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発明の名称 プーリのアライメント調整機構、アライメント調整方法及びアライメント調整補助具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2922(P2007−2922A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183834(P2005−183834)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 増田 道彦
要約 課題
簡単な作業を行うだけでプーリのアライメントを調整できるようにする。

解決手段
アライメント調整機構42は、回転不能に設けられた支軸21上に転がり軸受22を介して支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるアイドラプーリ23のアライメントを調整するための機構である。同機構42は、支軸21上のアイドラプーリ23の両側に配置された一対のワッシャ43,44と、支軸21上のアイドラプーリ23及び各ワッシャ43,44間にそれぞれ配置された一対の補助ワッシャ48,49と、支軸21として機能し、かつ転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49をシリンダブロック16に締結するボルト54とを備える。さらに、各ワッシャ43,44には回転放物面を有する凹部47を設け、各補助ワッシャ48,49には回転放物面を有し、かつ前記凹部47に係合する突部52を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
固定部材に回転不能に設けられた支軸上に軸受を介して支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、
前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、
前記軸受の内輪及び前記両ワッシャを前記固定部材に締結する締結手段と
を備え、
前記各ワッシャ及び前記軸受の内輪の一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられていることを特徴とするプーリのアライメント調整機構。
【請求項2】
固定部材に回転不能に設けられた支軸上に軸受を介して支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、
前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、
前記支軸上の前記プーリ及び前記各ワッシャ間にそれぞれ配置される一対の補助ワッシャと、
前記軸受の内輪、前記両ワッシャ及び前記両補助ワッシャを前記固定部材に締結する締結手段と
を備え、
前記各ワッシャ及び前記各補助ワッシャの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられていることを特徴とするプーリのアライメント調整機構。
【請求項3】
前記締結手段は、前記支軸として機能し、かつ前記固定部材に螺入されるボルトにより構成されている請求項1又は2に記載のプーリのアライメント調整機構。
【請求項4】
回転軸に一体回転可能に設けられた支軸上に支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、
前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、
前記プーリ及び前記両ワッシャを前記回転軸に締結する締結手段と
を備え、
前記各ワッシャ及び前記プーリの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられていることを特徴とするプーリのアライメント調整機構。
【請求項5】
回転軸に一体回転可能に設けられた支軸上に支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、
前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、
前記支軸上の前記プーリ及び前記各ワッシャ間にそれぞれ配置される一対の補助ワッシャと、
前記プーリ、前記両ワッシャ及び前記補助ワッシャを前記回転軸に締結する締結手段と
を備え、
前記各ワッシャ及び前記各補助ワッシャの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられていることを特徴とするプーリのアライメント調整機構。
【請求項6】
前記締結手段は、前記支軸として機能し、かつ前記回転軸に螺入されるボルトにより構成されている請求項4又は5に記載のプーリのアライメント調整機構。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載のプーリのアライメント調整機構を用いて同プーリのアライメントを調整する方法であって、
前記締結手段による締結前に、平面状の調整面を有するアライメント調整補助具を、その調整面が前記支軸に直交するように配置し、前記プーリの側面が前記調整面に面接触するように同プーリのアライメントを調整し、この状態で、前記締結手段による締結を行うことを特徴とするプーリのアライメント調整方法。
【請求項8】
請求項7に記載のプーリのアライメント調整方法に用いられるアライメント調整補助具であって、
一方の端面にて所定の基準面に当接されることにより前記支軸に平行に配置される軸部と、
前記軸部に取付けられ、かつ同軸部に直交する調整面を有する調整補助部材と
を備えることを特徴とするプーリのアライメント調整補助具。
【請求項9】
前記調整補助部材は前記軸部に回動可能に取付けられている請求項8に記載のプーリのアライメント調整補助具。
【請求項10】
前記調整補助部材は前記軸部上に複数設けられており、各調整補助部材の前記調整面は前記軸部に対し直交する共通の平面上に形成されている請求項8又は9に記載のプーリのアライメント調整補助具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整する機構、調整する方法、及びその調整の際に用いて好適な調整補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載エンジンには各種補機が取付けられており、これらの補機の回転軸、及びエンジンの出力軸であるクランクシャフトにはそれぞれプーリが装着されている。これらのプーリには無端状の伝動ベルトが巻掛けられている。そして、クランクシャフトの回転がプーリ及び伝動ベルトを介して各補機に伝達されて、同補機が駆動される。さらに、エンジンにはアイドラプーリ、テンショナ等が取付けられている。アイドラプーリは、上記補機等のプーリに対する伝動ベルトの巻付角を十分に確保して駆動力の伝達を確実なものにすべく伝動ベルトを案内する。また、テンショナはプーリを備えており、そのプーリを通じて伝動ベルトの張力を調整する。
