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発明の名称 分割型シリンダブロック
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2822(P2007−2822A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−187344(P2005−187344)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 大垣 重郎
要約 課題
内部ブロックの振動や変形を抑制することのできる分割型シリンダブロックを提供する。

解決手段
分割型シリンダブロックは、内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロック10と、同内部ブロック10の外周を取り囲む外部ブロック20とを備える。分割型シリンダブロックは、前記内部ブロック10と前記外部ブロック20との間に冷却水を流通させるためのウォータジャケット40が形成されてなる。分割型シリンダブロックは、前記外部ブロック20の内周面の一部に当接するとともに前記内部ブロック10の外周面の一部に当接して同内部ブロック10を前記シリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材30を前記ウォータジャケット40内に備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロックと、同内部ブロックの外周を取り囲む外部ブロックとを備え、同内部ブロックと同外部ブロックとの間に冷却水を流通させるためのウォータジャケットが形成されてなる分割型シリンダブロックにおいて、
前記外部ブロックの内周面の一部に当接するとともに前記内部ブロックの外周面の一部に当接して同内部ブロックを前記シリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材を前記ウォータジャケット内に備える
ことを特徴とする分割型シリンダブロック。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記ウォータジャケットを前記シリンダライナの連結方向に関して対称に分けた2つの部分のうち、前記シリンダボア内での燃焼に起因してピストンが前記内部ブロックの内周面に及ぼす力が大きい方の部分に配設されてなる請求項1に記載の分割型シリンダブロック。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記外部ブロックの内周面と前記内部ブロックの外周面とに交互に当接する請求項1または2に記載の分割型シリンダブロック。
【請求項4】
前記内部ブロックの外周面及び前記外部ブロックの内周面の少なくとも一方には前記弾性部材の移動を規制する規制部が形成されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の分割型シリンダブロック。
【請求項5】
前記弾性部材は耐熱性の樹脂により形成されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の分割型シリンダブロック。
【請求項6】
前記内部ブロックの底面には、同内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の分割型シリンダブロック。
【請求項7】
前記内部ブロックの底部と前記外部ブロックとの当接面には凹部が形成され、同凹部には前記内部ブロックの移動を規制するピンが挿入されるとともに同凹部と同ピンとの間には弾性部材が配設されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の分割型シリンダブロック。
【請求項8】
内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロックと、同内部ブロックの外周を取り囲む外部ブロックとを備え、同内部ブロックと同外部ブロックとの間に冷却水を流通させるためのウォータジャケットが形成されてなる分割型シリンダブロックにおいて、
前記内部ブロックの底面には、同内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されてなる分割型シリンダブロック。
【請求項9】
