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発明の名称 内燃機関の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2780(P2007−2780A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184870(P2005−184870)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
発明者 田内 豊 / 正司 章 / 青山 太郎 / 太田 裕彦 / 松本 崇志 / 川口 文悟 / 見上 晃
要約 課題
過給器及び過給器をアシストする駆動手段を備える内燃機関において動力性能の低下を回避する。

解決手段
エンジン200は、MAT206を備える。エンジン200の過渡的な動作期間において、例えば、バッテリ219の残量不足などによりMAT206のアシスト量が不足し、実過給圧Prが目標過給圧Pa未満となった場合には、実過給圧Prによって規定される基準噴射量に対し増量補正が行われる。この際、モータによって最大アシスト量が得られているものとして推定された推定過給圧Pestと実過給圧Prとの差圧に基づいて補正量が算出される。
特許請求の範囲
【請求項1】
過給器及び該過給器における過給状態を規定する値が目標値となるように該過給器をアシストする駆動手段を備える内燃機関を制御するための内燃機関の制御装置であって、
燃料の基準噴射量を決定する基準噴射量決定手段と、
前記駆動手段によって前記過給器がアシストされる場合に前記基準噴射量を増量補正する補正手段と、
前記燃料の噴射量が前記増量補正された基準噴射量となるように所定の噴射手段を制御する噴射制御手段と
を具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記駆動手段はモータである
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関はディーゼルエンジンであり、
前記過給状態を規定する値は、前記過給器の過給圧であり、
前記駆動手段のアシスト量が所定量増加した場合の前記過給圧を推定する過給圧推定手段を更に具備し、
前記補正手段は、前記過給器がアシストされる場合であって且つ前記過給圧が前記目標値未満である場合に、前記過給圧と前記推定された過給圧との差分に基づいて前記基準噴射量を増量補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記推定手段は、前記アシスト量が所定量増加した場合の過給圧の少なくとも一つとして、前記アシスト量が最大である場合の前記過給圧を推定する
ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関は、前記燃料の燃焼に際して発生するススの浄化を行う浄化手段を更に具備し、
前記内燃機関の制御装置は、前記噴射量に基づいて前記浄化手段における前記ススの堆積量を推定する堆積量推定手段を具備する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記推定された堆積量に応じて前記浄化手段における前記ススの浄化を促進する浄化促進手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記内燃機関はガソリンエンジンであり、
前記過給器はタービンを含み、
前記過給状態を規定する値は、前記タービンの回転数であり、
前記基準噴射量決定手段は、空燃比が所定の目標空燃比となるように前記基準噴射量を決定し、
前記補正手段は、前記駆動手段によって前記過給器がアシストされる場合に、前記目標空燃比を相対的に小さくすることによって前記基準噴射量を増量補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記過給器がアシストされる場合であって且つ前記タービンの回転数が前記目標値未満である場合に、前記基準噴射量を増量補正する
ことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関において、過給器と、それをアシストする電動機を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された回転電機付きターボチャージャーの制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、アクセルペダルの踏み込み量に応じて吸気のブースト圧を求めると共に、このブースト圧に対応して適切な燃料供給量を計算するので、常に運転状態に応じた空燃比が得られ、所望の出力が得られるとされている。
【0003】
【特許文献1】特許第2782711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動機に電力供給を行うバッテリなどが電力不足に陥った場合、電動機が過給器を十分に補助し切れないため、過給器の過給状態が要求されるレベルに到達しないことがある。この際、例えば、ディーゼルエンジンなどの圧縮自着火式内燃機関では、ススの発生を抑制する目的から燃料の噴射量が制限され、加速性能が劣化するなど動力性能の低下が回避し得ない。一方、ガソリンエンジンなど空燃比に基づいた噴射量制御が実行される内燃機関では、吸入空気量が上昇しないために必然的に燃料噴射量が制限され、同様に動力性能の低下が回避し難い。即ち、従来の技術には、一時的であるにせよ動力性能の低下を招きかねないという技術的な問題点がある。