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発明の名称 内燃機関用燃料噴射弁
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9765(P2007−9765A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189646(P2005−189646)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
発明者 清水 信幸 / 杉本 知士郎
要約 課題
燃料噴霧の微粒化によりHC等の排気エミッションを低減させるように改良した内燃機関用燃料噴射弁を提供する。

解決手段
内燃機関の燃焼室へ燃料を噴射する噴孔の内壁を、親油部と撥油部とがナノオーダーで相互に微細分散して成る複合被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁。内燃機関の燃焼室へ燃料を噴射する噴孔の内壁を、燃料噴流方向に延在する多数の溝と、これら溝間の平面部とで構成し、上記溝の内壁は撥油被膜で被覆し、上記平面部は親油被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用噴射弁。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の燃焼室もしくは吸気ポートへ燃料を噴射する噴孔の内壁を、親油部と撥油部とがナノオーダーで相互に微細分散して成る複合被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁。
【請求項2】
請求項1において、上記親油部がPESから成り、上記撥油部がFEPから成ることを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁。
【請求項3】
内燃機関の燃焼室もしくは吸気ポートへ燃料を噴射する噴孔の内壁を、燃料噴流方向に延在する多数の溝と、これら溝間の平面部とで構成し、上記溝の内壁は撥油被膜で被覆し、上記平面部は親油被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁。
【請求項4】
請求項3において、上記撥油被膜がFEPから成り、上記親油被膜がPESから成ることを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴霧の微粒化によりHC等の排気エミッションを低減させるように改良した内燃機関用燃料噴射弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン等の内燃機関では、噴霧の微細化が良い方が、完全燃焼に近づき、機関の高性能化と排気エミッションの低減が図られる。
【0003】
特許文献1には、周状の燃料シール部(ニードル)を通った燃料の流れ(縦流れ)を流量計量部とニードルとの間の燃料の流れ(横流れ)に変換し、燃料噴射弁の中央に向かう途中で噴孔に導く構造が開示されている。噴孔のニードル側入口で流れを剥離させることにより強い渦流を発生させ、これにより噴霧の微粒化を図るものである。
【0004】
しかし、この方法では、噴孔のニードル側で燃料の流れを剥離させるため、流れが燃料噴射弁の中央側の噴孔内壁面に集中してしまい、噴孔内壁上を流れる燃料液膜が厚くなってしまう虞がある。燃料液膜が厚くなると、噴孔から噴出した液膜を粒子に分断するのに大きなエネルギーを要するため、噴出後直ちに噴霧粒子に分断され難く、一旦厚い液膜状(液筒状)で噴射されてから分断されることになり、噴霧粒子への分断までに時間がかかり、微粒化が阻害される。
【0005】
これは、燃料と噴孔内壁面(通常はステンレス鋼等)との表面張力の関係で燃料が内壁面に濡れ広がり難く、噴孔内壁面上で燃料液膜が流れの強い方に偏って液膜厚さが不均等になるからである。
【0006】
特許文献2にはデポジット抑制のために噴孔内壁に撥油被膜を施すことが開示されており、特許文献3には微粒化のために噴孔の内壁に燃料の流れ方向と直角な溝を設けることが開示されているが、いずれも微粒化効果が不十分であり、更に改良が求められていた。
【0007】
特許文献4には、特許文献2とは逆に、噴孔内壁に親油性を有する酸化チタンコーティングを施すことにより、噴霧の微粒化が図られているが、圧損が大きくなるという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平9−32695号公報(特許第3156554号)
