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発明の名称 排気ガス漏れ検出システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9880(P2007−9880A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−195063(P2005−195063)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
発明者 櫻井 健治 / 星 幸一 / 八木橋 将男 / 冨松 亮 / 野嶋 泰
要約 課題
排気流通管同士の連結部等からの排気ガスの漏れを検出するためのシステムを提供する。

解決手段
排気ガス中の浄化対象成分の少なくとも一つと反応することによりその特性が変化する特性変化物質を、機関排気通路を画成する排気流通管、該排気流通管に取付けられた構成要素又はこれらの間の連結部のうち排気ガスの漏れが生じ得る部分に配置し、上記特性変化物質の特性の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出する、排気ガス漏れ検出システムが提供される。
特許請求の範囲
【請求項1】
排気ガス中の浄化対象成分の少なくとも一つと反応することによりその特性が変化する特性変化物質を、機関排気通路を画成する排気流通管、該排気流通管に取付けられた構成要素又はこれらの間の連結部のうち排気ガスの漏れが生じ得る部分に配置し、上記特性変化物質の特性の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出する、排気ガス漏れ検出システム。
【請求項2】
上記特性が上記特性変化物質の導電率又は熱伝導率であり、該特性変化物質の導電率又は熱伝導率を検出する検出手段を更に具備する、請求項1に記載の排気ガス漏れ検出システム。
【請求項3】
上記漏れが生じ得る部分が排気流通管同士の連結部であり、互いに連結される排気流通管の端部にはフランジが設けられ、上記特性変化物質は、これら排気流通管のフランジ間に挟持されるガスケットの表面であって少なくとも一方のフランジの連結面と接触する表面上に配置される、請求項1又は2に記載の排気ガス漏れ検出システム。
【請求項4】
上記特性が導電率であり、上記検出手段は上記特性変化物質を介した二点間の電気抵抗を計測することによって上記特性変化物質の導電率を検出する、請求項2又は3に記載の排気ガス漏れ検出システム。
【請求項5】
上記特性が熱伝導率であり、上記検出手段は、上記特性変化物質内に配置された加熱手段と上記特性変化物質内に配置されると共に加熱手段から異なる距離に配置された二つの温度検出手段とを有し、加熱手段によって加熱が行われたときにこれら温度検出手段によって検出された温度の温度差に基づいて熱伝導率を検出する、請求項2又は3に記載の排気ガス漏れ検出システム。
【請求項6】
上記特性変化物質がバナジウムである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気ガス漏れ検出システム。
【請求項7】
上記特性変化物質上に又はその近傍に光触媒がコーティングされる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排気ガス漏れ検出システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は排気ガス漏れ検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関本体から排出された排気ガス中には、例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOX)等の有害成分が含まれている。このため、多くの内燃機関では、機関本体から排出された排気ガスを三元触媒等の排気浄化触媒に流入させてこれら有害成分を浄化した上で排気ガスを大気中に放出するようにしている。
【0003】
排気浄化触媒は、機関排気通路内に配置されたときに排気浄化触媒に起因する圧力損失が大きくならないようにしつつ排気ガス中の有害成分を効率的に浄化するという観点から或る程度の大きさが必要とされるが、例えば内燃機関を搭載した車両のエンジンルーム内には斯かる大きさの排気浄化触媒を配置するスペースが十分に確保できないため、多くの場合排気浄化触媒は車両の下部に配置される。そして、このように車両の下部に配置された排気浄化触媒と機関本体の排気ポートとの間は排気マニホルド、排気管を含む排気流通管によって接続されている。したがって、機関本体から排出された排気ガスは排気流通管を通って流れて排気浄化触媒に流入し、排気浄化触媒において浄化される。
