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発明の名称 オイルポンプ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2901(P2007−2901A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−182510(P2005−182510)
出願日 平成17年6月22日(2005.6.22)
代理人 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
発明者 塩入 広行 / 北條 康夫 / 野正 斉 / 茨木 隆次
要約 課題
油圧回路のオイルを弁を経由させて吐出油路に吐出する場合に、油圧回路6におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を、任意に制御することの可能なオイルポンプ装置を提供する。

解決手段
油圧回路26のオイルを吐出油路34に吐出する弁52と、前記吐出油路34に吐出されるオイルを用いて、前記油圧回路26とは異なる箇所33にある流体を輸送する機能を生じるポンプ30とを有するオイルポンプ装置において、前記弁52は、前記油圧回路26におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を任意に制御可能な制御弁であることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
油圧回路のオイルを吐出油路に吐出する弁と、前記吐出油路に吐出されるオイルを用いて、前記油圧回路とは異なる箇所にある流体を輸送する機能を生じるポンプとを有するオイルポンプ装置において、
前記弁は、前記油圧回路におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を任意に制御可能な制御弁であることを特徴とするオイルポンプ装置。
【請求項2】
前記ポンプは、前記吐出油路に吐出されるオイルと前記流体との圧力差により、前記流体を吸引して輸送する噴流ポンプであることを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ装置。
【請求項3】
前記制御弁は、正逆方向に往復動可能なスプール形状の弁体を有しており、前記弁体は、前記吐出油路に吐出されるオイルの流れの反力で正方向に押圧される力が生じる構成を有しており、
前記油圧回路の油圧により、前記弁体を逆方向に押圧する力を生じさせる第1の押圧力発生室と、
油圧に応じて前記弁体に逆方向の力を与えることにより、前記油圧回路から前記吐出油路に吐出されるオイルの状態を制御する第2の押圧力発生室と、
この第2の押圧力発生室の油圧を制御する電磁弁と、
前記弁体を支持するバルブボデーにより、前記第1の押圧力発生室と区画された第3の押圧力発生室と、
この第3の押圧力発生室に設けられ、かつ、前記第1の押圧力発生室の油圧により前記弁体に与えられる力を打ち消すように、前記弁体に正方向の力を与える弾性部材と、
この第3の押圧室を大気に開放する通気孔と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のオイルポンプ装置。
【請求項4】
動力源と被駆動部材との間に形成された動力伝達経路と、
この動力伝達経路に設けられた入力部材および出力部材と、
前記入力部材と出力部材との相対回転により、吸入油路からオイルを吸入し、かつ、第2の吐出油路にオイルを吐出するように構成された第2のポンプと、
前記制御弁は、前記吸入油路または第2の吐出油路のいずれか一方を含む油圧回路に接続されているとともに、前記吸入油路から第2のポンプに吸入されるオイルの吸入状態、または前記第2のポンプから第2の吐出油路に吐出されるオイルの吐出状態を、前記制御弁により制御することにより、前記入力部材と出力部材との間における動力伝達状態を制御可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のオイルポンプ装置。
【請求項5】
前記制御弁の弁体は、第1のランド部および第2のランド部を有しており、前記第1のランド部が、前記油圧回路と前記吐出油路との間に配置されており、前記第1のランド部と前記第2のランド部との間に、前記弁体を支持するバルブボデーが設けられており、このバルブボデーと前記第1のランド部との間に第1の押圧力発生室が設けられ、前記第2のランド部に臨む第2の押圧力発生室が設けられ、前記第2のランド部と前記バルブボデーとの間に第3の押圧力発生室が設けられ、前記第2の押圧力発生室の油圧を制御する電磁弁が設けられ、前記バルブボデーおよび前記第2のランド部の間に圧縮ばねが介在され、前記第3の押圧室を大気に開放する通気孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルポンプ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、弁から吐出油路に吐出されるオイルを用いて、他の流体を輸送するポンプを機能させるように構成されたオイルポンプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された動力伝達装置を、油圧式のアクチュエータにより制御する技術が知られており、このような油圧式のアクチュエータに圧油を供給するオイルポンプが設けられている。オイルポンプを駆動する技術としては、エンジンや電動機などの動力源により駆動されるオイルポンプの他、流体により駆動もしくは機能するオイルポンプも知られており、流体により機能するオイルポンプの一例が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたポンプにおいては、ケースとポートブロックとの間にポンプ・モータ収装室が画成されている。一方、ポートブロックには、通路および室が設けられており、この通路と室との間にリリーフバルブが設けられている。また、室は、リリーフ噴出通路および通孔を経由してドレンポートに接続されている。さらに、ポンプ・モータ収装室をリリーフ噴出通路に連通する吸引通路が設けられており、ポンプ・モータ収装室の作動油を吸引通路からリリーフ噴出通路に吸引する噴流ポンプが構成されている。そして、通路の圧力が所定値を越えて上昇すると、リリーフバルブが開弁し、リリーフバルブから流出する作動油がリリーフ噴出通路を通ってドレンポートへと導かれる。このとき、リリーフ噴出通路の圧力が低下し、ポンプ・モータ収装室の作動油が、吸引通路からリリーフ噴出通路へと吸引され、ドレンポートを経てタンクへと排出される。なお、エンジンなどの動力源により駆動されるオイルポンプの一例は、特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2002−21740号公報
