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発明の名称 内燃機関の排気浄化システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2774(P2007−2774A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184576(P2005−184576)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
発明者 大羽 孝宏
要約 課題
内燃機関の排気浄化システムにおいて、排気通路に設けられた排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制すること。

解決手段
再生制御の実行開始時点での流入排気の温度変化率を算出する。そして、この温度変化率が負の値の場合、該温度変化率が比較的小さいときは該温度変化率が比較的大きいときと比較して、再生制御の実行初期における触媒への還元剤供給量をより少ない量とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置と、
該排気浄化装置より上流側の前記排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒と、
前記排気浄化装置に流入する排気である流入排気の温度を検出する流入排気温度検出手段と、
前記流入排気の温度の単位時間当たりの変化量である排気温度変化率を算出する排気温度変化率算出手段と、
前記触媒にその上流側から還元剤を供給することで前記排気浄化装置を昇温させ、それによって該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記再生制御における前記触媒への還元剤供給量を決定する還元剤供給量決定手段と、を備え、
前記再生制御実行手段は、所定条件が成立したときに前記再生制御を開始し、
前記還元剤供給量決定手段は、前記再生制御における前記触媒への還元剤供給量の基準値である基準供給量を前記内燃機関の吸入空気量および前記流入排気の温度に基づいて算出する基準供給量算出手段を有しており、さらに、前記所定条件が成立した時点における前記排気温度変化率が負の値である場合、該排気温度変化率が比較的小さいときは該排気温度変化率が比較的大きいときと比較して前記基準供給量がより少ない量となるように補正し、その補正量を、前記再生制御の実行初期における前記触媒への還元剤供給量である初期供給量とすることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
【請求項2】
前記内燃機関の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となったときに、該内燃機関から排出される排気の温度が低下し始める時点から前記流入排気の温度が低下し始める時点までの期間である温度低下遅れ時間を算出する温度低下遅れ時間算出手段をさらに備え、
前記内燃機関の運転状態が前記過渡運転状態となった後に前記所定条件が成立した場合であって、且つ、前記所定条件が成立した時点における前記排気温度変化率が負の値である場合は、前記供給量決定手段が、前記再生制御における前記触媒への還元剤供給開始時の還元剤供給量を前記初期供給量とすると共に、還元剤供給開始後に還元剤供給量を徐々に増加させ、さらに、該還元剤供給量を増加させるときの増加速度を前記温度低下遅れ時間が短いほど速くすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置と、該排気浄化装置より上流側の排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気浄化システムにおいては、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置と、該排気浄化装置より上流側の排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒と、を備えたものが知られている。ここで、排気浄化装置としては、酸化機能を有する触媒を担持したパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと称する)や吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒と称する)が例示できる。フィルタは排気中の粒子状物質(以下、PMと称する)を捕集する。また、NOx触媒は、その周囲雰囲気が酸化雰囲気のときにNOxを吸蔵し還元雰囲気のときに吸蔵していたNOxを還元する。
【0003】
このような内燃機関の排気浄化システムでは、排気浄化装置の排気浄化能力を再生させるべく再生制御が行われている。この再生制御では排気浄化装置を昇温させるが、このときの昇温方法としては、排気浄化装置より上流側に設けられた酸化機能を有する触媒に還元剤を供給する方法が知られている。このような方法では、触媒において還元剤が酸化することで発生する酸化熱によって、排気浄化装置に流入する排気(以下、流入排気と称する)の温度が上昇する。そして、この流入排気の昇温に伴って排気浄化装置が昇温する。
【0004】
また、特許文献1には、上記のような再生制御において、触媒への還元剤供給量を流入排気の温度に基づいて制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−83029号公報
【特許文献2】特開2001−227381号公報
