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発明の名称 電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−2687(P2007−2687A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−180955(P2005−180955)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
発明者 五十嵐 修
要約 課題
本発明は電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置に関し、エアバイパス時に内燃機関に吸入される空気流量の誤測定を防止し、正確な吸入空気流量に基づいて内燃機関を制御できるようにする。

解決手段
電動機30c及びバイパスバルブ42の作動状態と吸入空気流量センサ52の信号とに基づいて内燃機関2に吸入される機関吸入空気流量を算出する。電動機30cの作動中であってバイパスバルブ42の開弁直後であれば、バイパス通路40を流れるバイパス空気流量を取得し、吸入空気流量センサ52の信号から測定される吸入空気流量をバイパス空気流量で補正したものを機関吸入空気流量として算出してもよい。算出した機関吸入空気流量に基づいて内燃機関2の出力に係わる制御パラメータを調整する。
特許請求の範囲
【請求項1】
吸気通路に配置され、電動機によって回転をアシスト可能な過給機と、
前記吸気通路における前記過給機の下流側と上流側とをバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブと、
前記吸気通路における前記過給機の上流に配置され、前記吸気通路に吸入される空気流量に応じた信号を出力する吸入空気流量センサと、を備える電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置であって、
前記電動機及び前記バイパスバルブの作動状態と前記吸入空気流量センサの信号とに基づいて前記内燃機関に吸入される機関吸入空気流量を算出する演算手段と、
前記機関吸入空気流量に基づいて前記内燃機関の出力に係わる制御パラメータを調整する制御パラメータ調整手段と、
を備えることを特徴とする電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記バイパス通路を前記過給機の下流側から上流側へ流れるバイパス空気流量を取得し、前記吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量をバイパス空気流量で補正したものを前記機関吸入空気流量として算出することを特徴とする請求項1記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記吸入空気流量と前記過給機の回転数とに基づいて前記過給機のコンプレッサ出口圧を算出し、前記コンプレッサ出口圧と前記バイパスバルブの開度とから前記バイパス空気流量を算出することを特徴とする請求項2記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記吸入空気流量センサの信号をなまし、前記のなました信号から測定される吸入空気流量を前記機関吸入空気流量として算出することを特徴とする請求項1記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記内燃機関の回転数とスロットル開度とに基づいて機関吸入空気流量の最大値を予測し、前記吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量を前記最大値によって制限したものを前記機関吸入空気流量として算出することを特徴とする請求項1記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関は、排気ガスの一部を前記吸気通路におけるスロットルの下流に導入するEGR装置と、
前記EGR装置による排気ガスの導入部の下流に配置され、前記内燃機関に吸入されるガスの圧力或いは流量に応じた信号を出力するガス状態量センサと、をさらに備え、
前記演算手段は、前記EGR装置の非作動時には、前記ガス状態量センサの信号に基づいて前記機関吸入空気流量を算出し、前記EGR装置の作動時には、前記電動機及び前記バイパスバルブの作動状態と前記吸入空気流量センサの信号とに基づいて前記機関吸入空気流量を算出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記電動機の作動時に前記過給機のサージ状態を判定し、判定結果からサージ回避を行うべきであると判断した場合には、前記バイパスバルブを開弁するサージ回避手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項8】
道路情報或いは車両情報に基づきドライバの高トルク要求を事前に予測する高トルク要求予測手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機を作動させて前記過給機の回転数を上昇させておくプレアシスト手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
【請求項9】
吸気通路に配置され、電動機によって回転をアシスト可能な過給機と、
前記吸気通路における前記過給機の下流側と上流側とをバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブと、
前記吸気通路における前記過給機の上流に配置され、前記吸気通路に吸入される空気流量に応じた信号を出力する吸入空気流量センサと、を備える電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置であって、
前記吸入空気流量センサの信号に基づいて前記内燃機関の出力に係わる制御パラメータを調整する制御パラメータ調整手段と、
道路情報或いは車両情報に基づきドライバの高トルク要求を事前に予測する高トルク要求予測手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機を作動させて前記過給機の回転数を上昇させておくプレアシスト手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機の作動に先立って前記バイパスバルブを開弁するバルブ制御手段と、
