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発明の名称 非常用折畳式トイレ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16491(P2007−16491A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199416(P2005−199416)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
発明者 渡邉 義
要約 課題
簡単に立ち上げ設置することができながらも強度的問題を解決した非常時用折畳式トイレを提供することを目的とする。

解決手段
上面を開口させて地中に画成された所定の容積を有する便槽と、側壁パネルをくの字状に屈曲して床パネル及び天井パネルと共に平坦な形態に折り畳むことができ、前記便槽の上面の開口部を閉塞するように配置される折り畳み式のトイレ家屋と、前記側壁パネルの所定箇所に対して取り付けし得るドアとを備え、側壁パネルが該ドアの開閉によって入退室ができるように構成され、前記天井パネルの所定箇所に、この天井パネルの昇降に連動して鉛直方向に昇降するトイレ家屋を支持するための柱となる支柱が取り付けられ、該天井パネルを降下させてトイレ家屋を折り畳み状態とするときにおいては、降下した支柱が便槽内に収納されるように構成され、トイレ家屋を立ち上げ設置するときには天井パネルと共に上昇した前記支柱の下端部が便槽の所定位置に固定されてトイレ家屋を支持する柱の役割を果たすように構成されることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
多量のふん尿を収納し得る容積を有し上面を開口させて地中に画成された便槽と、側壁パネルをくの字状に屈曲して該側壁パネルの上下にそれぞれ配設される天井パネル及び床パネルと共に平坦な形態に折り畳むことができ前記便槽の上部の開口を閉塞するように配置される折り畳み式のトイレ家屋と、立ち上げられたトイレ家屋内を複数の便室に区画するためのトイレ家屋内を仕切る仕切パネルと、前記側壁パネルの所定箇所に対して取り付けし得るドアとを備え、天井パネルを上昇させて側壁パネルを直立させ、トイレ家屋を立ち上げることができるように、天井パネルの所定箇所には、この天井パネルの昇降に連動して昇降する支柱が取り付けられ、トイレ家屋の立ち上げ時においては該トイレ家屋を支持するための支柱となり、天井パネルを降下させてトイレ家屋を折り畳み状態とするときにおいては降下した支柱が便槽内に収納されるように構成されることを特徴とする非常用折畳式トイレ。
【請求項2】
トイレ家屋の左右の壁をなす側壁パネルが、それぞれヒンジを介して連結された上下二枚の板状部材からなり、くの字状に折り曲げるとき突出するヒンジ部同士が互いに対向するように配置され、側壁パネルの上端部及び下端部がそれぞれ天井パネル及び床パネルに対して所定方向の回動を自在とするように連結されることを特徴とする請求項1記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項3】
床パネルの所定箇所には、便槽に連通した所定の大きさの穴が所定数設けられ、便器等を装着し得るように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項4】
天井パネルの上昇が、該天井パネルの対向する二つの端辺のそれぞれの側面上の所定の二点にそれぞれ掛止部材が取り付けられ、それぞれの該二点間に、この二点間距離以上の長さを有する張設部材をそれぞれ張り渡し、それぞれの張設部材の適当な点を、吊り上げの際の支点として吊上装置によって吊り上げることでなされるように構成され、前記二つの張設部材の支点間を結ぶ直線が天井パネルのほぼ重心上を通るものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項5】
吊上装置が、少なくともトイレ家屋よりも背の高い2つ以上の二股と、この二股からそれぞれ吊り下げて使用する巻上装置とを備え、この巻上装置に張設部材を連結してトイレ家屋を立ち上げるように構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項6】
掛止部材が配設された天井パネルの二つの対向する側面と、これと同方向に相当する床パネルの対向する二つの側面のそれぞれの所定の二カ所に、二股の各脚の下端部をそれぞれ、着脱自在且つ該二股を安定的にほぼ真上に向けて立てて固定するための固定手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項7】
便槽への出入口が、地中に埋設された便槽に対し該便槽から水平方向に対して突出した状態で該便槽に連通するように画成され、上部が開口するように設けられることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項8】
平時においては、便槽への出入口の上部の開口が、板状の閉塞部材によって閉塞されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のトイレ。
【請求項9】
便槽内には、トイレ家屋の設置に必要とされるトイレ形成材料等の資材一式が収納されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項10】
天井パネルの降下に伴って降下する各支柱を、便槽内において囲繞し、支柱が折れ曲がったり、該各支柱と便槽内の収容物とが接触してそれぞれが損傷することを防止するための支柱囲繞体が便槽内に配設されることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項11】
小便用便器が、トイレ家屋の少なくとも一側面部に外方に向けて設置されることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項12】
一端辺に沿って係止部が設けられた庇状に張設されるシートを備え、このシートの係止部を天井パネルの所定箇所に設けられた係止部材に対して係止して連結し、該シートの前記一端辺に対向する端辺の所定箇所に、該シートを引っ張って張設するための張設部材の一端を連結して、該張設部材を適当な方向に引いて該シートに張力を加え、該張設部材の他端を定点に固定して前記シートを庇状に張設するように構成されることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項13】
