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燃料ポンプのシール構造及びそのシール構造を備えた燃料ポンプ - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 燃料ポンプのシール構造及びそのシール構造を備えた燃料ポンプ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9750(P2007−9750A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189101(P2005−189101)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
発明者 西川 千尋 / 曽田 信彦
要約 課題
プランジャの往復移動が高周波になった場合であっても、燃料ポンプにおける燃料領域とオイル領域とを確実に隔離することができる燃料ポンプのシール構造及びそのシール構造を備えた燃料ポンプを提供する。

解決手段
燃料ポンプのプランジャ周囲からの燃料や潤滑油の漏れを抑制するためのシール構造として、プランジャ23の外周面に摺接するシール材51と、このシール材51に対してプランジャ外周面に向かう付勢力を与えるコイルスプリング53,54とを備えさせる。シール材51自身の弾性力によるプランジャ外周面への押圧力(緊迫力)を無くし、コイルスプリング53,54の付勢力によるシール材51のプランジャ外周面に対する押圧力のみによってシール機能を発揮させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
シリンダ内で往復移動して加圧室内に吸入した燃料を加圧するプランジャの外周面に摺接することにより、加圧室側である燃料領域と反加圧室側である潤滑油領域とを隔離する燃料ポンプのシール構造において、
上記プランジャ外周面に摺接するシール材と、このシール材に対してプランジャ外周面に向かう付勢力を与える付勢部材とを備えており、
上記シール材自身の弾性によるプランジャ外周面への押圧力よりも、付勢部材の付勢力によるシール材のプランジャ外周面に対する押圧力の方が大きく設定されていることを特徴とする燃料ポンプのシール構造。
【請求項2】
上記請求項1記載の燃料ポンプのシール構造において、
シール材の内径寸法は、プランジャの外径寸法に略一致またはプランジャの外径寸法よりも大きく設定されており、付勢部材の付勢力のみによってシール材が内周側に向けて変形してプランジャ外周面に押圧されていることを特徴とする燃料ポンプのシール構造。
【請求項3】
上記請求項1または2記載の燃料ポンプのシール構造において、
シール材は、燃料領域側においてプランジャ外周面に摺接する燃料シール部と、潤滑油領域側においてプランジャ外周面に摺接するオイルシール部とを備えており、各シール部の外周部には付勢部材がそれぞれ装着されていて、それぞれシール材自身の弾性によるプランジャ外周面への押圧力よりも、付勢部材の付勢力によるシール材のプランジャ外周面に対する押圧力の方が大きく設定されていることを特徴とする燃料ポンプのシール構造。
【請求項4】
上記請求項1〜3のうち何れか一つに記載の燃料ポンプのシール構造によって燃料領域と潤滑油領域とが隔離されていることを特徴とする燃料ポンプ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば筒内直噴型エンジン等の内燃機関に適用され燃料噴射弁(インジェクタ)に向けて高圧燃料を供給するための燃料ポンプにおけるシール構造及びそのシール構造を備えた燃料ポンプに係る。特に、本発明は、プランジャ周囲からの燃料や潤滑油(以下、単にオイルと呼ぶ場合もある)の漏れを抑制するための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば筒内直噴型エンジンのようにインジェクタへ供給する燃料に高い圧力が要求されるエンジンにあっては、燃料タンクから送られてきた燃料を高圧燃料ポンプで加圧してインジェクタに向けて供給するようになっている。
【0003】
具体的に、この種のエンジンにおける燃料供給系の構成としては、下記の特許文献1にも開示されているように、燃料タンクから燃料を送り出すフィードポンプ、このフィードポンプによって送り出された燃料を加圧する高圧燃料ポンプを備えている。そして、この高圧燃料ポンプによって加圧された燃料を、複数のインジェクタが接続されたデリバリパイプに貯留するようになっている。これにより、インジェクタの開弁動作に伴って、デリバリパイプに貯留されている高圧燃料が、その開弁されたインジェクタから燃焼室に向けて噴射されることになる。
【0004】
