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発明の名称 水冷式エンジンの冷却構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9744(P2007−9744A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188787(P2005−188787)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 大垣 重郎
要約 課題
冷却水の流量を調整する部分においてキャビテーションの発生を極力抑制することのできる水冷式エンジンの冷却構造を提供する。

解決手段
エンジンはシリンダブロック12を備え、その上部には、ヘッドガスケット15を介してシリンダヘッド16が組み付けられている。ヘッドガスケット15の上流側に位置するブロック側冷却水通路28には網からなる流量調整部材70が設けられている。流量調整部材70は多数の孔を有するとともに、それら孔を冷却水が通過するように配設されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
シリンダブロック及びシリンダヘッドの少なくとも一方に冷却水を循環させる冷却水通路と、同冷却水通路を通過する冷却水の流量を調整する流量調整部材とを備える水冷式エンジンの冷却構造であって、
前記流量調整部材は、多数の孔を有するとともにそれらの孔を冷却水が通過するように前記冷却水通路内に配設される
ことを特徴とする水冷式エンジンの冷却構造。
【請求項2】
請求項1記載の水冷式エンジンの冷却構造において、
前記流量調整部材は互いに交差する線材によって形成される網である
ことを特徴とする水冷式エンジンの冷却構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の水冷式エンジンの冷却構造において、
前記流量調整部材は前記冷却水通路の断面全体にわたって配設される
ことを特徴とする水冷式エンジンの冷却構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の水冷式エンジンの冷却構造において、
シリンダブロックに設けられてシリンダヘッド側の端面に開口されたブロック側冷却水通路と、シリンダヘッドに設けられてシリンダブロック側の端面に開口されたヘッド側冷却水通路と、前記ブロック側冷却水通路から前記ヘッド側冷却水通路へ冷却水を通過させる孔を有するガスケットとを備え、
前記流量調整部材は、前記ブロック側冷却水通路内において前記ガスケット近傍に配設される
ことを特徴とする水冷式エンジンの冷却構造。
【請求項5】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の水冷式エンジンの冷却構造において、
シリンダブロックに設けられてシリンダヘッド側の端面に開口されたブロック側冷却水通路と、シリンダヘッドに設けられてシリンダブロック側の端面に開口されたヘッド側冷却水通路と、前記ヘッド側冷却水通路から前記ブロック側冷却水通路へ冷却水を通過させる孔を有するガスケットとを備え、
前記流量調整部材は、前記ヘッド側冷却水通路内において前記ガスケット近傍に配設される
ことを特徴とする水冷式エンジンの冷却構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式エンジンの冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水冷式エンジンには、冷却水を循環させるためのウォータジャケットがシリンダブロックとシリンダヘッドとにそれぞれ形成されている。このような水冷式エンジンでは、ウォータポンプが駆動されウォータジャケット内の冷却水を循環させることによって、混合気の燃焼に伴い高温となるエンジンの各部位から熱を奪い、エンジン全体を適正な温度に保つようにしている。
【0003】
さて、こうした水冷式エンジンとしては、その冷却性能を高めるべく、例えば、特許文献1、2に記載されるような冷却構造を採用したものがある。特許文献1には、シリンダライナの外壁とこれを収容する収容室の内壁との間にウォータジャケットが形成されるシリンダブロックにおいて、収容室の内壁面にシリンダライナの外壁を取り囲む環状突部を形成した構成が記載されている。また、特許文献2には、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間のガスケットにおいて、シリンダブロックの冷却水通路からシリンダヘッドの冷却水通路へ冷却水を通過させる孔の径を、シリンダブロック及びシリンダヘッドの冷却水通路の径よりも小さく形成した構成が記載されている。これらの構成によれば、冷却水通路を通過する冷却水の流量を調整することができる。