【特許文献3】特開平7−97918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生制御において、排気浄化装置より上流側に設けられた酸化機能を有する触媒に還元剤を供給する場合、還元剤供給量が触媒の温度に対して過剰な量となると、還元剤の一部が触媒で酸化されずに外部に放出されることで排気エミッションの悪化を招く虞がある。そのため、還元剤供給量を触媒の温度に応じて制御する必要がある。
【0006】
しかしながら、触媒の温度を直接検出することは困難である。そのため、触媒より下流側の排気の温度、即ち、流入排気の温度に応じて、還元剤供給量を制御する場合がある。このような場合、触媒の温度と流入排気の温度との間に差が生じ、それによって、還元剤供給量が過剰な量となる虞がる。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、内燃機関の排気浄化システムにおいて、再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排気浄化装置と、該排気浄化装置より上流側の排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化システムにおいて、再生制御の実行開始時点での流入排気の温度変化率を算出する。そして、この温度変化率が負の値の場合、該
排気温度変化率が比較的小さいときは該排気温度変化率が比較的大きいときと比較して、再生制御の実行初期における触媒への還元剤供給量をより少ない量とする。
【0009】
より詳しくは、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムは、
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置と、
該排気浄化装置より上流側の前記排気通路に設けられた酸化機能を有する触媒と、
前記排気浄化装置に流入する排気である流入排気の温度を検出する流入排気温度検出手段と、
前記流入排気の温度の単位時間当たりの変化量である排気温度変化率を算出する排気温度変化率算出手段と、
前記触媒にその上流側から還元剤を供給することで前記排気浄化装置を昇温させ、それによって該排気浄化装置の排気浄化能力を再生させる再生制御を実行する再生制御実行手段と、
前記再生制御における前記触媒への還元剤供給量を決定する還元剤供給量決定手段と、を備え、
前記再生制御実行手段は、所定条件が成立したときに前記再生制御を開始し、
前記還元剤供給量決定手段は、前記再生制御における前記触媒への還元剤供給量の基準値である基準供給量を前記内燃機関の吸入空気量および前記流入排気の温度に基づいて算出する基準供給量算出手段を有しており、さらに、前記所定条件が成立した時点における前記排気温度変化率が負の値である場合、該排気温度変化率が比較的小さいときは該排気温度変化率が比較的大きいときと比較して前記基準供給量がより少ない量となるように補正し、その補正量を、前記再生制御の実行初期における前記触媒への還元剤供給量である初期供給量とする。
【0010】
ここで、所定条件とは、排気浄化装置の排気浄化能力を再生する必要があると判断出来る条件である。この所定条件は予め定められている。
【0011】
また、本発明に係る再生制御では、触媒にその上流側から還元剤を供給する。還元剤が触媒で酸化することによって流入排気が昇温される。これに伴って排気浄化装置が昇温される。
【0012】
この再生制御における触媒への還元剤供給量は還元剤供給量決定手段によって決定される。この還元剤供給量決定手段は基準供給量算出手段を有しており、該基準供給量算出手段は、内燃機関の吸入空気量および流入排気の温度に基づいて基準供給量を算出する。
【0013】
内燃機関の運転状態が変化することで該内燃機関から排出される排気(以下、機関排出排気と称する)の温度が低下した場合、それに伴って、触媒および流入排気の温度も低下する。このとき、触媒には熱容量があるため、該触媒の温度は排気の流れに沿ってその上流部から徐々に低下する。そのため、機関排出排気の温度が低下し始めてから十分な時間が経過するまでの間においては、触媒の上流部および中央部の温度よりも該触媒の下流部の温度が高くなる場合がある。そして、触媒の上流部および中央部の温度が比較的低い温度となっていても該触媒の下流部の温度が比較的高い間は、該触媒の下流部によって該触媒を通過する排気が昇温される。その結果、触媒の上流部および中流部の温度低下よりも流入排気の温度低下は遅れることになる。
【0014】
つまり、機関排出排気の温度が低下した場合、十分な時間が経過するまでの間は触媒の上流部および中流部の温度よりも流入排気の温度の方が高くなる虞がある。このような状態のときに、再生制御が実行され、吸入空気量と流入排気の温度とに基づいて算出された基準供給量の還元剤が触媒に供給されると、還元剤供給量が実際の触媒の温度に対して過剰な量となる。
【0015】
また、流入排気の温度が低下しているときは、排気温度変化率算出手段によって算出される排気温度変化率が負の値となる。ここで、上記のように、流入排気の温度低下は触媒の上流部および中央部の温度低下よりも遅れている。つまり、排気温度変化率が負の値であるときは、触媒の上流部および中央部の温度が流入排気の温度よりもさらに低くなっていると判断出来る。
【0016】
また、機関排出排気の温度が低下することで触媒の温度が低下した場合、該触媒の単位時間当たりの温度低下量は、該触媒の温度が低下し始めた時点から時間が経過するほど小さくなる。そして、流入排気の温度も触媒の温度と同様に変化するため、排気温度変化率が負の値の場合、流入排気の温度が低下し始めた時点から時間が経過するほど該排気温度変化率は大きい値となる(排気温度変化率の絶対値は小さくなる)。また、流入排気の温度が低下し始めた時点から時間が経過するほど、該流入排気と触媒の上流部および下流部との温度差は小さくなる。
【0017】
