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発明の名称 内燃機関の吸気量制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2757(P2007−2757A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183830(P2005−183830)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 細田 文典 / 腰水 孝英 / 吉原 裕二 / 宮里 佳明 / 湯浅 貴夫
要約 課題
吸気バルブへのデポジット付着に適切に対処することのできる内燃機関の吸気量制御装置を提供する。

解決手段
この装置は、吸気バルブの最大リフト量VLを変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関に適用される。最大リフト量VLに基づいて基準状態での吸気量GAbを算出するとともに(S102)、実吸気量GAを検出し(S104)、それら吸気量GAb及び実吸気量GAの乖離率ΔGAを算出する(S106)。乖離率ΔGAが所定値β未満であるときには(S108:YES、且つS110:NO)、同乖離率ΔGAに応じて目標リフト量Tvlを補正する(S112及びS114)。乖離率ΔGAが所定値β以上であるときには(S110:YES)、その旨を報知する(ステップS116)。
特許請求の範囲
【請求項1】
吸気バルブの最大リフト量を変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関に適用され、前記最大リフト量に基づき推定した吸気量指標値と実吸気量指標値との乖離度合に応じた補正を行いつつ機関運転状態に応じた前記リフト量変更機構の作動制御を実行して実吸気量を制御する内燃機関の吸気量制御装置において、
前記乖離度合が所定値以上であるときにその旨を報知する報知手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項2】
前記吸気量指標値の推定パラメータとして前記内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブの開度を用いる
請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関は複数の気筒を備えてなり、前記リフト量変更機構はそれら気筒に対応する吸気バルブの最大リフト量を同一の態様で変更するものである
請求項1または2に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関がアイドル運転状態であることを条件に前記乖離度合を求め、該求めた乖離度合に応じて前記リフト量変更機構の作動制御及び報知手段による報知を実行する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項5】
前記乖離度合が第1の所定値以上であるときに同乖離度合に応じた補正を行い、前記乖離度合が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上であるときにその旨を前記報知手段により報知する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
【請求項6】
前記報知手段による報知を実行するときには前記乖離度合に応じた補正を停止する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気量制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気バルブの最大リフト量を変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関の吸気量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気量を調節するための機構として、吸気バルブの最大リフト量を機関運転状態に応じて変更するリフト量変更機構を備えたものが提案されている。こうした内燃機関は、スロットルバルブを絞ることによって吸気量が調節される内燃機関と比べて、例えばアイドル運転時等、必要とされる吸気量が少ないときにおけるポンピングロスの低減を図ることができるようになることから近年注目されている。
【0003】
ところで、そうした内燃機関にあってその吸気バルブにデポジットが付着すると、これに起因して吸気バルブの実質的な開口面積が減少し、吸気量もそれに合わせて減少するようになるために、吸気量の調節精度が低下するようになる。
【0004】
そのため従来、そうしたデポジット付着による吸気量の減少分を補償するために、リフト量変更機構の作動量を補正することが提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には、吸気バルブの最大リフト量や機関回転速度に基づいてデポジットの付着していない基準状態での吸気量を求め、これと実吸気量との偏差に応じたかたちで上記作動量を補正するようにしている。
【0005】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、上記特許文献1の他にも以下の特許文献2,3が挙げられる。