を備えることを特徴とする電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置に関し、特に、過給機のコンプレッサの下流側と上流側とをバイパス通路によりバイパス可能な電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸に電動機が取り付けられた電動機付きターボチャージャが知られている。この電動機付きターボチャージャによれば、電動機を作動させてコンプレッサの回転をアシストすることで、内燃機関から供給される排気エネルギの大小によらず、必要なときに必要な大きさの過給圧を得ることができる。しかし、電動機付きターボチャージャは、タービンを駆動する排気ガスの流量が少ない低回転時でも、電動機によるコンプレッサの強制駆動によって高過給圧を実現できる反面、コンプレッサのサージ限界を超えやすいという課題もある。
【0003】
サージを回避する手法としては、コンプレッサを通過する空気流量を確保することが有効である。特許文献1に開示された電動機付き過給機を有する内燃機関では、コンプレッサの上流と下流とをコンプレッサをバイパスして接続するバイパス通路と、このバイパス通路を開閉するバイパスバルブとを備えている。この技術によれば、バイパスバルブを開いてコンプレッサにより過給された空気の一部を再びコンプレッサの上流に戻す(以下、エアバイパスという)ことで、コンプレッサを通過する空気の流量を増大させてサージを回避することができる。
【特許文献1】特開2004−332715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関では、吸入される空気の流量に基づいて内燃機関の出力に係わる各種の制御パラメータ、例えば、燃料噴射量が調整されている。一般に、吸入空気流量は、吸気通路の入口に配置されたエアフローメータ等の吸入空気流量センサの信号から測定される。内燃機関の制御装置は、吸入空気流量センサの信号に基づいて燃料噴射量等の制御パラメータを調整している。
【0005】
しかし、電動機付きターボチャージャを備える内燃機関の場合、サージ回避のためにバイパスバルブを開いたとき、コンプレッサを通過した空気の一部はバイパス通路に流れることになる。バイパス通路内に空気が充填されてバイパスバルブの上流圧と下流圧の圧力差が定常状態になるまでの間は、内燃機関に吸入される空気よりも多くの空気が吸気通路に吸入されることになる。
【0006】
このため、エアバイパスの開始直後は、吸入空気流量センサの信号から測定される空気流量と、実際に内燃機関に吸入される空気流量との間にずれが生じてしまう。吸入空気流量センサの信号が、実際に内燃機関に吸入される空気流量を正確に表していない場合には、燃料噴射量制御等の機関制御を正確に行えず、排気エミッションの悪化や燃費の悪化を招く可能性がある。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、エアバイパス時に内燃機関に吸入される空気流量の誤測定を防止し、正確な吸入空気流量に基づいて内燃機関を制御できるようにした電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
吸気通路に配置され、電動機によって回転をアシスト可能な過給機と、
前記吸気通路における前記過給機の下流側と上流側とをバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブと、
前記吸気通路における前記過給機の上流に配置され、前記吸気通路に吸入される空気流量に応じた信号を出力する吸入空気流量センサと、を備える電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置であって、
前記電動機及び前記バイパスバルブの作動状態と前記吸入空気流量センサの信号とに基づいて前記内燃機関に吸入される機関吸入空気流量を算出する演算手段と、
前記機関吸入空気流量に基づいて前記内燃機関の出力に係わる制御パラメータを調整する制御パラメータ調整手段と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記バイパス通路を前記過給機の下流側から上流側へ流れるバイパス空気流量を取得し、前記吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量をバイパス空気流量で補正したものを前記機関吸入空気流量として算出することを特徴としている。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、
前記演算手段は、前記吸入空気流量と前記過給機の回転数とに基づいて前記過給機のコンプレッサ出口圧を算出し、前記コンプレッサ出口圧と前記バイパスバルブの開度とから前記バイパス空気流量を算出することを特徴としている。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記吸入空気流量センサの信号をなまし、前記のなました信号から測定される吸入空気流量を前記機関吸入空気流量として算出することを特徴としている。
【0012】
第5の発明は、第1の発明において、
前記演算手段は、前記電動機の作動中であって前記バイパスバルブの開弁直後は、前記内燃機関の回転数とスロットル開度とに基づいて機関吸入空気流量の最大値を予測し、前記吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量を前記最大値によって制限したものを前記機関吸入空気流量として算出することを特徴としている。
【0013】
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、
前記内燃機関は、排気ガスの一部を前記吸気通路におけるスロットルの下流に導入するEGR装置と、
前記EGR装置による排気ガスの導入部の下流に配置され、前記内燃機関に吸入されるガスの圧力或いは流量に応じた信号を出力するガス状態量センサと、をさらに備え、
前記演算手段は、前記EGR装置の非作動時には、前記ガス状態量センサの信号に基づいて前記機関吸入空気流量を算出し、前記EGR装置の作動時には、前記電動機及び前記バイパスバルブの作動状態と前記吸入空気流量センサの信号とに基づいて前記機関吸入空気流量を算出することを特徴としている。
【0014】