また、上記高圧燃料ポンプは、シリンダ内にプランジャが挿入されており、このプランジャがリフタを介して駆動カムからの押圧力を受けてシリンダ内で往復移動し、加圧室に吸入した燃料を加圧するようになっている。詳しくは、プランジャの下端部にリテーナを装着し、このリテーナを、有底円筒形状のリフタ内に嵌め込む。そして、このリフタの下面に駆動カムを当接させる。一方、上記リテーナにはコイルスプリングによってプランジャを押し下げる方向(加圧室の容積を拡大させる方向)の付勢力が与えられている。つまり、駆動カムの回転に伴ってカムノーズがリフタから退避する状況では、コイルスプリングの付勢力がリテーナを介してプランジャに作用し、プランジャが下降移動して加圧室の容積が拡大(吸入行程)する一方、カムノーズがリフタに当接する状況では、リフタが押し上げられ、それに伴ってプランジャが上昇移動して加圧室の容積が縮小(加圧行程)するようになっている。尚、上記リフタにはオイル導入孔が形成されており、カムシャフトの回転によって跳ね上げられたオイルをオイル導入孔からリフタ内に導入することにより、リテーナ、リフタ、コイルスプリング等の接触箇所の潤滑が行われている。
【0005】
ところで、この種の高圧燃料ポンプにあっては、略円筒形状のゴム製のシール材をプランジャの外周面に対して摺動自在に押圧させたシール構造が採用されている。これにより、シール材よりも上側(加圧室側)である燃料領域と、シール材よりも下側(リフタ側)であるオイル領域とを隔離している。つまり、燃料領域のプランジャとシリンダとの間隙から漏れ出た燃料がオイル領域に流れ込んでオイルが希釈されて潤滑性能の悪化を招いたり、オイル領域のオイルが燃料領域に流れ込んで燃料供給系(特にインジェクタ)の内部にデポジットが発生したりすることを阻止している。
【0006】
従来の上記シール構造について具体的に説明すると、上記シール材の内径寸法をプランジャの外径寸法よりも予め小径に設計しておく。そして、シール材の内部にプランジャを挿入することでシール材の内周部を外周側に向けて弾性変形させる。つまり、シール材にプランジャの外周面に向かう押圧力(以下、この弾性による押圧力を「緊迫力」と呼ぶ)を生じさせ、これによりシール機能を発揮させるようにしている。
【0007】
また、下記の特許文献2に開示されているように、シール材の外周部にコイルスプリングを巻き掛け、このコイルスプリングによる内周側に向かう押圧力を上記緊迫力に対するアシスト力(例えば、緊迫力の約半分程度のアシスト力)として作用させて燃料及びオイルの漏れを防止することも行われている。
【特許文献1】特開2001−295730号公報
【特許文献2】実開平5−40659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種の高圧燃料ポンプにあっては、上述した如くプランジャがシリンダ内で往復移動するため、特に、吸入行程(プランジャがシリンダから抜け出る方向に移動する工程)では、シリンダによるプランジャの保持長さが短くなり、また、シリンダとプランジャとの間には僅かなクリアランスが存在しているために、プランジャの軸心がシリンダの軸心に対して振れを生じる現象(プランジャの首振り)を招くことがある。つまり、プランジャの下端やその周囲がシリンダの軸心に対して直交する方向(横方向)に振れを生じることがある。特に、上記駆動カム外周面とリフタ下面との摩擦による局部摩耗を抑制するためにリフタをその軸心回りに回転させる機構を備えたものにあっては、プランジャの下端やその周囲が横方向に往復(直線往復移動)する振ればかりでなく、上記回転力の影響を受けてシリンダの軸心を中心とする回転方向にプランジャの下端が振れてしまうこともある。
【0009】
従来のシール構造ではプランジャ外周面に対する密着性をシール材の弾性に依存しているため、上記各振れが生じた場合に、シール材の弾性変形(単位時間当たりの変形量)がプランジャの振れ(単位時間当たりの振れ量:シール材の内面から離れる方向への移動量)に追従できなくなり、シール材のシール機能に支障を来すことがある。特に、エンジンの高回転時にはプランジャの往復移動も高周波になり、それに伴って上記振れの周期も短くなってプランジャの振れ速度も高くなるため、シール材の弾性変形がプランジャの振れに追従できなくなる可能性が高くなる。その結果、上記燃料漏れによる潤滑性能の悪化や、オイル漏れによるデポジットの発生が懸念される状況を招いてしまう。上述した如く、シール材の外周部にコイルスプリングを装着することも行われているが、このコイルスプリングによる内周側に向かう押圧力は、上記緊迫力に対するアシスト力として作用するものでしかなく上記不具合を回避できるものではない。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プランジャの往復移動が高周波になった場合であっても、燃料ポンプにおける燃料領域とオイル領域とを確実に隔離することができる燃料ポンプのシール構造及びそのシール構造を備えた燃料ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、シリンダ内で往復移動して加圧室内に吸入した燃料を加圧するプランジャの外周面に摺接することにより、加圧室側である燃料領域と反加圧室側である潤滑油領域とを隔離する燃料ポンプのシール構造を前提とする。このシール構造に対し、上記プランジャ外周面に摺接するシール材と、このシール材に対してプランジャ外周面に向かう付勢力を与える付勢部材とを備えさせる。そして、上記シール材自身の弾性によるプランジャ外周面への押圧力(上記緊迫力)よりも、付勢部材の付勢力によるシール材のプランジャ外周面に対する押圧力の方を大きく設定している。
【0012】
この特定事項により、燃料ポンプの駆動時には、プランジャは、その外周面がシール材の内面に摺接しながらシリンダ内で往復移動し、これによって加圧室内への燃料の吸入(
