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発明の名称 アーム作業機の警報装置、警報方法およびアーム作業機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−186953(P2007−186953A)
公開日 平成19年7月26日(2007.7.26)
出願番号 特願2006−7385(P2006−7385)
出願日 平成18年1月16日(2006.1.16)
代理人 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
発明者 成澤 順市 / 畠野 秋弘 / 田宮 英雄 / 東 忍 / 宮本 敏之 / 鷺谷 兼一 / 木村 敏宏
要約 課題
作業機の転倒のおそれを適切に評価し、報知するアーム作業機の警報装置の提供。

解決手段
作業機全体の重心位置55と転倒支点54a,54bとを結ぶ線の鉛直線に対するなす角βf,βγ(安息角)が限界安息角αより大きいときは車体は安全姿勢にあり、限界安息角α以下のときは危険姿勢にある。56a,56bによって形成された三角形の内側は安全領域、外側は危険領域であり、重心位置55が安全領域にあれば車体の転倒のおそれはなく、危険領域にあれば転倒のおそれがある。安全姿勢である重心位置55の範囲は、重心位置55の高さが高くなるほど狭くなる。限界安息角αは走行体1の向きによっても変化する。限界安息角αと安息角βf,βγとを比較することで、水平方向の重心位置だけでなく高さ方向の重心位置も考慮して、車体転倒のおそれを判断できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
回動可能なアームを有する作業機の転倒のおそれを報知するアーム作業機の警報発生方法であって、
水平方向および高さ方向の作業機全体の重心位置を検出する手順と、
作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定する手順と、
前記検出された重心位置が前記設定された範囲を超えると警報を発生する手順とを含むことを特徴とするアーム作業機の警報発生方法。
【請求項2】
回動可能なアームを有する作業機の転倒のおそれを報知するアーム作業機の警報装置であって、
水平方向および高さ方向の作業機全体の重心位置を検出する重心位置検出手段と、
作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定する設定手段と、
前記重心位置検出手段により検出された重心位置が前記設定手段により設定された範囲を超えると警報を発生する警報手段とを備えることを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記範囲設定手段は、作業機が転倒する際の支点である転倒支点と、この転倒支点よりも上方に設定された、作業機の中心を通る鉛直線上の基準点とを結ぶ直線により前記範囲を設定することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記作業機には作業姿勢に応じて作業機の一方側または他方側に配置が変更される1または複数の構成部品が設けられ、
前記重心位置検出手段は、前記構成部品が全て前記一方側に位置すると仮定したときの条件およびまたは前記構成部品が全て前記他方側に位置すると仮定したときの条件の下で、重心位置を検出することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のアーム作業機の警報装置において、
表示装置と、
前記範囲設定手段により設定された範囲を表す第1のイラスト画像を前記表示装置の画面上に表示するとともに、前記重心位置検出手段により検出された重心位置を表す第2のイラスト画像を前記第1のイラスト画像に対応付けて同一の画面上に表示する表示制御手段とをさらに備えることを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記作業機は、走行体に対して旋回可能な旋回体を有し、
前記旋回体に対する前記走行体の向きを検出する旋回検出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記走行体を表すイラスト画像、前記旋回体を表すイラスト画像、作業機の転倒支点を表すイラスト画像をそれぞれ同一の画面上に表示するとともに、前記旋回検出手段により検出された走行体の向きに応じて前記走行体および前記転倒支点のイラスト画像の表示を変更することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記範囲設定手段は、前記走行体の一の向きおよび他の向きに対応してそれぞれ前記範囲を設定し、