【0003】
こうしたエンジンでは、アライメントが適正でないプーリがあると、すなわち、中心線が他のプーリの中心線に対し平行でない(傾斜している)プーリがあると、そのプーリに対し伝動ベルトが傾斜した状態で巻掛けられる。この状態で伝動ベルトが周回すると、伝動ベルトと傾斜したプーリとの擦れによる異音が発生したり、伝動ベルトが偏摩耗したりするおそれがある。
【0004】
そこで、傾斜したプーリの中心線が他のプーリの中心線と平行となるように、そのプーリのアライメントを調整する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1では、補機がエンジンに対し並列にかつ相対移動可能に配設されたものにおいて、補機のプーリのアライメントを調整するに当たり、補機のプーリの中心線がエンジンのクランクプーリの中心線に対し平行となるように、専用のアライメント調整用治具を用いながら補機を移動させている。
【特許文献1】特開平8−285052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載された技術は、回転軸にプーリが装着された状態の補機を、アライメント調整用治具を用いながらエンジンに対し相対移動させることで、その補機のプーリのアライメントを調整するものであり、調整作業が大がかりで面倒なものとなってしまう。この点、プーリ又はその近傍部分のみの傾きを変えてアライメントを調整することができれば、上述した補機全体を相対移動させて行う大がかりな調整作業が不要となり、面倒であった作業の簡略化が期待できる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な作業を行うだけでプーリのアライメントを調整できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、固定部材に回転不能に設けられた支軸上に軸受を介して支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、前記軸受の内輪及び前記両ワッシャを前記固定部材に締結する締結手段とを備え、前記各ワッシャ及び前記軸受の内輪の一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられているとする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、固定部材に回転不能に設けられた支軸上に軸受を介して支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、前記支軸上の前記プーリ及び前記各ワッシャ間にそれぞれ配置される一対の補助ワッシャと、前記軸受の内輪、前記両ワッシャ及び前記両補助ワッシャを前記固定部材に締結する締結手段とを備え、前記各ワッシャ及び前記各補助ワッシャの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられているとする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記締結手段は、前記支軸として機能し、かつ前記固定部材に螺入されるボルトにより構成されているとする。
【0010】
請求項1に記載の構成を有するアライメント調整機構では、各ワッシャと軸受の内輪とが、凹部及び突部の各回転放物面において係合している。凹部及び突部間の係合の程度(係合力)は、締結手段による締結の状態に応じて変化する。
【0011】
軸受の内輪及び両ワッシャが締結手段によって固定部材に締結されていない状態では、凹部及び突部の間の係合力が弱い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿って内輪を傾動させて、プーリのアライメントを調整することが可能となる。これに対し、内輪及び両ワッシャが締結手段によって固定部材に締結されている状態では、凹部及び突部間の係合力が強い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿って内輪を傾動させてプーリのアライメントを調整することが不能となる。
【0012】
従って、上記アライメント調整機構を操作することにより、次のようにしてプーリのアライメントを調整することが可能である。まず、軸受の内輪及び両ワッシャが締結手段によって固定部材に締結されていない状態にする。こうすることで、凹部及び突部間の係合力を弱める。ワッシャの回転放物面に沿って内輪を傾動させることで、プーリのアライメントを調整する。この調整後に、内輪及び両ワッシャを締結手段によって固定部材に締結する。この締結により、凹部及び突部間の係合力が強まり、回転放物面に沿って内輪を傾動させることが不能となる。
【0013】
そのため、締結手段による締結前に、内輪を適正に傾動させることにより、プーリのアライメントを適正に調整することができる。そして、締結手段によって締結を行うことにより、プーリを、アライメントが適正に調整された上記の状態に保持することができる。
【0014】
このように、請求項1に記載の発明によれば、アライメント調整機構について簡単な作業を行うだけでプーリのアライメントを調整することができるようになる。
なお、請求項2に記載の発明によるように、支軸上のプーリ及び各ワッシャ間に補助ワッシャを配置する場合には、この補助ワッシャが請求項1に記載の発明における軸受の内輪と同様の作用を発揮する。このため、請求項2に記載の発明によっても、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0015】
この場合、アライメント調整機構では、各ワッシャと、軸受の内輪に代わる補助ワッシャとが、凹部及び突部の各回転放物面において係合する。そして、締結手段による締結が行われておらず、凹部及び突部間の係合力が弱いときに、ワッシャの回転放物面に沿って補助ワッシャを傾動させることにより、プーリのアライメントが調整される。
【0016】
また、上記締結手段は、請求項3に記載の発明によるように、前記支軸として機能し、かつ前記固定部材に螺入されるボルトによって構成されてもよい。
請求項3に記載の発明によると、上記ボルトが緩められた状態では、軸受の内輪及び両ワッシャが固定部材に締結されず、凹部及び突部間の係合力が弱い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿って軸受を傾動させてプーリのアライメントを調整することが可能である。これに対し、ボルトが締付けられた状態では、内輪及び両ワッシャが固定部材に締結され、凹部及び突部間の係合力が強い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿って軸受を傾動させてプーリのアライメントを調整することが不能である。