吸入行程)と加圧室内での燃料の加圧(加圧行程)とが繰り返されて高圧の燃料が吐出されることになる。このような駆動動作において、シール材はプランジャ外周面に対する押圧力を付勢部材から大きく受けているため、シール材の変形は、このシール材自身が有する弾性よりも付勢部材からの付勢力の作用による方が支配的となっている。このため、プランジャの軸心がシリンダの軸心に対して振れを生じる現象(プランジャの首振り)が生じたとしても、シール材は、このシール材自身の弾性変形量(単位時間当たりに変形可能な量)に依存することなく付勢部材からの付勢力を受けてプランジャの振れに追従することが可能になり、シール材の変形(単位時間当たりの変形量)がプランジャの振れ(単位時間当たりの振れ量)に容易に追従してシール機能が良好に維持される。この現象は、プランジャの往復移動が高周波になって上記振れの周期が短くなった場合であっても同様である。この結果、燃料ポンプの駆動状態に拘わりなく常に安定したシール機能を維持することができ、上記燃料領域のプランジャとシリンダとの間隙から漏れ出た燃料が潤滑油領域に流れ込んで潤滑油が希釈されて潤滑性能の悪化を招いたり、潤滑油領域の潤滑油が燃料領域に流れ込んで燃料供給系の内部にデポジットが発生したりするといった状況を回避することができる。
【0013】
また、上記効果が顕著に現れる構成としては以下のもの挙げられる。つまり、シール材の内径寸法を、プランジャの外径寸法に略一致させるかまたはプランジャの外径寸法よりも大きく設定し、付勢部材の付勢力のみによってシール材を内周側に向けて変形させてプランジャ外周面に押圧する構成である。つまり、シール材自身の弾性によるプランジャ外周面への押圧力(上記緊迫力)を「0」とし、付勢部材の付勢力によるシール材のプランジャ外周面に対する押圧力のみによってシール機能を発揮させる構成である。これによれば、シール材の変形は付勢部材からの付勢力の作用のみによって支配されることになり、シール材自身の弾性変形には全く依存しなくなる。このため、プランジャの軸心がシリンダの軸心に対して振れを生じる現象が生じたとしても、シール材はプランジャの振れに迅速に追従することができ、高いシール機能を確保することができる。
【0014】
より具体的なシール構造としては以下のものが挙げられる。つまり、シール材に、燃料領域側においてプランジャ外周面に摺接する燃料シール部と、潤滑油領域側においてプランジャ外周面に摺接するオイルシール部とを備えさせる。そして、各シール部の外周部に付勢部材をそれぞれ装着し、それぞれシール材自身の弾性によるプランジャ外周面への押圧力よりも、付勢部材の付勢力によるシール材のプランジャ外周面に対する押圧力の方を大きく設定している。
【0015】
このように燃料領域側のシール部(燃料シール部)と潤滑油領域側のシール部(オイルシール部)とを個別に備えさせ、それぞれに個別の付勢部材を装着することにより、燃料領域側からの燃料漏れ防止及び潤滑油領域側からの潤滑油漏れ防止のそれぞれに適したシール構造を個別に適用することが可能になる。例えば、付勢部材をコイルスプリングで構成した場合に、燃料シール部に装着するコイルスプリングのスプリング径やそのバネ定数と、オイルシール部に装着するコイルスプリングのスプリング径やそのバネ定数とを互いに異ならせる等といった手法が適用可能となる。
【0016】
尚、上述した各解決手段のうち何れか一つに記載の燃料ポンプのシール構造によって燃料領域と潤滑油領域とが隔離された燃料ポンプも本発明の技術的思想の範疇である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、燃料ポンプのプランジャ周囲からの燃料や潤滑油の漏れを抑制するためのシール構造として、シール材の変形を、そのシール材自身が有する弾性よりも、外力としての付勢部材からの付勢力の作用が支配的となるようにしている。これにより、プランジャに首振り現象が生じた場合であっても、シール材をプランジャの振れに迅速に追従させ
ることが可能になる。このため、プランジャの往復移動が高周波になって上記振れの周期が短くなった場合であっても常に安定したシール機能を維持することができ、燃料領域のプランジャとシリンダとの間隙から漏れ出た燃料が潤滑油領域に流れ込んで潤滑油が希釈されて潤滑性能の悪化を招いたり、潤滑油領域の潤滑油が燃料領域に流れ込んで燃料供給系の内部にデポジットが発生したりするといった状況を回避することができ、燃料ポンプに高い信頼性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動車に搭載された筒内直噴型多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンに使用される高圧燃料ポンプに本発明を適用した場合について説明する。
【0019】
−燃料供給装置100−
高圧燃料ポンプの具体構成について説明する前に、この高圧燃料ポンプが適用される燃料供給装置100の概略構成について説明する。図1は本実施形態における燃料供給装置100の構造を模式的に示す図である。この図1に示すように、燃料供給装置100は、燃料タンク101から燃料を送り出すフィードポンプ102と、そのフィードポンプ102によって送り出された燃料を加圧して各気筒(4気筒)の燃料噴射弁4,4,…に向けて吐出する高圧燃料ポンプ1とを備えている。