【特許文献1】特開2002−195033号公報
【特許文献2】特開平8−135791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記各文献に記載の構成は、いずれも冷却水通路の流路面積を特定の方向から狭める絞り構造となっている。このため、環状突部あるいはヘッドガスケットによって構成された絞り部を冷却水が通過する際には、絞り部の内面に近い部分では冷却水の流速が小さくなり、絞り部の内面から遠い部分では冷却水の流速が大きくなる。その結果、絞り部を通過した冷却水に圧力の高低分布が生じることとなり、同絞り部の下流側に水圧の特に低い部分が生じることがある。また、絞り部を通過して流路断面積が大きくなると水圧が低下するため、このように水圧の特に低い部分では、冷却水の一部が気化して気泡が発生し、その後気泡が崩壊する現象、いわゆるキャビテーションの発生を招くおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却水の流量を調整する部分においてキャビテーションの発生を極力抑制することのできる水冷式エンジンの冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダブロック及びシリンダヘッドの少なくとも一方に冷却水を循環させる冷却水通路と、同冷却水通路を通過する冷却水の流量を調整する流量調整部材とを備える水冷式エンジンの冷却構造であって、前記流量調整部材は、多数の孔を有するとともにそれらの孔を冷却水が通過するように前記冷却水通路内に配設されることを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、多数の孔を有する流量調整部材によって冷却水の流量が調整されるため、各孔を通過する冷却水において孔の内面からの距離の差が小さくなる。このため、孔の内面に近い部分と遠い部分とで冷却水の流速の差が小さくなり、冷却水に圧力の高低分布が生じにくくなる。その結果、流量調整部材を通過して冷却水通路の断面積が大きくなり水圧が低下したとしても、キャビテーションの発生を極力抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記流量調整部材は互いに交差する線材によって形成される網であることを要旨とする。
同構成によれば、網目サイズの異なる網を用いることによって、冷却水通路の流路面積を適宜変更することができ、冷却水の流量を容易に調節することができるようになる。また、この場合、安価で、かつ成形容易な網を採用しているため、流量調整部材を製造する際のコストを低く抑えることもできる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記流量調整部材は前記冷却水通路の断面全体にわたって配設されることを要旨とする。
同構成によれば、流量調整部材は冷却水通路の断面全体にわたって配設されているため、同流量調整部材のより広い面積を利用して冷却水の流量を調整することができる。これにより、水圧の変動を小さくすることができるため、キャビテーションの発生を一層抑制することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、シリンダブロックに設けられてシリンダヘッド側の端面に開口されたブロック側冷却水通路と、シリンダヘッドに設けられてシリンダブロック側の端面に開口されたヘッド側冷却水通路と、前記ブロック側冷却水通路から前記ヘッド側冷却水通路へ冷却水を通過させる孔を有するガスケットとを備え、前記流量調整部材は、前記ブロック側冷却水通路内において前記ガスケット近傍に配設されることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、シリンダブロックからシリンダヘッドに冷却水が供給される水冷式エンジンにおいて、ガスケットの上流側に配設された流量調整部材によって冷却水の流量が調整される。