第7の発明は、第1乃至第6の何れか1つの発明において、
前記電動機の作動時に前記過給機のサージ状態を判定し、判定結果からサージ回避を行うべきであると判断した場合には、前記バイパスバルブを開弁するサージ回避手段をさらに備えることを特徴としている。
【0015】
第8の発明は、第1乃至第7の何れか1つの発明において、
道路情報或いは車両情報に基づきドライバの高トルク要求を事前に予測する高トルク要求予測手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機を作動させて前記過給機の回転数を上昇させておくプレアシスト手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
【0016】
また、第9の発明は、上記の目的を達成するため、
吸気通路に配置され、電動機によって回転をアシスト可能な過給機と、
前記吸気通路における前記過給機の下流側と上流側とをバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路を開閉するバイパスバルブと、
前記吸気通路における前記過給機の上流に配置され、前記吸気通路に吸入される空気流量に応じた信号を出力する吸入空気流量センサと、を備える電動機付き過給機を有する内燃機関の制御装置であって、
前記吸入空気流量センサの信号に基づいて前記内燃機関の出力に係わる制御パラメータを調整する制御パラメータ調整手段と、
道路情報或いは車両情報に基づきドライバの高トルク要求を事前に予測する高トルク要求予測手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機を作動させて前記過給機の回転数を上昇させておくプレアシスト手段と、
前記高トルク要求が予測された場合に、前記電動機の作動に先立って前記バイパスバルブを開弁するバルブ制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、電動機及びバイパスバルブの作動状態と吸入空気流量センサの信号とに基づいて内燃機関に吸入される空気流量が算出され、この機関吸入空気流量に基づいて内燃機関の出力に係わる制御パラメータが調整される。このように、実際に内燃機関に吸入される空気流量を求めることでエアバイパス時に内燃機関に吸入される空気流量の誤測定を防止することができ、エアバイパス時であっても正確な吸入空気流量に基づいて内燃機関を制御することができる。
【0018】
特に、第2の発明によれば、吸気通路に吸入される空気流量をバイパス空気流量で補正することで、エアバイパスの開始直後に内燃機関に吸入される機関吸入空気流量を正確に算出することができる。
【0019】
第3の発明によれば、バイパス通路に空気流量センサを設けることなく、バイパス空気流量を測定することができる。また、コンプレッサの出口圧を測定するための圧力センサを設ける必要もない。
【0020】
また、第4の発明によれば、エアバイパスの開始直後、吸入空気流量センサの信号をなますことで、吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量と実際に内燃機関に吸入される空気流量との誤差を低減することができる。
【0021】
第5の発明によれば、エアバイパスの開始直後、吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量を内燃機関の回転数とスロットル開度とに基づいて予測される機関吸入空気流量の最大値で制限することによって、吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量と実際に内燃機関に吸入される空気流量との誤差を低減することができる。
【0022】
内燃機関に吸入される機関吸入空気流量は、スロットルの下流にガスの圧力或いは流量に応じた信号を出力するガス状態量センサを配置することで測定することができる。しかし、EGR装置によって排気ガスを吸気通路に導入している時には、排気ガスの流量の分、ガス状態量センサの信号から測定されるガス流量と実際の機関吸入空気流量との間には誤差が生じる。第6の発明によれば、EGR装置の非作動時には、ガス状態量センサの信号に基づいて機関吸入空気流量を算出することで、機関吸入空気流量を正確に算出することができる。さらに、EGR装置の作動時には、電動機及びバイパスバルブの作動状態と吸入空気流量センサの信号とに基づいて内燃機関に吸入される機関吸入空気流量を算出することで、排気ガスが吸気通路に導入されている場合であっても機関吸入空気流量を正確に算出することができる。
【0023】
また、第7の発明によれば、過給機のサージ状態に基づいてバイパスバルブが開弁されることで、電動機によって過給機を駆動する際のサージを回避することができる。
【0024】
第8の発明によれば、実際に高トルクが必要となる前に電動機を作動させ、予め過給機の回転数を上昇させておくことで、高トルクが要求された時の出力の応答性を向上させることができる。
【0025】
第9の発明によれば、実際に高トルクが必要となる前に電動機を作動させて予め過給機の回転数を上昇させる際、電動機の作動に先立ってバイパスバルブが開弁されることで、過給機による吸入空気の圧縮が抑制され、吸入空気流量センサの信号から測定される吸入空気流量と実際に内燃機関に吸入される空気流量との誤差を低減することができる。これにより、エアバイパス時であっても正確な吸入空気流量に基づいて内燃機関を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
実施の形態1.
以下、図1乃至図5を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
【0027】
[エンジンスシステムの構成の説明]
図1は本発明の実施の形態1としての制御装置が適用される電動機付き過給器を有する内燃機関の概略構成図である。本実施形態では、ガソリン機関(以下、単にエンジンという)に本発明を適用している。エンジンは、複数の気筒(図1では4つの気筒)を有するエンジン本体2を有している。エンジン本体2には、各気筒に空気を分配するための吸気マニホールド4と、各気筒から排出される排気ガスを集合させる排気マニホールド6とが接続されている。
【0028】