【0020】
上記高圧燃料ポンプ1の概略構成としては(具体構成については、後で図3を用いて説明する)、シリンダ21、プランジャ23、加圧室22及び電磁スピル弁30を備えている。プランジャ23は、エンジンの排気カムシャフト110に取り付けられた駆動カム111の回転によって駆動され、シリンダ21内を往復移動する。このプランジャ23の往復移動により加圧室22の容積が拡大または縮小する。本実施形態では、排気カムシャフト110の回転軸回りに180°の角度間隔をもって2つのカム山(カムノーズ)112,112が駆動カム111に形成されている。そして、このカムノーズ112,112によってプランジャ23が押し上げられて、このプランジャ23がシリンダ21内で移動するようになっている。尚、本実施形態に係るエンジンは4気筒型であるため、エンジンの1サイクル中、つまりクランクシャフトが2回転する間に、気筒毎に設けられた燃料噴射弁4から各1回ずつ、合計4回の燃料噴射が行われることになる。また、このエンジンでは、クランクシャフトが2回転する度に排気カムシャフト110は1回転する。よって、燃料噴射弁4からの燃料噴射は4回ずつ、高圧燃料ポンプ1からの吐出動作は2回ずつ、エンジンの1サイクル毎に行われるようになっている。
【0021】
上記加圧室22はプランジャ23及びシリンダ21によって区画されている。この加圧室22は、低圧燃料配管104を介してフィードポンプ102に連通しており、また、高圧燃料配管105を介してデリバリパイプ(蓄圧容器)106内に連通している。
【0022】
このデリバリパイプ106には、上記燃料噴射弁4,4,…が接続されていると共に、デリバリパイプ106内の燃料圧力(実燃圧)を検出する燃圧センサ161が配設されている。また、このデリバリパイプ106には、リリーフバルブ171を介してリターン配管172が接続されている。このリリーフバルブ171は、デリバリパイプ106内の燃料圧力が所定圧(例えば13MPa)を越えたときに開弁する。この開弁により、デリバリパイプ106に蓄えられた燃料の一部をリターン配管172を介して燃料タンク101に戻すようになっている。これにより、デリバリパイプ106内の燃料圧力の過上昇が防止される。また、上記リターン配管172と高圧燃料ポンプ1とは、燃料排出配管108(図1では破線で示している)によって接続されており、プランジャ23とシリンダ21との間隙から漏出した燃料がシールユニット5の上部の燃料収容室6に蓄積され、その後、この燃料収容室6に接続された上記燃料排出配管108に戻されるようになっている。
【0023】
尚、低圧燃料配管104には、フィルタ141及びプレッシャレギュレータ142が設けられている。このプレッシャレギュレータ142は、低圧燃料配管104内の燃料圧力が所定圧(例えば0.4MPa)を越えたときに低圧燃料配管104内の燃料を燃料タンク101に戻すことによって、この低圧燃料配管104内の燃料圧力を所定圧以下に維持している。また、低圧燃料配管104には、パルセーションダンパ107が備えられており、このパルセーションダンパ107によって高圧燃料ポンプ1の作動時における低圧燃料配管104内の燃圧脈動が抑制されるようになっている。また、高圧燃料配管105には、高圧燃料ポンプ1から吐出された燃料が逆流することを阻止するための逆止弁151が設けられている。
【0024】
上記高圧燃料ポンプ1には、低圧燃料配管104と加圧室22との間を連通または遮断するための上記電磁スピル弁30が設けられている。この電磁スピル弁30は、電磁ソレノイド31を備えており、その電磁ソレノイド31への通電を制御することにより開閉動作する。電磁スピル弁30は、電磁ソレノイド31への通電が停止されているときにはコイルスプリング37の付勢力によって開弁する。以下、この電磁スピル弁30の開閉動作について図2を参照しながら説明する。
【0025】
先ず、電磁ソレノイド31に対する通電が停止された状態のときには、電磁スピル弁30がコイルスプリング37の付勢力によって開弁し、低圧燃料配管104と加圧室22とが連通した状態になる。この状態において、加圧室22の容積が増大する方向にプランジャ23が移動するとき(吸入行程)には、フィードポンプ102から送り出された燃料が低圧燃料配管104を経て加圧室22内に吸入される。
【0026】
一方、加圧室22の容積が収縮する方向にプランジャ23が移動するとき(加圧行程)において、電磁ソレノイド31への通電により電磁スピル弁30がコイルスプリング37の付勢力に抗して閉弁すると、低圧燃料配管104と加圧室22との間が遮断され、加圧室22内の燃料圧力が所定値に達した時点でチェック弁40が開放して、高圧の燃料が高圧燃料配管105を通じてデリバリパイプ106に向けて吐出される。
【0027】
そして、高圧燃料ポンプ1における燃料吐出量の調整は、加圧行程での電磁スピル弁30の閉弁期間を制御することによって行われる。即ち、電磁スピル弁30の閉弁開始時期を早めて閉弁期間を長くすると燃料吐出量が増加し、電磁スピル弁30の閉弁開始時期を遅らせて閉弁期間を短くすると燃料吐出量が減少するようになる。このように、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量を調整することにより、デリバリパイプ106内の燃料圧力が制御される。