【0017】
従って、プーリのアライメントを調整する場合には、ボルトを締付ける前の状態、すなわち軸受の内輪及び両ワッシャが固定部材に締結されていない状態にして、凹部及び突部間の係合力を弱める。ワッシャの回転放物面に沿って内輪を傾動させることで、プーリのアライメントを調整する。この調整後にボルトを締付け、軸受の内輪及び両ワッシャを固定部材に締結する。この締結により凹部及び突部間の係合力が強まり、回転放物面に沿って内輪を傾動させることが不能となり、プーリがアライメントの調整された状態に保持される。
【0018】
そのため、ボルトが緩められた状態のときに内輪を適正に傾動させてプーリのアライメントを適正に調整しておけば、ボルトを締付けることにより、プーリを、アライメントが適正に調整された上記の状態に保持することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、回転軸に一体回転可能に設けられた支軸上に支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、前記プーリ及び前記両ワッシャを前記回転軸に締結する締結手段とを備え、前記各ワッシャ及び前記プーリの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられているとする。
【0020】
請求項5に記載の発明では、回転軸に一体回転可能に設けられた支軸上に支持され、かつ伝動ベルトが巻掛けられるプーリのアライメントを調整するための機構であって、前記支軸上の前記プーリの両側に配置される一対のワッシャと、前記支軸上の前記プーリ及び前記各ワッシャ間にそれぞれ配置される一対の補助ワッシャと、前記プーリ、前記両ワッシャ及び前記補助ワッシャを前記回転軸に締結する締結手段とを備え、前記各ワッシャ及び前記各補助ワッシャの一方には回転放物面を有する凹部が設けられ、他方には回転放物面を有し、かつ前記凹部に係合する突部が設けられているとする。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項4又は5に記載の発明において、前記締結手段は、前記支軸として機能し、かつ前記回転軸に螺入されるボルトにより構成されているとする。
【0022】
請求項4に記載の構成を有するアライメント調整機構では、各ワッシャ及びプーリが、凹部及び突部の各回転放物面において係合している。凹部及び突部間の係合の程度(係合力)は、締結手段による締結の状態に応じて変化する。
【0023】
プーリ及び両ワッシャが締結手段によって回転軸に締結されていない状態では、凹部の回転放物面と突部の回転放物面との間の係合力が弱い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させてアライメントを調整することが可能となる。これに対し、プーリ及び両ワッシャが締結手段によって回転軸に締結されている状態では、凹部及び突部間の係合力が強い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させてアライメントを調整することが不能となる。
【0024】
従って、上記アライメント調整機構を操作することにより、次のようにしてプーリのアライメントを調整することが可能である。まず、プーリ及び両ワッシャが締結手段によって回転軸に締結されていない状態にする。こうすることで、凹部及び突部間の係合力を弱める。ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させることにより、同プーリのアライメントを調整する。この調整後に、プーリ及び両ワッシャを締結手段によって回転軸に締結する。この締結により、凹部及び突部間の係合力が強まり、回転放物面に沿ってプーリを傾動させることが不能となる。
【0025】
そのため、締結手段による締結前にプーリを適切に傾動させることにより、締結手段による締結後には、プーリを、アライメントが適正に調整された状態に保持することができる。
【0026】
このように、請求項4に記載の発明によれば、簡単な作業を行うだけでプーリのアライメントを調整することができるようになる。
なお、請求項5に記載の発明によるように、支軸上のプーリ及び各ワッシャ間に補助ワッシャを配置する場合には、この補助ワッシャが上記請求項4に記載の発明におけるプーリと同様の作用を発揮する。このため、請求項5に記載の発明によっても、請求項4に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0027】
この場合、アライメント調整機構では、各ワッシャと、プーリに代わる補助ワッシャとが、凹部及び突部の各回転放物面において係合する。そして、締結手段による締結が行われておらず、凹部及び突部間の係合力が弱いときに、ワッシャの回転放物面に沿って補助ワッシャを傾動させることにより、プーリのアライメントが調整される。
【0028】
また、上記締結手段は、請求項6に記載の発明によるように、前記支軸として機能し、かつ前記回転軸に螺入されるボルトによって構成されてもよい。
上記ボルトが緩められた状態では、プーリ及び両ワッシャが回転軸に締結されず、凹部の回転放物面と突部の回転放物面との間の係合力が弱い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させてアライメントを調整することが可能となる。これに対し、ボルトが締付けられた状態では、プーリ及び両ワッシャが回転軸に締結され、凹部及び突部間の係合力が強い。そのため、ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させてアライメントを調整することが不能となる。
【0029】
従って、プーリのアライメントを調整する場合には、ボルトを締付ける前の状態、すなわちプーリ及び両ワッシャが回転軸に締結されていない状態にして、凹部及び突部間の係合力を弱める。ワッシャの回転放物面に沿ってプーリを傾動させてアライメントを調整する。この調整後にボルトを締付け、プーリ及び両ワッシャを回転軸に締結する。この締結により凹部及び突部間の係合力が強まり、回転放物面に沿ってプーリを傾動させることが不能となり、プーリがアライメントの調整された状態に保持される。
【0030】
そのため、ボルトが緩められた状態のときにプーリを適正に傾動させてアライメントを適正に調整しておけば、ボルトを締付けることにより、ボルトを、アライメントが適正に調整された上記の状態に保持することができる。
