米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 変速機搭載車用内燃機関の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9749(P2007−9749A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189100(P2005−189100)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
発明者 中村 良文
要約 課題
変速機搭載車用内燃機関で実行する加速時点火時期遅角制御において最適な遅角終了タイミングを設定する。

解決手段
加速時点火時期遅角を実行しているときに、タービン回転数の変化率edltantが所定値(閾値X)以上となったときに(A1点)、タービン回転数ntが上昇したと判定し、このタービン回転数ntの上昇があった後、タービン回転数の変化率edltantが所定値(閾値Y)以下となった時点(B1点)で、駆動系ガタが詰まったと判定して加速時点火時期遅角を終了する。このように加速時点火時期遅角を実行しているときに、タービン回転数の変化率edltantに基づいて、駆動系ガタが詰まった時点つまり加速時点火時期遅角が要らなくなるタイミングで加速時点火時期遅角を終了することにより、常に適正なタイミングで遅角を終了することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する加速時点火時期遅角を行う変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以上となった後、その変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以下となったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記変速機入力軸の回転数の変化率が正となった後、その変速機入力軸の回転数の変化率が負になったときに、前記加速時点火時期遅角を終了することを特徴とする請求項1記載の変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項3】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する加速時点火時期遅角を行う変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数が所定値以上に上昇した後、その変速機入力軸の回転数が減少に転じたときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項4】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する加速時点火時期遅角を行う変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率が正から負になったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項5】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する制御を実行する変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以上となった後、その変速機入力軸の回転数変化率の変化量が所定値以下となったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項6】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する制御を実行する変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率の変化量が正から負になったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項7】
変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために前
記内燃機関の点火時期を一時的に遅角する制御を実行する変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、
前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率の変化量が正から負になった後、その変速機入力軸の回転数変化率が正から負になるまでの間に、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴とする変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記変速機がトルクコンバータ付き自動変速機であり、前記トルクコンバータのタービン回転数を検出し、そのタービン回転数に基づいて前記加速時点火時期遅角を終了することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記変速機がマニュアル式変速機であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の変速機搭載車用内燃機関の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機が搭載された車両の内燃機関の制御装置に関し、さらに詳しくは、加速時のショックを軽減する点火時期遅角を行う変速機搭載車用内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(以下、エンジンともいう)を搭載した車両において、エンジンが発生するトルク及び回転速度を車両の走行状態に応じて適切に車輪に伝達する変速機として、エンジンと車輪との間の変速比を自動的に最適設定する自動変速機が知られている。