このエンジンは、電動機付きターボチャージャ(モータアシストターボチャージャ、以下、MATという)30を有している。MAT30は、コンプレッサ30a、タービン30b、そして、コンプレッサ30aとタービン30bとの間に配置される電動機30cから構成されている。コンプレッサ30aとタービン30bとは連結軸によって一体に連結され、コンプレッサ30aはタービン30bに入力される排気ガスの排気エネルギによって回転駆動される。連結軸は電動機30cのロータにもなっており、電動機30cを作動させることで、コンプレッサ30aを強制駆動することもできる。また、連結軸には、コンプレッサ30aの回転数(所定時間当たりの回転数)に応じた信号を出力するターボ回転数センサ32が取り付けられている。
【0029】
コンプレッサ30aは、吸気マニホールド4に接続された吸気通路8,10の途中に配置されている。コンプレッサ30aの出口と吸気マニホールド4とを接続する吸気通路10には、過給された空気を冷却するインタークーラ36が設けられている。吸気通路10における吸気マニホールド4の近傍には、エンジン本体2に吸入される空気の流量を制御するためのスロットルバルブ20が設けられている。
【0030】
エンジン本体2に供給される空気は、大気中からエアクリーナ16を介して取り込まれる。エアクリーナ16とコンプレッサ30aの入口とを接続する吸気通路8には、吸気通路8内に吸入された空気の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ52が設けられている。
【0031】
このエンジンは、コンプレッサ30aをバイパスしてコンプレッサ30aの出口側と入口側とを接続するバイパス通路40を有している。バイパス通路40は、一方の端部を吸気通路8におけるエアフローメータ52の下流に接続され、もう一方の端部を吸気通路10におけるスロットル20の上流に接続されている。バイパス通路40には、バイパス通路40を流れる空気(バイパス空気)の流量を制御するためのバイパスバルブ42が配置されている。
【0032】
タービン30bの入口には、排気通路12が接続されている。排気通路12のもう一方の端部は排気マニホールド6に接続され、排気マニホールド6によって集められた各気筒からの排気ガスは、排気通路12を通ってタービン30bに供給される。タービン30bの出口には、別の排気通路14が接続されている。この排気通路14には、排気ガスを浄化するための触媒18が配置されている。
【0033】
このエンジンは、エンジン全体を総合制御する制御装置として、ECU(Electronic Control Unit)50を有している。このECU50には、電動機30cへの電力供給量を制御してMAT30の回転を制御するモータコントローラも含まれる。ECU50の出力側には、電動機30cの他、スロットルバルブ20やバイパスバルブ42等の種々の機器が接続されている。
【0034】
一方、ECU50の入力側には、前述のエアフローメータ52やターボ回転数センサ32の他、エンジンの回転数に応じた信号を出力するエンジン回転数センサ54や、アクセル開度に応じた信号を出力するアクセル開度センサ56等の種々のセンサ類が接続されている。ECU50には、これらセンサの信号の他、道路情報や車両情報も入力される。道路情報には、車両が走行している道路の曲率や傾斜角等の情報が含まれ、車両情報には、前方車両との車間距離や操舵角等の情報が含まれる。道路情報は、例えば、GPSを用いたナビシステムから取得することができ、車両情報は、車載のセンサ(例えば、前方レーダ等)によって取得することができる。ECU50は、各センサの信号やその他の入力情報に基づき、所定の制御プログラムにしたがって各機器を駆動する。
【0035】
[アシスト制御の説明]
ECU50により実施されるエンジン制御の1つに、インジェクタ(図示略)から噴射する燃料量を制御する燃料噴射量制御がある。この燃料噴射量制御では、燃料噴射量と気筒内への吸入空気量との比が所定の目標空燃比になるように、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量に基づいて燃料噴射量を算出している。
【0036】
また、ECU50は、エンジン制御の1つとして、電動機30cによりコンプレッサ30aの回転をアシストするアシスト制御を行っている。アシスト制御は、前記の燃料噴射量制御のルーチンとは別ルーチンで、燃料噴射量制御と並行して実施される。アシスト制御の実行時には、コンプレッサ30aのサージ回避のためにバイパスバルブ42の開閉制御も行われる。
【0037】
ところで、電動機30cの作動時にバイパスバルブ42が開かれてエアバイパスが実行されると、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量との間に過渡的なずれが生じる。上述のように、燃料噴射量制御にはエアフローメータ52の信号が用いられるが、目標空燃比を実現して排気エミッションや燃費を良好に維持するためには、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量に基づいて燃料噴射量を制御する必要がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、燃料噴射量制御とアシスト制御とを関連付け、アシスト制御の実施状況に応じて吸入空気流量を補正し、補正した吸入空気流量に基づいて燃料噴射量制御を実行するようにしている。図2のフローチャートは、ECU50により実行されるアシスト制御のルーチンを示している。このアシスト制御ルーチンの実行に伴って吸入空気流量の補正が行われる。
【0039】
図2に示すルーチンの最初のステップ100では、各センサからECU50に入力される信号の処理が行われる。アシスト制御では、アクセル開度センサ56の信号、エンジン回転数センサ54の信号、ターボ回転数センサ32の信号、及びエアフローメータ52の信号が用いられる。
【0040】
次のステップ102では、ステップ100で処理した入力信号に基づき、所定のアシスト開始・継続条件が成立しているか否か判定される。具体的には、ECU50は、予め用意した運転状態判別マップを参照し、エンジン回転数とアクセル開度とから、現在のエンジンの運転状態が電動アシストを必要とする運転状態か否か判定する。電動アシストを必要とする運転状態とは、例えば、MAT30を駆動するための排気エネルギは少ないが、高いトルクが要求されるような運転状態(低回転高負荷状態)である。現在のエンジンの運転状態が電動アシストを必要とする運転状態であるならば、アシスト開始・継続条件は成立する。一方、電動アシストを必要とする運転状態でない場合には、アシスト開始・継続条件は不成立となり、本ルーチンは終了する。