つまり、所定条件が成立した時点における排気温度変化率が負の値である場合は、その時点において、流入排気の温度が触媒の上流部および中央部の温度よりも高くなっており、且つ、その排気温度変化率が小さいほど(排気温度変化率の絶対値が大きいほど)流入排気と触媒の上流部および中央部との温度差が大きくなっている。
【0018】
そこで、本発明では、所定条件が成立した時点における排気温度変化率が負の値である場合、該排気温度変化率が比較的小さいときは該排気温度変化率が比較的大きいときと比較して基準供給量がより少ない量となるように補正する。そして、この補正量を再生制御の実行初期における還元剤供給量である初期供給量とする。
【0019】
ここで、再生制御の実行初期とは、触媒への還元剤供給開始時のことであっても良く、また、触媒への還元剤供給開始時から流入排気の温度が上昇し始める時点までの期間のことでも良い。
【0020】
上記のような制御では、再生制御の実行開始時点において、流入排気の温度が触媒の上流部および中央部の温度よりも高い場合、その温度差が比較的大きいとき、即ち、触媒の上流部および中央部の温度が比較的低いときは、触媒の上流部および中央部の温度が比較的高いときと比較して再生制御における初期供給量が少ない量となる。そのため、還元剤供給量が触媒の温度に対して過剰な量となることを抑制することが出来る。
【0021】
従って、本発明によれば、再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制することが出来る。また、還元剤として内燃機関の燃料を使用する場合、燃費の悪化をも抑制することが出来る。
【0022】
本発明においては、内燃機関の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となったときに、機関排出排気の温度が低下し始めた時点から流入排気の温度が低下し始める時点までの期間である温度低下遅れ時間を算出する温度低下遅れ時間算出手段をさらに備えても良い。
【0023】
内燃機関の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となった場合、機関排出排気の温度が低下する。そして、機関排出排気の温度が低下し始めると、それに遅れて流入排気の温度が低下し始める。温度低下遅れ時間算出手段はこのときの温度低下遅れ時間を算出する。
【0024】
温度低下遅れ時間は、内燃機関の運転状態が上記のような過渡運転状態となった時点で
の触媒が有する熱量が多いほど長くなる。また、内燃機関の運転状態が上記のような過渡運転状態となった時点での吸入空気量が多いほど、該内燃機関の運転状態が過渡運転状態となっている間に排気によって触媒から持ち去られる熱量が多くなる。そのため、温度低下遅れ時間は、内燃機関の運転状態が上記のような過渡運転状態となった時点での吸入空気量が多いほど短くなる。
【0025】
また、排気温度変化率が負の値であるときは、流入排気の温度が低下している際中である。このようなときに、再生制御が実行されることで機関排出排気の温度が上昇した場合、それに伴って流入排気の温度も上昇し始める。しかしながら、この場合、機関排出排気の温度が低下するときと同様、流入排気の温度は機関排出排気の温度上昇に遅れて上昇する。つまり、機関排出排気の温度が上昇し始めてから、ある程度遅れて流入排気の温度が上昇し始める。
【0026】
さらに、このような場合における、機関排出排気の温度が上昇し始めた時点から流入排気の温度が上昇し始める時点までの期間(以下、温度上昇遅れ期間と称する)は、内燃機関の運転状態が上記のような過渡運転状態となったときにおける温度低下遅れ時間とほぼ同様の時間となる。つまり、温度低下遅れ時間が短いほど温度上昇遅れ時間も短くなる。
【0027】
一方、再生制御の実行が開始されると、機関排出排気の昇温に伴って触媒の上流部および中央部の温度は比較的早く昇温し始める。
【0028】
そこで、内燃機関の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となった後に所定条件が成立した場合は、該所定条件が成立した時点における排気温度変化率が負の値である場合であっても、触媒への還元剤供給開始時の還元剤供給量を上記のような初期供給量として再生制御を開始すると共に、還元剤供給開始後に還元剤供給量を徐々に増加しても良い。
【0029】
さらに、再生制御の実行開始後に流入排気の温度が上昇し始める時点においては、流入排気と触媒の上流部および中央部とはほぼ同様の温度となる。そのため、流入排気の温度上昇開始時点においては、還元剤供給量を基準供給量にまで増加させても該還元剤供給量が過剰となる可能性は低い。そのため、流入排気の温度上昇遅れ時間が短いほど、還元剤供給量を初期供給量から基準供給量にまでより速やかに増加させることが出来る。そして、上述したように、温度低下遅れ時間が短いほど温度上昇遅れ時間は短くなる。
【0030】
そこで、上記のように、触媒への還元剤供給開始時の還元剤供給量を初期供給量として再生制御を開始し、還元剤供給開始後に還元剤供給量を徐々に増加させる場合、そのときの増加速度を、温度低下遅れ時間算出手段によって算出される温度低下遅れ時間が短いほど速くしても良い。
【0031】
これによれば、再生制御の実行開始後に、流入排気の温度が上昇し始めるまでの時間、即ち、流入排気と触媒の上流部および中央部とがほぼ同様の温度となるまでの時間が短いほど触媒への還元剤供給量はより速やかに増加される。そのため、再生制御において、触媒への還元剤供給量が過剰な量となることを抑制しつつ、より多くの還元剤を触媒に供給することが出来る。従って、排気エミッションの悪化を抑制しつつ排気浄化装置をより速やかに昇温することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る内燃機関の排気浄化システムによれば、再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化システムの具体的な実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0034】
