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発明の名称 建設機械のフロント制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−85093(P2007−85093A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−276212(P2005−276212)
出願日 平成17年9月22日(2005.9.22)
代理人 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
発明者 金成 靖彦 / 小倉 弘
要約 課題
フロント作業装置の領域制限制御を自動的に一時解除可能な建設機械のフロント制御装置を提供する。

解決手段
フロント作業装置1Aを領域制限制御可能な制御ユニット9を備えた建設機械のフロント制御装置において、制御ユニット9は、操作レバー4a〜4fが操作されたとき、フロント作業装置1Aが目標面の近傍でどのような姿勢になるかを推定演算すると共に、目標面の近傍におけるフロント作業装置1Aの速度ベクトルを推定演算し、推定演算されたフロント作業装置1Aの姿勢と速度ベクトルが予め定められた条件に合致したときのみ、目標面の設定を自動的に解除して、操作レバー4a〜4fの操作によるフロント作業装置1Aの駆動を可能にする。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント作業装置と、
前記複数のフロント部材のそれぞれを個別に駆動する複数の油圧アクチュエータと、
前記複数の油圧アクチュエータの操作指令を出力する複数の操作部材と、
前記操作指令に応じて前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量制御弁と、
前記フロント作業装置が予め設定された設定領域内で動作するように前記操作信号を補正し、前記フロント作業装置を領域制限制御する制御ユニットとを備えた建設機械のフロント制御装置において、
前記制御ユニットは、前記操作部材が操作されたとき、前記フロント作業装置が前記設定領域の近傍でどのような姿勢になるかを推定演算すると共に、前記設定領域の近傍における前記フロント作業装置の速度ベクトルを推定演算し、推定演算された前記フロント作業装置の姿勢と速度ベクトルが予め定められた条件に合致したとき、前記領域制限制御を自動的に解除して、前記操作信号に応じた前記フロント作業装置の操作を可能にすることを特徴とする建設機械のフロント制御装置。
【請求項2】
前記建設機械が、前記フロント作業装置としてブーム、アーム及びバケットを備えた油圧ショベルであり、
前記制御ユニットは、前記操作部材が操作されたとき、前記設定領域に対する前記バケットの背面の姿勢を推定演算すると共に、前記設定領域の近傍における前記バケットの先端部の速度ベクトルを推定演算し、
推定演算の結果、前記バケットの背面と前記設定領域とのなす角度がほぼ零となり、かつ前記バケットの先端部の速度ベクトルが前記設定領域に対してほぼ直交する方向となったとき、
前記領域制限制御を自動的に解除して、前記バケットの背面による目標面の締め固め作業を可能とすることを特徴とする建設機械のフロント制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のフロント制御装置に係り、特に、フロント作業装置の動き得る領域を制限した状態で所定の作業を行う領域制限制御機能を有する建設機械における作業性の改善手段に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどのフロント作業装置を備えた建設機械においては、オペレータが運転席に備えられた手動操作レバーを操作することによりフロント作業装置が操作される。フロント作業装置は、通常、手動操作レバーの操作方向及び操作量にしたがって最大可動範囲内の任意の位置まで操作可能であるが、従来より知られているこの種の建設機械の中には、特定の作業の作業性を高めるため、動作可能領域の設定を可能とし、当該動作可能領域が設定された場合には、手動操作レバーの操作方向及び操作量に拘わらず、フロント作業装置の可動範囲を設定された動作可能領域に制限する領域制限制御機能を備えたものが提案されている。
【0003】
例えば、かかる機能が付与された油圧ショベルを用いて掘削作業を行う場合、掘削しようとする穴の寸法や形状に即した掘削可能領域を設定しておけば、ブーム、アーム及びバケットからなるフロント部材が当該掘削可能領域を超えて動作しないので、所望の穴を効率よく掘削することができる。また、法面を所望の傾斜で連続的に掘削する場合も同様である。