前記表示制御手段は、これら各範囲をそれぞれ同一の画面上に表示することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記表示制御手段は、転倒支点を表すイラスト画像を作業機の実寸法に拘わらず画面上の所定位置に表示するとともに、この画面上の転倒支点の寸法と転倒支点の実寸法との比に応じて第2のイラスト画像を表示することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項9】
請求項8に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記表示制御手段は、前記走行体の一の向きに対応した転倒支点の実寸法と他の向きに対応した転倒支点の実寸法との比を演算するとともに、前記一の向きに対応した転倒支点を表すイラスト画像を画面上の前記所定位置に表示し、前記他の向きに対応した転倒支点を表すイラスト画像を前記演算された比に応じた寸法で画面上に表示することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1項に記載のアーム作業機の警報装置において、
アーム先端部の作業状態を撮影する撮影手段と、
アーム作業機を操作する操作部材に設けられ、前記撮影手段により撮影された撮影画像、もしくは前記第1のイラスト画像と第2のイラスト画像を含む作業画像のいずれか一方を選択する画像選択部材とをさらに備え、
前記表示制御手段は、前記画像選択部材により撮影画像が選択されると前記作業画像に代えて前記撮影画像を画面上に表示し、作業画像が選択されると前記撮影画像に代えて前記作業画像を画面上に表示することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれか1項に記載のアーム作業機の警報装置において、
前記表示制御手段は、前記走行体を表すイラスト画像、前記旋回体を表すイラスト画像、および作業機の転倒支点を表すイラスト画像を画面上の第1の領域に表示し、この表示に対応づけて前記第1のイラスト画像および第2のイラスト画像を表示するとともに、同一の画面上の第2の領域に第1のイラスト画像と2のイラスト画像をメータ状の画像により表示することを特徴とするアーム作業機の警報装置。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1項に記載のアーム作業機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の転倒のおそれを報知するアーム作業機の警報装置、警報方法およびアーム作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の警報装置として、長尺のアームを有する解体作業機の警報装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、作業機全体の水平方向の重心位置により下部走行体の接地面における前方安定支点および後方安定支点の支持力を演算し、その支持力が限界値以下になったときに警報を発生する。
【0003】
【特許文献1】特許2871105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車体姿勢の安定性(転倒のしにくさ)は水平方向の重心位置だけでなく重心の高さによっても変わり、重心位置が高いほど車体姿勢は不安定となる。しかしながら、上記特許文献1記載の警報装置では、重心位置の高さを考慮しておらず、作業機の転倒のおそれの有無を適切に判断することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるアーム作業機の警報発生方法は、水平方向および高さ方向の作業機全体の重心位置を検出する手順と、作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定する手順と、検出された重心位置が設定された範囲を超えると警報を発生する手順とを含むことを特徴とする。
また、本発明によるアーム作業機の警報装置は、水平方向および高さ方向の作業機全体の重心位置を検出する重心位置検出手段と、作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定する設定手段と、重心位置検出手段により検出された重心位置が設定手段により設定された範囲を超えると警報を発生する警報手段とを備えることを特徴とする。
作業機が転倒する際の支点である転倒支点と、この転倒支点よりも上方に設定された、作業機の中心を通る鉛直線上の基準点とを結ぶ直線により前記範囲を設定することが好ましい。