【特許文献1】特開2004−251241号公報
【特許文献2】特開2003−148177号公報
【特許文献3】特開2004−197630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、リフト量変更機構にはその構造によって定まる作動可能範囲がある。そのため、前述のようにリフト量変更機構の作動量を補正するにしても、その補正量が大きくなる状況下においては、同作動量が上記作動可能範囲を超えて、その補正を実行することができなくなる可能性がある。したがって、吸気バルブへのデポジットの付着に対してリフト量変更機構の作動量の補正のみを実行したのでは、同付着に対応することができなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気バルブへのデポジット付着に適切に対処することのできる内燃機関の吸気量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
先ず請求項1に記載の発明は、吸気バルブの最大リフト量を変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関に適用され、前記最大リフト量に基づき推定した吸気量指標値と実吸気量指標値との乖離度合に応じた補正を行いつつ機関運転状態に応じた前記リフト量変更機構の作動制御を実行して実吸気量を制御する内燃機関の吸気量制御装置において、前記乖離度合が所定値以上であるときにその旨を報知する報知手段を備えることをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、吸気バルブにデポジットが付着した場合、その付着量が少ないときにはリフト量変更機構の作動量の補正によってこれに対処し、付着量が多くなったときにはその旨を報知することによってデポジット除去を促すといったように対処することができるようなる。したがって、吸気バルブへのデポジット付着に適切に対処することが可能になる。
【0010】
なお、上記吸気量指標値には、吸気量そのものの他、例えば吸気圧などといった吸気量と相関して変化する値を含む。
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の吸気量制御装置において、前記吸気量指標値の推定パラメータとして前記内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブの開度を用いることをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、前記吸気量指標値を、吸気量を変化させるスロットルバルブの開度に応じたかたちで精度よく推定することができるようになる。
また請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の吸気量制御装置において、前記内燃機関は複数の気筒を備えてなり、前記リフト量変更機構はそれら気筒に対応する吸気バルブの最大リフト量を同一の態様で変更するものであることをその要旨とする。
【0012】
複数の吸気バルブを備える場合、デポジット付着量は吸気バルブ毎に異なる。そのため、複数の気筒を有する内燃機関において各吸気バルブへのデポジットの付着が進むと、その付着による吸気量の減少分は気筒毎に異なったものとなり、それら気筒間における吸気量のばらつき、ひいてはトルク変動が大きくなる。そうした場合、各気筒に対応する吸気バルブの最大リフト量を同一の態様で変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関にあっては、同リフト量変更機構の作動量を補正しても、上述した吸気量のばらつきを解消することはできない。したがって、上記内燃機関にあってはデポジットの付着が進んだ場合にその対処が困難になる。上記構成によれば、そうした内燃機関の吸気バルブにデポジットが付着した場合に、これに適切に対処することができるようになる。
【0013】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気量制御装置において、前記内燃機関がアイドル運転状態であることを条件に前記乖離度合を求め、該求めた乖離度合に応じて前記リフト量変更機構の作動制御及び報知手段による報知を実行することをその要旨とする。
【0014】
ここで、内燃機関のアイドル運転状態は、吸気量指標値の推定や実吸気量指標値の検出を精度よく行うことのできる安定した機関運転状態である。しかも、内燃機関のアイドル運転時にあっては、要求される吸気量が少なく吸気バルブの最大リフト量が小さいために、デポジットが付着した場合における吸気バルブの開口面積の縮小率が低くなり、ひいては前記推定した吸気量指標値と実吸気量指標値との乖離度合が大きくなる。したがって、内燃機関のアイドル運転状態は、前記乖離度合を求めるのに適した機関運転状態であると云える。
【0015】
この点、上記構成によれば、そうしたアイドル運転状態であるときに求めた上記乖離度合に応じてリフト量変更機構の作動制御や報知手段による報知が実行されるため、より適切にデポジット付着に対処することができるようになる。
【0016】
