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発明の名称 排気ガス浄化システムの故障診断装置及び故障診断機能付き排気ガス浄化システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9798(P2007−9798A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191391(P2005−191391)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
発明者 小嶋 和法 / 澤田 裕 / 内田 孝宏
要約 課題
排気ガス浄化システムにおいて、排気ガス流路切り替え手段の故障を精度良く診断する。

解決手段
エンジンシステム10のECU100は、触媒装置300に流入する排気ガスの流路を、切り替え制御弁340を制御することによってバイパス流路320と被バイパス流路210aとの間で適宜切り替えることが可能に構成されている。バイパス流路320には第2温度センサ360が設置され、被バイパス流路210a下流側に設置された床下触媒310の上流側には、第1温度センサ350が設置されている。これら二つの温度センサによって検出される温度値は、夫々について、いずれの流路が選択されているかに応じてその大小関係が反転する。また、このような反転が効果的に生じるように、バイパス流路320の形状が決定されている。ECU100は、これら二つの温度の相対的な関係に基づいて切り替え制御弁340の故障を診断する。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において、前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段とを具備する排気ガス浄化システムにおいて前記切り替え手段の故障を診断する排気ガス浄化システムの故障診断装置であって、
前記主排気流路において(i)前記バイパスされる一部における始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記バイパス流路に設置され、前記バイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記区間の温度と前記バイパス流路の温度とに基づいて前記切り替え手段の故障を診断する診断手段と
を具備することを特徴とする排気ガス浄化システムの故障診断装置。
【請求項2】
前記バイパス流路は、前記バイパスされる一部を覆う筒状に形成されると共に、前記排気ガスの流路が前記切り替え手段によって前記バイパスされる一部に切り替えられている場合に、前記バイパスされる一部を通過した前記排気ガスの一部が前記バイパス流路の前記下流側から前記上流側へ向かって流れるように形成されており、
前記第2温度検出手段は、前記第2触媒の前記上流側に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システムの故障診断装置。
【請求項3】
前記排気ガス浄化システムは、前記バイパス流路と前記バイパスされる一部との間に形成された断熱層を更に具備する
ことを特徴とする請求項2に記載の排気ガス浄化システムの故障診断装置。
【請求項4】
内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において、前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段とを夫々具備する複数の排気ガス浄化システムにおいて、該複数の排気ガス浄化システム各々に備わる前記切り替え手段の故障を診断する排気ガス浄化システムの故障診断装置であって、
前記複数の排気ガス浄化システムのうち一つにおいて、前記主排気流路における(i)前記バイパスされる一部の始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記複数の排気ガス浄化システム各々における前記バイパス流路に設置され、前記各々におけるバイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記区間の温度と前記各々におけるバイパス流路の温度とに基づいて前記複数の排気ガス浄化システム各々における前記切り替え手段の故障を診断する診断手段と
を具備することを特徴とする排気ガス浄化システムの故障診断装置。
【請求項5】
内燃機関における排気ガスを浄化するための排気ガス浄化システムであって、
前記内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、
前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、
前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、
前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段と、
前記主排気流路において(i)前記バイパスされる一部の始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、
前記バイパス流路に設置され、前記バイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、
前記区間の温度と前記バイパス流路の温度とに基づいて前記切り替え手段の故障を診断する診断手段と
を具備することを特徴とする故障診断機能付き排気ガス浄化システム。
【請求項6】
前記バイパス流路は、前記バイパスされる一部を覆う筒状に形成されると共に、前記排気ガスの流路が前記切り替え手段によって前記バイパスされる一部に切り替えられている場合に、前記バイパスされる一部を通過した前記排気ガスの一部が前記バイパス流路の前記下流側から前記上流側へ向かって流れるように形成されており、
前記第2温度検出手段は、前記第2触媒の前記上流側に設置される
ことを特徴とする請求項5に記載の故障診断機能付き排気ガス浄化システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関における排気ガス浄化システムの故障を診断するための排気ガス浄化システムの故障診断装置及びそのような故障診断装置を備える故障診断機能付き排気ガス浄化システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の排気ガス浄化システムとして、温度センサを利用するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたディーゼルエンジンの排気浄化装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、排気ガス流路が夫々フィルタを備えた第1及び第2流路に分岐しており、排気切り替え弁によって選択的に切り替えられる。夫々の流路には温度センサが設けられており、この際、選択されていない方のフィルタの温度によって排気切り替え弁の異常が検出可能であるとされている。