トイレ家屋の折り畳み状態において、天井パネルの下面と床パネルの上面間のトイレ家屋の側面部を、その周回に渡って覆うように構成された防水性を有するシートからなる側部防水部材と、この側部防水部の下端から水平方向外向きに拡がって、便槽の開口部周辺及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材を合わせた平面を覆い尽くすように構成された防水性を有するシートからなる水平部防水部材とからなる防水カバーを装着することによって、折り畳み時における防水性を向上させるように構成されることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項14】
地面から段状に凸設された折り畳み状態のトイレ家屋の段をスロープ状にするための、また防水カバーを装着している場合には該防水カバー上に載置して該防水カバーを保護することができる傾斜形状を有するブロック体を、折り畳み状態のトイレ家屋の側面に沿って配置することを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項15】
天井パネル及び便槽の開口部及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材からなる平面領域を覆い尽くすように構成された耐候性を有するカバーを備え、トイレ家屋の折り畳み状態において、該カバーによって前記平面領域を覆うようにしたことを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。
【請求項16】
天井パネル及び便槽の開口部及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材からなる平面領域を覆うカバーの片面が、人工芝であることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の非常用折畳式トイレ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難場所として予定されている学校や公園、体育館等の特定の場所に、予めトイレ家屋の資材を折り畳んで収納して置き、大地震等の災害時においては、それを立ち上げてトイレ家屋を設置してトイレとして使用できるようにする定点設置型の非常用の折り畳み式のトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
大地震や大火災等の震災後においては、多数の家屋やビルが倒壊する等の被害が発生する他に、地中に埋設された上下水道管の破損による水の供給停止や火災による消火活動によって発生する水不足により、水洗トイレが不足して使用できなくなって復旧するまでの間、大勢の人々が排便のために苦慮するという実状がある。また、やむなく屋外に排便された場合には、極めて不衛生な状態になり伝染病等の発生原因になるという畏れもある。よって、災害発生後には直ちに適正な衛生状態を保つことができるトイレが提供されることが望まれる。しかし、いつこのような大災害が発生してそのようなトイレが必要になるかはわからない。従って、簡易トイレまたはそのための資材を大量に準備しておくということと、大災害にも耐え得るように安全に保管しておくということが要求される。そのため、そのような資材の収容場所を各地域毎にどのように配置すべきか、またどのようにすれば必要資材を確保しておくことができるかということが問題となっている。
【0003】
上記問題を解決するための技術が、当該発明者等による特開2004−251098号公報(特許文献1)に開示されている。この技術は、便槽となる部分を、その上部を開口させて避難場所として予定されている学校や公園等に予め埋設し、その便槽内にトイレ家屋や各便室、便器等からなるトイレを形成するための必要資材を収納しておき、便槽上部の開口部に天井パネル及び側壁パネル、床パネルを折り畳んで板状としてなる蓋体を、前記便槽の開口部を閉塞するように配置し、その上部を駐輪場等として利用でき、災害時等の緊急時にはトイレ家屋となる部分を地上に立ち上げ固定し、非常用トイレとして使用できるように構成されている。
【0004】
この技術によれば、平時においては必要資材を場所をとらずに非常用トイレとなる所定の場所の地下部に収納でき、この収納部である便槽を震災等にも耐え得るように頑強につくることで収納物を安全に保管することができるという効果がある。また、平時には駐輪場等として利用することで、場所の有効利用の他、設置場所の目印にもなるという効果がある。更に、便槽を大型化することで、集合トイレとして非常用トイレを素早く簡単に設置できる上、多数の人が同時にトイレを比較的長期間に渡って衛生的に使用できるようになるという効果があり、これらの点において大変優れた技術であるといえる。
【0005】
しかし、側壁をくの字状に折り曲げて折り畳み状態とする構造から立ち上げ設置されたトイレ家屋は、強度的に十分とはいえず、余震や再震、或いは風雪等によって折り畳み状態に戻ってしまったり、傾いたり、倒壊したりするという畏れがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−251098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、簡単に立ち上げ設置することができながらも強度的問題を解決した非常時用折畳式トイレを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、多量のふん尿を収納し得る容積を有し、上面を開口させて地中に画成された便槽と、側壁パネルをくの字状に屈曲して床パネル及び天井パネルと共に平坦な形態に折り畳むことができ、前記便槽の上面の開口部を閉塞するように配置される折り畳み式のトイレ家屋と、立ち上げられたトイレ家屋内を複数の便室に区画するためのトイレ家屋内を所定方向で仕切る仕切パネルと、該仕切パネルと直交した方向にトイレ家屋内を仕切る仕切パネルと、前記側壁パネルの所定箇所に対して取り付けし得るドアとを備え、側壁パネルが該ドアの開閉によって入退室ができるように構成され、天井パネルを吊り上げて側壁パネルを直立させてトイレ家屋を立ち上げることができるように構成されることを特徴とし、前記天井パネルの所定箇所に、この天井パネルの昇降に連動して鉛直方向に昇降するトイレ家屋を支持するための柱となる支柱が取り付けられ、該天井パネルを降下させてトイレ家屋を折り畳み状態とするときにおいては、降下した支柱が便槽内に収納されるように構成され、トイレ家屋を立ち上げ設置するときには天井パネルと共に上昇した前記支柱の下端部が便槽の所定位置に固定されてトイレ家屋を支持する柱の役割を果たすことを特徴とする。