<内燃機関とその吸排気系の概略構成>
ここでは、本発明を車両駆動用のディーゼル機関に適用した場合を例に挙げて説明する。図1は、本実施例に係る内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図である。
【0035】
内燃機関1は車両駆動用のディーゼル機関である。この内燃機関1には、吸気通路3および排気通路2が接続されている。吸気通路3には、エアフロメータ7およびスロットル弁8が設けられている。
【0036】
一方、排気通路2には、排気中のPMを捕集するパティキュレートフィルタ4(以下、単にフィルタ4と称する)が設けられている。また、このフィルタ4より上流側の排気通路2に酸化触媒5が設けられている。尚、酸化触媒5は酸化機能を有する触媒であれば良く、例えば、NOx触媒であっても良い。本実施例では、フィルタ4が本発明に係る排気浄化装置を構成し、酸化触媒5が本発明に係る触媒を構成する。
【0037】
また、排気通路2には、フィルタ3の前後における排気通路2内の圧力差に対応した電気信号を出力する差圧センサ11が設けられている。さらに、排気通路2における、酸化触媒5より上流側、および、酸化触媒5より下流側且つフィルタ4より上流側には、排気の温度に対応した電気信号を出力する上流側温度センサ12および下流側温度センサ13がそれぞれ設けられている。
【0038】
以上述べたように構成された内燃機関1には、この内燃機関1を制御するための電子制御ユニット(ECU)10が併設されている。このECU10は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
【0039】
ECU10には、エアフロメータ7および差圧センサ11、上流側温度センサ12、下流側温度センサ13、さらに、内燃機関1のクランクシャフトの回転角に対応した電気信号を出力するクランクポジションセンサ14、および、内燃機関1を搭載した車両のアクセル開度に対応した電気信号を出力するアクセル開度センサ15が電気的に接続されている。そして、これらの出力信号がECU10に入力される。
【0040】
ECU10は、差圧センサ11の検出値に基づいてフィルタ4におけるPM捕集量を推定する。また、ECU10は、クランクポジションセンサ14の検出値に基づいて内燃機関1の回転数を算出し、アクセル開度センサ15の検出値に基づいて内燃機関1の負荷を算出する。
【0041】
また、ECU10には、スロットル弁8や内燃機関1の燃料噴射弁が電気的に接続されている。ECU10によってこれらが制御される。
【0042】
<フィルタ再生制御>
本実施例においては、フィルタ4におけるPM捕集量が第一所定捕集量以上となった場合、PMを酸化・除去すべくフィルタ再生制御が開始される。ここで、第一所定捕集量とは、内燃機関1の運転状態への影響が過剰に大きくなる捕集量よりも少ない量であり、また、PMが酸化したときにフィルタ4が過昇温する虞がある捕集量よりも少ない量である。この第一所定捕集量は実験等によって予め定められている。尚、本実施例においては、フィルタ4におけるPM捕集量が第一所定捕集量以上となることが本発明に係る所定条件に相当する。
【0043】
本実施例に係るフィルタ再生制御では、機関排出排気を昇温させる排気昇制御
が実行されると共に、内燃機関1において主燃料噴射より後の時期に副燃料噴射を実行することで酸化触媒5に還元剤として燃料が供給される。排気昇温制御としては、内燃機関1での主燃料噴射時期を遅角する制御やスロットル弁8を閉弁方向に制御する制御を例示することが出来る。
【0044】
また、副燃料噴射は、該副燃料噴射によって噴射された燃料の少なくとも一部が未燃の状態で内燃機関1から排出されるようなタイミングで実行される。この副燃料噴射実行時における燃料噴射量(副燃料噴射量)は、フィルタ4の温度を所定フィルタ温度とすべく制御される。ここで、所定フィルタ温度とは、捕集されているPMを酸化・除去することが可能な温度であって、且つ、フィルタ4の劣化を抑制することが可能な温度である。この所定フィルタ温度は実験等によって予め定められている。このようなフィルタ再生制御を実行することで、フィルタ4が昇温し、その結果、PMが酸化・除去される。
【0045】
<フィルタ流入排気の温度変化>
ここで、機関排出排気および酸化触媒の中央部、フィルタ流入排気それぞれの温度変化の関係について図2に基づいて説明する。図2の(a)および(b)、(c)の縦軸は、それぞれ、機関排出排気の温度Tex、酸化触媒5の中央部の温度Tcc(以下、触媒中央部温度Tccと称する)、フィルタ流入排気の温度Tfinを表している。これらの縦軸におけるT1およびT2、T3はそれぞれ同様の温度を表している。また、図2の(a)および(b)、(c)の横軸は時間を表している。
【0046】
図2におけるtaは、内燃機関1の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となった時期を表している。また、図2におけるtcは、フィルタ4におけるPM捕集量が第一所定捕集量以上となることでフィルタ再生制御の実行が開始された時期を表している。
【0047】
図2におけるtaの時期に、内燃機関の運転状態が上記のような過渡運転状態となると機関排出排気の温度Texが低下し始める。これに伴って、酸化触媒5およびフィルタ流入排気の温度Tfinも低下する。
【0048】
