混入量とする。
【0048】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、図示しない内燃機関を循環するオイルのバブル混入量Aが所定値A1以上と判断すると、マイクロバブル発生装置4を停止させる(ステップST104)。具体的には、例えば、この駆動源42aを駆動するためのバブルポンプ駆動信号の出力を停止、あるいは駆動源42aを停止させるためのバブルポンプ駆動停止信号を出力することで、駆動源42aを停止させ、このバブルポンプ42を停止させる。また、吸入制御弁46および吐出制御弁47に、それぞれを閉弁させるための制御弁開閉信号を出力、あるいはそれぞれを開弁させるための制御弁開閉信号の出力を停止することで、吸入制御弁46および吐出制御弁47を閉弁させる。なお、処理部52のバブル発生制御部55により、内燃機関を循環するオイルのバブル混入量Aが所定値A1以上と判断されるまで、バブル混入量取得部54が内燃機関を循環するオイルのバブル混入量Aの取得を繰り返す。
【0049】
従って、バブル混入量センサ33により検出され、バブル混入量取得部54により取得されたバブル混入量Aが所定値A1以上、すなわち内燃機関を循環する潤滑油にマイクロバブルMが十分に混入されている場合は、マイクロバブル発生装置4を停止し、マイクロバブルMの発生を停止する。従って、常にマイクロバブル発生装置4がマイクロバブルMを発生させる場合と比較して、このマイクロバブルMを発生するための駆動力を抑制することができる。これにより、マイクロバブルMを発生するために図示しない内燃機関から出力される駆動力を利用している場合は、この内燃機関の駆動力に対する損失を低減することができる。
【0050】
なお、上記実施例1では、マイクロバブル発生装置4は、一旦混合槽41においてオイルと気体との混合を行うが、この発明におけるマイクロバブル発生装置はこれに限定されるものではない。例えば、混合槽41を設けずに、オイル吸入通路44をバブル発生機構41aに直接連結し、オイルパン2に貯留されているオイルをバブルポンプ42によりバブル発生機構41aに直接供給しても良い。このとき、気体吸入通路43をバブル発生機構41aに直接連結し、オイルがバブル発生機構41aからバブル吐出通路45に噴出する際に発生する負圧により、バブル発生機構41aに気体が吸気されるようにしても良い。
【実施例2】
【0051】
次に、実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2について説明する。図4は、実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。また、図5−1は、マイクロバブル発生装置の構成例を示す図である。また、図5−2は、マイクロバブル発生装置の動作説明図である。図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2が、図1に示す実施例1にかかる内燃機関の潤滑装置1−1と異なる点は、マイクロバブル発生装置6が異なる点およびバブル混入量を内燃機関の運転状態で制御する点である。ここで、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的構成のうち、図1に示す実施例1にかかる内燃機関の潤滑装置1−1の基本的構成と同一部分は、その説明を省略する。
【0052】
実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2のマイクロバブル発生装置6は、オイル供給経路3の途中、この実施例2では、オイルポンプ31の上流側のオイル供給通路32、すなわちオイルポンプ31の吸引側に設けられている。このマイクロバブル発生装置6は、気体導入装置を構成するエア導入通路61およびエアバルブ62と、超音波発生装置63とにより構成されている。
【0053】
エア導入通路61は、気体導入装置の一部を構成するものである。このエア導入通路61は、一方の端部が内燃機関の潤滑装置1−2の外部に解放され、他方の端部に複数の細管61aが形成されている。この複数の細管61aは、導入部であり、例えばその直径がコンマ数ミリ程度のものである。この細管61aの先端部は、オイルポンプ31の上流側のオイル供給通路32内に開口している。従って、エア導入通路61を通過した内燃機関の潤滑装置1−2の外部の空気によって、この細管61aの先端部に気泡が形成される。ここで、オイルポンプ31がオイルポンプ31の上流側のオイル供給通路32内のオイルを吸引する際に、このオイルポンプ31に負圧が発生する。従って、内燃機関の潤滑装置1−2の外部の空気は、複数の細管61aがオイルポンプ31の上流側のオイル供給通路32に開口しているので、このエア導入通路61に吸引され、この複数の細管61aの先端部にこの吸引された空気の気泡が形成される。
【0054】
エアバルブ62は、気体導入装置の一部を構成するものであり、エア導入通路61の途中に設けられている。このエアバルブ62は、制御装置5から出力されるエアバルブ開閉信号に基づいて、開閉弁が行われる。
【0055】
超音波発生装置63は、超音波発生手段であり、導入部である複数の細管61aに形成された気泡を振動させる超音波を発生するものである。この超音波発生装置63は、例えば図示しない発振器および発振回路により構成されている。図示しない発振器は、この発振器の焦点(発振器が発生した超音波の焦点)が複数の細管61aに形成された気泡となるように設けられている。この発振器は、図示しない発振回路に接続されており、制御装置5からこの発振回路に出力される発振器作動信号により、作動するものである。ここで、超音波とは、図5−2に示すように、複数の細管61aに形成された気泡に表面波を発生させ、その波頭からマイクロバブルMを分離させることができる周波数である。なお、この周波数は、マイクロバブルMを構成する気体の種類によって異なるものである。つまり、超音波発生装置63は、マイクロバブルMを構成する気体に応じた周波数の超音波を発生できるものである。
【0056】