作業機には作業姿勢に応じて作業機の一方側または他方側に配置が変更される1または複数の構成部品が設けられ、構成部品が全て一方側に位置すると仮定したときの条件およびまたは構成部品が全て他方側に位置すると仮定したときの条件の下で、重心位置を検出することが好ましい。
表示装置と、設定された範囲を表す第1のイラスト画像を表示装置の画面上に表示するとともに、検出された重心位置を表す第2のイラスト画像を第1のイラスト画像に対応付けて同一の画面上に表示する表示制御手段とをさらに備えることもできる。
作業機が、走行体に対して旋回可能な旋回体を有し、旋回体に対する走行体の向きを検出する旋回検出手段をさらに備え、走行体を表すイラスト画像、旋回体を表すイラスト画像、作業機の転倒支点を表すイラスト画像をそれぞれ同一の画面上に表示するとともに、旋回検出手段により検出された走行体の向きに応じて走行体および転倒支点のイラスト画像の表示を変更することもできる。
走行体の一の向きおよび他の向きに対応してそれぞれ前記範囲を設定し、これら各範囲をそれぞれ同一の画面上に表示するようにしてもよい。
転倒支点を表すイラスト画像を作業機の実寸法に拘わらず画面上の所定位置に表示するとともに、この画面上の転倒支点の寸法と転倒支点の実寸法との比に応じて第2のイラスト画像を表示することもできる。
走行体の一の向きに対応した転倒支点の実寸法と他の向きに対応した転倒支点の実寸法との比を演算するとともに、一の向きに対応した転倒支点を表すイラスト画像を画面上の所定位置に表示し、他の向きに対応した転倒支点を表すイラスト画像を演算された比に応じた寸法で画面上に表示するようにしてもよい。
アーム先端部の作業状態を撮影する撮影手段と、アーム作業機を操作する操作部材に設けられ、撮影手段により撮影された撮影画像、もしくは第1のイラスト画像と第2のイラスト画像を含む作業画像のいずれか一方を選択する画像選択部材とをさらに備え、画像選択部材により撮影画像が選択されると作業画像に代えて撮影画像を画面上に表示し、作業画像が選択されると撮影画像に代えて作業画像を画面上に表示することもできる。
走行体を表すイラスト画像、旋回体を表すイラスト画像、および作業機の転倒支点を表すイラスト画像を画面上の第1の領域に表示し、この表示に対応づけて第1のイラスト画像および第2のイラスト画像を表示するとともに、同一の画面上の第2の領域に第1のイラスト画像と2のイラスト画像をメータ状の画像により表示することもできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定し、この範囲を重心位置が超えたときに警報を発するようにしたので、重心の高さを考慮して作業機の転倒のおそれの有無を適切に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図1〜図11を参照して本発明によるアーム作業機の警報装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用される解体作業機の側面図である。走行体1の上部には旋回可能に旋回体2が設けられ、旋回体2に回動可能に作業用フロント3が取り付けられている。作業用フロント3は基アーム31、中間アーム32、先端アーム33からなる多段アームと、解体作業用のアタッチメント34とを有する。なお、図中の(A),(B)は作業姿勢を示し、(C)はトレーラにて輸送する輸送姿勢を示す。以下では、旋回体2の前後を基準にして車体の前後方向を定義する。
【0008】
基アーム31は油圧シリンダ3aにより旋回体2の前部に前後方向に回動可能に支持され、中間アーム32は油圧シリンダ3bにより基アーム31の先端部に前後方向に回動可能に支持され、先端アーム33は油圧シリンダ3cにより中間アーム32の先端部に前後方向に回動可能に支持され、アタッチメント34は油圧シリンダ3dにより先端アーム33の先端部に前後方向(矢印方向)に回動可能に支持されている。基アーム31の先端部には旋回体前方の作業状態を撮影するカメラ14が取り付けられている。
【0009】
走行体1は、左右一対の履帯1aと、走行体1の前後端部にそれぞれ設けられた駆動輪および従動輪と、走行体1の前端部に設けられた走行モータ1bとを有する。駆動輪は走行モータ1bにより回転駆動され、この駆動輪の回転により履帯1aが駆動する。なお、図示の状態では走行モータ1bは車体の前側に位置するが、旋回体2を180°旋回した状態では走行モータ1bは車体の後側に位置する。
【0010】