このとき、酸化触媒5には熱量容量があるため、該酸化触媒5の温度は排気の流れに沿ってその上流部から徐々に低下する。そのため、酸化触媒5の下流部の温度は、該酸化触媒5の上流部および中央部のよりも遅れてその温度が低下し始める。そして、酸化触媒5の上流部および中央部が比較的低温となった後であっても、酸化触媒5の下流部が比較的高温であれば該酸化触媒5の下流部によって酸化触媒5を通過する排気が昇温される。そのため、図2に示すように、酸化触媒5の上流部および中流部の温度低下よりもフィルタ流入排気の温度低下が遅れることになる。その結果、フィルタ流入排気の温度Tfinは、図2におけるtbの時期に低下し始める。ここで、機関排出排気の温度Texが低下し始めてからフィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始めるまでの期間(図2におけるtaからtbまでの期間)を温度低下遅れ時間Δtdrとする。
【0049】
このように、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態となることで機関排出排気の温度Texが低下した場合、フィルタ流入排気の温度Tfinは触媒中央部温度Tccよりも遅れて低下する。そのため、機関排出排気の温度Texが低下し始めてから十分な時間が経過しておらずフィルタ流入排気の温度Tfinが低下中である間は、図2に示すように、酸化触媒5の上流部および中央部の温度よりもフィルタ流入排気の温度Tfinの温度の方が高い場合がある。
【0050】
一方、図2におけるtcの時期に、即ち、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中に、フィルタ再生制御が開始されると機関排出排気の温度Texが上昇し始める。これに伴って、酸化触媒5の温度が上昇し、さらには、フィルタ流入排気の温度Tfinも上昇する。このとき、機関排出排気Texが低下する場合と同様、フィルタ流入排気の温度Tfinは酸化触媒5の上流部および中央部の温度よりも遅れて上昇する。その結果、フィルタ流入排気の温度Tfinは、図2におけるtdの時期に上昇し始める。ここで、機関排出排気の温度Texが上昇し始めてからフィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始めるまでの期間(図2におけるtcからtdまでの期間)を温度上昇遅れ時間Δturとする。
【0051】
<副燃料噴射量制御>
次に、本実施例に係るフィルタ再生制御において、副燃料噴射を実行するときの副燃料噴射量の制御、即ち、酸化触媒5への燃料供給量の制御について説明する。本実施例においては、フィルタ流入排気の温度Tfinが下流側温度センサ13によって検出される。そして、副燃料噴射実行時には、フィルタ流入排気の温度Tfinおよび内燃機関1の吸入空気量に基づいて、副燃料噴射量の基準値である基準副燃料噴射量が決定される。
【0052】
しかしながら、上記のように、内燃機関1の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となった後であって、フィルタ流入排気の温度Tfinの温度が低下している最中においては、フィルタ流入排気の温度Tfinが酸化触媒5の上流部および中央部の温度よりも高い場合がある。このようなときに、フィルタ4におけるPM捕集量が第一所定捕集量以上となり、フィルタ再生制御が実行されることで基準副燃料噴射量を副燃料噴射量として副燃料噴射が行われた場合、酸化触媒5への燃料供給量が過剰な量となる虞がある。
【0053】
そこで、本実施例では、フィルタ再生制御の実行開始時、即ち、フィルタ4におけるPM捕集量が第一所定捕集量となった時点で、フィルタ流入排気の温度Tfinの単位時間当たりの変化量である排気温度変化率αを算出する。フィルタ流入排気の温度Tfinが低下中の場合、この排気温度変化率αが負の値となる。そして、排気温度変化率αが負の値の場合、基準燃料噴射量を該排気温度変化率αが小さいほど(排気温度変化率αの絶対値が大きいほど)少ない量となるように補正し、この補正量を初期副燃料噴射量として副燃料噴射を実行する。
【0054】
機関排出排気の温度Texが低下することでフィルタ流入排気の温度Tfinが低下した場合、該フィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始めた時点から時間が経過するほど該排気温度変化率αは大きい値となる(排気温度変化率αの絶対値は小さくなる)。また、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始めた時点から時間が経過するほど、該フィルタ流入排気と酸化触媒5の上流部および下流部との温度差は小さくなる。
【0055】
そのため、上記のような制御によれば、フィルタ再生制御の実行開始時点において、フィルタ流入排気の温度Tfinが酸化触媒5の上流部および中央部の温度よりも高い場合、その温度差が大きいほど、即ち、酸化触媒5の上流部および中央部の温度が低いほど、該フィルタ再生制御における副燃料噴射量が少ない量となる。これにより、酸化触媒5への燃料供給量が該酸化触媒5の温度に対して過剰な量となることを抑制することが出来る。
【0056】
尚、フィルタ再生制御の実行が開始された後、フィルタ流入排気の温度Tfinの温度が上昇し始める時点では、フィルタ流入排気の温度Tfinと酸化触媒5の温度とはほぼ同等となっている。そこで、本実施例では、フィルタ再生制御の実行開始後、排気温度変
化率αが負の値である間は初期副燃料噴射量を副燃料噴射量とし、排気温度変化率αが0となった時点以降は基準副燃料噴射量を副燃料噴射量とする。
【0057】
<フィルタ再生制御の制御ルーチン>
次に、本実施例に係るフィルタ再生制御の制御ルーチンについて図3に示すフローチャート基づいて説明する。本ルーチンは、ECU10に予め記憶されており、内燃機関1の運転中、所定間隔毎に実行されるルーチンである。