【特許文献2】特開平8−284977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているリリーフバルブは、通路の圧力が所定圧を越えなければ開弁しない(作動しない)構成であり、リリーフバルブの入力側である通路の作動油量または油圧のうちの少なくとも一方を、任意に制御することができなかった。
【0004】
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、油圧回路のオイルを弁を経由させて吐出油路に吐出する場合に、油圧回路におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を、任意に制御することの可能なオイルポンプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、油圧回路のオイルを吐出油路に吐出する弁と、前記吐出油路に吐出されるオイルを用いて、前記油圧回路とは異なる箇所にある流体を輸送する機能を生じるポンプとを有するオイルポンプ装置において、前記弁は、前記油圧回路におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を任意に制御可能な制御弁であることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記ポンプは、前記吐出油路に吐出されるオイルと前記流体との圧力差により、前記流体を吸引して輸送する噴流ポンプであることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記制御弁は、正逆方向に往復動可能なスプール形状の弁体を有しており、前記弁体は、前記吐出油路に吐出されるオイルの流れの反力で正方向に押圧される力が生じる構成を有しており、前記油圧回路の油圧により、前記弁体を逆方向に押圧する力を生じさせる第1の押圧力発生室と、油圧に応じて前記弁体に逆方向の力を与えることにより、前記油圧回路から前記吐出油路に吐出されるオイルの状態を制御する第2の押圧力発生室と、この第2の押圧力発生室の油圧を制御する電磁弁と、前記弁体を支持するバルブボデーにより、前記第1の押圧力発生室と区画された第3の押圧力発生室と、この第3の押圧力発生室に設けられ、かつ、前記第1の押圧力発生室の油圧により前記弁体に与えられる力を打ち消すように、前記弁体に正方向の力を与える弾性部材と、この第3の押圧室を大気に開放する通気孔とを有することを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、動力源と被駆動部材との間に形成された動力伝達経路と、この動力伝達経路に設けられた入力部材および出力部材と、前記入力部材と出力部材との相対回転により、吸入油路からオイルを吸入し、かつ、第2の吐出油路にオイルを吐出するように構成された第2のポンプと、前記制御弁は、前記吸入油路または第2の吐出油路のいずれか一方を含む油圧回路に接続されているとともに、前記吸入油路から第2のポンプに吸入されるオイルの吸入状態、または前記第2のポンプから第2の吐出油路に吐出されるオイルの吐出状態を、前記制御弁により制御することにより、前記入力部材と出力部材との間における動力伝達状態を制御可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記制御弁の弁体は、第1のランド部および第2のランド部を有しており、前記第1のランド部が、前記油圧回路と前記吐出油路との間に配置されており、前記第1のランド部と前記第2のランド部との間に、前記弁体を支持するバルブボデーが設けられており、このバルブボデーと前記第1のランド部との間に第1の押圧力発生室が設けられ、前記第2のランド部に臨む第2の押圧力発生室が設けられ、前記第2のランド部と前記バルブボデーとの間に第3の押圧力発生室が設けられ、前記第2の押圧力発生室の油圧を制御する電磁弁が設けられ、前記バルブボデーおよび前記第2のランド部の間に圧縮ばねが介在され、前記第3の押圧室を大気に開放する通気孔が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
したがって、請求項1の発明によれば、制御弁は、油圧回路におけるオイルの流量または油圧の少なくとも一方を任意に制御可能である。そして、油圧回路のオイルが制御弁を経由して吐出油路に吐出され、吐出油路に吐出されるオイルを用いて流体を輸送する、というポンプの機能が発揮される。
【0011】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、噴流ポンプは、吐出油路に吐出されるオイルと他の流体との圧力差により、流体を吸引して輸送する機能を発揮する。
【0012】
さらに、請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、第3の押圧力発生室に設けられた弾性部材から弁体に正方向の力が与えられる一方、電磁弁により第2の押圧力発生室の油圧が制御され、第2の押圧力発生室の油圧に応じて、弁体に逆方向の力が与えられる。このようにして、弁体の動作が制御されて、油圧回路から吐出油路に吐出されるオイルの状態が制御される。また、吐出油路に吐出されるオイルの流れの反力で弁体に正方向の力が与えられて、その力が第1の押圧力発生室のオイルに伝達されるが、オイルに伝達された力はバルブボデーにより受け止められ、弁体を正方向に動作させようとする向きの力が打ち消される。したがって、電磁弁の信号油圧により、弁体を逆方向に動作させる力を与える場合に、その電磁弁の信号油圧の上昇を抑制できる。
【0013】
さらに、請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、動力源の動力が入力部材および出力部材を経由して、被駆動部材に伝達される。また、入力部材と出力部材とが相対回転して第2のポンプが駆動されると、吸入油路からオイルが吸入され、かつ、第2の吐出油路にオイルが吐出される。そして、制御弁を制御することにより、吸入油路から第2のポンプに吸入されるオイルの吸入状態、または第2のポンプから第2の吐出油路に吐出されるオイルの吐出状態を制御することができるとともに、入力部材と出力部材との間における動力伝達状態を制御可能である。
【0014】
さらに、請求項5の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得られる他に、圧縮ばねから弁体に正方向の力が与えられる一方、電磁弁により第2の押圧力発生室の油圧が制御され、第2の押圧力発生室の油圧に応じて、弁体に逆方向の力が与えられる。このようにして、弁体の動作が制御されて、油圧回路から吐出油路に吐出されるオイルの状態が制御される。また、吐出油路に吐出されるオイルの流れの反力で弁体に正方向の力が与えられて、その力が第1の押圧力発生室のオイルに伝達されるが、オイルに伝達された力はバルブボデーにより受け止められ、弁体を正方向に動作させようとする向きの力が打ち消される。したがって、電磁弁の信号油圧により、弁体を逆方向に動作させる力を与える場合に、その電磁弁の信号油圧の上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、この発明のオイルポンプ装置を車両に用いる場合、より具体的には、動力伝達装置の要素を動作させる作動油や、動力伝達装置の要素を潤滑および冷却する潤滑油を輸送するためのオイルポンプ装置として用いる実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