なお、制御装置5は、図4に示すように、入出力部51を介して、内燃機関の機関回転数Ne、内燃機関の負荷L、オイルの油温Toを取得することができる。ここで、内燃機関の機関回転数Neおよび負荷Lは、内燃機関の運転を制御するECUから取得することができる。なお、内燃機関の機関回転数Neは、例えばクランク角センサにより検出された内燃機関のクランクシャフトのクランク角に基づいて算出することができる。また、内燃機関の負荷Lは、この機関回転数Neおよびアクセルセンサにより検出されたアクセルペダルの開度に基づいて算出することができる。また、オイルの油温Toは、例えばオイルが循環する部分、例えばオイルパン2あるいはオイル供給通路32の途中などにおけるオイルの油温を油温センサにより検出することで取得することができる。
【0057】
次に、実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の動作について説明する。特に、マイクロバブル発生装置6の制御方法について説明する。図6は、実施例2にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。
【0058】
まず、制御装置5の処理部52のバブル発生制御部55は、同図に示すように、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toを取得する(ステップST201)。
【0059】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、目標バブル混入量Sを算出する(ステップST202)。ここでは、バブル発生制御部55は、上記取得された機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toに基づいて、マイクロバブル発生装置6による潤滑油に対する目標バブル混入量Sを算出する。この実施例2では、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toの関係式S=F(Ne,L,To)から目標バブル混入量Sを算出する。
【0060】
ここで、上記関係式S=F(Ne,L,To)は、内燃機関の機関回転数Neが上昇すればするほどS、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。また、上記関係式S=F(Ne,L,To)は、内燃機関の負荷Lが低下すればするほどS、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。さらに、上記関係式S=F(Ne,L,To)は、オイルの油温Toが低下すればするほどS、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。つまり、潤滑部に多くのオイルが供給されればされるほど、および潤滑部の油膜が厚くなればなる(潤滑部の油膜切れを起こし難い)ほどS、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。
【0061】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sからエアバルブ62の開弁期間taを算出する(ステップST203)。この実施例2では、上記関係式S=F(Ne,L,To)から算出された目標バブル混入量Sの関係式ta=F(S)から開弁期間taを算出する。ここで、上記関係式ta=F(S)は、目標バブル混入量Sが増加すればするほどta、すなわちエアバルブ62の開弁期間が長くなるように決定されている。なお、エアバルブ62の開弁期間taは、制御装置5によるマイクロバブル発生装置6の制御周期toに対する期間であり、ta≦toとなる。
【0062】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sが0よりも大きいか否かを判断する(ステップST204)。つまり、バブル発生制御部55は、例えば内燃機関が停止状態でマイクロバブル発生装置6によるマイクロバブルMの発生の必要がない状態であるか否かを判断する。ここで、内燃機関が停止状態であると、機関回転数Neや負荷Lなどが0となり、上記関係式S=F(Ne,L,To)=0となる。
【0063】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sが0よりも大きいと判断すると、超音波発生装置63により超音波を発生する(ステップST205)。ここでは、バブル発生制御部55は、発振器作動信号を図示しない発振回路を出力し、この発振回路は図示しない発信器に超音波を発生させる。
【0064】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁する(ステップST206)。ここでは、バブル発生制御部55は、エアバルブ開閉信号をエアバルブ62に出力し、エアバルブ62を開弁させる。図5−1に示すように、オイルポンプ31が駆動されている状態、すなわち内燃機関が運転制御されている場合に、エアバルブ62を開弁すると、このエア導入通路61内に発生する負圧により、内燃機関の潤滑装置1−2の外部の空気がエア導入通路61に吸引される。そして、図5−2に示すように、この吸引された空気により、この複数の細管61aの先端部に空気の気泡が形成される。このとき、上述のように超音波発生装置63により超音波がこの気泡に向かって発生しているため、この気泡に表面波が発生し、その波頭からマイクロバブルMが分離され、マイクロバブルMが発生する。発生したマイクロバブルMは、潤滑油に混入され、マイクロバブルMが混入した潤滑油がオイルポンプ31に吸引され、このオイルポンプ31からマイクロバブルMが混入した潤滑油が吐出され、オイル供給経路3により各潤滑部に供給される。これにより、マイクロバブルMを安定して潤滑油に混入することができる。
【0065】
このとき、気体導入装置の一部を構成するエア導入通路61は、潤滑油を内燃機関に循環させるオイルポンプ31の吸引側に気泡を形成する。従って、形成された気泡自体も、オイルポンプ31に吸引される潤滑油に導入されることとなる。ここで、この潤滑油内の気泡は、オイルポンプ31に吸引される。ところで、オイルポンプ31を構成する部材には、潤滑油を吸引吐出するために相対運動する部材、例えばケーシング、外接ギヤ、ロータが含まれる。従って、潤滑油内の気泡は、この相対運動する部材の間を通過する際に、この相対運動する部材により剪断される。この剪断力によりマイクロバブルがさらに発生し、この発生したマイクロバブルがオイルポンプ31から吐出される潤滑油に混入される。これにより、マイクロバブルをさらに安定して潤滑油に混入することができる。