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、動力性能の低下を回避し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、過給器及び該過給器における過給状態を規定する値が目標値となるように該過給器をアシストする駆動手段を備える内燃機関を制御するための内燃機関の制御装置であって、燃料の基準噴射量を決定する基準噴射量決定手段と、前記駆動手段によって前記過給器がアシストされる場合に前記基準噴射量を増量補正する補正手段と、前記燃料の噴射量が前記増量補正された基準噴射量となるように所定の噴射手段を制御する噴射制御手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明における「内燃機関」とは、燃料の燃焼を動力に変換する機関を包括する概念であり、例えば、車両用のエンジンなどを指す。車両用のエンジンである場合、例えば、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンであってもよいし、軽油を燃料とし、圧縮された吸入空気中に燃料を噴射して自発火させるディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)であってもよい。
【0008】
本発明における内燃機関は、過給器及び駆動手段を備える。ここで、本発明に係る「過給器」とは、内燃機関の排気を利用して動作する機関であって、自然吸入量以上に空気を吸入させることが可能な機構を包括する概念であり、例えば、排気を利用してタービン及びコンプレッサを動作させる所謂ターボチャージャーなどを指す。尚、内燃機関には、係る過給器の過給性能を向上させるための各種機構が更に備わっていてもよい。例えば、このような機構とは、過給された吸入空気を冷却することによって吸入効率を向上させる、インタークーラなどの機構であってもよい。
【0009】
駆動手段は、過給器をアシストするために設けられる。ここで、「アシストする」とは、過給器による過給動作を補助することを表す包括概念であり、本発明においては、過給器の過給状態を規定する値(以下、適宜「過給状態規定値」と称する)が目標値となるように過給器がアシストされる。ここで、「過給器の過給状態を規定する値」とは、文字通り過給状態を規定する限りにおいて何ら限定されないが、典型的には過給圧やタービン回転数などを指す。駆動手段の態様は、係るアシストが可能な限りにおいて何ら限定されないが、好適には、モータなどの電動機である。
【0010】
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、その動作時には、基準噴射量決定手段によって、燃料の基準噴射量が決定される。尚、基準噴射量の決定態様は、内燃機関の種類に応じて多様な形態を採り得る。
【0011】
例えば、内燃機関がガソリンエンジンの形態を採る場合、少なくとも一部の運転領域において空燃比フィードバック(以下、適宜「空燃比FB」と称する)が実行される。空燃比FBが実行される際には、例えば、エアフローメータなどの吸入空気量検出手段によって検出される吸入空気量に基づいて、空燃比が目標空燃比に維持されるように或いは目標空燃比に近付くように、基準噴射量が決定される。この際、目標空燃比は、燃料の燃焼が可能となる範囲である限りにおいて、基本的には如何なる値であってもよい。例えば、排気を浄化する三元触媒装置の浄化効率に律束される形で、理論空燃比(14.7)付近に設定されてもよい。また、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて決定された値であってもよい。尚、このような空燃比FBを実行する際のベースとなる噴射量(本発明に係る基準噴射量とは異なる)が、予め、例えば、機関回転数又はアクセル開度(スロットル開度)などの要素値に対応付けられる形で然るべき記憶手段にマップなどの形態で格納されていてもよい。空燃比FBが実行される運転領域では、係るマップが空燃比FBの結果を反映して更新(学習)されてもよい。
【0012】
一方、内燃機関がディーゼルエンジンの形態を採る場合、基準噴射量は、機関回転数及びアクセル開度などに基づいて決定される。この際、機関回転数が低下する程噴射量が多くなるように、所謂ガバナ制御が実行される。また、ディーゼルエンジンでは、過給器の過給圧に応じて燃料噴射量の上限値(以下、適宜「噴射量上限値」と称する)が設定される。噴射量上限値は、ススなどのPM(Particulate Matter:粒状物質)及びスモーク(黒鉛)など被除去物質の発生限界を規定する値であり、過給圧が大きくなる程大きい値である。
【0013】
ガソリンエンジン及びディーゼルエンジンいずれの場合であっても、通常、この基準噴射量が最終的な噴射量として設定される。噴射制御手段は、この設定された噴射量の燃料が噴射されるように所定の噴射手段を制御する。尚、「所定の噴射手段」とは、内燃機関に対し燃料を噴射(供給)することが可能である限りにおいて何ら限定されないが、例えば、ガソリンエンジンの場合にはインジェクタ、ディーゼルエンジンの場合には、インジェクタを含み、例えば、弁開閉にピエゾ素子やソレノイドバルブを利用したコモンレールシステムなどが好適に使用される。
【0014】
ここで特に、内燃機関に要求される負荷が急激に変化する過渡的な期間(以下、適宜「過渡期」と称する)、例えば、内燃機関を搭載する車両が急激な加速を必要とした場合、或いは急峻な登坂路を走行する場合などには、過給器の応答遅延が発生し易い。この場合、過給状態規定値の目標値からの乖離が大きくなり、必然的に駆動手段に比較的大きなアシスト量が要求されることになる。
【0015】
ところが、駆動手段によるアシストによって、過給状態規定値がどの程度目標値に漸近するか、別言すれば、駆動手段による実際のアシスト量(実アシスト量)は、実際にアシストが実行されるまで不明である。更に、駆動手段に動力を供給する動力源(例えば、駆動手段がモータなどの電動機である場合にはバッテリなどの蓄電手段)が供給エネルギ不足である場合には、アシストが不十分になりかねない。即ち、駆動手段による過給器のアシストには不確定要素が多い。
【0016】
