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発明の名称 自動車およびその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9894(P2007−9894A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−244262(P2005−244262)
出願日 平成17年8月25日(2005.8.25)
代理人 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
発明者 佐藤 宏 / 田畑 満弘 / 奥田 弘一
要約 課題
坂路発進時や坂路走行時に車両がずり下がるのを抑制すると共に坂路発進や坂路走行をスムーズに行なう。

解決手段
坂路発進時や坂路での低速走行時には、路面勾配θfrに抗する駆動力をエンジンから出力する勾配対応回転数Nθとして設定すると共に(S110)、低μ路判定による低μ路補正回転数Nlowや車速Vに基づく車速差補正回転数Nv,ブレーキ圧Pbに基づくブレーキ補正回転数Nbを設定し(S120〜S250)、これらに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定し(S260)、目標スロットル開度THtagを設定する(S270)、そして、目標スロットル開度THtagとアクセル開度Accに基づく要求スロットル開度THreqとのうち大きい方を用いてエンジンを運転制御する(S290)。これにより、車両のずり下がりを抑制することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する前記内燃機関の回転数として目標回転数を設定すると共に該設定した目標回転数で前記内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、前記検出された駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度以上のときには該要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度未満のときには該設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する低車速時制御手段と、
を備える自動車。
【請求項2】
前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて車速差用補正回転数を設定し、前記設定した車速差用補正回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段である請求項1記載の自動車。
【請求項3】
前記低車速時制御手段は、前記車速差を打ち消す方向に作用するよう前記車速差用補正回転数を設定する手段である請求項2記載の自動車。
【請求項4】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、前記車速差用補正回転数を用いずに前記目標回転数を設定する手段である請求項2または3記載の自動車。
【請求項5】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求が加速要求でも減速要求でもなく且つ車両加速度から前記検出された路面勾配の影響を減じた加減速度の絶対値が所定値以上のときに路面上に障害物が有ると判定する手段である請求項4記載の自動車。
【請求項6】
前記低車速時制御手段は、前記検出された車速が略値0であり且つ前記内燃機関の回転数が所定回転数以上のときに路面上に障害物が有ると判定する手段である請求項4または5記載の自動車。
【請求項7】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいてブレーキ要求用補正回転数を設定し、前記設定したブレーキ要求用補正回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段である請求項1ないし6いずれか記載の自動車。
【請求項8】
前記低車速時制御手段は、前記ブレーキ要求が大きいほど前記目標回転数に対して負側に大きく作用する傾向に前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段である請求項7記載の自動車。
【請求項9】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された車速とに基づいて車両を停車している状態から発進する停車発進状態を判定し、該停車発進状態が判定されないときには第1の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定し、該停車発進状態が判定されているときには前記第1の関係より前記ブレーキ要求に対して回転数が小さくなる傾向の第2の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段である請求項7または8記載の自動車。
【請求項10】
前記低車速時制御手段は、前記検出された車速が略値0の状態で前記検出された駆動力要求が所定のブレーキ要求以上のブレーキ要求がなされたときに前記停車発進状態を判定し、該停車発進状態を判定した後に前記検出された車速が所定車速以上に至ったときに該停車発進状態を解除する手段である請求項9記載の自動車。
【請求項11】
前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記第2の関係より前記ブレーキ要求に対して回転数が小さくなる傾向の第3の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段である請求項9または10記載の自動車。
【請求項12】
前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標回転数が減少補正されるよう調整する手段である請求項1ないし11いずれか記載の自動車。
【請求項13】
請求項12記載の自動車であって、
操作者の操作に伴って低摩擦係数状態を設定する低摩擦係数状態設定手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記低摩擦係数状態設定手段により低摩擦係数状態が設定されたことを前記所定の判定条件として判定する手段である
自動車。
【請求項14】
請求項12記載の自動車であって、
車輪速を検出する車輪速検出手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記検出された車輪速に基づいてスリップ率を演算し、該演算したスリップ率に基づいて前記低摩擦係数状態を判定する手段である
自動車。
【請求項15】
前記低車速時制御手段は、前記演算したスリップ率が目標スリップ率より大きいときに前記低摩擦係数状態を判定する手段である請求項14記載の自動車。
【請求項16】
前記低車速時制御手段は、前記検出された路面勾配が大きいほど小さくなる傾向に前記目標スリップ率を設定して前記低摩擦係数状態を判定する手段である請求項15記載の自動車。
【請求項17】
請求項15または16記載の自動車であって、
車両の横方向の傾斜を検出する横傾斜検出手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記検出された横方向の傾斜が大きいほど小さくなる傾向に前記目標スリップ率を設定して前記低摩擦係数状態を判定する手段である
自動車。
【請求項18】
前記低車速時制御手段は、前記演算したスリップ率が前記目標スリップ率より大きいほど大きな減少補正用のスリップ調整用回転数を設定し、該設定したスリップ調整用回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段である請求項15ないし17いずれか記載の自動車。
【請求項19】
請求項12ないし18いずれか記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、
前記低車速時制御手段は、前記目標回転数が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項20】
請求項1ないし19いずれか記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
を備え、
前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには前記設定された目標回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項21】
前記低車速時制御手段は、前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには該要求スロットル開度で定常運転したときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である請求項20記載の自動車。
【請求項22】
請求項1ないし21いずれか記載の自動車であって、
運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標回転数を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係より回転数が小さくなる第2の関係により前記目標回転数を設定する手段である
自動車。
【請求項23】
前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備える請求項22記載の自動車。
【請求項24】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が前記内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、前記検出された駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度以上のときには該要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度未満のときには該設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する低車速時制御手段と、
を備える自動車。
【請求項25】
前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段である請求項24記載の自動車。
【請求項26】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、該判定結果に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段である請求項24または25記載の自動車。
【請求項27】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段である請求項24ないし26いずれか記載の自動車。
【請求項28】
前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標スロットル開度が減少補正されるよう調整する手段である請求項24ないし27いずれか記載の自動車。
【請求項29】
請求項28記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、
前記低車速時制御手段は、前記目標スロットル開度が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項30】
請求項24ないし29いずれか記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
を備え、
前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには該目標スロットル開度で定常運転したときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項31】
請求項24ないし30いずれか記載の自動車であって、
運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標スロットル開度を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係よりスロットル開度が小さくなる第2の関係により前記目標スロットル開度を設定する手段である
自動車。
【請求項32】
前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備える請求項31記載の自動車。
【請求項33】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、前記検出された路面勾配に基づいて車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、前記検出された駆動力要求に対応する要求駆動力が前記設定した目標駆動力以上のときには該要求駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御し、前記要求駆動力が前記設定した目標駆動力未満のときには該設定した目標駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御する低車速制御手段と、