【0003】
尚、内筒に切り替え弁を有し、係る内筒と内筒を覆う外筒との間にHC吸着材を設けたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)
また、触媒下流に温度計を設け、切り替え弁作動時、温度が上昇すれば排ガスが触媒を通過したと判断する技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−210120号公報
【特許文献2】特開2000−345829号公報
【特許文献3】特開2004−92432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
切り替え弁によって流路が選択される場合、選択されていない方の流路に全く排気ガスが流れないならば、選択されていない方の流路の温度上昇をもって、切り替え弁の故障と判断することがある程度は可能である。然るに、実際には、切り替え弁の故障とは無関係に選択されていない方の流路にも排気ガスの一部は流入する。従って、切り替え弁が正常に作動している場合であっても、選択されていない方の流路の温度が上昇することがある。このような正常範囲での温度上昇と切り替え弁の故障に起因する温度上昇とは、車両の走行条件によっては区別がつかない場合があり、切り替え弁が故障していると誤って診断される誤診断の発生が回避し得ない。即ち、従来の技術には、切り替え弁など切り替え手段の故障を精度良く診断することが困難であるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、排気ガス浄化システムにおいて切り替え手段の故障を精度良く診断することが可能な排気ガス浄化システムの故障診断装置及びこのような故障診断装置を備えた故障診断機能付き排気ガス浄化システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置(以下、適宜「故障診断装置」と称する)は、内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において、前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段とを具備する排気ガス浄化システムにおいて前記切り替え手段の故障を診断する排気ガス浄化システムの故障診断装置であって、前記主排気流路において(i)前記バイパスされる一部における始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、前記バイパス流路に設置され、前記バイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、前記区間の温度と前記バイパス流路の温度とに基づいて前記切り替え手段の故障を診断する診断手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
本発明において「内燃機関」とは、燃料の燃焼を動力に変換する機関を包括する概念であり、好適にはガソリン、軽油又はLPG等を燃料とする車両用のエンジンなどを指す。
【0009】
本発明における「主排気流路」とは、内燃機関の排気行程において排気された排気ガスが主として導かれる流路を包括する概念であり、好適には、エキゾーストマニホールドなどを含む排気管の少なくとも一部を指す。
【0010】
このような主排気流路に設けられる「第1触媒」とは、排気ガスを浄化する手段を包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいて、触媒と同様の効果を供するフィルタのようなものであってもよい。このようなフィルタとは、例えば、排気ガス中に含まれるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)及びNOx(窒素酸化物)などの被除去成分のうち主としてHCの吸着及び奪離を行うことが可能なゼオライト、又はそれに類する結晶性無機多孔質材料であってもよい。また、これら被除去成分全てを浄化することが可能な三元触媒であってもよいし、これら被除去成分のうちNOxの吸蔵及び還元を行うNOx吸蔵還元触媒であってもよい。
【0011】
第1触媒の上流側における主排気流路の一部(以下、適宜「被バイパス流路」と称する)は、所定の条件下でバイパス流路によってバイパスされる。このバイパス流路の態様は、係る被バイパス流路をバイパスし、排気ガスを再び主排気通路に戻すことが可能な流路である限りにおいて何ら限定されない。例えば、被バイパス流路の外側を覆う筒状の流路(例えば、外筒)であってもよい。この場合、係る被バイパス流路は、筒状のバイパス流路の内側に形成される筒状の流路(例えば、内筒)であってもよい。
【0012】
尚、本発明における「上流側」とは、内燃機関の機関部に近付く側として規定される方向及び位置を含む概念である。即ち、排気ガスが正常に流れている場合における、排気ガスの源流側を指す。より具体的には、例えば主排気流路及びバイパス流路各々において、内燃機関のシリンダ(気筒)の方向にある位置を指す。
【0013】
バイパス流路には、第2触媒が設けられる。バイパス流路に設けられる「第2触媒」とは、第1触媒と同様に、排気ガスを浄化する手段を包括する概念であり、上記した如き各種態様を採ってよい。また、第1触媒と第2触媒との組み合わせは、排気ガス浄化システムに要求される浄化機能に合わせて自由に決定されてよい。例えば、第1触媒を車両の床下に設置された三元触媒(床下触媒)とし、第2触媒を排気ガス中のHCを吸着するHC吸着材とするような排気ガス浄化システムが構成されてもよい。
【0014】
排気ガスの流路は、切り替え手段によって被バイパス流路及びバイパス流路との間で選択的に切り替えられる。本発明に係る切り替え手段とは、このような切り替えが可能な限りにおいてどのような手段であってもよいが、好適には、開閉状態に応じて、被バイパス流路を遮蔽又は開放することが可能なバルブ(弁)などの形態を採る。この場合、例えば、弁が開いていれば排気ガスが被バイパス流路へ、弁が閉じていれば排気ガスがバイパス流路へ夫々流れるように開閉弁が設置される。このような開閉弁は、例えば、VSV(Vacuum Switching Valve)などの電磁弁の開閉に伴って内燃機関の負圧に応じて開閉するダイアフラムと、ロッドなどのリンク機構を介して連動していてもよい。また、負圧とは無関係に、電気的にアクチュエータなどを駆動してリンク機構を動作させる形態を有していてもよい。