まず、この発明のオイルポンプ装置の実施例1について、図1および図2に基づいて説明する。図2に示す車両1においては、動力源2から出力された動力が車輪(前輪)3に伝達されるように構成されており、動力源2から車輪3に至る動力伝達経路には、無段変速機4および前後進切換装置5などが設けられている。前記動力源2としては、エンジンおよびモータ・ジェネレータのうちの少なくとも一方を用いることが可能である。エンジンは、燃料の燃焼により発生した熱エネルギを運動エネルギに変換して出力する動力装置であり、エンジンとしては内燃機関、より具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることが可能である。一方、モータ・ジェネレータは、電気エネルギを運動エネルギに変換する一方、運動エネルギを電気エネルギに変換する機能を有している。
【0017】
前記動力源2の出力軸6にはダンパ機構7を介してインプットシャフト8が接続されている。出力軸6およびインプットシャフト8は同軸上に配置されている。また、前記無段変速機4および前後進切換装置5およびインプットシャフト8などの構成は、ケーシング9の内部に配置されている。さらに、インプットシャフト8の外側を取り囲むように内側中空シャフト10が設けられており、内側中空シャフト10の外側を取り囲むように外側中空シャフト11が設けられている。そして、インプットシャフト8が、軸受12により回転可能に保持されているとともに、インプットシャフト8と内側中空シャフト10と外側中空シャフト11とが相対回転可能となるように構成されている。
【0018】
また、前記ケーシング9内にはオイルポンプ、より具体的には容積型のオイルポンプの一種であるラジアルピストンポンプ13が用いられている。このラジアルピストンポンプ13は、インプットシャフト8と内側中空シャフト10とを動力伝達可能に接続する構成を有している。すなわち、ラジアルピストンポンプ13は、インプットシャフト8と一体回転するインナーレース14と、内側中空シャフト10と一体回転するアウターレース15とを有している。このアウターレース15の内周面には、半径方向で内側および外側に向けて交互に変位した波形のカム面(図示せず)が全周に亘って形成されている。一方、インナーレース14には、その外周面に開口するシリンダ(図示せず)が設けられており、そのシリンダには、インナーレース14の半径方向に往復動自在なピストン(図示せず)が設けられている。また、シリンダ内には、ピストンの動作により容積が拡大・縮小する油室(図示せず)を有している。このように構成されたラジアルピストンポンプ13は、インプットシャフト8と内側中空シャフト10とが相対回転すると、ピストンがカム面に沿って半径方向に動作し、油室へのオイルの吸入および油室からのオイルの吐出がおこなわれるように構成されている。
【0019】
また、前記前後進切換装置5は、内側中空シャフト10に対する外側中空シャフト11の回転方向を正逆に切り換えるものであり、外側中空シャフト11と一体回転するサンギヤ16と、このサンギヤ16と同軸上に配置され、かつ、内側中空シャフト10と一体回転するリングギヤ17と、サンギヤ16およびリングギヤ17に噛合されたピニオンギヤ18を自転、かつ、公転可能に支持したキャリヤ19とを有する。つまり、前後進切換装置5はシングルピニオン形の遊星歯車機構により構成されている。また、リングギヤ17と外側中空シャフト11とを選択的に係合・解放するクラッチ20と、キャリヤ19の回転・停止を制御するブレーキ21とが設けられている。このクラッチ20およびブレーキ21としては、摩擦式のクラッチやブレーキを用いること、または電磁式のクラッチやブレーキを用いることが可能であるが、この実施例では、摩擦式のクラッチやブレーキが用いられている場合について説明する。そして、クラッチやブレーキなどの係合圧は、後述する油圧制御装置により制御されるように構成されている。
【0020】
前記無段変速機4は、外側中空シャフト11から車輪3に至る経路に設けられたものであり、無段変速機4としては、例えば、ベルト式無段変速機を用いることが可能である。すなわち、無段変速機4は、外側中空シャフト11と一体回転するプライマリプーリ22と、外側中空シャフト11と平行に設けられたセカンダリシャフト(図示せず)に取り付けられたセカンダリプーリ(図示せず)と、プライマリプーリ22およびセカンダリプーリに巻き掛けられた無端状のベルト23とを有している。そして、プライマリプーリ22の溝幅を制御する油圧サーボ機構24およびセカンダリプーリの溝幅を制御する油圧サーボ機構が設けられている。
【0021】
つぎに、ラジアルピストンポンプ13に接続された油圧制御装置53の構成を、図1に基づいて説明する。前記ラジアルピストンポンプ13の油室には吸入油路25および吐出油路26が接続されている。一方、ケーシング9の下方が開口されており、その開口部にはオイルパン27が取り付けられている。そして、吸入油路25はオイルパン27に接続されている。また、前記油圧サーボ機構24の油圧室の油圧、セカンダリプーリの溝幅を制御する油圧サーボ機構の油圧室の油圧、ブレーキ21の係合圧を制御する油圧室の油圧、クラッチ20の係合圧を制御する油圧室の油圧などを制御する油圧制御回路28が設けられている。この油圧制御回路28には、各種の圧力制御弁および流量制御弁および電磁弁など(いずれも図示せず)が設けられている。また、吐出油路26から油圧制御回路28の入口油路29に至る経路にポンプ30が設けられている。ケーシング9内におけるラジアルピストンポンプ13およびポンプ30の配置位置を、図2により説明する。つまり、インプットシャフト8であって、動力源2から離れた位置にある端部側、より具体的には、ケーシング9のリヤカバーと無段変速機4との間に、ラジアルピストンポンプ13が配置されており、インプットシャフト8の軸線方向において、ラジアルピストンポンプ13とリヤカバーとの間に、ポンプ30が配置されている。
【0022】
以下、ポンプ30の構成を具体的に説明する。まず、ケーシング9の内部には、円筒形状のバルブボデー31が設けられており、このバルブボデー31の軸線(図示せず)は、図1において略上下方向に、具体的には、車両1の高さ方向に配置されている。バルブボデー31はケーシング9と一体化されており、このバルブボデー31により、制御弁収納部32と低圧室33とが区画されている。この低圧室33の圧力は、油圧制御回路28の油圧よりも低圧である。また、低圧室33に連通する吐出油路34と、吐出油路26との間には、スプール形状の弁体35が配置されている。この弁体35は、2つのランド部36,37を有しており、弁体35がバルブボデー31内に、図1において上下方向に動作可能に設けられている。