アシスト量が不足した場合、過給器の過給状態規定値は目標値よりも小さくなる為、結果的に、必要量の空気が内燃機関に吸入されない。空燃比FBが実行されるガソリンエンジンでは、吸入空気量と目標空燃比によって燃料噴射量が決定されてしまうから、この場合、基準噴射量も過給状態規定値に相応して低い値となり、内燃機関が出力不足となる。一方、ディーゼルエンジンでも、吸入空気量の停滞に伴って噴射量上限値が上昇しない為、基準噴射量がこの噴射量上限値に律束される形となって、内燃機関の出力が不足する。即ち、比較的短時間に高出力が要求される過渡期において、内燃機関の動力性能が低下し易い。
【0017】
このような問題を解決するために、本発明に係る内燃機関の制御装置は、補正手段を備えている。即ち、補正手段は、駆動手段によって過給器がアシストされる場合に、基準噴射量を増量補正する。噴射制御手段は、燃料の噴射量が、この増量補正された基準噴射量となるように噴射手段を制御する。従って、駆動手段のアシスト量が不足する或いは低下した場合であっても内燃機関の出力を増加させることが可能となって、動力性能の低下が回避されるのである。
【0018】
ここで、補正手段の態様は、噴射される燃料が最終的に基準噴射量よりも増量される限りにおいて何ら限定されない。この際、増量補正に際しての補正量(即ち、増量分)は、基準噴射量が幾らかなりとも増量される限りにおいて何ら限定されない。また、「アシストされる場合に」とは、必ずしも過給器がアシストされる期間の全てでなくてもよい趣旨である。例えば、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどによって、駆動手段のアシスト量が不足することが判明している又は推定し得る場合などに限って、係る増量補正が実行されてもよい。
【0019】
一方、このように増量補正が行われると、ガソリンエンジンにおいて、空燃比が必然的にリッチ側に推移する。従って、この場合は、空燃比FBは中止されてもよい。また、ディーゼルエンジンでは、噴射量が噴射量上限値を超える場合がある。この場合、ススが発生し易く、環境性能が低下し易い。然るに、過渡期は短いものであり、過給器は短時間の応答遅延を経て目標過給圧或いは目標過給圧近傍まで上昇するから、このような過渡期について燃料が過多な状態になっても問題となる程度に環境性能の劣化は生じない。
【0020】
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記駆動手段はモータである。
この態様によれば、駆動手段が比較的簡便に実現される。この場合、モータは、バッテリなどの電源から電力又はそれに類する動力(電圧など)を供給され、供給された電力などを回転動力に変換して、過給部材、例えばタービンなどを作動させる。尚、本発明に係るモータとは、このような電動機としての機能を有する限りにおいて、例えば過給圧が余剰である場合に係る余剰な過給圧を利用してバッテリなどを充電する、ジェネレータ(発電機)としての機能を有していてもよい。このような過給器及びモータを含む機構は、例えば、MAT(Motor Assist Turbo)などと称される。
【0021】
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関はディーゼルエンジンであり、前記過給状態を規定する値は、前記過給器の過給圧であり、前記駆動手段のアシスト量が所定量増加した場合の前記過給圧を推定する過給圧推定手段を更に具備し、前記補正手段は、前記過給器がアシストされる場合であって且つ前記過給圧が前記目標値未満である場合に、前記過給圧と前記推定された過給圧との差分に基づいて前記基準噴射量を増量補正する。
【0022】
内燃機関がディーゼルエンジンであって、且つ過給状態規定値が過給圧である場合、既に述べたように本発明に係る効果が顕著に発揮される。
【0023】
この態様によれば、過給圧が目標値未満である場合に増量補正が行われるため、効率的に動力性能の低下を回避し得る。また、推定された過給圧(以下、適宜「推定過給圧」と称する)と過給圧との差分に基づいて基準噴射量が増量補正されるため、補正量が比較的簡便に得られると共に、比較的容易に適切な増量補正を行うことが可能となる。尚、増量補正される際の補正量は、過給圧と推定過給圧との差分に基づいて決定される。ここで、「差分に基づいて」とは、必ずしも差分の値そのものに基づいていなくともよく、このような差分と相関する何らかの値に基づいていてもよい趣旨である。更には、このような、差分或いは差分に対応する何らかの値に加え、更に内燃機関における他の要素値、例えば、機関回転数などに更に基づいていてもよい趣旨である。
【0024】
尚、過給圧を推定する態様は、過給圧を推定し得る限りにおいて何ら限定されないが、例えば、現時点におけるアシスト量(実アシスト量)、過給圧、機関回転数及び燃料噴射量などの関数として過給圧が推定されてもよい。
【0025】
尚、「所定量増えた場合に」とは、アシスト量が現時点におけるアシスト量よりも大きくなる限りにおいて、好ましくは所定量増えた結果過給圧が目標過給圧を超えない範囲で、増量分は自由に設定されてよいことを表す趣旨である。
【0026】
更にこの場合、前記推定手段は、前記アシスト量が所定量増加した場合の過給圧の少なくとも一つとして、前記アシスト量が最大である場合の前記過給圧を推定してもよい。
【0027】
この場合、駆動手段のアシスト量が最大である場合の過給圧が推定される。従って、駆動手段が過渡期においてアシスト不可能(十分なアシストが不可能)となった場合であっても、噴射量を十分に担保することが可能であり、動力性能の低下が好適に回避される。
【0028】
内燃機関がディーゼルエンジンである本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関は、前記燃料の燃焼に際して発生するススの浄化を行う浄化手段を更に具備し、前記内燃機関の制御装置は、前記噴射量に基づいて前記浄化手段における前記ススの堆積量を推定する堆積量推定手段を具備する。
【0029】