【0041】
ステップ102でアシスト開始・継続条件が成立した場合、ステップ104以降の処理が実施される。先ず、ステップ104では、ステップ100で処理した入力信号に基づき、MAT30の目標ターボ回転数が決定される。具体的には、ECU50は、エンジン回転数、アクセル開度、及びスロットル開度を軸とする多次元マップ(電動機制御マップ)から、目標ターボ回転数を読み出す。目標ターボ回転数の決定後は、ECU50から電動機30cへ目標ターボ回転数に応じた電力が供給され、電動機30cよる電動アシストが開始される(ステップ106)。
【0042】
電動アシストの実施中は、バイパスバルブ42を開弁させる条件が成立しているか否か判定される(ステップ108)。バイパスバルブ42を開弁させる条件とは、コンプレッサ30aがサージ限界に達することである。サージ限界に達しているか否かは、コンプレッサ30aの出口圧と入口圧(大気圧)との圧力比、及びエアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量から判定することができる。圧力比と吸入空気流量との関係が所定のサージラインを超えているとき、コンプレッサ30aはサージ限界に達していると判断される。
【0043】
なお、コンプレッサ30aの出口圧は、コンプレッサ30aとスロットルバルブ20との間に圧力センサを配置すれば、この圧力センサの信号から測定することができる。しかし、本実施形態では、ターボ回転数センサ32による測定されるターボ回転数と、吸入空気流量とから、コンプレッサ30aの出口圧を算出する。具体的には、ターボ回転数と吸入空気流量とを軸とするマップから、コンプレッサ30aの出口圧を読み出すようにしている。
【0044】
ステップ108でバイパスバルブ開条件が成立した場合、すなわち、コンプレッサ30aがサージ限界に達した場合、バイパスバルブ42が開かれる(ステップ110)。バイパスバルブ42は通常は閉じられている。バイパスバルブ42が開かれることで、コンプレッサ30aで圧縮された空気の一部は、バイパス通路40を通ってコンプレッサ30aの上流に還流される。このようにエアバイパスを実施することで、コンプレッサ30aを通過する空気の流量は増大し、コンプレッサ30aのサージは回避される。
【0045】
ステップ110でバイパスバルブ42が開かれ、エアバイパスが実施される場合、バイパス通路40内をバイパス空気が定常的に流れている定常状態では、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量とは一致する。しかし、バイパス通路40に空気が充填されてバイパス空気の流量が定常状態になるまでの間は、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量よりも多くの空気が吸気通路8に吸入されることになる。このため、エアバイパスの開始直後の過渡状態では、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と、エンジン本体2に吸入される空気流量との間には過渡的なずれが生じる。
【0046】
そこで、次のステップ112では、バイパス空気の流量が定常状態になるまでの間、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量の補正が行われる。具体的には、以下の式(1)に示すように、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量(測定吸入空気流量)からバイパス空気の流量(バイパス空気流量)を差し引いて補正することで、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量(実吸入空気流量)を算出する。バイパス空気流量は、バイパスバルブ42の上下流の圧力差、すなわち、コンプレッサ30aの出口圧と入口圧(大気圧)との圧力差と、バイパスバルブ42の絞り面積とから算出することができる。
実吸入空気流量=測定吸入空気流量−バイパス空気流量 ・・・(1)
エアバイパスの開始直後の過渡状態では、上記の式(1)で算出された実吸入空気流量が燃料噴射量制御に用いられる。
【0047】
エアバイパスの開始後、バイパス空気流量が定常状態になった後は、上記の式(1)による吸入空気流量の補正は中止され、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量がそのまま燃料噴射量制御に用いられる。バイパス空気流量が定常状態なったか否かは、バイパスバルブ42の上下流の圧力差、すなわち、コンプレッサ30aの出口圧と入口圧との圧力差の変化から判断することができる。
【0048】
ステップ108でバイパスバルブ開条件が不成立の場合、すなわち、未だコンプレッサ30aがサージ限界に達していない場合には、ステップ110の処理はスキップされ、エアバイパスは実施されない。この場合は、ステップ112の処理もスキップされ、吸入空気流量の補正は行われない。つまり、バイパスバルブ42が閉じられているときには、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量がそのまま燃料噴射量制御に用いられる。
【0049】
ステップ114では、バイパスバルブ42を閉弁させる条件が成立しているか否か判定される。バイパスバルブ42を閉弁させる条件とは、コンプレッサ30aがサージを回避したことである。コンプレッサ30aの出口圧と入口圧との圧力比と、吸入空気流量との関係がサージラインを下回ったとき、コンプレッサ30aのサージは回避されたと判断される。バイパスバルブ閉条件が成立した場合、すなわち、コンプレッサ30aのサージが回避された場合、バイパスバルブ42は閉じられる(ステップ116)。一方、バイパスバルブ閉条件が不成立の場合には、バイパスバルブ42は開状態に維持され、ステップ116以降の処理はスキップされる。
【0050】
バイパスバルブ42が閉じられた場合、次のステップ118では、電動アシストを停止する条件が成立しているか否か判定される。具体的には、ECU50は、ターボ回転数センサ32による測定される実ターボ回転数と、ステップ104で決定した目標ターボ回転数とを比較し、実ターボ回転数が目標ターボ回転数に達したか否か判定する。実ターボ回転数が目標ターボ回転数に達したとき、電動アシスト停止条件は成立する。電動アシスト停止条件が成立するまでは、次のステップ120の処理はスキップされ、電動アシストは継続される。そして、電動アシスト停止条件が成立したとき、ECU50から電動機30cへの電力供給が停止され、電動機30cよる電動アシストは停止される(ステップ120)。