その結果、冷却水の流れがガスケットに当たることによる影響を小さくすることができるため、ガスケットのシール性に関する信頼性を向上させることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の発明において、シリンダブロックに設けられてシリンダヘッド側の端面に開口されたブロック側冷却水通路と、シリンダヘッドに設けられてシリンダブロック側の端面に開口されたヘッド側冷却水通路と、前記ヘッド側冷却水通路から前記ブロック側冷却水通路へ冷却水を通過させる孔を有するガスケットとを備え、前記流量調整部材は、前記ヘッド側冷却水通路内において前記ガスケット近傍に配設されることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、シリンダヘッドからシリンダブロックに冷却水が供給される水冷式エンジンにおいて、ガスケットの上流側に配設された流量調整部材によって冷却水の流量が調整される。その結果、冷却水の流れがガスケットに当たることによる影響を小さくすることができるため、ガスケットのシール性に関する信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を車載用ガソリンエンジン(以下、エンジンと称す)の冷却構造に具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示されるように、エンジン11はシリンダブロック12を備え、その上部には、ヘッドガスケット15を介してシリンダヘッド16が組み付けられている。シリンダヘッド16の上方にはヘッドカバー(図示略)が、シリンダブロック12の下方にはオイルパン(図示略)がそれぞれ取付けられる。
【0015】
次に、シリンダブロック12の構成について図2〜図4を参照して説明する。
図2に示されるように、シリンダブロック12において、その上部には4つのシリンダボア20が設けられ、下部にはクランクケース部21が設けられている。クランクケース部21は、その下方に取付けられるオイルパンとともにクランクケースを形成する。また、シリンダブロック12の頂部には、図1に示されるシリンダヘッド16が載置される平板状のアッパデッキ22が設けられている。
【0016】
図3に示されるように、シリンダブロック12は、各シリンダボア20の周囲にウォータジャケット24を備えている。ウォータジャケット24は、隣接するシリンダボア20間の連結部位を避けつつ、各シリンダボア20の外周を包囲するよう略環状に形成されている。
【0017】
図4に示されるように、シリンダブロック12は、ウォータジャケット24を形成する領域を境にして、シリンダボア20を画定するシリンダライナ部25と、ウォータジャケット24の外側壁を構成するシリンダブロック本体30とに分割形成されている。
【0018】
シリンダライナ部25は、4つのシリンダライナ26aが一体に連結されたシリンダ連結体26と、その上部に上記アッパデッキ22とを備えている。シリンダ連結体26は、各気筒となる円筒状のシリンダライナ26aを直線状に配列し、それらの外周面同士を繋げるようにして一体に形成されている。
【0019】
シリンダ連結体26の上端部には、シリンダブロック12の頂部を構成するアッパデッキ22が一体形成されている。アッパデッキ22は平板状をなし、その上面にヘッドガスケット15を介してシリンダヘッド16が載置される(図1参照)。アッパデッキ22には、シリンダライナ部25とシリンダブロック本体30との締結に用いられる締結孔27や、ウォータジャケット24に連通されるブロック側冷却水通路28が所定の位置に形成されている。また、シリンダ連結体26の下端部には、各シリンダライナ26aの外周面に沿って支持突部29が周設されている。
【0020】
一方、シリンダブロック本体30は、クランクケース部21と、シリンダ連結体26の外周を囲むシリンダ外壁部31とを備えている。シリンダブロック本体30は、クランクケース部21の上部にシリンダ外壁部31を突出させた形状をなし、その外周には、複数の補強リブ33が縦横に延伸されるように形成されている。
【0021】
シリンダ外壁部31は全体として略四角枠状をなし、その内側は、シリンダ連結体26の外周面と対向して配置されるよう曲面形状に形成されている。シリンダ外壁部31の上端部にはフランジ部35が設けられ、同フランジ部35の上面がシリンダライナ部25のアッパデッキ22の下面を当接支持する上部受け面35aとなっている。上部受け面35aにおいて、アッパデッキ22の締結孔27と対応する位置には、シリンダライナ部25とシリンダブロック本体30との締結に用いられる締結穴37が開口されている。
【0022】
シリンダ外壁部31の側壁には、エンジン11外部からウォータジャケット24に冷却水を導入するための冷却水孔39が設けられている。冷却水孔39は、冷却水配管等を通じて、エンジン11の外側部に取付けられるウォータポンプ(図示せず)に接続されている。こうしたエンジン11では、クランクシャフト10(図1参照)の回転力によりウォータポンプが駆動されることで、同ウォータポンプから冷却水が吐出されて冷却水孔39からウォータジャケット24に供給される。