図2は、本実施の形態に係る警報装置の構成を示すブロック図である。情報処理装置10には、カメラ14と、車体および各アーム31〜33の角度を検出する角度センサ等のセンサ群11と、操作レバーに組み込まれた画像切換スイッチ12と、走行体1に対する旋回体2の旋回方向、すなわち旋回体2に対し走行体1が同一方向を向いているか、直角方向を向いているかを検出する旋回検出スイッチ13とが接続されている。情報処理装置10は、これらからの入力信号に基づいて後述するような処理を実行し、警報ブザー40に制御信号を出力するとともに、画像処理装置20に制御信号を出力し、表示装置50の表示を以下のように制御する。
【0011】
図3,4は、表示装置50に表示される表示画像の一例を示す図である。なお、図3は走行体1が旋回体2に対し同一方向を向いた状態(旋回角度が約0°または180°)に対応し、図4は直角方向を向いた状態(旋回角度が約90°または270°)に対応する。
【0012】
表示装置50のメイン画面51には、走行体1のイラスト画像52a,52bと、旋回体2のイラスト画像53とが表示されている。イラスト画像52aは走行体1を側方から見た形状を模式的に示し、イラスト画像52bは前方から見た形状を模式的に示したものである。
【0013】
図中、54a,54bは、それぞれ車体の前方および後方への転倒支点を表すイラスト画像である。ここで、転倒支点54a,54bは、図3では走行体1の駆動輪および従動輪の回転中心の地上投影位置に表示され、図4では履帯1aの幅中心の地上投影位置に表示されている。転倒支点54a,54b間の距離は図3の方が図4のよりも長い。
【0014】
55a,55bは、走行体1と旋回体2と作業用フロント3を含む作業機全体の重心位置を表すイラスト画像である。ここで、55aは、走行モータ1bが車体の前側に位置し、かつアタッチメント34が前方に水平に回動した場合の重心位置に相当し、55bは、走行モータ1bが車体の後側に位置し、かつアタッチメント34が後方に水平に回動した場合の重心位置に相当する。すなわち、本実施の形態では、アタッチメント34の回動姿勢と走行モータ1bの前後位置は検出しないので、安全を見込んで車体が前方および後方へ最も転倒しやすい条件(前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件)で作業機全体の重心位置55a,55bを求める。実際の重心位置は少なくとも55aと55bの間にある。
【0015】
56a,56bは、それぞれ予め定められた限界安息角αを表すイラスト画像(直線)である。限界安息角αは、図8に示すように旋回体上方の旋回中心上の点(安息角頂点)P1と転倒支点54a,54bとを結ぶ線の鉛直線に対するなす角として定義される。この限界安息角αは、車体が転倒のおそれのない安全姿勢にあるか否かを判定するための範囲を定めるものであり、作業機毎に実験やシミュレーション等によって予め定められる。
【0016】
すなわち、作業機全体の重心位置55と転倒支点54a,54bとを結ぶ線の鉛直線に対するなす角βf,βγ(これを安息角と呼ぶ)が限界安息角αより大きいときは車体は安全姿勢にあり、限界安息角α以下のときは危険姿勢にある。換言すれば、56a,56bによって形成された三角形の内側は安全領域、外側は危険領域であり、重心位置55が安全領域にあれば車体の転倒のおそれはなく、危険領域にあれば転倒のおそれがある。この場合、安全姿勢である重心位置55の範囲は、重心位置55の高さが高くなるほど狭くなる。限界安息角αは走行体1の向きによっても変化し、図3と図4を比較すると、図3の方が転倒支点間距離が大きく、安全領域が広い。
【0017】
このように限界安息角αと安息角βf,βγとを比較することで、水平方向の重心位置だけでなく高さ方向の重心位置も考慮して、車体転倒のおそれを判断できる。つまり、重心位置55が高いほど、作業時に重心位置が大きく移動し、車体姿勢は不安定になるが、高さ方向に安全領域を狭めることで、車体姿勢の安定性を適切に評価できる。なお、本実施の形態では、限界安息角αと安息角βf,βγとの比較を容易にするために、重心位置と安息角頂点とを結ぶ線が旋回中心を通る鉛直線に対してなす角β’f,β’r(図10のβ’)を演算し、このβ’f,β’r(修正安息角と呼ぶ)と限界安息角αとを比較して、車体の転倒のおそれの有無を判定する。
【0018】
図3、4に示すように、表示装置50のサブ画面61には作業機の全体形状のイラスト画像62が表示されている。このイラスト画像62に対応して表示部63には作業半径が表示され、表示部64にはアーム角度と作業負荷が表示され、表示部65にはアーム先端部の高さが表示されている。サブ画面61には、限界安息角αと修正安息角β’f,β’rとの関係を表すメータ画像66も表示されている。
【0019】
