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発明の名称 筒内噴射式火花点火内燃機関
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9722(P2007−9722A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188182(P2005−188182)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
発明者 芦澤 剛 / 野村 啓 / 冨野 修
要約 課題
燃料噴射弁から気筒内へ噴射された燃料を飛行中に確実に良好な可燃混合気とし、この可燃混合気を点火プラグにより着火燃焼させることにより良好な成層燃焼を実現可能とする筒内噴射式火花点火内燃機関を提供する。

解決手段
気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁1と、燃料噴射弁から噴射される燃料Fの飛行経路内に点火ギャップを位置させた点火プラグ2と、ピストン頂面に形成されたキャビティ3とを具備し、成層燃焼時に、燃料噴射弁は、圧縮行程においてキャビティに沿って縦方向に旋回するタンブル流T中へタンブル流の旋回方向に沿って合流する方向に、ほぼ全ての燃料を噴射し、噴射末期の燃料が点火ギャップを通過している間に点火プラグによって点火を実施する。
特許請求の範囲
【請求項1】
気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の飛行経路内に点火ギャップを位置させた点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティとを具備し、成層燃焼時に、前記燃料噴射弁は、圧縮行程において前記キャビティに沿って縦方向に旋回するタンブル流中へ前記タンブル流の旋回方向に沿って合流する方向に、ほぼ全ての燃料を噴射し、噴射末期の燃料が前記点火ギャップを通過している間に前記点火プラグによって点火を実施することを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項2】
前記キャビティは、前記タンブル流の流入側に面取り又はフィレットを有していることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項3】
前記キャビティは、ピストン頂面において排気弁側に偏倚しており、前記タンブル流は、前記キャビティの排気弁側から吸気弁側へ前記キャビティの内壁に沿って旋回することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項4】
前記点火プラグは、点火プラグ本体軸線に略平行な平行部と前記点火プラグ本体軸線に略垂直な垂直部とを有するL字形断面形状の接地電極を具備し、前記接地電極の前記平行部が前記タンブル流の下流側に前記タンブル流に対向して位置しないように配置されることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項5】
前記燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料を前記キャビティ内へ向けて噴射することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項6】
前記燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料を前記キャビティの前記タンブル流の流入側側壁へ向けて噴射することを特徴とする請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項7】
前記燃料噴射弁から噴射される燃料は、噴射方向中心軸線に垂直な断面形状が上側凸の折れ線又は曲線形状であることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
【請求項8】
前記キャビティの容量は、前記キャビティ内に形成される混合気の空燃比が設定空燃比よりリッチとならないように選択されていることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮行程で噴射された燃料によって気筒内の一部だけに可燃混合気を形成し、この可燃混合気を点火プラグによって着火燃焼させることにより、気筒内全体の空燃比を理論空燃比よりリーンとした燃焼を可能とする成層燃焼が公知である。成層燃焼時において点火時期には点火プラグの点火ギャップを可燃混合気内に位置させなければならず、そのために、可燃混合気を形成するための噴射燃料をピストン頂面に形成されたキャビティによって点火プラグ方向へ偏向させることが提案されているが、このためには、燃料噴射時期がピストン位置の制限を受けることとなる。
【0003】