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気量制御装置において、前記乖離度合が第1の所定値以上であるときに同乖離度合に応じた補正を行い、前記乖離度合が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上であるときにその旨を前記報知手段により報知することをその要旨とする。
【0017】
上記構成では、吸気バルブにデポジットが付着した場合、共に前述した「リフト量変更機構の作動量を補正すること」及び「デポジットの付着量が多くなったときにその旨を報知すること」といった二つの処置方法に、「デポジットの付着量がごく少ないときにはリフト量変更機構の作動量の補正を行わないこと」といった新たな処置方法が加えられる。そのため、例えばデポジットの付着量が少なくそれに伴う吸気量の減少分が少ないときには前記乖離度合に応じた補正を行うことなくリフト量変更機構の作動制御を実行する等、同リフト量変更機構の作動量の補正が不要な場合にこれを行わない、といった処置方法を選択することができるようになる。したがって上記構成によれば、より高い自由度をもってデポジットの付着に対処することができるようになる。
【0018】
なお、前記報知手段による報知を実行するときには、前記乖離度合に応じた補正を実行することの他、請求項6に記載の発明によるように、乖離度合に応じた補正を停止することもできる。
【0019】
こうした構成によれば、デポジットの付着量が多くなったときに、前記乖離度合に応じた補正を実行するといった制御態様以外の制御態様を選択してリフト量変更機構の作動制御を実行することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明にかかる内燃機関の吸気量制御装置を具体化した一実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態にかかる吸気量制御装置の概略構成を示す。
【0021】
なお、本実施の形態の形態にかかる吸気量制御装置は複数(具体的には4つ)の気筒を有して車両に搭載される内燃機関に適用されており、図1には一つの気筒のみを示している。
【0022】
同図1に示すように、内燃機関10の吸気通路12にはスロットルバルブ14が設けられている。このスロットルバルブ14にはスロットルモータ16が連結されている。そして、スロットルモータ16の駆動制御を通じてスロットルバルブ14の開度(スロットル開度TA)が調節される。
【0023】
内燃機関10において、吸気通路12と燃焼室18との間は吸気バルブ30の開閉動作によって連通・遮断される。また、吸気バルブ30はクランクシャフト26の回転が伝達される吸気カムシャフト34の回転に伴って開閉動作する。
【0024】
吸気カムシャフト34と吸気バルブ30との間にはリフト量変更機構42が設けられている。このリフト量変更機構42は、例えば電動モータ等の一つのアクチュエータ44によって駆動されて、全気筒の吸気バルブ30の最大リフト量VLを同一の態様で変更するものである。リフト量変更機構42の作動に基づく吸気バルブ30の最大リフト量VLの変化態様を図2に示す。同図2から分かるように、吸気バルブ30の最大リフト量VLはその開弁期間(リフト作用角)と同期して変化するものであって、例えば最大リフト量VLが大きくなるほどリフト作用角も大きくなってゆく。なおリフト作用角が大きくなるということは、吸気バルブ30の開弁時期と閉弁時期とが互いに遠ざかるということであり、吸気バルブ30の開弁期間が長くなるということを意味する。
【0025】
本実施の形態では、上記吸気通路12を通じて各気筒の燃焼室18内に吸入される空気の量(実吸気量GA)が以下のように調量される。
すなわち先ず、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル踏み込み量ACC)に基づいて実吸気量GAについての要求値(要求吸気量Tga)が算出される。次に、上記要求吸気量Tgaに基づいて吸気バルブ30の最大リフト量VLについての制御目標値(目標リフト量Tvl)が算出される。そして、この目標リフト量Tvlと実際の最大リフト量VLとが一致するように、リフト量変更機構42の作動制御(リフト制御)が実行される。また、これに併せて吸気バルブ30の最大リフト量VL及び上記要求吸気量Tgaに基づいてスロットル開度TAについての制御目標開度(目標スロットル開度Tta)が算出される。そして、目標スロットル開度Ttaと実際のスロットル開度TAとが一致するように、スロットルバルブ14の開度制御(スロットル制御)が実行される。このように本実施の形態では実吸気量GAが、リフト制御とスロットル制御との協働制御を通じて、機関運転状態に応じた上記要求吸気量Tgaに収束するように調量される。
【0026】
ここで実吸気量GAは、スロットル開度TAが大きいほど、また吸気バルブ30の最大リフト量VLが大きいときほど多くなる。そのため上記協働制御では、吸気バルブ30の最大リフト量VLを大きく設定するときにはスロットル開度TAを相対的に小さく設定し、逆に同最大リフト量VLを小さく設定するときにはスロットル開度TAを相対的に大きく設定するといったようにスロットル制御及びリフト制御がそれぞれ実行されて、実吸気量GAが所望の量に調節される。