【0015】
切り替え手段をどのように切り替えるかに関しては、排気ガス浄化システムに備わる触媒(即ち、第1及び第2触媒)の種類や要求される浄化性能又は車両の運転状況などに応じて多種多様に決定されてよいが、例えば、第1触媒が床下触媒であり且つ第2触媒がHC吸着材である場合、車両の始動時など内燃機関の冷間時であって、床下触媒が活性温度に達していない期間において排気ガスがHC吸着材によって浄化されるように切り替え手段が流路を切り替えてもよい。尚、切り替え手段は、何らかの制御機器(コントローラ)によって上位に制御されていてもよい。この場合、このような制御機器とは、内燃機関の動作を制御するECU(Electronic Controlling Unit)などの電子制御ユニットであってもよい。
【0016】
本発明に係る故障診断装置によれば、その動作時には、第1温度検出手段によって、主排気流路において被バイパス流路の始点よりも下流側であり且つ第1触媒の上流側となる区間(以降、適宜「通常流路」と称する)の温度が検出されると共に、第2温度検出手段によってバイパス流路の温度が検出される。
【0017】
尚、本発明における「下流側」とは、内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される方向及び位置を含む概念である。即ち、上流側と相対する概念である。
【0018】
ここで、本発明に係る「第1温度検出手段」及び「第2温度検出手段」とは、夫々通常流路及びバイパス流路の温度を検出可能な限りにおいてその態様は何ら限定されない。尚、「温度を検出する」とは、必ずしも温度そのものを検出することに限定されず、温度変化と対応関係を有し、係る対応関係に基づいて温度を間接的に特定することが可能な物理量を検出することも含む概念である。例えば、温度検出手段が、サーミスタなど温度変化に応じて電気抵抗が変化する物質で構成されている場合、温度変化に応じて変化する電圧などが検出値として出力されてもよい。尚、「通常流路の温度」とは、通常流路上のどの部分の温度であってもよい趣旨である。例えば、被バイパス流路上の部位の温度であってもよいし、第1触媒直近の部位であってもよい。また、「バイパス流路の温度」とは、バイパス流路のどの部位の温度であってもよい趣旨である。
【0019】
ここで特に、切り替え手段が正常に動作しているか否か、即ち、排気ガスの流れが正常であるか否かは、車両のエミッションを低減する見地から言って重要であり、切り替え手段の故障は、車両の実使用状態において検出可能である必要がある。即ち、排気ガス浄化システムにおいては、切り替え手段のOBD(On Board Diagnosis)が可能に構成されている必要がある。
【0020】
被バイパス流路及びバイパス流路のうち切り替え手段によって選択されていない流路の温度は変化しないのが理想的であるが、実際には、車両の運転パターンは様々であり、必ずしも選択されていない流路の温度が変化しないとは限らない。また、被バイパス流路とバイパス流路とが構造的に近接している場合には、車両の運転パターンに因らず、選択されている流路の温度上昇に伴って、過渡的には選択されていない流路の温度も上昇することが多い。従って、選択されていない流路の温度のみによって切り替え手段の故障を診断しようとすると、誤診断の発生が回避し得ない。
【0021】
そこで、本発明に係る故障診断装置は、通常流路の温度及びバイパス流路の温度に基づいて切り替え手段の故障を診断する診断手段を備えることによって係る問題を解決している。
【0022】
切り替え手段によって選択されている流路の温度は、高温の排気ガスが通過することに伴って上昇する。それに対し、選択されていない流路の温度範囲は、選択されている流路の温度に対して相対的に低くなり易い。ここで、流路が切り替えられる(切り替えるべく制御が行われる)と、切り替え手段が正常に動作している場合には通常流路及びバイパス流路各々の温度が変化する。その変化の態様は、選択されていた流路については下降し、新規に選択された流路については上昇する。特に、内燃機関の始動時(冷間時)には、この傾向は顕著である。一方で、切り替え手段が正常に動作していない場合には、通常流路及びバイパス流路各々における温度の大小関係は正常時と異なる挙動を示す。
【0023】
切り替え手段の故障は、バイパス流路の温度と通常流路の温度とに基づいて診断されるが、この際、一方の温度が、切り替え手段の故障に起因しない何らかの理由で変動した場合であっても、もう一方の温度との相対関係には大きな影響を与えない。更に、上記したように、切り替え手段の動作に応じて、双方の温度は夫々異なる方向(上昇に対して下降)に変化するから、このような相対関係が一層明確に現れ易く、誤診断が発生する可能性は著しく低くなる。即ち、精度良く切り替え手段の故障を診断することが可能となるのである。
【0024】
尚、通常流路は、被バイパス流路の始点の下流側且つ第1触媒の上流側の区間であるから、概念的には被バイパス流路及び被バイパス流路と第1触媒との間の流路を含む。従って、通常流路の温度とは、被バイパス流路の温度であってもよいし、第1触媒に流入する直前の排気ガスの温度であってもよい。いずれの場合であっても、切り替え手段がバイパス流路を選択しているならば、バイパス流路の温度が先に上昇し、被バイパス流路が選択されているならば、通常流路の温度の方が先に上昇するため、問題は生じない。
【0025】
尚、本発明において「診断する」とは、切り替え手段の故障の有無を二値的に検出する他に、予め定められた基準或いは何らかのアルゴリズムに従って、多段階に故障の程度が特定されることを含む概念である。
【0026】
尚、診断手段が診断を行うタイミングは、好ましくは内燃機関の冷間時などであるが、内燃機関が過渡的な動作条件にある(十分に暖まっている)期間であってもよい。この際、バイパス流路の温度と通常流路の温度との相対関係に基づいて故障を診断するための指標或いは基準が予め与えられていてもよいし、その都度、何らかのアルゴリズムに従って診断が行われてもよい。また、故障の診断は、ある時刻(タイミング)における通常流路の温度とバイパス流路の温度とに基づいて行われてもよいし、ある程度の期間にわたって取得されたこれらの温度変化のプロファイルに基づいて行われてもよい。
【0027】
尚、「通常流路及びバイパス流路の温度に基づいて診断する」とは、例えば、両者の差分又は両者の比など、両者の値から導き得る何らかの診断指標の値に基づいて診断が行われることを含む概念である。この際、診断指標に基づく判断基準は、予め、実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって与えられていてもよい。