【0028】
ここで、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量(電磁スピル弁30の閉弁開始時期)を制御するための制御量であるポンプデューティDTについて説明する。
【0029】
このポンプデューティDTは、0〜100%という値の間で変化するものであって、電磁スピル弁30の閉弁期間に対応する排気カムシャフト110の駆動カム111のカム角度に関係した値である。
【0030】
具体的には、駆動カム111のカム角度に関して、図2に示すように、電磁スピル弁30の最大閉弁期間に対応したカム角度(最大カム角度)をθ0とし、その最大閉弁期間の目標燃圧に対応するカム角度(目標カム角度)をθとすると、ポンプデューティDTは、最大カム角度θ0に対する目標カム角度θの割合(DT=θ/θ0)で表される。従って、ポンプデューティDTは、目標とする電磁スピル弁30の閉弁期間(閉弁開始時期)が最大閉弁期間に近づくほど100%に近い値となり、目標とする閉弁期間が「0」に近づ
くほど0%に近い値となる。
【0031】
そして、ポンプデューティDTが100%に近づくほど、ポンプデューティDTに基づいて調整される電磁スピル弁30の閉弁開始時期は早められ、電磁スピル弁30の閉弁期間は長くなる。その結果、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量が増加して実燃圧が上昇するようになる。また、ポンプデューティDTが0%に近づくほど、ポンプデューティDTに基づいて調整される電磁スピル弁30の閉弁開始時期は遅らされ、電磁スピル弁30の閉弁期間は短くなる。その結果、高圧燃料ポンプ1の燃料吐出量が減少して実燃圧が低下するようになる。尚、上記ポンプデューティDTの算出手順の詳細についてはここでは説明を省略する。
【0032】
−高圧燃料ポンプ1の具体構成−
次に、上記高圧燃料ポンプ1の具体構成について図3を用いて説明する。図3は高圧燃料ポンプ1の縦断面図である。この図3に示すように、本実施形態の高圧燃料ポンプ1は、ハウジング10内にポンプ部20、上記電磁スピル弁30及びチェック弁40を備えた構成となっている。
【0033】
上記ポンプ部20は、シリンダ21、加圧室22、プランジャ23、リフタ24及びリフタガイド25を備えている。シリンダ21はハウジング10の中央部に形成され、その先端側(図3における上端側)に加圧室22が形成される。プランジャ23は円柱状であって、シリンダ21内にその軸線方向の摺動が可能に挿入されている。リフタ24は有底円筒状に形成されており、その内部に、プランジャ23の基端部、後述するリテーナ26及びコイルスプリング27等が収容される。リフタガイド25はハウジング10の下側に取り付けられた円筒状の部材であって、その内部に上記リフタ24が軸線方向へ摺動可能に収納されている。
【0034】
上記プランジャ23の基端部にはリテーナ26が係合されている。具体的には、プランジャ23の基端部に小径部23aが設けられており、リテーナ26にはこの小径部23aの外径寸法に略一致する幅を有する溝26aが形成されていて、この溝26aに小径部23aが嵌め込まれることによってプランジャ23の基端部がリテーナ26に往復移動一体に係合されている。そして、リフタガイド25の上部にはスプリングシート部材25aが嵌め込まれており、このスプリングシート部材25aの下面とリテーナ26との間にコイルスプリング27が圧縮状態で配置されている。つまり、このコイルスプリング27により、プランジャ23に対して下方への付勢力が付与されていると共に、リフタ24が駆動カム111に向けて付勢されている。尚、駆動カム111の外周面の中心位置(駆動カム111の回転軸方向の中心位置)とリフタ24の下面の中心点とは駆動カム111の回転軸方向に沿ってずらされ(偏心され)ており、これら両者は所謂オフセット配置されている。また、このオフセットの方向としては、駆動カム111の外周面とリフタ24の下面との間の摩擦力を利用してリフタ24が平面視において時計回り方向に回転するようにされている。
【0035】
上記電磁スピル弁30は加圧室22に対向して配設され、上記電磁ソレノイド31、ボビン32、コア33、アーマチャ34、ポペット弁35及びシート体36を備えている。電磁ソレノイド31はボビン32にリング状に巻装されたコイルで成り、コア33はボビン32の中心貫通孔に嵌合固定されている。アーマチャ34はポペット弁35の一端に固定された状態で、その一部がコア33と同軸上でボビン32の中心貫通孔に進入可能に配置されている。コア33及びアーマチャ34の各対向面には凹部がそれぞれ形成されており、それら凹部間にはコイルスプリング37が圧縮状態で収容されている。そして、このコイルスプリング37により、アーマチャ34が加圧室22側に向かって付勢されている。
【0036】
上記ポペット弁35はシート体36内の貫通孔に摺動可能に挿入され、その下端部には円板状の弁体35aが形成されている。そして、電磁ソレノイド31の非通電時には、コイルスプリング37の付勢力により、弁体35aがシート体36のシート部36aから離間されて、電磁スピル弁30は開弁状態となる。一方、図示しない電子制御装置から端子38を介して電磁ソレノイド31に通電されると、コア33、アーマチャ34及び電磁スピル弁30全体を支持する支持部材39により磁気回路が形成され、コイルスプリング37の付勢力に抗して、アーマチャ34がコア33側に移動する。これにより、ポペット弁35が加圧室22と反対側に移動し、その弁体35aがシート体36のシート部36aに当接して、電磁スピル弁30は閉弁状態となる(図3に示す状態)。