このような制限なしに燃料噴射時期を設定可能とするために、気筒上部略中心に配置された燃料噴射弁から噴射された燃料が気筒内を飛行中に可燃混合気となるとし、この可燃混合気を噴射燃料の飛行経路内に配置した点火プラグにより着火燃焼させて良好な成層燃焼を実現することを意図した筒内噴射式火花点火内燃機関が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−105877
【特許文献2】特開平9−209762
【特許文献3】特開平11−182247
【特許文献4】特開2004−340040
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の背景技術において、燃料噴射弁は中空円錐状に燃料を噴射するものであるが、こうして単に燃料が噴射されても、噴射燃料はピストン頂面又はシリンダボアへ到達するまでの飛行中において十分に吸気と混合された良好な可燃混合気とはならず、意図するようには良好な成層燃焼を実現することができない。
【0006】
従って、本発明の目的は、燃料噴射弁から気筒内へ噴射された燃料を飛行中に確実に良好な可燃混合気とし、この可燃混合気を点火プラグにより着火燃焼させることにより良好な成層燃焼を実現可能とする筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒内へ直接的に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁から噴射される燃料の飛行経路内に点火ギャップを位置させた点火プラグと、ピストン頂面に形成されたキャビティとを具備し、成層燃焼時に、前記燃料噴射弁は、圧縮行程において前記キャビティに沿って縦方向に旋回するタンブル流中へ前記タンブル流の旋回方向に沿って合流する方向に、ほぼ全ての燃料を噴射し、噴射末期の燃料が前記点火ギャップを通過している間に前記点火プラグによって点火を実施することを特徴とする。
【0008】
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記キャビティは、前記タンブル流の流入側に面取り又はフィレットを有していることを特徴とする。
【0009】
本発明による請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記キャビティは、ピストン頂面において排気弁側に偏倚しており、前記タンブル流は、前記キャビティの排気弁側から吸気弁側へ前記キャビティの内壁に沿って旋回することを特徴とする。
【0010】
本発明による請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記点火プラグは、点火プラグ本体軸線に略平行な平行部と前記点火プラグ本体軸線に略垂直な垂直部とを有するL字形断面形状の接地電極を具備し、前記接地電極の前記平行部が前記タンブル流の下流側に前記タンブル流に対向して位置しないように配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明による請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料を前記キャビティ内へ向けて噴射することを特徴とする。
【0012】
本発明による請求項6に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料を前記キャビティの前記タンブル流の流入側側壁へ向けて噴射することを特徴とする。
【0013】
本発明による請求項7に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射弁から噴射される燃料は、噴射方向中心軸線に垂直な断面形状が上側凸の折れ線又は曲線形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明による請求項8に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記キャビティの容量は、前記キャビティ内に形成される混合気の空燃比が設定空燃比よりリッチとならないように選択されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、成層燃焼時に、燃料噴射弁は、圧縮行程においてキャビティに沿って縦方向に旋回するタンブル流中へタンブル流の旋回方向に沿って合流する方向に、ほぼ全ての燃料を噴射するために、特に噴射末期より前に噴射された燃料は、タンブル流と十分に混合され、キャビティ内に良好な可燃混合気を形成する。それにより、噴射燃料の飛行経路内に点火ギャップを位置させた点火プラグによって、噴射末期の燃料が点火ギャップを通過している間に点火が実施されると、噴射末期の燃料に連続するキャビティ内の可燃混合気を確実に着火燃焼させることができ、良好な成層燃焼を実現することができる。
【0016】