この態様によれば、内燃機関にはススの浄化を行う浄化手段が備わる。係る浄化手段とは、このような浄化手段が何ら設けられない場合と比較して内燃機関の燃焼において生じるススを幾らかなりとも低減することが可能な限りにおいて何ら限定されず、DPR(Diesel Particulate Reduction System)又はDPNR(Diesel Particulate NOx Reduction System)といった、ススに加えて他のPMやSOFといった物質を除去可能な触媒であってもよい。
【0030】
ここで、ススの堆積量を推定する態様は何ら限定されるものではないが、例えば、予め機関回転数及び増量補正された燃料噴射量と基準噴射量との差分を各軸に配してなる堆積量推定用のマップ上に、堆積量推定用の補正係数が用意されていてもよい。この際、一定又は不定に訪れるタイミング毎に、係るマップ上で適合する補正係数が読み出され、基準となる排出量(例えば、基準噴射量が噴射された場合の排出量)に乗じられることによりススの排出量が算出されてもよい。また、その他、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどに基づいて推定の指標が与えられていてもよい。
【0031】
尚、「ススの堆積量を推定する」とは、ススの堆積量と対応関係を有する他の物質の堆積量が推定されてもよい趣旨である。例えば、ススを含むPMの堆積量が推定されてもよい。
【0032】
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、例えば過渡期に、燃料が基準噴射量よりも多く噴射されるため、経時的にみてススの排出量は多くなるが、この態様によれば、スス、PMなどの被除去物質の堆積量を把握することが可能となるため、適切な浄化を実行することができ、動力性能と共に環境性能の低下を回避し得る。
【0033】
尚、この態様では、前記推定された堆積量に応じて前記浄化手段における前記ススの浄化を促進する浄化促進手段を更に具備してもよい。
【0034】
浄化促進手段は、推定された堆積量に応じて浄化手段(触媒)による浄化を促進する。ここで、「浄化を促進する」とは、浄化手段による浄化が促進される限りにおいて、浄化手段に直接的に何らかの作用を及ぼしてもよいし、浄化手段に作用を及ぼし得る何らかの手段を介して浄化手段の浄化を促してもよい趣旨である。例えば、燃料点火弁などを利用して排気管(エキゾーストマニホールド)温度を上昇させ間接的に触媒活性を高めてもよい。このような浄化の促進は、推定された堆積量に応じて行われる。例えば、浄化手段(触媒)を活性させるための動作を行うインタバルを推定された堆積量に応じて短くしてもよい。この態様によれば、動力性能と共に環境性能の低下を回避し得る。
【0035】
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記内燃機関はガソリンエンジンであり、前記過給器はタービンを含み、前記過給状態を規定する値は、前記タービンの回転数であり、前記基準噴射量決定手段は、空燃比が所定の目標空燃比となるように前記基準噴射量を決定し、前記補正手段は、前記駆動手段によって前記過給器がアシストされる場合に、前記目標空燃比を相対的に小さくすることによって前記基準噴射量を増量補正する。
【0036】
内燃機関が、ガソリンエンジンであって、過給状態規定値がタービン回転数である場合、既に述べたように本発明に係る効果が顕著に発揮される。
【0037】
この態様によれば、基準噴射量決定手段は、空燃比FBに基づいて空燃比が目標空燃比となるように基準噴射量を決定し、基準噴射量が増量補正される際には、補正手段が、この目標空燃比を相対的に小さな値に設定するため、簡便に燃料の噴射量を増量することが可能となる。例えば、基準噴射量が、理論空燃比近傍に設定された目標空燃比に基づいて決定されている場合に、基準噴射量を増量補正する際には、目標空燃比を、例えば、パワー空燃比と称される、理論空燃比よりもリッチ側にシフトした値に設定してもよい。また、パワー空燃比の他にも、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて、比較的高出力が得られることが判明している、或いは推定される空燃比を決定し得る場合には、目標空燃比はそのような空燃比に設定されていてもよい。
【0038】
尚、目標空燃比の設定態様は、本発明に係る効果が担保される限りにおいて何ら限定されない。例えば、通常運転時と増量補正時の2種類について目標空燃比が定められていてもよいし、更に内燃機関又は車両における諸条件に応じて多段階に目標空燃比が設定されていてもよい。
【0039】
尚、この場合、前記補正手段は、前記過給器がアシストされる場合であって且つ前記タービンの回転数が前記目標値未満である場合に、前記基準噴射量を増量補正してもよい。
【0040】
この態様によれば、タービン回転数が目標値未満である場合に基準噴射量が増量補正されるため、効率的である。
【0041】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
<実施形態>
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0043】
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
【0044】
図1において、エンジンシステム10は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)100及びエンジン200を備える。
【0045】
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、エンジン200の動作を制御すると共に、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例として機能するように構成されている。
【0046】