【特許文献2】特開平11−343481号公報
【特許文献3】特開2003−227445号公報
【特許文献4】特開2004−346817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、燃料噴霧の微粒化によりHC等の排気エミッションを低減させるように改良した内燃機関用燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本願第1発明によれば、内燃機関の燃焼室もしくは吸気ポートへ燃料を噴射する噴孔の内壁を、親油部と撥油部とがナノオーダーで相互に微細分散して成る複合被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁が提供される。
【0011】
また、本願第2発明によれば、内燃機関の燃焼室もしくは吸気ポートへ燃料を噴射する噴孔の内壁を、燃料噴流方向に延在する多数の溝と、これら溝間の平面部とで構成し、上記溝の内壁は撥油被膜で被覆し、上記平面部は親油被膜で被覆したことを特徴とする内燃機関用燃料噴射弁が提供される。
【発明の効果】
【0012】
第1発明においては、(1)噴孔内壁を被覆した複合被膜を構成する親油部と撥油部とがナノオーダーで微細分散しているため、噴孔内の燃料液膜に対して分子レベルで作用することにより、噴孔内壁に対する燃料液膜の高い濡れ性が確保され噴孔内壁に薄く濡れ広がり薄膜化するので、噴霧が微粒化する。同時に、(2)複合被膜と燃料液膜との表面張力が同等であるため燃料液膜は薄い液膜のまま噴孔内壁を滑るので、噴孔内でのエネルギー損失すなわち圧損が大きくなることがない。
【0013】
第2発明においては、(1)親油性の平面部では濡れ性が高まり燃料液膜が薄く濡れ広がり薄膜化し、同時に、(2)撥油性の溝と親油性の平面部との境界で滑り速度の差で生じた剪断力により燃料液膜が引きちぎられ、溝内では燃料が液糸状になるため、噴出した液糸が長手方向に分断されることで、噴霧が微粒化する。
【0014】
第1発明、第2発明のいずれによっても、燃料噴霧の微粒化が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔実施形態1〕
図1、2、3を参照して、第1発明による噴霧の微粒化の原理を説明する。
【0016】
図1は第1発明の内燃機関用燃料噴射弁の噴孔付近を示す断面図であり、(A)は噴孔の長手方向に沿った縦断面図、(B)は(A)の線B−Bにおける横断面図である。
【0017】
図1(A)は、ニードルバルブ1を開放位置に上げた状態を示しており、燃料は矢印で示したように流れて、バルブボディー2の噴孔3から外部(燃焼室内)に噴霧される。
【0018】
第1発明の特徴として、噴孔3の内壁は、親油(PES)/撥油(FEP)複合被膜10が被覆している。燃料は噴孔3の内部では噴孔3の内壁に被覆された複合被膜10の表面を液膜4として流れる。すなわち液膜4は図1(B)に示したように噴孔内壁3の全体に広がった筒状をしており、その内側には残留空気層5がある。
【0019】
図2(A)に、第1発明の複合被膜10の構造を模式的に示す。親油性のPES(ポリエーテルサルフォン)12中に撥油性のFEP(4弗化エチレン・6弗化プロピレン共重合体)14がナノオーダーで微細分散している。例えば図中に示したように一辺0.1μm(100nm)〜1μmの正方形のPESマトリクス12中に、FEP粒子14が数十個のオーダーで微細に分散している。すなわち、FEP撥油部のサイズは数nm〜数十nmのオーダーであり、PES親油部のサイズ(FEP撥油部の間隔)も数nm〜数十nmのオーダーである。
【0020】
なお、FEP撥油部14は図2(A)のように単独の粒子から成る場合もあるが、図2(B)に示したように複数の粒子から成る場合もある。また、図2(B)では個々のFEP撥油部14がそれぞれ3個づつの粒子から成るように描いたが、必ずしも全て同数の粒子から成る必要はない。一般的には個々のFEP撥油部14は単独あるいは複数個の粒子から成っていてよい。
【0021】
図3を参照して、複合被膜10の作用を説明する。親油性PES領域12と撥油性FEP領域14とが交互に配列されているところに燃料液滴Pが接触すると、図3(A)に示すように、それぞれの領域上で燃料液滴Pには矢印のような力が作用して、点線で仮想的に示したように個々の領域上に個々の液滴Pを形成しようとする。