【0023】
さらに、バルブボデー31の内部には、吐出油路26と入口油路29とを接続する第1の押圧力発生室38が形成されている。そして、ランド部36,37のうち、上方に設けられているランド部、つまり、吐出油路26と吐出油路34との間に設けられたランド部36の上面には、吐出油路34に臨む受圧面39が形成され、ランド部36の下面には、第1の押圧力発生室38に臨む受圧面40が形成されている。また、ランド部36の外周面には吐出油路26と吐出油路34とを接続する油路を形成するために、スリット(溝)41が設けられている。一方、前記バルブボデー31内には、有底円筒形状のスリーブ42が固定されている。スリーブ42の内部には、他のランド部37が、図1で上下方向に往復動自在に配置されており、スリーブ42の内部には第2の押圧力発生室43が形成されている。また、第2の押圧力発生室43の油圧を制御する信号油圧を出力する電磁弁44が設けられている。このようにして、第2の押圧力発生室43の油圧がランド部37に作用して、図1で弁体35を上向きに押圧する力が生じるように構成されている。
【0024】
また、スリーブ42の底部45が前記第1の押圧力発生室38に臨んで配置されており、スリーブ42内であって、底部45とランド部37との間に第3の押圧力発生室46が形成されている。この第3の押圧力発生室46内には、弾性部材としての圧縮コイルばね47が設けられており、圧縮コイルばね47の力により、弁体35を図1で下向きに押圧する力が生じる。なお、この第3の押圧力発生室46と低圧室33とを連通する通気孔48が設けられている。上記のように構成された弁体35、第1の押圧力発生室38、第2の押圧力発生室43、第3の押圧力発生室46、圧縮コイルばね47、電磁弁44、バルブボデー31などの構成により、制御弁52が構成されている。また、弁体35、吐出油路26,34、低圧室33、ケーシング9、バルブボデー31などの構成により、ポンプ30が構成されている。
【0025】
以上のように、弁体35の動作方向、つまり、軸線方向において、吐出油路34と第2の押圧力発生室43との間に弁体35が配置されている。そして、弁体35の軸線方向で、吐出油路34と第1の押圧力発生室38との間に、ランド部36が配置されている。また、弁体35の軸線方向で、と第1の押圧力発生室38と第2の押圧力発生室43との間に、第3の押圧力発生室46が配置されており、第2の押圧力発生室43と第3の押圧力発生室46とが、ランド部37により区画されている。さらに、油圧制御回路28およびポンプ30および制御弁52などにより、油圧制御装置53が構成されている。さらに、前記オイルパン27にはオイル(作動油もしくは潤滑油として用いられる)49が貯溜されており、オイル49の油面の高さ変化により、前記プライマリプーリ22およびセカンダリプーリの外周部、ブレーキ21の外周部が、貯溜されたオイル49内に浸漬される場合がある。
【0026】
さらに、ケーシング9の内部であって、ポンプ30の上方にはオイル溜まり50が設けられている。このオイル溜まり50には前記吐出油路34が接続されている。具体的には、吐出油路34の開口部がオイル溜まり50に向けられているか、もしくは吐出油路34から吐出されるオイルの吐出方向に、オイル溜まり50が配置されている。さらに、オイル溜まり50のオイルを、ケーシング9内における潤滑油必要部、例えば、プライマリプーリ22およびセカンダリプーリに対するベルト23の接触部分、クラッチ20およびブレーキ21の摺動部分などに供給する潤滑油路(図示せず)が設けられている。また、これらの潤滑油必要部に供給されたオイルが、オイルパン27に戻るようにケーシング9の形状や油路が構成されている。さらに、図2に示すように、車両1の全体を制御する電子制御装置51が設けられており、電子制御装置51には、車両1に対する加速要求、車両1に対する制動要求、アクセル開度、シフトポジション、動力源2の回転数、プライマリプーリ22の回転数、セカンダリプーリの回転数などの信号が入力される。これに対して、電子制御装置51からは動力源2を制御する信号、油圧制御装置53を制御する信号などが出力される。
【0027】
上記の構成において、動力源2のトルクがインプットシャフト8に伝達されるとともに、インプットシャフト8のトルクがラジアルピストンポンプ13を経由して内側中空シャフト10に伝達される。ラジアルピストンポンプ13においては、オイルの吸入量および吐出量が制御されることにより、油室の油圧が制御されて、インプットシャフト8と内側中空シャフト10との間における動力伝達状態、具体的には、インプットシャフト8と内側中空シャフト10との間で伝達されるトルク、およびインプットシャフト8と内側中空シャフト10との回転数差などが制御される。このように、ラジアルピストンポンプ13は、インプットシャフト8のトルクを内側中空シャフト10に伝達するクラッチ(発進装置)としての機能をも有する。なお、吸入油路25からラジアルピストンポンプ13に吸入されるオイルの流量、ラジアルピストンポンプ13から吐出油路26に吐出されるオイルの流量・油圧に関する制御については後述する。
【0028】
一方、シフトポジションとして、前進ポジションが選択されている場合は、クラッチ20が係合され、ブレーキ21が解放される。その結果、前後進切換装置5においては、リングギヤ17とサンギヤ16とが一体回転する。このようにして、内側中空シャフト10にトルクが伝達されるとともに、内側中空シャフト10と外側中空シャフト11とが同方向に回転し、内側中空シャフト10のトルクがプライマリプーリ22に伝達される。プライマリプーリ22のトルクは、ベルト23およびセカンダリプーリを経由して車輪3に伝達されて駆動力が発生する。これに対して、シフトポジションとして、後進ポジションが選択されている場合は、ブレーキ21が係合され、クラッチ20が解放される。その結果、前後進切換装置5においては、固定されるキャリヤ19が反力要素となり、リングギヤ17に対してサンギヤ16が逆回転する。このようにして、内側中空シャフト10にトルクが伝達されるとともに、内側中空シャフト10に対して外側中空シャフト11が逆方向に回転する。
【0029】