【0004】
ところで、実作業においては、領域制限制御を一時的に解除し、フロント作業装置を手動操作レバーの操作にしたがって操作する作業に移行したい場合がしばしば発生する。
【0005】
かかる要求に対応するための技術としては、従来より、手動操作レバーの先端部に領域制限制御機能をオン状態又はオフ状態に切り替えるスイッチを設け、当該スイッチを操作することにより、フロント作業装置の領域制限制御のオン、オフを切り替えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術によれば、フロント作業装置の制御を切り換えるための操作を最小限にすることができるとされている。
【特許文献1】特許第3172447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、フロント作業装置の領域制限制御をオン又はオフに切り替える毎に一々スイッチを操作しなくてはならないので、これらの切替を頻繁に繰り返すことが要求される作業においては、オペレータの肉体的及び精神的負担が大きく、この点に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の不備を解決するためになされたものであり、その目的は、フロント作業装置の領域制限制御を自動的に一時解除可能な建設機械のフロント制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント作業装置と、前記複数のフロント部材のそれぞれを個別に駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータの操作指令を出力する複数の操作部材と、前記操作指令に応じて前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する流量制御弁と、前記フロント作業装置が予め設定された設定領域内で動作するように前記操作信号を補正し、前記フロント作業装置を領域制限制御する制御ユニットとを備えた建設機械のフロント制御装置において、前記制御ユニットは、前記操作部材が操作されたとき、前記フロント作業装置が前記設定領域の近傍でどのような姿勢になるかを推定演算すると共に、前記設定領域の近傍における前記フロント作業装置の速度ベクトルを推定演算し、推定演算された前記フロント作業装置の姿勢と速度ベクトルが予め定められた条件に合致したとき、前記領域制限制御を自動的に解除して、前記操作信号に応じた前記フロント作業装置の操作を可能にするという構成にした。
【0009】
このように、操作部材が操作されたとき、設定領域の近傍におけるフロント作業装置の姿勢と速度ベクトルとを推定演算し、推定演算されたフロント作業装置の姿勢と速度ベクトルとに基づいて領域制限制御を自動的に解除すると、スイッチなどの切替手段を操作することなく操作部材の操作状況に応じて自動的に領域制限制御のオン、オフが選択される。また、一旦領域制限制御が解除された後も、操作部材の操作状況に応じて自動的に領域制限制御に復帰される。したがって、スイッチなどの切替手段を操作する場合に比べて、オペレータの負担を軽減することができ、設定領域を設定した状態と設定領域を解除した状態とを繰り返すことにより行われる作業を円滑かつ高能率に行うことができる。また、スイッチなどの切替手段を備える必要がないので、建設機械のフロント制御装置を安価に実施することができる。
【0010】
また、本発明は、前記構成の建設機械のフロント制御装置において、前記建設機械が、前記フロント作業装置としてブーム、アーム及びバケットを備えた油圧ショベルであり、前記制御ユニットは、前記操作部材が操作されたとき、前記設定領域に対する前記バケットの背面の姿勢を推定演算すると共に、前記設定領域の近傍における前記バケットの先端部の速度ベクトルを推定演算し、推定演算の結果、前記バケットの背面と前記設定領域とのなす角度がほぼ零となり、かつ前記バケットの先端部の速度ベクトルが前記設定領域に対してほぼ直交する方向となったとき、前記領域制限制御を自動的に解除して、前記バケットの背面による目標面の締め固め作業を可能とするという構成にした。
【0011】