【0004】
ところで、排気流通管同士の連結部(フランジの接触面間)等から排気ガスの漏れが生じると、漏れが生じた部分から排気浄化触媒で浄化されていない排気ガスが大気中に放出されてしまう。また、機関運転状態等によっては排気流通管内には負圧が生じる場合があり、斯かる場合には漏れが生じた部分から排気流通管内に空気が流入することになる。多くの内燃機関では排気浄化触媒における有害成分の除去を効率的に行うために排気ガスの空燃比を適切な値に制御しているが、上述したように漏れが生じている部分から排気流通管内に空気が流入することにより排気ガスの空燃比が適切な値から外れてしまい、有害成分の効率的な除去を行うことができなくなってしまう。
【0005】
一方、本発明の属する技術分野と異なる技術分野ではあるが、半導体装置の製造工場等の建物の配管について、配管内を流れる液体の継手等からの漏れを検出するための装置が知られている(特許文献1)。斯かる特許文献1に記載の装置では、流路を画成するチューブ材が継手本体にねじにより連結され、ねじ間の隙間を通って流路から漏れ出た液体と反応して変色する検知リングがチューブ材及び継手本体の外部に配置されている。これにより液体が漏れ出ると検知リングが変色し、よって検知リングの変色により液体の漏れを簡単に確認することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−225833号公報
【特許文献2】特開2002−60686号公報
【特許文献3】特開2003−251147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように排気流通管から排気ガスの漏れが生じると排気エミッションの悪化を招く。従って、排気流通管同士の連結部等から排気ガスの漏れを早期に検出する必要がある。しかしながら、内燃機関の排気流通管等に関しては、従来、排気流通管同士の連結部等から排気ガスの漏れを検出するための装置がなく、よって排気ガスの漏れが生じていても運転者等が気づかず、その状態のままで走行を続けてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、排気流通管同士の連結部等からの排気ガスの漏れを検出するためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明では、排気ガス中の浄化対象成分の少なくとも一つと反応することによりその特性が変化する特性変化物質を、機関排気通路を画成する排気流通管、該排気流通管に取付けられた構成要素又はこれらの間の連結部のうち排気ガスの漏れが生じ得る部分に配置し、上記特性変化物質の特性の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出する。
第1の発明によれば、漏れが生じ得る部分からの排気ガスの漏れが生じることにより、漏れた排気ガス中の浄化対象成分と特性変化物質とが反応することで特性変化物質の特性が変化し、この特性の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出することができる。
なお、「排気流通管」は、排気管及び排気マニホルドを含み、「排気流通管に取付けられた構成要素」とは、内燃機関の構成要素であって排気流通管に取付けられているものを意味し、例えば、機関本体、排気ターボチャージャのタービン、各種センサ等が含まれる。また、「これらの連結部」とは、排気流通管同士の連結部、排気流通管と内燃機関の構成要素との間の連結部を意味し、例えば排気流通管と機関本体との連結部や排気流通管と各種センサとの連結部等が含まれる。さらに、「排気ガスの漏れが生じ得る部分」とは、もともと一体的に成形されていないことにより何らかの要因(例えば、外的負荷、整備不良や経年劣化等)により排気ガスの漏れが生じ得る部分を含み、例えば、上記の連結部や排気流通管等の溶接部であって亀裂、細孔等ができ易い部分等を含む。
さらに、「浄化対象成分」とは、排気ガス中に含まれる成分のうち浄化の対象となる成分を意味し、例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び窒素酸化物(NOX)等が含まれる。一方、酸素、窒素等は浄化の対象とならない成分であり、上記浄化対象成分には含まれない。また、特性変化物質の「特性」としては、後述する導電率及び熱伝導率の他に、特性変化物質の色等が挙げられる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記特性が上記特性変化物質の導電率又は熱伝導率であり、上記特性変化物質の導電率又は熱伝導率を検出する検出手段を更に具備する。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記漏れが生じ得る部分が排気流通管同士の連結部であり、互いに連結される排気流通管の端部にはフランジが設けられ、上記特性変化物質は、これら排気流通管のフランジ間に挟持されるガスケットの表面であって少なくとも一方のフランジの連結面と接触する表面上に配置される。