図1の例においては、吐出油路26から油圧制御回路28に至る経路にポンプ30が設けられており、ポンプ30の制御により、ラジアルピストンポンプ13におけるオイルの吐出量および吐出油圧を制御する例を説明する。オイルポンプ装置30においては、圧縮コイルばね47の力により、弁体35を図1で下向き(正方向)に押圧する力が生じている。これに対して、電磁弁44の信号油圧により第2の押圧力発生室43の油圧が制御され、弁体35を図1で上向き(逆向き)に押圧する力が生じる。また、吐出油路26のオイルからランド部36に加えられる油圧により、弁体35を図1で上向き(逆向き)に押圧する力が生じる。そして、電磁弁44から出力される信号油圧が高められると、弁体35が図1で上向きに動作してスリット41が閉じられ、かつ、吐出油路26と第1の押圧力発生室38とが接続されていると、吐出油路26からスリット41を経由して吐出油路34に吐出されるオイルの流量が減少するとともに、第1の押圧力発生室38の油圧が上昇する。その結果、ラジアルピストンポンプ13のオイル吐出抵抗が高まり、インナーレース14とアウターレース15とが一体回転する。つまり、インプットシャフト8と内側中空シャフト10との間で伝達されるトルクを高めることが可能である。
【0030】
これに対して、電磁弁44の信号油圧が低下されると、圧縮コイルばね47の力で弁体35が図1で下向きに動作して、吐出油路26と第1の押圧力発生室38との連通面積が縮小するとともに、吐出油路26と吐出油路34との連通面積が拡大される。その結果、吐出油路26から吐出油路34に吐出されるオイルの流量が増加する。なお、ランド部36により、吐出油路26と第1の押圧力発生室38とが遮断された場合は、吐出油路26のオイルは、全て吐出油路34に吐出される。
【0031】
以上のように、この実施例1においては、制御弁52により、吐出油路26の油圧およびオイル量の少なくとも一方を制御可能であるとともに、オイルが吐出される吐出油路34と、低圧室33との圧力差、および吐出油路34に吐出されるオイルの運動エネルギおよび粘性により、低圧室33のオイルを吸引する噴流ポンプとして、ポンプ30が機能を発揮する。したがって、ポンプ30を駆動するために動力源2の動力を用いる必要がなく、動力損失を抑制できる。また、動力源2の動力をポンプ30に伝達する部品を設けずに済むため、オイルポンプ装置の製造コストの低減を図ることができ、かつ、小型化を実現できる。さらに、オイルの運動エネルギを利用してポンプ30の機能を発揮させるので、オイルの運動エネルギを高効率で回収できるとともに、ポンプ30は、回転する羽根車などを設けずに済むので、小型、かつ低コストになる。
【0032】
また、この実施例1では、吐出油路34に吐出されるオイルの噴流による正方向の反力(フローフォース)が弁体35に作用し、ランド部36によって、第1の押圧力発生室38のオイルを圧縮しようとする力が発生するが、その力がオイルを経由して、スリーブ42の底部45、より具体的には、バルブボデー31およびケーシング9で受け止められる。このようにして、弁体35を正方向に押圧しようとする力が打ち消される。したがって、電磁弁44の信号油圧を制御して、弁体35を逆方向に押圧する場合において、電磁弁44の信号油圧を可及的に低下させることが可能であり、電磁弁44の体格が大型化することを抑制できる。さらに、第3の押圧力発生室46が、通気孔48により低圧室33と連通しているため、弁体35が逆方向に動作した場合に、第3の押圧力発生室46のオイルが低圧室33に排出されて、オイル49の油面上昇に貢献できるとともに、そのオイルを吐出油路34に効率的に吸引させることができる。さらにまた、第3の押圧力発生室46が、通気孔48により低圧室33と連通しているため、弁体35が正逆方向に動作して、第3の押圧力発生室46の容積が円滑に拡大・縮小し易くなり、電磁弁44の信号油圧の上昇を一層抑制できる。
【0033】
また、この実施例においては、油圧制御回路28に接続された入口油路29の油圧(ライン圧)を、制御弁52により制御することが可能であるため、従来から用いられているような圧力制御弁(プライマリレギュレータバルブ)が不要であるとともに、バルブボデー31全体の構成や部品のレイアウトの自由度が増し、油圧制御装置53の小型化を図ることができる。また、この実施例においては、インプットシャフト8の軸線方向において、ラジアルピストンポンプ13の隣りに制御弁52を配置することが可能であるため、ラジアルピストンポンプ13と制御弁52とを接続する吐出油路26の長さを可及的に短くすることができる。したがって、ラジアルピストンポンプ13から吐出油路34に吐出されるオイルの圧力損失が抑制され、ポンプ30が噴流ポンプとして機能する場合の効率を上昇することができる。
【0034】
さらに、ポンプ30から吐出されたオイルの運動エネルギを利用して、ケーシング9内の上部、つまり、位置エネルギの大きい場所にあるオイル溜まり50にオイルを移動させ、重力を利用してそのオイルを潤滑油必要部に供給および配分できる。したがって、ラジアルピストンポンプ13の吐出量を低減できるとともに、ラジアルピストンポンプ13の駆動に必要な動力を低減できる。さらに、吐出油路34を、特定の場所であるオイル溜まり50に向けることにより、その特定の場所に集中してオイルを供給することが可能である。また、ポンプ30から吐出されたオイルが、オイルパン27にそのまま流れ込むのではなく、オイル溜まり50に供給されるため、ケーシング9の下部およびオイルパン27に溜まるオイル49の油面の上昇を抑制できる。したがって、動力伝達経路に設けられた回転要素、例えば、プライマリプーリ22およびセカンダリプーリや、ブレーキ21の一部などがオイル49に接触して、その撹拌抵抗による動力損失が生じることを抑制できる。
【0035】
ここで、この実施例1で説明された構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、この実施例1においては、吐出油路34に吐出されるオイルと、低圧室33のオイルとの圧力差、および吐出油路34に吐出されるオイルの運動エネルギおよび粘性を利用して、低圧室33のオイルを吸引することが、この発明における「吐出油路に吐出されるオイルを用いて」に相当する。また、ラジアルピストンポンプ13およびオイルポンプ吐出油路26および第1の押圧力発生室38が、この発明における油圧回路に相当する。つまり、この発明における「油圧回路」には、オイルポンプなどの流体輸送機器、オイルの流通する油路、動作部材に動作力を与える油圧室などの構成が含まれる。また、制御弁52が、この発明における弁および制御弁に相当し、吐出油路34が、この発明における吐出油路に相当し、前記低圧室33から吐出油路34へ吸引されるオイルが、この発明における「油圧回路とは異なる箇所にある流体」に相当する。言い換えれば、吐出油路26および第1の押圧力発生室38を経由することなく、吐出油路34に流れ込むことの可能な流体を意味する。
【0036】
なお、吐出油路26から吐出油路34に吐出されるオイルと、低圧室33のオイルとは、その機械的特性や成分は同じであるが、吐出油路に吐出されるオイルと、低圧室のオイルとが、機械的特性や成分が異なっているものにも、この発明を適用できる。また、ポンプ30が、この発明におけるポンプおよび噴流ポンプに相当し、弁体35が、この発明における弁体に相当し、ランド部36が、この発明の第1のランド部に相当し、ランド部37が、この発明の第2のランド部に相当する。また、第1の押圧力発生室38が、この発明における第1の押圧力発生室に相当し、第2の押圧力発生室43が、この発明における第2の押圧力発生室に相当し、第3の押圧力発生室46が、この発明における第3の押圧力発生室に相当する。また、吐出油路26から吐出油路34に吐出されるオイルの流量、およびスリット41の流通断面積が、この発明における「オイルの状態」に相当する。