【0051】
以上説明したように、上記のルーチンによれば、電動アシストの実施中、サージ回避のためにエアバイパスが実施されたときには、吸気通路8に吸入される空気流量からバイパス空気流量を差し引くことで、エアバイパスの開始直後の過渡状態でエンジン本体2に吸入される吸入空気流量を正確に算出することができ、この正確な吸入空気流量に基づいて燃料噴射量制御を行うことができる。つまり、サージ回避のためにエアバイパスを実施した場合であっても、目標空燃比を実現して排気エミッションや燃費を良好に維持することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、ECU50により上記ルーチンのステップ112の処理が実行されることで、第1の発明の「演算手段」が実現されている。また、ECU50により、ステップ112で補正された吸入空気流量に基づき燃料噴射量制御が実行されることで、第1の発明の「制御パラメータ調整手段」が実現されている。また、ECU50によりステップ108の処理が実行されることで、第7の発明の「サージ回避手段」が実現されている。
【0053】
[プレアシスト制御の説明]
本実施形態にかかるECU50は、実際に高トルクが必要とされる状況で電動機30aを作動させるアシスト制御に加え、ドライバの高トルク要求を事前に予測し、実際に高トルクが必要とされる前に電動機30cを作動させてターボ回転数を上昇させておくプレアシスト制御を行うことができる。このプレアシスト制御によれば、実際に高トルクが要求されてからコンプレッサ30aの回転により過給圧が上昇するまでのタイムラグを解消することができ、加速時や登坂時等、高トルクが要求された時の出力の応答性を向上させることができる。
【0054】
このプレアシスト制御も、アシスト制御と同様、前述の燃料噴射量制御のルーチンとは別ルーチンで、燃料噴射量制御と並行して実施される。プレアシスト制御の実施時には、コンプレッサ30aのサージを防止しつつターボ回転数を速やかに上昇させるため、バイパスバルブ42が開かれてエアバイパスが実施される。このため、アシスト制御時と同様に、エアバイパスの開始直後の過渡状態では、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量との間にはずれが生じる。
【0055】
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、燃料噴射量制御とプレアシスト制御とを関連付け、プレアシスト制御の実施状況に応じて吸入空気流量を補正し、補正した吸入空気流量に基づいて燃料噴射量制御を実行するようにしている。図3のフローチャートは、ECU50により実行されるプレアシスト制御のルーチンを示している。このプレアシスト制御ルーチンの実行に伴って吸入空気流量の補正が行われる。
【0056】
図3に示すルーチンの最初のステップ200では、各センサからECU50に入力される信号の処理が行われる。プレアシスト制御では、アクセル開度センサ56の信号、エンジン回転数センサ54の信号、ターボ回転数センサ32の信号、及びエアフローメータ52の信号が用いられる。また、プレアシスト制御では、道路情報や車両情報も用いられる。
【0057】
次のステップ202では、ステップ200で処理した入力信号に基づき、所定のプレアシスト開始・継続条件が成立しているか否か判定される。具体的には、ECU50は、道路情報及び車両情報から、現在の車両の走行状況がプレアシストを必要とする状況か否か判定する。プレアシストを必要とする状況とは、例えば、坂道発進時や、登り坂に差し掛かった時や、カーブ路から直線路へ変わる時等、高トルクが要求されることが予測される状況である。現在の車両の走行状況がプレアシストを必要とする状況であるならば、プレアシスト開始・継続条件は成立する。一方、プレアシストを必要とする状況でない場合には、プレアシスト開始・継続条件は不成立となり、本ルーチンは終了する。
【0058】
ステップ202でプレアシスト開始・継続条件が成立した場合、ステップ204以降の処理が実施される。先ず、ステップ204では、ステップ200で処理した入力信号に基づき、MAT30の目標ターボ回転数が決定される。具体的には、ECU50は、エンジン回転数、アクセル開度、及びスロットル開度を軸とするプレアシスト用の多次元マップ(電動機制御マップ)から、目標ターボ回転数を読み出す。目標ターボ回転数の決定後は、ECU50から電動機30cへ目標ターボ回転数に応じた電力が供給され、電動機30cよる電動アシストが開始される(ステップ206)。
【0059】
電動機30cよる電動アシストの開始後、バイパスバルブ42が開かれる(ステップ208)。バイパスバルブ42の開弁によりコンプレッサ30aの出口側と入口側とがバイパスされることで、ターボ回転数が上昇した場合でもコンプレッサ30aの出口圧の上昇は抑えられる。これにより、コンプレッサ30aのサージを防止できるとともに、ターボ回転数を目標ターボ回転数まで速やかに上昇させることができる。
【0060】
ステップ208でバイパスバルブ42が開かれ、エアバイパスが実施されている間、次のステップ212では、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量の補正が行われる。本ステップでは、エアフローメータ52の信号をなまして補正し、なました信号から吸入空気流量を測定する。なお、通常でもノイズ除去のために信号のなましは行われているが、ここでは通常の数10倍のなましを行って信号をより平滑化する。このように、なました信号から吸入空気流量を測定することで、図4に示すように、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量(実吸入空気流量)を近似することができ、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と実吸入空気流量との誤差を低減することができる。
【0061】