【0009】
また、トイレ家屋の左右の壁をなす側壁パネルが、それぞれヒンジを介して連結された上下二枚の板状部材からなり、くの字状に折り曲げるとき突出するヒンジ部同士が互いに対向するように配置され、側壁パネルの上端部及び下端部がそれぞれ天井パネル及び床パネルに対して所定方向の回動を自在とするように連結されることを特徴とする。
【0010】
また、床パネルの所定箇所には、便槽に連通した所定の大きさの穴が所定数量設けられ、便器等が装着し得るように構成され、該穴またはこの穴に装着された便器に対して排泄された糞尿を便槽内に収容することができるように構成されることを特徴とする。
【0011】
また、天井パネルの上昇が、該天井パネルの対向する二つの端辺のそれぞれの側面上の所定の二点にそれぞれ掛止部材が取り付けられ、それぞれの該二点間に、この二点間距離以上の長さを有する張設部材をそれぞれ張り渡し、それぞれの張設部材の適当な点を、吊り上げの際の支点として吊上装置によって吊り上げることでなされるように構成され、前記二つの張設部材の支点間を結ぶ直線が天井パネルのほぼ重心上を通るものであることを特徴とする。
【0012】
また、吊上装置が、少なくともトイレ家屋よりも背の高い2つ以上の二股と、この二股からそれぞれ吊り下げて使用する巻上装置とを備え、この巻上装置に張設部材を連結してトイレ家屋を立ち上げるように構成されることを特徴とする。
【0013】
また、掛止部材が配設された天井パネルの二つの対向する側面と、これと同方向に相当する床パネルの対向する二つの側面のそれぞれの所定の二カ所に、二股の各脚の下端部をそれぞれ、着脱自在且つ該二股を安定的にほぼ真上に向けて立てて固定するための固定手段が設けられることを特徴とする。
【0014】
また、便槽への出入口が、地中に埋設された便槽に対し該便槽から水平方向に対して突出した状態で該便槽に連通するように画成され、上部が開口するように設けられることを特徴とし、また平時においては、便槽への出入口の上部の開口が、板状の閉塞部材によって閉塞されることを特徴とする。
【0015】
また、便槽内には、トイレ家屋の設置に必要とされるトイレ形成材料等の資材一式が収納されていることを特徴とする。
【0016】
また、天井パネルの降下に伴って降下する各支柱を、便槽内において囲繞し、支柱が折れ曲がったり、該各支柱と便槽内の収容物とが接触してそれぞれが損傷することを防止するための支柱囲繞体が便槽内に配設されることを特徴とする。
【0017】
また、小便用便器が、トイレ家屋の少なくとも一側面部に外方に向けて設置されることを特徴とする。
【0018】
また、一端辺に沿って係止部が設けられた庇状に張設されるシートを備え、このシートの係止部を天井パネルの所定箇所に設けられた係止部材に対して係止して連結し、該シートの前記一端辺に対向する端辺の所定箇所に、該シートを引っ張って張設するための張設部材の一端を連結して、該張設部材を適当な方向に引いて該シートに張力を加え、該張設部材の他端を定点に固定して前記シートを庇状に張設するように構成されることを特徴とする。
【0019】
また、トイレ家屋の折り畳み状態において、天井パネルの下面と床パネルの上面間のトイレ家屋の側面部を、その周回に渡って覆うように構成された防水性を有するシートからなる側部防水部材と、この側部防水部の下端から水平方向外向きに拡がって、便槽の開口部周辺及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材を合わせた平面を覆い尽くすように構成された防水性を有するシートからなる水平部防水部材とからなる防水カバーを装着することによって、折り畳み時における防水性を向上させるように構成されることを特徴とする。
【0020】
また、地面から段状に凸設された折り畳み状態のトイレ家屋の段をスロープ状にするための、また防水カバーを装着している場合には該防水カバー上に載置して該防水カバーを保護することができる傾斜形状を有するブロック体を、折り畳み状態のトイレ家屋の側面に沿って配置することを特徴とする。
【0021】
また、天井パネル及び便槽の開口部及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材からなる平面領域を覆い尽くすように構成された耐候性を有するカバーを備え、トイレ家屋の折り畳み状態において、該カバーによって前記平面領域を覆うようにしたことを特徴とし、また該平面領域を覆うカバーの片面が、人工芝であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、未使用時においては、その上面を有効的に使用することができ、そして、非常時には吊上装置を利用して吊り上げるだけで、特別な技術を要せず誰でも簡単に頑丈で大規模なトイレ家屋を建てることができる上、トイレ家屋内部を仕切る仕切パネルについても簡単にはめ込むだけで取り付けができるので、誰でも素早く簡単に非常用のトイレを設置できるという効果が得られる。
【0023】
また、防水性を有するカバーを装着すると共に、天井パネル及び便槽の開口部及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材からなる平面領域を覆うカバーを配設することによって、便槽や折り畳んだ状態の本体への浸水或いはそれらの接合部や便槽への出入口等からの水の進入を防ぐという効果が得られる。
【0024】
また、便槽内には、当該トイレを設置するのに必要な資材一式を収容するため、災害発生時には誰でも直ぐにトイレを設置するのに必要な材料を発見することができるという効果が得られ、更に、便槽内に支柱囲繞体を配設することによって、地震等の災害によって支柱が折れ曲がったり、該各支柱と便槽内に収容された資材とが接触してそれらが損傷することを防止することができるという効果がある。
【0025】
また、小便用便器をトイレ家屋の一側面部に外方に向けて複数幅方向に併設したため、狭い場所でも効率よく便器を配置することができるという効果が得られる。
【0026】