エンジン200は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。以下に、エンジン200の要部構成を説明する。
【0047】
シリンダブロック201内部には、4本のシリンダ202が並列して配置されている。各シリンダ内部には、インテークマニホールド203及び図示せぬ吸気バルブを介して空気が供給されている。エンジン200は、各シリンダ内部でピストン(不図示)が吸入空気を圧縮し、インジェクタ211から噴射される燃料が自発火して生じる爆発力をコネクションロッド及びクランクシャフト(いずれも不図示)を介して回転運動に変換することが可能に構成されている。
【0048】
インテークマニホールド203には、エアクリーナ204によって濾過された大気が供給される。また、インテークマニホールド203上には、吸入空気量を計測するためのエアフローメータ205が設置されており、吸入空気の質量流量が直接計測されている。また、インテークマニホールド203には、吸入空気を絞り込むためのスロットルバルブ208が設けられている。
【0049】
各シリンダ202から図示せぬ排気バルブを介して排気された排気ガスは、エキゾーストマニホールド212を介して触媒装置216に導かれ、排出される。触媒装置216は、PM及びNOxを同時に浄化することが可能なディーゼルエンジン用四元触媒システムである。
【0050】
一方、排気ガスの一部は、エキゾーストマニホールド212を流れる過程で、MAT206を通過する。MAT206は、モータアシスト機能付きのターボチャージャー装置であり、モータ(本発明に係る「駆動手段」の一例)によってターボ(本発明に係る「過給器」の一例)の過給圧をアシストすることが可能に構成されている。尚、MAT206におけるモータは、バッテリ219によって電源電圧を供給されており、バッテリ219の電力残量に基づいてそのアシスト量が決定される。
【0051】
排気ガスの一部はMAT206のタービンを駆動する。このタービンの駆動に伴ってコンプレッサが作動し、インテークマニホールド203内部に、大気圧以上の過給圧で空気を取り込むことが可能となっている。また、インテークマニホールド203には、コンプレッサによって圧縮されることによって高温となった吸入空気を冷却し、吸入効率を向上させるためのインタークーラ207が設置されている。尚、MAT206の過給圧は、過給圧センサ209によって検出される。
【0052】
排気ガスの一部は、MAT206を通過する以外に、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環装置)パイプ214及びEGRバルブ215を介してインテークマニホールド203に再供給される。また、EGRパイプ214には、EGRクーラ213が設置され、排気ガスは冷却された状態でインテークマニホールド203に供給される構成となっている。EGRパイプ214、EGRバルブ215及びEGRクーラ213によってEGR装置が構成され、エンジン200のNOx排出量が低減されている。
【0053】
尚、運転者によるアクセルペダル217の操作量は、アクセルポジションセンサ218によって検出されており、その検出値はECU100に入力されている。ECU100は、アクセルポジションセンサ218からの入力に応じて不図示のスロットルバルブモータを駆動し、前述のスロットルバルブ208の開閉動作を制御している。
【0054】
シリンダ202内部への燃料噴射は前述した通りインジェクタ211によって行われる。インジェクタ211は、圧電式の噴射装置であり、ECU100によってその噴射動作が制御されている。インジェクタ211への燃料供給は、コモンレール210によって高圧、高速且つ均一に行われており、コモンレール210によって、高温且つ高圧のシリンダ内への安定した燃料供給が実現されている。
【0055】
<実施形態の動作>
ECU100は、エンジン200の動作期間中、常にモータアシスト処理を実行し、ターボの過給圧不足を補っている。ここで、図2を参照して、モータアシスト処理の詳細について説明する。ここに、図2は、モータアシスト処理のフローチャートである。
【0056】
図2において、ECU100は、MAT206の目標過給圧Paを決定する(ステップA10)。目標過給圧Paは、アクセルペダル217の開度及びエンジン200の機関回転数に対応付けて算出される。
【0057】
目標過給圧Paが決定されると、ECU100は、過給圧センサ209の出力値を参照し、実過給圧Prが目標過給圧Pa未満であるか否かを判別する(ステップA11)。実過給圧Prが目標過給圧Pa以上である場合(ステップA11:NO)、モータによるアシストは必要ないため、ECU100は処理をステップA10に戻し、処理を繰り返す。
【0058】
一方で、実過給圧Prが目標過給圧Pa未満である場合(ステップA11:YES)、ECU100は、MAT206におけるモータのアシスト量を算出する(ステップA12)。モータアシスト量は、実過給圧Prと目標過給圧Paとの差圧及びバッテリ219の電力残量に基づいて決定される。通常、係る差圧がゼロとなるようにアシスト量が決定される。
【0059】
アシスト量が決定されると、ECU100は、モータを駆動制御してターボをアシストする(ステップA13)。モータが駆動制御されると、処理はステップA10へ移行し、一連の処理が繰り返される。尚、係るループ処理において、モータが駆動制御されている状態において、ステップA11に係る判別が「NO」となった場合には、ECU100は、モータの駆動を停止する。このように、MAT206は、実過給圧Prが目標過給圧Paと一致するように或いは漸近するように制御されている。
【0060】
一方、ECU100は、モータアシスト処理と並行する形で噴射量決定処理を実行し、エンジン200に対する燃料の噴射量を決定している。ここで、図3を参照して、噴射量決定処理の詳細について説明する。ここに、図3は、噴射量決定処理のフローチャートである。
【0061】