【0031】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1つに記載のプーリのアライメント調整機構を用いて同プーリのアライメントを調整する方法であって、前記締結手段による締結前に、平面状の調整面を有するアライメント調整補助具を、その調整面が前記支軸に直交するように配置し、前記プーリの側面が前記調整面に面接触するように同プーリのアライメントを調整し、この状態で、前記締結手段による締結を行うようにしている。
【0032】
上記請求項1〜6のいずれか1つに記載のアライメント調整機構を用いてプーリのアライメントを調整する場合には、締結手段による締結を行う前、すなわち、凹部及び突部間の係合力が弱くプーリの傾動が可能なときに、アライメント調整補助具を、その平面状の調整面がプーリの支軸に直交するように配置する。そして、プーリの側面が上記調整面に面接触するように同プーリを傾動させる。プーリが傾動して、その側面が調整面に面接触すると、プーリのアライメントが適正に調整された状態となる。
【0033】
上記アライメントの調整後に締結手段による締結を行う。この締結により凹部及び突部間の係合力が強まり、プーリが、アライメントが適正に調整された上記の状態に保持される。このように、請求項7に記載の発明の調整方法によれば、簡単な作業を行うだけでプーリのアライメントを調整することができる。
【0034】
そして、上記のアライメントの調整作業を複数のプーリについて実施することにより、複数のプーリの中心線が互いに平行となり、アライメントずれのない状態となる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載のプーリのアライメント調整方法に用いられるアライメント調整補助具であって、一方の端面にて所定の基準面に当接されることにより前記支軸に平行に配置される軸部と、前記軸部に取付けられ、かつ同軸部に直交する調整面を有する調整補助部材とを備えるとする。
【0035】
上記請求項7に記載の発明の調整方法に従ってプーリのアライメントを調整する際には、締結手段による締結を行う前、すなわち、凹部及び突部間の係合力が弱くプーリの傾動が可能なときに、請求項8に記載の発明のアライメント調整補助具を次のように用いる。軸部の一方の端面を所定の基準面に当接させることにより、その軸部をプーリの支軸に平行にする。この状態では、軸部に取付けられている調整補助部材の調整面がプーリの支軸に直交した状態となる。次に、調整補助部材の調整面をプーリの側面の近傍に位置させ、プーリの側面が上記調整面に面接触するように、そのプーリを傾動させる。プーリの側面が調整面に面接触すると、その側面は支軸に直交する。また、プーリの中心線は支軸に合致又は平行となる。このようにしてプーリのアライメントが調整される。そして、上記作業を複数のプーリについて行うと、それらのプーリの中心線が互いに平行となるり、アライメントずれのない状態となる。
【0036】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の発明において、前記調整補助部材は前記軸部に回動可能に取付けられているとする。
上記の構成によれば、軸部の一方の端面を基準面に当接させた後、その軸部を中心として調整補助部材を回動させることにより、その調整面をプーリの側面の近傍に確実に位置させることができるようになる。
【0037】
請求項10に記載の発明では、請求項8又は9に記載の発明において、前記調整補助部材は前記軸部上に複数設けられており、各調整補助部材の前記調整面は前記軸部に対し直交する共通の平面上に形成されているとする。
【0038】
上記の構成によれば、軸部上に調整補助部材が複数設けられていることから、複数のプーリの側面の近傍に、調整補助部材の調整面を一度に配置することができる。複数のプーリについて、それらの側面が対応する調整面に面接触するように傾動させることで、複数のプーリのアライメントを効率よく調整することができるようになる。なお、複数の調整補助部材については、それらの調整面が軸部に対し直交する共通の平面上に形成されていることから、上記アライメントが調整された後には、複数のプーリの側面が上記共通の平面上に位置し、かつそれらの中心線が互いに平行となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を、エンジンの巻掛け伝動装置に具体化した一実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
エンジンのシリンダブロックには、その出力軸としてクランクシャフトが設けられている。また、エンジンには、オルタネータ、ウォータポンプ、エアコン用コンプレッサ等の補機が取付けられている。クランクシャフトの回転を各補機に伝達して駆動するために、巻掛け伝動装置が設けられている。
【0040】
図1、図2及び図4は巻掛け伝動装置11の一部を示している。この巻掛け伝動装置11は、クランクプーリ(図示略)、補機12のプーリ13、別の補機(図示略)のプーリ14及び伝動ベルト15を備えている。クランクプーリは、シリンダブロック16の前面(図4の左側面)から突出するクランクシャフトの先端部に一体回転可能に取付けられている。プーリ13は、上記クランクシャフトに対し平行に配置された支軸17に一体回転可能に取付けられている。この取付け構造については後述する。支軸17は、その一端部において補機12の回転軸18に締結されており、その回転軸18と一体となって回転する(図2参照)。図2中の19は、回転軸18を補機12のケース等に支持する軸受である。なお、図示はしないが、プーリ14についてもプーリ13と同様に、補機の回転軸と一体回転する支軸に取付けられている。
【0041】
伝動ベルト15は、上述したクランクプーリ及び各プーリ13,14に巻掛けられている。ここでは、伝動ベルト15としてVリブドベルトが用いられている。なお、図2及び図4では伝動ベルト15内の芯線の図示が省略されている。
【0042】
さらに、シリンダブロック16の前面には、支軸21が上記クランクプーリに平行に配置されている。支軸21は、その一端部において固定部材としてのシリンダブロック16に固定されており、上記補機12の支軸17とは異なり回転不能である(図4参照)。支軸21上には転がり軸受22によりアイドラプーリ23が回転可能に支持されている。転がり軸受22は、互いに同心円上に配置された内輪24及び外輪25と、それら内外両輪24,25間に介在された球体からなる転動体26とを主要な部品とする。外輪25はアイドラプーリ23に嵌入固定されている。アイドラプーリ23は、上記補機12のプーリ13等に対する伝動ベルト15の巻付角を十分に確保して駆動力の伝達を確実にするためのものである。
【0043】
こうした構成の巻掛け伝動装置11では、エンジンの運転に伴いクランクシャフトが回転すると、その回転がクランクプーリ、伝動ベルト15、アイドラプーリ23及びプーリ13,14を介して各補機12の回転軸18に伝達される。この伝達の過程で伝動ベルト15は図1中、矢印で示すように時計回り方向へ周回する。