第4の発明では、第2又は第3の発明において、上記特性が導電率であり、上記検出手段は上記特性変化物質を介した二点間の電気抵抗を計測することによって上記特性変化物質の導電率を検出する。
第5の発明では、第2又は第3の発明において、上記特性が熱伝導率であり、上記検出手段は、上記特性物質内に配置された加熱手段と上記特性物質内に配置されると共に加熱手段から異なる距離に配置された二つの温度検出手段とを有し、加熱手段によって加熱が行われたときにこれら温度検出手段によって検出された温度の温度差に基づいて熱伝導率を検出する。
第2〜第5の発明によれば、排気ガスの漏れが生じることにより特性変化物質の導電率又は熱伝導率が変化し、この変化が検出手段によって検出される。このため、排気ガスの漏れの検出にあたって、例えば特性変化物質の「色」が変化する場合のように実際に漏れの生じている部分を目視して確認する必要がなく、容易に漏れを検出することができる。
【0011】
第6の発明では、第1〜第5のうちのいずれか一つの発明において、上記特性変化物質がバナジウムである。
【0012】
第7の発明では、第1〜第6のいずれか一つの発明において、上記特性変化物質上に又はその近傍に光触媒がコーティングされる。
第7の発明によれば、排気ガスの漏れの検出に加えて漏れた排気ガスを光触媒により浄化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、漏れた排気ガス中の浄化対象成分と特性変化物質とが反応することによって生じる特性変化物質の特性の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出することができ、排気流通管同士の連結部等からの排気ガスの漏れを検出するためのシステムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の排気ガス漏れ検出システムについて詳細に説明する。図1は、本発明の排気ガス漏れ検出システムが用いられる内燃機関の全体を示す概略図である。
【0015】
図1を参照すると、1は機関本体、2はピストン、3は燃焼室、4は吸気弁、5は吸気ポート、6は排気弁、7は排気ポートをそれぞれ示す。図1に示したようにシリンダヘッドには点火プラグ8及び燃料噴射弁9が配置される。各気筒の吸気ポート5は吸気マニホルド10に連結される。一方、排気ポート7は、排気マニホルド11に連結される。排気マニホルド11内にはサブ排気浄化触媒(三元触媒等)12が内蔵されている。排気マニホルド11の出口は排気管13を介してメイン排気浄化触媒(三元触媒、NOX吸蔵還元触媒等)14を内蔵したケーシング15に連結される。ケーシング15の出口は、排気管16及びマフラ等の消音装置(図示せず)を介して大気に接続される。なお、本明細書では、排気ポート7、排気マニホルド11、排気管13、16及びケーシング15等によって画成される排気ガスが流れる通路を「機関排気通路」と称し、排気マニホルド11と排気管13、16とを「排気流通管」と総称する。
【0016】
排気マニホルド11には排気マニホルド11内を流れる排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ21が配置され、またメイン排気浄化触媒14の下流側の排気管16には排気管16内を流れる排気ガスの温度を検出するための温度センサ22が配置される。これらセンサ21、22は電子制御ユニット(ECU)20に接続され、空燃比センサ21及び温度センサ22からの信号がECU20に入力せしめられる。一方、点火プラグ8及び燃料噴射弁9もECU20に接続され、ECU20によってその作動が制御せしめられる。
【0017】
ところで、排気流通管11、13同士の連結部B、又は排気流通管11、13、16と内燃機関の別の構成要素との連結部(例えば、排気管13と機関本体1との連結部A、排気管13、16と排気浄化触媒14のケーシング15との連結部C、D等)には、通常、ガスケットが設けられる。ガスケットは、相対的に動かない部分の密封に用いられるシールであり、上述したように排気流通管同士の連結部等に用いられる場合には特に耐熱性、耐食性が求められるため主に金属材料で形成される。
【0018】
図2は、排気流通管同士の連結部(例えば連結部B)の拡大図である。連結される二つの排気流通管11、13、16の端部にはそれぞれフランジ31、32が設けられ、これら排気流通管はこれらフランジ31、32の接触面33同士が互いに対面するように連結される。これらフランジ31、32の接触面33間にはガスケット35が配置され、このガスケット35はフランジ31、32間のシールとして作用する。