ステップ212では、バイパスバルブ42を閉弁させる条件が成立しているか否か判定される。バイパスバルブ42を閉弁させる条件とは、ドライバからの高トルク要求の発信である。高トルク要求の有無は、エンジン回転数とアクセル開度から判定することができる。高トルク要求が発せられた場合には、コンプレッサ30aの出口圧を上昇させるべく、バイパスバルブ42は閉じられる(ステップ214)。一方、バイパスバルブ閉条件が不成立の場合には、バイパスバルブ42は開状態に維持され、ステップ214以降の処理はスキップされる。
【0062】
バイパスバルブ42が閉じられた場合、次のステップ216では、電動アシストを停止する条件が成立しているか否か判定される。具体的には、ECU50は、ターボ回転数センサ32による測定される実ターボ回転数と、ステップ204で決定した目標ターボ回転数とを比較し、実ターボ回転数が目標ターボ回転数に達したか否か判定する。実ターボ回転数が目標ターボ回転数に達したとき、電動アシスト停止条件は成立する。電動アシスト停止条件が成立するまでは、次のステップ218の処理はスキップされ、電動アシストは継続される。そして、電動アシスト停止条件が成立したとき、ECU50から電動機30cへの電力供給が停止され、電動機30cよる電動アシストは停止される(ステップ218)。
【0063】
以上説明したように、上記のルーチンによれば、プレアシストの実施に伴ってエアバイパスを実施したときには、エアフローメータ52の信号をなまして補正し、なました信号から吸入空気流量を測定することで、実際にエンジン本体2に吸入される吸入空気流量と測定による吸入空気流量との誤差を低減することができる。これにより、正確な吸入空気流量に基づいて燃料噴射量制御を行うことができ、プレアシスト中であっても、目標空燃比を実現して排気エミッションや燃費を良好に維持することができる。
【0064】
本実施の形態では、ECU50により上記ルーチンのステップ210の処理が実行されることで、第1の発明の「演算手段」が実現されている。また、ECU50によりステップ210で補正された吸入空気流量に基づき燃料噴射量制御が実行されることで、第1の発明の「制御パラメータ調整手段」が実現されている。また、ECU50によりステップ202の処理が実行されることで、第8の発明の「高トルク要求予測手段」が実現され、ステップ206の処理が実行されることで、第8の発明の「プレアシスト手段」が実現されている。
【0065】
なお、上記実施の形態では、プレアシスト時の吸入空気流量の補正方法として、エアフローメータ52の信号をなまして補正しているが、他の簡易な補正方法を用いることもできる。例えば、エンジン回転数とスロットル開度とから、エンジン本体2に吸入される空気流量の最大値を予測し、この最大値を吸入空気流量の上限値として設定する。エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量をこの上限値で制限することで、図5に示すように、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量(実吸入空気流量)を近似することができ、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と実吸入空気流量との誤差を低減することができる。
【0066】
また、上記実施の形態では、プレアシスト時、電動アシストの開始後直ぐにバイパスバルブ42を開いているが、アシスト時と同様に、コンプレッサ30aがサージ限界に達するまではバイパスバルブ42を閉じていてもよい。その場合、エアフローメータ52の信号をなますことによる吸入空気流量の補正、或いは、吸入空気流量を上限値で制限することによる補正は、バイパスバルブ42の開閉状態にかかわらず電動アシストの開始と同時に実行することができる。
【0067】
実施の形態2.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の電動機付き過給器を有する内燃機関の制御装置は、図1に示す構成において、ECU50に、図3に示すルーチンに代えて図6に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0068】
[プレアシスト制御の説明]
本実施形態の制御装置は、実施の形態1の制御装置とは、プレアシスト制御における処理内容に相違がある。図6のフローチャートは、本実施形態においてECU50により実行されるプレアシスト制御のルーチンを示している。図6に示すルーチンにおいて、図3に示すルーチンと同一内容の処理については同一のステップ番号を付している。また、既に説明した内容の処理については重複する説明は省略するものとする。
【0069】
図6に示すように、本実施形態にかかるプレアシスト制御では、電動アシストの開始に先立って、バイパスバルブ42が開かれる(ステップ220)。つまり、バイパスバルブ42の開弁によりコンプレッサ30aの出口側と入口側とがバイパスされた状態で、ECU50から電動機30cへ目標ターボ回転数に応じた電力が供給され、電動機30cよる電動アシストが開始される(ステップ222)。
【0070】
電動機30cの作動に先立ってバイパスバルブ42が開かれることで、コンプレッサ30aによる吸入空気の圧縮は抑制され、コンプレッサ30aの入口圧と出口圧との圧力差は僅かに抑えられる。これにより、バイパス通路40への空気の流入が抑えられ、コンプレッサ30aを通過した空気の殆どが、そのままエンジン本体2に吸入されることになる。
【0071】
したがって、本実施形態では、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量と、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量との誤差は僅であり、測定した吸入空気流量の補正は不要となる。つまり、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量をそのまま燃料噴射量制御に用いることで、正確な吸入空気流量に基づいた燃料噴射量制御が可能になる。
【0072】
なお、上記実施の形態では、ECU50により燃料噴射量制御が実行されることで、第9の発明の「制御パラメータ調整手段」が実現されている。また、ECU50によりステップ202の処理が実行されることで、第9の発明の「高トルク要求予測手段」が実現され、ステップ222の処理が実行されることで、第9の発明の「プレアシスト手段」が実現され、ステップ220の処理が実行されることで、第9の発明の「バルブ制御手段」が実現されている。
【0073】
実施の形態3.