を備える自動車。
【請求項34】
前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて前記目標駆動力を設定する手段である請求項33記載の自動車。
【請求項35】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、該判定結果に基づいて前記目標駆動力を設定する手段である請求項33または34記載の自動車。
【請求項36】
前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいて前記目標駆動力を設定する手段である請求項33ないし35いずれか記載の自動車。
【請求項37】
前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標駆動力が減少補正されるよう調整する手段である請求項33ないし36いずれか記載の自動車。
【請求項38】
請求項37記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、
前記低車速時制御手段は、前記目標駆動力が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項39】
請求項33ないし38いずれか記載の自動車であって、
前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、
前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
を備え、
前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標駆動力を用いて前記内燃機関を運転するときには該目標駆動力が出力されるときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段である
自動車。
【請求項40】
請求項33ないし39いずれか記載の自動車であって、
運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、
前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標駆動力を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係より駆動力が小さくなる第2の関係により前記目標駆動力を設定する手段である
自動車。
【請求項41】
前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備える請求項40記載の自動車。
【請求項42】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する前記内燃機関の回転数として目標回転数を設定し、
(b)該設定した目標回転数で前記内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、
(c)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度以上のときには前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度未満のときには前記設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する
自動車の制御方法。
【請求項43】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が前記内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、
(b)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度以上のときには前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度未満のときには前記設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する
自動車の制御方法。
【請求項44】
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)路面勾配に基づいて車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、
(b)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応する要求駆動力が前記設定した目標駆動力以上のときには前記要求駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御し、前記要求駆動力が前記設定した目標駆動力未満のときには前記設定した目標駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御する
自動車の制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車としては、走行可能なシフトレンジでアイドリング状態となり、且つ、ブレーキもアクセルも共にオフのときには車速が目標クリープ車速となるよう走行用の動力を出力する内燃機関の吸入空気量をフィードバック制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、坂路での発進時にブレーキをオフしたときでも、車両がずり下がるのを抑制することができる、とされている。
【特許文献1】特開平10−166897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の自動車では、アクセルやブレーキがオンのときには目標クリープ車速となるように吸入空気量のフィードバック制御が行なわれなくなるから、アクセルやブレーキの踏み込み量によっては路面勾配に抗する駆動力や制動力を出力することができず、車両がずり下がる場合が生じる。また、こうした坂路走行では、路面の摩擦係数が小さいときに目標クリープ車速となるよう駆動力を出力するとスリップが生じる場合もある。
【0004】
本発明の自動車およびその制御方法は、坂路発進時や坂路走行時に車両がずり下がるのを抑制することを目的の一つとする。また、本発明の自動車およびその制御方法は、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことを目的の一つとする。さらに、本発明の自動車およびその制御方法は、坂路発進時や坂路走行時におけるスリップを抑制することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動車およびその制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の第1の自動車は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する前記内燃機関の回転数として目標回転数を設定すると共に該設定した目標回転数で前記内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、前記検出された駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度以上のときには該要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度未満のときには該設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する低車速時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の第1の自動車では、車速が所定車速以下で路面勾配が所定勾配以上のときには、車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する内燃機関の回転数として目標回転数を設定すると共にこの設定した目標回転数で内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度以上のときには要求スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御し、要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度未満のときには設定した目標スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標スロットル開度と運転者要求の要求スロットル開度とのうち大きい方のスロットル開度を用いて内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。
【0008】
こうした本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて車速差用補正回転数を設定し、前記設定した車速差用補正回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車速に応じて目標回転数を設定することができ、車速を目標車速で走行させることができる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記車速差を打ち消す方向に作用するよう前記車速差用補正回転数を設定する手段であるものとすることもできる。
【0009】
この車速差用補正回転数を設定する態様の本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、前記車速差用補正回転数を用いずに前記目標回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、路面上の障害物の有無に基づいて目標回転数を設定して内燃機関を運転制御することができる。路面上の障害物としては、例えば車止め縁石などが含まれる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求が加速要求でも減速要求でもなく且つ車両加速度から前記検出された路面勾配の影響を減じた加減速度の絶対値が所定値以上のときに路面上に障害物が有ると判定する手段であるものとすることもできる。また、前記低車速時制御手段は、前記検出された車速が略値0であり且つ前記内燃機関の回転数が所定回転数以上のときに路面上に障害物が有ると判定する手段であるものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいてブレーキ要求用補正回転数を設定し、前記設定したブレーキ要求用補正回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、ブレーキ要求の際により適正な目標回転数を設定することができ、ブレーキ要求の際により適正な駆動力を内燃機関から出力することができる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記ブレーキ要求が大きいほど前記目標回転数に対して負側に大きく作用する傾向に前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
こうしたブレーキ要求用補正回転数を設定する態様の本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された車速とに基づいて車両を停車している状態から発進する停車発進状態を判定し、該停車発進状態が判定されないときには第1の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定し、該停車発進状態が判定されているときには前記第1の関係より前記ブレーキ要求に対して回転数が小さくなる傾向の第2の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、停車発進状態であるか否かにより、より適正な目標回転数を設定してより適正な駆動力を内燃機関から出力することができる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記検出された車速が略値0の状態で前記検出された駆動力要求が所定のブレーキ要求以上のブレーキ要求がなされたときに前記停車発進状態を判定し、該停車発進状態を判定した後に前記検出された車速が所定車速以上に至ったときに該停車発進状態を解除する手段であるものとすることもできる。また、前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記第2の関係より前記ブレーキ要求に対して回転数が小さくなる傾向の第3の関係に基づいて前記ブレーキ要求用補正回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、低摩擦係数状態でもより適正な目標回転数を設定してより適正な駆動力を内燃機関から出力することができる。この結果、スリップを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標回転数が減少補正されるよう調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両のスリップを抑制することができる。