【0037】
一方、電磁スピル弁30が開弁状態にあるときには、シート体36に形成された複数の供給通路36bと加圧室22との間で燃料が流通可能となっている。
【0038】
上記供給通路36bと連通するように、ハウジング10には低圧燃料通路11が形成されている。そして、電磁スピル弁30の開弁状態で、プランジャ23が下降するとき、フィードポンプ102の作動により燃料タンク101から汲み上げられた低圧燃料が、フィルタ141、プレッシャレギュレータ142、低圧燃料通路11及び供給通路36bを経て加圧室22に吸入されるようになっている。
【0039】
上記シリンダ21の先端側に形成された加圧室22は、シリンダ21の内周面よりも大径に形成されている。そして、プランジャ23は電磁スピル弁30の閉タイミング前に加圧室22に進入し、電磁スピル弁30が閉弁した後にプランジャ23が上死点に到達するようになっている。また、プランジャ23の先端部が加圧室22内に進入した状態で、加圧室22の内周面とプランジャ23の外周面との間に隙間が形成されるようになっている。ハウジング10には高圧燃料通路12が形成されており、加圧室22がこの高圧燃料通路12を介してチェック弁40に連通するようになっている。
【0040】
上記チェック弁40は、高圧燃料通路12に接続されたケーシング41と、そのケーシング41内に配置されたシート体42及びスプリングベース体45と、シート体42に接離可能に対向するバルブ体(弁体)43と、このバルブ体43をシート体42に対する当接位置に向かって付勢するコイルスプリング44とを備えている。また、このチェック弁40は上記高圧燃料配管105に接続されている。そして、加圧室22内から高圧燃料通路12を介して圧送される燃料の圧力が所定値を超えたとき、バルブ体43がコイルスプリング44の付勢力に抗してシート体42から離間する位置に移動される。これにより、チェック弁40が開弁状態になって、高圧燃料通路12から圧送される高圧燃料が高圧燃料配管105を経てデリバリパイプ106に供給されるようになっている。
【0041】
−シールユニット5の構成−
次に、本実施形態の特徴とする構成である上記シールユニット5について説明する。このシールユニット5は、ゴム製のシール材51、このシール材51を支持する支持部材52、シール材51の外周部に装着された付勢部材としての2本のコイルスプリング53,54を備えている。以下、それぞれについて説明する。
【0042】
上記シール材51は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系ゴムで成り、上下方向の中央部分が外周側に僅かに張り出した略円筒形状(樽型)に成形されている。詳しくは、図4(シールユニット5及びその周辺部の断面図)及び図5(シールユニット5及びその周辺部の側面図)に示すように、上下方向の略中央位置の外周部に溝51aが形成されており、この溝51aに上記支持部材52の下端が嵌め込まれている。この支持部材52は、金属製で円筒形状の部材であって、下端部分が内周側に向かって延びるフランジ部
52aとして形成されており、このフランジ部52aがシール材51の溝51aに嵌め込まれている。一方、支持部材52の上端部分は上記スプリングシート部材25aの内周面に圧入されている。これにより、シール材51は、支持部材52を介してスプリングシート部材25aに支持された構成となっている。
【0043】
そして、このシール材51は、上記溝51aの形成位置よりも上側が燃料シール部55として構成されている一方、溝51aの形成位置よりも下側がオイルシール部56として構成されている。上記燃料シール部55は、シール材51よりも上側(加圧室22側)である燃料領域におけるプランジャ23とシリンダ21との間隙から漏れ出た燃料がシール材よりも下側(リフタ側)であるオイル領域に向けて漏れ出ることを阻止するためのシール部である。一方、オイルシール部56は、上記オイル領域のオイルが燃料領域に向けて漏れ出ることを阻止するためのシール部である。
【0044】
以下、各シール部55,56について説明する。燃料シール部55及びオイルシール部56の内周面には、断面形状が略半円形状のリップ部55a,56aがそれぞれ周方向の全体に亘って連続形成されている。そして、これらリップ部55a,56aの先端がプランジャ23の外周面に接触している。つまり、これらリップ部55a,56aの先端がプランジャ23の外周面の周方向に亘って接触(円環状に線接触)することにより、上記燃料領域とオイル領域とを隔離している。
【0045】
そして、このシール材51の特徴の一つとして、上記各リップ部55a,56aの内径寸法(図4中の寸法T)は、シール材51に外力が作用していない状態においてプランジャ23の外径寸法に略一致している。つまり、シール材51に外力が作用していない状態(コイルスプリング53,54が装着されていない状態)で、このシール材51の中心孔にプランジャ23が挿入された場合には、このシール材51には弾性変形が生じない構成、つまり、上述した「緊迫力」が発生しない構成となっている。尚、シール材51におけるプランジャ23に接触する箇所は上記各リップ部55a,56aのみであり、このリップ部55a,56a同士の間の領域はプランジャ23の外周面から後退し、この外周面との間に空間Sを形成している。仮に、燃料やオイルの漏れが生じた場合にはこの空間Sに一旦貯留されることになる。