図3において、ECU100は、始めに、基準噴射量を決定する(ステップB10)。ECU100は、予めROMに基準噴射量のマップを保持している。基準噴射量のマップは、基準噴射量を、エンジン200の機関回転数とアクセルポジションセンサ218の出力値(即ち、アクセルペダル217の開度)とに対応付けたマップであり、ECU100は、アクセルポジションセンサ218の出力値及び図1において不図示のクランクポジションセンサから得られるエンジン200の機関回転数を基準噴射量のマップに適合させ、対応する値を基準噴射量として取得する。
【0062】
尚、基準噴射量は、実過給圧Prによって規定される噴射量上限値の範囲内で決定される。この際、MAT206のモータアシストが実行されていてもいなくともよい。
【0063】
基準噴射量が決定されると、ECU100は、モータアシストの実行中であるか否かを判別する(ステップB11)。モータアシストが実行されていない場合(ステップB11:NO)、処理はステップB15に移行される。一方、モータアシストが実行されている場合(ステップB11:YES)、ECU100は、更に、アシスト量が不足しているか否かを判別する(ステップB12)。ECU100は、アシスト量が不足していない場合(ステップB12:NO)、処理をステップB15に移行する。
【0064】
一方、前述したモータアシスト処理において算出されるアシスト量は計算値であり、実際にモータアシストが実行されたことによる実過給圧Prは、必ずしも目標過給圧Paとはならない場合が多い。例えば、モータアシストの実行中に或いはモータアシスト開始時点からバッテリ219の残量が不足した或いはしている場合、所望のモータアシスト量が得られない。或いは、エンジン200が高負荷状態である場合には、モータが最大アシスト量で過給をアシストしても目標過給圧に到達しない場合がある。このようなモータアシスト量の不足は、エンジン200の過渡的な動作期間、例えば、急加速時や登坂路走行時などにおいて顕著に発生し易い。即ち、過渡的な動作期間では、エンジン200の動力性能の低下が顕著に発生し易い。そこで、ECU100は、アシスト量が不足している場合(ステップB12:YES)には、基準噴射量を増量補正し、エンジン200の出力を上昇させて、動力性能の低下を回避する。
【0065】
具体的には、ECU100は、MAT206のモータアシスト量が最大である場合の過給圧Pestを推定する(ステップB13)。以後、この推定された過給圧を適宜「推定過給圧Pest」と称することとする。
【0066】
ここで、一般的には、モータの出力容量などの観点から、モータアシスト実行時のアシスト量は、その時点における現実的な最大アシスト量であることが多い。従って、バッテリ219の残量が良好である場合には、現時的な最大アシスト量は、理論的な最大アシスト量(即ち、ステップB13における最大アシスト量)と一致するため、推定過給圧Pestは、即ち、実過給圧Prと一致する。
【0067】
然るに、バッテリ219の充電状態が良好ではない場合、端的に言ってバッテリ残量が不足している場合には、MAT206のモータは十分なアシストを行うことができない。即ち、バッテリ残量に基づいた現実的な最大アシスト量は、理論的な最大アシスト量よりも小さくなる。この場合、推定過給圧Pestは、実過給圧Prよりも大きな値となる。
【0068】
尚、推定過給圧Pestは、現時点におけるアシスト量、機関回転数、実過給圧Pr及び現時点での燃料噴射量などに基づいて算出される。尚、前述したように、アシスト量と実過給圧Prとの関係は、エンジン200における諸条件に影響されて一意には決定されないため、推定過給圧Pestは、必ずしも実際に最大アシスト量で過給器がアシストされた場合の実過給圧Prと一致せずともよい。また、推定過給圧Pestが目標過給圧Paを超える可能性は低いが、推定過給圧Pestの上限値は、念のため目標過給圧Paに設定されている。
【0069】
推定過給圧Pestが得られると、ECU100は、基準噴射量を補正するための補正量を算出する(ステップB14)。補正量は、実過給圧Prと推定過給圧Pestとの差分、エアフローメータ205によって検出される吸入空気量及び機関回転数などに基づいて算出される。
【0070】
補正量が算出されると、ECU100は処理をステップB15に移行し、最終噴射量を決定する。前述したステップB11又はステップB12で「NO」と判別された場合には、このステップB15において、基準噴射量が最終噴射量として決定される。一方、アシスト量が不足している場合の最終噴射量は、基準噴射量に対し補正量が加算された(即ち、増量補正された)値として決定される。最終噴射量が、基準噴射量又は増量補正された噴射量に決定されると、ECU100は、処理をステップB10に戻し、一連の処理を繰り返す。本実施形態では、このようにして燃料の噴射量が決定されている。
【0071】
ここで、図4を参照して、本実施形態に係る効果について説明する。ここに、図4は、エンジン200における過給圧、燃料噴射量及びアクセルペダル開度の相関図である。
【0072】
図4において、横軸は時間であり、縦軸は上段、中段及び下段で夫々過給圧、燃料噴射量及びアクセルペダル開度を表している。尚、同図は、バッテリ219の充電量が十分ではない場合(即ち、図3において推定過給圧Pestが実過給圧Prを上回る場合)について示されている。また、図4において、相対的太線部分は、本実施形態の効果が顕著に現れる部分であり、それと対応する期間における相対的細線部分は、本発明の比較例(推定過給圧Pestに基づいた噴射量補正が行われない例)に係る値を示す曲線である。尚、比較例とは、即ち、基準噴射量が噴射される場合に他ならない。
【0073】