【0058】
本ルーチンでは、ECU10は、先ずS101において、フィルタ4におけるPM捕集量Qpmが第一所定捕集量Q1以上であるか否かを判別する。このS101において、肯定判定された場合、ECU10はS102に進み、否定判定された場合、ECU10は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0059】
S102において、ECU10は、上述した排気昇温制御を実行する。
【0060】
次に、ECU10は、上流側温度センサ12によって検出される機関排出排気Texが酸化触媒5の活性温度Ta以上であるか否かを判別する。このS103において、肯定判定された場合、ECU10はS104に進み、否定判定された場合、ECU10はS103を繰り返す。
【0061】
S104に進んだECU10は、フィルタ再生制御の実行開始時点、即ち、排気昇温制御開始時点での排気温度変化率αが負の値であるか否かを判別する。ここで、排気温度変化率αを、排気昇温制御開始時点でのフィルタ流入排気の温度から排気昇温制御開始の1秒前のフィルタ流入排気の温度を減算することで算出しても良い。このS104において、肯定判定された場合、ECU10はS109に進み、否定判定された場合、ECU10はS105に進む。
【0062】
S105に進んだECU10は、現時点での内燃機関1の吸入空気量およびフィルタ流入排気の温度Tfinに基づいて基準副燃料噴射量Qfbaseを算出する。
【0063】
次に、ECU10は、S106に進み、基準副燃料噴射量Qfbaseを副燃料噴射量として副燃料噴射を実行する。これにより、フィルタ5の温度が目標フィルタ温度にまで昇温する。
【0064】
次に、ECU10は、S107に進み、フィルタ5におけるPM捕集量Qpmが第二所定捕集量Q2以下となったか否かを判別する。ここで、第二所定捕集量Q2とは、PM捕集量が再度第一所定捕集量Q1となるまでにはある程度時間がかかると判断出来る閾値となる量、即ち、PM捕集量が十分に減少したと判断出来る閾値となる量である。この第二所定捕集量Q2も実験等によって予め定められた量である。S107において、肯定判定された場合ECU10はS108に進み、否定判定された場合、ECU10はS105に戻る。
【0065】
S108において、ECU10は、排気昇温制御および副燃料噴射を停止する。即ち、フィルタ再生制御の実行を停止する。その後、ECU10は本ルーチンの実行を一旦停止する。
【0066】
一方、S109に進んだECU10は、S105と同様、現時点での内燃機関1の吸入空気量およびフィルタ流入排気の温度Tfinに基づいて基準副燃料噴射量Qfbaseを算出する。
【0067】
次に、ECU10は、S110に進み、基準副燃料噴射量Qfbaseを補正するための初期補正係数cを排気温度変化率αに基づいて導出する。ここでは、図4に示すような排気温度変化率αと初期補正係数cとの関係を表すマップから初期補正係数cが導出される。このマップにおいて排気温度変化率αは負の値であり、補正係数は正の値であって且つ1より小さい値である。このマップでは、排気温度変化率αが小さくなるほど初期補正係数cが小さい値となっている。
【0068】
次に、ECU10は、S111に進み、基準副燃料噴射量Qfbaseに初期補正係数cを乗算することで初期副燃料噴射量Qfeを算出する。
【0069】
次に、ECU10は、S112に進み、初期副燃料噴射量Qfeを副燃料噴射量として副燃料噴射を実行する。
【0070】
次に、ECU10は、S113に進み、現時点での排気温度変化率α´が0以上となったか否かを判別する。つまり、フィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始めたか否かを判別する。このS113において、肯定判定された場合、ECU10はS105に進む。これにより、副燃料噴射の実行開始後、フィルタ流入排気の温度Tfinと酸化触媒5の温度とがほぼ同等となった時点以降は基準副燃料噴射量Qfbaseを副燃料噴射量として副燃料噴射が実行される。一方、S113において、否定判定された場合、ECU10はS109に戻る。
【0071】
以上説明した制御ルーチンによれば、フィルタ再生制御の実行開始時点において、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中の場合、即ち、フィルタ流入排気の温度Tfinが酸化触媒5の上流部および中央部の温度よりも高い場合は、酸化触媒5の上流部および中央部の温度が低いほど、該フィルタ再生制御における副燃料噴射量が少ない量となる。これにより、酸化触媒5への燃料供給量が該酸化触媒5の温度に対して過剰な量となることを抑制することが出来る。
【0072】
従って、本実施例によれば、フィルタ再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制することが出来る。また、燃費の悪化をも抑制することが出来る。
【0073】
<変形例>
次に、本実施例の変形例として、フィルタ4の代わりにNOx触媒を設けた場合について説明する。このような場合、NOx触媒に吸蔵されたSOxを還元すべくSOx被毒再生制御が行われる。尚、この場合、NOx触媒が本発明に係る排気浄化装置を構成する。また、SOx再生制御が本発明に係る再生制御に相当する。
【0074】
SOx被毒再生制御においても、フィルタ再生制御と同様、NOx触媒を昇温すべく副燃料噴射によって酸化触媒5に燃料が供給される。これによりNOx触媒を昇温させ、さらに、副燃料噴射によってNOx触媒に還元剤として燃料を供給することで、NOx触媒の周囲が還元雰囲気となり、SOxが還元される。
【0075】