前記内部ブロックの底部と前記外部ブロックとの当接面には凹部が形成され、同凹部には前記内部ブロックの移動を規制するピンが挿入されるとともに同凹部と同ピンとの間には弾性部材が配設されてなる請求項8に記載の分割型シリンダブロック。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は分割型シリンダブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダブロックとして、内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロックと、同内部ブロックの外周を取り囲む外部ブロックとで構成された分割型シリンダブロックが知られている。このシリンダブロックでは、図11に示されるように、外部ブロック2内に内部ブロック1が挿入され、内部ブロック1の上端に形成されたアッパデッキ部12が外部ブロック2の上端に締結されている。そして、内部ブロック1と外部ブロック2との間に、冷却水を流通させるためのウォータジャケット4が形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような分割型シリンダブロックは、各別に形成された外部ブロックと内部ブロックとが締結されて組み立てられているため、鋳造により一体で形成されたシリンダブロックやシリンダブロック本体にシリンダライナを鋳込んだものに比べて一般に剛性が低い。このため、ピストンのシリンダライナへの衝突やシリンダ内での混合気の燃焼により生じる振動は、一体型のシリンダブロックやシリンダライナを鋳込んだシリンダブロックに比べて大きくなる傾向にある。また、内部ブロックに作用する力が大きい場合には、内部ブロックの位置がずれたり、内部ブロックが変形したりするおそれがある。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内部ブロックの振動や変形を抑制することのできる分割型シリンダブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記目的を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロックと、同内部ブロックの外周を取り囲む外部ブロックとを備え、同内部ブロックと同外部ブロックとの間に冷却水を流通させるためのウォータジャケットが形成されてなる分割型シリンダブロックにおいて、前記外部ブロックの内周面の一部に当接するとともに前記内部ブロックの外周面の一部に当接して同内部ブロックを前記シリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材を前記ウォータジャケット内に備えることをその要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、内部ブロックをシリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材を備えているため、内部ブロックの剛性が高くなるとともに、シリンダ内での燃焼に起因して生じる内部ブロックの振動が弾性部材によって吸収されるようになる。また、ウォータジャケット内に備えられた弾性部材は、外部ブロックの内周面の一部と内部ブロックの外周面の一部とに当接しているため、当接しない部分を通じて冷却水を循環させることができる。
【0007】
シリンダボア内での燃焼エネルギがピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフトに伝達されるタイプのエンジン、いわゆるレシプロエンジンでは、シリンダボアの軸方向に正確に沿ってピストンが上下動するのではなく、実際には同軸方向に対してやや傾きをもって上下動する。このため、内部ブロックの内周面には燃焼圧力に加えてピストンの衝突による力が作用することとなる。その結果、ウォータジャケットをシリンダライナの連結方向に関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストンが内部ブロックの内周面に及ぼす力が大きい方の部分では、内部ブロックの外側への変形量が大きくなる傾向にある。
【0008】
この点請求項2に記載の構成によれば、ウォータジャケットをシリンダライナの連結方向に関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストンが内部ブロックの内周面に及ぼす力が大きい方の部分に弾性部材が配設されている。このため、ピストンの衝突に起因する内部ブロックの外側への変形を抑制することができる。
【0009】
具体的には、請求項3に記載の発明によるように、弾性部材が外部ブロックの内周面と内部ブロックの外周面とに交互に当接するといった構成を採用することができる。これにより、ウォータジャケット内において内部ブロックの外周面及び外部ブロックの内周面のうち弾性部材が当接しない部分が交互に現れることとなるため、内部ブロックを均等に付勢することができるとともに内部ブロックを冷却水により効果的に冷却することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の分割型シリンダブロックにおいて、前記内部ブロックの外周面及び前記外部ブロックの内周面の少なくとも一方には前記弾性部材の移動を規制する規制部が形成されてなることをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、内部ブロックの外周面及び外部ブロックの内周面の少なくとも一方には弾性部材の移動を規制する規制部が形成されているため、内部ブロックと外部ブロックとの間に弾性部材を取り付ける際に弾性部材の移動が規制され、その取り付けが容易となる。また、弾性部材を一旦取り付けると、弾性部材の移動が規制部により規制されることとなるため、内部ブロックを確実に付勢することができる。