また、便槽への出入口は、便槽に対し水平方向に突出するように併設されるため、便槽の大きさに左右されずに出入口を任意の大きさで形成することができるので、特に体の大きい人でも支障無く便槽内への出入りができるようになり、また比較的大きな保管物を出し入れすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明の好ましい実施の形態を以下に説明する。この災害時等のための非常用折畳式トイレは、互いに所定箇所で連結される床パネルと二つ折りにし得る側壁パネルと天井パネルとからなる折り畳みと立ち上げが自在に構成されるトイレ家屋と、地下に設置される上部が開口した便槽と、立ち上げられたトイレ家屋内を各便室に仕切るための仕切パネルと、側壁パネルの所定箇所に取り付けられる各便室用のドアと、その他大小用の便器や電灯や配線或いは工具等の当該トイレの設置に必要とされる資材一式とを備え、前記折り畳み状態のトイレ家屋が、便槽の開口部を閉塞するように前記天井パネルを地上に露出させて配置され、その露出させた天井パネルをそれより広い面積を有する耐候性を有するカバーで被覆し、非常時においては、前記天井パネルを吊り上げて天井を形成し、且つ前記側壁パネルを立てると共に、該側壁パネルに便室用のドアを取り付け、立ち上げられたトイレ家屋内の幅方向をほぼ二等分して画成するための複数の仕切パネルと、該幅方向の仕切パネルに直交して長手方向を仕切るための複数の仕切パネルとによって、トイレ家屋内部を適当に仕切って複数の便室を形成するようになっていて、普段はトイレ設置に必要とされる前記資材一式が便槽内に収納される。
【0028】
天井パネルは、床パネルとほぼ同じ大きさと形状を有し且つ適当な強度と耐候性を有する板状の部材からなる。この天井パネルの側面には、天井パネルを吊り上げるための吊り具を、好ましくは天井パネルの対向する二つの側面上のそれぞれの所定の二点に取り付けこれら同側面上の吊り具の二点間にそれぞれ、これらの二点間以上の長さを有する張設部材を張り渡し、それらの張設部材の所定の点を吊上装置で吊り上げてトイレ家屋を立ち上げられるように構成する。
【0029】
また、天井パネルの所定箇所には、それぞれその下方に延在するように取り付けられる支柱を有し、該支柱が天井の昇降に連動して昇降するように構成され、天井を上昇させて立ち上げた状態においては前記支柱の下端を便槽若しくは床パネルの所定箇所に固定することでトイレ家屋を支えるための支柱としての役割を担い、天井を降下させてトイレ家屋を折り畳み状態とするときには、該支柱がそのまま鉛直下方に降下して便槽内に収納されるようになっている。また、支柱を上昇させる際の上昇過多による支柱の抜けを防止するために抜け止めを設けることが好ましく、例えば、支柱がその上下動に際して通る穴に引っ掛かる形状を該支柱の下端部に形成することで達せられる。更に好ましくは、引っ掛かり形状である抜け止めが、トイレ家屋立ち上げ状態において、支柱の下端が床パネルの所定箇所に固定するための止め具としての構造を有し、支柱の抜け止めとしての役割を果たしつつ床パネルに対して支柱を固定し得るように構成される。また、天井パネルの降下に伴って降下する各支柱を、便槽内において囲繞する支柱囲繞体を便槽内に配設することが好ましく、これによって、支柱が折れ曲がったり、該各支柱と便槽内の収容物とが接触してそれぞれが損傷することを防止することができる。
【0030】
トイレ家屋の左右壁をなすそれぞれの側壁パネルは、この側壁パネルの所定位置に取り付けられるドア部材の高さとほぼ同じ高さを有し、該側壁パネルの高さ方向のほぼ中間位置において、片側方向にだけ、くの字状に折り畳むことができるように上下二枚のパネルが互いにヒンジ連結されて構成され、折り畳まれたときに背となる部分どうしを互いに対向させて配置する。勿論、天井パネル及び床パネルに対する側壁パネルの取付構造は、側壁パネルが所定方向に回動自在となるようにそれぞれのパネルに対してヒンジ連結される。また、側壁パネルは、ドア部材の幅に対応する間隔を存して配置され、該間隔部位の側壁パネルに対してドアが取り付けられるように構成される。
【0031】
床パネルは、便槽の開口部を隙間無く閉塞し得る大きさと形状を有し、複数の人が乗っても耐え得る強度を有する。また床パネルの平面上の所定箇所には、便槽の開口部を閉塞するように配置した際に、便槽に連通する所定の大きさの穴が所定箇所に所定数量設けられ、好ましくは便器等が装着し得るように構成され、該穴またはこの穴に装着された便器に対して排泄された糞尿を便槽内に収容することができるように構成される。また、天井パネルに取り付けられ、天井パネルの昇降に連動して昇降する支柱を通すための床パネルの表裏に貫通した穴が支柱の配位に対応した箇所にそれぞれ設けられる。
【0032】
吊上装置は、トイレ家屋よりも背の高い2つの二股と、この二股からそれぞれ吊り下げて使用する巻上装置とを備えてなる。この巻上装置と前記張設部材とを連結して該張設部材が略への字形になるように巻き上げてトイレ家屋を立ち上げる。この際、この立ち上げ作業を効率的に行い得るようにするため、好ましくは吊り具が配設された天井パネルの二つの対向する側面と、これと同方向に相当する床パネルの対向する二つの側面のそれぞれの所定の二カ所に、二股の各脚の下端部をそれぞれ着脱自在、且、安定的に固定するための固定手段を設け、二股をほぼ真上に向けて安定的に立てて固定することができるように構成する。又、二股の安定性を向上させるために、前記二股同士を連結パイプで連結すると共に、該連結パイプの両端に地面に対し角度を有して接地する接地パイプを連結することが好ましい。
【0033】
便槽への出入口は、地中に埋設された便槽に対し該便槽から水平方向に対して突出した状態となるように、且、該便槽に連通するように画成される。該出入口は、上部が開口するように設けられ、平時においては、該出入口の上部の開口が板状の閉塞部材によって閉塞し得るように構成し、出入口から内部に雨水や枯葉等が進入することを防ぐようにすることが好ましい。
【0034】
また、男性小便用便器が、トイレ家屋の少なくとも一側面部、好ましくは各便室の出入口に取り付けられるドアを設けた側面に直交する側面部に、該小便用便器を外方に向けて設置する。更に好ましくは、車椅子のままでも入退室し得る出入口や便室構成を有する便室を、当該発明のトイレ家屋内に少なくとも1つ設置し、車椅子であっても比較的容易に使用し得る非常用トイレとする。
【0035】
更に、簡単に張設して使用できる庇を備えることが好ましく、例えば、防水性を有する長方形のシートの一端辺に沿って所定間隔で孔を設け、且、天井パネルには前記シートに設けた孔に対応した所定箇所にフック状の係止部材を設け、前記シートの孔を該係止部材に対して係止してシートを天井パネルに対して引っ掛け、該シートの孔を設けた端辺に対向する端辺の所定箇所に、該シートを引っ張って張設するためのロープの一端を連結して、該ロープを適当な方向に引いて張力を加え、該ロープの他端を地面等の定点に固定して前記シートを庇状に張設するように構成することで簡単に庇を設けることができる。この庇シートを好ましくは、天井パネルの周回上に渡って張り巡らせ、炎天下の際の直射日光や雨天の際の雨水から順番待ちで並ぶ人等を護ることができるように構成する。