【0066】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間taを経過したか否かを判断する(ステップST207)。従って、バブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間taを経過するまで、このエアバルブ62の開弁状態を維持する。
【0067】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間taを経過したと判断すると、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する(ステップST208)。なお、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sが0であると判断しても、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する。
【0068】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を閉弁する(ステップST209)。これにより、制御周期toにおけるマイクロバブルMの混入を終了する。制御装置5は、この動作を制御周期toごとに繰り返す。
【0069】
以上のように、制御装置5は、内燃機関の運転状態に応じて、マイクロバブル発生装置6によるオイルに対するバブル混入量Sの増加、減少を行う。従って、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【実施例3】
【0070】
次に、実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3について説明する。図7は、実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。同図に示す実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3が、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2と異なる点は、内燃機関の運転状態、すなわち上記機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toのみならずオイルの粘度(オイル粘度指数Ro)に応じてバブル混入量を制御する点である。ここで、図7に示す実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3の基本的構成のうち、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的構成と同一部分は、その説明を省略する。
【0071】
オイルの粘度Roは、潤滑部の油膜の厚さに影響を与えるものである。潤滑部の油膜の厚さは、オイルの粘度が低いほど薄くなる。このオイルの粘度は、内燃機関に使用されているオイルの銘柄、経年劣化、使用油温、すなわちオイルの油温Toによって変化するものである。従って、バブル混入量は、オイルの粘度によっても制御することが好ましい。
【0072】
実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3の制御装置5は、図7に示すように、入出力部51を介して、内燃機関の機関回転数Ne、内燃機関の負荷L、オイルの油温Toのみならずオイルの圧力Poを取得することができる。ここで、オイルの圧力Poは、オイルポンプ31により吸引吐出されたオイル、例えばオイルポンプ31の吐出側のオイル供給通路32におけるオイルの圧力を圧力センサにより検出することで取得することができる。
【0073】
次に、実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3の動作について説明する。特に、マイクロバブル発生装置6の制御方法について説明する。図8は、実施例3にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。なお、図8に示す実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3の基本的動作のうち、図6に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的動作と同一部分は、その説明を簡略化する。
【0074】
まず、制御装置5の処理部52のバブル発生制御部55は、同図に示すように、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温To、オイルの油圧Poを取得する(ステップST301)。
【0075】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、オイル粘度指数Roを算出する(ステップST302)。ここでは、バブル発生制御部55は、上記取得されたオイルの油圧Po、機関回転数Ne、オイルの油温Toに基づいて、内燃機関を循環するオイルの粘度に関係する指数であるオイル粘度指数Roを算出する。この実施例3では、オイルの油圧Po、機関回転数Ne、オイルの油温Toの関係式Ro=F(Po,Ne,To)からオイル粘度指数Roを算出する。なお、オイル粘度指数Roは、オイルの油温Toと、オイルの圧力Poあるいは内燃機関の機関回転数Neの少なくともいずれか一方とから推定、すなわち算出しても良い。