【0028】
本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置の一の態様では、前記バイパス流路は、前記バイパスされる一部を覆う筒状に形成されると共に、前記排気ガスの流路が前記切り替え手段によって前記バイパスされる一部に切り替えられている場合に、前記バイパスされる一部を通過した前記排気ガスの一部が前記バイパス流路の前記下流側から前記上流側へ向かって流れるように形成されており、前記第2温度検出手段は、前記第2触媒の前記上流側に設置される。
【0029】
この場合、排気ガス浄化システムは、被バイパス流路がバイパス流路によって覆われた構成を採る。また、この際、排気ガス浄化システムは、内側の筒(内筒、即ち被バイパス流路)を通過した排気ガスの一部が、外側の筒(外筒、即ちバイパス流路)の下流側から流れ込み、バイパス流路を上流側に向かって逆流するように構成される。主排気流路内は排気ガスが流れているから、結局この逆流する排気ガスは、第2触媒の上流側における、バイパス流路の始点を介して再び被バイパス流路へと還流する。このような還流現象は、被バイパス流路とバイパス流路との断面積比率や、被バイパス流路とバイパス流路との下流側の合流位置(即ち、バイパス流路の終点)付近における流路の形状(曲率)などによって生じる、被バイパス流路とバイパス流路との間の圧力差などに起因して生じる現象である。この際、バイパス流路は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて、このような還流現象が生じ易い構造に形成されていてもよい。
【0030】
この態様によれば、第2温度検出手段が、第2触媒の上流側に設置される。この設置位置は、還流(逆流)する排気ガスが第2触媒で更に冷却された後に到達する位置であると共に、切り替え手段によってバイパス流路が選択されている場合には、第2触媒によって冷却される以前の排気ガスが通過する、即ち比較的高温となる位置であるから、通常流路の温度とバイパス流路の温度との温度差が明確に現れ易い。少なくとも被バイパス流路が選択されている場合の温度差は明確に現れる。従って、一層精度良く切り替え手段の故障を診断し得る。
【0031】
尚、この態様では、前記排気ガス浄化システムは、前記バイパス流路と前記バイパスされる一部との間に形成された断熱層を更に具備してもよい。
【0032】
この場合、排気ガス浄化システムが、被バイパス流路とバイパス流路との間に形成された断熱層を備えるため、被バイパス流路とバイパス流路との間の熱交換が抑制され、通常流路の温度とバイパス流路の温度との温度差が明確に現れ易い。従って、高精度に切り替え弁の故障を診断し得る。
【0033】
上述した課題を解決するため、本発明に係る他の排気ガス浄化システムの故障診断装置は、内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において、前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段とを夫々具備する複数の排気ガス浄化システムにおいて、該複数の排気ガス浄化システム各々に備わる前記切り替え手段の故障を診断する排気ガス浄化システムの故障診断装置であって、前記複数の排気ガス浄化システムのうち一つにおいて、前記主排気流路における(i)前記バイパスされる一部の始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、前記複数の排気ガス浄化システム各々における前記バイパス流路に設置され、前記各々におけるバイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、前記区間の温度と前記各々におけるバイパス流路の温度とに基づいて前記複数の排気ガス浄化システム各々における前記切り替え手段の故障を診断する診断手段とを具備することを特徴とする。
【0034】
例えば、内燃機関が、気筒がV型に配列したV型エンジンである場合、各バンクに対し排気浄化システムが割り当てられることがある。また、直列エンジンの場合にも、排気浄化システムが複数使用されることがある。即ち、車両などにおいては、上述した排気ガス浄化システムが複数設置される場合がある。
【0035】
本発明に係る他の排気ガス浄化システムの故障診断装置によれば、第2温度検出手段は各排気ガス浄化システムに備わる一方、第1温度検出手段は、一つの排気ガス浄化システムに備わっており、複数の排気ガス浄化システム間で共有される。従って、温度検出手段の数量が節減され、経済的である。
【0036】
第1温度検出手段によって検出される通常流路の温度は、基準温度として利用される。即ち、温度検出手段を通常流路とバイパス流路との双方に有する排気ガス浄化システムは、基準のシステムとして利用される。基準のシステムにおいては、既に述べた如くにして切り替え手段の故障が診断される。
【0037】
一方で、基準のシステムではない(即ち、第1温度検出手段が備わっていない)排気ガス浄化システムにおいては、基準のシステムにおける各流路の温度検出値又はそれに基づいた診断結果をリファレンスとして使用することによって故障の診断を行うことができる。例えば、内燃機関からの排気ガスを同様に処理する関係上、複数の排気ガス浄化システム各々が相互に全く異なる挙動を示す可能性は低く、一の排気ガス浄化システムにおいて切り替え手段に故障が発生しているならば、そのシステムにおけるバイパス流路の温度は他の排気ガス浄化システムにおける挙動からは外れたものとなる。このようなリファレンスに対する乖離の度合いなどからも故障の診断が可能となる。尚、この際の診断基準は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて決定されていてもよい。
【0038】
上述した課題を解決するため、本発明に係る故障診断機能付き排気ガス浄化システムは、内燃機関における排気ガスを浄化するための排気ガス浄化システムであって、前記内燃機関の主排気流路に設けられ、排気ガスを浄化する第1触媒と、前記第1触媒の、前記内燃機関の機関部に近付く側として規定される上流側において前記主排気流路の一部をバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路に設けられ、前記排気ガスを浄化する第2触媒と、前記排気ガスの流路を前記バイパスされる一部と前記バイパス流路との間で選択的に切り替える切り替え手段と、前記主排気流路において(i)前記バイパスされる一部の始点の、前記内燃機関の機関部から遠ざかる側として規定される下流側であり且つ(ii)前記第1触媒の前記上流側となる区間に設置され、該区間の温度を検出する第1温度検出手段と、前記バイパス流路に設置され、前記バイパス流路の温度を検出する第2温度検出手段と、前記区間の温度と前記バイパス流路の温度とに基づいて前記切り替え手段の故障を診断する診断手段とを具備することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る故障診断機能付き排気ガス浄化システムによれば、上述した本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置と同等の故障診断機能を有するため、切り替え手段の故障を高精度に診断することが可能である。