このように、建設機械がフロント作業装置としてのブーム、アーム及びバケットを備えた油圧ショベルである場合において、操作部材が操作されたとき、設定領域に対するバケット背面の姿勢と設定領域の近傍におけるバケット先端部の速度ベクトルとを推定演算し、推定演算されたバケット背面の姿勢とバケット先端部の速度ベクトルとに基づいて領域制限制御を自動的に解除すると、スイッチなどの切替手段を操作することなく、目標面までの掘削作業と目標面の締め固め作業とを繰り返し交互に行うことができるので、オペレータの負担を軽減しつつこの種の作業を円滑かつ高能率に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建設機械のフロント制御装置は、操作部材が操作されたとき、設定領域の近傍におけるフロント作業装置の姿勢と速度ベクトルとを推定演算し、推定演算されたフロント作業装置の姿勢と速度ベクトルとに基づいて領域制限制御を自動的に解除するので、領域制限制御による作業とこれを解除した状態での作業とを繰り返す際のオペレータの負担を軽減することができ、この種の作業を円滑かつ高能率に行うことができると共に、スイッチなどの切替手段を備える必要がないので、建設機械のフロント制御装置を安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施形態例に係る建設機械のフロント制御装置を、油圧ショベルのフロント制御装置を例にとり、図1乃至図11に基づいて説明する。
【0014】
図1は実施形態例に係る油圧ショベルの外観図であり、図2は実施形態例に係る油圧ショベルに設けられた各種油圧アクチュエータの駆動回路図である。図1から明らかなように、本例の油圧ショベルは、それぞれ地面に対して垂直方向に回動するブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント作業装置1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとにより構成されている。
【0015】
ブーム1aは、上部旋回体1dの前部に回動自在に連結され、一端が上部旋回体1dに連結されると共に他端がブーム1aに連結されたブームシリンダ3aにより回動される。アーム1bは、ブーム1aに回動自在に連結され、一端がブーム1aに連結されると共に他端がアーム1bに連結されたアームシリンダ3bにより回動される。バケット1cは、アーム1bに回動自在に連結され、一端がアーム1bに連結されると共に他端がバケット1cに連結されたバケットシリンダ3cにより回動される。また、ブーム1aの基端部には、上部旋回体1dに対するブーム1aの旋回角度(ブーム角度)αを検出する角度検出器8aが設けられ、アーム1bの基端部には、ブーム1aに対するアーム1bの旋回角度(アーム角度)βを検出する角度検出器8bが設けられ、バケット1cの基端部には、アーム1bに対するバケット1cの旋回角度(バケット角度)γを検出する角度検出器8aが設けられる。
【0016】
図2に示すように、油圧ショベルには、ブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3cのほか、下部走行体1eに対して上部旋回体1dを旋回させる旋回モータ3d及び下部走行体1eを駆動する左右一対の走行モータ3e、3fなどの油圧アクチュエータが設けられている。これらの油圧アクチュエータ3a〜3fには、それぞれ電磁式流量制御弁5a〜5fを介して油圧ポンプ2からの駆動圧油が供給されており、電磁式流量制御弁5a〜5fの切換状態に応じて各油圧アクチュエータ3a〜3fが駆動又は駆動停止される。なお、油圧ポンプ2の最高圧は、リリーフ弁6により規制される。
【0017】
電磁式流量制御弁5a〜5fは、それぞれ操作量に応じた操作信号を発生する操作レバー(電気レバー)4a〜4fの操作量に応じて駆動される。即ち、制御ユニット9に操作レバー4a〜4fの操作信号が入力されると、その操作信号に応じた制御信号が制御ユニット9から電磁式流量制御弁5a〜5fのソレノイドに出力される。そして、この制御信号により電磁式流量制御弁5a〜5fが所要の方向に切り換わり、油圧アクチュエータ3a〜3fへの圧油の流れが制御されて、油圧アクチュエータ3a〜3fが駆動される。制御ユニット9は、油圧アクチュエータ3a〜3fの駆動全体を制御するものであり、領域制限制御を実行するに必要な角度検出器8a〜8cからの信号及び設定器7からの信号も入力される。設定器7は、領域制限制御の開始と目標面の設定を指示するもので、制御開始スイッチ7a及び領域設定スイッチ7bを有しており、例えば操作レバー4a〜4fのグリップ上又は運転席に備えられた操作パネルなどに設定される。
【0018】