図7は、メータ画像66を拡大して示した図である。メータ画像66は、旋回中心を中心にした左右対称の3つの領域66a,66b,66cをメータ状に表示し、この表示上に図示のように2つの修正安息角(実安息角相当値)β’f,β’rを重ねて表示したものである。図中、限界安息角αより大きい危険領域を66cで、限界安息角αより小さい安全領域を66a,66bで示している。なお、66bは限界安息角αに一定以上近づいた領域である。このようにメータ画像66に限界安息角αと修正安息角β’f,β’rとの関係を表示することで、作業員は作業姿勢の安定性の程度を容易に認識することができる。
【0020】
図5は、表示装置50に表示される他の表示画像の一例を示した図である。この図5は走行体1が旋回体2と同一方向を向いた状態に対応しており、メイン画面51には図3に示したのと同様、転倒支点54a,54bのイラスト画像(図では黒塗り表示)と限界安息角αを表す線56a,56b(実線)が表示されている。さらに図5では、走行体1が旋回体2に対し直角方向を向いた状態に対応する転倒支点54a,54bのイラスト画像(図では白抜き表示)と限界安息角αを表す線56a,56b(点線)が併せて表示されている。すなわち、現在の車体姿勢の安定性だけでなく、旋回体2を90°旋回した場合の車体姿勢の安定性も、異なる表示形態により併せて表示される。
【0021】
メイン画面51には、画像切換スイッチ12の操作により、カメラ14によって撮影された撮影画像も表示することもできる。その一例を図6に示す。図6では、アーム先端部の撮影画像が表示されている。なお、この撮影画像は拡大縮小表示することもできる。
【0022】
図11,12は、情報処理装置10における処理の一例を示すフローチャートであり、図9,10は、実データと画面データの対応関係を示す図である。なお、図9では走行体1が前後方向(旋回体2と同一方向)を向いた状態での対応関係を示し、図10では走行体1が横方向(旋回体2に対して直角方向)を向いた状態での対応関係を示している。情報処理装置10には、予め図9に示すように走行体1が前後方向を向いた状態での作業機の限界安息角α、画面上の旋回中心から転倒支点54a,54bまでの距離tpt(前後方向転倒支点長さ)、および画面上の転倒支点54a,54bから安息角頂点P1までの高さ(安息角頂点高さ)hatが記憶されている。
【0023】
情報処理装置10は、作業機の電源オンにより処理を開始する。まず、図11に示すように、ステップS1で車体の実寸法と表示画像とを合わせるために機種スケールSCALEKを演算し、ステップS2で横スケールSCALESを演算する。機種スケールSCALEKは、画面上の前後方向転倒支点長さtpt(図9)と、走行体1が前後方向を向いた状態での実際の旋回中心から転倒支点までの長さ(実寸法)TPTとの比(tpt/TPT)である。横スケールSCALESは、走行体1が横方向を向いた状態での転倒支点までの長さ(実寸法)TPSと上記TPTとの比(TPS/TPT)である。なお、TPT,TPSは作業機固有の値として予め記憶されており、通常、TPT>TPSの関係がある。
【0024】
ステップS3では、センサ群11により検出された車体および各アーム31〜33の角度に基づき各アーム31〜33の姿勢角を演算する。ステップS4、ステップS5では、この姿勢角と予め記憶された車体および各アーム31〜33の質量、重心位置データに基づき、それぞれ前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件に対応した作業機全体の重心位置を演算する。この重心位置は、走行体1が前後方向を向いた状態および横方向を向いた状態のそれぞれについて演算され、旋回中心からの水平距離GXおよび転倒支点からの高さGYとして求められる。
【0025】
ステップS6では、ステップS4とステップS5で求めた各重心位置GX,GYに機種スケールSCALEKをそれぞれ乗算し、重心位置(実データGX,GY)を画面上の座標(画面データgx,gy)に変換する。すなわち走行体1が前後方向を向いた状態での前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件に対応した重心位置(gxft,gyft)および(gxrt,gyrt)と、走行体1が横方向を向いた状態での前方最悪条件および後方転倒最悪条件に対応した重心位置(gxfs,gyfs)および(gxrs,gyrs)をそれぞれ求める。ステップS7では、走行体1が前後方向を向いた状態での安息角頂点高さhatに横スケールSCALESを乗算し、横方向を向いた状態での安息角頂点高さhas(図10)を演算する。
【0026】
ステップS8では、旋回検出スイッチ13からの信号に基づき旋回方向を判定する。ステップS8で旋回体2が走行体1と同一方向を向いていると判定されると、すなわち走行体1が前後方向を向いていると判定されるとステップS9に進み、旋回体2が走行体1に対して直角方向を向いていると判定されると、すなわち走行体1が横方向を向いていると判定されるとステップS10に進む。