【0040】
本発明に係る故障診断機能付き排気ガス浄化システムの一の態様では、前記バイパス流路は、前記バイパスされる一部を覆う筒状に形成されると共に、前記排気ガスの流路が前記切り替え手段によって前記バイパスされる一部に切り替えられている場合に、前記バイパスされる一部を通過した前記排気ガスの一部が前記バイパス流路の前記下流側から前記上流側へ向かって流れるように形成されており、前記第2温度検出手段は、前記第2触媒の前記上流側に設置される。
【0041】
この態様によれば、上述した本発明に係る排気ガス浄化システムの故障診断装置と同等の故障診断機能を有するため、切り替え手段の故障を高精度に診断することが可能である。
【0042】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
<実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0044】
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の半断面システム構成図である。
【0045】
図1において、エンジンシステム10は、ECU100、エンジン200及び触媒装置300を備える。
【0046】
ECU100は、図示せぬROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備えると共にエンジン200の動作を制御することが可能な電子制御ユニットである。また、ECU100は、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、後述する故障診断処理を実行することが可能に構成されており、触媒装置300と共に本発明に係る「故障診断機能付き排気ガス浄化システム」の一例として機能するように構成されている。また、触媒装置300の一部と共に、「排気ガス浄化システムの故障診断装置」の一例としても機能するように構成されている。
【0047】
エンジン200は、シリンダ201内において点火プラグ202により混合気を爆発させると共に、爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクションロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成された、本発明に係る内燃機関の一例である。以下に、エンジン200の要部構成を説明する。
【0048】
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は吸気管206を通過し、インジェクタ207から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。インジェクタ207には、図示せぬ燃料タンクから燃料(ガソリン)が供給されており、インジェクタ207は、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気管206内に噴射することが可能に構成されている。
【0049】
シリンダ201内部と吸気管206とは、吸気バルブ208の開閉によって連通状態が制御されている。シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気ガスとなり吸気バルブ208の開閉に連動して開閉する排気バルブ209を通過して排気管210を介して排気される。
【0050】
吸気管206上には、クリーナ211が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される。クリーナ211のシリンダ側には、エアフローメータ212が配設されている。エアフローメータ212は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接測定することが可能に構成されている。吸気管206には更に、吸入空気の温度を検出するための吸気温センサ213が設置されている。
【0051】
吸気管206におけるエアフローメータ212のシリンダ側には、シリンダ201内部への吸入空気量を調節するスロットルバルブ214が配設されている。このスロットルバルブ214にはスロットルバルブモータ217とスロットルポジションセンサ215が配設されている。一方、アクセルペダル223の踏込み量は、アクセルポジションセンサ216を介しECU100に入力されており、アクセルポジションセンサ216の出力に対応するスロットルバルブ開度を示す信号がECU100からスロットルバルブモータ217に出力され、吸入空気量が制御されている。
【0052】
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置を検出するクランクポジションセンサ218が設置されている。クランクポジションセンサ218は、クランクシャフト205の位置を検出することが可能に構成されたセンサであり、制御部100は、クランクポジションセンサ218の出力信号に基づいてピストン203の位置及びエンジン200の回転数などを取得することが可能に構成されている。このピストン203の位置は、前述した点火プラグ202における点火時期の制御などに使用される。点火プラグ202における点火時期は、例えば、ピストン203の位置に対応付けられて予め設定される基本値に対し遅角又は進角制御される。
【0053】
また、シリンダ201を収容するシリンダブロックには、エンジン200のノック強度を測定することが可能なノックセンサ219が配設されており、係るシリンダブロック内のウォータージャケット内には、エンジン200の冷却水温度を検出するための水温センサ220が配設されている。
【0054】
排気管210には、三元触媒222が設置されている。三元触媒222は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。排気管210における三元触媒222の上流側には、空燃比センサ221が配設されている。空燃比センサ221は、排気管210から排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。
【0055】