【0003】
車両に搭載される自動変速機としては、例えば、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)や遊星歯車式変速機がある。遊星歯車式変速機は、摩擦要素である、クラッチ要素、ブレーキ要素、及び、ワンウェイクラッチ要素等が、所定の状態に係合または解放されることによってギヤ段が決定される。
【0004】
自動変速機が搭載された車両においては、エンジンから自動変速機への動力伝達経路にトルクコンバータが配置されている。トルクコンバータは、例えば、エンジン出力軸(クランクシャフト)に連結されるポンプと、自動変速機の入力軸に連結されるタービンと、これらポンプとタービンとの間にワンウェイクラッチを介して設けられたステータとを備え、エンジン出力軸の回転に伴ってポンプが回転し、そのポンプから吐出された作動油によってタービンが回転駆動してエンジンの出力トルクを自動変速機の入力軸に伝達する方式の流体式動力伝達装置である。なお、トルクコンバータにおいては、ロックアップクラッチを備えたものが広く採用されており、そのロックアップクラッチを、運転状態に応じて締結(ロックアップ)または開放(アンロックアップ)することにより燃費の向上が図られている。
【0005】
ところで、トルクコンバータ付き自動変速機を搭載した車両においては、アクセルペダルの踏み込みが開放され、スロットル開度が全閉となる減速走行時に、トルクコンバータではタービンによってポンプが逆駆動される状態となり、トルクコンバータの出力側の回転数(タービン回転数)が入力側の回転数(エンジン回転数)よりも速くなる。
【0006】
そして、このような減速状態から、アクセルペダルが踏み込まれて加速状態に移行したときには、エンジン回転数が急上昇し、エンジン回転数がタービン回転数よりも大きくなってポンプにてタービンが駆動される状態となる。このため、減速状態から加速状態に移行したときには、エンジンと自動変速機との間において駆動状態が逆転して自動変速機を含む駆動系のガタ(バックラッシュ)が詰まり、その駆動系ガタが詰まるときの衝撃力により車両前後振動が発生する。
【0007】
このような加速時のショックを軽減する方法として、従来、加速時にエンジンの点火時期を遅角する制御(加速時点火時期遅角制御)が行われている。この加速時点火時期遅角制御では、例えば、エンジン回転数とトルクコンバータのタービン回転数との差が所定範囲内に入り、そのときの負荷率が所定値以上となる等の条件で点火時期の遅角を開始し、エンジン回転数とタービン回転数との差が所定の設定値を上回ってからの経過時間、または、遅角開始からの経過時間で点火時期の遅角を終了するという制御が行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0008】
なお、走行中のショックを軽減する点火時期遅角制御に関して、特許文献3に、加速によるシフトダウン時に点火時期の遅角を行い、タービン回転速度NTがシフトダウン後の同期回転速度NTDNに達した時点(シフトダウンが終了した時点)で遅角を終了するシフトダウン時の遅角制御が記載されている。また、特許文献4には、シフトダウン時の点火時期遅角制御において、遅角を開始してから所定時間が経過した後に遅角を終了することが記載されている。
【特許文献1】特開2003−206775号公報
【特許文献2】特開2003−293812号公報
【特許文献3】特開2004−108168号公報
【特許文献4】特許第2778703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、現状の自動変速機搭載車の加速時点火時期遅角制御では、上記したように、エンジン回転数とタービン回転数との差が所定の設定値を上回ってからの経過時間(または遅角開始からの経過時間)で加速時点火時期遅角を終了するようになっており、その遅角終了タイミングを決定するエンジン回転数とタービン回転数との差及び経過時間は、実際の走行テストで試行錯誤しながら車両に合わせて適合するという方法が採られている。このため、遅角終了タイミングを決定するのに多くの時間が必要となり、製造コストが高くつく。
【0010】
しかも、走行テストにて決定した遅角終了条件を固定値として各車両に設定しているため、車両間の駆動系ガタの固体差によるバラツキにより、遅角終了タイミングが不適切となることがある。また、アクセルペダルの踏み込み量や前提条件(例えばギヤ位置)等の条件によってエンジン回転の上昇速度が変化し、遅角終了タイミングが不適切となることがある。さらに、車両に搭載する変速機が遊星歯車式変速機である場合、ワンウェイクラッチ作用ギヤ段では、駆動系ガタが詰まる時点よりもかなり早い時点でエンジン回転数とタービン回転数との差ができるため(図3及び図4参照)、遅角終了条件の適合自体ができないという問題がある。
【0011】