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、キャビティは、タンブル流の流入側に面取り又はフィレットを有しているために、吸気行程時に形成されるタンブル流の減衰を抑制し、成層燃焼時の燃料噴射時期である圧縮行程においても比較的強いタンブル流を維持することができ、噴射燃料とタンブル流との混合が促進されるために、キャビティ内に良好な可燃混合気を形成するのに有利となる。
【0017】
本発明による請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、キャビティは、ピストン頂面において排気弁側に偏倚しており、タンブル流は、キャビティの排気弁側から吸気弁側に沿って旋回する正タンブル流とされるために、旋回方向が逆の逆タンブル流に比較して、強いタンブル流を形成し易い。
【0018】
本発明による請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、点火プラグは、点火プラグ軸線に略平行な平行部と点火プラグ軸線に略垂直な垂直部とを有するL字形断面形状の接地電極を具備し、接地電極の平行部がタンブル流の下流側にタンブル流に対向して位置しないように配置されるために、点火ギャップで発生するアークが接地電極の平行部によって妨げられずにタンブル流と共に下流側へ伸びることができ、点火ギャップを通過直後の燃料の着火も可能となり、着火性を向上させることができる。
【0019】
本発明による請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料をキャビティ内へ向けて噴射するようになっている。それにより、噴射燃料の一部がピストン頂面のキャビティ外に位置することとなって燃焼に寄与せずに未燃燃料として排出されることを抑制することができる。
【0020】
本発明による請求項6に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、燃料噴射弁は、ほぼ全ての燃料をキャビティのタンブル流の流入側側壁へ向けて噴射するようになっている。それにより、低回転時のように吸気行程において形成されるタンブル流が比較的弱く、それに伴って、圧縮行程において弱いタンブル流しか維持されない場合において、噴射燃料とタンブル流との混合が不十分となると、噴射燃料の一部がキャビティの流入側側壁に衝突することとなるが、この衝突燃料は、キャビティの内壁に沿って進行する際の受熱によって気化し、共にキャビティの内壁に沿って進行する弱いタンブル流とでも十分に混合してキャビティ内に良好な可燃混合気を形成することができる。
【0021】
本発明による請求項7に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、燃料噴射弁から噴射される燃料は、噴射方向中心軸線に垂直な断面形状が上側凸の折れ線又は曲線形状とされているために、噴射燃料とタンブル流との間の接触面積が大きくなって、噴射燃料とタンブル流との混合が良好になると共に、点火プラグの長さがそれほど長くなくても点火プラグ近傍の混合気がリーンにならず、確実に点火が実現される。
【0022】
本発明による請求項8に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、キャビティの容量は、キャビティ内に形成される混合気の空燃比が設定空燃比よりリッチとならないように設定されているために、オーバーリッチによる未燃燃料の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略縦断面図である。同図において、1は気筒上部略中心に配置されて気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁であり、2は燃料噴射弁5の近傍の排気弁側に配置された点火プラグである。本筒内噴射式火花点火内燃機関は二つの吸気弁及び二つの排気弁を有しており、図1は二つの吸気弁の間及び二つの排気弁の間を通る断面図であるために、吸気弁及び排気弁は図示されていない。図1において左側が吸気弁側であり。右側が排気弁側である。
【0024】
3はピストンであり、その頂面には排気弁側に偏倚してキャビティ3aが形成されている。キャビティ3aは、タンブル流を沿わせるのに適した滑らかな内壁を有し、吸気行程において気筒内に形成されたタンブル流を内壁に沿わせることにより圧縮行程末期まで大幅に減衰させないようにするためのものである。吸気ポート(図示せず)から吸入される吸気は、一般的に、気筒内において、排気弁側を下降して吸気弁側を上昇するように旋回するタンブル流を形成するために、キャビティ3aをピストン頂面の排気弁側に偏倚させることにより、タンブル流はキャビティ3aの内壁に沿って旋回し易くなり、タンブル流の減衰抑制に有利となる。また、タンブル流がキャビティ3a内に流入し易くするために、キャビティ3aには、タンブル流の流入側である排気弁側にフィレット3b又は面取りが設けられている。
【0025】