触媒装置300は、排気管210における、三元触媒222の下流側に設置された触媒装置であり、ECU100と共に、本発明に係る「故障診断機能付き排気ガス浄化システム」の一例として機能することが可能に構成されている。触媒装置300とECU100とは、制御用のバスラインを介して電気的に接続されている。
【0056】
次に、図2を参照して、触媒装置300の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、触媒装置300の模式断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0057】
図2において、触媒装置300は、床下触媒310、バイパス流路320、HC吸着材330、切り替え制御弁340、第1温度センサ350、第2温度センサ360及び断熱層370を備える。
【0058】
床下触媒310は、車両の床下に設置される三元触媒であり、前段の三元触媒222(図2では不図示)を通過し、図示A方向へ流れる排気ガスを浄化する、本発明に係る「第1触媒」の一例である。
【0059】
バイパス流路320は、本発明に係る「バイパス流路」の一例であり、排気管210の一部(即ち、本発明に係る「主排気流路の一部(被バイパス流路)」の一例)をバイパスして排気ガスを床下触媒310に導くための流路である。
【0060】
HC吸着材330は、ゼオライトで形成されたフィルタであり、本発明に係る「第2触媒」の一例である。HC吸着材330は、低温(概ね100℃未満)でHC分子を吸着(或いはトラップ)する網目状のフィルタであり、トラップされたHC分子は、高温(概ね100℃以上)では熱による運動エネルギーの増加に伴って自然に脱離を開始する。
【0061】
切り替え制御弁340は、三元触媒222を通過した排気ガスの流路を、被バイパス流路210aとバイパス流路320との間で選択的に切り替えることが可能に構成された、本発明に係る「切り替え手段」の一例である。切り替え制御弁340は、回動可能に支持された軸部がロッド342の紙面左右方向への直線運動に伴って図示B方向へ回動することによって、排気ガスの流路を切り替えることが可能に構成されている。このロッド342は、アクチュエータ341によって動作が制御されており、アクチュエータ341は、前述した制御用のバスラインを介してECU100と電気的に接続されている。即ち、触媒装置300は、ECU100からの制御信号に応じて、切り替え制御弁340の開閉状態が変化するように構成されている。
【0062】
第1温度センサ350は、サーミスタ素子で構成されており、排気管210における床下触媒310上流側(即ち、本発明に係る「バイパスされる一部の始点よりも下流側であり且つ第1触媒の上流側となる区間(通常流路)」の一例)の温度T1を検出することが可能に構成された、本発明に係る「第1温度検出手段」の一例である。尚、第1温度センサ350は、係る温度T1を、温度に応じた電圧値として検出すると共にECU100に出力しており、ECU100によって温度T1が特定されている。
【0063】
第2温度センサ360は、サーミスタ素子で構成されており、バイパス流路320におけるHC吸着材330上流側の温度T2を検出することが可能に構成された、本発明に係る「第2温度検出手段」の一例である。尚、第2温度センサ360は、係る温度を、温度に応じた電圧値として検出すると共にECU100に出力しており、ECU100によって温度T2が特定されている。
【0064】
断熱層370は、バイパス流路320と被バイパス流路210aとの間に形成された断熱体であり、本発明に係る「断熱層」の一例である。断熱層370によって、バイパス流路320と被バイパス流路210aとの間の熱交換が抑制されている。
【0065】
<実施形態の動作>
<排気ガスの流路の詳細>
次に、図3及び図4を参照して、切り替え制御弁340の動作に伴う排気ガス流路について説明する。ここに、図3は、触媒装置300において切り替え制御弁340が閉じている場合の排気ガス流れの模式図であり、図4は、触媒装置300において切り替え制御弁340が開いている場合の排気ガス流れの模式図である。尚、これらの図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0066】
図3において、矢線A方向から流入する排気ガスは、切り替え制御弁340が閉じているために被バイパス流路210aには流れず、バイパス流路320に導かれ、HC吸着材330によってHCの吸着が行われた後、HC吸着材330の下流側に形成された通気孔から矢線C方向へ流出し、床下触媒310に流入する。
【0067】
図4において、矢線A方向から流入する排気ガスは、切り替え制御弁340が開いているために、排気抵抗の差から被バイパス流路210aに導かれる。その一方で、被バイパス流路210aを通過する排気ガスの一部は、被バイパス流路210aの終端部付近で図示矢線D方向に方向を変え、バイパス流路320に形成された通気孔を介して下流側からバイパス流路320に流入する。そしてバイパス流路320の上流側の端部において排気ガスの流れ方向(矢線A方向)へ再び向きを変えて被バイパス流路210aに導かれる。即ち、排気ガスの一部は、触媒装置300内部を還流する。触媒装置300では、被バイパス流路210aとバイパス流路320との断面積比率、バイパス流路320の終端部分を規定する壁面の曲率、並びに通気孔の形状及び大きさなどが、予めこのような還流現象を生じさせるように決定されている。
【0068】
次に、図5を参照して、このような切り替え制御弁340の動作に伴う、各温度の挙動について説明する。ここに、図5は、切り替え制御弁340の開閉パターンに応じた各温度の模式図である。
【0069】
図5において、縦軸及び横軸は、夫々温度及び時間であり、図5(a)は温度T2の挙動を、図5(b)は温度T1の挙動を表している。
【0070】
図5(a)において、3本のプロファイル(特性線)Pr1(実線)、Pr2(点線)及びPr3(一点鎖線)が描かれる。プロファイルPr1は、切り替え制御弁340が閉じている場合の特性を表し、プロファイルPr2は、切り替え制御弁340が開いている場合の特性を表し、またプロファイルPr3は、切り替え制御弁340が閉じた状態から時刻Tにおいて開かれた場合の特性を表す。
【0071】
図示の通り、切り替え制御弁340が閉じている場合には、排気ガスがバイパス流路320に流入するため、プロファイルPr1の方がプロファイルPr2よりも相対的に高い温度で推移する。また、切り替え制御弁340が閉状態から開状態へ切り替えられる場合には、プロファイルPr3は最初プロファイルPr1と同様の挙動を示し、時刻T以降はプロファイルPr2に漸近する。
【0072】
