米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 排熱回収装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9782(P2007−9782A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190341(P2005−190341)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 矢口 寛 / 澤田 大作
要約 課題
ヒータの熱膨張による変形の影響を低減すること。

解決手段
このスターリングエンジン100は、クーラー107を介して低温側シリンダ102が基板10に固定される。ヒータの一方の端部が配置される再生器106は、基板10の取付孔10Hに対して隙間ばめで取り付けられる。再生器106は、外周部に再生器フランジ106Fが設けられており、スペーサ31及び弾性体32で再生器フランジ106Fが狭持される。スペーサ31と弾性体32と狭持された再生器フランジ106Fは、再生器取付手段である再生器用クランプ30で挟み込まれる。そして、締結手段であるボルト33で再生器用クランプ30を基板10に締結することにより、再生器106は基板10に取り付けられる。
特許請求の範囲
【請求項1】
内部を第1ピストンが往復運動する第1シリンダと、
内部を第2ピストンが往復運動する第2シリンダと、
一方の端部が前記第1シリンダ側に配置されるとともに熱媒体から受熱し、かつ前記第1シリンダ又は前記第2シリンダの少なくとも一方に対して独立して移動可能なヒータと、前記ヒータの他方の端部側に配置される再生器と、一方の端部が前記再生器側に配置されるとともに他方の端部が前記第2シリンダ側に配置されるクーラーと、を含んで構成される熱交換器と、
を含むことを特徴とする排熱回収装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記第1シリンダ側で固定されており、前記ヒータは、前記第2シリンダに対して独立して移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収装置。
【請求項3】
前記クーラーは、前記第2シリンダに直接又は間接的に取り付けられており、前記再生器と前記クーラーとが相対的に移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の排熱回収装置。
【請求項4】
前記熱交換器が備える前記ヒータは略U字形状であり、
前記ヒータの一方の端部に対して、前記ヒータの他方の端部が前記ヒータの熱膨張によって移動する方向に沿って形成される案内部を、前記熱膨張により移動する端部側に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排熱回収装置。
【請求項5】
前記第1シリンダ及び前記第2シリンダは、基板に固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排熱回収装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路や工場排熱等の排熱を回収する排熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱機関を用いることにより、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱や工場排熱等を回収する排熱回収装置がある。このような用途に用いられる排熱回収装置としては、例えば、理論熱効率に優れたスターリングエンジンがある。特許文献1には、V型2気筒のα型スターリングエンジンであって、両気筒を伝熱管で接続したものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開平4−89836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、ヒータとして用いる伝熱管の熱膨張による変形が、前記加熱部に接続されるシリンダ及びその内部を往復運動するピストンに与える影響は考慮されていない。このため、特許文献1に開示されている技術では、例えば、加熱部の熱膨張による変形により、シリンダ間の距離が変化する結果、ピストンの動きに影響を与え、摩擦や摩耗の増加を招くことがある。