【0044】
巻掛け伝動装置11では、アライメントが適正でないプーリがあると、すなわち、中心線が他のプーリの中心線に平行でない(傾斜している)プーリがあると、そのプーリに対し伝動ベルト15が傾斜した状態で巻掛けられる。この状態で伝動ベルト15が周回すると、伝動ベルト15と傾斜したプーリとの擦れによる異音が発生したり、伝動ベルト15が偏摩耗したりするおそれがある。
【0045】
そこで、本実施形態では、各プーリのアライメントを調整するための機構がプーリ毎に設けられている。ここでは、補機12のプーリ13のアライメント調整機構27と、アイドラプーリ23のアライメント調整機構42とについて説明する。
【0046】
前者のアライメント調整機構27は、図2に及び図3に示すように、一対のワッシャ28,29、一対の補助ワッシャ34,35及び締結手段を備えている。
両ワッシャ28,29は、支軸17上のプーリ13の両側に配置されるものであり、支軸17の挿通可能な貫通孔31を有している。各ワッシャ28,29のプーリ13とは反対側の面32は貫通孔31に直交している。補機12側のワッシャ29は、その面32において回転軸18の端面に係合可能である。また、各ワッシャ28,29のプーリ13側の面には、回転放物面を有する凹部33が設けられている。
【0047】
各補助ワッシャ34,35は、支軸17上であってプーリ13及びワッシャ28間に配置されるものであり、支軸17の挿通可能な貫通孔36を有している。各補助ワッシャ34,35のプーリ13とは反対側には、回転放物面を有する突部37が設けられている。各補助ワッシャ34,35は、この突部37において上記ワッシャ28,29の凹部33に係合可能である。また、各補助ワッシャ34,35のプーリ13側の面38は前記貫通孔36に直交しており、この面38においてプーリ13の中心部分の側面に係合可能である。
【0048】
さらに、締結手段はボルト39によって構成されている。ボルト39は、上記支軸17として機能する軸部39Aと、その軸部39Aの一端に設けられた頭部39Bとからなる。軸部39Aは、ワッシャ28の貫通孔31、補助ワッシャ34の貫通孔36、プーリ13、補助ワッシャ35の貫通孔36及びワッシャ29の貫通孔31の順に挿通され、補機12の回転軸18に設けられたボルト穴41に螺入される。頭部39Bは上記ワッシャ28の面32に係合可能である。
【0049】
上記のように構成されたアライメント調整機構27において、ボルト39が締付けられる前の状態、すなわち緩められた状態では、プーリ13、両ワッシャ28,29及び補助ワッシャ34,35が回転軸18に締結されず、凹部33の回転放物面と突部37の回転放物面との間の係合力が弱い。そのため、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿って各補助ワッシャ34,35及びプーリ13を傾動させて、そのプーリ13のアライメントを調整することが可能となる。
【0050】
これに対し、ボルト39が締付けられた状態では、プーリ13、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35が回転軸18に締結され、各凹部33及び各突部37間の係合力が強い。そのため、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿って各補助ワッシャ34,35及びプーリ13を傾動させてアライメントを調整することが不能となる。そして、プーリ13はボルト39、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35と一体となって、補機12の回転軸18とともに回転する。
【0051】
後者のアライメント調整機構42は、図4に及び図5に示すように、一対のワッシャ43,44、一対の補助ワッシャ48,49及び締結手段を備えている。
両ワッシャ43,44は、支軸21上のアイドラプーリ23の両側に配置されるものであり、支軸21の挿通可能な貫通孔45を有している。各ワッシャ43,44のアイドラプーリ23とは反対側の面46は貫通孔45に直交している。シリンダブロック16側のワッシャ44は、面46においてそのシリンダブロック16の前面に係合可能である。また、各ワッシャ43,44のアイドラプーリ23側の面には回転放物面を有する凹部47が設けられている。
【0052】
各補助ワッシャ48,49は、支軸21上であってアイドラプーリ23及びワッシャ43,44間に配置されるものであり、支軸21の挿通可能な貫通孔51を有している。各補助ワッシャ48,49のアイドラプーリ23とは反対側には、回転放物面を有する突部52が設けられている。各補助ワッシャ48,49はこの突部52において上記ワッシャ43,44の凹部47に係合可能である。また、各補助ワッシャ48,49のアイドラプーリ23側の面53は前記貫通孔51に直交しており、この面53において転がり軸受22の内輪24の側面に係合可能である。ただし、面53は外輪25の側面には係合しない。
【0053】
さらに、締結手段はボルト54により構成されている。ボルト54は、上記支軸21として機能する軸部54Aと、その軸部54Aの一端に設けられた頭部54Bとからなる。軸部54Aは、ワッシャ43の貫通孔45、補助ワッシャ48の貫通孔51、転がり軸受22の内輪24、補助ワッシャ49の貫通孔51及びワッシャ44の貫通孔45の順に挿通され、シリンダブロック16に設けられたボルト穴55に螺入される。頭部54Bは上記ワッシャ43の面46に係合可能である。
【0054】
上記のように構成されたアライメント調整機構42において、ボルト54が締付けられる前の状態、すなわち緩められた状態では、転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49がシリンダブロック16に締結されず、各凹部47の回転放物面と各突部52の回転放物面との間の係合力が弱い。そのため、各ワッシャ43,44の回転放物面に沿って各補助ワッシャ48,49及び転がり軸受22を傾動させて、アイドラプーリ23のアライメントを調整することが可能となる。
【0055】
これに対し、ボルト54が締付けられた状態では、転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49がシリンダブロック16に締結され、回転不能となる。また、この状態では各凹部47及び各突部52間の係合力が強い。そのため、各ワッシャ43,44の回転放物面に沿って各補助ワッシャ48,49及び転がり軸受22を傾動させてアイドラプーリ23のアライメントを調整することが不能となる。そして、アイドラプーリ23は、外輪25とともにボルト54の軸部54Aの周りを回転自在である。
【0056】