【0013】
この低摩擦係数状態を判定する態様の本発明の第1の自動車において、操作者の操作に伴って低摩擦係数状態を設定する低摩擦係数状態設定手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記低摩擦係数状態設定手段により低摩擦係数状態が設定されたことを前記所定の判定条件として判定する手段であるものとすることもできる。これにより、操作者の意志を反映することができる。
【0014】
また、低摩擦係数状態を判定する態様の本発明の第1の自動車において、車輪速を検出する車輪速検出手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記検出された車輪速に基づいてスリップ率を演算し、該演算したスリップ率に基づいて前記低摩擦係数状態を判定する手段であるものとすることもできる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記演算したスリップ率が目標スリップ率より大きいときに前記低摩擦係数状態を判定する手段であるものとすることもできる。更にこの場合、前記低車速時制御手段は、前記検出された路面勾配が大きいほど小さくなる傾向に前記目標スリップ率を設定して前記低摩擦係数状態を判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、路面勾配に応じて低摩擦係数状態を判定することができる。
【0015】
スリップ率が目標スリップ率より大きいときに低摩擦係数状態を判定する態様の本発明の第1の自動車において、車両の横方向の傾斜を検出する横傾斜検出手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記検出された横方向の傾斜が大きいほど小さくなる傾向に前記目標スリップ率を設定して前記低摩擦係数状態を判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両の横方向へのスリップを抑制することができる。
【0016】
また、スリップ率が目標スリップ率より大きいときに低摩擦係数状態を判定する態様の本発明の第1の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記演算したスリップ率が前記目標スリップ率より大きいほど大きな減少補正用のスリップ調整用回転数を設定し、該設定したスリップ調整用回転数に基づいて前記目標回転数を設定する手段であるものとすることもできる。
【0017】
低摩擦係数状態を判定する態様の本発明の第1の自動車において、前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、前記低車速時制御手段は、前記目標回転数が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、目標回転数の減少補正に基づく駆動力を電動機から出力することができるから、路面状態が低摩擦係数状態のときの坂路発進や坂路走行をよりスムーズに行なうことができる。
【0018】
本発明の第1の自動車において、前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、を備え、前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには前記設定された目標回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の応答遅れにより出力すべき駆動力が内燃機関から出力されていないときでも電動機から不足分の駆動力が出力されるから、坂路発進や坂路走行の際に車両がずり下がるのを抑制することができると共によりスムーズに走行することができる。この場合、前記低車速時制御手段は、前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには該要求スロットル開度で定常運転したときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。
【0019】
本発明の第1の自動車において、運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標回転数を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係より回転数が小さくなる第2の関係により前記目標回転数を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行方向に応じた目標回転数を設定することができる。即ち、後進方向に走行するときには前進方向に走行するときより路面勾配に対して小さな目標回転数を設定することにより、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感を小さなものとすることができる。この場合、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感をより抑制することができる。
【0020】
本発明の第2の自動車は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が前記内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、前記検出された駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度以上のときには該要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が該設定した目標スロットル開度未満のときには該設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する低車速時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0021】
この本発明の第2の自動車では、車速が所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときには、車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度以上のときには要求スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御し、要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度未満のときには設定した目標スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標スロットル開度と運転者要求の要求スロットル開度とのうち大きい方のスロットル開度を用いて内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。
【0022】
こうした本発明の第2の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車速に応じて目標スロットル開度を設定することができ、車速を目標車速で走行させることができる。
【0023】
また、本発明の第2の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、該判定結果に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、路面上の障害物の有無に基づいて目標スロットル開度を設定して内燃機関を運転制御することができる。
【0024】
さらに、本発明の第2の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいて前記目標スロットル開度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、ブレーキ要求の際により適正な目標スロットル開度を設定することができ、ブレーキ要求の際により適正な駆動力を内燃機関から出力することができる。
【0025】
あるいは、本発明の第2の自動車において、前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標スロットル開度が減少補正されるよう調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両のスリップを抑制することができる。この場合、前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、前記低車速時制御手段は、前記目標スロットル開度が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、目標スロットル開度の減少補正に基づく駆動力を電動機から出力することができるから、路面状態が低摩擦係数状態のときの坂路発進や坂路走行をよりスムーズに行なうことができる。
【0026】
また、本発明の第2の自動車において、前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、を備え、前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転するときには該目標スロットル開度で定常運転したときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の応答遅れにより出力すべき駆動力が内燃機関から出力されていないときでも電動機から不足分の駆動力が出力されるから、坂路発進や坂路走行の際に車両がずり下がるのを抑制することができると共によりスムーズに走行することができる。
【0027】
本発明の第2の自動車において、運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標スロットル開度を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係よりスロットル開度が小さくなる第2の関係により前記目標スロットル開度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行方向に応じた目標スロットル開度を設定することができる。即ち、後進方向に走行するときには前進方向に走行するときより路面勾配に対して小さな目標スロットル開度を設定することにより、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感を小さなものとすることができる。この場合、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感をより抑制することができる。
【0028】
本発明の第3の自動車は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され、少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、
運転者の操作に基づく駆動力要求を検出する駆動力要求検出手段と、
路面勾配を検出する路面勾配検出手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ前記検出された路面勾配が所定勾配以上のとき、前記検出された路面勾配に基づいて車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、前記検出された駆動力要求に対応する要求駆動力が前記設定した目標駆動力以上のときには該要求駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御し、前記要求駆動力が前記設定した目標駆動力未満のときには該設定した目標駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御する低車速制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0029】
この本発明の第3の自動車では、車速が所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときには、路面勾配に基づいて車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応する要求駆動力が設定した目標駆動力以上のときには要求駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御し、要求駆動力が設定した目標駆動力未満のときには設定した目標駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標駆動力と運転者要求の要求駆動力とのうち大きい方の駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。
【0030】
こうした本発明の第3の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された車速から前記目標車速を減じた車速差に基づいて前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車速に応じて目標駆動力を設定することができ、車速を目標車速で走行させることができる。