【0005】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ヒータの熱膨張による変形の影響を低減できる排熱回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係る排熱回収装置は、内部を第1ピストンが往復運動する第1シリンダと、内部を第2ピストンが往復運動する第2シリンダと、一方の端部が前記第1シリンダ側に配置されるとともに熱媒体から受熱し、かつ前記第1シリンダ又は前記第2シリンダの少なくとも一方に対して独立して移動可能なヒータと、前記ヒータの他方の端部側に配置される再生器と、一方の端部が前記再生器側に配置されるとともに他方の端部が前記第2シリンダ側に配置されるクーラーと、を含んで構成される熱交換器と、を含むことを特徴とする。
【0007】
この排熱回収装置は、熱交換器が備えるヒータを、第1シリンダ又は第2シリンダの少なくとも一方に対して、独立かつ相対的に移動可能とする。これにより、ヒータの熱膨張によりヒータが第1シリンダと第2シリンダとを引き離す方向に変形しても、この変形は第1シリンダ及び第2シリンダに対してほとんど伝わらない。これによって、排熱回収装置の運転中において、ヒータの熱膨張による変形の影響を最小限に抑えることができる。特に、排熱回収装置は、低質なエネルギー源である排熱から熱エネルギーを回収する必要があることから、気体軸受を介してピストンをシリンダ内で往復運動させるものがある。このような場合、この排熱回収装置では、ヒータの熱膨張による変形の影響を最小限に抑えることができるので、シリンダとピストンとのクリアランスは許容範囲内に維持される。その結果、シリンダとピストンとの間に形成される気体軸受の機能を十分に発揮させることができるので、安定した運転による排熱回収を実現できる。
【0008】
次の本発明に係る排熱回収装置は、前記排熱回収装置において、前記ヒータは、前記第1シリンダ側で固定されており、前記ヒータは、前記第2シリンダに対して独立して移動可能であることを特徴とする。
【0009】
次の本発明に係る排熱回収装置は、前記排熱回収装置において、前記クーラーは前記第2シリンダに直接又は間接的に取り付けられており、前記再生器と前記クーラーとが相対的に移動可能であることを特徴とする。
【0010】
次の本発明に係る排熱回収装置は、前記排熱回収装置において、前記熱交換器が備える前記ヒータは略U字形状であり、前記ヒータの一方の端部に対して、前記ヒータの他方の端部が前記ヒータの熱膨張によって移動する方向に沿って形成される案内部を、前記熱膨張により移動する端部側に備えることを特徴とする。
【0011】
次の本発明に係る排熱回収装置は、前記排熱回収装置において、前記第1シリンダ及び前記第2シリンダは、基板に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、ヒータの熱膨張による変形の影響を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下の説明では、排熱回収装置としてスターリングエンジンを用い、内燃機関の排熱を回収する場合を例とするが、排熱の回収対象は内燃機関に限られず、例えば工場やプラント、あるいは発電施設の排熱を回収してもよい。
【0014】
(実施形態)
図1は、この実施形態に係る排熱回収装置のスターリングエンジンを示す断面図である。図2は、近似直線機構の説明図である。図3は、ピストンを支持する気体軸受の説明図である。まず、排熱回収装置であるスターリングエンジンについて説明する。この実施形態に係る排熱回収装置であるスターリングエンジン100は、いわゆるα型の直列2気筒スターリングエンジンである。そして、第1シリンダである高温側シリンダ101内に収められた第1ピストンである高温側ピストン103と、第2シリンダである低温側シリンダ102内に収められた第2ピストンである低温側ピストン104とが直列に配置されている。
【0015】
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とは、基準体である基板10に、直接、又は間接的に支持、固定されている。この実施形態に係るスターリングエンジン100においては、この基板10が、スターリングエンジン100の各構成要素の位置基準となる。このように構成することで、前記各構成要素の相対的な位置精度を確保できる。また、後述するように、この実施形態に係るスターリングエンジン100は、高温側シリンダ101と高温側ピストン103との間、及び低温側シリンダ102と低温側ピストン104との間に気体軸受GBを介在させる。基準体である基板10に、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを直接又は間接的に取り付けることにより、ピストンとシリンダとのクリアランスを精度よく保持することができるので、気体軸受GBの機能を十分に発揮させることができる。さらに、スターリングエンジン100の組み立ても容易になる。また、この基板10は、スターリングエンジン100を排熱回収対象である排気通路等へ取り付けるときの基準として使用できるという利点もある。