【0019】
斯かる構成でガスケット35がシールとして作用することにより、通常、これら排気流通管内を流通する排気ガスはこれら排気流通管間の連結部を通過する際にフランジ31、32の接触面間を通って大気中に流出することが防止される。
【0020】
ところが、ガスケット35をシールとして最適に作用させるためにはフランジ31、32同士を連結する連結ボルト(図示せず)を適切に締付けることによりガスケット35の表面に加わる面圧等を最適化しなければならないところ、斯かる連結ボルトの締め付けが不適切だとガスケット35がシールとして適切に作用しなくなり、フランジ31、32の接触面33とガスケット35の側面36との間に隙間が生じてしまう場合がある。また、経年劣化等によりフランジ31、32の接触面33の凹凸に対するガスケット35の追従性が損なわれ、同様にフランジ31、32の接触面33とガスケット35の側面36との間に隙間が生じてしまう場合がある。このようにフランジ31、32の接触面33とガスケット35の側面36との間に隙間が生じると、そこから排気流通管内を流通する排気ガスの漏れが生じる。
【0021】
このように排気ガスの漏れが生じると、排気ガスの漏れが生じた箇所によっては中を流れる排気ガス中に一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)又は窒素酸化物(NOX)等の有害物質が含まれているため、有害物質が大気中に放出されてしまうことになる。従って、排気ガスの漏れが生じたような場合には、上記連結ボルトの適切な締め付け又はガスケット35の交換等を迅速に行って排気ガスの漏れを防止することが必要となる。
【0022】
そこで、本発明では、排気ガス漏れ検出システムにより上述したような排気流通管同士の連結部等からの排気ガスの漏れを検出するようにしている。以下、本発明の排気ガス漏れ検出システムについて説明する。
【0023】
ところで、バナジウム(V)は、大気と触れると常温以上で酸化されて酸化物(Vn2n-1(n=1〜8)又はVn2n+1(n=3〜6))として存在し、COが多量に存在する雰囲気中ではCOと反応してカルボニル錯体([V0(CO)6]、[V-3(CO)5-3)を形成する物質である。
【0024】
バナジウムの酸化物は、黒色で融点が約1970℃であり、その導電率は約4.89×106/mΩ、その熱伝導率は約30.7W/(m・K)である。なお、バナジウムの酸化物にはVn2n-1(n=1〜8)又はVn2n+1(n=3〜6)の他にV25があり、V25は茶褐色で融点が690℃であり、その導電率はほぼ0/mΩであるため、上記のバナジウムの他の酸化物(Vn2n-1(n=1〜8)又はVn2n+1(n=3〜6))とはその特性(色、融点、導電率及び熱伝導率等)が異なる。しかしながら、V25は生成されても直ぐに分解してVn2n-1(n=1〜8)又はVn2n+1(n=3〜6)となるため、バナジウムの酸化物の特性は、Vn2n-1(n=1〜8)又はVn2n+1(n=3〜6)の特性に等しいと言える。
【0025】
一方、バナジウムのカルボニル錯体は、青緑色でその導電率はほぼ零であり、その熱伝導率は上記バナジウムの酸化物に比べてかなり小さい。従って、バナジウムの酸化物とカルボニル錯体とでは、その特性、すなわち色、導電率、熱伝導率等が異なる。
【0026】
上述したように、常温以上でバナジウムが大気に触れている状態ではバナジウムは酸化物として存在し、COが多量に存在する雰囲気中ではバナジウムはカルボニル錯体として存在する。一方、メイン排気浄化触媒14で浄化される前には排気流通管を通って流れる排気ガス中にはCOが含まれている場合が多い。従って、排気流通管同士の連結部等、排気ガスの漏れが生じ得る部分にバナジウムのコーティングを行うと、排気ガスの漏れが生じていない場合にはバナジウムは酸化物として存在し、排気ガスの漏れが生じているときにはカルボニル錯体として存在することになる。
【0027】
そこで、本実施形態では、図3(a)に示したように、ガスケット35本体の側面36、すなわちフランジ31、32の接触面33と対面するガスケット35の表面(図3中のX)、及びガスケット35本体の外周面37(図3中のY)にバナジウムをコーティングすることとしている。
【0028】