【0031】
また、本発明の第3の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求と前記検出された路面勾配と前記検出された車速のうちの少なくとも一部を用いて路面上の障害物の有無を判定し、該路面上に障害物が有ると判定されたときには、該判定結果に基づいて前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、路面上の障害物の有無に基づいて目標駆動力を設定して内燃機関を運転制御することができる。
【0032】
さらに、本発明の第3の自動車において、前記低車速時制御手段は、前記検出された駆動力要求がブレーキ要求のときには該ブレーキ要求に基づいて前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、ブレーキ要求の際により適正な目標スロットル開度を設定することができ、ブレーキ要求の際により適正な駆動力を内燃機関から出力することができる。
【0033】
あるいは、本発明の第3の自動車において、前記低車速時制御手段は、所定の判定条件に基づいて路面の摩擦係数が所定値以下となる低摩擦係数状態を判定し、該低摩擦係数状態が判定されたときには前記目標駆動力が減少補正されるよう調整する手段であるものとすることもできる。こうすれば、車両のスリップを抑制することができる。この場合、前記内燃機関からの動力が出力される車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機を備え、前記低車速時制御手段は、前記目標駆動力が減少補正されるよう調整したときには該減少補正に基づく駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、目標スロットル開度の減少補正に基づく駆動力を電動機から出力することができるから、路面状態が低摩擦係数状態のときの坂路発進や坂路走行をよりスムーズに行なうことができる。
【0034】
また、本発明の第3の自動車において、前記内燃機関からの動力が出力される車軸または該車軸とは異なる車軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、を備え、前記低車速時制御手段は、少なくとも前記目標駆動力を用いて前記内燃機関を運転するときには該目標駆動力が出力されるときに想定される前記内燃機関の回転数と前記検出された回転数との回転数差に対応する駆動力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、内燃機関の応答遅れにより出力すべき駆動力が内燃機関から出力されていないときでも電動機から不足分の駆動力が出力されるから、坂路発進や坂路走行の際に車両がずり下がるのを抑制することができると共によりスムーズに走行することができる。
【0035】
本発明の第3の自動車において、運転者の操作に基づいて走行方向を設定する走行方向設定手段を備え、前記低車速時制御手段は、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記路面勾配に対する第1の関係により前記目標駆動力を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記第1の関係より駆動力が小さくなる第2の関係により前記目標駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、走行方向に応じた目標駆動力を設定することができる。即ち、後進方向に走行するときには前進方向に走行するときより路面勾配に対して小さな目標駆動力を設定することにより、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感を小さなものとすることができる。この場合、前記走行方向設定手段により走行方向として前進方向が設定されているときには前記目標車速として第1の車速を設定し、前記走行方向設定手段により走行方向として後進方向が設定されているときには前記目標車速として前記第1の車速より小さな第2の車速を設定する目標車速設定手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、通常の走行方向である前進方向の際に作用する加速度と逆側の加速度が作用する際に運転者に与える違和感や不安感をより抑制することができる。
【0036】
本発明の第1の自動車の制御方法は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する前記内燃機関の回転数として目標回転数を設定し、
(b)該設定した目標回転数で前記内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、
(c)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度以上のときには前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度未満のときには前記設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する
ことを要旨とする。
【0037】
この本発明の第1の自動車の制御方法では、車速が所定車速以下で路面勾配が所定勾配以上のときには、車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力に対応する内燃機関の回転数として目標回転数を設定すると共にこの設定した目標回転数で内燃機関を運転するためのスロットル開度として目標スロットル開度を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度以上のときには要求スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御し、要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度未満のときには設定した目標スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標スロットル開度と運転者要求の要求スロットル開度とのうち大きい方のスロットル開度を用いて内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。なお、本発明の第1の自動車の制御方法では、前述の本発明の第1の自動車の各態様における低車速時制御手段による制御を本発明の第1の自動車の制御方法の各態様として用いることもできる。
【0038】
本発明の第2の自動車の制御方法は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が前記内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、
(b)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度以上のときには前記要求スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御し、前記要求スロットル開度が前記設定した目標スロットル開度未満のときには前記設定した目標スロットル開度を用いて前記内燃機関を運転制御する
ことを要旨とする。
【0039】
この本発明の第2の自動車の制御方法では、車速が所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときには、車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行するための駆動力が内燃機関から出力されるよう目標スロットル開度を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応するスロットル開度としての要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度以上のときには要求スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御し、要求スロットル開度が設定した目標スロットル開度未満のときには設定した目標スロットル開度を用いて内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標スロットル開度と運転者要求の要求スロットル開度とのうち大きい方のスロットル開度を用いて内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。なお、本発明の第2の自動車の制御方法では、前述の本発明の第2の自動車の各態様における低車速時制御手段による制御を本発明の第2の自動車の制御方法の各態様として用いることもできる。
【0040】
本発明の第3の自動車の制御方法は、
走行用の駆動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸側と車軸側とに連結され少なくとも所定の低車速領域では前記内燃機関の回転数に応じた駆動力を車軸側に伝達する駆動力伝達手段と、を備える自動車における、車速が前記所定の低車速領域に含まれる所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときの該自動車の制御方法であって、
(a)路面勾配に基づいて車両を前記所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、
(b)運転者の操作に基づく駆動力要求に対応する要求駆動力が前記設定した目標駆動力以上のときには前記要求駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御し、前記要求駆動力が前記設定した目標駆動力未満のときには前記設定した目標駆動力が出力されるよう前記内燃機関を運転制御する
ことを要旨とする。
【0041】
この本発明の第3の自動車の制御方法では、車速が所定車速以下で且つ路面勾配が所定勾配以上のときには、路面勾配に基づいて車両を所定車速以下の車速として設定された目標車速で定速走行させるための駆動力に基づいて目標駆動力を設定し、運転者の操作に基づく駆動力要求に対応する要求駆動力が設定した目標駆動力以上のときには要求駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御し、要求駆動力が設定した目標駆動力未満のときには設定した目標駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御する。即ち、目標車速で定速走行するための目標駆動力と運転者要求の要求駆動力とのうち大きい方の駆動力が出力されるよう内燃機関を運転制御するのである。これにより、運転者の操作および操作量に拘わらず、車両が路面勾配によってずり下がるのを抑制することができ、坂路発進や坂路走行をスムーズに行なうことができる。ここで、駆動力要求には進行方向側への駆動力の要求の他、制動力の要求も含まれる。例えば、アクセルペダルの踏み込みによる駆動力要求が含まれる他、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキ要求も含まれる。なお、本発明の第3の自動車の制御方法では、前述の本発明の第3の自動車の各態様における低車速時制御手段による制御を本発明の第3の自動車の制御方法の各態様として用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、4輪駆動により走行可能な自動車として構成されており、エンジン22からの動力をトルクコンバータ25や無段変速機としてのCVT50,ギヤ機構65を介して前軸64に出力して前輪63a,63bを駆動する前輪駆動系と、モータ40からの動力をギヤ機構68を介して後軸67に出力して後輪66a,66bを駆動する後輪駆動系と、装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0044】
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入する共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃料室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト23の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化装置(三元触媒)134を介して外気へ排出される。
【0045】