【0016】
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102との間には、略U字形状のヒータ105と再生器106とクーラー107とで構成される熱交換器108が配置される。ヒータ105の一方の端部は高温側シリンダ101側に配置され、他方の端部は再生器106側に配置される。再生器106は、一方の端部がヒータ105側に配置され他方の端部はクーラー107側に配置される。クーラー107の一方の端部は再生器106側に配置され、他方の端部は低温側シリンダ102側に配置される。
【0017】
また、高温側シリンダ101、低温側シリンダ102及び熱交換器108内には作動流体(この実施形態では空気)が封入されており、ヒータ105から供給される熱及びクーラー107で排出する熱によってスターリングサイクルを構成し、高温側ピストン103を駆動する。ここで、例えば、ヒータ105、クーラー107は、熱伝導率が高く耐熱性に優れた材料のチューブを複数束ねた構成とすることができる。また、再生器106は、多孔質の蓄熱体で構成することができる。なお、ヒータ105、クーラー107及び再生器106の構成は、この例に限られるものではなく、排熱回収対象の熱条件やスターリングエンジン100の仕様等によって、好適な構成を選択することができる。
【0018】
高温側ピストン103と低温側ピストン104とは、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102内に気体軸受GBを介して支持されている。すなわち、ピストンリングを介さないで、ピストンをシリンダ内に支持する構造である。これによって、ピストンとシリンダとの摩擦を低減して、スターリングエンジン100の熱効率を向上させることができる。また、ピストンとシリンダとの摩擦を低減することにより、例えば、内燃機関の排熱回収のような低熱源、低温度差の運転条件下においても、スターリングエンジン100を運転して排熱を回収できる。
【0019】
気体軸受GBを構成するため、図3に示すように、高温側ピストン103と高温側シリンダ101とのクリアランスtcは、高温側ピストン103等の全周にわたって数十μmとする。なお、低温側ピストン104及び低温側シリンダ102も同様の構成である。高温側シリンダ101と高温側ピストン103と低温側シリンダ102と低温側ピストン104とは、例えば、加工の容易な金属材料を用いて構成することができる。
【0020】
高温側ピストン103、低温側ピストン104の往復運動は、コンロッド109によってクランク軸110に伝達され、ここで回転運動に変換される。コンロッド109は、図2に示す近似直線機構113によって支持されており、高温側ピストン103を略直線状に往復運動させる。なお、この近似直線機構113は、グラスホッパ機構を利用している。このように、コンロッド109を近似直線機構113によって支持することにより、高温側ピストン103のサイドフォースF(ピストンの径方向に向かう力)がほとんど0になるので、負荷能力の小さい気体軸受GBによって十分にピストンを支持することができる。なお、低温側ピストン104も、高温側ピストン103と同様の構成によってクランク軸110と連結される。
【0021】
図1に示すように、クランク軸110は、クランク軸支持体20に設けられた軸受25で、回転可能に支持される。クランク軸支持体20は板状の部材であり、基板10に固定される。また、近似直線機構113は、クランク軸支持体20に設けられた近似直線機構支持部26によって支持される。このとき、クランク軸支持体20は、高温側及び低温側シリンダ101、102と独立に、すなわち、これらと接触しないように、基板10に固定される。これにより、高温側及び低温側シリンダ101、102は、クランク軸110及び近似直線機構113の振動や、クランク軸110の熱膨張等の影響を受けないので、気体軸受GBの機能が十分に確保される。
【0022】
図1に示すように、スターリングエンジン100を構成する高温側シリンダ101、高温側ピストン103、クランク軸110、近似直線機構113等の各構成要素は、ケース114に格納される。ケース114内は、加圧手段115により加圧される。これは、高温側及び低温側シリンダ101、102、及び熱交換器108内の作動流体(本実施形態では空気)を加圧して、スターリングエンジン100からより多くの出力を取り出すためである。