【0012】
具体的には、請求項5に記載の発明によるように、弾性部材が耐熱性の樹脂により形成されてなるといった構成を採用することができる。これにより、弾性部材が奏する効果を高温領域まで確保しつつ、弾性部材を付加することによる重量増加を低く抑えることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の分割型シリンダブロックにおいて、前記内部ブロックの底面には、同内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されてなることをその要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、内部ブロックをシリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材に加えて、内部ブロックの底面には内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されている。このため、内部ブロックの剛性を更に高くすることができるとともに、シリンダ内での燃焼に起因して生じる内部ブロックの振動を更に吸収することができる。また、内部ブロックに作用する力が大きい場合に内部ブロックの位置がずれてしまうことを底部の弾性部材によって抑制することができる。
【0015】
具体的には、請求項7に記載の発明によるように、内部ブロックの底部と外部ブロックとの当接面には凹部が形成され、凹部には内部ブロックの移動を規制するピンが挿入されるとともに凹部とピンとの間には弾性部材が配設されてなるといった構成を採用することができる。これにより、内部ブロックに作用する力が大きな場合であっても、内部ブロックの移動をピン及び弾性部材によって規制することができるとともに、内部ブロックの振動を弾性部材によって吸収することができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結した内部ブロックと、同内部ブロックの外周を取り囲む外部ブロックとを備え、同内部ブロックと同外部ブロックとの間に冷却水を流通させるためのウォータジャケットが形成されてなる分割型シリンダブロックにおいて、前記内部ブロックの底面には、同内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されてなることをその要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、内部ブロックの底面には内部ブロックの底部の移動を規制する弾性部材が配設されているため、内部ブロックの剛性を高くすることができるとともに、シリンダ内での燃焼に起因して生じる内部ブロックの振動が弾性部材によって吸収されるようになる。また、内部ブロックに作用する力が大きい場合に内部ブロックの位置がずれてしまうことを弾性部材によって抑制することができる。
【0018】
具体的には、請求項9に記載の発明によるように、内部ブロックの底部と外部ブロックとの当接面には凹部が形成され、凹部には内部ブロックの移動を規制するピンが挿入されるとともに凹部とピンとの間には弾性部材が配設されてなるといった構成を採用することができる。これにより、内部ブロックに作用する力が大きな場合であっても、内部ブロックの移動をピン及び弾性部材によって規制することができるとともに、内部ブロックの振動を弾性部材によって吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる分割型シリンダブロックについて、図1〜図4を参照して詳細に説明する。本実施形態では直列3気筒の内燃機関を例に説明を行う。
図1は本実施形態における分割型シリンダブロックの横断面構造を示している。
【0020】
図1に示されるように、分割型シリンダブロックは、内部ブロック10、外部ブロック20、及び弾性部材30を備えている。
内部ブロック10は、内部にシリンダボアを有するシリンダライナを連結したものであって、鋳鉄等の耐磨耗性に優れた金属材料によって形成されている。
【0021】
外部ブロック20は、内部ブロック10の外周を取り囲むように配設されるものであって、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材料を用いて、ダイカスト、中圧鋳造、低圧鋳造等の鋳造法により一体に形成されている。
【0022】
内部ブロック10の外周面と外部ブロック20の内周面との間には冷却水を流通させるためのウォータジャケット40が形成されている。