これにより、使用者はまずバナジウムがコーティングされたガスケット35の色を観察することによって排気ガスの漏れを検知することができる。すなわち、ガスケット35がフランジ31、32間に取付けられた状態であってもガスケット35の外周面37は外部から視認することができるようになっていると共に、ガスケット35本体の外周面37上にコーティングされたバナジウムはフランジ31、32の接触面33間において排気ガスの漏れが生じていない場合には黒色を呈しており、排気ガスの漏れが生じている場合には青緑色を呈している。換言すると、ガスケット35本体の外周面37上にコーティングされたバナジウムは排気ガスの漏れを検出してその色を変える。従って、使用者はガスケット35の外周面が青緑色となっている場合には排気ガスの漏れが生じていることを認識することができる。
【0029】
また、本実施形態の排気ガス漏れ検出システムでは、図2に示したように、バナジウムの導電率を計測するための導電率計測装置40を有する。上述したように、上記排気流通管間の連結部から排気ガスの漏れが生じていない場合にはバナジウムは酸化物として存在するため導電率計測装置40によって計測されるバナジウムの導電率は高く、逆に上記排気流通管間の連結部から排気ガスの漏れが生じている場合にはバナジウムがカルボニル錯体として存在するため導電率計測装置40によって計測されるバナジウムの導電率はほぼ0/mΩである。
【0030】
具体的には、導電率計測装置40は、電気抵抗41を介してガスケット35本体に接続される電源42を有し、このガスケット本体35の側面36と接触する二つの排気流通管のフランジ31、32が接地される。そして、上記電気抵抗41とガスケット35との間の電圧が導電率計測装置40の出力信号としてECU20に入力される。電源は、例えば接地部との間に5Vの電圧を印加する。
【0031】
そして、ガスケット35本体の側面36にはバナジウムがコーティングされているため、ガスケット35本体の側面36上にコーティングされたバナジウムはフランジ31、32とガスケット35本体との間の可変抵抗として作用する。すなわち、バナジウムが酸化物として存在している場合にはバナジウムの導電率は高く、よってフランジ31、32とガスケット本35体との間の電気抵抗は低い。逆に、バナジウムがカルボニル錯体として存在している場合にはバナジウムの導電率は低く、よってフランジ31、32とガスケット35本体との間の電気抵抗は高い。このようにガスケット35本体の側面36上にコーティングされたバナジウムは可変抵抗と作用するため、導電率計測装置40の電気回路は、図4のように表すことができる。図4に示した可変抵抗43はガスケット35本体の側面36上にコーティングされたバナジウムを表している。
【0032】
斯かる構成の導電率計測装置40では、上記排気流通管間の連結部から排気ガスの漏れが生じていない場合には上記可変抵抗の抵抗値はほぼ零であり、よって導電率計測装置40からECU20に出力される電圧はほぼ0Vであり、これによりバナジウムの導電率が高いことがわかる。一方、上記排気流通管間の連結部から排気ガスの漏れが生じている場合には可変抵抗の抵抗値は非常に大きく、よって電気回路からECUに出力される電圧は0Vよりも大きな値(例えば2.5V)となっており、これによりバナジウムの導電率が低いことがわかる。
【0033】
このように、本実施形態によれば、排気流通管間の連結部からの排気ガスの漏れの有無に応じてバナジウムの導電率が変わり、このバナジウムの導電率を検出することによって排気流通管間の連結部からの排気ガスの漏れを検出することができる。なお、本実施形態では、内燃機関を搭載した車両の運転席近傍に警告灯(図示せず)が取付けられ、この警告灯はECU20に接続されて上記導電率計測装置40からバナジウムの導電率が高いことを示す信号がECU20に入力された場合には消灯され、バナジウムの導電率が低いことを示す信号がECU20に入力された場合には点灯するように形成される。これにより、上記車両の運転者はこの警告灯の表示に基づいて排気ガスの漏れを認識することができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、排気ガスの漏れの有無に応じてバナジウムの導電率が変化することに基づいて排気ガスの漏れが検出される。上述したように、ガスケット35本体の外周面37にコーティングされたバナジウムの色の変化に基づいて排気ガスの漏れを確認する手法においては、排気流通管の連結部等は内燃機関が搭載される車両のエンジンルームや車両の底部に位置することが多く、斯かる位置に配置されたガスケット25の外周面を目視するのは困難な作業であり、車両の操作者が排気ガスの漏れを認識するためには日常的に斯かる困難な作業をしなければならない。これに対して、本実施形態によれば、バナジウムの導電率の変化を電気的に検出し、警告灯を点灯させることによって操作者が排気ガスの漏れを認識することができるため、車両の操作者が排気ガスの漏れを認識するにあたって操作者に特段の困難性は生じない。
【0035】