【0023】
また、この実施形態に係るスターリングエンジン100では、ケース114にはシール軸受116が取り付けられており、出力軸117がシール軸受116により支持される。出力軸117とクランク軸110とは、フレキシブルカップリング118を介して連結されており、これを介してケース114の外部へクランク軸110の出力が伝達される。なお、この実施形態において、フレキシブルカップリング118には、オルダムカップリングを使用している。
【0024】
図4は、内燃機関の排気通路にスターリングエンジンを取り付けた状態を説明する概略図である。排熱回収装置であるスターリングエンジン100を、内燃機関120の排熱回収に使用するにあたり、図4に示すように、スターリングエンジン100に備えられる熱交換器108の少なくともヒータ105を、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等といった内燃機関120の排気通路122内に配置する。これにより、熱交換器108のヒータ105で、排気通路122内を排気通路出口122oに向かって流れる排ガス(熱媒体)Exから熱エネルギーを回収する。
【0025】
ここで、上記熱交換器108のヒータ105は、内部を流れる作動流体を加熱するため、例えば図4に示すように、内燃機関120の排気通路122内のような高温熱源内に配置される。このため、スターリングエンジン100の運転中において、熱交換器108のヒータ105は熱膨張するので、ヒータ105及びこれを含む熱交換器108は、冷間時よりも寸法が大きくなる。
【0026】
ヒータ105を含む熱交換器108を、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とに接続すると、前記熱膨張により、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とは、中心軸ZhとZlとの軸間距離lが冷間時に設定した値よりも大きくなる。その結果、シリンダとピストンとのクリアランスtc(図3)が維持できなくなって、気体軸受GBの機能が発揮できなくなるおそれがある。そこで、この実施形態では、次のような構成により、熱交換器108の熱膨張に起因するシリンダとピストンとのクリアランス変化を抑制するようにしている。
【0027】
図5は、この実施形態に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。図6−1は、再生器の取り付けに用いるスペーサの平面図である。図6−2は、図6−1のA−A断面図である。この実施形態に係るスターリングエンジン100では、高温側シリンダ101と連結されるヒータ取付部材101Uの取付用フランジ101UFを基板10に固定するとともに(図1)、再生器106をクーラー107に対して移動可能に取り付ける。なお、高温側シリンダ101側でヒータ105を直接基板10に固定してもよい。
【0028】
これにより、ヒータ105が取り付けられる再生器106は、低温側シリンダ102に対して相対的に移動可能に配置される。ここで、再生器106は、低温側シリンダ102の中心軸Zlに対して交差する方向(この実施形態では略直交する方向)であって、排ガスExの流れ方向と略平行な方向に移動可能に構成される。
【0029】
このような構成により、熱膨張によりヒータ105が高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを引き離す方向に変形しても、ヒータ105が取り付けられる再生器106は、低温側シリンダ102とは独立して移動する。これによって、熱膨張に起因するヒータ105の変形は、高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102に対してほとんど影響を与えないので、シリンダとピストンとのクリアランスtc(図3)は許容範囲内に維持される。その結果、スターリングエンジン100の運転中において、ヒータ105の熱膨張の影響を最小限に抑えることができるので、シリンダとピストンとの間に形成される気体軸受GB(図1、図3)の機能を十分に発揮させることができる。次に、再生器106の取付構造について、より詳細に説明する。
【0030】
図5に示すように、再生器106は、基板10の取付孔10Hに対して隙間ばめで取り付けられる。再生器106は、外周部に再生器フランジ106Fが設けられており、スペーサ31及び弾性体32で再生器フランジ106Fが狭持される。スペーサ31は、図6−1に示すように中空円板状である。スペーサ31と弾性体32と狭持された再生器フランジ106Fは、再生器取付手段である再生器用クランプ30で挟み込まれる。そして、締結手段であるボルト33で再生器用クランプ30を基板10に締結することにより、再生器106は基板10に取り付けられる。