【0027】
内燃機関10の吸気通路12には、各気筒に対応して燃料噴射弁20が設けられている。そして、上述のように調節される実吸気量GAに応じて各燃料噴射弁20の駆動が制御されて、上記混合気の空燃比が所望の比率になるように燃料噴射量が調節される。内燃機関10の各燃焼室18においては、吸入空気と噴射燃料とからなる混合気に対する点火が行われ、これによって同混合気が燃焼してピストン24が往復移動し、クランクシャフト26が回転する。そして、燃焼後の混合気は排気として燃焼室18から排気通路28に送り出される。
【0028】
車両には、その走行状態や内燃機関10の運転状態を検出するための各種センサが設けられている。各種センサとしては、例えばスロットル開度TAを検出するためのスロットルセンサ52や、実吸気量GAを検出するための吸気量センサ54、吸入空気の圧力(吸気圧PM)を検出するための吸気圧センサ56が設けられている。なお、上記吸気量センサ54は吸気通路12におけるスロットルバルブ14の上流側に、吸気圧センサ56は同スロットルバルブ14の下流側にそれぞれ設けられている。その他、機関冷却水の温度THWを検出するための水温センサ58や、吸気バルブ30の最大リフト量VL(詳しくは、リフト量変更機構42の作動量)を検出するためリフトセンサ60や、アクセル踏み込み量ACCを検出するためのアクセルセンサ62、車両の走行速度(車速SPD)を検出するための車速センサ64等も設けられている。また車室内には報知手段としての警告灯66が設けられている。
【0029】
上記内燃機関10は、例えばマイクロコンピュータを有して構成される電子制御装置50を備えている。この電子制御装置50は、各種センサの出力信号を取り込むとともに各種の演算を行い、その演算結果に基づいてスロットル制御や、リフト制御、燃料噴射制御等といった機関制御にかかる各種制御を実行する。
【0030】
ここで、吸気バルブ30にデポジットが付着すると、同吸気バルブ30の実質的な開口面積が減少し、その分だけ実吸気量GAが不足するようになる。そのため本実施の形態では、そうした実吸気量GAの不足に対処するための処理として、前記目標リフト量Tvlを補正する処理(補正処理)が実行される。
【0031】
以下、そうした補正処理について図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、このフローチャートに示される一連の処理は、上記補正処理の具体的な処理手順を示しており、所定周期毎の処理として電子制御装置50により実行される。
【0032】
図3に示すように、この処理では先ず、算出条件が成立しているか否かが判断される(ステップS100)。具体的には、以下の条件が共に満たされていることをもって、上記算出条件が成立していると判断される。
・内燃機関10がアイドル運転状態であること。具体的には、アクセル踏み込み量ACCが「0」であり且つ車速SPDが「0km毎時」である状態が所定時間継続されていること。
・内燃機関10の暖機が完了していること。具体的には、機関冷却水の温度THWが所定温度以上であること。
【0033】
そして、上記算出条件が成立しているときには(ステップS100:YES)、スロットル開度TA、最大リフト量VL、及び吸気圧PMに基づくマップ演算により、吸気バルブ30にデポジットが付着していない基準状態での吸気量GAbが算出される(ステップS102)。このマップ演算に用いられるマップには、スロットル開度TA、最大リフト量VL、及び吸気圧PMにより定まる機関運転状態と上記基準状態での吸気量GAbとの関係が実験結果などを通じて求められ、設定されている。なお上記吸気量GAbとしては、スロットル開度TAが大きいほど、最大リフト量VLが大きいほど、吸気圧PMが高いほど多い量が算出される。これに併せて、実吸気量GAが検出される(ステップS104)。そして、上記吸気量GAbと実吸気量GAとの乖離率ΔGA(=(GAb−GA)/GAb)が算出される(ステップS106)。
【0034】
ここで、内燃機関10のアイドル運転状態は、機関運転状態に基づく吸気量GAbの推定や実吸気量GAの検出を精度よく行うことのできる安定した機関運転状態である。しかも要求吸気量Tgaが少なく吸気バルブ30の最大リフト量VLが小さいことから、デポジットが付着した場合における吸気バルブ30の開口面積の縮小率が高く、その付着による影響が吸気量GAbと実吸気量GAとの乖離率ΔGAに現われ易い機関運転状態であると云える。このように内燃機関10のアイドル運転状態は、上記乖離率ΔGAを求めるのに適した機関運転状態である。この点をふまえ、本実施の形態では内燃機関10がアイドル運転状態であることを条件に、上記乖離率ΔGAを算出するようにしている。
【0035】
そして、そのように算出した乖離率ΔGAに応じて、異なる三つの処置態様の中から一つの処置態様が選択される。
先ず、吸気バルブ30へのデポジットの付着量が「0」或いはごく少なく、上記乖離率ΔGAが所定値αよりも低い場合には(ステップS108:NO)、デポジットの付着への対処が不要であるとして、以下の処理を行うことなく本処理は一旦終了される。この場合には、「目標リフト量Tvlを補正しない」といった処置方法が選択される。
【0036】