【0037】
また、電磁弁44が、この発明における電磁弁に相当し、バルブボデー31およびスリーブ42が、この発明におけるバルブボデーに相当し、圧縮コイルばね47が、この発明における弾性部材および圧縮ばねに相当する。この発明において、弾性部材及び圧縮ばねは、弁体に正方向の力を加える部品である。また、通気孔48が、この発明における通気孔に相当し、インプットシャフト8および内側中空シャフト10および外側中空シャフト11などにより、この発明の動力伝達経路が構成されており、動力源2が、この発明における動力源に相当し、車輪3が、この発明における被駆動部材に相当し、インプットシャフト8が、この発明における入力部材に相当し、内側中空シャフト10が、この発明における出力部材に相当し、吸入油路25が、この発明における吸入油路に相当し、吐出油路26が、この発明における「第2の吐出油路」に相当し、ラジアルピストンポンプ13が、この発明における「第2のポンプ」に相当する。
【実施例2】
【0038】
つぎに、この発明のオイルポンプ装置の実施例2の構成を、図3に基づいて説明する。この実施例2においては、インプットシャフト8の軸線方向において、ダンパ機構7と前後進切換装置54との間に、ラジアルピストンポンプ13および制御弁52が配置されている。より具体的には、ダンパ機構7と前後進切換装置54との間に、ラジアルピストンポンプ13が配置され、ラジアルピストンポンプ13と前後進切換装置54との間に制御弁52が配置されている。また、実施例2においては、前後進切換装置54の構成および無段変速機4の構成が、実施例1とは異なる。無段変速機4は、プライマリシャフト55を有しており、プライマリシャフト55と一体回転するプライマリプーリ22が設けられているとともに、プライマリシャフト55が軸受56により回転可能に保持されている。また、前後進切換装置54は、プライマリシャフト55と一体回転するサンギヤ57と、このサンギヤ57と同軸上に配置され、かつ、コネクティングドラム80と一体回転するリングギヤ58と、サンギヤ57およびリングギヤ58に噛合されたピニオンギヤ59を自転、かつ、公転可能に支持したキャリヤ60とを有する。つまり、前後進切換装置54はシングルピニオン形の遊星歯車機構により構成されている。
【0039】
また、リングギヤ58とプライマリシャフト55とを選択的に係合・解放するクラッチ61と、キャリヤ60の回転・停止を制御するブレーキ62とが設けられている。そして、クラッチ61やブレーキ62などの係合圧は、油圧制御装置53により制御されるように構成されている。なお、ラジアルピストンポンプ13のインナーレース14はインプットシャフト8と一体回転するように連結され、アウターレース15はコネクティングドラム80と一体回転するように連結されている。さらに、ケーシング9の下方およびオイルパン27に溜められているオイル49の油面が変化すると、ブレーキ62の外周部およびプライマリプーリ22の外周部が、オイル49に浸漬される場合がある。さらにまた、実施例2におけるその他の構成は、実施例1と同様に構成されている。
【0040】
この実施例2においては、動力源2のトルクがインプットシャフト8を経由して、ラジアルピストンポンプ13のインナーレース14に伝達される。ラジアルピストンポンプ13における動力の伝達原理は、実施例1の場合と同じであり、インナーレース14からアウターレース15に伝達されたトルクが、前後進切換装置54のリングギヤ58に伝達される。ここで、前進ポジションが選択されている場合は、クラッチ61が係合され、ブレーキ62が解放される。その結果、前後進切換装置54においては、リングギヤ58とサンギヤ57とが一体回転する。このようにして、アウターレース15のトルクがプライマリシャフト55に伝達されるとともに、プライマリシャフト55のトルクがベルト23を経由してセカンダリプーリに伝達される。これに対して、シフトポジションとして、後進ポジションが選択されている場合は、ブレーキ62が係合され、クラッチ61が解放される。その結果、前後進切換装置54においては、固定されるキャリヤ60が反力要素となり、リングギヤ58に対してサンギヤ57が逆回転する。そして、実施例2においても、ポンプ30および油圧制御装置53および制御弁52およびオイル溜まり50が、実施例1と同様に構成されているため、実施例1と同様の効果を得られる。また、実施例2における構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、プライマリシャフト55が、この発明の動力伝達経路に含まれ、インプットシャフト8が、この発明の入力部材に相当し、コネクティングドラム80が、この発明の出力部材に相当する。実施例2におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、実施例1の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
【実施例3】
【0041】
つぎに、この発明のオイルポンプ装置の実施例3の構成を、図4に基づいて説明する。この実施例3においては、ケーシング9内に変速機として有段変速機63が設けられている。有段変速機63は、インプットシャフト8と同軸上に配置されたドライブシャフト64を有しており、ドライブシャフト64には、第1速用ドライブギヤ65および第2速用ドライブギヤ66および第3速用ドライブギヤ67および第4速用ドライブギヤ68が取り付けられている。これらの第1速用ドライブギヤ65および第2速用ドライブギヤ66および第3速用ドライブギヤ67および第4速用ドライブギヤ68は、ドライブシャフト64に対して相対回転可能に取り付けられている。一方、ドライブシャフト64と平行なカウンタシャフト69が設けられており、カウンタシャフト69と一体回転するように、第1速用ドリブンギヤ70および第2速用ドリブンギヤ71および第3速用ドリブンギヤ72および第4速用ドリブンギヤ73が取り付けられている。
【0042】
そして、第1速用ドライブギヤ65と第1速用ドリブンギヤ70とが噛合され、第2速用ドライブギヤ66と第2速用ドリブンギヤ71とが噛合され、第3速用ドライブギヤ67と第3速用ドリブンギヤ72とが噛合され、第4速用ドライブギヤ68と第4速用ドリブンギヤ73とが噛合されている。この第1速用ドライブギヤ65および第1速用ドリブンギヤ70により第1速用ギヤ列74が構成され、第2速用ドライブギヤ66および第2速用ドリブンギヤ71により第2速用ギヤ列75が構成され、第3速用ドライブギヤ67および第3速用ドリブンギヤ72により第3速用ギヤ列76が構成され、第4速用ドライブギヤ68および第4速用ドリブンギヤ73により第4速用ギヤ列77が構成されている。これら、第1速用ギヤ列74および第2速用ギヤ列75および第3速用ギヤ列76および第4速用ギヤ列77は、いずれも前進段を設定するためのギヤ列である。そして、ドライブシャフト64に対して、第1速用ドライブギヤ65または第3速用ドライブギヤ67を選択的に係合・解放させるクラッチ78と、ドライブシャフト64に対して、第2速用ドライブギヤ66または第4速用ドライブギヤ68を選択的に係合・解放させるクラッチ79とが設けられている。このクラッチ78,79の油圧室(図示せず)の油圧は、油圧制御装置53により制御されるように構成されている。