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)29により制御されている。エンジンECU29は、CPU29aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU29aの他に処理プログラムを記憶するROM29bと、データを一時的に記憶するRAM29cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU29には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、クランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室内に取り付けられた圧力センサ143からの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットルポジション,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からのエアフローメータ信号AF,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU29からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU29は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。
【0046】
また、エンジン22のクランクシャフト23には、スタータモータ22aが取り付けられていると共にモータ40に電力を供給するために発電するオルタネータ32やCVT50を駆動するためのライン油圧を発生させる機械式オイルポンプ26がベルト24により取り付けられており、エンジン22からの動力を用いて発電したり、油圧を発生させたりできるようになっている。
【0047】
トルクコンバータ25は、周知のロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、発進時や低車速走行時にはエンジン22側の回転数に応じたトルクをCVT50側に出力する。このトルクコンバータ25のロックアップクラッチは、CVTECU59により制御されている。
【0048】
CVT50は、溝幅が変更可能でインプットシャフト51に接続されたプライマリープーリー53と、同じく溝幅が変更可能で駆動軸としてのアウトプットシャフト52に接続されたセカンダリープーリー54と、プライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝に架けられたベルト55と、プライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝幅を変更する第1アクチュエータ56および第2アクチュエータ57とを備え、第1アクチュエータ56および第2アクチュエータ57を用いてプライマリープーリー53およびセカンダリープーリー54の溝幅を変更することによりインプットシャフト51の動力を無段階に変速してアウトプットシャフト52に出力する。CVT50はCVT用電子制御ユニット(以下、CVTECUという)59により変速制御される。CVTECU59には、インプットシャフト51に取り付けられた回転数センサ61からのインプットシャフト51の回転数Ninやアウトプットシャフト52に取り付けられた回転数センサ62からのアウトプットシャフト52の回転数Noutなどが入力されており、CVTECU59からは第1アクチュエータ56や第2アクチュエータ57への駆動信号が出力されている。また、CVTECU59は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってCVT50の変速比を制御すると共に必要に応じてインプットシャフト51の回転数Ninやアウトプットシャフト52の回転数NoutなどCVT50の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0049】
モータ40は、発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41を介して高圧バッテリ31と電力をやり取りしたりオルタネータ32から電力の供給を受ける。モータ40は、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)42により駆動制御されている。モータECU42には、モータ40を駆動制御するために必要な信号、例えばモータ40の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータ40に印加される相電流などが入力されている。モータECU42は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってインバータ41へのスイッチング制御信号を出力することによりモータ40を駆動制御すると共に必要に応じてモータ40の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0050】
モータ40に電力供給可能な高圧バッテリ31は、定格電圧Vh(例えば42[V])の二次電池として構成されており、オルタネータ32から供給された電力を蓄電すると共にモータ40と電力をやり取りする。高圧バッテリ31は、DC/DCコンバータ34を介して定格電圧Vhよりも低い定格電圧Vl(例えば12[V]程度)の二次電池として構成された低圧バッテリ35や補機36に接続されており、低圧バッテリ35や補機36に電力供給できるようになっている。高圧バッテリ31や低圧バッテリ35,DC/DCコンバータ34は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)30によって管理されている。バッテリECU30には、高圧バッテリ31や低圧バッテリ35を管理するのに必要な信号、例えば、図示しないセンサによって検出された両バッテリの端子間電圧や,充放電電流,電池温度などが入力されており、必要に応じて両バッテリの状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU30では、高圧バッテリ31や低圧バッテリ35を管理するために充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0051】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ87からの車速V,加速度を検出するGセンサ88からの前後および左右の加速度Gfr,Grl,運転席近傍のインストールパネルに設けられた濡れた路面や雪道などの静止摩擦係数が小さい低μ路を運転する際の低μ路走行を設定する低μ路スイッチ89からの低μ路スイッチSW,運転者のブレーキペダル85の操作に基づいてブレーキオイルに油圧(マスターシリンダ圧)を発生させるブレーキマスターシリンダ90に取り付けられた圧力センサ91からのブレーキ圧Pb,前輪63a,63bおよび後輪66a,66bに取り付けられた車輪速センサ69a〜69dからの車輪速Vw1〜Vw4などが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、オルタネータ32への制御信号や補機36への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、エンジンECU29やバッテリECU30,モータECU42,CVTECU59と各種制御信号やデータのやり取りを行なっている。
【0052】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、路面勾配θが所定勾配(例えば、10度以上など)以上の坂路で発進するときやこうした坂路を低速(例えば、5km/h以下)で走行しているときの動作について説明する。図3は、坂路で停車しているときや低速で走行しているときにハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される坂路低車速走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0053】
坂路低車速走行時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,圧力センサ91からのブレーキ圧Pb,車速センサ87からの車速V,車輪速センサ69a〜69dからの車輪速Vw1〜Vw4,エンジン22の回転数Ne,Gセンサ88からの前後および左右の加速度Gfr,Grl,車両の前後および左右の勾配θfr,θrlなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ140により検出されたクランクポジションに基づいて演算されたものをエンジンECU29から通信により入力するものとした。また、車両の前後および左右の勾配θfr,θrlは、Gセンサ88からの前後および左右の加速度Gfr,Grlから計算してRAM76の所定領域に書き込まれているものを入力するものとした。
【0054】
こうしてデータを入力すると、入力した車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定する(ステップS110)。ここで、勾配対応回転数Nθは、車両前後の勾配θfrに換算係数を乗じることによって求めて設定することもできるし、予め実験などにより車両前後の勾配θfrと勾配対応回転数Nθとの関係を求めて換算マップとしてROM74に記憶しておき、車両前後の勾配θfrが与えられると換算マップから対応する勾配対応回転数Nθを導出して設定することもできる。なお、目標車速V*としては、例えば3km/hや4km/hなどを用いることができる。
【0055】
続いて、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車両前後の加速度Gfr,車両前後の勾配θfr,前回このルーチンが実行されたときに設定された車速差補正回転数Nvに基づいて車両が車止めなどの段差に当接している状態にあるか否かの段差判定を行なう(ステップS120)。ここで、車速差補正回転数Nvは、車両の車速Vと目標車速V*との車速差に基づいてこの車速差が打ち消される方向に作用するエンジン22の回転数の補正値であり、例えば、図5に例示する車速差補正回転数設定用マップにより設定される。このマップでは、車速Vが目標車速V*より大きいときには負の値の車速差補正回転数Nvが設定され、車速Vが目標車速V*より小さいときには正の値の車速差補正回転数Nvが設定される。このように車速差補正回転数Nvを設定することにより、車速Vを目標車速V*に近づけることができる。段差判定は、図4に例示する段差判定処理により行なわれる。この段差判定処理では、アクセル開度Accに基づいてアクセルオフか否か(ステップS400)、ブレーキペダルポジションBPに基づいてブレーキオフか否か(ステップS410)、が判定され、いずれかがオンのときには段差判定できないため、段差無しの判定(J1=0)を行なって(ステップS460)、段差判定処理を終了する。アクセルもブレーキもオフのときには車両がほぼ停車状態にあるか否かを車速Vと値0近傍に設定された閾値Vref1とを比較することにより判定する(ステップS420)。車速Vが閾値Vref1未満であるために車両がほぼ停車状態にあると判定されたときには、車速差補正回転数Nvが閾値Nref1以上であるか否かを判定し(ステップS430)、車速差補正回転数Nvが閾値Nref1以上のときには車両がほぼ停車状態にあるにも拘わらず車速差補正回転数Nvが大きな値となることから、段差有り(J1=1)と判定して(ステップS480)、段差判定処理を終了し、車速差補正回転数Nvが閾値Nref1未満のときには、段差無し(J1=0)と判定して(ステップS470)、段差判定処理を終了する。車速Vが閾値Vref1以上であるために車両は停止状態にはないと判定したときには、車両の前後方向の加速度Gfrから車両の前後方向の勾配θfrに換算係数kgを乗じたものを減じて車両の前後方向の加速度Gfrから車両の前後方向の勾配θfrの影響を減じたものとして判定用加速度Gsetを計算し(ステップS440)、この計算した判定用加速度Gsetが段差がない平坦路では通常は生じない程度の加速度として設定された閾値Gref以上であるか否かを判定する(ステップS450)。そして、判定用加速度Gsetが閾値Gref以上のときには、段差有り(J1=1)と判定して(ステップS480)、段差判定処理を終了し、判定用加速度Gsetが閾値Gref未満のときには、段差無し(J1=0)と判定して(ステップS460)、段差判定処理を終了する。このように、アクセルとブレーキとが共にオフの状態で車両がほぼ停車状態にあるときには車速差補正回転数Nvが必要以上に大きいか否かにより段差判定を行ない、車両が停車状態にないときには車両の前後方向の加速度Gfrから車両の前後方向の勾配θfrの影響を減じて得られる判定用加速度Gsetが段差がない平坦路では通常は生じない程度の加速度(閾値Gref)以上か否かにより段差判定するのである。こうして段差判定を行ない段差がないと判定されると、目標車速V*と車速Vとの車速差に基づいて上述した車速差補正回転数Nvを設定し(ステップS140)、段差があると判定されると、必要以上に大きな車速差補正回転数Nvが設定され、これによってエンジン22が運転されるのを回避するために、車速差補正回転数Nvに値0を設定する(ステップS145)。
【0056】
次に、車両の前後方向や左右方向の勾配θfr,θrlに基づいて目標スリップ率Sl*を設定すると共に(ステップS150)、車輪速Vw1〜Vw4に基づいて前輪63a,63bのスリップ率Slを計算し(ステップS160)、計算したスリップ率Slと目標スリップ率Sl*とを比較する(ステップS170)。ここで、スリップ率Slは、車輪速Vw1〜Vw4のうち最も大きい車輪速を除いた3つの車輪速の平均車輪速を求め、前輪63a,63bの車輪速から平均車輪速を減じたものを平均車輪速で除したものとして計算することができる。目標スリップ率Sl*は、実施例では、勾配θと目標スリップ率Sl*との関係を予め設定して目標スリップ率設定用マップとしてROM74に記憶しておき、車両の前後方向や左右方向の勾配θfr,θrlが与えられると、マップから対