ウォータジャケット40内には、外部ブロック20の内周面の一部に当接するとともに内部ブロック10の外周面の一部に当接して内部ブロックをシリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材30が配設されている。
【0023】
ウォータジャケット40をシリンダライナの連結方向Cに関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストン60が内部ブロック10の内周面に及ぼす力(スラスト力)が大きい方の部分をスラスト(Th)側と称することとする。これに対して、スラスト側の反対側を反スラスト(ATh)側と称することとする。このスラスト力の大きいスラスト側は、内燃機関の出力軸である図示しないクランクシャフトの回転方向によって一義的に決まるものである。
【0024】
本実施形態では、このように便宜上2つに分けられたウォータジャケット40のうちスラスト側に弾性部材30を配設している。弾性部材30は、ウォータジャケット40内において外部ブロック20の内周面と内部ブロック10の外周面とに交互に当接する。なお、弾性部材30は耐熱性の樹脂によって形成されている。
【0025】
図2は、図1に示されるA−A線に沿った分割型シリンダブロックの縦断面構造を示している。
図2に示されるように、内部ブロック10の上端部にはアッパデッキ部12が形成されており、内部ブロック10が外部ブロック20に取り付けられた際に同アッパデッキ部12の下面が外部ブロック20の上端面に当接することとなる。一方、内部ブロック10下端部では、同下端部の下面及び外周面が外部ブロック20に当接することとなる。内部ブロック10の底面には、後述する弾性部材50が所定の間隔で配設されている。
【0026】
これら内部ブロック10及び外部ブロック20は、アッパデッキ部12の上端面と図示しないシリンダヘッドとの間にシリンダヘッドガスケットを介設させ、ボルト等により締結することにより互いに固定される。
【0027】
同図2に示されるように、弾性部材30の断面の形状は矩形となっており、弾性部材30のスラスト側の側面と外部ブロック20の内周面とが当接している。弾性部材30の断面の横幅は、同部材30が取り付けられる部分のウォータジャケット40の横幅よりも小さく形成されている。
【0028】
図3は、図1に示されるB−B線に沿った分割型シリンダブロックの縦断面構造を示している。
図3に示されるように、内部ブロック10の外周面には弾性部材30の移動を規制する規制部としての溝部14が形成されている。溝部14の幅は、弾性部材30の幅よりもやや大きく形成され、溝部14に弾性部材30を取り付けた際には溝部14の底面に弾性部材30が当接することとなる。溝部14は、ピストン60が上死点よりもやや下に位置する際に同ピストン60のスカート部62が位置する高さに対応して形成されている。このため、弾性部材30も同位置に対応して配設される。
【0029】
図4は、分割型シリンダブロックの縦断面構造のうち、特に内部ブロック10の下端部と外部ブロック20との関係を拡大して示したものである。
図4に示されるように、内部ブロック10の底面、すなわち外部ブロック20との当接面には凹部16が形成されている。外部ブロック20の内部ブロック10の凹部16に対向する面には、圧入口22が形成されており、同圧入口22には金属製のピン52が圧入されている。このピン52のうち外部ブロック20の外部に露出している部分には、弾性部材としてのリング状のゴム部材54が配設されている。このゴム部材54は耐熱性のゴムにより形成されており、内部ブロック10の底面に形成された凹部16の内周面に対して圧縮状態にて配設されている。
【0030】
内部ブロック10の外周面の下端には、冷却水がウォータジャケット40内から漏れるのを防止するためのシール部材70が配設されている。具体的には、シール部材70は、内部ブロック10の外周面の下端と外部ブロック20の内周面の下端との間に圧縮状態にて配設されている。
【0031】
次に本実施形態にかかる分割型シリンダブロックの作用について、図1、図2及び図4を参照して説明する。
図1に示されるように、内部ブロック10の外周面と弾性部材30とが当接する部分では内部ブロック10をシリンダボアの中心方向に付勢する力が作用する。このため、内部ブロック10の内周面へのピストン60の衝突やシリンダ内での混合気の燃焼によって内部ブロックが衝撃を受け振動した場合には、こうした衝撃や振動が弾性部材30によって吸収されることとなる。
【0032】
図2に示されるように、ウォータジャケット40をシリンダライナの連結方向Cに関して対称に分けた2つの部分のうちスラスト側の部分に弾性部材30が配設されている。また、ピストン60が上死点よりもやや下に位置する際における同ピストン60のスカート部62の高さに対応して弾性部材30が配設されている。すなわち、シリンダの軸方向においてピストン60による内部ブロック10の内周面への衝撃力が最も大きくなる高さに弾性部材30が配設されているため、ピストン60による衝撃や内部ブロック10の振動が効果的に吸収されることとなる。