【0043】
さらに、ドライブシャフト64からカウンタシャフト69に至る経路には、後進段を設定するギヤ列(図示せず)が設けられている。そして、インプットシャフト8の軸線方向で、動力源2と有段変速機63との間にラジアルピストンポンプ13が設けられているとともに、ラジアルピストンポンプ13のインナーレース14が出力軸6に連結され、アウターレース15がドライブシャフト64に連結されている。さらに、カウンタシャフト69が車輪3に動力伝達可能に連結されている。さらに、インプットシャフト8と同軸上にシャフト81が設けられており、シャフト81とドライブシャフト64とが動力伝達可能に接続されている。このシャフト81は、ラジアルピストンポンプ13のアウターレース15と一体回転するように構成されている。一方、ケーシング9内には、前述と同様に構成された油圧制御装置53およびオイル溜まり50などが設けられている。また、オイル溜まり50のオイルを、変速段設定用のギヤ同士の噛み合い部分に供給する潤滑油路が設けられている。さらに、ケーシング9の下方およびオイルパン27に溜められたオイル49の油面が変化すると、各ドリブンギヤがオイル49に浸漬される。なお、実施例3のその他の構成は、実施例1および実施例2の構成と同じである。
【0044】
この実施例3においては、動力源2のトルクがインプットシャフト8を経由して、ラジアルピストンポンプ13のインナーレース14に伝達され、アウターレース15から出力されたトルクがドライブシャフト64に伝達される。有段変速機63において、前進段のいずれか、または後進段が選択されると、ドライブシャフト64のトルクがカウンタシャフト69に伝達され、そのトルクが車輪3に伝達される。この実施例3においても、ラジアルピストンポンプ13から吐出されたオイルが油圧制御装置53に供給されて、実施例1と同様の効果を得られる。また、実施例3において、実施例1と同様の原理により、オイル49の油面の上昇が抑制されると、各ドリブンギヤがオイル49に浸漬されることが抑制され、動力損失を抑制できる。この実施例3における構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、シャフト81およびドライブシャフト64およびカウンタシャフト69が、この発明の動力伝達経路に含まれる。また、インプットシャフト8が、この発明における入力部材に相当し、シャフト81が、この発明における出力部材に相当する。また、この実施例3におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、実施例1の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
【実施例4】
【0045】
つぎに、この発明のオイルポンプ装置の実施例4の構成を、図5に基づいて説明する。この図5には、実施例で示されたポンプ30および制御弁52とは異なる構成のポンプ82および制御弁83が示されている。まず、バルブボデー84内には吐出油路26が接続されており、この吐出油路26はラジアルピストンポンプ13の吐出口に接続されている。また、バルブボデー84内には吐出油路26に臨む弁体85が配置されており、弁体85は図5で左右方向に往復動自在に構成されている。さらにバルブボデー84にはオイルパン27に接続された低圧室33が設けられており、低圧室33が吐出油路34に接続されている。また、バルブボデー84には、吐出油路34と吐出油路26とを連通する多数の孔86が設けられている。これらの孔86の断面形状は略円形となっている。また、多数の孔86の群れは、全体として略三角形、ほぼ四角形などとなるように、任意に設定可能である。
【0046】
一方、バルブボデー84内には、弁体85を押圧する弾性部材としての圧縮コイルばね87が設けられている。この圧縮コイルばね87の力により弁体85が図5で右方向に押圧されて、吐出油路34と吐出油路26との連通断面積が減少する。また、ソレノイド88が設けられており、ソレノイド88の磁気吸引力で動作するプランジャ89の端部が前記弁体85に接触されている。プランジャ89から弁体85に加えられる力の向きは、圧縮コイルばね87から弁体85に加えられる力の向きと同じである。なお、吐出油路26には油圧制御回路28が接続されている。上記のバルブボデー84、吐出油路26,34、低圧室33、弁体85、多数の孔86などにより、ポンプ82が構成されており、ソレノイド88、プランジャ89、圧縮コイルばね87、弁体85、多数の孔86などにより、制御弁83が構成されている。また、制御弁83および油圧制御回路28などにより、油圧制御装置53が構成されている。この制御弁83およびポンプ82を、実施例1および実施例2で説明した制御弁52およびポンプ30に代えて用いることが可能であり、その場合の作用を説明する。
【0047】
まず、前述と同様にしてラジアルピストンポンプ13から吐出油路26にオイルが吐出され、そのオイルが油圧制御回路28に供給される。ここで、油圧制御回路28の油圧が、所定圧以下である場合は、圧縮コイルばね87により押圧される弁体85により、多数の孔86が閉じられており、吐出油路26のオイルは吐出油路34には吐出されない。そして、吐出油路26の油圧が上昇すると、弁体35が圧縮コイルばね87の力に抗して図5で左方向に動作し、吐出油路26と吐出油路34とが孔86により接続される。このようにして、吐出油路26のオイルが吐出油路34に吐出されると、吐出油路34の油圧が低下し、オイルパン27のオイルが低圧室33を経由して吐出油路34に吸引され、実施例1と同様の原理により、オイル溜まり50にオイルが供給される。一方、吐出油路26のオイルが吐出油路34に吐出されて、吐出油路34の油圧が低下した場合は、弁体85が図5で右方向に動作して、吐出油路26と吐出油路34との間における流路断面積が縮小される。なお、ソレノイド88に対する通電電力を制御することにより、制御弁83の開弁圧を制御でき、その開弁圧の制御により、油圧制御回路28のライン圧が制御される。
【0048】