次に、上記アイドラプーリ23及びプーリ13のアライメントを調整する際に用いて好適なアライメント調整補助具61について、図6及び図7を参照して説明する。
このアライメント調整補助具61は、複数本(ここでは2本)の軸部62,63と、連結部材64と、複数本(ここでは3本)の調整補助部材67〜69とを備えている。両軸部62,63は互いに所定の間隔を隔てて平行に配置されている。各軸部62,63の一方(図6(B)では下方)の端面62A,63Aはその軸部62,63に直交している。これらの端面62A,63Aは、アライメント調整に際し、シリンダブロック16の基準面66に当接される面である。より詳しくは、シリンダブロック16の前面の複数箇所(図では2箇所)には調整用ボス65が一体に設けられており、それらの前端には、切削、研削等の加工法により、上記支軸17,21に直交する上記基準面66が形成されている。
【0057】
連結部材64は長尺状をなし、その両端部において軸部62,63に固定されている。調整補助部材67は長尺状をなし、その一端部において軸部62に回動可能に取付けられている。調整補助部材68,69はいずれも長尺状をなし、各々の一端部において軸部63に回動可能に取付けられている。各調整補助部材67〜69において、シリンダブロック16側の面の少なくとも一部には調整面71が形成されている。これらの調整面71は、いずれも上記軸部62,63に直交する共通の平面P1上に位置している。こうした構成を採用するために、所定の調整補助部材69については、その長さ方向における途中の箇所69Aで曲げ形成されている。
【0058】
次に、上記のように構成されたアライメント調整補助具61を用いて、各プーリのアライメントを調整する方法について、プーリ13及びアイドラプーリ23を例に採って説明する。
【0059】
図8は、プーリ13のアライメントの調整が行われる前の状態を示している。この状態では、プーリ13、アライメント調整機構27の構成部材等の寸法公差により、プーリ13の中心線L1が支軸17(ボルト39の軸部39A)に対しわずかながら傾斜している。ここでの寸法公差は、主として各ワッシャ28,29における凹部33が貫通孔31に対し若干偏心した箇所に加工されたことによるものである。
【0060】
また、図9は、アイドラプーリ23のアライメントの調整が行われる前の状態を示している。この状態では、アイドラプーリ23、アライメント調整機構42の構成部材等の寸法公差により、アイドラプーリ23の中心線L2が支軸21(ボルト54の軸部54A)に対しわずかながら傾斜している。ここでの寸法公差は、主として各ワッシャ43,44における凹部47が貫通孔45に対し若干偏心した箇所に加工されたことによるものである。
【0061】
上記プーリ13のアライメントの調整に際しては、ボルト39を締付ける前の状態、すなわちプーリ13、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35が回転軸18に締結されていない状態にして、各ワッシャ28,29及び各補助ワッシャ34,35における凹部33及び突部37間の係合力を弱める。この状態では、各ワッシャ28,29における凹部33の回転放物面に沿って各補助ワッシャ34,35を傾動させることが可能である。
【0062】
また、上記アイドラプーリ23のアライメントの調整に際しては、ボルト54を締付ける前の状態、すなわち転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49がシリンダブロック16に締結されていない状態にして、各ワッシャ43,44及び各補助ワッシャ48,49における凹部47及び突部52間の係合力を弱める。この状態では、各ワッシャ43,44における凹部47の回転放物面に沿って各補助ワッシャ48,49を傾動させることが可能である。
【0063】
次に、図6(B)及び図7(A)に示すように、アライメント調整補助具61における各軸部62,63の端面62A,63Aを、対応する調整用ボス65の基準面66に密着させる。基準面66が支軸17,21に直交していること、及び端面62A,63Aが軸部62,63に直交していることから、これらの端面62A,63Aを基準面66に密着させることで、各軸部62,63は支軸17,21に平行な状態となる。また、各軸部62,63に取付けられた調整補助部材67,68には平面状の調整面71が形成されているところ、これらの調整面71が軸部62,63に直交する共通の平面P1上に位置している。そのため、上記のように、端面62A,63Aが基準面66に密着されると、各調整面71は支軸17,21に直交した状態となる。
【0064】
続いて、図7(A)において矢印で示すように、調整補助部材68の調整面71がプーリ13の側面13Aの前方近傍に位置するように、軸部63を中心として調整補助部材68を時計回り方向へ回動させる。また、調整補助部材67の調整面71がアイドラプーリ23の側面23Aの前方近傍に位置するように、軸部62を中心として調整補助部材67を時計回り方向へ回動させる(図7(B)参照)。
【0065】
ここで、図8及び図9において二点鎖線で示す調整補助部材68,67の各調整面71が支軸17,21に対し直交しているのに対し、プーリ13の中心線L1及びアイドラプーリ23の中心線L2は支軸17,21に対し傾斜している。そのため、この段階では、プーリ13の側面13Aは調整補助部材68の調整面71に面接触せず、またアイドラプーリ23の側面23Aは調整補助部材67の調整面71に面接触しない。
【0066】
さらに、上述したように凹部33及び突部37間の係合力が弱く、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿って各補助ワッシャ34,35を傾動させることが可能である。また、凹部47及び突部52間の係合力が弱く各ワッシャ43,44の回転放物面に沿って各補助ワッシャ48,49を傾動させることが可能である。
【0067】
そこで、プーリ13の側面13Aが調整面71に面接触するように同プーリ13のアライメントを調整する。この調整は、ワッシャ28,29の回転放物面に沿って補助ワッシャ34,35が傾動することにより実現される。側面13Aが調整面71に面接触した状態では、プーリ13の中心線L1が支軸17と平行(合致を含む)となる(図2参照)。このようにしてプーリ13のアライメントが適正に調整される。
【0068】
また、アイドラプーリ23の側面23Aが調整面71に面接触するように同アイドラプーリ23のアライメントを調整する。この調整は、ワッシャ43,44の回転放物面に沿って補助ワッシャ48,49が傾動することにより実現される。側面23Aが調整面71に面接触した状態では、アイドラプーリ23の中心線L2が支軸21と平行(合致を含む)となる(図4参照)。このようにしてアイドラプーリ23のアライメントが適正に調整される。
【0069】