【0031】
弾性体32は、再生器用クランプ30により、再生器フランジ106Fに押付力を付勢する。このように、弾性体32を介して再生器フランジ106Fを基板10上に取り付けるので、再生器106は、基板10に対して相対的に移動することができる。ここで、再生器106は、クーラー107の再生器側端面107spに沿って移動する。また、クーラー107は基板10に対して固定され、低温側シリンダ102は、クーラー107を介して基板10に固定される。これによって、再生器106は、低温側シリンダ102とは独立に、かつ低温側シリンダ102の中心軸Zlに対して略直交する方向であって、排ガスExの流れ方向と略平行な方向に移動できる。なお、この実施形態においては、クーラー107と低温側シリンダ102とは直接取り付けられるが、スペーサや連結部材等を介して、両者を間接的に固定してもよい。
【0032】
なお、再生器106のクーラー側端面106spと、クーラー107の再生器側端面107spとの間には、再生器106やクーラー107内の作動流体を封入するためのシール34が設けられる。これによって、再生器106とクーラー107との間から漏れる作動流体の量を極小にできる。また、この実施形態のように、低温側、すなわち再生器106とクーラー107とが合わさる部分で再生器106を移動可能とすれば、高温側よりも材料面で有利であり、また、作動流体も低温、低圧なので、作動流体のシールもしやすくなるという利点がある。
【0033】
ここで、ヒータ105内で加熱された作動流体は、再生器106内で高温から低温へ変化するので、ヒータ105の高温側シリンダ101側と低温側シリンダ102側とでは、熱膨張する長さが異なる。その結果、ヒータ105は、その熱膨張により、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とが離れる方向であって、かつ熱膨張により移動するヒータ105の端部が高温側又は低温側シリンダ101、102へ近づく方向(この例では端部1052が低温側シリンダ102へ近づく方向)、すなわち、基板面Pに対して斜め方向に熱変形する。
【0034】
この実施形態に係るスターリングエンジン100では、ヒータ105の一方の端部1051に対して、ヒータ105の他方の端部1052がヒータ105の熱膨張によって移動する方向に沿って形成される案内部(スペーサ31)を、ヒータ105の熱膨張により移動する端部1052側に備える。より具体的には、スターリングエンジン100では、案内部であるスペーサ31(図6−1、図6−2)を用いて、再生器106のクーラー側端面106sp及びクーラー107の再生器側端面107spを、基板面Pと平行な仮想基板面Pvに対して所定の傾き角度θだけ傾斜させている。クーラー側端面(傾斜面)106sp及び再生器側端面(傾斜面)107spの傾斜は、熱媒体である排ガスExの流れ方向に向かって、クーラー側端面106sp及び再生器側端面107spが低温側シリンダ102へ近づくように設けられる。
【0035】
このようにするため、スペーサ31の高さは、熱媒体である排ガスExの流れ方向に向かって低くなる(図5)。ここで、排ガスExの流れ方向は、高温側シリンダ101から低温側シリンダ102へ向かう方向である。また、傾き角度θは、ヒータ105が熱膨張により変形する方向(図5中の矢印M方向)と基板面Pとのなす角度に合わせる。このように構成することで、傾斜面107spに沿って再生器106が動くことになるので、熱膨張によりヒータ105が変形する方向に沿ってヒータ105が動く。その結果、再生器106が移動する際には、ヒータ105に作用する無理な応力を低減できるので、ヒータ105の耐久性低下を抑制できる。このように、案内部であるスペーサ34は、ヒータ105の熱膨張によって移動する端部1052を、ヒータ105が熱膨張により変形する方向に沿わせて移動させることにより、ヒータ105に作用する無理な応力を低減する機能を有する。なお、この実施形態においては、ヒータ105を高温側シリンダ101又は低温側シリンダ102の少なくとも一方に対して独立に相対移動できるようにすればよく、必ずしも前記傾斜を設けなくてもよい。
【0036】