【0023】
次に、ヘッドガスケット15及びシリンダヘッド16の構成について説明する。
図5に示されるように、シリンダヘッド16には、シリンダブロック12との締結に用いられる締結孔67が形成されている。また、シリンダヘッド16には、締結孔67を避けるようにしてウォータジャケット64が形成されている。そして、このウォータジャケット64に連通するヘッド側冷却水通路68がシリンダヘッド16の下面、即ちシリンダヘッド16においてシリンダブロック12側の端面に開口されている。
【0024】
シリンダヘッド16と、シリンダライナ部25のアッパデッキ22との間には、それらの隙間を気密に、かつ液密に閉塞するヘッドガスケット15が介装されている。このヘッドガスケット15には、シリンダヘッド16とシリンダブロック12との締結に用いられる孔57や、シリンダブロック12のブロック側冷却水通路28からシリンダヘッド16のヘッド側冷却水通路68へ冷却水を通過させる孔58が透設されている。即ち、本実施形態において、エンジン11は、シリンダブロック12からシリンダヘッド16に冷却水が供給される水冷式エンジンである。
【0025】
上記のように構成されたシリンダブロック12、ヘッドガスケット15及びシリンダヘッド16は図5に示される締結構造によって組み付けられている。
同図に示されるように、シリンダヘッド16の締結孔67、ヘッドガスケット15の孔57、アッパデッキ22の締結孔27及びシリンダブロック本体30の締結穴37がそれぞれ同軸上に配置されている。そして、シリンダヘッド16の締結孔67の上方から挿入されるヘッドボルト77が、ヘッドガスケット15の孔57、アッパデッキ22の締結孔27を挿通し、シリンダブロック本体30の締結穴37に締結されている。こうしたヘッドボルト77による締結を通じて、シリンダライナ部25がシリンダブロック本体30に組み付けられ、ヘッドガスケット15及びシリンダヘッド16がアッパデッキ22の上部に組み付けられる。
【0026】
このようにシリンダライナ部25がシリンダブロック本体30に組み付けられた状態では、シリンダライナ部25のシリンダ連結体26が、シリンダブロック本体30のシリンダ外壁部31の内側に挿入されている。また、シリンダライナ部25の上端部において、アッパデッキ22の下面がシリンダ外壁部31の上部受け面35aに当接支持され、下端部において支持突部29の先端面がシリンダ外壁部31の内周面に当接支持されている。
【0027】
上記組み付け状態においては、シリンダ外壁部31の内周面とシリンダ連結体26の外周面とが対向して配置されるとともに、それらシリンダ外壁部31の内周面とシリンダ連結体26の外周面との間にウォータジャケット24が形成されている。また、アッパデッキ22の下面とシリンダ外壁部31の上部受け面35aとの間、及びシリンダ連結体26の支持突部29の先端面とシリンダ外壁部31の内周面との間には、シール部材41、42がそれぞれ介装されている。これらシール部材41,42によって、ウォータジャケット24のシリンダヘッド16側の端部とその反対側に位置するクランクケース部21側の端部とにおいてシール性が確保されている。
【0028】
また、上記組み付け状態においては、シリンダヘッド16のヘッド側冷却水通路68、ヘッドガスケット15の孔58及びシリンダブロック12のブロック側冷却水通路28がそれぞれ連通されている。これにより、冷却水孔39を通じて冷却水が供給されると、その冷却水はシリンダブロック12のウォータジャケット24に導入されるとともに、アッパデッキ22のブロック側冷却水通路28、ヘッドガスケット15の孔58を通過した後、ヘッド側冷却水通路68を通じてシリンダヘッド16のウォータジャケット64にも導入される。こうしてシリンダブロック12及びシリンダヘッド16の両方に冷却水が循環されることによって、エンジン11の駆動時に高温となる各部位が冷却され、エンジン11全体が適正な温度に保たれる。
【0029】
さて、エンジン11の駆動時、燃焼室で混合気が燃焼するのに伴って、シリンダライナ部25の上端部付近はそれ以外の部位に比して高温となる。そのため、シリンダヘッド16及びシリンダライナ部25はそれらの境界部付近で熱膨張による寸法変化が大きくなり、その分、冷却水により冷却されたときの熱収縮に伴う寸法変化も大きくなる。その結果、それらの部分が均一に冷却されなかった場合には、ヘッドガスケット15に作用する面圧のばらつきが大きくなり、ヘッドガスケット15でのシール性が損なわれ易くなる。こうしたことから、本実施形態では、ヘッドガスケット15のシール性に関する信頼性を確保するため、冷却水の流量を調整することによってシリンダライナ部25の上端部付近での冷却効果を抑制するようにしている。このため、エンジン11は、冷却水の流量を調節するための流量調整部材70を備えて構成されている。