図5(b)においても、3本のプロファイルPr4(実線)、Pr5(点線)及びPr6(一点鎖線)が描かれる。プロファイルPr4は、切り替え制御弁340が閉じている場合の特性を表し、プロファイルPr5は、切り替え制御弁340が開いている場合の特性を表し、またプロファイルPr6は、切り替え制御弁340が閉じた状態から時刻Tにおいて開かれた場合の特性を表す。
【0073】
図示の通り、切り替え制御弁340が閉じている場合には、排気ガスがバイパス流路320に流入するため、プロファイルPr5の方がプロファイルPr4よりも相対的に高い温度で推移する。また、切り替え制御弁340が閉状態から開状態へ切り替えられる場合には、プロファイルPr6は最初プロファイルPr4と同様の挙動を示し、時刻T以降はプロファイルPr5に漸近する。
【0074】
ここで、明らかに、切り替え制御弁340の開閉状態に応じて温度T1及び温度T2の相対関係は反転する。このような温度の反転は、特にエンジン200の始動時(冷間時)において顕著に発生する。
【0075】
<故障診断処理の詳細>
ECU100は、エンジンシステム10の動作中に、ROMに格納されるプログラムに従って故障診断処理を実行することによって、切り替え制御弁340の故障を診断することが可能に構成されている。
【0076】
ここで、図6を参照して、故障診断処理の詳細について説明する。ここに、図6は、故障診断処理のフローチャートである。尚、図6は、エンジン200の始動時に行われる処理であるとする。
【0077】
図6において、ECU100は、エンジン200が始動を開始したか否かを判別する(ステップA10)。エンジン200が始動を開始していない場合には(ステップA10:NO)、ECU100はエンジン200が始動するまでステップA10を繰り返すと共に、エンジン200が始動を開始した場合(ステップA10:YES)、第1温度センサ350及び第2温度センサ360の出力電圧から、温度T1及び温度T2を取得する(ステップA11)。
【0078】
尚、始動時において、エンジン200は全体的に温まっていないため、三元触媒222及び床下触媒310が触媒活性温度に達していない。このため、排気ガスに含まれるHCを浄化することが難しく、ECU100は、エンジン200の始動時に切り替え制御弁340を閉状態に制御し、排気ガスをバイパス流路320へ導くことによって排気ガス中のHCをHC吸着材330に吸着させている。そして、三元触媒222及び床下触媒310が触媒活性温度に達したと見なし得る所定の暖機期間が経過した後、切り替え制御弁340を開き、排気ガスを被バイパス流路210aに導いて、排気能力の低下を防ぐと共に、HC吸着材330にトラップされたHCを浄化する。
【0079】
温度T1及び温度T2を取得すると、ECU100は、診断指標の値(以降、適宜「診断指標値」と称する)を演算する(ステップA12)。ここで、図7を参照して、本実施形態に係る診断指標について説明する。ここに、図7は、診断指標の模式図である。尚、同図は、図5と同様に横軸は時間を表し、診断指標値の時間経過を表した図となっており、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0080】
図7において、図7(a)は、診断指標の一例である温度差を表しており、図7(b)は、診断指標の他の一例である温度面積比を表している。
【0081】
図7(a)が表す温度差とは、バイパス流路320の温度T2と、床下触媒310上流側の温度T1との差分である。図7(a)においては、切り替え制御弁340の閉状態、開状態及び閉状態から開状態への切り替わりに対応するものとして、夫々プロファイルPr7(実線)、Pr8(点線)及びPr9(一点鎖線)が表される。
【0082】
温度T2は、バルブが閉状態(バイパス流路320が選択されている状態)の方が、開状態(被バイパス流路210aが選択されている状態)よりも大きく、温度T1はその逆であるから、診断指標の値は、バイパス流路320が選択されている時の方が相対的に大きくなる。更に、時刻Tで排気ガスの流路が切り替えられると、診断指標の値は徐々に低下し、緩やかなスイッチング特性が実現される。
【0083】
図7(b)が表す温度面積比とは、図5に示すグラフにおいて、プロファイルの少なくとも一部と、係る一部の始点及び終点から横軸(時間軸)に向かって下ろした垂線と、横軸とによって囲まれた部分の面積の比であり、床下触媒310上流側についての温度面積(温度T1に対応)をバイパス流路320についての温度面積(温度T2に対応)で除算したものである。図7(b)においては、切り替え制御弁340の閉状態、開状態及び閉状態から開状態への切り替わりに対応するものとして、夫々Pr10(実線)、Pr11(点線)及びPr12(一点鎖線)が表される。
【0084】
温度T2は、バルブが閉状態(バイパス流路320が選択されている状態)の方が、開状態(被バイパス流路210aが選択されている状態)よりも大きく、温度T1はその逆であるから、診断指標の値は、バイパス流路320が選択されている時の方が相対的に小さくなる。更に、時刻Tで排気ガスの流路が切り替えられると、診断指標の値は徐々に上昇し、緩やかなスイッチング特性が実現される。
【0085】
温度面積比が診断指標として使用される場合、図5又は図7(a)に示されるような、ノイズや誤差などに相当する微小な変化量はキャンセルされるため、プロファイルは、主としてバイパス流路320の温度と床下触媒310上流側の温度との相対的な関係のみに基づいたものとなる。従って、診断の精度が担保され易く、本実施形態では、図7(b)に示すように温度面積比が診断指標として利用される。
【0086】
図6に戻り、診断指標値を演算すると、ECU100は、予めROMに格納される診断指標値の閾値と演算された診断指標値とを比較し、切り替え制御弁340が故障しているか否かを判別する(ステップA13)。
【0087】
尚、ここでは、所定のタイミング(時刻)における温度T1及び温度T2に基づいて切り替え制御弁340の故障の有無が判別されるが、各温度の検出は、ある程度の期間にわたって実行されてもよい。この際、温度の検出結果は、ECU100に備わる所定の記憶手段にバッファされてもよい。ステップA13における判別に際しては、係る期間に相当する長さのプロファイルが利用されてもよい。例えば、図7(b)において、エンジン始動直後からプロファイルが上昇傾向にある(即ち、プロファイルPr11に近付く傾向にある)場合、排気ガスがバイパス流路320に流れていないと推測されるから、切り替え制御弁340が故障していると判別されてもよい。
【0088】
切り替え制御弁340が故障していると判別された場合(ステップA13:YES)、ECU100は、車両の運転者などに、診断の結果として所定のインジケータなどを介して故障を告知し(ステップA19)、故障診断処理を終了する。