図3は、制御ユニット9の構成を示すブロック図である。この図から明らかなように、本例の制御ユニット9は、所要の演算を行うシングルチップマイコン96と、フロント作業装置1A及び車体1Bに関する各種のデータを記憶する不揮発性メモリ(EEPROM)97とから構成されており、シングルチップマイコン96は、角度検出器8a〜8c、操作レバー4a〜4f及び設定器7に備えられたスイッチ7a,7bからの各信号を取り込んでそれぞれデジタル信号に変換するA/D変換器91、後述する制御プログラムを実行するCPU92、制御プログラムの実行に必要な各種の定数等を格納するROM93、演算結果或いは演算途中の数値を一時的に格納するRAM94、CPU92にて演算された電磁式流量制御弁5a〜5fの制御信号をアナログ信号に変換するD/A変換器95とから構成されている。
【0019】
領域制限制御を実行する場合、制御ユニット9は、設定器7からの指示により、例えばバケット先端部の目標深さなどの領域(設定領域)を設定する。設定領域としてバケット先端部の目標深さを設定する場合には、はじめに目標深さの初期値として、バケット先端部が到底届かない深さ(例えば、−20m)をセットする。これは、目標深さの設定が、バケット先端部を実際に目標面まで移動することにより行われるため、目標深さの設定に際してバケット先端部が目標面に到達する前にフロント作業装置1Aの操作に操作反力が付与されないようにするためである。この初期値の設定は、例えば設定器7に備えられた領域設定スイッチ7bを一定時間(例えば2秒以上)長押しすることにより行うことができる。
【0020】
初期値の設定後、操作レバー4a〜4fを操作して、図4に示すようにバケット先端部P1を目標面まで移動し、領域設定スイッチ7bを今度は1回押し操作する。このスイッチ7bの操作により制御ユニット9に目標深さ演算信号が入力され、制御ユニット9は角度検出器8a〜8cからの信号を読み込んでバケット先端部P1の位置を演算する。この場合、バケット先端部P1の位置は、ブーム1aの回動支点を原点としたXY座標系の座標値(X1,Y1)として下記の第1式及び第2式により求められる。但し、式中の各諸元は図4に示す通りであり、L1はブーム長さ、L2はアーム長さ、L3はバケット長さ、αはブーム角度、βはアーム角度、γはバケット角度を示している。L1,L2,L3は、制御ユニット9の不揮発性メモリ97に記憶されている。また、制御ユニット9のRAM94には、バケット先端部P1のy座標値であるY1が目標面として記憶されている。
【0021】
X1=L1sinα+L2sin(α+β)+L3sin(α+β+γ)
・・・(第1式)
Y1=L1cosα+L2cos(α+β)+L3cos(α+β+γ)
・・・(第2式)
制御ユニット9は、設定された目標面Yに基づいて領域制限制御を行うと共に、実行中の領域制限制御を一時的に解除するか否かを自動的に判断する。
【0022】
図5に、制御ユニット9で実行される制御プログラムのフローチャートを示す。まず、ステップS110で操作レバー4a〜4fからの操作信号を読み込み、ステップS120で設定器7の制御開始スイッチ7aがオン操作されているか否か、即ち、制御開始指令の有無を判定する。ステップS120において制御開始スイッチ7aがオン操作されていないと判定された場合には、ステップS240に進み、操作信号に対応した制御信号を電磁式流量制御弁5a〜5fのソレノイドに出力する。
【0023】
ステップS120において制御開始スイッチ7aがオン操作されていると判定された場合には、ステップS130に進んで角度検出器8a〜8cからの信号を読み込み、次いでステップS140に進んで、読み込まれた各角度信号α,β,γと制御ユニット9の不揮発性メモリ97から読み出された各部の長さL1,L2,L3とを前出の第1式及び第2式に代入してバケット先端部P1の現在位置(X,Y)とフロント作業装置1Aの姿勢とを演算する。
【0024】
しかる後に、ステップS150に進み、ステップS110で読み込まれた操作信号によりフロント作業装置1Aを操作し、目標面近傍まで領域制限制御を行わずに動作させたと仮定した場合における目標面近傍でのバケット先端P1の目標動作速度ベクトルを推定演算すると共に、そのときのバケット背面と目標面とのなす角度を推定演算する。
【0025】
次いで、ステップS170に進み、ステップS150で推定演算されたバケット背面と目標面とのなす角度が所定値以下であり、かつ目標動作速度ベクトルが目標面とほぼ直交しているか否かを判定する。そして、肯定された場合にはステップS240に進んで領域制限制御が解除され、電磁式流量制御弁5a〜5fのソレノイドには、操作レバー4a〜4fからの操作信号に応じた制御信号が出力される。一方、否定された場合には、ステップS200に進んで領域制限制御が維持され、電磁式流量制御弁5a〜5fのソレノイドには、領域制限制御に対応した制御信号が出力される。