その後、吸気バルブ30へのデポジットの付着が進み、乖離率ΔGAが所定値α以上になると(ステップS108:YES且つステップS110:NO)、デポジット付着による実吸気量GAの減少分を補償するべく、「目標リフト量Tvlを補正する」といった処置方法が選択される。
【0037】
具体的には、上記乖離率ΔGAに基づき補正量Kが算出されるとともに(ステップS112)、同補正量Kが目標リフト量Tvlに加算されて新たな目標リフト量Tvlが算出される(ステップS114)。なお電子制御装置50には、デポジット付着による実吸気量GAの減少分を適正に補償することのできる補正量Kと上記乖離率ΔGAとの関係が実験結果などを通じて求められ、記憶されている。上記補正量Kとしては、上記乖離率ΔGAが高いほど多い量が算出される。したがってこの場合には、上記乖離率ΔGAが高くなるほど吸気バルブ30の最大リフト量VLを大きくするように目標リフト量Tvlが補正される。
【0038】
その後、吸気バルブ30へのデポジットの付着が更に進み、乖離率ΔGAが上記所定値αよりも大きい所定値β以上になった場合には(ステップS110:YES)、警告灯66が点灯されて異常である旨が報知される(ステップS116)。すなわちこの場合には、「デポジットの付着量が多くなった旨を報知する」といった処置方法が選択される。これにより整備工場への車両の持ち込み、ひいては吸気バルブ30からのデポジットの除去が促される。
【0039】
また、この場合には上記乖離率ΔGAに応じた補正が停止され、目標リフト量Tvlとして、最大リフト量VLの制御可能範囲の上限に対応する値(所定値γ)が設定される(ステップS118)。これにより、吸気バルブ30の最大リフト量VLはその上限で固定されるようになる。そして、この場合にはスロットル制御によるスロットル開度TAの調節を通じて、実吸気量GAが上記要求吸気量Tgaに収束するように調量される。
【0040】
以下、このように目標リフト量Tvlを補正する理由について説明する。
複数の吸気バルブを備える場合、デポジット付着量は吸気バルブ毎に異なる。そのため、複数の気筒を有する内燃機関において各吸気バルブへのデポジットの付着が進むと、その付着による吸気量の減少分は気筒毎に異なったものとなり、それら気筒間における吸気量のばらつき、ひいてはトルク変動が大きくなる。そうした場合、各気筒に対応する吸気バルブ30の最大リフト量VLを同一の態様で変更するリフト量変更機構42が設けられた上記内燃機関10にあっては、同リフト量変更機構42の作動量(正確には、目標リフト量Tvl)を補正しても、上述した吸気量のばらつきを解消することはできない。したがって、内燃機関10にあってデポジットの付着量が多量になると、その対処が極めて困難になる。
【0041】
ただし、デポジットの付着によって吸入空気の通過する間隙(詳しくは吸気バルブ30及びその弁座の間隔)が減少した場合、その減少量が間隔全体に占める割合(減少率)は、吸気バルブ30の最大リフト量VLが大きいときほど低くなる。そのためデポジットの付着が進んだ場合であっても、吸気バルブ30の最大リフト量VLを大きい値に設定することによって実吸気量GAの減少率は低く抑えられ、機関運転状態の不安定化が抑制されるようになる。
【0042】
本実施の形態では、こうした点に鑑み、上記乖離率ΔGAが所定値β以上になった場合、吸気バルブ30の最大リフト量VLをその上限で固定して機関運転状態の不安定化を抑えつつ、スロットル開度TAの調節を通じて実吸気量GAを調量するようにしている。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)吸気バルブ30へのデポジットの付着量が少ないときには目標リフト量Tvlを補正し、その付着量が多くなったときにはその旨を報知することによってデポジット除去を促すといったように、デポジットの付着に適切に対処することができるようになる。
【0044】
(2)内燃機関10が前記乖離率ΔGAを求めるのに適したアイドル運転状態であることを条件に前記乖離率ΔGAを求め、その求めた乖離率ΔGAに応じて目標リフト量Tvlの補正や警告灯66の点灯を行うようにしたために、より適切にデポジット付着に対処することができるようになる。
【0045】
(3)乖離率ΔGAが所定値α以上であるときに目標リフト量Tvlを補正し、乖離率ΔGAが所定値αよりも大きい所定値β以上であるときに異常である旨を報知するようにした。そのためデポジットが付着した場合に、「目標リフト量Tvlを補正する」、「デポジットの付着量が多くなったときにその旨を報知する」といった処置方法に、「デポジットの付着量がごく少ないときには目標リフト量Tvlの補正を行わない」といった処置方法を加えた三つの処置方法の中から一つを選択して対処することができるようになる。したがって、デポジットの付着量がごく少なく目標リフト量Tvlを補正する必要がない場合にこれを補正することなくリフト量変更機構42の作動制御を実行する、といった処置方法を選択することができるようになり、より高い自由度をもってデポジット付着に対処することができるようになる。
【0046】
(4)乖離率ΔGAが所定値β以上であるときに同乖離率ΔGAに応じた補正を停止するようにしたため、デポジットの付着量が多くなったときに、吸気バルブ30の最大リフト量VLをその上限で固定するといった制御態様を選択してリフト量変更機構42の作動制御を実行することができるようになる。