このような構成の場合、NOx触媒に流入する排気の温度変化は上記したフィルタ流入排気の温度変化と同様となる。そこで、SOx被毒再生制御における副燃料噴射量を上記フィルタ再生制御の場合と同様に制御する。これにより、SOx被毒再生制御の実行時における排気エミッションの悪化を抑制することが出来る。また、燃費の悪化をも抑制することが出来る。
【実施例2】
【0076】
本実施例に係る内燃機関とその吸排気系の概略構成は実施例1と同様であるためその説
明を省略する。また、本実施例においても、実施例1と同様、排気昇温制御および副燃料噴射を実行することでフィルタ再生制御が行われる。
【0077】
<副燃料噴射量制御>
ここで、本実施例に係るフィルタ再生制御において、副燃料噴射を実行するときの副燃料噴射量の制御について説明する。
【0078】
上述したように、内燃機関1の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態となることで機関排出排気の温度Texが低下した場合、該機関排出排気の温度Texが低下し始めてから温度低下遅れ時間Δtdrが経過してからフィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始める。温度低下遅れ時間Δtdrは、内燃機関1の運転状態が上記のような過渡運転状態となった時点での酸化触媒5が有する熱量が多いほど長くなり、内燃機関1の運転状態が上記のような過渡運転状態となった時点での吸入空気量が多いほど短くなる。
【0079】
また、内燃機関1の運転状態が上記のような過渡運転状態となった後、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中にフィルタ再生制御が実行されることで機関排出排気の温度Texが上昇した場合、該機関排出排気の温度Texが上昇し始めてから温度上昇遅れ時間Δturが経過してからフィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始める。
【0080】
そして、このときの温度上昇遅れ時間Δturは内燃機関1の運転状態が過渡運転状態となったときにおける温度低下遅れ時間Δtdrとほぼ同様の時間となる。
【0081】
一方、フィルタ再生制御の実行が開始されると、機関排出排気の昇温に伴って酸化触媒5の上流部および中央部の温度は比較的早く昇温し始める。そのため、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中にフィルタ再生制御が実行され副燃料噴射が行われる場合、副燃料噴射量を実施例1と同様の方法で算出される初期副燃料噴射量Qfeとして副燃料噴射の実行を開始すると共に、該副燃料噴射開始後に副燃料噴射量を徐々に増加しても良い。
【0082】
また、フィルタ再生制御の実行開始後にフィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始める時点においては、フィルタ流入排気と酸化触媒5の上流部および中央部とはほぼ同様の温度となる。そのため、フィルタ流入排気の温度Tfinの上昇開始時点においては、副燃料噴射量を実施例1と同様の方法で算出される基準副燃料噴射量Qfbaseにまで増加させても酸化触媒5への燃料供給量が過剰となる可能性は低い。そのため、フィルタ流入排気の温度上昇遅れ時間Δturが短いほど、副燃料噴射量を初期副燃料噴射量Qfeから基準副燃料噴射量Qfbaseにまでより速やかに増加させることが出来る。そして、温度低下遅れ時間Δtdrが短いほど温度上昇遅れ時間Δturも短くなる。
【0083】
そこで、本実施例では、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中にフィルタ再生制御が開始され副燃料噴射が行われる場合、初期副燃料噴射量Qfeを副燃料噴射量として副燃料噴射の実行を開始すると共に、該副燃料噴射量を徐々に増加させる。そして、このときの増加速度を、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態となったときにおける温度低下遅れ時間Δtdrが短いほど速くする。
【0084】
このような制御により、フィルタ再生制御の実行開始後に、フィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始めるまでの時間、即ち、フィルタ流入排気と酸化触媒5の上流部および中央部とがほぼ同様の温度となるまでの時間が短いほど酸化触媒5への燃料供給量はより速やかに増加される。そのため、フィルタ再生制御において、酸化触媒5への燃料供給量が過剰な量となることを抑制しつつ、より多くの燃料を酸化触媒5に供給することが出来
る。従って、本実施例によれば、排気エミッションの悪化を抑制しつつフィルタ4をより速やかに昇温することが可能となる。
【0085】
<フィルタ再生制御の制御ルーチン>
次に、本実施例に係るフィルタ再生制御の制御ルーチンについて図5に示すフローチャート基づいて説明する。本ルーチンは、ECU10に予め記憶されており、内燃機関1の運転中、所定間隔毎に実行されるルーチンである。尚、本ルーチンにおけるS102〜S103およびS105〜S108は実施例1に係るフィルタ再生制御の制御ルーチンと同様であるため、同様のステップには同様の参照番号を付しその説明を省略する。
【0086】
本ルーチンでは、ECU10は、先ずS201において、内燃機関1の運転状態がその負荷および回転数が低下する過渡運転状態に移行したか否かを判別する。このS201において、肯定判定された場合された場合、ECU10はS202に進み、否定判定された場合、ECU10は本ルーチンの実行を終了する。
【0087】