本筒内噴射式火花点火内燃機関は、機関負荷が設定値以上である時には、燃料噴射弁1によって吸気行程で燃料を噴射し、気筒内全体に均質混合気を形成する均質燃焼を実施したり、圧縮行程中に燃料を複数回に分けて噴射して成層燃焼を実施したりする。一方、機関負荷が設定値未満である時には、燃料噴射弁1により圧縮行程後半において燃料を噴射する成層燃焼を実施する。成層燃焼は、気筒内の一部だけに可燃混合気を形成し、この可燃混合気を着火燃焼させるものであり、気筒内全体としては理論空燃比よりリーンな燃焼が可能となり、また、スロットル弁開度を比較的大きくしたり、再循環排気ガス量を多くしたりしてポンピング損失が低減されるために、燃料消費低減に有利である。
【0026】
本筒内噴射式火花点火内燃機関の燃料噴射弁は、圧縮行程後半においてキャビティ3aに沿って縦方向に旋回するタンブル流中へタンブル流Tの旋回方向に沿って合流する方向に、ほぼ全ての燃料Fを噴射するようになっている。また、点火プラグ2は、こうして燃料噴射弁から噴射される燃料Fの飛行経路内に点火ギャップ2aを位置させるように配置されている。
【0027】
機関負荷に応じて決定される燃料量が全て噴射された直後に点火プラグ2によって点火が実施されると、この点火時点において、噴射末期の燃料は、噴射燃料Fの飛行経路内に位置する点火プラグ2の点火ギャップ2aを通過している途中であり、噴射末期の燃料を確実に着火させることができる。一方、噴射末期の燃料に連続する噴射末期より前に噴射された燃料は、タンブル流中へタンブル流の旋回方向に沿って合流してから暫く時間経過しているために、タンブル流と十分に混合されて良好な可燃混合気となってキャビティ3a内に存在しており、噴射末期の燃料の火炎が伝播して良好に燃焼する。こうして、良好な成層燃焼を実現することができる。噴射末期の燃料の火炎を噴射初期の燃料まで確実に伝播させるためには、燃料噴射弁から連続的に燃料を噴射することが好ましい。しかしながら、噴射末期の燃料の火炎を噴射初期の燃料まで伝播させることを阻害しない程度であれば、燃料噴射に一回又は数回程度のインターバルを設けて間欠的に燃料を噴射することも可能である。こうして燃料噴射にインターバルが設けられると、同量の燃料を噴射するのにも燃料噴射開始時期が早められ、燃料噴射開始時期から点火までの時間が長くなるために、噴射初期の燃料とタンブル流との混合がさらに促進され、成層燃焼をさらに良好なものとすることができる。
【0028】
本実施形態において、噴射末期より前に噴射された燃料は、タンブル流と共にピストン頂面のキャビティ3a内に可燃混合気として集合しているために、気筒内に広く分散して燃焼が困難な希薄混合気となることはなく、良好な成層燃焼の実現に有利である。また、キャビティ3aの容量が小さ過ぎると、キャビティ3a内に形成される混合気が設定空燃比よりリッチとなって、オーバーリッチにより良好な成層燃焼が実現されず、比較的多くの未燃燃料が発生してしまう。それにより、キャビティ3aの容量は、成層燃焼時の最大燃料噴射量に対して、噴射末期より前に噴射される燃料によってキャビティ3a内に形成される混合気の空燃比が設定空燃比よりリッチとならないように設定されている。
【0029】
ところで、点火プラグ2の接地電極は、一般的に、点火プラグ本体軸線に略平行な平行部2bと点火プラグ本体軸線に略垂直な垂直部2cとを有するL字断面形状であり、点火プラグ2の点火ギャップ2aを、噴射燃料Fの飛行経路内に位置させる際には、接地電極の平行部2bがタンブル流の下流側にタンブル流に対向して位置しないようにして、点火プラグ2を配置することが好ましい。
【0030】
図2は点火プラグ2近傍の拡大図であり、図2においては、接地電極の平行部2bがタンブル流の上流側に位置するように、点火プラグ2は配置されている。それにより、点火ギャップ2aで発生するアークAは、点火ギャップ2aにおけるタンブル流の下流側が接地電極の平行部2bによって閉鎖されないために、タンブル流と共に下流側へ伸びることができ、点火ギャップ2aを通過直後の燃料Fの着火も可能となり、着火性を向上させることができる。
【0031】
図1においては、接地電極の平行部2bがタンブル流と平行となるように、また、接地電極の垂直部2cがタンブル流と垂直になるように、点火プラグ2は配置されている。このような配置でも、点火ギャップ2aにおけるタンブル流の下流側が接地電極の平行部2bによって閉鎖されないために、点火ギャップ2aで発生するアークAは、タンブル流と共に下流側へ伸びることができ、点火ギャップ2aを通過直後の燃料Fも着火させることができる。また、噴射燃料Fは、タンブル流Tの上流側から点火プラグ2の点火ギャップ2aを通過するために、図2にように点火プラグ2の接地電極を配置すると、タンブル流の上流側に位置する接地電極の平行部2bは、点火プラグ2の点火ギャップ2aを通過する燃料量を減少させてしまう。それにより、図1における点火プラグ2の接地電極配置と、これに対して点火プラグ本体軸線回りに180度回転させた接地電極配置とが、アークAのタンブル流下流側への伸長と、噴射燃料の点火ギャップ2aの通過との両方において好ましい。
【0032】