図7は、この実施形態に係るスターリングエンジンが備えるヒータの他の例を示す説明図である。図8は、図7に示すヒータを備えるスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。図9−1は、再生器の取り付けに用いるスペーサの平面図である。図9−2は、図9−1のA−A断面図である。上述した、図1に示すスターリングエンジン100が備えるヒータ105(図1)は、略U字形状であって高温側シリンダ101側における長さが、低温側シリンダ102側における長さよりも小さい。このため、ヒータ105の熱膨張による変形の方向は、上述したように、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とが離れる方向であって、かつ低温側シリンダ102へ近づく方向となる。
【0037】
一方、図7に示すヒータ105aは、略U字形状であって高温側シリンダ101側における長さが、低温側シリンダ102側における長さよりも大きい。かかる場合、ヒータ105aの熱膨張による変形の方向は、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とが離れる方向であって、かつ熱膨張により移動するヒータ105aの端部が高温側又は低温側シリンダ101、102から遠ざかる方向(この例では端部105a2が高温側シリンダ101から遠ざかる方向)となる。
【0038】
スターリングエンジン100がこのようなヒータ105aを備える場合においても、ヒータ105aの一方の端部105a1に対して、ヒータ105aの他方の端部105a2がヒータ105aの熱膨張によって移動する方向に沿って形成される案内部(スペーサ31)を、ヒータ105aの熱膨張により移動する端部105a2側に備える。より具体的には、このスターリングエンジン100は、案内部であるスペーサ31(図9−1、図9−2)により、再生器106のクーラー側端面106sp及びクーラー107の再生器側端面107spを、基板面Pと平行な仮想基板面Pvに対して所定の傾き角度θだけ傾斜させている。クーラー側端面(傾斜面)106sp及び再生器側端面(傾斜面)107spの傾斜は、熱媒体である排ガスExの流れ方向に向かって、クーラー側端面106sp及び再生器側端面107spが低温側シリンダ102から遠ざかるように設けられる。
【0039】
このようにするため、スペーサ31の高さは、熱媒体である排ガスExの流れ方向に向かって高くなる(図8)。また、傾き角度θは、ヒータ105aが熱膨張により変形する方向(図8中の矢印M方向)と基板面Pとのなす角度に合わせる。このように構成することで、傾斜面107spに沿って再生器106が動くことになるので、熱膨張によりヒータ105aが変形する方向に沿ってヒータ105aが動く。その結果、再生器106が移動する際には、ヒータ105aに作用する無理な応力を低減できるので、ヒータ105aの耐久性低下を抑制できる。
【0040】
(第1変形例)
この実施形態の第1変形例は、上記実施形態と略同様の構成であるが、再生器とクーラーとの取付構造が異なる。他の構成は上記実施形態と同様である。図10は、この実施形態の第1変形例に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【0041】
図10に示すように、このスターリングエンジン100aにおいて、クーラー107は、クーラー107の外周部に設けられる基板固定用フランジ107F1によって、基板10の低温側シリンダ102側に取り付けられる。再生器106は、シール34を介してクーラー107に載置される。シール34により、再生器106とクーラー107との間から漏れる作動流体の量を極小にする。再生器106の外周部に設けられる再生器フランジ106Fと、クーラー107の再生器側端面107sp近傍に設けられる再生器取付用フランジ107F2が、再生器取付手段であるクランプ35で狭持される。
【0042】
これにより、再生器106は、クーラー107に取り付けられて、再生器106は、クーラー107の再生器側端面107spに沿って移動する。また、クーラー107は基板10に対して固定され、低温側シリンダ102は、クーラー107を介して基板10に固定される。これによって、再生器106は、低温側シリンダ102とは独立に、かつ低温側シリンダ102の中心軸Zlに対して略直交する方向であって、排ガスExの流れ方向と略平行な方向に移動できる。
【0043】
この第1変形例に係るスターリングエンジン100aでは、図10に示すように、再生器106のクーラー側端面106sp及びクーラー107の再生器側端面107spが、基板面Pと平行な仮想基板面Pvに対して所定の傾き角度θだけ傾斜している。ここで、前記傾斜の設けられるクーラー107の再生器側端面107spが、案内部に相当する。クーラー側端面106sp及び再生器側端面107spの傾斜は、上記実施形態に係るスターリングエンジン100(図5)と同様に設けられる。前記傾斜が設けられる理由は、上記実施形態で説明した通りである。これによって、ヒータ105が熱膨張により変形する方向に沿って、再生器106を動かすことができるので、再生器106が移動する際には、ヒータ105に作用する無理な応力を低減できるので、ヒータ105の耐久性低下を抑制できる。