【0089】
一方、切り替え制御弁340が正常に動作していると判別された場合(ステップA13:NO)、ECU100は、排気ガスの流路を切り替えるべきタイミングであるか否かを判別する(ステップA14)。既に述べたように、ECU100は、床下触媒310が十分に温まったとみなし得るタイミングで流路を切り替える。この切り替えタイミングは、予めROMなどに格納される固定値であってもよいし、その都度決定される変動値であってもよい。
【0090】
切り替え制御弁340の切り替えタイミングではない場合(ステップA14:NO)、ECU100は、切り替えタイミングが訪れるまでステップA14を繰り返すと共に、切り替えタイミングが訪れた場合(ステップA14:YES)、切り替え制御弁340を閉じて、排気ガスの流路をバイパス流路320から被バイパス流路210aに切り替える(ステップA15)。
【0091】
流路を切り替えると、ECU100は、所定のタイミングで再び温度T1及び温度T2を検出する(ステップA16)。尚、既に述べたのと同様、流路の切り替えが実行されてから所定の期間にわたって係る温度検出が継続されてもよい。
【0092】
温度の検出が終了すると、ECU100は、再び診断指標値を演算する(ステップA17)と共に、演算した診断指標値を予め設定された閾値と比較して切り替え制御弁340が故障しているか否かを判別する(ステップA18)。尚、ECU100は、所定の記憶手段に、始動時刻からの経過時間に対応する診断指標値の閾値を複数保持し、ステップA16が行われる時刻に対応するものを適宜読み出してステップA18に係る判別をおこなってもよい。また、ある程度の期間にわたる診断指標値が演算される場合(即ち、プロファイルが演算される場合)には、係る診断指標値の推移(プロファイルの形状)などに基づいて切り替え制御弁340が故障しているか否かが判別されてもよい。
【0093】
切り替え制御弁340が故障していると判別された場合(ステップA18:YES)、ECU100は、既に述べたように故障の告知を行って(ステップA19)故障診断処理を終了すると共に、切り替え制御弁340が正常に動作していると判別された場合には(ステップA18:NO)、そのまま故障診断処理を終了する。
【0094】
このように、本実施形態に係るエンジンシステム10では、ECU100が、切り替え制御弁340の開閉状態に応じて温度の大小関係が反転する2点(バイパス流路及び床下触媒上流側)の相対的な関係に基づいて故障を診断するため、精度良く切り替え制御弁340の故障を診断することが可能である。また、断熱層370によって、バイパス流路320と被バイパス流路210aとの間の熱交換が抑制されると共に、バイパス流路320が還流構造を有することによって温度T1と温度T2との相対関係が明確に規定されているため、一層精度良く切り替え制御弁340の故障が診断され得る。
【0095】
<第2実施形態>
第1実施形態における触媒装置300は、エンジンの構成によっては、複数設けられる場合がある。ここで、図8を参照して、そのような本発明の第2実施形態に係るエンジンシステムについて説明する。ここに、図8は、エンジンシステム11の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0096】
図8において、エンジンシステム11は、エンジン400を備える。エンジン400は、シリンダ201が片側バンクに4本ずつ配置されたV型8気筒エンジンである。各バンクからは、各気筒201から集合する形で排気管210が三元触媒222と接続されている。一方の三元触媒222の下流側には、上述した触媒装置300が接続されており、他方の三元触媒222の下流側には、本発明の第2実施形態に係る触媒装置500が配置されている。尚、この触媒装置300及び500並びにエンジン400は、図示せぬECU100によってその動作が制御されている。
【0097】
触媒装置500は、第1温度センサ350を有さない点において触媒装置300と相違している。触媒装置300及び500における切り替え制御弁340の故障診断は、ECU100が実行する上述した故障診断処理によって、触媒装置毎に実行される。この際、触媒装置500における床下触媒310上流側の温度は、触媒装置300における当該温度によって代替される。
【0098】
触媒装置300における床下触媒310上流側の温度は、触媒装置500における床下触媒310上流側の温度を表すものではない。然るに、触媒装置300において、前述したような診断指標値に基づいた故障診断の結果、切り替え弁340が故障していないとされた場合、触媒装置500の切り替え制御弁340が正常な状態ならば、触媒装置500におけるバイパス流路320の温度と触媒装置300の床下触媒310上流側の温度とに基づいて演算される診断指標値も同程度の値を示すはずである。従って、触媒装置300における診断結果をリファレンスの値として使用することによって、触媒装置500において第1温度センサに対応するセンサを省略することが可能となる。
【0099】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う排気ガス浄化システムの故障診断装置及び故障診断機能付き排気ガス浄化システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの半断面システム構成図である。
【図2】図1のエンジンシステムにおける触媒装置の模式断面図である。
【図3】図2の触媒装置において切り替え制御弁が閉じている場合の排気ガス流れの模式図である。
【図4】図2の触媒装置において切り替え制御弁が開いている場合の排気ガス流れの模式図である。
【図5】切り替え制御弁の開閉パターンに応じたバイパス流路の温度及び床下触媒上流側の温度の模式図である。
【図6】図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する故障診断処理のフローチャートである。
【図7】図6の故障診断処理における診断指標の模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。
【符号の説明】
【0101】
10…エンジンシステム、11…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、210…排気管、210a…被バイパス流路、300…触媒装置、031…床下触媒、320…バイパス流路、330…HC吸着材、340…切り替え制御弁、350…第1度センサ、360…第2温度センサ、370…断熱層。400…エンジン、500…触媒装置。




 

 


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