本発明はそのような問題を解消するためになされたもので、変速機搭載車用内燃機関で実行する加速時点火時期遅角制御において、車両間のバラツキや加速条件等に関係なく、常に適正なタイミングで遅角を終了することが可能な変速機搭載車用内燃機関の制御装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために内燃機関の点火時期を一時的に遅角する加速時点火時期遅角を行う変速機搭載車用内燃機関の制御装置において、前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以上となった後、その変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以下となったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
この発明において、前記変速機入力軸の回転数の変化率が正となった後、その変速機入力軸の回転数の変化率が負になったときに、前記加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0014】
本発明は、変速機が搭載された車両の内燃機関に適用され、加速時のショックを軽減するために内燃機関の点火時期を一時的に遅角する加速時点火時期遅角を行う変速機搭載車
用内燃機関の制御装置において、前記変速機の入力軸の回転数を検出する回転数検出手段と、前記加速時点火時期遅角を実行しているときに、前記回転数検出手段によって検出される前記変速機入力軸の回転数の変化率が所定値以上となった後、その変速機入力軸の回転数変化率の変化量が所定値以下となったときに、前記加速時点火時期遅角を終了する遅角終了処理手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明において、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数が所定値以上に上昇した後、その変速機入力軸の回転数が減少に転じたときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0016】
本発明において、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数の変化率が正から負になったときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0017】
本発明において、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数の変化率の変化量が正から負になったときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0018】
本発明において、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数の変化率の変化量が正から負になった後、その変速機入力軸の回転数変化率が正から負になるまでの間に加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0019】
本発明において、車両に搭載される変速機がトルクコンバータ付き自動変速機である場合、前記変速機の入力軸の回転数として、前記トルクコンバータのタービン回転数を検出し、そのタービン回転数に基づいて前記前記加速時点火時期遅角を終了する制御を実行する。
【0020】
次に、本発明の作用を以下に述べる。
【0021】
まず、トルクコンバータ付き自動変速機が車両に搭載されている場合、上述したように、アクセルペダルの踏み込みが開放された減速状態から、アクセルペダルが踏み込まれて加速状態に移行したときに、駆動系ガタが詰まる。その駆動系ガタが詰まるまでの間、トルクコンバータのタービン回転数は上昇し、駆動系ガタが詰まるとタービン回転数は下降する。本発明はこのような点に着目し、加速時点火時期遅角制御において、トルクコンバータのタービン回転数の変化から駆動系のガタ詰まりを検知して、加速時点火時期遅角を終了する点に特徴がある。
【0022】
具体的には、加速時点火時期遅角制御を実行しているときに、タービン回転数(変速機入力軸の回転数)の変化率が所定値以上となったときに、タービン回転数が上昇していると判定し、この後、タービン回転数の変化率が所定値以下となったとき(タービン回転数が上昇しなくなったとき)に、駆動系ガタ詰まりがあると判定して加速時点火時期遅角を終了する。
【0023】
また、加速時点火時期遅角制御を実行しているときに、タービン回転数の変化率が所定値以上となったときに、タービン回転数が上昇していると判定し、この後、タービン回転数変化率の変化量が所定値以下となったとき(タービン回転数の上昇速度が鈍ったとき)に、駆動系ガタ詰まりがあると判定して加速時点火時期遅角を終了する。
【0024】
そして、このようにして、駆動系ガタ詰まりを検知した時点つまり加速時点火時期遅角
が要らなくなるタイミングで加速時点火時期遅角を終了することにより、常に適正なタイミングで遅角を終了することができる。
【0025】
なお、本発明は、トルクコンバータ付き自動変速機に限られることなく、マニュアル式変速機が搭載された車両のエンジンにも適用することができる。すなわち、マニュアル式変速機が搭載された車両においても、減速状態から加速状態に移行したときに、駆動系ガタの詰まりによって変速機の入力軸に回転変動が発生するので、その変速機入力軸の回転数の挙動を利用して、加速時点火時期遅角制御において遅角終了タイミングを制御することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、変速機搭載車用内燃機関で実行する加速時点火時期遅角制御において、変速機の入力軸の回転数を検出し、その変速機入力軸の回転数の変化から駆動系ガタが詰まった時点を検知して加速時点火時期遅角を終了しているので、常に適正なタイミングで遅角を終了することができる。