【0027】
ステップS9では、走行体1が前後方向を向いた状態での前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件に対応した修正安息角β’をそれぞれ演算する。すなわち作業機全体の重心位置(gxft,gyft)および(gxrt,gyrt)と安息角頂点P1とを結ぶ線の鉛直線とのなす角β’ftおよびβ’rtをそれぞれ演算する。ステップS10では、走行体1が横方向を向いた状態での前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件に対応した修正安息角β’(図10)をそれぞれ演算する。すなわち作業機全体の重心位置(gxfs,gyfs)および(gxrs,gyrs)と安息角頂点P1とを結ぶ線の鉛直線とのなす角β’fsおよびβ’rsをそれぞ演算する。
【0028】
ステップS11では、画像処理装置20に制御信号を出力し、演算された修正安息角β’f,β’rを図7に示すように表示装置50のメータ画像66に表示する。ステップS12では、修正安息角β’f,β’rの絶対値がいずれも限界安息角αより大きいか否かを判定する。ステップS12が肯定されるとステップS13に進み、警報オン信号を出力して警報ブザー40から警報を発生させる。ステップS12が否定されるとステップS14に進み、警報オフ信号を出力して警報ブザー40からの警報の発生を停止する。
【0029】
次いで、図12のステップS21に進み、画像切換スイッチ12の操作によりカメラ画像が選択されているか否かを判定する。ステップS21が肯定されるとステップS22に進み、画像処理装置20に制御信号を出力し、表示装置50に図6に示すように撮影画像を表示してステップS3に戻る。ステップS21が否定されるとステップS23に進み、図5に示すように表示装置50に旋回体2のイラスト画像53(固定画像)を表示する。次いで、ステップS24で前後方向転倒支点長さtptに横スケールSCALESを乗じて、走行体1が横方向を向いた状態での画面上の転倒支点の長さtps(横方向転倒支点長さ;図10)を演算する。
【0030】
ステップS25では、旋回検出スイッチ13からの信号に基づき旋回方向を判定する。ステップS25で旋回体2が前後方向を向いていると判定されるとステップS31に進む。ステップS31〜ステップS36では、図5に示すように走行体1が前後方向を向いた状態に対応したイラスト画像を表示装置50のメイン画面51に表示する。
【0031】
すなわちステップS31では、ステップS6で演算した作業機全体の重心位置(gxft,gyft),(gxrt,gyrt)を表すイラスト画像55a,55bを表示し、ステップS32では、前後方向の走行体画像52aを表示する。ステップS33では、前後方向転倒支点長さtptに対応した転倒支点の画像54a,54bを塗りつぶして表示し、ステップS34では、前後方向転倒支点長さtptと安息角頂点高さhatとに基づき、前後方向の限界安息角αを表す線56a,56bを実線で表示する。ステップS35では、横方向転倒支点長さtps(ステップS24)に対応した転倒支点の画像54a,54bを白抜きで表示し、ステップS36では、横方向転倒支点長さtpsと安息角頂点高さhas(ステップS7)とに基づき、横方向の限界安息角αを示す線56a,56bを点線で表示する。
【0032】
一方、ステップS25で旋回体2が横方向を向いていると判定されるとステップS41に進み、ステップS41〜ステップS46で走行体1が横方向を向いた状態に対応したイラスト画像を表示装置50のメイン画面51に表示する。すなわちステップS41では、ステップS6で演算した作業機全体の重心位置(gxfs,gyfs),(gxrs,gyrs)を表すイラスト画像55a,55bを表示し、ステップS42では、横方向の走行体画像52bを表示する。ステップS43では、横方向転倒支点長さtpsに対応した転倒支点の画像54a,54bを塗りつぶして表示し、ステップS44では、横方向転倒支点長さtpsと安息角頂点高さhasとに基づき、横方向の限界安息角αを表す線56a,56bを実線で表示する。ステップS45では、前後方向転倒支点長さtptに対応した転倒支点の画像54a,54bを白抜きで表示し、ステップS46では、前後方向転倒支点長さtptと安息角頂点高さhatとに基づき、前後方向の限界安息角αを表す線56a,56bを点線で表示する。
【0033】