【0076】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、目標バブル混入量S´を算出する(ステップST303)。ここでは、バブル発生制御部55は、上記取得された機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温To、オイル粘度指数Roに基づいて、マイクロバブル発生装置6による潤滑油に対する目標バブル混入量S´を算出する。この実施例3では、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温To、オイル粘度指数Roの関係式S´=F(Ne,L,To)×Roから目標バブル混入量S´を算出する。
【0077】
ここで、上記関係式S´=F(Ne,L,To)×Roは、上述のように、内燃機関の機関回転数Neが上昇すればするほど、内燃機関の負荷Lが低下すればするほど、オイルの油温Toが低下すればするほどS´、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。また、オイル粘度指数Roが高ければ高いほど、すなわちオイルの粘度が高ければ高いほどS´、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。
【0078】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量S´からエアバルブ62の開弁期間taを算出する(ステップST304)。この実施例3では、上記関係式S´=F(Ne,L,To)×Roから算出された目標バブル混入量S´の関係式ta=F(S´)から開弁期間taを算出する。ここで、上記関係式ta=F(S´)は、目標バブル混入量S´が増加すればするほどta、すなわちエアバルブ62の開弁期間が長くなるように決定されている。
【0079】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量S´が0よりも大きいか否かを判断する(ステップST305)。
【0080】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量S´が0よりも大きいと判断すると、超音波発生装置63により超音波を発生する(ステップST306)。
【0081】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁する(ステップST307)。これにより、マイクロバブルMが発生し、潤滑油に混入される。
【0082】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間taを経過したか否かを判断する(ステップST308)。
【0083】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間taを経過したと判断すると、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する(ステップST309)。なお、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量S´が0であると判断しても、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する。
【0084】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を閉弁する(ステップST310)。これにより、制御周期toにおけるマイクロバブルMの混入を終了する。制御装置5は、この動作を制御周期toごとに繰り返す。
【0085】
以上のように、制御装置5は、内燃機関の運転状態、特にオイルの粘度に基づいてもマイクロバブル発生装置6によるオイルに対するバブル混入量S´の増加、減少を行う。従って、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【実施例4】
【0086】
次に、実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4について説明する。図9は、実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。同図に示す実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4が、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2と異なる点は、内燃機関の運転状態のみならず、現在バブル混入量に応じてバブル混入量を制御する点である。ここで、図9に示す実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4の基本的構成のうち、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的構成と同一部分は、その説明を省略する。
【0087】
オイルに混入したマイクロバブルMの存続寿命が長い場合は、潤滑部に供給され、オイルパン2に戻るオイルにもマイクロバブルMが混入している場合がある。従って、この場合に、内燃機関の運転状態のみでバブル混入量を制御すると、実際のバブル混入量が多くなる虞がある。従って、バブル混入量は、現在のバブル混入量によっても制御することが好ましい。
【0088】
実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4は、図7に示すように、制御装置5の処理部52にバブル混入量取得部54を有し、油面センサ7を備える。
【0089】
油面センサ7は、オイルパン2の油面高さHoを検出するセンサである。この油面センサ7が検出したオイルパン2の油面高さHoは、制御装置5に出力される。ここで、マイクロバブルMが混入されていないオイルと同一量のマイクロバブルMが混入されたオイルとでは、マイクロバブルMが混入されている分、マイクロバブルMが混入されたオイルの体積が多い。従って、オイルパン2に貯留されているオイルにマイクロバブルMが混入されている場合は、マイクロバブルMが混入されていない場合よりも、油面高さHoが高くなる。また、バブル混入量が増加するに伴い、オイルの体積が多くなり、油面高さHoが高くなる。つまり、マイクロバブルMを混入する前のオイルパン2の油面高さHoiと、マイクロバブルMを混入した後のオイルパン2の油面高さHorとに基づいて、バブル混入量を検出することができる。