応する前後方向に対応する目標スリップ率Sl*を前後方向用スリップ率として導出すると共に左右方向に対応する目標スリップ率Sl*を左右方向用スリップ率として導出し、得られた二つのスリップ率のうち小さい方を目標スリップ率Sl*として設定するものとした。目標スリップ率設定用マップの一例を図6に示す。この図6の例では、勾配θfr,θrlが大きくなるほど小さくなる傾向に目標スリップ率Sl*が設定される。一般的に、スリップ率Slについては、路面の静止摩擦係数が最大となる0.2〜0.3程度のときが最も駆動力の伝達率がよくなり、これを超えると車両が不安定な状態になることが知られている。路面の最大静止摩擦係数は季節や状態,場所によって変化するため、目標スリップ率Sl*としては上述の値より若干低めに設定される。さらに、路面に勾配が存在するときには、車両が不安定な状態になったときからの回復が平坦路に比して困難なものとなる。このため、実施例では、勾配θfr,θrlが大きいほど小さくなる傾向に目標スリップ率Sl*を設定することにより、車両の安定性を確保するのである。したがって、スリップ率Slが目標スリップ率Sl*より大きいときには、低μ路を走行していると判定し、エンジン22からの出力を抑制するためにスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づいて低μ路補正回転数Nlowを設定すると共に(ステップS240)。ブレーキマスターシリンダ90の圧力であるブレーキ圧Pbに基づいて低μ路用のブレーキ補正回転数Nbを設定する(ステップS250)。実施例では、低μ路補正回転数Nlowは、スリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差と低μ路補正回転数Nlowとの関係を予め設定して低μ路補正回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、スリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差が与えられると、マップから対応する低μ路補正回転数Nlowを導出することにより設定するものとした。図7にスリップ率Slと目標スリップ率Sl*と低μ路補正回転数Nlowとの関係の一例を示す。図示するように、目標スリップ率Sl*よりスリップ率Slが大きいほど負の値として大きな低μ路補正回転数Nlowが設定される。ブレーキ補正回転数Nbは、運転者がブレーキペダル85を踏み込むことにより出力される制動力を考慮して車両が路面勾配によりずり下がらないようエンジン22の出力を減少補正する回転数であり、車両の低速での走行時や減速時の通常時,停車から発進する停車発進時,スリップが生じやすい低μ路と判定された低μ路判定時に対応するブレーキ補正回転数設定用マップを用いて設定する。通常時や停車発進時,低μ路判定時に対応するブレーキ補正回転数設定用マップの一例を図8に示す。図8の例では、通常時に比して停車発進時の方がブレーキ圧Pbに対して小さなブレーキ補正回転数Nbが設定され、この停車発進時より低μ路判定時の方が更にブレーキ圧Pbに対して小さなブレーキ補正回転数Nbが設定される。これは、発進時には、通常時に比して運転者のブレーキ操作に対するエンジン22の出力への影響を小さくすることにより、発進をスムーズにできるためであり、低μ路判定時では、更にこうした運転者のブレーキ操作に対するエンジン22の出力への影響を小さくすることにより、低μ路におけるエンジン22からの出力の変動を小さくして安定して走行することができるようにするためである。なお、前述したように、低μ路判定時には、低μ路補正回転数Nlowによりエンジン22の出力は小さくなるよう補正されている。実施例では、こうした低μ路補正回転数Nlowの設定や低μ路判定時のマップを用いたブレーキ補正回転数Nbの設定は、ステップS170によりスリップ率Slが目標スリップ率Sl*より大きいときだけでなく、ステップS180に示すように、運転席近傍のインストールパネルに設けられた低μ路スイッチ89がオンとされたときにも行なわれる。
【0057】
スリップ率Slが目標スリップ率Sl*以下で低μ路スイッチ89がオフとされているときには、低μ路補正回転数Nlowに値0を設定すると共に(ステップS190)、車速Vとブレーキ圧PbとブレーキペダルポジションBPとに基づいて停車発進時であるか否かを判定し(ステップS200)、停車発進時ではないと判定されたときにはブレーキ圧Pbと通常時のブレーキ補正回転数設定用マップとを用いてブレーキ補正回転数Nbの設定し(ステップS220)、停車発進時と判定されたときにはブレーキ圧Pbと停車発進時のブレーキ補正回転数設定用マップとを用いてブレーキ補正回転数Nbの設定する(ステップS230)。ここで、停車発進時であるか否かの判定は、図9に例示する停車発進時判定処理により行なわれる。停車発進時判定処理では、まず、車速Vを低速走行を判定する閾値V1(例えば、5km/h)および発進の終了を判定する閾値V2(例えば、3km/h)と比較する(ステップS500,S510)。車速Vが閾値V1未満のときには、ブレーキ圧Pbが停車のために必要なブレーキ圧以上の値として設定された閾値Prefと比較し(ステップS520)、ブレーキ圧Pbが閾値Pref以上のときには停車発進時(J2=1)を判定して(ステップS530)、処理を終了する。一方、ステップS500で車速Vが閾値V1以上と判定されたときには、停車発進時ではないと判断し、停車発進時の解除(J2=0)を判定して(ステップS540)、処理を終了する。車速Vが閾値V2未満と判定されたがブレーキ圧Pbが閾値Pref未満のときには、発進している最中であるか減速して停車しようとしている最中であるかのいずれかと判断し、そのときの判定状態を保持するために、停車発進時の判定やその解除の判定は行なわずに処理を終了する。
【0058】
こうして勾配対応回転数Nθ,車速差補正回転数Nv,低μ路補正回転数Nlow,ブレーキ補正回転数Nbを設定すると、勾配対応回転数Nθと車速差補正回転数Nvと低μ路補正回転数Nlowとの和からブレーキ補正回転数Nbを減じて目標エンジン回転数Ne*を設定すると共に(ステップS260)、設定した目標エンジン回転数Ne*に基づいてこの回転数でエンジン22を運転するためのスロットル開度である目標スロットル開度THtagを設定し(ステップS270)、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accに基づくスロットル開度である要求スロットル開度THreqを設定し(ステップS280)、設定した目標スロットル開度THtagと要求スロットル開度THreqとのうち大きい方を指示スロットル開度TH*として設定する(ステップS290)。ここで、実施例では、目標スロットル開度THtagは、目標エンジン回転数Ne*とこの回転数でエンジン22を運転するスロットル開度THとの関係を予め実験などにより求めて目標スロットル開度設定用マップとしてROM74に記憶しておき、目標エンジン回転数Ne*が与えられるとマップから対応するスロットル開度THを導出して目標スロットル開度THtagとして設定するものとした。目標スロットル開度設定用マップの一例については図示しないが、目標エンジン回転数Ne*が大きいほど大きくなる傾向に目標スロットル開度THtagが設定される関係を有する。また、要求スロットル開度THreqは、アクセル開度Accとスロットル開度THとの関係を予め設定して要求スロットル開度設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accが与えられるとマップから対応するスロットル開度THを導出して要求スロットル開度THreqとして設定するものとした。要求スロットル開度設定用マップの一例については図示しないが、アクセル開度Accが大きいほど大きくなる傾向に要求スロットル開度THreqが設定される関係を有する。このように指示スロットル開度TH*を設定することにより、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量に対応するエンジン22の出力では、路面勾配に対して出力される駆動力が不足して車両がずり下がるようなときには、路面勾配に対応する目標スロットル開度THtagが指示スロットル開度TH*として設定されるから、車両がずり下がるのを抑制することができる。
【0059】
こうして指示スロットル開度TH*を設定すると、目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクと低μ路補正回転数Nlowにより目標エンジン回転数Ne*が減少される分に相当するトルクとの和のトルクとしてモータ40のトルク指令Tm*を設定する(ステップS300)。このように、モータ40のトルク指令Tm*を設定することにより、エンジン22の応答性が低いことによる出力不足を応答性の高いモータ40により補うことができるから、エンジン22の応答性が低いことに基づいて車両がずり下がるのを抑制することができる。また、低μ路補正回転数Nlowにより回転数Neが減少補正された分に相当するトルクをモータ40から出力することにより、低μ路判定時でも車両全体の駆動力としては減少補正することなく出力することができる。
【0060】
そして、設定した指示スロットル開度TH*についてはエンジンECU29に送信すると共に設定したトルク指令Tm*についてはモータECU42に送信して(ステップS310)、坂路低車速走行時駆動制御ルーチンを終了する。指示スロットル開度TH*を受信したエンジンECU29は、スロットルバルブ124の開度が指示スロットル開度TH*となるようスロットルモータ136を駆動してエンジン22を運転制御する。また、トルク指令Tm*を受信したモータECU42は、モータ40からトルク指令Tm*に相当するトルクが出力されるようインバータ41の図示しないスイッチング素子のスイッチングを制御することによりモータ40を駆動制御する。
【0061】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、車両前後の勾配θfrの路面を目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定し、この目標エンジン回転数Ne*でエンジン22を運転するための目標スロットル開度THtagと運転者のアクセル開度Accに対応する要求スロットル開度THreqとのうち大きい方のスロットル開度THを用いてエンジン22を運転するから、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量やブレーキペダル85の踏み込み量に拘わらず、車両がずり下がるのを抑制することができる。この結果、坂路における発進や走行をよりスムーズに行なうことができる。
【0062】
また、実施例のハイブリッド自動車20によれば、車速Vと目標車速V*との車速差を打ち消す方向に設定された車速差補正回転数Nvに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するから、低車速で走行している車両を安定して目標車速V*で走行させるための駆動力を出力することができる。この結果、安定して車両を低車速で走行させることができる。しかも、路面に車止めのような段差があるか否かを判定し、段差があると判定されたときには車速差補正回転数Nvによる目標エンジン回転数Ne*の補正を行なわないから、必要以上にエンジン22から大きな出力が出力されるのを抑制することができる。
【0063】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、ブレーキペダル85の踏力を反映するブレーキ圧Pbに基づいてブレーキ補正回転数Nbを設定し、このブレーキ補正回転数Nbに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するから、エンジン22からの過剰な出力を抑制することができる。この結果、車両のエネルギ効率を向上させることができる。しかも、車両の走行状態が低速での走行や減速の通常時であるか停車から発進する停車発進時であるかを判定すると共にこの通常時か停車発進時かの判定結果に対応したブレーキ補正回転数設定用マップを用いて設定したブレーキ補正回転数Nbに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するから、エンジン22からの出力を車両の状態に応じたものとすることができる。
【0064】