なお、以上の処理では、走行体1の前後方向および横方向に対応した限界安息角αの画像56a,56bと転倒支点の画像54a,54bを併せて表示したが、図3または図4に示すようにそのいずれかを表示するだけでもよい。この場合、ステップS35,ステップS36,ステップS45,ステップS46の処理が不要となる。また、走行体1の向きが一定以上変化する前は前後方向または横方向のいずれかに対応した画像を表示し、走行体1の向きが一定以上変化したときに前後方向および横方向に対応した画像を同時に表示するようにしてもよい。
【0034】
本実施の形態の動作をまとめると次のようになる。
例えば走行体1が前後方向を向いた状態で作業をしているとき、情報処理装置10は、センサ群11からの検出値を用いて前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件における作業機全体の重心位置を求め、図5に示すように作業機のイラスト画像52,53および転倒支点の画像54a,54bとともに、重心位置の画像55a,55bおよび限界安息角αを表す画像56a,56bをメイン画面51に表示する(ステップS23,ステップS31〜ステップS36)。限界安息角αと重心位置との関係はサブ画面61のメータ画像66にも表示される(ステップS11)。
【0035】
作業機全体の重心位置は、解体作業時における作業用フロント3の姿勢変化および作業負荷等によって変化し、それに伴い重心位置の画像55a,55bおよびメータ画像66の表示もリアルタイムで変化する。重心位置に応じて変化する修正安息角β’f,β’rが限界安息角αより小さいときは、重心位置の画像55a,55bは線56a,56bの内側(安全領域)にある。この画面表示を通して、作業員は作業機の転倒のおそれの有無だけでなく、現在の作業機姿勢が転倒に対してどの程度余裕があるかも認識することができる。これはメータ画像66によっても認識できる。なお、メータ画像66は、図7に示すように安全領域が66aと66bにより表示されているため、修正安息角β’f,β’rが限界安息角αに一定以上近づいたか否かも併せて認識できる。メイン画面51には走行体1が横方向を向いたときの転倒支点の画像54a,54bおよび限界安息角αを表す画像56a,56bも表示され、旋回体2を旋回させたときに転倒に対する安定性がどの程度変化するかも作業員は容易に認識できる。
【0036】
修正安息角β’f,β’rが限界安息角αを越えると、重心位置の画像55a,55bが線56a,56bの外側(危険領域)に移動する。このとき警報ブザー40から警報が発生し(ステップS13)、作業機が転倒のおそれある旨が報知される。これにより作業員は画面表示を見なくても車体転倒のおそれがあることを認識でき、車体転倒を引き起こすような操作を停止するようになる。なお、警報の発生と同時に、修正安息角β’がそれ以上大きくなるような動作を強制的に停止するようにしてもよい。この場合、作業機全体の重心位置が高いほど、重心移動が大きくなり車体姿勢は不安定となるが、重心の高さが高いほど安全領域を狭く設定するため、車体転倒のおそれがあるか否かを車体の安定性を考慮して適切に判定できる。
【0037】
以上の実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)旋回中心上の安息角頂点P1と転倒支点54a,54bとを結ぶ線の鉛直線に対するなす角として限界安息角αを設定し、水平方向および高さ方向の重心位置により定まる修正安息角β’が限界安息角αを越えると警報を発生するようにした。これにより重心の高さを考慮して車体の転倒のおそれの有無を適切に判断することができる。
(2)限界安息角αと修正安息角β’の関係を示すイラスト画像55,56を、作業機のイラスト画像52〜54に対応付けてメイン画面51に表示するようにしたので、転倒に対してどの程度余裕があるかを作業員は容易に認識することができる。
(3)限界安息角αと修正安息角β’の関係を示すメータ画像66をサブ画面61に表示するようにしたので、メイン画面51の表示をカメラ撮影画像に切り替えた場合にも作業員は転倒のおそれを把握できる。
(4)安息角頂点P1と転倒支点54a,54bにより限界安息角αを設定するので、作業機の安全姿勢の範囲を簡単に設定することができる。
【0038】
(5)作業機に設けられる構成部品(走行モータ1bとアタッチメント34)が最も転倒しやすい状態に配置されている条件(前方転倒最悪条件および後方転倒最悪条件)を想定し、この条件の下で重心位置を検出するようにしたので、作業機が安全姿勢にあるか否かをより安全に評価することができる。
(6)旋回検出スイッチ13により走行体1の向きを検出し、走行体1が前後方向を向いているときと横方向を向いているときで画像表示を変更するようにしたので、走行体1の向きに拘わらず、作業機の転倒のおそれの程度を作業員は正確に把握することができる。