【0047】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・警告灯66を点灯させることに代えて、警告ブザーを吹聴させるようにしてもよい。その他、例えばナビゲーションシステム等といった車両に関する情報を表示する画面を有したシステムを備える車両にあって、その表示画面に異常がある旨の表示させることも可能である。要は、前記乖離率ΔGAが所定値β以上であるときにその旨を報知することができればよい。
【0048】
・前記乖離率ΔGAが所定値α以上であるか否かを判断する処理(図3のステップS108)を省略してもよい。
・吸気バルブ30の最大リフト量VLについての下限値を設定し、前記乖離率ΔGAが所定値α以上であるとき(ステップS108:YES且つステップS110:NO)の補正態様として、同下限値が大きくなるようにこれを補正するといった補正態様を採用するようにしてもよい。こうした構成では、吸気バルブ30の最大リフト量VLが下限値を下回った場合にのみ、同最大リフト量VLが大きくなるようにこれが変更されるようになる。したがって、デポジットの付着による実吸気量GAの減少率が過度に高くなることを回避することができる。なお上記補正態様としては、例えば乖離率ΔGAに基づいて下限値を算出する等、乖離率ΔGAに応じて下限値を可変設定することなどが考えられる。この場合には下限値を、乖離率ΔGAが高いときほど大きい値になるように設定すればよい。
【0049】
・所定値γは、最大リフト量VLの制御可能範囲の上限に対応する値に限らず、任意に変更可能である。要は、安定した機関運転状態の維持される程度に実吸気量GAの減少率を低く抑えることの可能な値であれば、所定値γとして設定することが可能である。
【0050】
・目標リフト量Tvlとして所定値γを設定する処理(図3のステップS118)を省略してもよい。また、同処理に代えて、上記乖離率ΔGAに基づき補正量Kを算出する処理(ステップS112)、及び同補正量Kを目標リフト量Tvlに加算して新たな目標リフト量Tvlを算出する処理(S114)を実行することも可能である。
【0051】
・例えば前記算出条件から「内燃機関10がアイドル運転状態であること」といった条件を省略するなどして、前記乖離率ΔGAを、アイドル運転状態以外の機関運転状態であるときに算出するようにしてもよい。
【0052】
・乖離率ΔGA(=(GAb−GA)/GAb)を算出することに代えて、吸気量GAbと実吸気量GAとの比(=GA/GAb)や偏差(=GAb−GA)を算出するようにしてもよい。要は、吸気量GAbと実吸気量GAとの乖離度合の指標になる値を求め、同値に応じて目標リフト量Tvlの補正や警告灯66の点灯を行うことにより、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0053】
・吸気バルブ30にデポジットが付着していない基準状態での吸気量の推定(吸気量GAbの算出)に用いる推定パラメータは任意に変更可能である。要は、基準状態での吸気量を精度よく推定することができればよい。具体的には、スロットル開度TA、最大リフト量VL、吸気圧PMの他、機関回転速度や機関冷却水の温度THW等を吸気量GAbの算出に用いることや、それらの中の一つ或いは複数に基づいて吸気量GAbを算出することが可能である。
【0054】
・吸気圧などといった吸気量と相関して変化する値(吸気量指標値)を、吸気量に代えて補正処理に用いるようにしてもよい。同構成にあっては、吸気バルブ30の最大リフト量VLに基づいて前記基準状態での吸気量指標値を推定し、同吸気量指標値と実吸気量指標値との乖離度合を補正処理に用いるようにすればよい。
【0055】
・本発明は、吸気バルブの最大リフト量の調節のみを通じて実吸気量が調量される内燃機関にも適用することができる。またスロットルバルブが設けられていない内燃機関に適用すること等も可能である。
【0056】
・本発明は、各気筒に対応する吸気バルブの最大リフト量を同一の態様で変更するリフト量変更機構が設けられた内燃機関に限らず、気筒毎或いは吸気バルブ毎に独立して作動するリフト量変更機構が設けられた内燃機関にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明にかかる内燃機関の吸気量制御装置を具体化した一実施の形態についてその概略構成を示す概略構成図。
【図2】リフト量変更機構の作動に基づく吸気バルブの最大リフト量の変化態様を示すグラフ。
【図3】補正処理の具体的な処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
10…内燃機関、12…吸気通路、14…スロットルバルブ、16…スロットルモータ、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、24…ピストン、26…クランクシャフト、28…排気通路、30…吸気バルブ、34…吸気カムシャフト、42…リフト量変更機構、44…アクチュエータ、50…電子制御装置、52…スロットルセンサ、54…吸気量センサ、56…吸気圧センサ、58…水温センサ、60…リフトセンサ、62…アクセルセンサ、64…車速センサ、66…警告灯。




 

 


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