【0036】
また、折り畳み状態のトイレ家屋を雨水等から保護する防水性のカバーを備えることが好ましく、それには例えば、折り畳み状態のトイレ家屋の天井パネルの下面と床パネルの上面間のトイレ家屋の側面部を、その周回に渡って覆うように構成された防水性を有するシートからなる側部防水部と、この側部防水部の下端から水平方向外向きに拡がって、便槽の開口部周辺及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材を合わせた平面を覆い尽くすように構成された防水性を有するシートからなる水平部防水部とからなる防水カバーを装着することによって、折り畳み時における防水性を向上させるように構成することで達せられる。勿論、この防水カバーは全体として側部と水平部を全体的に覆い尽くして防水性を確保できればよく、連結部を有する一枚以上の独立したシートを連結部どうしで互いに連結して全体を覆うようにして装着性を向上させてもよい。
【0037】
傾斜形状を有するブロック体を、折り畳み状態のトイレ家屋の側面に沿って配置することができ、この場合、折り畳み状態のトイレ家屋の地面からの段状に凸設した段を、スロープ状にすることができる上、前記防水カバーを装着している場合には、該防水カバー上に載置することで該防水カバーを風雪等から保護することができて好ましい。
【0038】
更に、天井パネル及び便槽の開口部及び便槽への出入口を閉塞する閉塞部材からなる平面領域を覆い尽くすように構成された耐候性を有するカバーを備え、トイレ家屋の折り畳み状態において、該カバーによって前記平面領域を覆うことが好ましく、更に好ましくは、該平面領域を覆うカバーの片面を人工芝で構成すると見栄えもよくなって好ましい。勿論該カバーは、その周縁部を杭等で固定することができる。
【実施例1】
【0039】
この発明の実施例を以下に図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、当該発明のトイレの折り畳み状態から立ち上げ状態までを間欠的に示す状態図である。図2は、天井パネル(1)、側壁パネル(2)、床パネル(3)からなるトイレ家屋(4)の板状に折り畳まれた状態を模式的に示す図であり、図3は折り畳み状態のトイレ家屋(4)の長手方向から見た側面図である。図4は、天井パネル(1)を吊り上げてトイレ家屋(4)を立ち上げる状態を模式的に示す図であり、図5は天井パネル(1)を吊上装置(5)で吊り上げる様子を拡大した図であり、図6Aは立ち上がり途中における側壁パネル(2)の様子を模式的に示す図である。図6B、図6Cは、立ち上がり途中若しくは立ち上がり後における、天井パネルに取り付けたヒンジの状態を示す拡大図である。図6D、図6Eは、立ち上がり途中若しくは立ち上がり後における、側壁パネル中間に取り付けたヒンジの状態を示す拡大図である。
【0040】
図7は、吊上装置(5)によって立ち上げたトイレ家屋(4)にドア等の部品を取り付ける様子を示しつつトイレ家屋(4)内の様子を示すための図であり、図8は立ち上げ時における支柱(6)の固定状態を示す図であり、図9は支柱(6)の下端部を示す斜視図である。図10は、支柱(6)を便槽(7)内において囲繞する支柱囲繞体(8)の配置を模式的に示す図であり、図11は支柱囲繞体(8)の様子を示す図である。図12は、便器(9a)やドア(10)等を取り付ける前のトイレ家屋(4)全体の間取図であり、図13は便器(9a)やドア(10)、仕切パネル(11a)(11b)等を取り付けたトイレ家屋(4)全体の間取図であり、図14は仕切パネル(11a)(11b)の取り付け状態を示すために便器(9a)等を簡略化した間取図である。図15A乃至図17Bは、仕切パネル(11a)(11b)の取り付け状態を示す図であり、図18は仕切パネル(11a)(11b)の取り付け構造を示す図である。図19は、立ち上げられたトイレ家屋(4)に庇シート(12)を張設した状態の平面図であり、図20及び図21は天井パネル(1)に庇シート(12)の取り付け状態を示す図である。図22は、折り畳み状態のトイレ家屋(4)側面部及びその周辺部に防水カバー(13)を装着する様子を示す図である。図23は、図1(a)の拡大図であり、図24は折り畳み状態のトイレ家屋(4)の全体を覆う片面が人工芝で構成された耐候性のカバー(14)の様子を示す図23の部分的な拡大図である。
【0041】
図1に示すように、本実施例の非常用折畳式トイレは、多量のふん尿を収納し得る容積を有し、上面を開口させて地中にコンクリートで画成された便槽(7)と、この便槽(7)に連通した該便槽(7)に併設される該便槽(7)への出入口(15)と、側壁パネル(2)をくの字状に屈曲して床パネル(3)及び天井パネル(1)と共に平坦な形態に折り畳むことができ、前記便槽(7)の上面の開口部(16)を閉塞するように天井パネル(1)を地上に露出させて配置される折り畳み式のトイレ家屋(4)と、その他大小用の便器(9a)や電灯や配線或いは工具等の当該トイレの設置に必要とされる資材一式とを備えている。
【0042】
図1(a)乃至(c)に示すように、天井パネル(1)の所定箇所には、天井パネル(1)の昇降に連動して昇降する支柱(6)が取り付けられ、該天井パネル(1)を降下させてトイレ家屋(4)を折り畳み状態とするときにおいては、降下した支柱(6)が便槽(7)内に収納されるように構成され(図1(a)参照)、トイレ家屋(4)を立ち上げ設置するときには天井パネル(1)と共に上昇(図1(b)参照)した該支柱(6)の下端部が便槽(7)の所定位置に固定されてトイレ家屋(4)を支持する柱の役割を果たすようになっている(図1(c)参照)。また、図1(c)に示すように、立ち上げ後においては、必要資材を収納していた便槽(7)の上部にはトイレ家屋(4)が設置され、トイレとして使用でき、排便された糞尿は便槽(7)内に収容し得るようになっている。
【0043】
図2及び図3に示すように、トイレ家屋(4)は、便槽(7)の開口部(16)を隙間無く閉塞し得る大きさと形状を有し、複数の人が乗っても耐え得る強度を有する長方形をなす板状の床パネル(3)と、これとほぼ同等の面積と形状に構成された板状の天井パネル(1)、及びこれらの間にヒンジ(17a)(17b)を介して取り付けられる側壁パネル(2)からなっていて、この側壁パネル(2)がくの字形に二つ折りにし得るように上下二枚の板状部材(18a)(18b)がヒンジ(19)を介して連結された構成からなり、折り畳んでトイレ家屋(4)全体を板状にすることができるようになっている。