【0030】
次に、流量調整部材70の構成及び配設構造について図5〜図7を参照して説明する。なお、図6は流量調整部材70について冷却水の流路方向から見たときの平面構造を模式的に示している。また、図7はエンジン11について流量調整部材70付近の断面構造を示す模式拡大断面図である。
【0031】
図5及び図6に示されるように、流量調整部材70は、ヘッドガスケット15の上流側に位置するブロック側冷却水通路28内に設けられている。流量調整部材70は、互いに交差する線材70aによって形成される金属製の網からなり、ブロック側冷却水通路28の断面全体にわたって配設されている。流量調整部材70は、交差する線材70aにより略四角状に包囲される孔71を多数有している。この流量調整部材70は、例えばシリンダライナ部25を鋳造成形する際に鋳込む、あるいはブロック側冷却水通路28の通路壁28aに溶着する等の方法によって、同ブロック側冷却水通路28内の所定位置に固定されている。
【0032】
図6及び図7に示されるように、流量調整部材70は、各孔71をブロック側冷却水通路28内の冷却水が通過するように配設されている。つまり、流量調整部材70は、各孔71をブロック側冷却水通路28の延びる方向、即ちブロック側冷却水通路28内を流通する冷却水の流路方向(図8に示すP方向)に向けて配設されている。換言すれば、流量調整部材70は、その面方向(図8に示すQ方向)がブロック側冷却水通路28の通路壁28aに対し略直角となるように配設されている。また、流量調整部材70は、ブロック側冷却水通路28においてヘッドガスケット15の近傍に配設されている。
【0033】
上記実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)流量調整部材70は、多数の孔71を有するとともにそれら孔71を冷却水が通過するようブロック側冷却水通路28内に配設されている。この場合、多数の孔71を有する流量調整部材70によって冷却水の流量が調整されるため、各孔71を通過する冷却水においては孔71の内面からの距離の差を小さくすることができる。これにより、孔71の内面に近い部分と遠い部分とで冷却水の流速の差が小さくなるため、冷却水に圧力の高低分布を生じにくくさせることができる。その結果、流量調整部材70を通過してブロック側冷却水通路28の断面積が大きくなり水圧が低下したとしても、キャビテーションの発生を極力抑制することができるようになる。従って、冷却水が循環するエンジン11の各部位において、キャビテーションによる腐食や損傷等の発生を好適に抑制することができる。
【0034】
(2)流量調整部材70は、互いに交差する線材70aによって形成される網からなる。この場合、流量調整部材70の形成材料に網目サイズの異なる網を用いることによって、ブロック側冷却水通路28の流路面積を適宜変更することができ、冷却水の流量を容易に調節することができるようになる。また、この場合、安価で、かつ成形容易な網を採用しているため、流量調整部材70を製造する際のコストを低く抑えることもできる。
【0035】
(3)流量調整部材70は、ブロック側冷却水通路28の断面全体にわたって配設されている。そのため、流量調整部材70のより広い面積を利用して冷却水の流量を調整することができる。これにより、流量調整部材70の各孔71を通過する冷却水において水圧の変動を小さくすることができる。よって、流量調整部材70を冷却水が通過しその水圧が低下した場合に、キャビテーションの発生をより効果的に抑制することができ、キャビテーションによる腐食や損傷等の発生を一層好適に抑制することができる。
【0036】
(4)流量調整部材70は、ヘッドガスケット15の上流側に位置するブロック側冷却水通路28に設けられている。この場合、流量調整部材70の下流側に位置するヘッドガスケット15付近では、冷却効果が抑制されるよう冷却水の流量を調節することができるようになる。これにより、シリンダヘッド16及びシリンダライナ部25は、それらの境界部付近において冷却時の熱収縮に伴う寸法変化が抑制されることから、それらが均一に冷却され易くなる。従って、ヘッドガスケット15に作用する面圧のばらつきを小さくすることができ、同ヘッドガスケット15のシール性に関する信頼性を確保することができる。