【0027】
しかも、車両走行中に検出する変速機入力軸の回転数に基づいて遅角終了タイミングを制御しているので、アクセルペダルを踏み込む前の条件、アクセルペダルの踏み込み量、車両間の駆動系ガタの固体差によるバラツキ等に関係なく、常に適正なタイミングで加速時点火時期遅角を終了することができる。また、実際の走行テスト等によって、アクセルペダルの踏み込み速度等の条件を試行錯誤しながら遅角終了タイミングを設定する、というような多くの作業時間を要する遅角終了条件の適合処理をなくすことが可能となり、これにより遅角終了タイミングを設定するための作業工数が大幅に削減することができ、製造コストの低減化を図ることができる。
【0028】
さらに、本発明では、車両に搭載する変速機が遊星歯車式変速機であっても、エンジン回転数とタービン回転数との差に関係なく遅角終了タイミングを設定できるので、ワンウェイクラッチ作用ギヤ段においても適切なタイミングで遅角を終了することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明の実施形態の全体構成を模式的に示す図であり、以下、この図1を参照して、本発明の制御装置を適用するエンジンと、車両に搭載されるトルクコンバータ、自動変速機、及び、ECU(電子制御ユニット)について説明する。
【0031】
−エンジン−
エンジン1は、火花点火式の多気筒ガソリンエンジンであって、燃焼室1aを形成するピストン10及び出力軸であるクランクシャフト15を備えている。ピストン10はコネクティングロッド16を介してクランクシャフト15に連結されており、ピストン10の往復運動がコネクティングロッド16によってクランクシャフト15の回転へと変換される。
【0032】
クランクシャフト15には、外周面に複数の突起(歯)17a・・17aを有するシグナルロータ17が取り付けられている。シグナルロータ17の側方近傍にはクランクポジションセンサ(エンジン回転数センサ)25が配置されている。クランクポジションセンサ25は、例えば電磁ピックアップであって、クランクシャフト15が回転する際にシグナルロータ17の突起17aに対応するパルス状の信号(出力パルス)を発生する。
【0033】
エンジン1の燃焼室1aには点火プラグ5が配置されている。点火プラグ5の点火時期
はECU4によって制御される。エンジン1には、エンジン水温(冷却水温)を検出する水温センサ21が配置されている。
【0034】
エンジン1の燃焼室1aには吸気通路11と排気通路12が接続されている。吸気通路11と燃焼室1aとの間に吸気バルブ13が設けられており、この吸気バルブ13を開閉駆動することにより、吸気通路11と燃焼室1aとが連通または遮断される。また、排気通路12と燃焼室1aとの間に排気バルブ14が設けられており、この排気バルブ14を開閉駆動することにより、排気通路12と燃焼室1aとが連通または遮断される。これら吸気バルブ13及び排気バルブ14の開閉駆動は、クランクシャフト15の回転が伝達される吸気カムシャフト及び排気カムシャフト(いずれも図示せず)の各回転によって行われる。
【0035】
吸気通路11には、エアクリーナ(図示せず)、熱線式のエアフローメータ22、吸気温センサ23(エアフローメータ22に内蔵)、及び、エンジン1の吸入空気量を調整するための電子制御式のスロットルバルブ6などが配置されている。スロットルバルブ6はスロットルモータ(図示せず)によって駆動される。スロットルバルブ6の開度はスロットルポジションセンサ26によって検出される。エンジン1の排気通路12には、排気ガス中の酸素濃度を検出するO2センサ24及び三元触媒(図示せず)などが配置されてい
る。
【0036】
そして、吸気通路11には燃料噴射用のインジェクタ(燃料噴射弁)7が配置されている。インジェクタ7には、燃料タンクから燃料ポンプ(いずれも図示せず)によって所定圧力の燃料が供給され、吸気通路11に燃料が噴射される。この噴射燃料は吸入空気と混合されて混合気となってエンジン1の燃焼室1aに導入される。燃焼室1aに導入された混合気(燃料+空気)は点火プラグ5にて点火されて燃焼・爆発する。この混合気の燃焼室1a内での燃焼・爆発によりピストン10が往復運動してクランクシャフト15が回転する。
【0037】
−トルクコンバータ・自動変速機−
トルクコンバータ2は、流体式動力伝達装置であって、エンジン1のクランクシャフト15に連結されるポンプ201、自動変速機3の入力軸301に連結されるタービン202、トルク増幅機能を発現するステータ203、及び、エンジン1のクランクシャフト15と自動変速機3の入力軸301とを直結状態にするロックアップクラッチ204などを備えている。トルクコンバータ2には、タービン回転数nt(自動変速機3の入力軸301の回転数)を検出するタービン回転数センサ30が配置されている。
【0038】
自動変速機3は、遊星歯車式変速機であって、摩擦要素である、クラッチ要素、ブレーキ要素及びワンウェイクラッチ要素等が、所定の状態に係合または解放されることによってギヤ段(変速段)が設定される。自動変速機3の各ギヤ段はシフトレバー(図示せず)の操作等によって切り換えることができる。
【0039】
以上のトルクコンバータ2及び自動変速機3は、エンジン1の運転状態等に基づいてECU4によって制御される。
【0040】
−ECU−