加えて、実施例のハイブリッド自動車20によれば、スリップ率Slに基づいて低μ路における走行を判定したときや運転者により低μ路スイッチ89がオンとされたときには、目標エンジン回転数Ne*を減少補正するための低μ路補正回転数Nlowを設定して目標エンジン回転数Ne*を減少補正するから、エンジン22から動力が出力される前輪63a,63bのスリップを抑制することができる。しかも、スリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づいて低μ路補正回転数Nlowを設定するから、より効果的にスリップを抑制することができる。また、目標スリップ率Sl*を勾配θfr,θrlに基づいて設定するから、前輪63a,63bのスリップだけでなく、車両の左右方向に対するスリップ(横滑り)も抑制することができる。更に、こうした低μ路判定時にはブレーキ圧Pbに基づいて車速差補正回転数Nvを設定する際に低μ路判定時用のブレーキ補正回転数設定用マップを用いるから、ブレーキ補正回転数Nbを路面状態に応じたものとすることができる。また、低μ路判定時に目標エンジン回転数Ne*を減少補正したときには、この減少補正に対応したトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するから、低μ路を走行するときでも車両に必要な駆動力を出力することができる。この結果、滑りやすい路面の坂路でもより安定して車両を発進させたり低速で走行させたりすることができる。
【0065】
さらに、実施例のハイブリッド自動車20によれば、目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するから、エンジン22の応答性が低いことによる出力不足を応答性の高いモータ40により補うことができ、エンジン22の応答性が低いことに基づいて車両がずり下がるのを抑制することができる。
【実施例2】
【0066】
次に、本発明の第2の実施例であるハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、第1実施例のハイブリッド自動車20と同一のハード構成をしている。したがって、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成については、重複する説明を回避するため、その詳細な説明は省略する、なお、第2実施例のハイブリッド自動車20Bのハード構成については第1実施例のハイブリッド自動車20と同一の符号を用いる。
【0067】
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、図3の坂路低車速走行時駆動制御ルーチンに代えて図11の坂路低車速走行時駆動制御ルーチンを実行する。この図11の坂路低車速走行時駆動制御ルーチンは、ステップS100に代えてアクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,ブレーキ圧Pb,車速V,車輪速Vw1〜Vw4,エンジン22の回転数Ne,車両の前後および左右の加速度Gfr,Grl,車両の前後および左右の勾配θfr,θrlを入力する他にシフトポジションセンサ82により検出されるシフトポジションSPを入力するステップS100Bを実行する点と、車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定するステップS110の処理の前にシフトポジションSPに基づいて実行用の勾配対応回転数設定マップと目標車速V*とを設定する処理を実行する点とを除いて図3の坂路低車速走行時駆動制御ルーチンと同様である。したがって、第2実施例のハイブリッド自動車20Bの動作は、基本的には第1実施例のハイブリッド自動車20の動作と同様である。このため、第2実施例のハイブリッド自動車20Bの動作については第1実施例のハイブリッド自動車20の動作と異なる点を中心に説明する。
【0068】
坂路低車速走行時駆動制御ルーチンが実行されると、第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,ブレーキ圧Pb,車速V,車輪速Vw1〜Vw4,エンジン22の回転数Ne,車両の前後および左右の加速度Gfr,Grl,車両の前後および左右の勾配θfr,θrl,シフトポジションセンサ82により検出されるシフトポジションSPを入力し(ステップS100B)、入力したシフトポジションSPが前進用のポジション(例えば、ドライブポジション)であるか後進用のポジション(例えば、リバースポジション)であるかを判定する(ステップS101)。シフトポジションSPが前進用のポジションのときには、前進用の定車速Vfを目標車速V*に設定すると共に(ステップS102)、車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を設定した目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定するための前進用勾配対応回転数設定マップを実行用の勾配対応回転数設定マップとして設定し(ステップS103)、シフトポジションSPが後進用のポジションのときには、前進用の定車速Vfより小さな後進用の定車速Vrを目標車速V*に設定すると共に(ステップS104)、車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を設定した目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定するための後進用勾配対応回転数設定マップを設定する(ステップS105)。ここで、後進用勾配対応回転数設定マップは、目標車速V*に前進用の定車速Vfより小さな後進用の定車速Vrが設定されているから、車両前後の勾配θfrに対応する勾配対応回転数Nθは前進用勾配対応回転数設定マップより小さくなる。図12に前進用の定車速Vfを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップの一例と後進用の定車速Vrを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップの一例とを示し、図13に前進用勾配対応回転数設定マップと後進用勾配対応回転数設定マップの一例を示す。図12に示すように、後進用の定車速Vrを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップは前進用の定車速Vfを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップに比して低車速側に設定されており、図13に示すように、後進用勾配対応回転数設定マップは前進用勾配対応回転数設定マップに比して車両前後の勾配θfrに対応する勾配対応回転数Nθが小さく設定されている。
【0069】
こうして実行用の勾配対応回転数設定マップと目標車速V*とを設定すると、設定した実行用の勾配対応回転数設定マップを用いて車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定する(ステップS110)。このように実行用の勾配対応回転数設定マップを用いて勾配対応回転数Nθを設定するから、シフトポジションSPが前進用のポジションでは第1実施例と同様の勾配対応回転数Nθが設定され、シフトポジションSPが後進用のポジションでは第1実施例の勾配対応回転数Nθより小さな勾配対応回転数Nθが設定される。これにより、後進方向の加速度を抑制し、運転者や搭乗者に与える逆方向の加速度による不安感や違和感を抑制することができる。
【0070】
続いて、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車両前後の加速度Gfr,車両前後の勾配θfr,前回このルーチンが実行されたときに設定された車速差補正回転数Nvに基づいて車両が車止めなどの段差に当接している状態にあるか否かの段差判定を行ない(ステップS120)、段差がないと判定されると、目標車速V*と車速Vとの車速差に基づいて上述した車速差補正回転数Nvを設定する(ステップS140)。ここで、目標車速V*として、シフトポジションSPが前進用のポジションのときには前進用の定車速Vfが設定されているときにはこの定車速Vfと車速Vとの車速差に基づいて車速差補正回転数Nvが設定され、シフトポジションSPが後進用のポジションのときには前進用の定車速Vfより小さな後進用の定車速Vrが設定されているときにはこの定車速Vrと車速Vとの車速差に基づいて車速差補正回転数Nvが設定される。したがって、図12に示すように、シフトポジションSPが後進用のポジションのときには、前進用のポジションのときに設定される値より小さな値の車速差補正回転数Nvが設定されることになる。これにより、車速VをシフトポジションSPに応じた目標車速V*に近づけることができる。なお、ステップS120で段差があると判定されると、必要以上に大きな車速差補正回転数Nvが設定されてエンジン22が運転されるのを回避するために、車速差補正回転数Nvに値0を設定する(ステップS145)。そして、第1実施例で説明したステップS150以降の処理を実行する。
【0071】
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20Bによれば、シフトポジションSPが後進用のポジションのときには、前進用のポジションのときに比して小さな目標車速V*を設定すると共に車両前後の勾配θfrに基づいてその勾配の坂路を設定した目標車速V*で走行するのに必要な駆動力を出力することができるエンジン22の回転数としての勾配対応回転数Nθを設定するための後進用勾配対応回転数設定マップを実行用の勾配対応回転数設定マップを設定するから、後進方向の加速度を抑制し、運転者や搭乗者に与える逆方向の加速度による不安感や違和感を抑制することができる。もとより、第1実施例のハイブリッド自動車20が奏する効果、例えば、運転者のアクセルペダル83の踏み込み量やブレーキペダル85の踏み込み量に拘わらず車両がずり下がるのを抑制することができる効果や坂路における発進や走行をよりスムーズに行なうことができる効果、低車速で走行している車両を安定して目標車速V*で走行させるための駆動力を出力することができる効果、安定して車両を低車速で走行させることができる効果、必要以上にエンジン22から大きな出力が出力されるのを抑制することができる効果、エンジン22からの過剰な出力を抑制することができる効果、車両のエネルギ効率を向上させることができる効果、エンジン22からの出力を車両の状態に応じたものとすることができる効果、エンジン22から動力が出力される前輪63a,63bのスリップを抑制することができる効果、前輪63a,63bのスリップだけでなく車両の左右方向に対するスリップ(横滑り)も抑制することができる効果、ブレーキ補正回転数Nbを路面状態に応じたものとすることができる効果、低μ路を走行するときでも車両に必要な駆動力を出力することができる効果、滑りやすい路面の坂路でもより安定して車両を発進させたり低速で走行させたりすることができる効果、エンジン22の応答性が低いことによる出力不足を応答性の高いモータ40により補うことができる効果、エンジン22の応答性が低いことに基づいて車両がずり下がるのを抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0072】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、勾配対応回転数Nθと車速差補正回転数Nvと低μ路補正回転数Nlowとの和からブレーキ補正回転数Nbを減じて目標エンジン回転数Ne*を設定し、この設定した目標エンジン回転数Ne*に基づいて目標スロットル開度THtagを設定するものとしたが、勾配対応回転数Nθや車速差補正回転数Nv,低μ路補正回転数Nlow,ブレーキ補正回転数Nbから直接目標スロットル開度THtagを設定するものとしてもよい。また、車両前後の勾配θfrや車速Vと目標車速V*との車速差,低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差,ブレーキ圧Pbに基づいて直接目標スロットル開度THtagを設定するものとしてもよい。この場合、車両前後の勾配θfrから仮のスロットル開度を設定し、この仮のスロットル開度に車速Vと目標車速V*との車速差に基づく補正係数や低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づく補正係数,ブレーキ圧Pbに基づく補正係数を乗じるなどして目標スロットル開度THtagを設定するものとしてもよい。
【0073】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、車両前後の勾配θfrや車速Vと目標車速V*との車速差,低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差,ブレーキ圧Pbに基づいて勾配対応回転数Nθや車速差補正回転数Nv,低μ路補正回転数Nlow,ブレーキ補正回転数Nbを設定し、この設定した勾配対応回転数Nθや車速差補正回転数Nv,低μ路補正回転数Nlow,ブレーキ補正回転数Nbから目標エンジン回転数Ne*を設定し、更にこの設定した目標エンジン回転数Ne*に基づいて目標スロットル開度THtagを設定するものとしたが、車両前後の勾配θfrや車速Vと目標車速V*との車速差,低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差,ブレーキ圧Pbから前輪63a,63bに出力すべき目標駆動力を設定し、この目標駆動力が前輪63a,63bに出力されるようエンジン22を運転制御するものとしてもよい。この場合、車両前後の勾配θfrに基づいて仮の目標駆動力を設定し、この仮の目標駆動力に車速Vと目標車速V*との車速差に基づく補正係数や低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づく補正係数,ブレーキ圧Pbに基づく補正係数を乗じるなどして目標駆動力を設定するものとしてもよい。そして、こうして設定した目標駆動力を前輪63a,63bに出力するのに必要なエンジン22の運転ポイントを設定し、エンジン22がこの運転ポイントで運転されるようエンジン22を運転制御するものとすればよい。