【0044】
板状部材(18a)(18b)と天井パネル(1)又は床パネル(3)の連結部に用いられているヒンジ(17a)(17b)は、図6A乃至図6Cに示されるように、凸型噛合部(172)及び挿嵌部(173)を有する第一部材(171)と、凹型噛合部(175)を有する第二部材(174)とを連結ピン(176)で連結した構造からなる。天井パネル(1)又は床パネル(3)に第二部材(174)をネジ止め(図示せず)すると共に、板状部材(18a)(18b)の端部から板状部材(18a)(18b)内に挿嵌部(175)を押入して嵌め込み固定することで、天井パネル、側壁パネル、床パネルが連結される。側壁パネル(2)の立ち上げに伴い、ヒンジは連結ピン(176)を支点として回動し、やがて第一部材(171)の凸型噛合部(172)と、第二部材(174)の凹型噛合部(175)が噛み合うことで、ヒンジのガタツキが生じないように固定される。このヒンジ構造により、側壁パネル(2)が組み立てられた時にヒンジにかかる荷重、例えば板状部材(18a)(18b)や天井パネル(1)の重量はヒンジ(17a)(17b)の連結ピン(176)部分に集中せず、噛合部(172,175)にも分散する為、ヒンジ自体の変形や損傷等を防ぐことができる。
【0045】
側壁パネル(2)中間で板状部材(18a)(18b)どうしを連結しているヒンジ(19)は、前述のヒンジ(17a)(17b)に用いれている第一部材(171)どうしを連結ピン(176)で連結した構造からなる。すなわち、図6D、図6Eに示されるよう凸型噛合部(172)及び挿嵌部(173)を有する第一部材(171)(171)を連結ピン(176)で連結した構造であり、板状部材(18a)(18b)の端部から板状部材(18a)(18b)内に挿嵌部(173)を押入して嵌め込み板状部材(18a)(18b)同士を連結するようになっている。側壁パネル(2)の立ち上げに伴い、ヒンジは連結ピン(176)を支点として回動し、やがて凸型噛合部(172)の天面同士が当接して安定する。尚、このヒンジ構造にあっても、前述のヒンジ(17a)(17b)同様に、ヒンジにかかる荷重は連結ピン(176)と凸型噛合部(172)部分にも分散される為、ヒンジ自体の変形や損傷等を防ぐことができる。
【0046】
側壁パネル(2)は、天井パネル(1)若しくは床パネル(3)の幅よりも高さが低く、側壁パネル(2)をなす上下それぞれの板状部材(18a)(18b)の高さが前記天井パネル(2)及び床パネル(3)の幅の半分よりも低くなるように構成され、側壁パネル(2)は天井パネル(1)及び床パネル(3)の長手方向に沿ってそれらの両周縁部に所定間隔を存し、側壁パネル(2)のヒンジ(19)どうしが対向するように配置され、天井パネル(1)及び床パネル(3)に対してヒンジ(17a)(17b)を介して取り付けられている。また、天井パネル(1)や床パネル(3)の内部には、それらの強度を向上させるために補強材としてのフレーム(20a)(20b)が設けられている。
【0047】
図4に示すように、トイレ家屋(4)の立ち上げは、トイレ家屋(4)よりも背の高い2つの二股(21)と、この二股(21)からそれぞれ吊り下げて使用する巻上装置(22)とを備えてなる吊上装置(5)を用いてなされる。天井パネル(1)の側壁パネル(2)を取り付けた対向する二側面にそれぞれ二つずつ設けられた吊り具(23)に、これらの二点間以上の長さを有するワイヤー(24)を張り渡し、それらのワイヤー(24)のほぼ中点をそれぞれの巻上装置(22)のワイヤー(25)に連結して、吊上装置(5)で吊り上げてトイレ家屋(4)を立ち上げるようになっている。床パネル(3)の側壁パネル(2)を取り付けた対向する二側面のそれぞれの所定の二カ所に、二股(21)の各脚の下端部をそれぞれ着脱自在、且、安定的に固定するための上部が開口した箱状の固定具(26)を設け、二股(21)をほぼ真上に向けて安定的に立てて固定できるようになっている。尚、前記二股(21)どうしを連結パイプ(55)で連結すると共に、該連結パイプ(55)の両端部に地面に対し角度を有して接する接地パイプ(56)を接続することが好ましく、これにより立ち上げ時に、トイレ家屋(4)の短手方向の振動を押さえることが出来る為、より安全にトイレ家屋の立ち上げを行うことが出来るようになる。
【0048】
床パネル(3)の平面上の所定箇所には、便器(9a)を装着するための便器装着穴(27)が設けられている。また、天井パネル(1)に取り付けられている天井パネル(1)の昇降に連動して昇降する支柱(6)を通すために、床パネル(3)にはその表裏に貫通した支柱用穴(28)が支柱(6)に対応した箇所に設けられている。また、支柱(6)の天井パネル(1)に対する取り付け位置は、天井パネル(1)に対して複数互いに所定間隔を存して取り付けられる側壁パネル(2)どうしの間の位置になっていて、側壁パネル(2)の厚さ分だけ内側に奥まった位置になっている。逆説的には、側壁パネル(2)は支柱(6)を避けた位置に取り付けられている。前記側壁パネル(2)の間隔は、ドア(10)の幅に対応するもので、図7に示すように、立ち上げ後には該間隔位置にドア(10)を配置して周囲の側壁パネル(2)に対して該ドア(10)を取り付ける。また、側壁パネル(2)は支柱(6)を避けて取り付けられているため、支柱(6)を挟んだ位置の側壁パネル(2)間には隙間ができるが、この隙間を埋めるための側壁パネル(2)とほぼ同等の厚さ及び高さを有し、前記隙間の幅に相当する幅を有する埋板(29)で、この隙間を埋めるようになっている。
【0049】
図8に示すように、トイレ家屋(4)の立ち上げ時において、支柱(6)は床パネル(3)に設けられた支柱用穴(28)を通じて便槽(7)から地上へ上昇させられ、最終的には床パネル(3)をなす補強材としてのフレーム(20b)に対して、ボルト(30a)を用いて固定される。この固定は、支柱(6)の下端部に設けられた抜け止めとしての役割を併せ持った固定具(30b)(図9参照)を前記ボルト(30a)を以て固定することでなされる。また、固定後には、床パネル(3)に設けられた支柱用穴(28)を蓋板(31)で閉塞出来るようになっている。又、便槽(7)内には、トイレ家屋(4)の折り畳み時において、支柱(6)を囲繞しつつ保護するための支柱(6)の長手方向に延びる筒状に形成された支柱囲繞体(8)が各支柱位置に配設されている。この状態を示したのが図10及び図11である。