【0033】
図4に示されるように、混合気の燃焼に起因して内部ブロック10に力が作用する場合であっても、内部ブロック10の底面に設けられた金属製のピン52及びゴム部材54によって内部ブロック10の底部に作用する力が吸収されることとなる。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)本実施形態によれば、内部ブロック10をシリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材30を備えているため、内部ブロック10の剛性が高くなるとともに、シリンダ内での燃焼に起因して生じる内部ブロック10の振動が弾性部材30によって吸収されるようになる。また、ウォータジャケット40内に備えられた弾性部材30は、外部ブロック20の内周面の一部と内部ブロック10の外周面の一部とに当接しているため、当接しない部分を通じて冷却水を循環させることができる。
【0035】
(2)シリンダボア内での燃焼エネルギがピストン60及び図示しないコネクティングロッドを介してクランクシャフトに伝達されるタイプのエンジン、いわゆるレシプロエンジンでは、シリンダボアの軸方向に正確に沿ってピストン60が上下動するのではなく、実際には同軸方向に対してやや傾きをもって上下動する。このため、内部ブロック10の内周面には燃焼圧力に加えてピストン60の衝突による力が作用することとなる。その結果、ウォータジャケット40をシリンダライナの連結方向Cに関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストン60が内部ブロック10の内周面に及ぼす力が大きい方の部分では、内部ブロック10の外側への変形量が大きくなる傾向にある。
【0036】
この点本実施形態によれば、ウォータジャケット40をシリンダライナの連結方向Cに関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストン60が内部ブロック10の内周面に及ぼす力が大きい方の部分に弾性部材30が配設されている。このため、ピストン60の衝突に起因する内部ブロック10の外側への変形を抑制することができる。
【0037】
(3)弾性部材30が外部ブロック20の内周面と内部ブロック10の外周面とに交互に当接するといった構成を採用している。これにより、ウォータジャケット40内において内部ブロック10の外周面及び外部ブロック20の内周面のうち弾性部材が当接しない部分が交互に現れることとなるため、内部ブロック10を均等に付勢することができるとともに内部ブロック10を冷却水により効果的に冷却することができる。
【0038】
(4)本実施形態によれば、内部ブロック10の外周面には弾性部材30の移動を規制する規制部としての溝部14が形成されているため、内部ブロック10と外部ブロックとの間に弾性部材30を取り付ける際に弾性部材30の移動が規制され、その取り付けが容易となる。また、弾性部材30を一旦取り付けると、弾性部材30の移動が溝部14により規制されることとなるため、内部ブロック10を確実に付勢することができる。
【0039】
(5)弾性部材30が耐熱性の樹脂により形成されている。これにより、弾性部材30が奏する効果を高温領域まで確保しつつ、弾性部材30を付加することによる重量増加を低く抑えることができる。
【0040】
(6)本実施形態によれば、内部ブロック10をシリンダボアの中心方向へ付勢する弾性部材30に加えて、内部ブロック10の底面には内部ブロック10の底部の移動を規制する弾性部材50が配設されている。このため、内部ブロック10の剛性を更に高くすることができるとともに、シリンダ内での燃焼に起因して生じる内部ブロック10の振動が弾性部材50によって吸収されるようになる。また、内部ブロック10に作用する力が大きい場合に内部ブロック10の位置がずれてしまうことを弾性部材50によって抑制することができる。
【0041】
(7)内部ブロック10の底部と外部ブロック20との当接面には凹部16と圧入口22が形成され、圧入口22には内部ブロックの移動を規制するピン52が挿入されるとともに圧入口22とピンとの間にはゴム部材54が配設されている。これにより、内部ブロック10に作用する力が大きな場合であっても、内部ブロック10の移動をピン52及びゴム部材54によって規制することができるとともに、内部ブロック10の振動をゴム部材54によって吸収することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、内部ブロック10の底面に凹部16を形成するとともに、同凹部16に対向する外部ブロック20の面に圧入口22を形成しているが、例えば図5に示されるように、内部ブロック10の底面にのみ凹部16を形成するようにしてもよい。この場合、外部ブロック20に圧入口22及びピン52を設ける代わりに、外部ブロック20を突出形成することにより、上記実施形態のピン52の露出部分と同じ形状の凸部26を設けるようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態において例示した金属製のピン52に代えて、図6に示されるように、耐熱性のゴム等の弾性材料によって一体のピン56を形成するようにしてもよい。これにより、上記実施形態において必要とされるピン52及びゴム部材54の2つの部材を、ピン56のみとすることで部品点数を低減することができる。