ECU4は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM及びバックアップRAMなどを備えている。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAMはCPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMはエ
ンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
【0041】
ECU4には、図1に示すように、水温センサ21、エアフローメータ22、吸気温センサ23、O2センサ24、クランクポジションセンサ25、及び、スロットルポジショ
ンセンサ26が接続されており、さらに、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサ27、アクセル開度を検出するアクセルポジションセンサ28、車速センサ29、及び、トルクコンバータ2に配置されたタービン回転数センサ30などが接続されている。
【0042】
そして、ECU4は、水温センサ21、エアフローメータ22、吸気温センサ23、O2センサ24、クランクポジションセンサ25、スロットルポジションセンサ26、シフ
トポジションセンサ27、アクセルポジションセンサ28、車速センサ29、及び、タービン回転数センサ30などの各種センサの出力信号に基づいて、インジェクタ7の噴射時期制御及び点火プラグ5の点火時期制御などを含むエンジン1の各種制御を実行する。さらに、ECU4は、下記の「加速時点火時期遅角制御」を実行する。
【0043】
−加速時点火時期遅角制御−
まず、加速時点火時期遅角制御に関してECU4が実行する演算について説明する。
【0044】
ECU4は、タービン回転数センサ30によって検出されるタービン回転数ntを所定周期(計算タイミング)でサンプリングし、そのサンプリングしたタービン回転数ntの変化量、つまり、今回(n回目)の計算タイミングで採取したタービン回転数ntと前回((n−1)回目)の計算タイミングで採取したタービン回転数ntとの差(タービン回転数ntの1階微分値:以下、「タービン回転数の変化率edltant」という)を計算タイミングごとに算出する。このタービン回転数の変化率edltantは、図2のステップST3及びステップST5の判定処理、または、図5のステップST23の判定処理に用いられる。
【0045】
また、ECU4は、上記演算で算出したタービン回転数の変化率edltantの変化量、つまり、今回(k回目)の計算タイミングで算出したタービン回転数の変化率edltantと前回((k−1)回目)の計算タイミングで算出したタービン回転数の変化率edltantとの差(タービン回転数ntの2階微分値:以下、「タービン回転数変化率の変化量edldlnt」という)を計算タイミングごとに算出する。このタービン回転数変化率の変化量edldlntは図5のステップST25の判定処理に用いられる。なお、図2に示す加速時点火時期遅角制御を実施する場合、タービン回転数変化率の変化量edldlntの算出処理は省略してもよい。
【0046】
次に、ECU4において実行する加速時点火時期遅角制御の一例を図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
まず、ステップST1において、ECU4は、加速時点火時期遅角を実行する条件を満足しているか否かを判定し、その判定結果が肯定判定(YES)である場合、ステップST2に進んで、加速時点火時期遅角を実行する。なお、この例において、加速時点火時期遅角を実行する条件は、例えば、車速センサ29からの車速検知信号に基づく車速が加速であること、エンジン回転数eneとタービン回転数ntとの差(ene−nt)が小さくて所定範囲内に入っていること、負荷率が所定値以上であることなどである。
【0048】
加速時点火時期遅角を実行しているときに、ECU4は、ステップST3において、タービン回転数の変化率edltantが所定の閾値X以上になった否かを判定し、その判定結果が肯定判定「YES」である場合、タービン回転数ntが上昇していると判断して
ステップST4に進み、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONにする。ここで、ステップST3の判定に用いる閾値Xは、外乱等の要因によりタービン回転数ntが一瞬だけ上昇したときに、その瞬間的な上昇を「タービン回転数ntの上昇」と誤判定することを回避するための閾値である。
【0049】
次に、ECU4は、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONとした後、ステップST5において、タービン回転数の変化率edltantが所定の閾値Y以下になった否かを判定する。このステップST5の判定に用いる閾値Yは、タービン回転数ntの上昇が止まったことを判定するための閾値であって、例えば、予め実験・計算等によって適当な値を適合して決定する。
【0050】
そして、ステップST5の判定結果が肯定判定「YES」となったときに、駆動系ガタが詰まったと判定し、ステップST6に進んでタービン回転数上昇履歴フラグexdlntをOFFにする。このフラグOFFと同時に、加速時点火時期遅角を終了して遅角量の減衰を開始する(ステップST7)。
【0051】
以上のステップST3〜ステップST7で実行する加速時点火時期遅角の終了処理について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0052】
−ワンウェイクラッチ不作用時−