【0026】
以下、図6のフローチャートに基づいて、ステップS150で行われる目標速度ベクトル及び姿勢の推定演算手段を説明する。
【0027】
ステップS151では、操作レバー4a〜4fの操作信号に対応したバケット先端部P1の目標動作速度ベクトルの方向と大きさとを演算する。ここで、操作レバー4aを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの方向はブーム1aの回動方向に等しく、ブーム1aの回動支点とバケット先端部P1とを結ぶ直線に対して垂直な方向である。同様に、操作レバー4bを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの方向はアーム1bの回動支点とバケット先端部P1とを結ぶ直線に対して垂直な方向であり、操作レバー4cを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの方向はバケット1cの回動支点とバケット先端部P1とを結ぶ直線に対して垂直な方向である。
【0028】
また、操作レバー4aを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの大きさは、操作レバー4aの操作量とブームシリンダ3aの動作特性とにより求まり、操作レバー4bを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの大きさは、操作レバー4bの操作量とアームシリンダ3bの動作特性とにより求まり、操作レバー4cを操作した場合におけるバケット先端部P1の速度ベクトルの大きさは、操作レバー4cの操作量とバケットシリンダ3cの動作特性とにより求まる。なお、シリンダ3a〜3cの動作特性とは、操作レバー4a〜4cの操作量に対するシリンダ3a〜3cの駆動速度の関係であり、これらはフロント作業装置1Aに固有の値として、予め不揮発性メモリ97に記憶されている。
【0029】
次いで、ステップS152に進み、ステップS151で演算された各目標速度ベクトルに基づいて、バケット先端部P1における合成目標速度ベクトルを演算する。次いで、ステップS153に進み、所定時間後のフロント作業装置1Aの姿勢を推定演算した後、ステップS154に進んで、ステップS153で推定演算したバケット先端部P1と目標面との距離(推定距離D)を演算する。しかる後に、ステップS155に進んで推定距離Dが零か否かが判定され、肯定された場合には、ステップS156に進み、ステップS152で求めた合成速度ベクトルを目標面近傍での目標速度ベクトルとし(目標速度ベクトル推定手段)、ステップS153で求めたフロント姿勢を目標面近傍での姿勢とする(姿勢推定演算手段)。ステップS155で推定距離Dが零でないと判定された場合には、ステップS153で求めた所定時間後のフロント姿勢の値を現在地と設定し直し、ステップS151に戻る。
【0030】
以下、実施形態例に係るフロント制御装置を用いたフロント作業装置1Aの制御例を、バケット先端部P1による法面成形掘削作業とバケット背面による締め固め作業を繰り返し行う場合を例にとって具体的に説明する。本例においては、目標面が図7に示すように設定される。
【0031】
いま、制御開始スイッチ7aがオン操作され、ステップS120が肯定された場合を考える。この場合には、操作レバー4aを操作して目標面にバケットを近づけるようにブーム下げ操作を行うと、目標面の近傍では図8に示すような状態になると予測でき、バケット背面と目標面とのなす角度が大きく、このままブーム下げ操作を行うと目標面以下を掘削してしまうので、領域制限制御を自動的に継続し、目標面以下を掘削しないようにする。
【0032】
一方、図9に示す初期状態から同じように操作レバー4aを操作して目標面にバケットを近づけるようにブーム下げ操作を行う場合には、目標面の近傍では図10に示すような状態になると予測でき、バケット背面と目標面とのなす角度が小さく、かつ目標動作ベクトルが目標面とほぼ直交しており、このままブーム下げ操作を行っても目標面以下を掘削してしまう危険が少ないので、領域制限制御を一時的に解除し、目標面の締め固め作業を可能とする。
【0033】