(7)走行体1が一の方向(例えば前後方向)を向いているときの限界安息角αのイラスト画像56だけでなく、他の方向(例えば横方向)を向いているときの限界安息角αのイラスト画像56も同時に表示するようにしたので、旋回体2を旋回させた場合の作業機の転倒のおそれの有無も把握できる。
(8)画面上の転倒支点の長さtptと実際の転倒支点の長さTPTの比に応じて重心位置のイラスト画像55を表示するようにしたので(ステップS6)、作業機の大きさが異なる場合にも、限界安息角αと修正安息角β’の関係を画面上に良好に表示することができる。
(9)前後方向の転倒支点の長さTPTと横方向の転倒支点の長さTPSの比に応じて画面上の転倒支点の長さtpsを表示するようにしたので、転倒支点のイラスト画像54の表示が作業機の形状に良好に対応する。
(10)操作レバーに設けた画像切換スイッチ12の操作によりメイン画面51の表示をカメラ14の撮影画像に切り換えるようにしたので、操作レバーから手を離さなくても画像表示を切り換えることができ、作業性に優れる。
【0039】
なお、上記実施の形態では、旋回中心上の安息角頂点P1と転倒支点54とを結ぶ線により限界安息角αを設定し、この限界安息角αにより作業機の安全姿勢の範囲を設定したが、作業機全体の重心の高さが高くなるほど水平方向の重心移動の許容範囲が狭くなるように範囲を設定するのであれば、範囲設定手段としての構成は上述したものに限らない。
【0040】
作業機の安全姿勢の範囲を示すイラスト画像56(第1のイラスト画像)と、これに対応付けた重心位置のイラスト画像50(第2のイラスト画像)を表示装置55に表示するのであれば、表示画像の形態は上述したものに限らない。例えば走行体1の向きやアタッチメント34の回動姿勢を検出し、重心位置を1点で表示するようにしてもよい。また、重心位置55a,55bの差が小さければ、その平均値をとって表示するようにしてもよい。重心位置が旋回中心よりも前方にある場合に前側の重心位置55aと転倒支点54aのみを表示し、後方にある場合に後側の重心位置55bと転倒支点54bのみを表示するようにしてもよい。メイン画面51(第1の領域)とサブ画面61(第2の領域)にそれぞれ限界安息角αと修正安息角β’の関係を表示するようにしたが、いずれか一方のみに表示するようにしてもよい。
【0041】
センサ群11により検出された車体およびアーム31〜33の角度に基づき重心位置を検出するようにしたが、重心位置検出手段はいかなるものでもよい。修正安息角β’が限界安息角αを越えると警報ブザー40から警報音を発生するようにしたが、警報手段はこれに限らない。旋回検出スイッチ13により走行体1の向きを検出するようにしたが、旋回検出手段の構成はこれに限らない。アーム31の先端部にカメラ14を設けてアーム先端部の作業状態を撮影するようにしたが、撮影手段はいかなるものでもよい。操作レバーに設けた画像切換スイッチ12により、限界安息角αと修正安息角β’の関係を示す作業画像(図3〜5)と、カメラ14の撮影画像(図6)とに切り換えるようにしたが、画像選択部材の構成はこれに限らない。
【0042】
上記実施の形態は、解体作業機に適用したが、回動可能なアームを有する他のアーム作業機にも本発明は同様に適用可能である。すなわち本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態の警報装置に限定されない。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用される解体作業機の側面図。
【図2】本実施の形態に係る警報装置の構成を示すブロック図。
【図3】図2の表示装置に表示される表示画像の一例を示す図。
【図4】図2の表示装置に表示される表示画像の他の例を示す図。
【図5】図2の表示装置に表示される表示画像のさらに別の例を示す図。
【図6】図2の表示装置に表示される表示画像を切り換えた例を示す図。
【図7】図3〜図6のメータ画像を拡大して示す図。
【図8】限界安息角の設定を説明する図。
【図9】走行体が前後方向を向いた状態での実データと画面データの対応関係を示す図。
【図10】走行体が横方向を向いた状態での実データと画面データの対応関係を示す図。
【図11】図2の情報処理装置における処理の一例を示すフローチャート(その1)。
【図12】図2の情報処理装置における処理の一例を示すフローチャート(その2)。
【符号の説明】
【0044】
3 作業用フロント
10 情報処理装置
11 センサ群
12 画像切換スイッチ
13 旋回検出スイッチ
14 カメラ
20 画像処理装置
40 警報ブザー
50 表示装置




 

 


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