次に、図7及び図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
【0074】
[エンジンスシステムの構成の説明]
図7は本発明の実施の形態3としての制御装置が適用される電動機付き過給器を有する内燃機関の概略構成図である。図7において、図3中に示す部位と同一の部位については同一の符号を付している。また、既に説明した構成については重複する説明は省略するものとする。
【0075】
本実施形態にかかるエンジンと実施の形態1にかかるエンジンとの相違点は、EGR装置の有無にある。図7に示すように、スロットルバルブ20から吸気マニホールド4に至る吸気通路10の途中には、EGR通路22が接続されている。EGR通路22の逆側の端部は、排気マニホールド6に接続されている。EGR通路22の途中には、内部を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ26が設けられている。EGR通路22におけるEGRクーラ26の下流には、EGR通路22の通路面積を制御するためのEGRバルブ24が設けられている。これらEGR通路22、EGRバルブ24、及びEGRクーラ26により、EGR装置が構成されている。
【0076】
吸気通路10と排気マニホールド6とがEGR通路22によって接続されることで、一部の排気ガス(EGRガス)は、EGR通路22を通って吸気通路10に導入される。吸気通路10に導入するEGRガスの量(EGR量)は、EGRバルブ24の開度によって制御することができる。EGRバルブ24の開度は、エンジンの運転状態に基づいてECU50によって制御される。
【0077】
また、本実施形態にかかるエンジンは、吸気通路10におけるEGR通路22の接続部の下流に過給圧センサ58を備えている。過給圧センサ58は、吸気通路10内の空気の圧力に応じた信号を出力する。また、吸気通路10内の空気圧力と空気流量とは対応しているので、この過給圧センサ58は、吸気通路10を通過する空気の流量に応じた信号を出力しているとも言える。したがって、過給圧センサ58の信号から、吸気通路10を通ってエンジン本体2に吸入される空気の流量を測定することができる。過給圧センサ58はECU50の入力側に接続され、過給圧センサ58の信号はECU50によるエンジン制御に用いられている。
【0078】
[アシスト制御の説明]
本実施形態の制御装置は、実施の形態1の制御装置とは、アシスト制御における処理内容にも相違がある。図8のフローチャートは、本実施形態においてECU50により実行されるアシスト制御のルーチンを示している。図8に示すルーチンにおいて、図2に示すルーチンと同一内容の処理については同一のステップ番号を付している。また、既に説明した内容の処理については重複する説明は省略するものとする。
【0079】
本実施形態にかかるアシスト制御では、EGRバルブ24の開弁状態に応じて吸入空気量の算出方法が変更される。具体的には、図8に示すように、ステップ110でバイパスバルブ42が開かれた後、EGRバルブ24が開弁しているか否か判定される(ステップ122)。EGRバルブ24が閉弁しているときには、過給圧センサ58の信号からエンジン本体2に吸入される空気流量が算出される(ステップ124)。過給圧センサ58の信号を用いることで、エアバイパスの影響を受けることなく、エンジン本体2に吸入される空気流量を正確に算出することができる。
【0080】
しかし、EGRバルブ24が開いて排気ガスが吸気通路10に導入されている時には、排気ガスの流量の分、過給圧センサ58の信号から測定されるガス流量と、実際にエンジン本体2に吸入される空気流量との間には誤差が生じる。そこで、EGRバルブ24が開弁しているときには、実施の形態1と同様の方法でエアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量の補正が行われる(ステップ112)。
【0081】
上記のルーチンによれば、EGR装置の作動時、つまり、EGRバルブ24の開弁時には、吸気通路8に吸入される空気流量からバイパス空気流量を差し引くことで、エアバイパス開始直後の過渡状態でエンジン本体2に吸入される吸入空気流量を正確に算出することができる。したがって、排気ガスが吸気通路10に導入されている場合であっても、正確な吸入空気流量に基づいて燃料噴射量制御を行うことができる。
【0082】
なお、上記実施の形態では、ECU50によりステップ122の処理とステップ124,112の何れかの処理が実行されることで、第6の発明にかかる「演算手段」の機能が実現されている。また、過給圧センサ58は、第6の発明にかかる「ガス状態量センサ」に相当している。
【0083】
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
【0084】
実施の形態1では、プレアシスト制御時、エアバイパスの実施中はエアフローメータ52の信号をなまし、なました信号から測定される吸入空気流量をエンジン本体2に吸入される空気流量として算出しているが、エアバイパス開始直後の過渡状態でのみエアフローメータ52の信号をなますようにしてもよい。また、アシスト制御時と同様、エアフローメータ52の信号から測定される吸入空気流量からバイパス空気流量を差し引いて補正することで、エアバイパスの開始直後にエンジン本体2に吸入される空気流量を算出してもよい。
【0085】
また、実施の形態3においてプレアシスト制御を実施する場合は、実施の形態1にかかるプレアシスト制御と、実施の形態2にかかるプレアシスト制御の何れの制御方法を用いてもよい。EGR装置が作動していないときであれば、実施の形態3にかかるアシスト制御と同様、過給圧センサ58の信号からエンジン本体2に吸入される空気流量を算出してもよい。
【0086】
また、実施の形態3では、吸気通路10におけるスロットルバルブ20の下流に過給圧センサ58を配置しているが、空気流量に応じた信号を出力するエアフローメータを過給圧センサ58の代わりに配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1としての制御装置が適用される電動機付き過給器を有する内燃機関の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1において実施されるアシスト制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1において実施されるプレアシスト制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】図3に示すプレアシスト制御ルーチンで実施される吸入空気流量の補正の方法を説明するための図である。
【図5】図3に示すプレアシスト制御ルーチンで実施される吸入空気流量の補正の他の方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態2において実施されるプレアシスト制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態3としての制御装置が適用される電動機付き過給器を有する内燃機関の概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態3において実施されるアシスト制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
2 エンジン本体
4 吸気マニホールド
6 排気マニホールド
8,10 吸気通路
12,14 排気通路
20 スロットルバルブ
22 EGR通路
24 EGRバルブ
30 電動機付きターボチャージャ(MAT)
30a コンプレッサ
30b タービン
30c 電動機
32 ターボ回転数センサ
40 バイパス通路
42 バイパスバルブ
50 ECU
52 エアフローメータ
54 エンジン回転数センサ
56 アクセル開度センサ
58 過給圧センサ




 

 


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