【0037】
(5)流量調整部材70は、ブロック側冷却水通路28においてヘッドガスケット15の近傍に配設されている。この場合、シリンダブロック12からシリンダヘッド16に冷却水が供給される水冷式のエンジン11においては、ヘッドガスケット15の上流側に配設された流量調整部材70によって冷却水の流量が調整される。その結果、ヘッドガスケット15の孔58をシリンダブロック12及びシリンダヘッド16の冷却水通路28,68の径よりも小さく形成した従来構成に比して、冷却水の流れがヘッドガスケット15に当たることによる影響を小さくすることができる。従って、ヘッドガスケット15に作用する面圧のばらつきを一層小さくすることができ、同ヘッドガスケット15のシール性に関する信頼性を更に向上させることができる。
【0038】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態において、流量調整部材70の形成材料として網を採用していたが、多数の孔を持つ構造材料であれば任意のものを採用してもよい。例えば、図8に示される流量調整部材80のように、金属製の板材81を所定の形状に打ち抜き、その打ち抜き材に多数のパンチ孔82を形成したものを採用することができる。
【0039】
・本実施形態において、流量調整部材70はブロック側冷却水通路28の断面全体にわたって配設されていたが、図9に示されるように、ブロック側冷却水通路28の断面において部分的に配設されるようにしてもよい。この場合、流量調整部材90はその中心C1がブロック側冷却水通路28の軸線C2に一致するように配設されている。また、この場合、流量調整部材90はその周縁部に4つのブラケット91を備え、各ブラケット91がブロック側冷却水通路28の通路壁28aに固定されている。
【0040】
・本実施形態において、流量調整部材70はシリンダブロック12からシリンダヘッド16に冷却水が供給される水冷式エンジンに採用されていたが、シリンダヘッド16からシリンダブロック12に冷却水が供給される水冷式エンジンに採用してもよい。この場合、ヘッド側冷却水通路68においてヘッドガスケット15近傍に流量調整部材70を配設することで、ヘッドガスケット15付近での冷却効果が抑制されるよう冷却水の流量が調節される。その結果、冷却水の流れがヘッドガスケット15に当たることによる影響を小さくすることができ、同ヘッドガスケット15のシール性に関する信頼性を確保することができる。
【0041】
・本実施形態において、流量調整部材70はブロック側冷却水通路28においてヘッドガスケット15の近傍に配設されていたが、必要に応じてヘッドガスケット15から離間した位置に配設してもよい。また、ブロック側冷却水通路28以外にも、例えばヘッド側冷却水通路68、シリンダブロック12のウォータジャケット24、あるいはシリンダヘッド16のウォータジャケット64といった別の冷却水通路内に上記流量調整部材70を配設することもできる。
【0042】
・本実施形態において、流量調整部材70はブロック側冷却水通路28にのみ配設されていたが、例えばヘッド側冷却水通路68、シリンダブロック12のウォータジャケット24、あるいはシリンダヘッド16のウォータジャケット64といった別の冷却水通路と組合わせて配設するようにしてもよい。
【0043】
・本実施形態において、エンジン11には、シリンダライナ部25とシリンダブロック本体30とからなる分割式のシリンダブロック12が採用されていたが、これを一体鋳造してなるシリンダブロックに変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態における水冷式エンジンの全体構造を示す斜視図。
【図2】同じく水冷式エンジンの主要部をなすシリンダブロックの斜視図。
【図3】同じくシリンダブロックの平面図。
【図4】同じくシリンダブロックの分割構造を示す分解斜視図。
【図5】図1のA−A断面図。
【図6】本実施形態の流量調整部材について冷却水の流路方向から見たときの平面構造を示す模式平面図。
【図7】本実施形態の水冷式エンジンについて流量調整部材付近の断面構造を示す模式拡大断面図。
【図8】別例の流量調整部材についてその平面構造を示す模式平面図。
【図9】別例の流量調整部材についてその平面構造を示す模式平面図。
【符号の説明】
【0045】
12…シリンダブロック、16…シリンダヘッド、28…ブロック側冷却水通路、68…ヘッド側冷却水通路、70…流量調整部材、70a…線材、71…孔。




 

 


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