【0046】
一方、燃料シール部55及びオイルシール部56の外周面には、上記コイルスプリング53,54をそれぞれ装着するための断面略半円形状のスプリング装着溝55b,56bが周方向に亘って形成されている。また、上側のスプリング装着溝55bの更に上側には、装着されたコイルスプリング53の外れ止めのためのストッパ部55cが外周側に膨出して形成されている。同様に、下側のスプリング装着溝56bの更に下側には、装着されたコイルスプリング54の外れ止めのためのストッパ部56cが外周側に膨出して形成されている。
【0047】
各コイルスプリング53,54は無端の円環形状に形成されており、外力が作用していない状態ではその内径はスプリング装着溝55b,56bの外径よりも小径に設定されている。このため、これらスプリング装着溝55b,56bにコイルスプリング53,54を装着すると(嵌め込むと)、コイルスプリング53,54に延びが生じ、その延びによって内周側に向かう押圧力(シール材51を内側へ絞り込む押圧力)をシール材51の各リップ部55a,56aに発生させることができるようになっている。つまり、この押圧力によって各リップ部55a,56aはプランジャ23の外周面の全周囲に亘って均一に押圧された状態となる。言い換えると、各リップ部55a,56aがプランジャ23の外周面の全周囲に押圧されることにより得られる密着力は、シール材51の「緊迫力」を用いることなく、コイルスプリング53,54からの付勢力のみにより得られる構成となっている。より具体的には、例えば、緊迫力を「0N」とし、コイルスプリング53,54
の付勢力を「10N」とする構成となっている。
【0048】
また、上記各コイルスプリング53,54を比較すると、燃料シール部55に装着されているコイルスプリング53のスプリング径よりも、オイルシール部56に装着されているコイルスプリング54のスプリング径の方が大径に設定されている。
【0049】
−シール動作の説明−
次に、高圧燃料ポンプ1の駆動時におけるシールユニット5のシール動作について説明する。高圧燃料ポンプ1が駆動すると、プランジャ23は、その外周面がシール材51の各リップ部55a,56aに摺接しながらシリンダ21内で往復移動し、これによって加圧室22内への燃料の吸入(吸入行程)と加圧室22内での燃料の加圧(加圧行程)とが繰り返されて高圧の燃料がデリバリパイプ106に供給されることになる。
【0050】
このような駆動動作において、シール材51の各シール部55,56はコイルスプリング53,54からプランジャ23外周面に向けての押圧力を大きく受けているため、シール材51の変形は、このシール材自身が有する弾性よりもコイルスプリング53,54からの付勢力の作用の方が支配的となっている。このため、プランジャ23の軸心がシリンダ21の軸心に対して振れを生じる現象(上述したプランジャ23の首振り)が生じたとしても、シール材51は、このシール材自身の弾性変形量(単位時間当たりに変形可能な量)に依存することなくコイルスプリング53,54からの付勢力を受けてプランジャ23の振れに迅速に追従することが可能になり、シール材51の変形(単位時間当たりの変形量)がプランジャ23の振れ(単位時間当たりの振れ量)に容易に追従してシール機能が良好に維持されることになる。この現象は、プランジャ23の往復移動が高周波になって上記振れの周期が短くなった場合であっても得ることができる。この結果、高圧燃料ポンプ1の駆動状態に拘わりなく常に安定したシール機能を維持することができ、上記燃料領域のプランジャ23とシリンダ21との間隙から漏れ出た燃料がオイル領域に流れ込んでオイルが希釈されて潤滑性能の悪化を招いたり、オイル領域のオイルが燃料領域に流れ込んで燃料供給系の内部にデポジットが発生したりするといった状況を回避することができ、高圧燃料ポンプ1に高い信頼性を得ることができる。
【0051】
(変形例)
上述した実施形態では、シール材51の各リップ部55a,56aの内径寸法を、シール材51に外力が作用していない状態においてプランジャ23の外径寸法に略一致させていた。つまり、シール材51には上記緊迫力が発生しない構成としていた。
【0052】
本変形例は、それに代えて、シール材51に僅かな緊迫力を発生させる構成としている。具体的には、シール材51の各リップ部55a,56aの内径寸法を、シール材51に外力が作用していない状態においてプランジャ23の外径寸法よりも僅かに小さく設定して、緊迫力が生じる構成としておき、且つその緊迫力の大きさよりも、コイルスプリング53,54がシール材51に付与する付勢力の方が大きくなる構成としている。より具体的には、緊迫力を「3N」とし、コイルスプリング53,54の付勢力を「7N」とする構成となっている。
【0053】
本変形例の構成によっても上述した実施形態の場合と同様に、プランジャ23の首振りが生じたとしてもシール材51はコイルスプリング53,54からの付勢力を受けてプランジャ23の振れに迅速に追従することが可能であり、シール機能を良好に維持することができる。