また、燃料噴射弁1の燃料噴射方向は、圧縮行程後半においてキャビティ3aに沿って縦方向に旋回するタンブル流中へタンブル流Tの旋回方向に沿って合流する方向とされるが、この燃料噴射方向の延長方向はキャビティ3a内とすることが好ましい。それにより、低回転時のように吸気行程において形成されるタンブル流が比較的弱く、それに伴って、圧縮行程において弱いタンブル流しか維持されない場合において、噴射燃料をキャビティ3a内へ十分に偏向することができない場合にも、ほぼ全ての燃料はキャビティ3a内へ向けて噴射されるために、噴射燃料の一部がピストン頂面のキャビティ3a外に位置することとなって燃焼に寄与せずに未燃燃料として排出されることを抑制することができる。
【0033】
また、燃料噴射弁1の燃料噴射方向の延長方向は、キャビティ3a内におけるタンブル流の流入側側壁、本実施形態の場合にはキャビティ3aの排気弁側側壁3cとすることがさらに好ましい。こうすることにより、圧縮行程において弱いタンブル流しか維持されない場合において、噴射燃料の一部は、タンブル流との混合が不十分となり、自身の貫徹力によりキャビティ3aの排気弁側側壁に衝突し、キャビティ3aの内壁に沿ってタンブル流と同一方向に進行することとなる。こうして、この衝突燃料は、キャビティ3aの熱を利用して気化し、弱いタンブル流とでも十分に混合してキャビティ3a内に可燃混合気を形成することができ、前述同様に、噴射末期の燃料を着火することにより、良好な成層燃焼を実現することができる。
【0034】
ところで、本実施形態において、燃料噴射弁1は、図3に示すような上側凸の円弧配置された複数(六つ)の丸噴孔1a0を有し、各噴孔1aからは柱状に燃料が噴射されるようになっている。柱状の各燃料噴霧は貫徹力が比較的強く、飛行中において吸気(タンブル流)との間に強い摩擦力が発生し、この摩擦力によって微粒化されて全体的に一体化される。このように一体化された燃料噴霧は、図4に示すように、噴射方向中心軸線に垂直な断面形状が上側凸の曲線円弧形状となる。
【0035】
このような曲線形状又は図5に示すような折れ線形状の断面を有する燃料噴霧Fは、タンブル流との接触面積が大きいために、タンブル流と容易に混合する。さらに、上側凸の曲線形状又は折れ線形状の燃料噴霧の上部が点火プラグ2の点火ギャップ2aを通過するようにすれば、燃料噴霧のそれ以外の部分は、上部より下側に位置するために、シリンダヘッド底面に衝突することはなく、噴射燃料Fの飛行経路内に点火ギャップ2aを位置させるに際して、点火プラグ2のシリンダヘッド底面からの突出長を比較的小さくすることができる。
【0036】
複数の丸噴孔1aに代えて、上側凸の折れ線又は曲線のスリット状噴孔としても同様な燃料噴霧を実現することができる。複数の丸噴孔1aの場合には、各噴孔1aを僅かに外側に向けて、燃料噴霧Fの全体幅W及び全体高さHを先広がりとすることにより、さらにタンブル流との接触面積が増大して、タンブル流との混合を良好なものとすることができる。もちろん、先広がりの燃料噴霧Fにおいても、ほぼ全ての燃料は、キャビティ3a内へ向けて、さらに好ましくは、キャビティ3aのタンブル流の流入側側壁3cへ向けて噴射される。
【0037】
本実施形態において、全ての噴射燃料Fを、キャビティ3a内へ向けて、好ましくは、キャビティ3aの排気弁側壁3cへ向けて噴射するようにしたが、キャビティ内へ噴射した燃料を点火プラグ方向に可燃混合気として偏向する成層燃焼方式の場合のように失火発生などの重大な問題を発生しないために、それほど絶対的なものではない。また、前述したように、全ての燃料噴霧Fをキャビティ3a内又はキャビティ3aの排気弁側側壁3cへ向けて噴射することが必要な場合は、気筒内に弱いタンブル流しか形成されない機関低回転時であるために、この時にだけピストン位置範囲に応じて燃料噴射時期を制御するようにしても良い。
【0038】
本実施形態において、気筒内に形成されるタンブル流は、排気弁側を下降して吸気弁側を上昇する正タンブル流としたが、吸気ポート気筒内開口部の排気弁側にマスク壁を設ける等して、吸気弁側を下降して排気弁側を上昇する逆タンブル流を気筒内に形成するようにしても良い。
【0039】
この場合には、ピストン頂面のキャビティは吸気弁側に偏倚させることとなり、キャビティのタンブル流の流入側は吸気弁側となる。また、点火プラグは、燃料噴射弁近傍の吸気弁側に配置されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関の点火プラグ近傍の拡大図である。
【図3】燃料噴射弁の噴孔配置を示す図である。
【図4】噴射燃料の噴射方向中心軸線に垂直な断面図である。
【図5】もう一つの噴射燃料の噴射方向中心軸線に垂直な断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 燃料噴射弁
2 点火プラグ
3 ピストン
3a キャビティ
T タンブル流
F 噴射燃料




 

 


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