自動変速機3のワンウェイクラッチ(図示せず)が作用していないときの動作を図3を参照して説明する。
【0053】
まず、トルクコンバータ2付き自動変速機3が搭載された車両においては、上述したように、アクセルペダルの踏み込みが開放された減速状態のときには、トルクコンバータ2のポンプ201がタービン202によって駆動される状態となるので、エンジン回転数eneがタービン回転数ntよりも小さくなる。また、減速状態のときにタービン回転数ntは徐々に下降する。このような減速状態から、アクセルペダルが踏み込まれて加速状態に移行すると、図3に示すように、エンジン回転数eneが急上昇し、エンジン回転数eneがタービン回転数ntよりも大きくなってポンプ201にてタービン202が駆動される状態となる。このような駆動状態の逆転によって、自動変速機3を含む駆動系のガタが詰まり、その駆動系ガタが詰まるまでの間(タービン202が駆動反力を受けるまでの間)、タービン回転数ntは上昇し、駆動系ガタが詰まるとタービン202が駆動反力を受けてタービン回転数ntが下降する。
【0054】
そこで、この例では、以上のようなタービン回転数ntの挙動を利用し、タービン回転数の変化率edltant(タービン回転数ntの1階微分値)が閾値X以上となったときに(A1点)、タービン回転数ntが上昇したと判定して、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONにする。この後、タービン回転数ntの上昇が鈍り、タービン回転数の変化率edltantが閾値Y以下となった時点(B1点)で、駆動系ガタが詰まったと判定して加速時点火時期遅角を終了する。
【0055】
このように、加速時点火時期遅角を実行しているときに、タービン回転数の変化率edltantに基づいて、駆動系ガタが詰まった時点つまり加速時点火時期遅角が要らなくなるタイミングで加速時点火時期遅角を終了することにより、常に適正なタイミングで遅角を終了することができる。
【0056】
−ワンウェイクラッチ作用時−
ワンウェイクラッチ作用時においては、図4に示すように、駆動系ガタが詰まる時点よりもかなり早い時点でエンジン回転数eneとタービン回転数ntとの差ができるが、こ
の例では、それに関係なく、タービン回転数の変化率edltantに基づいて遅角終了タイミングを制御しているので、ワンウェイクラッチ作用時であっても、適正なタイミングで遅角を終了することができる。その遅角終了処理は、上記したワンウェイクラッチ不作用時と基本的に同じであり、タービン回転数の変化率edltantが閾値X以上となったときに(A2点)、タービン回転数ntが上昇したと判定して、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONにし、このフラグONの履歴があった後、タービン回転数の変化率edltantが閾値X以上となったときに(B2点)、駆動系ガタが詰まったと判定して加速時点火時期遅角を終了する。
【0057】
なお、この例では、タービン回転数の変化率edltantに対して閾値X及び閾値Yを設定して遅角終了タイミングを制御しているが、これに限られることなく、タービン回転数の変化率edltantが正(今回の計算タイミングのタービン回転数ntと前回の計算タイミングのタービン回転数ntとの差が正:edltant>0)になったときに、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONとし、タービン回転数の変化率edltantが負(今回の計算タイミングのタービン回転数ntと前回の計算タイミングのタービン回転数ntとの差が負:edltant<0)になったときに、加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0058】
次に、ECU4において実行する加速時点火時期遅角制御の他の例を図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0059】
図5のフローチャートのステップST21〜ステップS24の各処理は、図2のステップST1〜ステップS4の各処理と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0060】
この例では、ステップST23の判定結果が肯定判定「YES」であり、ステップST24においてタービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONとした後、ECU4は、ステップST25において、タービン回転数変化率の変化量edldlnt(タービン回転数ntの2回微分値)が所定の閾値Z以下になった否かを判定する。このステップST25の判定に用いる閾値Zは、タービン回転数ntの上昇速度が鈍ったことを判定するための閾値であって、例えば、予め実験・計算等によって適当な値を適合して決定する。
【0061】
そして、ステップST25の判定結果が肯定判定「YES」となったときに、ステップST26に進んでタービン回転数上昇履歴フラグexdlntをOFFにする。このフラグOFFと同時に、加速時点火時期遅角を終了して遅角量の減衰を開始する(ステップST27)。
【0062】
以上のステップST23〜ステップST27で実行する加速時点火時期遅角の終了処理について図6を参照しながら説明する。
【0063】
この例においても、上記したタービン回転数ntの挙動を利用し、タービン回転数の変化率edltant(タービン回転数ntの1階微分値)が閾値X以上となったときに(A3点)、タービン回転数ntが上昇したと判定して、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONにする。