図5は、本実施形態の排気ガス漏れ検出システムにおける排気ガスの漏れ検出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。まず、ステップ101では、内燃機関の始動後2秒以上経過しているか否かが判定される。これは、始動後2秒以上経過していないと、排気ガスの漏れが生じていないにも関わらず上記導電率計測装置40からECU20に排気ガスの漏れを表示する信号が送られる場合があるためである。
【0036】
すなわち、バナジウムは、その温度が常温(10℃程度)よりも低いと酸化物とならずに単体で存在する場合がある。この場合、単体のバナジウムは銀灰色であり、その導電率はほぼ0/mΩである。この導電率はバナジウムのカルボニル錯体の導電率とほぼ同一であるため、排気ガスの漏れが生じていないにも関わらずECU20には排気ガスの漏れが生じている場合と同様な信号が送られる。一般に、機関排気通路を画成する排気管13、14等の各構成要素は機関本体1から排出された排気ガスによって暖められるため機関運転中にその温度が常温になることはないが、機関始動直後のみ常温となっている場合がある。そこで、機関始動後2秒経過してバナジウムが常温以上に昇温されてから排気ガスの漏れの検出を開始することとしたものである。
【0037】
そして、ステップ101において、機関始動後2秒経過していないと判定された場合には制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ101において、機関始動後2秒以上経過していると判定された場合にはステップ102へと進む。ステップ102では、図4の導電率計測装置40によって計測されたバナジウムの導電率σが基準導電率σa(例えば、4.89×106/mΩ)以上である否かが判定される。すなわち、バナジウムが酸化物として存在しているかカルボニル錯体として存在しているかが判定される。具体的には、上記実施形態では導電率計測装置40からECU20へ出力された電圧Vが予め定められた所定電圧Va以上であるか否かが判定される。電圧Vaは、例えばバナジウムの導電率σが4.89×106/mΩ以上である場合に導電率計測装置40から出力される電圧がVa以上となるように設定された電圧である。ステップ102において、導電率σが基準導電率σa以上であると判定された場合には、すなわちバナジウムが酸化物として存在していると判定された場合には、ステップ103へと進む。ステップ103では、警告灯が消灯され制御ルーチンが終了せしめられる。一方、ステップ102において、導電率σが基準導電率σa未満であると判定された場合、すなわちバナジウムがカルボニル錯体として存在していると判定された場合には、ステップ104へと進む。ステップ104では、警告灯が点灯され制御ルーチンが終了せしめられる。
【0038】
なお、上記実施形態では、図3(a)に示したように、ガスケット35本体の側面36及び外周面37にバナジウムをコーティングしているが、図3(b)に示したように、ガスケット35本体の側面36のみにバナジウムをコーティングしてもよい。この場合でも上記導電率計測装置40を用いることにより排気ガスの漏れを検出することができる。或いは、ガスケット35本体の外周面37のみにバナジウムをコーティングしてもよい。この場合でも目視により排気ガスの漏れを検出することができる。
【0039】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態では、導電率計測装置40の代わりに、図6に示したようにバナジウムの熱伝導率計測装置50が用いられる。熱伝導率計測装置50は、ガスケット35本体上のバナジウムのコーティング層内に設けられた二つの熱電対51、52及びヒータ53を有し、ヒータ53により加熱を行ったときに熱電対51、52間で生じる温度差に基づいてバナジウムの熱伝導率の検出が行われる。
【0040】
上述したように上記排気流通管間の連結部から排気ガスの漏れが生じていない場合にはバナジウムは酸化物として存在するため熱伝導率計測装置50によって計測されるバナジウムの熱伝導率は高く、逆に排気ガスの漏れが生じている場合にはバナジウムがカルボニル錯体として存在するため熱伝導率計測装置50によって計測されるバナジウムの熱伝導率は低い。従って、バナジウムの熱伝導率を計測することによって排気ガスの漏れの有無を検出することができる。具体的には、バナジウムの熱伝導率λが基準熱伝導率λa(例えば、30.7W/(m・K))以上である場合にはバナジウムが酸化物として存在しているため排気ガスの漏れが無いと判定され、バナジウムの熱伝導率λが基準熱伝導率λaよりも低い場合にはバナジウムがカルボニル錯体として存在しているため排気ガスの漏れが生じていると判定される。
【0041】