【0074】
このように、車両前後の勾配θfrや車速Vと目標車速V*との車速差,低μ路判定時のスリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差,ブレーキ圧Pbをパラメータとして坂路で停車しているときや発進しているとき或いは低車速で走行している最中に車両がずり下がらないようにエンジン22を運転制御するものであれば、これらのパラメータに基づいてエンジン22の回転数やスロットル開度,駆動力とは異なる他のパラメータを設定し、異なるパラメータを用いてエンジン22を運転制御するものとしても構わない。
【0075】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、低μ路の走行が判定されたときや低μ路スイッチ89がオンとされたときには、スリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づいて低μ路補正回転数Nlowを設定するものとしたが、車両の前後方向や左右方向の勾配θfr,θrlに基づいて低μ路補正回転数Nlowを設定するものとしてもよい。この場合、勾配θfr,θrlが大きいほど目標エンジン回転数Ne*が大きく減少補正されるよう低μ路補正回転数Nlowを設定すればよい。勾配θfr,θrlと低μ路補正回転数Nlowとの関係の一例を図10に示す。図中の低μ路補正回転数Nlowの符号は上述した実施例とは異なるものとして示した。
【0076】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、路面に車止めのような段差があるか否かを判定し、段差があると判定されたときには車速差補正回転数Nvによる目標エンジン回転数Ne*の補正を行なわないものとしたが、段差があると判定されたときには段差がないと判定されたときに設定される車速差補正回転数Nvにより目標エンジン回転数Ne*に対する影響が小さな回転数を車速差補正回転数Nvとして設定するものとしても構わない。この場合、段差がないと判定されたときに設定される車速差補正回転数Nvに値1未満の補正係数を乗じたものとして段差があるときの車速差補正回転数Nvを設定するものとしてもよい。また、こうした路面に車止めのような段差があるか否かの判定を行なわないものとしても構わない。
【0077】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、車速Vと目標車速V*との車速差を打ち消す方向に設定された車速差補正回転数Nvに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するものとしたが、車速Vと目標車速V*との車速差を打ち消す方向の車速差補正回転数Nvを設定しないものとしても構わない。
【0078】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、ブレーキペダル85の踏力を反映するブレーキ圧Pbに基づいてブレーキ補正回転数Nbを設定すると共にこのブレーキ補正回転数Nbに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するものとしたが、ブレーキ圧PbではなくブレーキペダルポジションBPに基づいてブレーキ補正回転数Nbを設定し、この設定したブレーキ補正回転数Nbに基づいて目標エンジン回転数Ne*を設定するものとしてもよい。また、車両の走行状態が低速での走行や減速の通常時であるか停車から発進する停車発進時であるかを判定すると共にこの通常時か停車発進時かの判定結果に対応したブレーキ補正回転数設定用マップを用いてブレーキ補正回転数Nbを設定したが、車両の走行状態を低速走行時と減速時と停車発進時との3区分のように3以上に区分し、車両の走行状態がいずれの区分に該当するかによってブレーキ補正回転数Nbを設定するためのブレーキ補正回転数設定用マップを選択するものとしてもよい。また、こうしたブレーキ圧Pbに基づいてブレーキ補正回転数Nbを設定しないものとしても構わない。
【0079】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、スリップ率Slに基づいて低μ路における走行を判定したときには、目標エンジン回転数Ne*を減少補正するための低μ路補正回転数Nlowを設定して目標エンジン回転数Ne*を減少補正するものとしたが、スリップ率Slに基づいて低μ路における走行を判定するものに限定されず、外気温センサからの外気温や雨滴センサからの雨滴情報等に基づいて低μ路における走行を判定して目標エンジン回転数Ne*を減少補正するものとしても構わない。また、実施例のハイブリッド自動車20では、運転者により低μ路スイッチ89がオンとされたときにも目標エンジン回転数Ne*を減少補正するための低μ路補正回転数Nlowを設定して目標エンジン回転数Ne*を減少補正するものとしたが、こうした低μ路スイッチ89を備えないものとしても構わない。
【0080】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、スリップ率Slと目標スリップ率Sl*との差に基づいて低μ路補正回転数Nlowを設定するものとしたが、スリップ率Slが目標スリップ率Sl*を超えたときには予め定めた一定の回転数を低μ路補正回転数Nlowとして設定するものとしても構わない。また、実施例のハイブリッド自動車20では、目標スリップ率Sl*を勾配θfr,θrlに基づいて設定するものとしたが、車両の方向の勾配θfrだけに基づいて目標スリップ率Sl*を設定するものとしても構わない。さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、低μ路判定時にはブレーキ圧Pbに基づいて車速差補正回転数Nvを設定する際に低μ路判定時用のブレーキ補正回転数設定用マップを用いるものとしたが、こうした低μ路判定時用のブレーキ補正回転数用マップを用いないものとしても構わない。実施例のハイブリッド自動車20では、低μ路判定時に目標エンジン回転数Ne*を減少補正したときには、この減少補正に対応したトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するものとしたが、低μ路判定時に目標エンジン回転数Ne*を減少補正したときには、減少補正に係数を乗じたトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するものとしてもよいし、予め定めた一定のトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するものとしても構わない。また、低μ路における走行を判定して時目標エンジン回転数Ne*を減少補正しても、これに応じたトルクをモータ40から出力しないものとしても構わない。
【0081】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクがモータ40から出力されるようモータ40を制御するものとしたが、目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクに補正係数を乗じたトルクがモータ40から出力されるようモータ40を駆動制御するものとしてもよい。また、こうした目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクをモータ40から出力しないものとしても構わない。
【0082】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、後軸67に連結された後輪66a,66bに動力を出力するようにモータ40を取り付けるものとしたが、前軸64に連結された前輪63a,63bに動力を出力するようにモータ40を取り付けるものとしてもよい。
【0083】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、後軸67に連結された後輪66a,66bに動力を出力するモータ40を備えるものとしたが、こうしたモータを備えないものとしてもよい。この場合、目標エンジン回転数Ne*と実際のエンジン22の回転数Neとの差に応じたトルクをモータ40から出力する制御や低μ路判定時になされる目標エンジン回転数Ne*の減少補正に対応したトルクをモータ40から出力する制御を行なうことはできない。
【0084】
第1実施例や第2実施例のハイブリッド自動車20,20Bでは、変速機として無段変速機のCVT50を備えるものとしたが、こうしたCVT50に限定されるものではなく、トロイダル式などの他のタイプの無段変速機を用いるものとしてもよいし、有段変速機を用いるものとしても構わない。
【0085】
実施例では、ハイブリッド自動車20,20Bとして説明したが、電動機を備えない自動車やこうした自動車の制御方法の形態としても構わない。
【0086】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、自動車の製造産業に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】エンジン22の構成の概略を示す構成図である。
【図3】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される坂路低車速走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】段差判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】車速差補正回転数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】目標スリップ率設定用マップの一例を示す説明図である。
【図7】スリップ率Slと目標スリップ率Sl*と低μ路補正回転数Nlowとの関係の一例を示す説明図である。
【図8】通常時や停車発進時,低μ路判定時に対応するブレーキ補正回転数設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】停車発進時判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】勾配θfr,θrlと低μ路補正回転数Nlowとの関係の一例を示す説明図である。
【図11】第2実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される坂路低車速走行時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図12】前進用の定車速Vfを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップの一例と後進用の定車速Vrを目標車速V*としたときの車速差補正回転数設定用マップの一例とを示す説明図である。
【図13】進用勾配対応回転数設定マップと後進用勾配対応回転数設定マップとにおける車両前後の勾配θfrと勾配対応回転数Nθとの関係の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
20,20B ハイブリッド自動車、22 エンジン、22a スタータモータ、23 クランクシャフト、24 ベルト、25 トルクコンバータ、26 機械式オイルポンプ、27 出力軸、29 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、29a CPU、29b ROM、29c RAM、30 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、31 高圧バッテリ、32 オルタネータ、34 DC/DCコンバータ、35 低圧バッテリ、36 補機、40 モータ、41 インバータ、42 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、43 回転位置検出センサ、50 CVT、51 インプットシャフト、52 アウトプットシャフト、53 プライマリープーリー、54 セカンダリープーリー、55 ベルト、56 第1アクチュエータ、57 第2アクチュエータ、59 CVT用電子制御ユニット(CVTECU)、61 回転数センサ、62 回転数センサ、63a,63b 前輪、64 前軸、65,68 ギヤ機構、66a,66b 後輪、67 後軸、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ、88 Gセンサ、89 低μ路スイッチ、90 ブレーキマスターシリンダ、91 圧力センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構。




 

 


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