そして、上記プーリ13及びアイドラプーリ23についてのアライメントの調整を行った後に、ボルト39を締付けて、プーリ13、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35を回転軸18に締結する。この締結により凹部33及び突部37間の係合力が強まり、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿って各補助ワッシャ34,35を傾動させることが不能となり、プーリ13がアライメントの調整された状態に保持される。また、ボルト54を締付けて、転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49をシリンダブロック16に締結する。この締結により各凹部47及び各突部52間の係合力が強まり、各ワッシャ43,44の回転放物面に沿って各補助ワッシャ48,49を傾動させることが不能となり、アイドラプーリ23がアライメントの調整された状態に保持される。
【0070】
その結果、プーリ13の側面13Aとアイドラプーリ23の側面23Aとが共通の平面P1上に位置し、プーリ13の中心線L1とアイドラプーリ23の中心線L2とが互いに平行となる。これらのアライメントの調整された後のプーリ13及びアイドラプーリ23に対しては伝動ベルト15が巻掛けられるが、この伝動ベルト15はプーリ13に対してもアイドラプーリ23に対しても傾斜した状態で巻掛けられることはない。
【0071】
そして、伝動ベルト15が周回されると、その周回がプーリ13、アイドラプーリ23等に伝達される。この伝達により、プーリ13、ボルト39、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35が回転軸18と一体となって回転し、補機12が駆動される。また、アイドラプーリ23が支軸21を中心として回転する。この際、上述したように伝動ベルト15がアイドラプーリ23及びプーリ13に対し傾斜した状態で巻掛けられていないことから、伝動ベルト15とアイドラプーリ23との擦れによる異音や、伝動ベルト15とプーリ13との擦れによる異音が発生したり、伝動ベルト15が偏摩耗したりする現象が起こりにくい。
【0072】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)補機12に回転力を伝達するプーリ13のアライメント調整機構27として、支軸17上のプーリ13の両側に一対のワッシャ28,29を配置するとともに、各ワッシャ28,29とプーリ13との間に補助ワッシャ34,35を配置している。回転放物面を有する凹部33を各ワッシャ28,29に設ける一方、回転放物面を有し、かつ上記凹部33に係合する突部37を各補助ワッシャ34,35に設けている。さらに、ボルト39により、プーリ13、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35を回転軸18に締結するようにしている。
【0073】
そのため、ボルト39を緩めて、凹部33及び突部37間の係合力を弱めることにより、アライメント調整機構27を、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿った各補助ワッシャ34,35の傾動が可能で、プーリ13のアライメントの調整が可能な状態にすることができる。
【0074】
また、ボルト39を締付けて、凹部33及び突部37間の係合力を強めることにより、アライメント調整機構27を、各ワッシャ28,29の回転放物面に沿った各補助ワッシャ34,35の傾動が不能で、プーリ13のアライメントの調整が不能な状態にすることができる。
【0075】
(2)アイドラプーリ23のアライメント調整機構42として、支軸21上のアイドラプーリ23の両側に一対のワッシャ43,44を配置するとともに、各ワッシャ43,44とアイドラプーリ23との間に補助ワッシャ48,49を配置している。回転放物面を有する凹部47を各ワッシャ43,44に設ける一方、回転放物面を有し、かつ上記凹部47に係合する突部52を各補助ワッシャ48,49に設けている。さらに、ボルト54により、転がり軸受22の内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49をシリンダブロック16に締結するようにしている。
【0076】
そのため、ボルト54を緩めて、凹部47及び突部52間の係合力を弱めることにより、アライメント調整機構42を、各ワッシャ43,44の回転放物面に沿った各補助ワッシャ48,49の傾動が可能で、アイドラプーリ23のアライメントの調整が可能な状態にすることができる。
【0077】
また、ボルト54を締付けて、凹部47及び突部52間の係合力を強めることにより、アライメント調整機構42を、各ワッシャ43,44の回転放物面に沿った各補助ワッシャ48,49の傾動が不能で、アイドラプーリ23のアライメントの調整が不能な状態にすることができる。
【0078】
(3)プーリ13及びアイドラプーリ23の各アライメントの調整に際し、各アライメント調整機構27,42を、上述した補助ワッシャ34,35,48,49等の傾動が可能な状態にしておき、アライメント調整補助具61を、その調整面71がプーリ13の支軸17及びアイドラプーリ23の支軸21に直交するように配置している。そして、側面13Aが調整面71に面接触するようにプーリ13のアライメントを調整するとともに、側面23Aが調整面71に面接触するようにアイドラプーリ23のアライメントを調整するようにしている。そのため、側面13Aを調整面71に面接触させることで、プーリ13の中心線L1を支軸17に平行(合致を含む)にしてアライメントを適正に調整することができる。また、側面23Aを調整面71に面接触させることで、アイドラプーリ23の中心線L2を支軸21に平行(合致を含む)にしてアライメントを適正に調整することができる。そして、中心線L1,L2を互いに平行し、アライメントずれを解消することができる。
【0079】
(4)上記(3)でのアライメントの調整後に、ボルト39を締付け、プーリ13、両ワッシャ28,29及び両補助ワッシャ34,35を回転軸18に締結するようにしている。この締結により凹部33及び突部37間の係合力を強め、回転放物面に沿った補助ワッシャ34,35の傾動を不能とし、プーリ13を、アライメントが適正に調整された状態に保持することができる。
【0080】
また、上記(3)でのアライメントの調整後に、ボルト54を締付け、内輪24、両ワッシャ43,44及び両補助ワッシャ48,49をシリンダブロック16に締結するようにしている。この締結により凹部47及び突部52間の係合力を強め、回転放物面に沿った補助ワッシャ48,49の傾動を不能とし、アイドラプーリ23を、アライメントが適正に調整された状態に保持することができる。