また、この実施例4においては、吐出油路26のオイルが多数の孔86を通過して吐出油路34に吐出されるため、乱流が形成されることを抑制できる。したがって、大きな流路をオイルが通過する構成と比べて、吐出油路34を流れるオイルの運動エネルギの低下を抑制できる。また、吐出油路34に吐出するオイルの制御流量の幅が大きい場合に、どの流量においても整った噴流を得ることができる。したがって、オイルの運動エネルギを常に高効率で利用することができる。さらに、バルブボデー84を切削加工して孔86を形成する場合、多数の孔86の全体の形状を任意に設定することにより、弁体85のストローク変化量と、流通断面積の変化量との対応関係の特性を、自由に設定可能である。この実施例4における構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、制御弁83が、この発明の制御弁に相当し、ポンプ82が、この発明のポンプに相当する。また、この実施例4におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、実施例1の構成と、この発明の構成との対応関係と同じである。
【実施例5】
【0049】
つぎに、油圧制御装置53の他の構成例を実施例5として、図6に基づき説明する。図6に示された油圧制御装置53は、バルブボデー100内に設けられた制御弁90を有している。この制御弁90の構成は、他の実施例で説明された制御弁と同様に、吐出油路26および油圧制御回路28に接続されているとともに、ラジアルピストンポンプ13から吐出されるオイルを、油圧制御回路28および吐出油路91に吐出することが可能な構成となっている。一方、オイルパン27にはオイルポンプ92が設けられている。ここに示されたオイルポンプ92は、ギヤポンプの一種である内接形のオイルポンプであり、オイルポンプ92は、ケーシング101内に設けたドライブギヤ93と、そのドライブギヤ93の外側に設けられたドリブンギヤ94とを有している。また、ドライブギヤ93には羽根車95が取り付けられている。さらに、オイルポンプ92のケーシング101に、オイルパン27に接続された吸入口96が形成されているとともに、ケーシング101には、吐出口97が形成されている。この吐出口97は、実施例1で説明したオイル溜まり50に接続される。
【0050】
この実施例5における油圧制御装置53を、他の実施例で説明した油圧制御装置に代えて用いる場合の作用を説明する。まず、吐出油路26から吐出油路91に吐出されるオイルの流量が制御弁90により制御されて、油圧制御回路28のライン圧が制御される。そして、吐出油路91に吐出されたオイルの運動エネルギにより羽根車95が駆動される。その結果、オイルパン27のオイルが吸入口96から吸引されて、クレセント99を経由して吐出口97から吐出される。このように、実施例5においては、油圧制御回路28のライン圧を制御するために、制御弁90から吐出されたオイルの運動エネルギを利用して、オイルポンプ92を駆動するため、動力源2の動力損失を抑制できる。
【0051】
また、オイルポンプ92のドライブギヤ93を、動力源2により駆動される回転軸と同軸上に配置する必要がなく、オイルポンプ92の配置レイアウトの自由度が増し、油圧制御装置53の小型化を図れる。また、吸入口96をオイルパン27内のオイル49中に配置することが可能であり、オイルポンプ92の吸入性能を高めることができる。なお、実施例5において、オイルポンプ92として他のギヤポンプ、つまり、外接形のオイルポンプを用いることも可能である。さらまた、ギヤポンプの他に、ピストンポンプまたはベーンポンプなどを用いることも可能である。この実施例5においては、制御弁90から吐出されるオイルの運動エネルギを用いて、オイルポンプ92を駆動するように構成されている。実施例5で説明した構成と、この発明の構成との対応関係を説明すると、吐出油路91が、この発明の吐出油路に相当し、制御弁90が、この発明の制御弁に相当し、オイルパン27のオイル49が、この発明における「油圧回路とは異なる箇所にある流体」に相当し、オイルポンプ92が、この発明のポンプに相当する。
【0052】
なお、各実施例に示された制御弁52,83,90のいずれかを、図7に示すように、ラジアルピストンポンプ13の吐出油路26、または吸入油路25の少なくとも一方に設けることが可能である。このように、吸入油路25に制御弁を設けた場合は、吸入油路25およびラジアルピストンポンプ13の油室に吸入されるオイルの流量および油圧が、制御弁により制御される。また、その制御弁とオイルパン27との間における油路の油圧および吸入オイル量が制御される。さらに、各実施例では、無段変速機4としてベルト式無段変速機を用いた場合が説明されているが、トロイダル式無段変速機を用いた車両にも、この発明を適用可能である。また、図2においては、動力源2の動力が前輪に伝達されるように構成されたパワートレーンを有する車両(前輪駆動車)が示されているが、動力源の動力が後輪に伝達されるように構成されたパワートレーンを有する車両、つまり、後輪駆動車に対しても、この発明を適用可能である。さらには、四輪駆動車にもこの発明を適用可能である。さらに、この発明において、入力部材および出力部材は、軸、歯車、回転メンバなどの要素でもよい。さらに、この発明において、入力部材および出力部材は、車両の幅方向の軸線を中心として回転する構成、または車両の前後方向の軸線を中心として回転する構成のいずれでもよい。また、この発明において、第2のポンプは、ラジアルピストンポンプ以外のオイルポンプ、例えば、ギヤポンプなどを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明のオイルポンプ装置の構成を示す概略的な断面図である。
【図2】この発明のオイルポンプ装置を、車両の動力源から車輪に至る経路に配置した場合の実施例1を示すスケルトン図である。
【図3】この発明のオイルポンプ装置を、車両の動力源から車輪に至る経路に配置した場合の実施例2を示すスケルトン図である。
【図4】この発明のオイルポンプ装置を、車両の動力源から車輪に至る経路に配置した場合の実施例3を示すスケルトン図である。
【図5】この発明のオイルポンプ装置の実施例4を示す概略的な断面図である。
【図6】この発明のオイルポンプ装置の実施例5を示す概略的な断面図である。
【図7】この発明のオイルポンプ装置の他の配置例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0054】
2…動力源、 3…車輪、 8…インプットシャフト、 10…内側中空シャフト、 11…外側中空シャフト、 13…ラジアルピストンポンプ、 25…吸入油路、 26,34…吐出油路、 28…油圧制御回路、 30,82…ポンプ、 31…バルブボデー、 33…低圧室、 35…弁体、 36,37…ランド部、 38…第1の押圧力発生室、 43…第2の押圧力発生室、 44…電磁弁、 46…第3の押圧力発生室、 47…圧縮コイルばね、 48…通気孔、 52,83,90…制御弁、 53…油圧制御装置、 55…プライマリシャフト、 64…ドライブシャフト、 69…カウンタシャフト、 80…コネクティングドラム、 81…シャフト、 92…オイルポンプ。




 

 


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