時刻T1においてアクセル開度が急激に上昇する(アクセルペダルが急激に踏み込まれる)と、基準噴射量は比較的早く追従するが、実過給圧Prには、排気によってタービンが作動する関係上、必然的に応答遅延が発生する。一方、推定過給圧Pestは、理論的な最大アシスト量が得られている場合を推定するものであるから、モータのアシストが効果的に作用し、図示上段における相対的太線の如く実過給圧Prよりも立ち上がり速度が早くなる。これに伴い、推定過給圧Pestに基づいて噴射量の増量補正を行った場合(図示中段における相対的太線)、燃料の噴射量は比較例よりも多くなる。
【0074】
このため、本実施形態に係る噴射量制御によれば、過渡的な動作期間において、バッテリ219の残量不足などにより、モータアシストが十分に作用しない場合には、比較例に比べて多くの燃料が噴射されることになる。従って、動力性能の低下が回避される。
【0075】
一方、噴射量の補正が実行されない場合(即ち、基準噴射量が噴射される場合)、エンジン200から排出されるススの量は本実施形態に比べて少ないものとなる。然るに、このように、主として過渡期、更にはモータが効果的に動作しない期間は、エンジン200の動作期間の極一部であり、係る期間において一時的に増量するススなどのPMは、触媒装置216によって問題無く浄化し得る。従って、本実施形態に係るエンジンシステム10によれば、動力性能の低下が効果的に回避されるのである。
【0076】
<第2実施形態>
一方で、第1実施形態において比較的多く排出されたススなどのPMは、触媒装置216の制御態様によって、一層効果的に浄化が可能である。ここで、図5を参照して、このような本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図5は、本発明の第2実施形態に係る噴射量決定処理のフローチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0077】
図5において、ステップB10〜ステップB15までは第1実施形態と同様であり、ステップB15において最終噴射量が決定されると、ECU100は、PM堆積量補正係数Kpmを算出する(ステップC10)。
【0078】
ここで、PM堆積量補正係数Kpmは、ステップB14において決定された補正量及びエンジン200の機関回転数などに基づいて取得される。PM堆積量補正係数Kpmは、基準噴射量が噴射された場合のPMの発生量(ベース発生量)に対する掛け率として算出される。
【0079】
PM堆積量補正係数Kpmが算出されると、ECU100は、予め変数として保持するPM堆積量を更新する(ステップC11)。ECU100は、所定の記憶手段(例えば、RAM)に、触媒装置216におけるPMの堆積量を積算値として記憶している。この積算値は、即ち、図5に係る一連の処理を実行する過程で、ステップC11が訪れる毎に加算的に更新される値である。この積算量が所定値に達すると、ECU100は、エキゾーストマニホールド212の温度を上昇させ、触媒装置216を活性状態に制御し、堆積したPMを浄化する処理行う。即ち、ECU100は、本発明に係る「堆積量推定手段」及び「浄化促進手段」としても機能するように構成されている。
【0080】
このように、第2実施形態に係る噴射量決定処理によれば、第1実施形態に係る噴射量決定処理を行う際に比較的多く発生し易いPMの堆積量を推定することによって、最適なタイミングで触媒装置216によってPMを浄化させることが可能となっている。従って、動力性能の低下を回避しつつ環境性能の低下を好適に回避し得る。尚、このような浄化のタイミングは、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて、PMを適切に除去し得るタイミングとして設定されていてもよい。
【0081】
<第3実施形態>
第1及び第2実施形態は、ディーゼルエンジンを備えたシステムについて述べたが、内燃機関の形態はディーゼルエンジンに限定されない。ここで、そのような本発明の第3実施形態について説明する。
【0082】
始めに、図6を参照して、本発明の第3実施形態に係るエンジンシステム20の構成について説明する。ここに、図6は、エンジンシステム20の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図6において、エンジンシステム20は、ECU300及びエンジン400を備える。尚、ECU300は、実行する処理が第1及び第2実施形態に係るECU100と相違しているのみであるため、詳細な説明は省略する。
【0084】
エンジン400は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンであり、コモンレール210を有さず、点火プラグ401を有し、更に、触媒装置216の代わりに触媒装置402を有する点においてエンジン200と相違している。
【0085】
点火プラグ401は、各シリンダに個別に設置されており、その点火時期がECU300によって制御されたプラグである。エンジン400は、点火プラグ401によって各シリンダ内の圧縮混合気が着火され、爆発(膨張)工程が開始される構成となっている。また、インジェクタ211は、夫々インテークマニホールド203における不図示の吸気バルブの直前に気化ガソリンを噴射するように設置されている。
【0086】
触媒装置402は、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)及びNOx(窒素酸化物)を酸化還元することによって同時に浄化することが可能に構成された三元触媒である。
【0087】
エンジンシステム20では、第1及び第2実施形態と同様に、MAT206によるアシストが実行される。ここで、図7を参照して、本実施形態に係るモータアシスト処理の詳細について説明する。ここに、図7は、本発明の第3実施形態に係るモータアシスト処理のフローチャートである。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図7において、ECU300は、MAT206の目標タービン回転数Ntaを決定する(ステップD10)。目標タービン回転数Ntaは、アクセルペダル217の開度及びエンジン200の機関回転数に対応付けて算出される。