なお、目標面の近傍での状態が図11に示すようにバケット背面と目標面とのなす角度が小さい場合であっても、目標動作ベクトルが目標面に対して矢印で示すような方向に向いている場合には、このまま操作を続行すると目標面を超えた掘削が行われるおそれがあるため、領域制限制御を持続し、目標面以下を掘削しないようにする。
【0034】
このように、本例の建設機械のフロント制御装置は、目標面の近傍におけるバケット先端部P1の目標速度ベクトルと目標面に対するバケット背面の姿勢とを推定演算し、目標速度ベクトルが目標面に対してほぼ直交しており、かつバケット背面と目標面との角度が所定値以下である場合にのみ、領域制限制御を一時的に解除するので、領域制限制御に基づく掘削作業が行われている状態からでも、スイッチ等を操作することなく、バケット背面による締め固め作業に円滑に移行することができ、所望の掘削作業及び締め固め作業を高能率に行うことができる。また、目標速度ベクトル及びバケット背面の姿勢が上記の条件に合致しない場合には、領域制限制御がそのまま持続されるので、目標面までスムーズかつ迅速な掘削作業を行うことができる。さらに、領域制限制御の一時解除及び一時解除からの復帰が自動的に行われるので、これらの切替をスイッチ等により行う場合に比べて、システム構成の簡略化及びシステムコストの低減を図ることができる。
【0035】
なお、前記実施形態例においては、深さ方向のバケット先端部P1の移動を制限するように目標面を設定したが、高さ方向、幅方向又は前後方向の移動を制限するように目標面を設定した場合にも、同様にして実施することができる。
【0036】
また、前記実施形態例においては、目標面の設定をスイッチ7bの操作により行ったが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、数値で目標面を直接入力したり、予め入力された作業情報に基づき目標面を設定することもできる。
【0037】
また、前記実施形態例においては、電気レバー4a〜4fにより油圧アクチュエータ3a〜3fの駆動指令を出力するようにしたが、操作レバーの種類及びアクチュエータの種類に関してはこれに限定されず、任意のものを用いることができる。例えば、操作レバー4a〜4fは、操作量に応じた油圧パイロット圧を発生する油圧パイロット式の操作レバーであっても良く、この場合には、操作検出手段として圧力センサ等が用いられる。また、操作レバー以外の操作部材を用いることもできる。
【0038】
また、前記実施形態例においては、操作レバー4a〜4fの操作に応じて流量制御弁5a〜5fを切り換え、アクチュエータ3a〜3fへの駆動圧を供給するようにしたが、他の駆動手段を用いても良い。
【0039】
また、前記実施形態例においては、姿勢検出手段として角度検出器8a〜8cを用いたが、ストロークセンサ等によりシリンダ3a〜3cのストロークを検出してフロント作業装置1Aの姿勢を検出するようにしても良い。
【0040】
さらに、前記実施形態例においては、油圧ショベルのフロント作業装置1Aを例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、フロント作業装置を備えた任意の建設機械の制御に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態例に係る油圧ショベルの外観図である。
【図2】実施形態例に係る油圧ショベルに設けられた油圧アクチュエータの駆動回路図である。
【図3】制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】目標面と目標面の算出に必要な油圧ショベルの諸元の説明図である。
【図5】制御ユニットにて実行される制御プログラムのフローチャートである。
【図6】姿勢推定演算手段と速度ベクトル推定手段のフローチャートである。
【図7】目標面に対するフロント作業装置の第1の初期状態を示す図である。
【図8】目標面に対するバケットの第1の当接状態を示す図である。
【図9】目標面に対するフロント作業装置の第2の初期状態を示す図である。
【図10】目標面に対するバケットの第2の当接状態を示す図である。
【図11】目標面に対するバケットの目標速度ベクトル方向を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1A フロント作業装置
1a ブーム
1b アーム
1c バケット
3a〜3f 油圧アクチュエータ
4a〜4f 操作レバー
5a〜5f 流量制御弁
7 設定器
8a〜8c 角度検出器
9 制御ユニット




 

 


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