【0064】
そして、タービン回転数上昇履歴フラグexdlntがONとなった後、タービン202が駆動反力を受け出してタービン回転数ntの上昇速度が鈍り、タービン回転数変化率の変化量edldlnt(タービン回転数ntの2回微分値)が閾値Z以下となった時点(C点)で、駆動系ガタが詰まり出したと判定して加速時点火時期遅角を終了する。
【0065】
このように、加速時点火時期遅角において、タービン回転数の変化率edltant及
びタービン回転数変化率の変化量edldlntに基づいて、駆動系ガタが詰まり出した時点つまり加速時点火時期遅角が要らなくなるようなタイミングで加速時点火時期遅角を終了することにより、常に適正なタイミングで遅角を終了することができる。
【0066】
なお、この例では、タービン回転数の変化率edltantに対して閾値Xを設定し、タービン回転数変化率の変化量edldlntに対して閾値Zを設定して遅角終了タイミングを制御しているが、これに限られることなく、タービン回転数の変化率edltantが正(今回の計算タイミングのタービン回転数ntと前回の計算タイミングのタービン回転数ntとの差が正:edltant>0)になったときにタービン回転数上昇履歴フラグexdlntをONとし、タービン回転数変化率の変化量edldlntが負(今回の計算タイミングのタービン回転数の変化率edltantと前回の計算タイミングのタービン回転数の変化率edltantとの差が負:edldlnt<0)になったときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい
−他の実施形態−
以上の例では、トルクコンバータ2付きの自動変速機3が搭載された車両のエンジン1に本発明を適用した例を示したが、マニュアル式変速機が搭載された車両においても、減速状態から加速状態に移行したときに、駆動系ガタの詰まりによって変速機の入力軸に回転変動が発生するので、マニュアル式変速機搭載車用エンジンで加速時点火時期遅角制御が実行される場合、変速機の入力軸の回転数を検出し、その変速機入力軸の回転数の変化から駆動系のガタ詰まりを検知して、加速時点火時期遅角を終了を制御するようにしてもよい。
【0067】
以上の例では、本発明をガソリンエンジンに適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、例えばLPG(液化石油ガス)やLNG(液化天然ガス)などの他の燃料とする火花点火方式のエンジンの加速時点火時期遅角制御にも適用可能であり、また、筒内直噴型エンジンの加速時点火時期遅角制御にも適用可能である。
【0068】
ここで、本発明において、加速時点火時期遅角を終了するタイミングは、上記した実施形態で説明したタイミングに限られることなく、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段(例えばタービン回転数センサ)によって検出される変速機入力軸の回転数が所定値以上に上昇した後、その変速機入力軸の回転数が減少に転じたときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよいし、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数の変化率が正から負になったときに、加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【0069】
また、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数変化率の変化量が正から負になったときに加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。さらに、加速時点火時期遅角を実行しているときに、回転数検出手段によって検出される変速機入力軸の回転数の変化率の変化量が正から負になった後、その変速機入力軸の回転数変化率が正から負になるまでの間に加速時点火時期遅角を終了するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】ECUが実行する加速時点火時期遅角制御の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す加速時点火時期遅角制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図2に示す加速時点火時期遅角制御を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】ECUが実行する加速時点火時期遅角制御の処理内容の他の例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す加速時点火時期遅角制御を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 エンジン(内燃機関)
15 クランクシャフト
25 クランクポジションセンサ(エンジン回転数センサ)
30 タービン回転数センサ
2 トルクコンバータ
201 ポンプ
202 タービン
3 自動変速機
301 入力軸
4 ECU
5 点火プラグ
6 スロットルバルブ
7 インジェクタ




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013