【0090】
次に、実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4の動作について説明する。特に、マイクロバブル発生装置6の制御方法について説明する。図10は、実施例4にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。なお、図10に示す実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4の基本的動作のうち、図6に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的動作と同一部分は、その説明を簡略化する。
【0091】
まず、制御装置5の処理部52は、同図に示すように、バブル混入量取得部54が油面高さHoを取得し、バブル発生制御部55が機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toを取得する(ステップST401)。
【0092】
次に、処理部52のバブル混入量取得部54は、マイクロバブル混入後であるか否かを判断する(ステップST402)。ここでは、取得された油面高さHoがマイクロバブルMの混入前のもの、あるいはマイクロバブルMの混入後のもののいずれかであるかを判断する。
【0093】
次に、処理部52のバブル混入量取得部54は、マイクロバブル混入前であると判断すると、取得された油面高さHoをマイクロバブルMの混入前の油面高さHoiとする(ステップST403)。つまり、Hoi=Hoとする。
【0094】
また、処理部52のバブル混入量取得部54は、マイクロバブル混入後であると判断すると、取得された油面高さHoをマイクロバブルMの混入後の油面高さHorとする(ステップST404)。つまり、Hor=Hoとする。
【0095】
次に、処理部52のバブル混入量取得部54は、現在バブル混入量Srを算出する(ステップST405)。ここでは、バブル混入量取得部54は、上記取得されたマイクロバブルMの混入前の油面高さHoi、マイクロバブルMの混入後の油面高さHorに基づいて、現在バブル混入量Srを算出する。この実施例4では、取得されたマイクロバブルMの混入前の油面高さHoi、マイクロバブルMの混入後の油面高さHorの関係式Sr=F(Hor−Hoi)から現在バブル混入量Srを算出する。なお、マイクロバブルMの混入前である場合は、マイクロバブルMの混入後の油面高さHor=0となり、関係式Sr=F(Hor−Hoi)=0とする。
【0096】
ここで、上記関係式Sr=F(Hor−Hoi)は、上述のように、マイクロバブルMの混入前の油面高さHoiに対してマイクロバブルMの混入後の油面高さHorが増加するほどSr、すなわち現在バブル混入量が増加するように決定されている。
【0097】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、目標バブル混入量Sを算出する(ステップST406)。ここでは、バブル発生制御部55は、上記取得された機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toに基づいて、マイクロバブル発生装置6による潤滑油に対する目標バブル混入量Sを算出する。この実施例4では、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toの関係式S=F(Ne,L,To)から目標バブル混入量Sを算出する。
【0098】
ここで、上記関係式S=F(Ne,L,To)は、上述のように、内燃機関の機関回転数Neが上昇すればするほど、内燃機関の負荷Lが低下すればするほど、オイルの油温Toが低下すればするほどS´、すなわち目標バブル混入量が増加するように決定されている。
【0099】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された現在バブル混入量Srおよび目標バブル混入量Sからエアバルブ62の開弁期間ta´を算出する(ステップST407)。この実施例4では、上記関係式Sr=F(Hor−Hoi)から算出された現在バブル混入量SrおよびS=F(Ne,L,To)から算出された目標バブル混入量Sの関係式ta´=F(S−Sr)から開弁期間ta´を算出する。つまり、上記関係式ta´=F(S−Sr)は、現在バブル混入量Srに対して目標バブル混入量Sが増加すればするほどta´、すなわちエアバルブ62の開弁期間が長くなるように決定されている。
【0100】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sと現在バブル混入量Srとの差が0よりも大きいか否かを判断する(ステップST408)。
【0101】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sと現在バブル混入量Srとの差が0よりも大きいと判断すると、超音波発生装置63により超音波を発生する(ステップST409)。
【0102】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁する(ステップST410)。これにより、マイクロバブルMが発生し、潤滑油に混入される。
【0103】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間ta´を経過したか否かを判断する(ステップST411)。
【0104】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を開弁してから上記算出された開弁期間ta´を経過したと判断すると、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する(ステップST412)。なお、処理部52のバブル発生制御部55は、上記算出された目標バブル混入量Sと現在バブル混入量Srとの差が0であると判断しても、超音波発生装置63による超音波の発生を停止する。
【0105】