【0089】
目標タービン回転数Ntaが決定されると、ECU100は、実タービン回転数Ntrが目標タービン回転数Nta未満であるか否かを判別する(ステップD11)。実タービン回転数Ntrが目標タービン回転数Nta以上である場合(ステップD11:NO)、モータによるアシストは必要ないため、ECU100は処理をステップA10に戻し、処理を繰り返す。尚、実タービン回転数Ntrは、MAT206がモータによってタービンを回転させる構成を採ることから自明なように、MAT206自身が制御値として保持している。
【0090】
一方で、実タービン回転数Ntrが目標タービン回転数Nta未満である場合(ステップD11:YES)、ECU100は、MAT206におけるモータのアシスト量を算出する(ステップD12)。モータアシスト量は、実タービン回転数Ntrと目標タービン回転数Ntaとの差分及びバッテリ219の電力残量に基づいて決定される。アシスト量が決定されると、ECU100は、モータを駆動制御してターボをアシストする(ステップA13)。
【0091】
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る噴射量決定処理の詳細について説明する。ここに、図8は、本発明の第3実施形態に係る噴射量決定処理のフローチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
図8において、基準噴射量が決定される(ステップE10)。エンジン400は、ガソリンエンジンであり、基準噴射量は、空燃比FBに基づいて決定される。空燃比のフィードバックは、図6において不図示の空燃比センサの出力及びエアフローメータ205の出力などを参照し、エンジン400の空燃比が目標空燃比となるように実行される。尚、本実施形態において、目標空燃比は、理論空燃比(14.7)に設定されており、基準噴射量は、概ねこの理論空燃比近傍の空燃比が実現されるように決定されている。尚、係る空燃比FBが実行される際には、予めECU300のROMなどに格納される、機関回転数及びアクセル開度に対応付けられた噴射量マップを、空燃比FBの実行過程で書き換える処理(学習処理)が実行される。
【0093】
ここで、ステップB12において、MAT206のアシスト量が不足していると判別された場合、ECU300は、目標空燃比をパワー空燃比に変更する(ステップE11)。パワー空燃比とは、三元触媒たる触媒装置402を効率的に作動させることが可能な理論空燃比よりも、エンジン400の出力が優先された空燃比であり、概ね12.5程度の値である。
【0094】
目標空燃比がパワー空燃比に変更されると、ECU300は、燃料噴射量の補正量を算出する(ステップE12)。ステップE12で算出される補正量は、目標空燃比が変更されたことによって自動的に生じる燃料の不足分である。補正量が算出されると、基準噴射量と補正量とが加算され、最終噴射量として決定される(ステップB15)。このように、第3実施形態に係る噴射量決定処理によれば、モータのアシスト量が不足している場合に、パワー空燃比を目標空燃比とした比較的大量の燃料が噴射される。従って、動力性能の低下が回避されるのである。
【0095】
尚、第3実施形態に係る基準噴射量の補正は、フィードバックの目標値が変更された結果として生じる、基準噴射量自体の変更とも言うことができる。従って、図8に係る処理において、一連のループ処理の期間中、毎回補正量が算出される必要はなく、一度目標空燃比がパワー空燃比に変更されれば、以後は基準噴射量が最終噴射量として決定されてもよい。
【0096】
また、基準噴射量の増量補正を行うに際し、必ずしも目標空燃比を変更する必要はない。例えば、このようなアシスト量の不足する期間(例えば、過渡期)については、空燃比FBを中止して基準噴射量を増量してもよい。この際の補正量は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーションなどに基づいて設定されていてもよい。
【0097】
更には、既に述べたようなモータアシストの不確定要素に鑑みて、モータアシストの実行時には、アシスト量が不足しているか否かの別によらず、目標空燃比をパワー空燃比に変更するように、ECU300が処理を行ってもよい。この場合、動力性能の低下がアクティブに回避されるため、効果的である。
【0098】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。
【図2】図1のエンジンシステムにおいてECUが実行するモータアシスト処理のフローチャートである。
【図3】図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する噴射量決定処理のフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る効果を説明するための、過給圧、噴射量及びアクセル開度の特性図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る噴射量決定処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。
【図7】図6のエンジンシステムにおいてECUが実行するモータアシスト処理のフローチャートである。
【図8】図6のエンジンシステムにおいてECUが実行する噴射量決定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
10…エンジンシステム、20…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、206…MAT(モータアシストターボ)、209…過給圧センサ、219…バッテリ。300…ECU、400…エンジン。




 

 


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