このように、本実施形態によれば、排気流通管間の連結部からの排気ガスの漏れの有無に応じてバナジウムの熱伝導率が変わり、このバナジウムの熱伝導率を検出することによって排気流通管間の連結部からの排気ガスの漏れを検出することができる。また、上記第一実施形態と同様に本実施形態でも車両の運転席近傍に警告灯が取付けられ、この警告灯は上記熱伝導率計測装置からバナジウムの熱伝導率が高いことを示す信号がECU20に入力された場合には消灯され、バナジウムの熱伝導率が低いことを示す信号がECU20に入力された場合には点灯するように形成される。
【0042】
次に、図7を参照して本発明の第三実施形態について説明する。図7(a)は、ガスケットを径方向に切断した場合のガスケットの断面図であり、図7(b)はガスケットの一部の平面図である。
【0043】
上述したように、ガスケット35本体の側面36上又は外周面37上にバナジウムをコーティングすることによりバナジウムの色、導電率、熱伝導率の変化に基づいて排気ガスの漏れを検出することができるが、バナジウムによって漏れた排気ガスを浄化することができない。そこで、本実施形態では、ガスケット35本体にバナジウムに加えて光触媒をコーティングすることにより漏れた排気ガスを浄化することとしている。
【0044】
光触媒は、主に二酸化チタン(TiO2)から成り、酸素中で光、特に紫外線を受けるとその表面上に活性酸素を生成する。従って、漏れた排気ガスが光触媒上を通過すると排気ガス中の有害物質、例えば炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等は光触媒上の活性酸素と反応して水(H2O)や二酸化炭素(CO2)に酸化される。しかしながら、斯かる光触媒は紫外線等、強い光を当てなければ触媒作用を発揮しないことから、排気流通管にコーティングするには適していない。
【0045】
一方、上述した二酸化チタン(TiO2)のみからなる酸素の一部を窒素又は硫黄に置換した光触媒(例えば、TiOxy,TiOxy(0≦x≦2,0≦y≦4/3,好ましくはy=2x/3))は、多少不安定ではあるが、上記紫外線等の強い光を当てなくても可視光で上述したような触媒作用を発揮する。そこで、本実施形態では、光触媒として、二酸化チタンの酸素の一部を窒素又は硫黄に置換した光触媒を用いることとしている。
【0046】
図7(a)に示したように、ガスケットの本体60の側面上にバナジウム61がコーティングされ、さらにその上に光触媒62がコーティングされる。これにより、バナジウムによって上述したように排気ガスの漏れを検出することができると共に光触媒によって漏れた排気ガスを浄化することができる。
【0047】
或いは、図7(b)に示したように、ガスケットの本体60の側面のうち内周側にバナジウム61をコーティングすると共に外周側に光触媒62をコーティングするようにしてもよい。これにより、内周側のバナジウム61により排気ガスの漏れを検出することができると共に外周側の光触媒62によって漏れた排気ガスを浄化することができる。
【0048】
なお、上記第三実施形態では、光触媒をガスケットの側面上にコーティングする場合のみについて示しているが、光触媒はガスケットの側面上に限らず、ガスケットの外周面上、ガスケットと対面するフランジの接触面上又は斯かるフランジの外周面上等にコーティングしてもよい。
【0049】
なお、上記各実施形態では、排気流通管間の連結部において用いられるガスケットについて本発明の排気ガス漏れ検出システムを適用した例を説明している。しかし、これに限らず機関排気通路を画成する構成要素であって排気ガスの漏れが生じ得る部分であれば如何なる部分にも利用可能である。例えば、ガスケットに相当するシールが用いられる箇所(例えば、排気マニホルド11と空燃比センサ21との連結部、排気管16と温度センサ22との連結部等)や、排気管の溶接部等についても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の排気ガス漏れ検出システムが用いられる内燃機関の全体を示す概略図である。
【図2】排気流通管同士の連結部の拡大図である。
【図3】バナジウムがコーティングされるガスケットの面を示す図である。
【図4】導電率計測装置の電気回路を概略的に示す図である。
【図5】排気ガス漏れ検出システムにおける排気ガスの漏れ検出制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二実施形態において用いられる熱伝導率計測装置について説明するための図である。
【図7】本発明の第三実施形態について説明するための図であり、ガスケットの断面図及び平面図を示している。
【符号の説明】
【0051】
31、32 フランジ
33 接触面
35 ガスケット
36 側面
37 外周面
40 導電率計測装置
50 熱伝導率計測装置




 

 


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