次に、処理部52のバブル発生制御部55は、エアバルブ62を閉弁する(ステップST413)。これにより、制御周期toにおけるマイクロバブルMの混入を終了する。制御装置5は、この動作を制御周期toごとに繰り返す。
【0106】
以上のように、制御装置5は、マイクロバブルMの混入前後にそれぞれ検出したオイルパン2の油面高さHoに基づいてマイクロバブル発生装置6によるオイルに対するバブル混入量の増加、減少を行う。例えば、制御装置5は、検出された現在バブル混入量Srが目標バブル混入量S以上の場合は、マイクロバブル発生装置6によりマイクロバブルMの発生を停止する。従って、実際のオイルに対するバブル混入量を適正値に維持することができるので、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0107】
なお、上記実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4では、油面センサ7により検出されたマイクロバブルMの混入前の油面高さHoiおよびマイクロバブルMの混入後の油面高さHorに基づいて現在バブル混入量Srを検出するが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、内燃機関を循環するオイルの透過光の強度に基づいて現在バブル混入量Srを検出しても良い。オイルに光を照射した際に、このオイルにマイクロバブルMが混入されていると、このオイルを透過する透過光がマイクロバブルMにより散乱するため、オイルの透過光の強度は、オイルに対するバブル混入量が増加すればするほど低下する。つまり、オイルの透過光の強度の変化によって、オイルに対するバブル混入量を検出することができる。
【0108】
この場合は、内燃機関を循環するオイル、例えばオイル供給通路32を通過するオイルに光を照射する光源およびオイルの透過光の強度を検出する光センサをさらに備える。制御装置5は、オイルの透過光の強度に基づいてマイクロバブル発生装置6によるオイルに対するバブル混入量Sの増加、減少を行う。例えば、制御装置5は、オイルの透過光の強度に基づいて検出された現在バブル混入量Srが目標バブル混入量S以上の場合は、マイクロバブル発生装置6によりマイクロバブルMの発生を停止する。従って、実際のオイルに対するバブル混入量を適正値に維持することができるので、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができるとともに、混合潤滑が行われる潤滑部の油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0109】
また、上記実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置1−4においても、上記実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置1−3と同様に、制御装置5は、内燃機関の運転状態、すなわち上記機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toのみならずオイルの粘度(オイル粘度指数Ro)に応じてバブル混入量を制御しても良い。
【0110】
また、上記実施例2〜4にかかる内燃機関の潤滑装置1−2〜1−4では、関係式から目標バブル混入量S,S´、開弁期間ta,ta´、オイル粘度指数Ro、現在バブル混入量Srを算出するが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御装置5の記憶部53に、予め機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温Toに基づく目標バブル混入量マップ、機関回転数Ne、負荷L、オイルの油温To、オイル粘度指数Roに基づく目標バブル混入量マップ、目標バブル混入量Sあるいは目標バブル混入量S´に基づく開弁期間マップ、機関回転数Ne、オイルの油温To、オイルの油圧Poに基づくオイル粘度指数マップ、マイクロバブルMの混入前の油面高さHoi、マイクロバブルMの混入後の油面高さHorに基づく現在バブル混入量マップなどを格納しておいても良い。制御装置5の処理部52は、これらのマップから目標バブル混入量S,S´、開弁期間ta,ta´、オイル粘度指数Ro、現在バブル混入量Srを算出しても良い。
【実施例5】
【0111】
次に、実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5について説明する。図11は、実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。同図に示す実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5が、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2と異なる点は、内燃機関の潤滑部に、マイクロバブルが混入されたオイルと、混入されていないオイルの2種類のオイルを循環させることができる点である。ここで、図11に示す実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5の基本的構成のうち、図4に示す実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置1−2の基本的構成と同一部分は、その説明を省略する。
【0112】
図11に示すように、実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5は、マイクロバブル発生装置6が備えられたオイル供給経路3とともに、マイクロバブル発生装置6が備えられていないオイル供給経路8が備えられている。つまり、この実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5は、マイクロバブルMが混入されたオイルを循環する混入側循環経路を構成するオイル供給経路3と、マイクロバブルMが混入されていない潤滑油を供給する無混入側循環経路を構成するオイル供給経路8とを備える。
【0113】