【0050】
図12に示すように、本実施例におけるトイレ家屋(4)の床パネル(3)には、幅方向に2列、長手方向に4つ及び5つ合計9つの便器装着穴(27a)が、床パネル(3)をなす補強材としてのフレーム(20b)を避けて所定間隔で設けられ、且、床パネル(3)の短辺部の一方には2つの小便器装着穴(27b)が所定間隔を存して設けられている。これらの便器装着穴(27a)(27b)には、それぞれに対応する便器(9a)が取り付けられる。特に、小便器装着穴を設けた床パネルの短辺の反対側の短辺部には、車椅子でも比較的使用しやすいように構成された便器(9b)を設置し、且、便室(32a)を広目に画成すると共に折畳式のドアを取り付け、車椅子のまま入退室し得るように構成されている。この状態を示したのが図13である。また、図13及び図14に示すように、トイレ家屋(4)内は、前記車椅子用の便室(32a)を除いて、長手方向に4室、幅方向に2室となるように仕切パネル(11a)(11b)によって、各便室(32b)が画成されている。
【0051】
図15A、図15Bに示すように、トイレ家屋(4)内において各便室(32)を画成しているのは、トイレ家屋(4)内を長手方向に仕切る仕切パネル(11a)と、これと直交する幅方向に仕切る仕切パネル(11b)であり、これらの仕切パネル(11a)(11b)を互いに連結することによって、各便室(32b)内に便器(9a)を取り付けるための便器装着穴(27)が1つずつとなるように仕切られている。これら仕切パネル(11a)(11b)は、仕切パネル(11a)(11b)どうしを互いに連結する側の上面端部に、上方に向かって凸設した連結のためのダボ(33)を有し、平面十字形又はT字形でその各部に前記ダボ(33)を挿通し得る孔(34)を設けてなる連結部材(35a)(35b)によって連結するようになっている。また、この連結部材(35a)(35b)のほぼ中心部にはナットが溶着されるともにボルトが予め螺合されており、仕切パネル(11a)(11b)を連結した後に、天井パネル(1)をなす補強材としてのフレーム(20a)に溶着されているナットにボルト(36)の開放端を螺合させることで、仕切パネル(11)と天井パネル(1)の間隔を一定に保つことが出来る。
【0052】
前述のボルトの螺合並びに後述の仕切パネルと壁面パネルの係合と相乗効果により、側壁パネル(2)、仕切パネル(11a)(11b)、天井パネル(1)の各パネルどうしが一体化し、余震等が発生した際にトイレ家屋が振動しても、天井パネルが上下にばたつくことがなく、ひいては壁面の振動が発生せずトイレ家屋の崩壊を防止することが可能となる。図16A、図16Bは連結部材の一変形例を示すものであり、仕切パネル(11a)(11b)の厚みとほぼ同一の内寸を有する略コ字状の部材を、十字状若しくはT字状に形成したものである。この連結部材(35c)(35d)にあっては、前述同様に仕切パネル(11a)(11b)を所定位置に固定した後、その連結箇所に天井側側から3枚若しくは4枚の仕切パネルの端部どうしを連結するように嵌め込むことで仕切パネルを容易に固定することができるものである。
【0053】
図16及び図17に示すように、長手方向を仕切る仕切パネル(11a)(11b)の下面には下方に向かって凸設したキャスター(37)を2つ有し、後述のように床パネルに設けられた凹落部(38)に該キャスター(37)を係入して仕切パネルを(11)を支えることが出来るようになっている。またこの仕切パネル(11a)の側壁パネル(2)に連結される側の側面の所定の上下二カ所には、二列に並列配置して設けられた係止具(39)を有し、その位置に対応する側壁パネル(2)の内側の面の所定位置に設けられた被係止部(40)に係入して連結できるようになっている。尚、キャスター(37)はこれに限られるものではなく、図16B、図17Bに示されるような仕切パネル(11a)(11b)の底面にボールベアリング(37a)を装着した構造であっても良い。
【0054】
前記係止具(39)は、L字を横に倒したようなフック状に形成されるものであり、一方被係止部(40)は該係止具(39)を受け入れつつ係止具(39)が下降した際、該係止具(39)が抜けないような構造となっている。つまり、被係止部(40)は、係止具(39)の全体が水平方向に真っ直ぐ挿入し得る所定の深さの横穴を有し、該係止具(39)を最大限に挿入した後、そのまま該係止具(39)を降下させることができる前記横穴の入り口より奥に形成される下方に向かった縦穴を有してなっている。このような構成により、仕切パネル(11)を固定するに際して、建物組立て者は前記仕切パネル(11)の係止具が壁面パネル(2)の被係止部に係合するように、仕切パネル(11)をキャスター(37)を利用して床面(3)上を壁面パネル(2)に直交する向きで移動させ、そのまま壁面パネル(2)方向へ押し続ける事により、壁面パネル(2)の被係止部(40)に仕切パネル(11)の係止具(39)が挿入されつつ、同時に前記仕切パネル(11)のキャスター(37)が床面(3)に形成した凹落部(38)に達し、該凹落部(38)にキャスター(37)が落下して仕切パネル(11)自体が床面方向へと下降するので、係止具(39)が確実に被係止部(40)に係止される。
【0055】
被係止部(40)が、側壁パネル(2)を構成する上下の板状部材(18a)(18b)を跨いでそれぞれに1つずつ形成されている場合(図18参照)、側壁パネル(2)がくの字形に屈曲することを防止し、且、仕切パネル(11a)を固定して立ち上げ状態のトイレ家屋(4)の強度を向上させることが出来るようになる。尚、被係止部(40)は板状部材(18a)(18b)に限定されて形成されるわけではなく、埋板(29)に形成してもよいことは勿論である。又、係止具(39)と被係止具(40)の係止に関しては前述の例に限定されるものではなく、例えば仕切パネル(11a)の一方の係止具(39)を被係止具(40)に係止した後に他方の係止具(39)を係止するようにしてもよく、如何なる方法で係止したとしても効果は同じであることはいうまでもない。
【0056】