【0054】
(実験例)
次に、本発明の効果を確認するために行った実験の結果について説明する。本実験では
、緊迫力及びコイルスプリング53,54の付勢力をそれぞれ変更し、カム軸の回転数を次第に高めながらシール材51周辺からの燃料漏れ量及びオイル漏れ量を測定した。具体的には、以下の表1に示すように、従来例Iとして緊迫力を「10N」とし、コイルスプリングの付勢力を「0N(コイルスプリング装着せず)」としたもの、従来例IIとして緊迫力を「7N」とし、コイルスプリングの付勢力を「3N」としたもの、従来例IIIとし
て緊迫力を「5N」とし、コイルスプリングの付勢力も「5N」としたものを使用した。つまり、何れも緊迫力がコイルスプリングの付勢力以上に設定されたものであって緊迫力とコイルスプリングの付勢力との総和を「10N」としたものである。これに対し、本発明Iとして上記変形例のもの、つまり緊迫力を「3N」とし、コイルスプリングの付勢力を「7N」としたもの、本発明IIとして上記実施形態のもの、つまり緊迫力を「0N」とし、コイルスプリングの付勢力を「10N」としたものを使用した。つまり、何れもコイルスプリングの付勢力が緊迫力を越えるように設定されたものであって緊迫力とコイルスプリングの付勢力との総和を「10N」としたものである。
【0055】
【表1】


【0056】
実験結果を図6に示す。図6(a)はカム軸の回転数を次第に高めていった場合における燃料漏れ量の測定結果を示し、図6(b)はカム軸の回転数を次第に高めていった場合におけるオイル漏れ量の測定結果を示している。
【0057】
これらの実験結果からも明らかなように、従来例、つまり、緊迫力がコイルスプリングの付勢力以上に設定されたものにあっては、比較的低い回転数(従来例Iでは1000rpm程度)の領域において、カム軸の回転数の上昇に伴って燃料及びオイルの漏れ量が増加していく現象が生じている。これに対し、本発明では、カム軸の回転数がかなり高くならない限り(本発明Iであっても3000rpmを大幅に越えない限り)燃料及びオイルの漏れは生じず、燃料及びオイルの漏れ量が次第に増加していく現象が生じ始めたとしてもカム軸の回転数の上昇割合に対する燃料及びオイルの漏れ量の増加割合は低く抑えられている(グラフの勾配が小さいことを参照)。この実験結果により、本発明の効果が確認されたことになる。
【0058】
(その他の実施形態)
上述した実施形態及び変形例では、本発明を自動車に搭載された筒内直噴型4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えば筒内直噴型6気筒ガソリンエンジンなど他の任意の気筒数のガソリンエンジンにも適用可能である。また、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジン等の他の内燃機関にも本発明は適用可能である。更には、本発明が適用可能なエンジンは、自動車用のエンジンに限るも
のでもない。
【0059】
また、上記実施形態及び変形例では、シール材51に対してプランジャ外周面に向かう付勢力を与える付勢部材としてコイルスプリング53,54を適用したが、本発明はこれに限らず、シール材51の各リップ部55a,56aをプランジャ23の外周面に均一に押圧可能な部材であればよく、例えばスナップリング等を用いてもよい。
【0060】
また、シール材51の材質としても、上記実施形態及び変形例のものに限らず、コイルスプリング53,54の付勢力を受けてプランジャ外周面に向けて変形する材料であれば合成樹脂等を使用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態及び変形例における高圧燃料ポンプ1では、排気カムシャフト110に取り付けられた駆動カム111の回転によってプランジャ23が駆動される構成としたが、吸気カムシャフトに取り付けられた駆動カムの回転によってプランジャ23が駆動される構成としてもよい。
【0062】
更に、本発明は、2つのカムノーズ112,112を有する駆動カム111を備えたものに限らず、その他の個数のカムノーズを有する駆動カムを備えたものにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態に係る燃料供給装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】電磁スピル弁の開閉動作を説明するための図である。
【図3】高圧燃料ポンプを示す縦断面図である。
【図4】シールユニット及びその周辺部を示す断面図である。
【図5】シールユニット及びその周辺部を示す側面図である。
【図6】本発明の効果を確認するために行った実験の結果を示す図であり、(a)は燃料漏れ量の測定結果を示し、(b)はオイル漏れ量の測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 高圧燃料ポンプ
21 シリンダ
22 加圧室
23 プランジャ
51 シール材
53,54 コイルスプリング(付勢部材)
55 燃料シール部
56 オイルシール部




 

 


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