【0022】
しかし実際には、親油性PES領域12と撥油性FEP領域14との交互配列がナノオーダーであるため、燃料の分子レベルで図3(B)の矢印のように力が作用し、個々の領域上で燃料液滴Pが孤立して存在できずに隣接液滴P同士が連結し、燃料液膜4(図1)として全体に薄く濡れ広がる。その際、親油部12からの引力により濡れ性が確保されると同時に、撥油部14からの斥力で滑り性が確保される。これにより、燃料液膜4は複合被膜10上に薄く濡れ広がりつつ容易に滑ることができる。その結果、圧損の上昇を招くことなく薄い燃料液膜4が噴孔3から噴出し、容易に分断されて微粒化される。
【0023】
本実施形態の具体的な一例として、スプレー塗布やディッピング等の方法により噴孔3の内壁にPES/FEP混合溶液(例えばPES/FEP比=70/30)を塗布し、一次焼成(例えば180℃×30分)と二次焼成(例えば350℃×30分)を行なって、2〜5μm程度の膜厚のPES/FEP複合被膜10を形成することができる。
【0024】
〔実施形態2〕
図4を参照して、第2発明による噴霧の微粒化の原理を説明する。図4(A)は噴孔3の出口付近の斜視図であり、周囲は省略してある。図4(B)は噴孔3の内壁付近の一部分を拡大した横断面図である。
【0025】
第2発明の特徴として、噴孔の内壁3を、平面部3Aと噴流方向の溝3Bとが交互に配列されており、平面部3AはPESから成る親油被膜12で被覆し、溝3Bの内壁はFEPから成る撥油被膜14で被覆してある。
【0026】
親油性の平面部3A上では燃料は薄い液膜4Aとして濡れ広がり、撥油性の溝部3B内では燃料は自己の表面張力で断面が丸くなり液糸4Bとして細長くなる。親油性の平面部3Aは濡れによる抵抗で流速が相対的に遅く、撥油性の溝部3Bは濡れ難い分だけ流速が相対的に速い。両者の流速の差により平面部3A上の液膜4Aと、溝3B内の液糸4Bとの境界には剪断力が生じ、これにより両者が引きちぎられて図4(B)のように、平面部3A上の薄い液膜4Aと、溝3B内の液糸4Bとに分離される。燃料はこの状態で噴孔3から噴出し、薄い液膜4Aも細長い液糸4Bも容易に分断されて噴霧6が微粒化される。
【0027】
なお、本実施形態の付加的な効果として、溝3Bが噴流を案内することにより、噴霧の噴出し方向が安定する。
【0028】
本実施形態による具体的な一例として、噴孔径はφ0.2mm程度、溝3Bは深さ30μm程度、幅30μm程度である。例えば、溝は放電加工等の方法により形成することができ、PESをローラ塗り等の手段により、またFEPをディッピング等の手段により平面部3Aと溝部3BにそれぞれPES(親油剤)とFEP(撥油剤)を被覆することができる。
【0029】
なお、以上の説明においては、最も望ましい形態として親油剤はPES、撥油剤はFEPとしたが、本発明はこれらに限定する必要はない。例えば、PES以外の親油剤としては有機シリコン、TiO等を用いることができるし、FEP以外の撥油剤としてはCF(フルオロカーボン)、PTFE等を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、燃料噴霧の微粒化によりHC等の排気エミッションを低減させるように改良した内燃機関用燃料噴射弁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、第1発明による内燃機関用燃料噴射弁の噴孔付近の断面図であり、(A)は噴孔の長手方向に沿った縦断面図、(B)は(A)の線B−Bにおける横断面図である。
【図2】図2は、第1発明の複合被膜の構造を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、第1発明の複合被膜の作用を説明するための断面図である。
【図4】図4は、第2発明による内燃機関用燃料噴射弁の噴孔部分を示す(A)斜視図および(B)断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ニードルバルブ
2 バルブボディー
3 噴孔(の内壁)
3A 噴孔内壁の平面部
3B 噴孔内壁の溝部
4 燃料液膜
4A 噴孔内壁平面部上の燃料液膜
4B 噴孔内壁溝部の燃料液糸
10 親油(PES)/撥油(FEP)複合被膜
12 親油性のPES(ポリエーテルサルフォン)
14 撥油性のFEP(4弗化エチレン・6弗化プロピレン共重合体)




 

 


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