トイレ家屋(4)を立ち上げた後には、庇シート(12)を張設して天井パネル(1)の周縁に庇を形成できるようになっている。庇シート(12)は、天井パネル(1)の長手方向の側部に取り付けられる略L字状の2枚の長方形のシート(41a)(41b)とからなる。これら2枚のシート(41a)(41b)は、それぞれ独立したシートであり防水性を有する。そして、張設時にはシートの角部の孔(42)に2本のロープ(43)を、非角部の孔(42)には1本のロープ(43)を連結して、それぞれのロープ(43)の他端を適当な方向に引っ張って地面に杭(44)で固定するようになっている。その固定状態の平面図を図19に示した。また、図19に示すように、2枚のシート(41a)(41b)はそれぞれの角部が互いにオーバラップして重なり合うようになっている。また、前記2枚のシート(41a)(41b)の天井パネル(1)に対する取り付けは、天井パネル(1)の裏面の周縁上に所定間隔を存して取り付けられた内側に向かって湾曲したフック(44)に、前記シート(41a)(41b)の取付側の周縁上に前記フックの配置間隔と同等の間隔を存して設けられた係止穴(46)を引っ掛けてなされる(図20及び図21参照)。尚、庇シート(12)を構成するシート(41)の枚数はこれに限られるものではなく、例えば、天井パネルの長手方向の側部に取り付けられる比較的長い2枚の長方形のシートと、天井パネルの幅方向の側部に取り付けられる比較的短い2枚の長方形のシートとから構成するようにしても良い。
【0057】
また、トイレ家屋(4)を折り畳み状態としているときには、防水を目的として、天井パネル(1)の裏面に所定間隔を以て設けられたフック(44)に、天井パネル(1)の裏面から床パネル(3)の上面に渡り、折り畳み状態のトイレ家屋(4)の側部をその周回上に渡って覆う側部防水部(47)と、この側部防水部(47)の下端から水平方向外向きに拡がって、便槽(7)の開口部(16)周辺及び便槽(7)への出入口周辺を覆う水平部防水部(48)とからなる防水カバー(13)を装着するようになっている(図24参照)。ただし、この実施例における防水カバー(13)は、図22に示すように、便槽(7)への出入口(15)を設けた側の便槽(7)の開口部(16)周辺を除く前記部分を覆う平面略C字形のC字形防水部材(49)と、便槽(7)への出入口(15)を設けた側の便槽(7)の開口部(16)周辺及び便槽(7)への出入口(15)周辺部分を覆う平面略T字形のT字形防水部材(50)の2枚のカバーからなる。そして、片側が緩やかに降下した湾曲面を形成してなり、適当な重量を有するブロック体(51)を、折り畳み状態のトイレ家屋(4)の側部の周回に沿って、前記防水カバー(13)の上部に載せて配置する(図23及び図24参照)。
【0058】
更に、防水性や美観を向上させる目的で、折り畳み状態のトイレ家屋(4)及び便槽(7)の開口部(16)周辺及び便槽(7)への出入口(15)を閉塞する閉塞板(52)を合わせた平面領域全体を覆い尽くす大きさを有し且つ耐候性を有し、上面が人工芝(53)に構成されたカバー(14)で前記平面領域を覆い、その周囲を杭(54)で固定できるよになっている(図23及び図24参照)。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】当該発明のトイレの折り畳み状態から立ち上げ状態までを間欠的に示す状態図
【図2】天井パネル、側壁パネル、床パネルからなるトイレ家屋の板状に折り畳まれた状態を模式的に示す図
【図3】折り畳み状態のトイレ家屋の長手方向から見た側面図
【図4】天井パネルを吊り上げてトイレ家屋を立ち上げる状態を模式的に示す図
【図5】天井パネルを吊上装置で吊り上げる様子を拡大した図
【図6A】立ち上がり途中における側壁パネルの様子を模式的に示す図
【図6B】立ち上がり途中における天井パネルに取り付けたヒンジの状態を示す拡大図
【図6C】立ち上がり後の同ヒンジの状態を示す拡大図
【図6D】立ち上がり途中における側壁パネル中間に取り付けたヒンジの状態を示す拡大図
【図6E】立ち上がり後の同ヒンジの状態を示す拡大図
【図7】吊上装置によって立ち上げたトイレ家屋にドア等の部品を取り付ける様子を示しつつトイレ家屋内の様子を示すための図
【図8】立ち上げ時における支柱部材の固定状態を示す図
【図9】支柱の下端部を示す斜視図
【図10】支柱を便槽内において囲繞する支柱囲繞体の配置を模式的に示す図
【図11】支柱囲繞体の様子を示す図
【図12】便器やドア等を取り付ける前のトイレ家屋全体の間取図
【図13】便器やドアや仕切パネル等を取り付けたトイレ家屋全体の間取図
【図14】仕切パネルの取り付け状態を示すために便器等を簡略化した間取図
【図15A】連結部材を取り付け状態を示す図
【図15B】連結部材と仕切パネルの関係を示す図
【図16A】他の形状の連結部材を取り付け状態を示す図
【図16B】他の形状の連結部材と仕切パネルの関係を示す図
【図17A】仕切パネルの取り付け状態を示す図
【図17B】他の形状のキャスターを取り付けた仕切パネルを示す図
【図18】仕切パネルの取り付け構造を示す図
【図19】立ち上げられたトイレ家屋に庇シートを張設した状態の平面図
【図20】天井パネルに対する庇シートの取り付け状態を示す図
【図21】天井パネルに対する庇シートの取り付け状態を示す図
【図22】折畳状態のトイレ家屋側面部及びその周辺部に防水カバーを装着する様子を示す図
【図23】図1(a)の拡大図
【図24】図23の部分的な拡大図
【符号の説明】
【0060】
1 天井パネル
2 側壁パネル
3 床パネル
4 トイレ家屋
5 吊上装置
6 支柱
7 便槽
8 支柱囲繞体
9a 便器
9b 便器
10 ドア
11a 仕切パネル
11b 仕切パネル
12 庇シート
13 防水カバー
14 カバー
15 出入口
16 開口部
17a ヒンジ
17b ヒンジ
171 第一部材
172 凸型噛合部
173 挿嵌部
174 第二部材
175 凹型噛合部
176 連結ピン
18a 板状部材
18b 板状部材
19 ヒンジ
20a フレーム
20b フレーム
21 二股
22 巻上装置
23 吊り具
24 ワイヤー
25 ワイヤー
26 固定具
27a 便器装着穴
27b 小便器装着穴
28 支柱用穴
29 埋板
30a ボルト
30b 固定具
31 蓋板
32 便室
33 ダボ
34 孔
35a 連結部材
35b 連結部材
35c 連結部材
35d 連結部材
36 ボルト
37 キャスター
37a キャスター
38 凹落部
39 係止具
40 被係止部
41a シート
42b シート
42 孔
43 ロープ
44 杭
45 フック
46 係止穴
47 側部防水部
48 水平部防水部
49 C字形防水部材
50 T字形防水部材
51 ブロック体
52 閉塞板
53 人工芝
54 杭
55 連結パイプ
56 接地パイプ





 

 


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