このオイル供給経路8は、動弁系潤滑部にオイルを供給し、循環させるものである。オイル供給経路8は、オイル供給経路3と同様に、オイルポンプ81と、オイル供給通路82とにより構成されている。オイルポンプ81は、オイルパン2に貯留されているオイルを動弁系潤滑部に圧送するためのものである。オイル供給通路82は、オイルポンプ81を介して、オイルパン2と動弁系潤滑部とを連通するものである。ここで、動弁系潤滑部としては、シリンダヘッドに位置する潤滑部であり、シリンダヘッドと吸排気バルブとの間、シリンダヘッドとカムシャフトとの間、吸排気バルブとカムとの間などの潤滑部である。なお、オイル供給経路3は、クランクシャフト系循環部にオイルを供給し、循環させるものである。ここで、動弁系潤滑部としては、シリンダブロックとピストンとの間、ピストンとコンロッドとの間、コンロッドとクランクシャフトとの間などの潤滑部である。
【0114】
動弁系潤滑部である吸排気バルブとカムとの間の潤滑部は、内燃機関の期間会テンスNeが低い状態で、流体潤滑および境界潤滑とからなる混合潤滑が行われる潤滑部である。この混合潤滑が行われる潤滑部は、油膜切れが発生し易い潤滑部である。つまり、実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置1−5は、油膜切れが発生し易い潤滑部には、オイル供給経路8によりマイクロバブルMが混入されていないオイルを供給し、循環させる。また、油膜切れが発生し難いクランクシャフト系潤滑部には、オイル供給装置3によりマイクロバブルMが混入されたオイルを供給し、循環させる。従って、液体潤滑を行った際の潤滑部の摩擦抵抗よりも摩擦抵抗を低減でき、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減することができる。また、マイクロバブルMが混入されていないオイルにより、流体潤滑および境界潤滑とからなる混合潤滑が行われるオイルの油膜切れを抑制することができ、この潤滑部を構成する部材どうしにおける耐焼き付き性の低下を抑制することができる。
【0115】
なお、上記実施例5では、オイル供給経路3,8ともに、オイルパン2に貯留されたオイルを動弁系潤滑部およびクランクシャフト系潤滑部に供給し、循環させるが、オイルパンを別々に備えていても良い。また、上記実施例5では、オイル供給経路3,8がオイルを供給し、循環させる潤滑部を動弁系潤滑部とクランクシャフト系潤滑部とに分けたがこれに限定されるものではない。油膜切れが発生し易い潤滑部、すなわち流体潤滑および境界潤滑とからなる混合潤滑が行われる潤滑部に、オイル供給経路8からマイクロバブルMが混入されていないオイルが供給されれば良い。
【0116】
なお、上記実施例2〜5では、マイクロバブル発生装置6は、強制的に気泡を形成させるために、エアポンプを備えていても良い。この場合は、オイルポンプ31の吐出側にマイクロバブル発生装置6を設けることができる。また、マイクロバブル発生装置6は、オイルポンプ31のせん断力により十分にマイクロバブルMを発生させることができる場合は、超音波発生装置63を備えなくても良い。つまり、エア導入通路61とエアバルブ62でマイクロバブル発生装置6を構成しても良い。また、オイルポンプ31のせん断力により十分にマイクロバブルMを発生させることができる場合は、オイルポンプ61の例えば図示しないケーシングに微細孔を複数形成することで、この微細孔を導入部として、気泡を形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上のように、この発明にかかる内燃機関の潤滑装置は、内燃機関の潤滑部における摩擦を低減する内燃機関の潤滑装置に有用であり、特に、内燃機関から出力される駆動力に対する摩擦による損失を低減するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施例1にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。
【図2】実施例1にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。
【図3】摩擦力と、バブル混入量との関係を示す図である。
【図4】実施例2にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。
【図5−1】マイクロバブル発生装置の構成例を示す図である。
【図5−2】マイクロバブル発生装置の動作説明図である。
【図6】実施例2にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。
【図7】実施例3にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。
【図8】実施例3にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。
【図9】実施例4にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。
【図10】実施例4にかかるマイクロバブル発生装置の制御フローを示す図である。
【図11】実施例5にかかる内燃機関の潤滑装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0119】
1 潤滑装置
2 オイルパン(潤滑油貯留室)
3 オイル供給経路(混入側循環経路)
31 オイルポンプ
32 オイル供給通路
33 バブル混入量センサ(バブル混入量検出手段)
4 マイクロバブル発生装置
41 混合槽
42 バブルポンプ
43 気体吸入通路
44 オイル吸入通路
45 バブル吐出通路
46 吸入制御弁
47 吐出制御弁
5 制御装置(バブル発生制御手段)
51 入出力部
52 処理部
53 記憶部
54 バブル混入量取得部
55 バブル発生制御部
6 マイクロバブル発生装置(マイクロバブル発生手段)
61 エア導入通路
62 エアバルブ
63 超音波発生装置(超音波発生手段)
7 油面センサ
8 オイル供給経路(無混入側循環経路)
81 オイルポンプ
82 オイル供給通路




 

 


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