【0081】
(5)アライメント調整補助具61として、端面62A,63Aにて調整用ボス65の基準面66に当接されることにより支軸17,21に平行に配置される軸部62,63と、各軸部62,63に取付けられ、かつ同軸部62,63に直交する調整面71を有する調整補助部材67〜69とを備えたものを用いている。
【0082】
そのため、プーリ13の側面13Aを調整補助部材68の調整面71に面接触させるとともに、アイドラプーリ23の側面23Aを調整補助部材67の調整面71に面接触させることで、両側面13A,23Aを支軸17,21に直交する共通の平面P1上に位置させることができる。
【0083】
(6)アライメント調整補助具61にあっては、調整補助部材67を軸部62に回動可能に取付け、調整補助部材68,69を軸部63に回動可能に取付けている。そのため、軸部62,63の一方の端面62A,63Aを基準面66に当接させた後、その軸部62,63を中心として調整補助部材67〜69を回動させることにより、調整面71をプーリ13の側面13Aの前方近傍や、アイドラプーリ23の側面23Aの前方近傍に確実に位置させることができる。
【0084】
(7)軸部63上に複数の調整補助部材68,69を取付けている。そのため、これらの複数の調整補助部材68,69によって複数のプーリ13,14のアライメントを効率よく調整することができる。
【0085】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・アライメント調整機構27において、回転放物面を有する凹部33を補助ワッシャ34,35に設け、回転放物面を有する突部37をワッシャ28,29に設けてもよい。
【0086】
同様に、アライメント調整機構42において、回転放物面を有する凹部47を補助ワッシャ48,49に設け、回転放物面を有する突部52をワッシャ43,44に設けてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、アライメント調整機構27における補助ワッシャ34,35をプーリ13とは別部材によって構成したが、これらを一体に設けてもよい。この場合、例えば、回転放物面を有する突部をプーリ13の側面に一体形成する。
【0088】
同様に、上記実施形態では、アライメント調整機構42における補助ワッシャ48,49を転がり軸受22の内輪24とは別部材によって構成したが、これらを一体に設けてもよい。この場合、例えば、回転放物面を有する突部を内輪24の側面に一体形成する。
【0089】
・アライメント調整機構27における補助ワッシャ34,35を割愛してもよい。この場合、例えば図10に示すように、回転放物面を有する凹部33をプーリ13の両側面に設け、回転放物面を有し、かつ上記各凹部33に係合する突部37を各ワッシャ28,29に設けてもよい。これとは逆に、図示はしないが、回転放物面を有する凹部33を各ワッシャ28,29に設け、回転放物面を有し、かつ上記凹部33に係合する突部37をプーリ13の両側面に設けてもよい。これらの場合には、少ない部品点数でありながら、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。なお、図10において前記実施形態と同様の部材については同一の符号が付されている。
【0090】
同様に、アライメント調整機構42における補助ワッシャ48,49を割愛してもよい。この場合、例えば図11に示すように、回転放物面を有する凹部47を転がり軸受22の内輪24の両側面に設け、回転放物面を有し、かつ上記凹部47に係合する突部52を各ワッシャ43,44に設けてもよい。これとは逆に、図示はしないが、回転放物面を有する凹部47を各ワッシャ43,44に設け、回転放物面を有し、かつ上記凹部47に係合する突部52を内輪24の両側面に設けてもよい。これらの場合には、少ない部品点数でありながら、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。なお、図11において前記実施形態と同様の部材については同一の符号が付されている。
【0091】
・前記実施形態において、植え込みボルトとナットとの組合わせにより締結手段を構成してもよい。
・上記実施形態における基準面66を、シリンダブロック16とは異なる箇所、例えばシリンダヘッド、チェーンカバー等に形成してもよい。
【0092】
・本発明は、シリンダブロック16とは異なる部材を固定部材とし、その固定部材に回転不能に設けられた支軸上に軸受を介して支持されるプーリにも適用可能である。
・アライメント調整補助具61において、上記実施形態とは異なる数の軸部、調整補助部材を用いてもよい。
【0093】
・上記実施形態におけるアライメント調整補助具61とは異なる形態のアライメント調整補助具を用いてプーリ13、アイドラプーリ23等のアライメントを調整するようにしてもよい。要は、アライメント調整補助具は、支軸17,21に直交する調整面を有するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明を具体化した一実施形態における巻掛け伝動装置の一部を示す正面図。
【図2】図1の2−2線拡大断面図。
【図3】図2におけるプーリのアライメント調整機構を組付ける前の状態を示す断面図。
【図4】図1の4−4線拡大断面図。
【図5】図4におけるアイドラプーリのアライメント調整機構を組付ける前の状態を示す断面図。
【図6】(A)はアライメント調整補助具の一部を省略して示す正面図、(B)は上記(A)におけるb−b線断面図。
【図7】(A),(B)はアライメント調整補助具を用いてプーリ及びアイドラプーリの各アライメントを調整する状態を示す正面図。
【図8】図2のアライメント調整機構において、プーリのアライメントを調整する前の状態を示す断面図。
【図9】図4のアライメント調整機構において、アイドラプーリのアライメントを調整する前の状態を示す断面図。
【図10】アライメント調整機構の別の実施形態を示す断面図。
【図11】アライメント調整機構の別の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
【0095】
12…補機、13…プーリ、13A,23A…側面、15…伝動ベルト、16…シリンダブロック(固定部材)、17,21…支軸、18…回転軸、22…転がり軸受、23…アイドラプーリ、24…内輪、27,42…アライメント調整機構、28,29,43,44…ワッシャ、33,47…凹部、34,35,48,49…補助ワッシャ、37,52…突部、39,54…ボルト(締結手段)、61…アライメント調整補助具、62,63…軸部、62A,63A…端面、66…基準面、67〜69…調整補助部材、71…調整面、P1…平面。




 

 


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