S202に進んだECU10は、現時点での排気温度変化率α´´が負の値となったか否か、即ち、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下し始めたか否かを判別する。このS202において、肯定判定された場合、ECU10はS203に進み、否定判定された場合、ECU10は本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0088】
S203に進んだECU10は、温度低下遅れ時間Δtdrを算出し、その後、S101に進む。
【0089】
また、本ルーチンでは、S102において排気昇温制御が開始された時点での排気温度変化率αは負の値であると判断出来る。そのため、S103において、肯定判定された場合、ECU10はS109に進み、実施例1と同様の方法で基準副燃料噴射量Qfbaseを算出する。
【0090】
そして、S112において、ECU10は、実施例1と同様の方法で算出された初期副燃料噴射量Qfeを副燃料噴射量として副燃料噴射を実行し、その後、S213に進む。
【0091】
S213において、ECU10は、現時点の内燃機関1の吸入空気量およびフィルタ流入排気の温度Tfinに基づいて基準副燃料噴射量Qfbaseを算出する。
【0092】
次に、ECU10は、S214に進み、排気昇温制御が開始されてから現時点までの経過時間ts(以下、単に経過時間tsと称する)を算出する。
【0093】
次に、ECU10は、S215に進み、初期補正係数cおよび温度低下遅れ時間Δtdr、経過時間tsに基づいて、次の副燃料噴射量を決定するための増量補正係数c´を導出する。
【0094】
ここで、増量補正係数c´の導出方法について説明する。上述したように、フィルタ再生制御が開始されてからフィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始めるまでの時間である温度上昇遅れ時間Δturは、温度低下遅れ時間Δtdrとほぼ同様となる。このことから、フィルタ再生制御が開始されてからの経過時間が温度低下遅れ時間Δtdrと同様の時間となった時点以降はフィルタ流入排気の温度Tfinと酸化触媒5の温度とがほぼ同等となると判断出来る。つまり、この時点では副燃料噴射量を基準副燃料噴射量Qfbaseにまで増量することが出来る。
【0095】
そこで、本実施例では、増量補正係数c´を導出すべく図6に示すようなマップが作成
される。このマップにおいて、縦軸は増量補正係数c´を表しており、横軸は経過時間tsを表している。そして、経過時間tsが0のときの増量補正係数c´を初期補正係数cとする。また、経過時間tsが温度低下遅れ時間Δtdrのときの増量補正係数c´を1とする。さらに、これら2点を結ぶことで経過時間tsと増量補正係数c´との関係を表す直線を作成する。
【0096】
このように作成されたマップによれば、増量補正係数c´は時間の経過と共に大きい値となる。また、温度低下遅れ時間Δtdrが短いほど、図6に示す直線の傾きは大きくなるため、増量補正係数c´がより速やかに大きい値となる。
【0097】
次に、ECU10は、S216に進み、基準副燃料噴射量Qfbaseに増量補正係数c´を乗算することで、現時点における副燃料噴射量である中間副燃料噴射量Qfnを算出する。
【0098】
次に、ECU10は、S217に進み中間副燃料噴射量Qfnを副燃料噴射量として副燃料噴射を実行する。
【0099】
次に、ECU10は、S113に進み、現時点での排気変化率α´が0以上となったか否か、即ち、フィルタ流入排気の温度Tfinが上昇し始めたか否かを判別する。このS113において、肯定判定された場合、ECU10はS105に進む。一方、S113において、否定判定された場合、ECU10はS213に戻る。
【0100】
以上説明した制御ルーチンによれば、フィルタ流入排気の温度Tfinが低下している最中に副燃料噴射が行われる場合、実施例1と同様、初期副燃料噴射量Qfeを副燃料噴射量として副燃料噴射の実行が開始される。さらに、初期副燃料噴射量Qfeを副燃料噴射量として副燃料噴射の実行を開始した後、時間の経過と共に副燃料噴射量が徐々に増加される。そして、このときの増加速度が、内燃機関1の運転状態が過渡運転状態となったときにおける温度低下遅れ時間Δtdrが短いほど速くなる。
【0101】
尚、本実施例においても、フィルタ4の代わりにNOx触媒を設けた場合、実施例1と同様、本実施例に係るフィルタ再生制御時の副燃料噴射量の制御をSOx被毒再生制御時の副燃料噴射量の制御に適用しても良い。これにより、排気エミッションの悪化を抑制しつつNOx触媒をより速やかに昇温することが可能となる。
【0102】
実施例1および2では、内燃機関1において副燃料噴射を実行することで酸化触媒5に燃料を供給する場合について説明したが、酸化触媒5より上流側の排気通路2に燃料添加弁を設け、該燃料添加弁から燃料を添加することで酸化触媒5に燃料を供給しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施例に係る内燃機関とその吸排気系の概略構成を示す図。
【図2】機関排出排気および酸化触媒の中央部、フィルタ流入排気それぞれの温度変化の関係を示す図。
【図3】実施例1に係るフィルタ再生制御の制御ルーチンを示すフローチャート。
【図4】排気温度変化率と初期補正係数との関係を表すマップ。
【図5】実施例2に係るフィルタ再生制御の制御ルーチンを示すフローチャート。
【図6】経過時間と増量補正係数との関係を表すマップ。
【符号の説明】
【0104】
1・・・内燃機関
2・・・排気通路
4・・・パティキュレートフィルタ
5・・・酸化触媒
7・・・エアフロメータ
10・・ECU
11・・差圧センサ
12・・上流側温度センサ
13・・下流側温度センサ
14・・クランクポジションセンサ
15・・アクセル開度センサ




 

 


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