【0044】
・上記実施形態では、ウォータジャケット40内に配設される弾性部材30を耐熱性の樹脂によって形成しているが、弾性部材30の材料としてはこの他にも金属材料等を採用してもよい。要するに、内部ブロック10をシリンダボアの中心方向へ付勢することができるものであればよい。
【0045】
・本実施形態では、内部ブロック10の外周面に弾性部材30の移動を規制する規制部としての溝部14が形成されているが、図7に示されるように、外部ブロック20の内周面に規制部としての溝部24を形成する構成や、内部ブロック10の外周面と外部ブロック20の内周面との両方に溝部を形成する構成(図示略)を採用してもよい。また、こうした弾性部材30の移動を規制する規制部の構成は必ずしも溝部に限られるものではなく、図8に示されるように、内部ブロック10の外周面が突出した爪部18a,18bを設けるようにしてもよい。要するに、弾性部材の移動を規制するものであればよい。
【0046】
・本実施形態では、一体の弾性部材30によって内部ブロック10を構成する各シリンダライナを各シリンダボアの中心方向へ付勢するようにしているが、図9に示されるように、各シリンダライナに対して各別の弾性部材32を配設するようにしてもよい。また、図10に示されるように、内部ブロック10の外周面と外部ブロック20の内周面との間に圧縮状態にしたコイルばね34を配設するようにしてもよい。要するに、外部ブロック20の内周面の一部に当接するとともに内部ブロック10の外周面の一部に当接して内部ブロック10をシリンダボアの中心方向へ付勢するものであればよい。
【0047】
・上記実施形態では、ウォータジャケット40をシリンダライナの連結方向Cに関して対称に分けた2つの部分のうち、シリンダボア内での燃焼に起因してピストン60が内部ブロック10の内周面に及ぼす力が大きい方の部分に弾性部材30が配設されている。しかしながら、こうした弾性部材を、ピストン60が内部ブロック10の内周面に及ぼす力が小さい方の部分にも配設するようにしてもよい。また、ピストン60が内部ブロック10に及ぼす力に応じてウォータジャケット40内に配設される弾性部材の付勢力を調整してもよい。この場合には、内部ブロック10の内周面に作用する力に応じた適切な付勢力を内部ブロック10に対して付加することにより、内部ブロック10の振動や変形を更に効果的に抑制することができる。
【0048】
・弾性部材30の位置は、上記実施形態にて例示した位置に限られるものではない。例えば、上記実施形態にて例示した位置に弾性部材30を設けることに加えて、同位置よりも上の位置、すなわちアッパデッキ部12側の位置に弾性部材を設けるようにしてもよい。また、上記実施形態にて例示した位置に弾性部材30を設ける代わりに同位置よりも下の位置、すなわち図示しないクランクシャフト側の位置に弾性部材30を設けるようにしてもよい。この場合であっても、内部ブロック10の剛性を高めるとともに内部ブロック10の振動や変形を抑制することはできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態にかかる分割型シリンダブロックの横断面図。
【図2】図1におけるA−A線に沿った断面図。
【図3】図1におけるB−B線に沿った部分断面図。
【図4】同実施形態にかかる分割型シリンダブロックの拡大断面図。
【図5】本発明の分割型シリンダブロックの変更例を示す拡大断面図。
【図6】本発明の分割型シリンダブロックの他の変更例を示す拡大断面図。
【図7】本発明の分割型シリンダブロックの他の変更例を示す部分断面図。
【図8】本発明の分割型シリンダブロックの他の変更例を示す部分断面図。
【図9】本発明の分割型シリンダブロックの他の変更例を示す横断面図。
【図10】本発明の分割型シリンダブロックの他の変更例を示す横断面図。
【図11】従来の分割型シリンダブロックの縦断面図。
【符号の説明】
【0050】
1,10…内部ブロック、12…アッパデッキ部、14…溝部、16…凹部、18a,18b…爪部、2,20…外部ブロック、22…圧入口、24…溝部、26…凸部、30,32…弾性部材、34…コイルばね、4,40…ウォータジャケット、50…弾性部材、52…ピン、54…ゴム部材、56…ピン、60…ピストン、62…スカート部、70…シール部材。




 

 


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