【0044】
この第1変形例に係るスターリングエンジン100aも、ヒータ105が取り付けられる再生器106は、低温側シリンダ102とは独立して移動できる。これによって、熱膨張に起因するヒータ105の変形は、高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102に対してほとんど影響を与えないので、シリンダとピストンとのクリアランスtc(図3)は許容範囲内に維持される。その結果、スターリングエンジン100aの運転中においては、シリンダとピストンとの間に形成される気体軸受GB(図1、図3)の機能を十分に発揮させることができる。また、この第1変形例においても、低温側、すなわち再生器106とクーラー107とが合わさる部分で再生器106を移動可能とするので、高温側よりも材料面で有利である。そして、作動流体も低温、低圧なので、作動流体のシールもしやすくなる。
【0045】
なお、上記実施形態及びその第1変形例では、再生器106を移動可能に構成したが、再生器106とクーラー107とを固定し、ヒータ105と再生器106とが合わさる部分において、ヒータ105を移動可能に構成してもよい。
【0046】
(第2変形例)
この実施形態の第2変形例は、熱交換器を構成するヒータが低温側シリンダ側で基板に固定されるとともに、前記ヒータは高温側シリンダに対して相対的に移動できるように構成される点が異なる。他の構成は上記実施形態と同様である。図11は、この実施形態の第2変形例に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【0047】
図11に示すように、このスターリングエンジン100bにおいて、高温側シリンダ101側にヒータ105を取り付けるヒータ取付部材101Uは、取付用フランジ101UFによって基板10の基板面Pに取り付けられる。高温側シリンダ101は、基板10のヒータ取付部材101Uが取り付けられる面とは反対面に取り付けられる。なお、スターリングエンジン100bの運転中において、ヒータ取付部材101U内には高温側ピストン103(図1参照)が入り込む。このように、ヒータ取付部材101Uは、高温側シリンダ101の一部を構成する。なお、この変形例においては、ヒータ105は低温側シリンダ102側で基板10に固定される。ヒータ105は、ヒータ接続部材を介して基板10に固定してもよいし、直接基板10に固定してもよい。
【0048】
ヒータ105は、ヒータ取付部材101Uのヒータ側端面101spに載置される。ここで、ヒータ接続部材側端面105spとヒータ側端面101spとの間には、シール38が設けられる。シール38により、ヒータ105とヒータ取付部材101Uとの間から漏れる作動流体の量を極小にする。なお、スターリングエンジン100bの運転中において、高温側シリンダ101やヒータ105は高温になるので、シール38には耐熱性に優れるものが用いられる。
【0049】
ヒータ105の外周部には、ヒータフランジ105Fが設けられている。そして、ヒータ取付手段であるヒータ用クランプ36により、弾性体37を介してヒータフランジ105Fをヒータ取付部材101Uのヒータ側端面101spに押さえ込み、締結手段であるボルト39でヒータ用クランプ36をヒータ取付部材101Uに締結する。これによって、ヒータ105は、ヒータ取付部材101Uを介して基板10に取り付けられる。なお、ヒータ105及び高温側シリンダ101内には、高温、高圧の作動流体が流れるため、作動流体の圧力に耐え得るようにボルト39は締結される。
【0050】
これにより、ヒータ105は、ヒータ取付部材101Uに取り付けられて、ヒータ105は、ヒータ取付部材101Uのヒータ側端面101spに沿って移動する。ここで、ヒータ取付部材101Uは基板10に固定されるとともに、高温側シリンダ101は、ヒータ取付部材101Uを介して基板10に固定される。これによって、ヒータ105は、高温側シリンダ101とは独立に、かつ高温側シリンダ101の中心軸Zhに対して略直交する方向であって、排ガスExの流れ方向と略平行な方向に移動できる。
【0051】
この第2変形例に係るスターリングエンジン100bでは、図11に示すように、ヒータ105のヒータ接続部材側端面105sp及びヒータ取付部材101Uのヒータ側端面101spが、基板面Pと平行な仮想基板面Pvに対して所定の傾き角度θだけ傾斜している。ヒータ接続部材側端面(傾斜面)105sp及びヒータ側端面(傾斜面)101spの傾斜は、上記実施形態に係るスターリングエンジン100(図5)と同様に設けられる。この変形例においては、前記傾斜が設けられるヒータ側端面101spが、案内部に相当する。前記傾斜が設けられる理由は、上記実施形態で説明した通りである。これによって、傾斜面に沿って、すなわち、熱膨張によってヒータ105が変形する方向に沿ってヒータ105を動かすことができる。その結果、ヒータ105が移動する際には、ヒータ105に作用する無理な応力を低減して、ヒータ105の耐久性低下を抑制できる。
【0052】
この第2変形例に係るスターリングエンジン100bでは、ヒータ105が高温側シリンダ101とは独立して移動できる。これによって、熱膨張に起因するヒータ105の変形は、高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102に対してほとんど影響を与えないので、シリンダとピストンとのクリアランスtc(図3)は許容範囲内に維持される。その結果、スターリングエンジン100bの運転中においては、シリンダとピストンとの間に形成される気体軸受GB(図1、図3)の機能を十分に発揮させることができる。
【0053】
なお、この第2変形例のように、ヒータ105を高温側シリンダ101とは独立に移動可能にするとともに、上記実施形態や上記第1変形例のように、再生器106又はヒータ105を低温側シリンダ102とは独立に移動可能としてもよい。このようにすれば、ヒータ105全体の移動量を大きくできるので、ヒータ105の熱膨張による変形が大きい場合でも、高温側及び低温側シリンダ101、102へ及ぶ前記変形の影響を最小限にできる。
【0054】
以上、この実施形態及びその変形例では、熱交換器が備えるヒータを、高温側シリンダ又は低温側シリンダの少なくとも一方に対して、独立かつ相対的に移動可能とする。これにより、ヒータの熱膨張によりヒータが高温側シリンダと低温側シリンダとを引き離す方向に変形しても、この変形は高温側シリンダ及び低温側シリンダに対してほとんど伝わらない。このように、スターリングエンジンの運転中において、ヒータの熱膨張の影響を最小限に抑えることができるので、シリンダとピストンとのクリアランスは許容範囲内に維持される。その結果、シリンダとピストンとの間に形成される気体軸受の機能を十分に発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る排熱回収装置は、内燃機関の排熱や工場排熱の回収に有用であり、特に、ヒータの熱膨張による変形の影響を低減することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この実施形態に係る排熱回収装置のスターリングエンジンを示す断面図である。
【図2】近似直線機構の説明図である。
【図3】ピストンを支持する気体軸受の説明図である。
【図4】内燃機関の排気通路にスターリングエンジンを取り付けた状態を説明する概略図である。
【図5】この実施形態に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【図6−1】再生器の取り付けに用いるスペーサの平面図である。
【図6−2】図6−1のA−A断面図である。
【図7】この実施形態に係るスターリングエンジンが備えるヒータの他の例を示す説明図である。
【図8】図7に示すヒータを備えるスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【図9−1】再生器の取り付けに用いるスペーサの平面図である。
【図9−2】図9−1のA−A断面図である。
【図10】この実施形態の第1変形例に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【図11】この実施形態の第2変形例に係るスターリングエンジンの再生器とクーラーとの取り付け構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10 基板
30 再生器用クランプ
35 クランプ
36 ヒータ用クランプ
100、100a、100b スターリングエンジン
101U ヒータ取付部材
101 高温側シリンダ
102 低温側シリンダ
103 高温側ピストン
104 低温側ピストン
105 ヒータ
106 再生器
107 クーラー
108 熱交換器




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013